JP5562168B2 - 測温抵抗体の製造方法、ならびに、測温抵抗体を内蔵した温度測定センサー - Google Patents
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Description
すなわち、この種の温度測定センサーは、下記の式のように、金属の電気抵抗が温度で変化する特性を利用し、温度を電気信号として取り出す原理を利用している。
ここで、
R0:0℃における抵抗値
RT:T℃における抵抗値
α:抵抗の温度係数
T:温度(℃)
である。
すなわち、従来の測温抵抗体100の製造方法では、先ず、ガラスやマイカなどの絶縁体102の基端部に形成された一方のリード線接続用ピン104に、マグネットワイヤー106の一方の端部108を、例えば、はんだ付けによって、電気的に接続して固定する。なお、マグネットワイヤーとは、巻線用絶縁被覆電線の総称である。
その後、絶縁体102の基端部に形成されたもう一方のリード線接続用ピン112にマグネットワイヤー106の他方の端部114を、例えば、はんだ付けによって、電気的に接続して固定している。
このように、マグネットワイヤー106として、白金を用いた場合には、高精度の測定が可能で、信頼性が高く、出力が正のリニア特性を示すため、測定性能に優れるという利点がある。
さらに、図9に示したように、従来の測温抵抗体100では、矢印に示したように、
マグネットワイヤー106に電流を流すと、磁界(磁気ノイズ)が発生することになるので、外部に磁気ノイズを与えたり、また、外部からの輻射ノイズ(磁気ノイズ、電波ノイズ)の影響を受けて、正確な測定ができないおそれがあった。
温度測定センサーに内蔵される温度測定センサー部を構成する測温抵抗体の製造方法であって、
第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーとからなる2本のマグネットワイヤーの一方の端部をそれぞれ、絶縁体の基端部に形成されたリード線接続用ピンに電気的に接続する巻線固定工程と、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーとを、前記絶縁体の巻線部に同時に巻き付けて、第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーとが交互に、絶縁体の軸方向に整列した状態となるように巻き付ける巻き付け工程と、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーの他方の端部同士を電気的に接続する接続工程とを備え、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、それぞれ独立した別個のマグネットワイヤーであり、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、同一の材料から構成され、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、同一の径を有することを特徴とする。
従って、このような構成の測温抵抗体を、温度測定センサーに内蔵されている温度測定センサー部として用いる場合に、一方のマグネットワイヤーのリード線接続用ピンに電気的に接続されている一方の端部から、他方のマグネットワイヤーのリード線接続用ピンに電気的に接続されている一方の端部へ電流を流した状態とする。
しかも、図8に示した従来の測温抵抗体100の製造方法では、1本のマグネットワイヤー106を、絶縁体102を巻き付けていたが、本願発明では、2本のマグネットワイヤーを絶縁体に同時に巻き付けることにより、巻き付け工数の低減を図ることが可能である。
また、第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、同一の材料から構成されるとともに、同一の径を有するので、マグネットワイヤーを絶縁体の軸方向に精度よく整列した状態で巻きつけることができる。さらに、巻き数が多い場合にも、これらの軸方向に整列した状態が、半径方向外側に複数層積層した状態で、精度よく整列した状態で巻きつけることができる。
このように第1のマグネットワイヤーは、第1のガイドで案内され、第2のマグネットワイヤーは、第2のガイドで案内されるように構成されているので、マグネットワイヤーを絶縁体の軸方向にさらに精度よく整列した状態で巻きつけることができる。
また、本発明の測温抵抗体は、前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーの他方の端部同士を、前記絶縁体の他方の端部に形成した接続用ピンを介して電気的に接続したことを特徴とする。
このようにマグネットワイヤーとして、従来の白金の代わりに、銅の細線を使用することによって、銅の巻線は、安価で多品種であるので、細く、長く巻くことが可能で、大型化することなく、例えば、0℃で2000Ω、温度係数:α=4.3(1×10-3/℃)とすると、上記の原理式から計算すると、1Ωで約0.1℃の誤差となるように、ノイズやリード線の抵抗による抵抗誤差も影響を受けづらくなるので、正確な測定を行うことが可能である。
また、このように感度を上げられるため、通常のリード線長の場合は、当然白金巻線のような3線式、4線式は不要になり、リード線のコストが安くなり、回路側において複雑な構成が不要になり、温度測定センサーもコンパクトとすることができる。
しかも、従来の測温抵抗体100の製造方法では、1本のマグネットワイヤー106を、絶縁体102を巻き付けていたが、本願発明では、2本のマグネットワイヤーを絶縁体に同時に巻き付けることにより、巻き付け工数の低減を図ることが可能である。
図1は、本発明の測温抵抗体の概略図、図2は、図1の測温抵抗体の部分拡大断面図、
図3は、本発明の測温抵抗体の製造方法を説明する概略図、図4は、本発明の測温抵抗体の電流の流れを説明する概略図、図5は、本発明の測温抵抗体を温度測定センサー部として温度測定センサーに内蔵した実施例の状態を説明する断面図、図6は、本発明の測温抵抗体を温度測定センサー部として温度測定センサーに内蔵した実施例の状態を説明する断面図である。
図1〜図7において、符号10は、全体で本発明の測温抵抗体を示している。
図1に示したように、本発明の測温抵抗体10は、絶縁材料からなる略円筒形状の絶縁体12を備えており、この絶縁体12には、中央の巻線部14と、この巻線部14の両側に突設された鍔部16とを備えている。
一方、マグネットワイヤー巻き付け装置24は、マグネットワイヤー繰り出し装置32を備えており、このマグネットワイヤー繰り出し装置32には、マグネットワイヤーボビンケース34、36を装着する装着軸38、40が形成されている。
次に、モーター26を回転させて、モーター26の回転軸28に装着した絶縁体12の巻線部14に、第1のマグネットワイヤーAと第2のマグネットワイヤーBとを同時に巻き付けていく。
また、この実施例では、第1のマグネットワイヤーAの他方の端部50と、第2のマグネットワイヤーBの他方の端部52同士を、絶縁体12の他方の端部に形成された接続用ピン22を介して、電気的に接続したが、絶縁体12の他方の端部に、例えば、導電性の接続面を形成しておいて、この接続面で、相互に、はんだ付けなどで接続することももちろん可能であり、この接続方法は特に限定されるものではない。
この際に、図4の矢印で示したように、第1のマグネットワイヤーAと第2のマグネットワイヤーBの他方の端部50、52同士を電気的に接続した接続部分(接続用ピン22の部分)を境に、絶縁体12に巻き付けられた巻線(A、B)に対して、電流の流れが、往復では互いに逆方向となり、往きの電流から発生した磁界と、帰りの電流から発生した磁界とが互いに打ち消しあうことになる。
しかも、図8に示した従来の測温抵抗体100の製造方法では、1本のマグネットワイヤー106を、絶縁体102を巻き付けていたが、本願発明では、2本のマグネットワイヤーA、Bを絶縁体に同時に巻き付けることにより、巻き付け工数の低減を図ることが可能である。
この場合、ニッケル、鉄、銅、または、それらの合金などの卑金属を使用する場合には、高温下では酸化し、特性の変動が生じるため、使用温度としては、−200℃〜300℃の範囲で用いる測温抵抗体10に適用すれば良い。
なお、空調用の温度測定センサーなどの一般測定用の温度測定センサーに用いる場合には、第1のマグネットワイヤーAと第2のマグネットワイヤーBを構成するマグネットワイヤーの導体材質を銅から構成するのが望ましい。
また、このように感度を上げられるため、通常のリード線長の場合は、当然白金巻線のような3線式、4線式は不要になり、リード線のコストが安くなり、回路側において複雑な構成が不要になり、温度測定センサーもコンパクトとすることができる。
図5は、本発明の測温抵抗体10を、例えば、シリコンウェハなどの半導体製造時に使用される、酸、アルカリなどの洗浄液などの被測定流体の温度を測定するための温度測定センサーに適用した温度測定センサー60の構造を示す断面図である。
そして、図7の拡大図に示したように、リード線62のリード線外側被覆63が除去された部分から、リード線62の第1のリード配線64と、第2のリード配線66が露出している。
一方、測温抵抗体10を、例えば、腐食性の薬液から保護するために、例えば、セラミック、カーボンなどの酸、アルカリなどに対して耐腐食性が良好な材料からなる保護管80が設けられており、リード線62と一体に接続され測温抵抗体10を、保護管80に挿入した後、シリコーン樹脂などの樹脂充填材82を硬化させることによって位置決め固定され、温度測定センサー60が構成されている。
この実施例の温度測定センサー60は、図5に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
12 絶縁体
12a 基端部
14 巻線部
16 鍔部
18 リード線接続用ピン
20 リード線接続用ピン
22 接続用ピン
24 マグネットワイヤー巻き付け装置
26 モーター
28 回転軸
30 基台
32 マグネットワイヤー繰り出し装置
34 第1のマグネットワイヤーボビンケース
36 第2のマグネットワイヤーボビンケース
38 装着軸
40 装着軸
42 第1のガイド
44 第2のガイド
46 一方の端部
48 一方の端部
50 他方の端部
52 他方の端部
54、56 ジョイント
60 温度測定センサー
62 リード線
63 リード線外側被覆
64 第1のリード配線
66 第2のリード線
68 リード線芯線被覆
70 第1のリード線芯線
72 リード線芯線被覆
74 第2のリード線芯線
76 電気的接続部
78 絶縁収縮チューブ
80 保護管
80a 基端部
82 樹脂充填材
84 パッキン
100 測温抵抗体
102 絶縁体
104 リード線接続用ピン
106 マグネットワイヤー
108 一方の端部
110 巻線部
112 リード線接続用ピン
114 他方の端部
200 巻線型コイル
202 磁性コア
204 巻線部
206 第1の線材
208 第2の線材
A マグネットワイヤー
B マグネットワイヤー
Claims (6)
- 温度測定センサーに内蔵される温度測定センサー部を構成する測温抵抗体の製造方法であって、
第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーとからなる2本のマグネットワイヤーの一方の端部をそれぞれ、絶縁体の基端部に形成されたリード線接続用ピンに電気的に接続する巻線固定工程と、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーとを、前記絶縁体の巻線部に同時に巻き付けて、第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーとが交互に、絶縁体の軸方向に整列した状態となるように巻き付ける巻き付け工程と、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーの他方の端部同士を電気的に接続する接続工程とを備え、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、それぞれ独立した別個のマグネットワイヤーであり、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、同一の材料から構成され、
前記第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーは、同一の径を有することを特徴とする測温抵抗体の製造方法。 - 前記第1のマグネットワイヤーは、第1のガイドで案内され、第2のマグネットワイヤーは、第2のガイドで案内されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の測温抵抗体の製造方法。
- 前記接続工程において、第1のマグネットワイヤーと第2のマグネットワイヤーの他方の端部同士を、前記絶縁体の他方の端部に形成した接続用ピンを介して電気的に接続することを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の測温抵抗体の製造方法。
- 前記マグネットワイヤーの導体が、銅から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の測温抵抗体の製造方法。
- 前記巻き付け工程において、所定の巻数を巻き付けた後に、抵抗値を測定して、目的とする抵抗値となるように、所定の巻数だけ巻き戻す巻き戻し工程を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の測温抵抗体の製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の測温抵抗体の製造方法を用いて製造した測温抵抗体を内蔵したことを特徴とする温度測定センサー。
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