JP3008239B2 - 熱電対温度計用基準接点補償器 - Google Patents

熱電対温度計用基準接点補償器

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JP3008239B2
JP3008239B2 JP5000700A JP70093A JP3008239B2 JP 3008239 B2 JP3008239 B2 JP 3008239B2 JP 5000700 A JP5000700 A JP 5000700A JP 70093 A JP70093 A JP 70093A JP 3008239 B2 JP3008239 B2 JP 3008239B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱電対線を温度検出端に
使用した計測器における零接点、即ち基準接点補償器の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電対は二つの異種金属を使用し、測温
接点と基準接点の間に温度差を生じた時に熱起電力を発
生するものである。各種の熱電対の温度に対する熱起電
力は基準接点の温度がO℃の場合を表示するものである
が、基準接点を常時氷で冷却してO℃に保持すること
は、この氷が溶けるために一定の温度に保持することが
できず、実用段階で使用することは困難である。
【0003】そこで、基準接点の温度を測定器部分にお
ける温度に補償する方法が採用されるが、この基準接点
の温度を補償する方法として、計測器の外に基準接点
を、計測器の内部に感温素子を置く方法がある。しか
し、この方法は基準接点と感温素子との距離が離れてい
るために基準接点の温度と感温素子の温度が一致しない
という問題がある。また、感温素子に市販のトランジス
タ等の半導体や測温抵抗体を使用しているが、これには
個々に特性のずれがあり、これを計測器にて調整する必
要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
A)前記問題の解決方法として計測器の内部に基準接点
及び感温素子を設ける方法が実用的な方法として採用さ
れている。この方法は図4のように一端に測温接点Hを
先端に有する熱電対線1と計測器2との間を補償導線3
で連結し、計測器2の内部に基準接点4を設け、この基
準接点4の近傍に感温素子5を設けている。
【0005】しかし、この方法においても計測器2の内
部であるとはいえ、基準接点4と感温素子5とが構造的
に離れた位置に設けざるを得ないために、この基準接点
4と感温素子5の温度に差が生ずることは否めない。ま
た、この方法の場合は基準接点が設けられている端子板
と感温素子5の熱容量に違いがあり、周囲温度の変化に
対して応答性に差があるという問題がある。
【0006】B)別の方法として図5のように基準接点
を回路基板まで補償導線にて引込む方法である。この方
法は、熱電対線1と計測器2との間を補償導線3が接続
し、この補償導線3と回路基板6との間を接続してい
る。そしてこの回路基板6上に基準接点4を設け、この
基準接点4の近傍に感温素子5aを設けたものである。
【0007】しかし、この方法も前記Aの方法と同様に
基準接点4と感温素子5aとが構造上離れているために
両者の温度が一致しない。また、基準接点4と感温素子
5aとは、熱容量が相違しており、従って周囲の温度変
化に対する応答性に差が生じるという問題がある。ま
た、回路基板6上に設けた部品の発熱の影響もあり、基
準接点4と感温素子5aとは均熱にならないという問題
がある。
【0008】更に、感温素子5aの特性のズレは計測器
2において調整が必要となり、特に多チヤンネルの計測
には不向きである。基準接点4と感温素子5aとの間の
温度差をなくす方法として絶縁性シリコングリスで両者
を覆って均熱化する方法が採用されるが、この方法は作
業性が悪い上に、応答性が悪いという問題がある。
【0009】C)更に別の方法として基準接点部分を均
熱箱にて覆う方法がある。この方法は図6に示すように
計測器2の内部に設けた基準接点4と感温素子5とを均
熱箱7で覆う方法がある。しかし、この方法は基準接点
4と感温素子5とを均熱箱7内に収容するために当然な
がら部品点数が増加する上に、基準接点4部分等が均熱
箱7内に配置されるために測定器内の部品配置やメンテ
ナンス上にも問題がある。
【0010】更に、多チヤンネルとした場合に均熱箱7
は更に大型のものとなる。このように均熱箱7が大型と
なると、その均熱箱7の内部に温度分布が生じ、それぞ
れの入力チヤンネルの基準接点に温度差が生じるので1
個の均熱箱7内に1個の感温素子5を設けただけでは正
確な温度を検出することができない。また、均熱箱7の
内部の配線が困難となるという問題もある。
【0011】D)前記各種の方法を改善するために、本
発明者等は絶縁性円筒の上に銅測温抵抗体を巻き、その
中に基準接点を作る方法を開発した。この方法は図7に
示すように絶縁材からなる円筒10の表面に細い銅線か
らなる測温抵抗体11を巻回し、これの両端の出力端子
12を計測器2に接続し、更に熱電対線1に補償導線3
の一端を接続し、他端を円筒10の内部に引込んでその
内部に設けられている基準接点4に接続し、更にこの基
準接点4を出力端子13によって計測器2に接続するも
のである。
【0012】この方法は、前記A〜Cの方法に比較して
測温抵抗体11と基準接点とが接近している点で優れて
いる。しかし、基準接点4は円筒10の内部に保持され
ており、銅線からなる測温抵抗体11との間にかなりの
距離があり、これを接近することは実質的に困難なため
に、基準接点4の温度と測温抵抗体11の温度とが一致
しないという問題がある。
【0013】従って、周囲の温度が変化した場合、外側
の測温抵抗体11の外側が先に温度変化に応答し、円筒
10の内部に配置されている基準接点4の温度はこの測
温抵抗体11の後で応答する遅れを生ずることになり、
基準接点4の温度と測温抵抗体11の温度とは差が生じ
ることになり、測温接点Hにおける温度を正確に表示で
きないという問題がある。また、特に多チヤンネルの場
合には円筒10の内部に多数の基準接点4を設けなけれ
ばならず、構造的に複雑化し、製作やメンテナンスが困
難となる上に、大型化するという問題があった。
【0014】本発明は、特に前記Dの温度補償方法の問
題点を解消し、小型化され、基準接点と測温抵抗体との
熱的な距離を著しく短縮させ、正確に温度補償をするこ
とができる温度計用基準接点補償器を提供することを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明にかかる熱電対温度計用基準接点補償器は、
電出力端子と該熱電出力端子の温度を測定する測温抵抗
体とからなり、前 記熱電出力端子と前記測温抵抗体の測
温出力端子を同一面上に並べて絶縁シー トの間に保持し
て端子シートを薄い板状に形成し、該端子シートの前記
絶縁シ ートの外表面に細い金属線を巻回し前記測温出力
端子に接続して前記測温抵抗 体を偏平状に形成されてい
る。
【0016】端子シートは基準接点を設けたもので、糸
巻状に薄いシートであることが必要であり、複数の端子
を平行に並べ、これを絶縁体によって保持したものであ
る。具体的には2枚の絶縁シートの間に複数の端子を保
持させたもので良く、この絶縁シートの性質によって端
子シートを極く薄いものとすることができる。端子シー
トの両面に積層される絶縁シートは、マイカやポリイミ
ド樹脂等の電気的特性が優れた材料が使用され、これを
可能な限り薄く形成される。
【0017】温度補償用の感温素子は基準接点に可能な
限り接近するものであることが必要である。その意味で
この感温素子には細い銅線からなる測温抵抗体が使用さ
れるが、前記のような特性を有するものである場合には
これに代えることができる。端子シートと絶縁シートと
の積層体は薄い板状であって、これが糸巻きの一種を形
成している。そしてこの糸巻きの表面に測温抵抗体を形
成する細い銅線を巻回するのである。
【0018】温度計用基準接点補償器は磁界の影響を受
けないようにするのが好ましい。この意味において感温
素子に測温抵抗体を使用した場合には磁界の作用で誘導
起電力が発生しないように配慮する。即ち、測温抵抗体
を無誘導巻線とするのが好ましい。この無誘導巻線は2
本の金属線を撚り線としたものであって、糸巻きの上に
同時に2本が平行して巻回されでおり、これが新たな効
果を生みだしている。
【0019】測温抵抗体は、正確な温度補償をするため
に正確な抵抗値に調整されることが重要であるが、2本
の金属線の一端を端子シート側に接続し、所定の長さよ
り僅かに長い長さで巻回しておき、他端を接続し、両端
の間のインピーダンスを測定し、必要に応じて他端を切
断・接続し、抵抗値を測定する操作を繰り返すことによ
って極めて正確な測温抵抗体を形成することができる。
【0020】
【作 用】基準接点を形成する端子シートと、この端子
シートの外表面に測温抵抗体を巻回して板状に形成して
いるので、基準接点と測温抵抗体との距離が著しく接近
することになり、両者の間に温度の伝達遅れがなく、基
準接点の温度を迅速に、しかも正確に測定することがで
きるので、この検出された信号に基づいて正確な温度補
償をすることができる。
【0021】
【実 施 例】次に、図面を参照して本発明の熱電対温
度計用基準接点補償器の実施例を説明する。図1は本発
明にかかる熱電対温度計用基準接点補償器20の斜視図
であって、補償器本体21の一方に熱電対に接続される
補償導線24に接続された熱電出力端子22と、測温抵
抗体に接続された測温出力端子23が一方に突出してお
り、他方には前記補償導線24が引出されている。
【0022】図2は補償器20の内部構造を示す分解斜
視図、図3は補償器20の概略断面図であって、マイカ
やポリイミド樹脂等の薄い絶縁シート25と、偏平化し
た金属線を複数本平行に配置し、線状にした一端を突出
させた端子シート26と、この端子シート26の他面に
積層される絶縁シート25aで補償器本体21が構成さ
れている。
【0023】前記端子シート26には熱電出力端子22
と測温出力端子23とが平行に設けられており、全体は
絶縁シート26aで覆われている。これの具体的な製造
方法は、絶縁シート26aを2つ折りにし、一方に複数
の端子22,23を配置し、他方の積層して一体化した
ものである。この絶縁シート26aの一面には前記端子
22,23の端部に合わせて窓28,28aが開口され
ている。
【0024】そして端子22上の窓28を介して補償導
線24を接続し、窓28aには測温抵抗体を構成する細
い銅線27(絶縁線)の両端が接続され、その端部に絶
縁テープ29を当てがって絶縁している。絶縁シート2
5aの隅部には切欠部Cが設けられているが、これは2
つの窓28aを通じて銅線27を接続するためのもので
あり、端子シート26上の端子22に窓28を介して補
償導線24を接続したならば、この端子シート26の両
面に絶縁シート25,25aを積層する。そして切欠部
Cより露出している窓28を介して端子23に銅線27
の一端を接続し、この銅線27の端部に絶縁テープ29
を置き、撚り線からなる銅線27を補償器本体21上に
巻回していくのである。補償器本体21は一種の糸巻き
を形成しており、その意味において絶縁シート25,2
5aの隅部には突起25bを形成している。
【0025】この巻回量は、20℃において108.5
Ωを必要とする。そのために銅線27に直径が0.05
±0.001mm、導体抵抗8440〜9329Ω/k
mを使用し、必要とする巻量より少し多目にしておく。
そして端子23で測温抵抗体としての抵抗を測定しなが
ら、銅線27の巻終わり部を切断・接続し、測定を行い
ながら所定の抵抗値に調節する。
【0026】このように銅線27に撚り線を使用するの
は、無誘導巻きとするためであって、これによって磁界
が起因する温度誤差を防止することができる。また、巻
終わり部を次々に切断しながら抵抗値を測定し、微調整
することができるので、正確な抵抗値を有する測温抵抗
体を形成することが可能である。測温抵抗体は、端子2
2の温度を測定することができるものであれば銅線27
以外の材料からなる抵抗線であっても差し支えないが、
銅線は伝熱材料として最適である上に、比較的長いもの
を使用できるので抵抗値の調整が容易である点において
有利である。
【0027】測温抵抗体は金属線、特に細い銅線が伝熱
性が優れている点において有利であるが、薄いシート状
の感温素子があれば、これに代替することができる。こ
の感温素子の伝熱性が劣る場合には、金属箔等の伝熱材
料を併用することもできる。前記実施例の効果は次のよ
うにまとめることができる。 イ)薄く小型の基準接点補償器を製作することができ
る。 ロ)基準接点までを薄い熱電対線を入力線(24)とし
て使用することができ、センサーの測温接点から基準接
点まで異種金属を含まない温度計測が可能となる。 ハ)端子シート上の基準接点上に測温抵抗体を構成する
銅線を巻いているために基準接点と測温抵抗体とが密着
しており、均熱効果にすぐれ、常に基準接点と測温抵抗
体の温度が一致している。 ニ)金属線、特に銅線を測温抵抗体に使用しているため
に、抵抗値の調整が極めて容易である。 ホ)無誘導巻きとすることによって、測温抵抗体の抵抗
値の調整が容易である上に、電磁誘導による測定誤差を
なくすことができる。 ヘ)測温抵抗体に金属線、特に銅線を使用することによ
って個々の測温抵抗体のバラツキを防止することができ
る。 ト)抵抗値に経時変化がない。 チ)多チヤンネル用を製作したとき、各入力チヤンネル
の基準接点の温度が等しい。 リ)多チヤンネル用を製作したとき、入力端子を直線的
に配列することができるので、各入力端子の関係位置を
確認し易く、結線間違いなどを生じなく、効果的に組立
てすることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明にかかる熱電対温度計用基準接点
補償器は、熱電出力端子と該熱電出 力端子の温度を測定
する測温抵抗体とからなり、前記熱電出力端子と前記測
抵抗体の測温出力端子を同一面上に並べて絶縁シート
の間に保持して端子シー トを薄い板状に形成し、該端子
シートの前記絶縁シートの外表面に細い金属線 を巻回し
前記測温出力端子に接続して前記測温抵抗体を偏平状に
形成されてお り、次の効果を奏することができる。A)薄い板状の端子シートの上に測温抵抗体を構成する
金属線を巻回して、 偏平状の測温抵抗体で端子を挟んで
いるので、端子シート上の基準接点と測温 抵抗体とが絶
縁シートを介して密着する。 そのため、両者間の熱伝達
が円滑に行われ、基準接点と銅線等からなる測温 抵抗体
との間の温度差が極めて小さくなるので、均熱効果に優
れた熱電対温度 計用基準接点補償器となる。 しかも、熱
伝達性のよい金属線で測温抵抗体が形成されており、こ
の外部の 温度変化に対して応答性がよい測温抵抗体で端
子が覆われているので、端子温 度の外部温度に対する応
答性も優れたものとなる。 その上、絶縁シート上に金属
線を巻回した偏平状の測温抵抗体で熱電出力端 子を包み
込んでいるので、あたかも、薄い金属板で覆った状態と
なり、熱電出 力端子に対する外部の温度の影響はこの測
温抵抗体を介して行われ、しかも、 測温抵抗体の熱容量
は熱電出力端子に比較して大きいので、この測温抵抗体
熱電出力端子の温度の変化に対して緩衝機能を持つこ
とになり、外部の温度変 化に対する過敏な温度変化を排
して、基準接点の温度を安定化できる。 B)熱電出力端子を更に多く設けて多チャンネル用を製
作したとき、各チャン ネルの熱電出力端子と測温抵抗体
との関係が全部同じ密着状態になるので、温 度が測温抵
抗体の温度と等しくなり、全部の入力チャンネルの基準
接点温度が 同じ温度となる。 そして、端子が同一面上に
配置されるので、多チャンネル用を製作したとき に、各
チャンネルの入力端子が直線状に順に並ぶので、各入力
端子と各出力端 子との位置関係が明確になり、結線間違
い等の発生を防止でき、効率よく正確 に組立てることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】温度計用基準接点補償器の斜視図である。
【図2】温度補償器の構成部材を分解して示す斜視図で
ある。
【図3】温度補償器の側断面図である。
【図4】従来の温度計用基準接点補償器の説明図であ
る。
【図5】従来の温度計用基準接点補償器の説明図であ
る。
【図6】従来の温度計用基準接点補償器の説明図であ
る。
【図7】従来の温度計用基準接点補償器の説明図であ
る。
【符号の説明】
20 熱電対温度計用基準接点補償器 21 補償器
本体 22 熱電出力端子 23 測温出力端子 24 補償導線 25 絶縁シート 25a 絶縁シート 27 金属線(銅線) 28,28a 窓 29 絶縁テープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 7/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱電出力端子と該熱電出力端子の温度を測
    定する測温抵抗体とからなり、前 記熱電出力端子と前記
    測温抵抗体の測温出力端子を同一面上に並べて絶縁シー
    トの間に保持して端子シートを薄い板状に形成し、該端
    子シートの前記絶縁シ ートの外表面に細い金属線を巻回
    し前記測温出力端子に接続して前記測温抵抗 体を偏平状
    に形成した熱電対温度計用基準接点補償器。
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JP5562168B2 (ja) * 2010-08-03 2014-07-30 株式会社鷺宮製作所 測温抵抗体の製造方法、ならびに、測温抵抗体を内蔵した温度測定センサー

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