JP3379869B2 - 平版印刷版支持体用アルミニウム合金素板 - Google Patents
平版印刷版支持体用アルミニウム合金素板Info
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Description
されるアルミニウム合金支持体用の素板に関し、特に電
気化学的粗面化処理に適し、しかも高い疲労強度と優れ
た耐繰返し曲げ性を有する平版印刷版支持体用素板に関
するものである。
含む)としては、アルミニウム合金からなる支持体の表
面に粗面化処理を施した後、必要に応じて陽極酸化処理
などの表面処理を施し、さらに感光性塗料を塗布、乾燥
させて所謂PS版としたものが知られており、これを実
際に印刷に使用するにあたっては、PS版上に画像露
光、現像、ガム引き等の製版処理を施すのが通常であ
る。このような製版処理の過程において、現像処理によ
り未溶解で残留した感光層は画像部を形成し、一方感光
層が除去されてその下のアルミニウム表面が露出した部
分は親水性のため水受容部となって非画像部を形成す
る。
しては、一般に軽量でかつ表面処理性、加工性に優れた
アルミニウム合金板が使用される。このような目的のア
ルミニウム合金板としては、従来は、JIS A105
0,JIS A1100,JIS A3003等からな
る板厚0.1〜0.5mm程度のアルミニウム合金圧延板
が使用されており、このようなアルミニウム合金圧延板
は、表面を粗面化し、その後必要に応じて陽極酸化処理
を施して印刷版に使用されている。具体的には、特開昭
48−49501号に記載されている機械的粗面化処
理、化学的エッチング処理、陽極酸化皮膜処理を順に施
したアルミニウム平版印刷版、あるいは特開昭51−1
46234号に記載されている電気化学的処理、後処
理、陽極酸化処理を順に施したアルミニウム平版印刷
版、特公昭48−28123号に記載されている化学エ
ッチング処理、陽極酸化処理を順に施したアルミニウム
平版印刷版、あるいは機械的粗面化処理後に特公昭48
−28123号に記載されている処理を施したアルミニ
ウム平版印刷版等が知られている。
ウム合金支持体を実際に印刷に使用するにあたっては、
先ず既に述べたように素板表面を機械的方法、化学的方
法、電気化学的方法のうちいずれか1種、または2種以
上の組合わされた工程によって粗面化した後、印刷性向
上のために厚さ0.5〜3μmの陽極酸化皮膜を生成
し、その後感光性塗料を塗布して乾燥させた後、露光や
現像等の製版処理を行なって印刷版とし、印刷機の円筒
形版胴に巻付けてその両端を機械的にくわえ止めによっ
て固定し、湿し水の存在下においてインクを画像部に付
着させ、ゴムブランケットに転写後、紙面に印刷する。
高速化した今日では、印刷機の版胴に機械的に固定され
る印刷版の両端に加わる応力が大きく、そのためアルミ
ニウム合金印刷版の強度が不足する場合には、印刷版両
端の固定部分が変形または破損して、印刷ずれ等の障害
が生じたり、印刷版の両端折り曲げ部が受ける繰返し応
力によって版が切れて(くわえ切れが生じて)、印刷不
能となる事態が発生するおそれがある。
ルミニウム合金板の場合、粗面化処理として電気化学的
粗面化処理を施すことによって均一な粗面と適切な表面
粗さが得られ、また印刷中に非画像部の汚れが生じにく
いこと、すなわち耐インク汚れ性が良好であることが知
られているが、耐疲労強度が劣り、特に圧延方向に直角
に板を固定した場合の耐疲労強度が劣り、前述のような
くわえ切れにより印刷不能となる事態が頻繁に発生する
問題があった。
たもので、印刷版として優れた耐疲労強度と耐繰返し曲
げ性を有し、特に圧延方向に対する方向性の如何にかか
わらず耐疲労強度、耐繰返し曲げ性が優れ、しかも粗面
化処理が良好で特に電気化学的粗面化処理によって均一
な粗面と適切な表面粗さが得られるとともに耐インク汚
れ性の優れた印刷版支持体用アルミニウム合金素板を提
供することを目的とするものである。
題を解決するべく、電気化学的粗面化処理性および耐イ
ンク汚れ性の優れたJIS A1050系のアルミニウ
ム合金をベースとし、その耐疲労強度を向上させる手段
について鋭意実験・検討を重ねた結果、耐疲労強度、耐
繰返し曲げ性は、合金の成分組成のみならず板表面の結
晶粒形状および機械的性質に密接に関係していることを
見出し、この発明をなすに至った。
持体用アルミニウム合金素板は、Fe0.20〜0.5
0wt%、Si0.05〜0.20wt%、Cu5〜3
00ppmを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
よりなり、しかも表面のミクロ組織における各結晶粒の
最大長さと最大幅との比が10〜30の範囲内にあるこ
とを特徴とするものである。
アルミニウム合金素板は、Fe0.20〜0.50wt
%、Si0.05〜0.20wt%、Cu5〜300p
pmを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
り、しかも表面のミクロ組織における各結晶粒の最大長
さと最大幅との比が10〜30の範囲内にあり、かつ耐
力が145〜190N/mm2、疲労強度が4×104
以上、繰返し曲げ回数が8回以上であることを特徴とす
るものである。なお請求項2の発明に係る発明において
繰返し曲げ回数とは、押し曲げ法によって90°曲げ試
験を左右に繰返し行なって、曲げ部に亀裂が発生するま
での曲げ回数を意味するものとする。但しこの曲げ回数
は、90°毎にカウントするものとし、したがって90
°に曲げた後の90°曲げ戻しもそれぞれ1回と数え
る。一方疲労強度は、2mmRのコーナーにて30°に
曲げた試片の一端に5kg/mm 2 の引張り荷重を25
Hzで繰返し負荷し、破断までの負荷繰返し数を意味す
るものとする。
ルミニウム合金素板の成分限定理由について説明する。
性が劣って、電気化学的粗面化処理後の粗面の均一性が
悪くなり、一方0.20%を越えてSiが含有されれ
ば、粗面化処理後の色調が黒味を帯びすぎて商品価値を
損ない、また粗面の均一性が低下するとともに耐インク
汚れ性も低下する。したがってSi含有量は0.05〜
0.20%の範囲内とする必要がある。
的粗面化処理後の色調が不均一となり、また機械的強度
も低下する。一方Fe量が0.50%を越えれば耐イン
ク汚れ性が低下し、また粗面化処理後の色調が黒味を帯
びすぎて商品価値を損なう。したがってFeは0.20
〜0.50%の範囲内とする必要がある。
ピットを微細にし、表面処理性を改善する。Cu量が5
ppm(0.0005wt%)未満以下ではピットの微
細化効果が不充分であり、一方Cu量が300ppm
(0.03wt%)を越えれば、電気化学的粗面化処理
による粗面の均一性が低下し、また耐インク汚れ性が低
下するから、Cu量は5〜300ppmの範囲内とし
た。
よび不可避的不純物とすれば良い。但し、一般のアルミ
ニウム合金においては、鋳塊結晶組織を微細化して圧延
板のキメ、ストリークスを防止するため、少量のTiを
単独で、または微量のBと組合せて添加することがあ
り、この発明の平版印刷版支持体に用いるアルミニウム
合金においても、0.003〜0.05%のTiを単独
で、あるいは1〜50ppmのBと組合せて添加しても
良い。Ti量が0.003%未満では、またB量1pp
m未満では、上記の効果が得られず、一方Ti量が0.
05%を越えれば、Tiの添加効果が飽和して経済性を
損ない、またB量が50ppmを越えればBの添加効果
が飽和するばかりでなく、粗大なTiB2 粒子による線
状欠陥が生じやすくなる。
不純物量(Mn0.05%以下、Mg0.05%以下、
Zn0.05%以下、その他合計0.05%以下程度で
あれば、平版印刷版支持体用のアルミニウム合金として
その特性を損なうことはない。
ム合金素板を用いた印刷版において、高速印刷時の繰返
し曲げ応力により印刷版両端の固定部分で版が切れた
り、固定部分で変形、破損が生じたりすることを確実に
防止するためには、材料特性として、繰返し曲げ回数が
8回以上、疲労強度が4×104以上であることが必要
である。そしてこのような繰返し曲げ回数、疲労強度を
達成するためには、成分組成のみならず、板表面のミク
ロ組織における結晶粒の形状が重要である。すなわち、
板表面の各結晶粒の最大長さ/最大幅の比(いわゆるア
スペクト比)を10〜30の範囲内とすることによっ
て、耐疲労強度が向上し、4×104以上の疲労強度を
得ることができる。ここでアスペクト比が10未満では
充分な耐疲労強度を得ることができず、一方アスペクト
比が30を越えれば繰返し曲げ性が低下して、繰返し曲
げ回数8回以上を安定して得ることが困難となる。さら
に合金板の耐力値も耐疲労強度に影響を与え、耐力値が
145〜190N/mm2の範囲内で耐疲労強度と繰返
し曲げ性が両立する。耐力値が145N/mm2未満で
は疲労強度が4×104に満たず、190N/mm2を
越えれば繰返し曲げ性が低下して、この発明で目標とす
る8回以上の繰返し曲げ回数を確実に得ることが困難と
なる。以上から、この発明においては表面のミクロ組織
の結晶粒のアスペクト比を10〜30の範囲内、耐力を
145〜190N/mm2の範囲内に定めた。
用アルミニウム合金素板の代表的な製造方法の例につい
て以下に説明する。
ニウム合金溶湯を常法に従って鋳造する。得られた鋳塊
に対し、熱間圧延に先立って加熱し、熱間圧延に供し、
引続いて冷間圧延を行なって0.10〜0.50mmの
板厚とする。この熱間圧延−冷間圧延の工程において
は、熱間圧延上りから冷間圧延が終了する以前の段階
で、少なくとも1回は圧延板の少なくとも表面層を再結
晶させる必要がある。すなわち、熱間圧延上りでその熱
間圧延上り温度を利用して再結晶させるか、あるいは熱
間圧延後、冷間圧延前に改めて再結晶焼鈍するか、また
は冷間圧延の中途で再結晶焼鈍を行なえば良い。熱間圧
延上り温度を利用して再結晶させる場合は、熱間圧延上
り温度を280℃以上とすることが望ましい。一方、熱
間圧延後冷間圧延前、あるいは冷間圧延の中途で再結晶
焼鈍を行なう場合、再結晶焼鈍の条件は、バッチ焼鈍の
場合は280〜450℃で0.5〜24時間、連続焼鈍
の場合は350〜600℃で保持なしもしくは5分以下
の保持とすることが望ましい。
とすることが望ましい。このように再結晶処理後に80
〜95%の圧延率で最終冷間圧延を行なうことにより、
圧延板表面の結晶粒のアスペクト比を10〜30の範囲
内に調整しかつ耐力値を145〜190N/mm2の範
囲内に調整することが容易となる。再結晶処理後の冷間
圧延率が80%未満ではアスペクト比が6未満になりや
すく、また耐力値として145N/mm2以上の値を安
定して得ることが困難となり、一方95%を越えればア
スペクト比が30を越えてしまうおそれがある。
あり、これに制約されるものではない。成分組成、結晶
粒アスペクト比、耐力値がこの発明で規定する範囲内に
入れば、製造方法、製造条件として上記とは異なる方
法、条件を適用しても良いことは勿論である。
支持体用アルミニウム合金素板を平版印刷版とするため
の処理方法について詳細に説明する。なお次に記載する
方法は、飽くまで代表的な例であり、これらの方法に限
定されないことは勿論である。
ている油脂、錆、ゴミなどを除去するため、トリクレ
ン、苛性ソーダなどで清浄化処理することが望ましい。
苛性ソーダなどによるアルカリエッチングを行った場合
には、発生したスマットを除去するデスマット処理(た
とえば10〜30wt%の硫酸または硝酸に浸漬する処
理など)を施す。清浄化処理した表面に対しては、粗面
化処理を施す。粗面化処理方法としては、機械的粗面化
法、電気化学的粗面化法、化学的粗面化法がある。機械
的粗面化法としては、回転ナイロンブラシと研磨剤(ア
ルミナ、珪砂など)を用いるブラシグレイン法が一般的
である。電気化学的粗面化法としては、2〜40g/l
の塩酸を含有する水溶液または硝酸を2〜40g/l含
有する水溶液中で20〜70℃の温度で電解処理する方
法が一般的であり、この場合電解液中にこれらの酸のア
ルミニウム塩や無機酸、アミン、カルボン酸などを含有
させてもよい。電解粗面化法において、電解質濃度が2
g/l以下では粗面化が困難になり、40g/l以上の
ときは不均一な粗面形状になって印刷版として適さなく
なる。この電解粗面化に用いる電流波形は、商用交流、
正弦波交流、矩形波、台形波などが用いられ、また電流
密度は10〜100A/mm2 の範囲内が好ましい。電
解粗面化処理による粗面形状は電解液組成、温度、電流
密度、電解波形、電気量、電解液流速などの諸条件を制
御することによって調整でき、したがってこれらの諸条
件を適切にコントロールすることにより、所望の印刷特
性を容易に得ることができる。一方化学的粗面化法とし
ては、苛性ソーダやフッ化ソーダなどで表面をエッチン
グする方法を適用することができる。このようにして粗
面化された表面に付着した残存物は、米国特許第383
4998号明細書に記載されている方法で除去すること
ができる。なお粗面化処理方法としては基本的には上記
のいずれの方法を適用しても良いが、この発明で用いて
いる成分組成の合金では特に電気化学的粗面化処理が最
適である。
対しては、周知の方法で陽極酸化処理を施す。具体的に
は、硫酸、燐酸、シュウ酸、クロム酸、アミドスルホン
酸などにアルミニウム塩を含有させた電解液中で直流、
交流、交直重畳、直流パルスなどを用いて陽極酸化処理
を施せば良い。この際の電解質濃度は1〜80wt%、
温度は5〜70℃の範囲、電流密度は0.5〜60A/
dm2 の範囲内とし、酸化皮膜重量は0.5〜5g/m
2 の範囲内が好ましい。
しては、さらに米国特許第2714066号、英国特許
第1203447号あるいは米国特許第3181461
号明細書に記載されている方法で親水化処理してもよ
い。また必要に応じて、特開昭63−145092号に
記載されている有機スルホン酸、特開昭63−1450
92号記載のカルボン酸とホスホン酸基を含有する化合
物、特開平3−261592号記載の1個のアミノ基と
リンの酸素酸基1個を有する化合物、特開平3−215
095号記載の燐酸エステルなどを下塗り層として5〜
30mg/m2 設けることができる。
層を設けることが必要であるが、この感光層としては次
の(1)〜(4)のいずれかに記すものを適用すれば良
い。
ン酸エステルおよびフェノール・クレゾール混合ノボラ
ック樹脂を含有する感光層 例えば、米国特許第2766118号、同第27670
92号、同第3636709号、同第3759711
号、同第4028111号明細書記載の化合物あるいは
英国特許第1494043号明細書記載の化合物が有用
である。
高分子化合物を有する感光層 例えば、P−ジアゾジフェニールアミンとホルムアルデ
ヒドまたはアセトアルデヒドの縮合物とヘキサフルオロ
リン酸塩とのジアゾ樹脂などが好適である。その他に、
米国特許第3300309号、特公昭54−19773
号などに記載のジアゾ化合物も有用である。
重合感光性組成物を含む感光層 光二量化型感光層組成物としては米国特許第40780
41号や、独国特許第2626769号明細書に記載さ
れているマレイミド基側鎖または主鎖に有するポリマー
が好適である。また、光重合感光層組成物としては、シ
ンナミル基、シンナモイル基、カルコン基などを側鎖ま
たは主鎖に有するポリマーが好適である。例えば米国特
許第3030208号、米国出願第828455号明細
書に記載されている感光性ポリエステルがある。また、
これらのポリマーをアルカリ可溶化した特開昭60−1
91244号明細書記載のポリマーも有用である。
61550号、特開昭60−186847号、特開昭6
1−238063号明細書に記載された電子写真感光層
に用いられるZnO感光層を用いてもよい。
国特許第4028111号、同第3751257号記載
のバインダー、特開昭62−293247号記載の染
料、特開平2−96756号、特開昭55−527号に
記載されている感脂化剤、特開昭62−251740号
に記載されている非イオン界面活性剤、あるいはO−ナ
フトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド、トリ
ハロメチルオキサチアゾールなどに代表される特開昭5
3−36223号、特開昭63−58440号明細書に
開示されている光酸発生剤により露光後の画像可視化剤
を適宜添加することができる。またここで、アルミニウ
ム板上に設ける感光層は、乾燥後の重量で0.8〜6g
/m2 の範囲とすれば良い。
には、相互に独立して設けられた突起物により構成され
る特開昭55−12974号、特開昭58−18263
6号に記載されているマット層を設けてもよい。またこ
の感光層が塗布された面に対する裏面に、重ね合わせた
ときの感光層のきず付きを防止するために、ガラス転移
点20℃以上のポリマーや特開平6−35174号明細
書記載の有機金属塩などを加水分解等により無機酸化物
にして被覆する方法などを適用してもよい。
版(PS版)は、画像露光後、米国特許第425943
4号、同第4186006号、特開昭59−84241
号、特開昭57−192952号あるいは特開昭62−
24263号明細書記載の方法などで現像、ガム引きが
なされ、版胴に固定して印刷に供される。
ム合金を溶製し、半連続鋳造により450mm×120
0mm×3500mmの鋳塊を鋳造した。その鋳塊に対
し片面10mmずつ面削を行なった後、必要に応じて均
熱処理を施した後、熱間圧延を行ない、さらに冷間圧延
を行なって、その冷間圧延中途で必要に応じて中間焼鈍
を行ない、最終的に0.3mm厚の平版印刷版支持体用
素板に仕上げた。詳細な工程条件を表2中に示す。
り得られた各素板について、バミストン/水25wt%
の懸濁液中で、回転ナイロンブラシを用いて表面粗さが
0.6μmになるようにブラシグレイン処理した。表面
を10%苛性ソーダ水溶液中で50℃×1分間予備エッ
チングし、続いて1%硝酸水溶液中で30A/mm2の
電流密度で10秒間電解粗面化処理を実施した。引き続
き、5%苛性ソーダ中で35℃×10秒間洗浄した後、
30%硫酸中で50℃×20秒間中和処理した。この表
面に15%硫酸中で約0.7μmの陽極酸化皮膜を生成
させた。このアルミニウム板上に下記の感光層を塗布後
の乾燥重量が2g/m2 となるように設けた。 感光層 ナフトキノン(1,2)−ジアジド−(2)−5−スル
ホン酸クロライドとレゾルシン−ベンズアルデヒド樹脂
とのエステル化合物……1重量部 フェノールとm−,p−混合クレゾールとホルムアルデ
ヒド共重縮合物……3.5重量部 2−トリクロロメチル−5−[β−(2−ベンゾフリ
ル)ビニル]−1,3,4」−オキサジアゾール……
0.03重量部 ビクトリアビュアーブル−BOH(保土ケ谷化学製)…
…0.1重量部 p−ブチルフェノールアルデヒドノボラック樹脂のO−
ナフトキノンアジドスルホン酸エステル……0.05重
量部 メチルセルソルブ……27重量部
版に、3kwのメタルハライドランプを用いて1mの距
離で50秒間露光させ、3%メタ珪酸ナトリウム水溶液
で25℃、45秒間現像して、水洗乾燥後、ガム引き
し、平版印刷版を得た。このようにして得られた原版を
印刷機に取り付け、印刷試験を行った。
板について、機械的性質、表面のミクロ結晶粒のアスペ
クト比、表面処理性を調べた結果と、各素板を用いて得
た印刷版について印刷版適性として非画像部耐インク汚
れ性を調査した結果を表3に示す。なお表3において表
面処理性としては、電気化学的粗面化処理性について、 ○…良 △…中間 ×…不良 で評価した。また、耐インク汚れ性に関しては非画像部
のインク汚れについて目視で判断した。さらに疲労強度
は2mmRのコーナーにて30°に曲げた試片の一端に
5kg/mm2 の引張り荷重を25Hzで繰返し負荷
し、破断までの負荷繰返し数を測定した。なおこの疲労
強度は圧延方向に平行な方向(縦目)と直角な方向(横
目)の2方向で測定した。ここで、疲労強度は4万回以
上が良好と判定できる。
験片をはさみ、曲げ部分の内側曲率1mmRにて左右に
90°曲げを繰返し、亀裂が発生するまでの回数を、9
0°毎に数えた。この繰返し曲げ回数についても、圧延
方向に対し、平行(縦目)、直角(横目)の2方向にサ
ンプリングし、測定した。ここで、繰返し曲げ回数は8
回以上が良好と判定できる。なおまた表面の結晶粒のア
スペクト比は25倍の写真で測定した。
刷版支持体用アルミニウム合金素板を用いることにより
耐疲労強度が優れるとともに、耐繰返し曲げ性に優れ、
しかもその耐疲労強度、耐繰返し曲げ性が圧延方向と平
行な方向、直角な方向のいずれにも優れていて、縦目、
横目の選択なしに使用可能で、さらには表面処理性およ
び耐インク汚れ性も優れた印刷版が得られた。一方、比
較例の素板を用いた場合はこの発明の目的を満足させら
れないことは明らかである。
ウム合金素板は、成分組成を適切に定めるばかりでな
く、板表面ミクロ組織の結晶粒の形状(アスペクト比)
を適切に調整すると同時に耐力値を適切に調整したもの
であって、このように調整することによって耐疲労強
度、耐繰返し曲げ性が優れており、特に板圧延方向にか
かわらず優れた耐疲労強度、耐繰返し曲げ性を有してい
るため、印刷版として版胴に巻付けてその両端を機械的
に固定して高速印刷を行なうにあたり、板の圧延方向に
対する方向性に制約されることなく、両端の固定部分の
変形や破損が生じて印刷ずれが発生したりあるいはくわ
え切れによって印刷が不可能となるような事態を招くお
それが少なく、さらには表面処理性が優れていて特に電
気化学的粗面化処理性に優れ、しかも耐インク汚れ性に
も優れており、平版印刷版支持体として優れた特性を発
揮することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 Fe0.20〜0.50wt%、Si
0.05〜0.20wt%、Cu5〜300ppmを含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、しか
も表面のミクロ組織における各結晶粒の最大長さと最大
幅との比が10〜30の範囲内にあることを特徴とす
る、強度、表面処理性および耐インク汚れ性に優れた平
版印刷版支持体用アルミニウム合金素板。 - 【請求項2】 Fe0.20〜0.50wt%、Si
0.05〜0.20wt%、Cu5〜300ppmを含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、しか
も表面のミクロ組織における各結晶粒の最大長さと最大
幅との比が10〜30の範囲内にあり、かつ耐力が14
5〜190N/mm2、2mmRのコーナーにて30°
に曲げた試片の一端に5kg/mm 2 の引張り荷重を2
5Hzで繰返し負荷したときの破断までの負荷繰返し数
で表される疲労強度が4×104以上、押し曲げ法によ
って90°曲げ試験を左右に繰返し行なったときの曲げ
部に亀裂が発生するまでの曲げ回数(但しこの曲げ回数
は、90°毎にカウントするものとし、したがって90
°に曲げた後の90°曲げ戻しもそれぞれ1回と数える
こととする)で表される繰返し曲げ回数が8回以上であ
ることを特徴とする、強度、表面処理性および耐インク
汚れ性に優れた平版印刷版支持体用アルミニウム合金素
板。
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