JPH08209313A - 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法

Info

Publication number
JPH08209313A
JPH08209313A JP7289868A JP28986895A JPH08209313A JP H08209313 A JPH08209313 A JP H08209313A JP 7289868 A JP7289868 A JP 7289868A JP 28986895 A JP28986895 A JP 28986895A JP H08209313 A JPH08209313 A JP H08209313A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
treatment
less
aluminum alloy
cold rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7289868A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Ooyama
耕史 大山
Hidemiki Matsumoto
英幹 松本
Hirokazu Sakaki
博和 榊
Yoshinori Hotta
吉則 堀田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd, Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP7289868A priority Critical patent/JPH08209313A/ja
Publication of JPH08209313A publication Critical patent/JPH08209313A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗面化処理を行ったときにストリーク欠陥を
発生せず、均一な粗化面になり、しかも板強度も大きい
平版印刷版用のAl合金支持体の製造方法を提供する。 【解決手段】 Fe:0.05〜1.0重量%、Si:1.0
重量%以下、Cu:0.2重量%以下、残部がAlと不可
避不純物とから成るアルミニウム合金の溶湯を連続的に
鋳造圧延して厚み25mm以下の帯上鋳造板にしたの
ち、前記帯上鋳造板に少なくとも1回の連関圧延処理を
行って所望厚みの圧延板にする際に、最終の冷間圧延処
理は30%以上の圧下率で行い、また、冷間圧延処理の
過程では、圧延板に対し、50℃/分以上の昇温速度で
350〜620℃の温度域まで加熱し、その温度域に1
0分間以内の時間保持し、ついで、50℃/分以上の降
温速度で150℃以下の温度域にまで冷却する焼鈍処理
を少なくとも一回行う平版印刷版用アルミニウム合金支
持体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版に使用
されるアルミニウム合金支持体の製造方法に関し、更に
詳しくは、電気化学的な粗面化処理を行って形成した粗
化面の均一性が優れ、また、ストリーク欠陥(筋状ム
ラ)などに基づく面質ざらつきを生ずることのない平版
印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、平版印刷版としては、支持体
であるアルミニウム板の表面に粗面化処理を行い、つい
で、その粗化面に例えば陽極酸化処理のような表面処理
を行い、最後に、その処理面に感光性物質を塗布したも
のが使用されている。それら平版印刷版のうち、最も多
く用いられているものは、支持体の表面に予め感光性物
質を塗布して、使用時にはただちに焼付けることができ
る状態になっているPS版である。
【0003】この平版印刷版に対し、画像露光、現像、
水洗、ラッカー盛りなどを順次行う製版処理を施して印
刷版が得られる。上記した現像処理により、未溶解の感
光層は画像部を形成する。そして、この感光層が溶解し
た箇所では、親水性のアルミニウム板の表面が露出し、
その露出面が水受容部となって非画像部を形成する。こ
のような平版印刷版の支持体の材料としては、従来か
ら、JIS 1050(純度99.5%以上の純Al)、
JIS 1100(Al−0.05〜0.20重量%Cu合
金)、JIS 3003(Al−0.05〜0.20重量%
−1.5重量%Mn合金)などで規定するAl合金が主と
して使用されている。
【0004】そして、この支持体は、通常、上記したA
l合金の溶湯を調製し、その溶湯を半連続鋳造法によっ
てスラブに鋳造したのち、そのスラブに対し、熱間圧延
と冷間圧延を順次行うことにより、厚みを0.1〜0.8m
m程度にまで圧延して製造されている。なお、この過程
で、必要に応じては、熱間圧延の前段で前記スラブに均
質化処理を施したり、また冷間圧延の途中で中間焼鈍を
行うこともある。
【0005】その後、得られた圧延板の表面に対し、水
酸化ナトリウム溶液によるエッチングのような化学的方
法、および硝酸もしくは塩酸溶液を用いた交流電解エッ
チングのような電気化学的方法のいずれか1つの方法、
または2つ以上の方法を組み合わせて適用することによ
り、前記圧延板の表面を粗面化し、好ましくは、更にそ
の粗化面に陽極酸化処理を施すことにより支持体として
実使用に供される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のAl合
金から成る圧延板の場合、電気化学的な方法で粗面化処
理を行うと、形成された粗化面は均一な状態を呈する。
しかしながら、他方では、粗化面にストリーク欠陥が発
生し、面質ざらつきが生じ、その外観が著しく劣悪にな
るという問題がある。
【0007】本発明は、従来の平版印刷版用Al合金支
持体における上記した問題を解決し、高品質な平版印刷
版にすることができるAl合金支持体、とりわけ、表面
に電気化学的な粗面化処理を行ったときに、形成された
粗化面が均一性に優れ、同時にストリーク欠陥も認めら
れないAl合金支持体の製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、Fe:0.05〜1.0重量
%、Si:1.0重量%以下、Cu:0.2重量%以下、残
部がAlと不可避的不純物とから成るアルミニウム合金
の溶湯を連続的に鋳造圧延して厚み25mm以下の帯状
鋳造板にしたのち、前記帯状鋳造板に少なくとも1回の
冷間圧延処理を行って所望厚みの圧延板にする際に、最
終の冷間圧延処理は30%以下の圧下率で行い、また、
冷間圧延処理の過程では、圧延板に対し、50℃/分以
上の昇温速度で350〜620℃の温度域まで加熱し、
その温度域に10分間以内の時間保持し、ついで、50
℃/分以上の降温速度で150℃以下の温度域にまで冷
却する焼鈍処理を少なくとも1回行うことを特徴とする
平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法が提供
される。とりわけ、前記した焼鈍処理において、最終の
冷間圧延処理の直前で実施される焼鈍処理は、その焼鈍
処理を終了したときの圧延板の表層部における再結晶粒
の平均粒経が40μm以下になるような条件下で行われ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず、後述す
るAl合金の溶湯を連続的に鋳造圧延して帯状の鋳造板
が製造される。ここで、Al合金としては、Fe:0.0
5〜1.0重量%、Si:1.0重量%以下、Cu:0.2重
量%以下、残部がAlと不可避的不純物から成る組成の
ものが用いられる。
【0010】Feの含有量は、0.05〜1.0重量%に設
定される。このFeは、合金中の他の成分と結合して、
例えば、Al−Fe系、AlーFeーSi系などの金属
間化合物を形成する。これらの金属間化合物のうち、粒
経が1〜20μm程度のものは、溶湯の冷却時や、後述
する焼鈍処理後の冷却過程で析出する再結晶粒を微細化
する作用を発揮する。
【0011】そして、そのことにより、得られた支持体
に電気化学的な粗面化処理を行ったときに、形成される
粗化面を均一でかつ微細な粗面にすることができる。F
eの含有量が0.05重量%より少ない合金の場合には、
上記した効果が充分に発揮されず、また、1.0重量%よ
り多くなると、粒径が20μmを超える粗大な金属間化
合物が形成され、均一な粗化面を形成することが困難に
なる。好ましいFeの含有量は0.1〜0.8重量%であ
り、とくに好ましくは、0.2〜0.5重量%である。
【0012】Siは、通常、不純物として含有されてく
る。このSiが1.0重量%より多く含有されている場合
には、支持体に電気化学的な粗面化処理を行ったとき
に、微視的なエッチング不足に基づく斑点が散在する欠
陥、いわゆる未エッチング個所が生じやすくなる。この
ようなことから、Siの含有量は1.0重量%以下に規制
される。好ましくは0.5重量%以下、とくに好ましくは
0.2重量%以下に規制される。
【0013】Cuの含有量が多くなると、支持体に電気
化学的な粗面化処理を行ったときに、支持体表面に刻設
されるピット(凹部)が粗大化しやすく、また支持体を
印刷版にしたときに、非画像部の耐食性が低下するよう
になる。このようなことから、Cuの含有量は0.2重量
%以下に規制される。好ましくは0.15重量%以下、よ
り好ましくは0.1重量%以下に規制される。
【0014】このAl合金において、残部はAlと不可
避的不純物である。不可避的不純物としては、通常のA
l地金に含まれているMnやCrなどをあげることがで
きる。これらの含有量が0.05重量%程度以下である場
合には、本発明の目的にとって何の支障もない。また、
Al合金には、TiやBが含まれていてもよい。その場
合、Ti,Bのそれぞれの含有量を0.1重量%以下にす
ると、溶湯の凝固組織を微細化できるので好適である。
【0015】本発明においては、まず、上記したAl合
金の溶湯を連続的に鋳造圧延して帯状の鋳造板が製造さ
れる。このとき、製造される鋳造板の板厚は25mm以
下に管理される。この板厚が25mmより厚くなるよう
な鋳造圧延を行うと、溶湯の均一かつ急速な冷却が充分
に進行せず、そのため、凝固時に生成する前記金属間化
合物の微細化と基地への充分な分散が実現しづらくな
り、金属間化合物は粗大化するようになる。
【0016】この板厚が薄ければ薄いほど、鋳造圧延時
における急冷効果、すなわち、微細な金属間化合物を均
一に基地内に生成させるという効果は有効に発揮される
が、薄すぎると鋳造圧延操業が行いづらくなり、また金
属間化合物の微細化と均一分散の状態は飽和に達するの
で、板厚は0.3mmまでの厚みにすべきである。前記し
た溶湯の急冷効果と操業性の点から考えると、板厚は5
〜10mmにすることが好ましい。
【0017】連続的に鋳造圧延する方法としては、対向
して回転する2個の鋳造用ロールまたは対向して連続走
行する2枚の鋳造用ベルトで構成される鋳型の間に配置
されたノズルから溶湯を前記鋳型内に連続的に供給し、
当該鋳型で溶湯を冷却しながら連続走行させ、その過程
で溶湯を凝固させる方法を採用することができる。この
方法は、一般に、直接連続圧延法と呼ばれていて、3C
法,ハンター法,ハーゼル法などが工業的に実施されて
いる。本発明では、これらの方法のいずれをも実施する
ことができるが、しかしそれらのみに限定されるもので
はない。
【0018】鋳造圧延して製造された鋳造板は、つぎ
に、熱間圧延を行うことなく、ただちに冷間圧延処理の
みが施されることにより、目的とする支持体である圧延
板に成形される。この冷間圧延処理は、1回であっても
よいが、通常は複数回行われる。その場合、本発明で
は、最終の冷間圧延処理は圧下率が30%以上となるよ
うに行われる。その理由は以下のとおりである。
【0019】平版印刷版は運搬時の変形や印刷機にセッ
トするときの張力などに耐え得るように適切な強度特性
を備えていることが必要とされるが、その強度特性は最
終の冷間圧延処理時における圧下率と関係しているから
である。すなわち、最終の冷間圧延処理時における圧下
率が30%よりも低くなると、得られた支持体(圧延
板)には必要な強度特性が付与されず、変形または版切
れなどの事態が引き起こされやすくなるからである。
【0020】本発明においては、上記した冷間圧延処理
の途中で圧延板に対しては次のような焼鈍処理が施され
る。この焼鈍処理を施すことにより、圧延板の表層部に
は、平均粒径が40μm以下である微細な再結晶粒を均
一に析出させることができ、そのことにより、支持体
(圧延板)に電気化学的な粗面化処理を行ったときに、
粗化面における面質ざらつきの発生を抑制し、もって外
観の良好な支持体にすることができる。
【0021】この焼鈍処理は、次のような処理工程をも
って構成される。すなわち、処理対象の圧延板は、50
℃/分以上の昇温速度で350〜620℃の温度域まで
加熱され、その温度域に10分間以内の時間保持され、
ついで50℃/分以上の降温速度で150℃以下の温度
域まで冷却される。このときの処理温度が350℃より
低い場合には、処理時間の長短にもよるが、圧延板の再
結晶は充分に進まず、また620℃より高くしても、微
細な再結晶粒を均一に成長させるという効果の更なる発
現は期待できない。好ましい処理温度は400〜620
℃である。
【0022】また、上記した温度域における保持時間が
10分間を超えるようになると、再結晶粒の成長が著し
く進んでその粒径は粗大化するため、支持体の面質ざら
つきが発生してくる。このようなことから、上記した温
度域における保持時間は10分間以内に設定される。好
ましくは5分間以内、更に好ましくは3分間以内とす
る。
【0023】更に、昇温速度と降温速度が50℃/分よ
り遅くなると、いずれの場合においても、支持体では再
結晶粒の粗大化傾向が表われはじめ、面質ざらつきを防
止できるような微細な再結晶粒の均一成長は困難になっ
てくる。また、上記した降温速度で行う急速冷却を終了
する時の温度が150℃より高い場合には、やはり再結
晶粒の粗大化傾向が発現してくるので、冷却終了時の温
度域は150℃以下に管理する。好ましくは、100℃
以下の温度まで上記の急冷処理が行われる。
【0024】なお、鋳造圧延後の鋳造板に対し、2回以
上の冷間圧延処理を行い、各冷間圧延処理を終了した圧
延板に対し、その都度、前記焼鈍処理を行うと、最終の
冷間圧延処理で得られた支持体では、板幅方向と長手方
向のいずれの方向においても均一な再結晶粒を成長させ
ることができるので好適である。また、上記した冷間圧
延処理の過程で、圧延板に対してアルカリ洗浄処理を行
うと、鋳造圧延時に鋳造板の表面に形成された酸化皮膜
や異物を除去することができ、電気化学的な粗面化処理
時に一層均一な粗化面を形成することができて好適であ
る。
【0025】以上のようにして、本発明の平版印刷版用
Al合金支持体が製造される。次に、この支持体を平版
印刷板にするときの表面処理方法について詳細に説明す
る。まず、支持体の表面に対して粗面化処理、すなわ
ち、砂目立てが行われる。この砂目立て法としては、例
えば、塩酸や硝酸系の電解液の中で電気化学的に砂目立
てする方法,支持体の表面を金属ワイヤで擦過するワイ
ヤブラシグレイン法,研磨球や研磨材で支持体表面を砂
目立てするボールグレイン法,例えばナイロンブラシと
研磨材で支持体表面を砂目立てするブラシグレイン法な
どをあげることができる。これらの方法は単独で行って
もよいし、2つ以上を適宜に組み合わせて行ってもよ
い。
【0026】このように砂目立てが行われた支持体は、
次に酸またはアルカリをエッチング剤として化学的にエ
ッチング処理される。その場合、酸のエッチング剤は、
支持体表面の微細組織を破壊するために要する時間が長
くなるので工業的に有利とはいえない。そのため、この
過程では、アルカリのエッチング剤を使用することが好
ましい。
【0027】アルカリのエッチング剤としては、例えば
水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム,アルミン酸ナトリ
ウム,メタケイ酸ナトリウム,リン酸ナトリウム,水酸
化カリウム,水酸化リチウムなどの水溶液をあげること
ができる。これらのエッチング剤は、濃度1〜50%,
温度20〜100℃で用い、支持体のAlの溶解量が5
〜20g/m2 となるような条件で使用することが好ま
しい。
【0028】上記したエッチング処理後、表面に残存す
る汚れ(スマット)を除去するために、ついで支持体に
酸洗処理が行われる。このときに用いる酸としては、例
えば、硝酸,硫酸,リン酸,クロム酸,フッ酸,ホウフ
ッ化水素酸などをあげることができる。とくに、支持体
に対し電気化学的な粗面化処理を施した場合には、上記
スマット除去処理法としては、温度50〜90℃,濃度
15〜65%の硫酸と接触させる方法(特開昭53−1
2739号公報に記載の方法)や、特開昭48−281
23号公報に記載されているアルカリエッチング法を適
用することが好ましい。
【0029】以上のような処理が施された支持体は、そ
のまま、平版印刷版に実使用することもできるが、更に
必要に応じては、次のような陽極酸化処理や苛性処理な
どの表面処理を施すことが好ましい。陽極酸化処理とし
ては、この技術分野で従来から適用されている方法をそ
のまま適用することができる。
【0030】具体的には、硫酸,リン酸,クロム酸,シ
ュウ酸,スルファミン酸,ベンゼンスルホン酸のそれぞ
れ1種または2種以上を組み合わせて成る水溶液や非水
溶液を電解液とし、その中に支持体を浸漬し、ここに、
直流電流または交流電流を通電することにより、支持体
表面に陽極酸化皮膜を形成する方法をあげることができ
る。
【0031】このときの陽極酸化の条件は、用いる電解
液の種類などによって変化するので一義的に決めること
はできないが、一般的には、電解液濃度1〜80%,液
温5〜70℃,電流密度0.5〜60A/dm2 ,電圧1〜
100V,時間10〜100秒の条件であることが適切
である。これらの陽極酸化処理のうちでも、硝酸中にお
いて高電流密度で陽極酸化する方法(英国特許第1,412,
768 号明細書に記載の方法)や、リン酸を電解液として
陽極酸化する方法(米国特許第3,511,661 号明細書に記
載の方法)は好適である。
【0032】陽極酸化処理が施された支持体に対して
は、更に、例えば、米国特許第2,714,066 号明細書や同
第3,181,461 号明細書に記載されているように、ケイ酸
ナトリウムのようなアルカリ金属シリケートの水溶液に
浸漬して処理したり、また、米国特許第3,860,426 号明
細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば酢
酸亜鉛など)を含む親水性セルロース(例えばカルボキ
シメチルセルロース)の下塗層を支持体の表面に設ける
こともできる。
【0033】このような表面処理が施されたのち、支持
体の表面には、PS版の感光層として従来から知られて
いる感光性物質が塗布されて感光層を形成することによ
り感光性の平版印刷版を得ることがてきる。上記した感
光層としては、次のようなものを例示することができ
る。 ジアゾ樹脂系とバインダとから成る感光層 米国特許第2,063,631 号明細書および同第1,667,415 号
明細書に記載されているジアゾニウム塩とアルドールや
アセタールのような反応性カルボニル基を有する有機縮
合剤との反応性生成物であるジフェニルアミン−p−ジ
アゾニウム塩のホルムアルデヒドによる縮合生成物(い
わゆる感光性ジアゾ化合物)を用いて形成した層。この
外にも、有用な縮合ジアゾ化合物としては、特公昭48
−48001号公報や同49−45322号公報に記載
されているものをあげることができる。
【0034】これらのタイプの感光性ジアゾ化合物は、
通常、水溶性無機塩の状態で得られる。そのため、水溶
液にして支持体の表面に塗布することができる。また、
この水溶性ジアゾ化合物を、特公昭47−1167号公
報に記載されている方法で1個または2個以上のフェノ
ール性水酸基やスルホン酸基またはその両者を有する脂
肪酸族化合物と反応させることにより、実質的に水溶性
の感光性ジアゾ樹脂を合成し、それを使用して感光層に
してもよい。
【0035】更に、特開昭56−121031号公報に
記載されているようなジアゾ化合物も好適である。 o−キノンジアジド化合物から成る感光層 感光層に用いて特に好ましいo−キノンジアジド化合物
としては、o−ナフトキノンジアジド化合物をあげるこ
とができる。この化合物としては、例えば、米国特許第
2,766,118 号明細書,同第2,767,092 号明細書,同第2,
772,972 号明細書,同第2,859,112 号明細書,同第2,90
7,665 号明細書,同第3,046,110 号明細書,同第3,046,
111 号明細書,同第3,046,115 号明細書,同第3,046,11
8 号明細書,同第3,046,119 号明細書,同第3,046,120
号明細書,同第3,046,121 号明細書,同第3,046,122 号
明細書,同第3,046,123 号明細書,同第3,061,430 号明
細書,同第3,102,809 号明細書,同第3,106,465 号明細
書,同第3,635,709 号明細書,同第3,647,443 号明細書
をはじめ多数の刊行物に記載されており、これらはいず
れも好適に使用することができる。
【0036】アジド化合物とバインダから成る感光層 例えば、英国特許第1,235,281 号明細書,同第1,495,86
1 号明細書,特開昭51−32331号公報、同51−
36128号公報に記載されているアジド化合物と、水
溶性またはアルカリ可溶性高分子化合物とから成る組成
物の外に、特開昭50−5102号公報,同50−84
302号公報,同50−84303号公報,同53−1
2984号公報に記載されているアジド基を含むポリマ
ーとバインダとしての高分子化合物とから成る組成物を
あげることができる。
【0037】その他の物質から成る感光層 例えば、特開昭52−96696号公報に開示されてい
るポリエステル化合物,英国特許第112,277 号明細書,
同第1,313,309 号明細書,同第1,431,004 号明細書,同
第1,377,747 号明細書などに記載されているポリビニル
シンナメート系樹脂,米国特許第4,072,528 号明細書,
同第4,072,527 号明細書などに記載されている光重合型
フォトポリマー組成物をあげることができる。
【0038】なお、上記した感光層は、その厚みが0.1
〜7g/m2 、好ましくは0.5〜4g/m2 となるよう
に形成されることが好ましい。PS版は画像露光された
のち、常法により現像を含む処理によって樹脂画像が形
成される。例えばジアゾ樹脂とバインダとから成る前記
感光層を有するPS版の場合は、画像露光後、未露光
部分の感光層が現像により除去されて平版印刷版が得ら
れる。また、前記感光層を有するPS版の場合には、
画像露光後、アルカリ水溶液で現像することにより露光
部分が除去されて平版印刷版が得られる。
【0039】
【実施例】表1、表2に示した組成のAl合金の溶湯を
連続的に鋳造圧延して板厚6mmの帯状鋳造板にした。
この鋳造板に多段の冷間圧延処理を行って最終的には厚
み0.3mmの圧延板試料にした。
【0040】冷間圧延処理後の板厚が2.5mmになった
時点で各圧延板には表1、表2に示した条件下で各種の
焼鈍処理を行った。また、最終の冷間圧延処理の圧下率
も表1、表2で示したように変化させた。従来例とし
て、表2で示した組成を有し、厚みが500mmの半連
続鋳造スラブを用い、このスラブに通常の方法で面削,
均熱化処理を順次行ったのちトータルの圧下率が約98
%になる熱間圧延を行って板厚6mmの圧延板にし、更
にこれを冷間圧延して最終的な板厚が0.3mmの圧延板
試料にした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】なお、この過程で焼鈍処理が終了した各圧
延板試料に関しては、試料表面に対しバーカー法に準拠
した電解研磨を行ったのち、走査電顕で表層部を観察
し、交線法に基づいて再結晶粒の平均粒径を求めた。そ
の結果を表3に示した。表1,表2の処理が施された各
試料の表面に、パミストン(SiO2 を主成分とする研
磨材)と水とから成る懸濁液の中で回転ナイロンブラシ
を用いて砂目立てを行ったのち、水酸化ナトリウムの2
0重量%水溶液を用いてAlの溶解量が5g/m2 とな
るようにエッチング処理を行った。
【0044】流水で充分に水洗したのち硝酸の25%水
溶液で酸洗し、更に水洗した。得られた各試料に対し、
特開昭54−146234号公報に記載されている方法
に準拠して、硝酸を1.5重量%含む電解液の中で電流密
度20A/dm2 の交流電解処理を行って粗面化した。引
き続き、濃度15%の硫酸水溶液(液温50℃)に3分
間浸漬して表面を洗浄したのち、濃度20%の硫酸を主
成分とする電解液(液温30℃)中で電解酸化を行っ
て、試料表面に3g/m2 の陽極酸化皮膜を形成して支
持体とした。
【0045】各試料に対し、上記した粗面化処理が行わ
れた時点で各試料の表面を走査電顕で観察して、粗化面
におけるピットの均一性を調べた。そして、ピットの径
および分布密度が均一である場合を○,やや不均一であ
る場合を△,不均一である場合を×とし、その結果を表
3に示した。また、粗化面を目視観察してストリーク欠
陥の発生状況を調べた。ストリーク欠陥が認められない
場合を○,わずかに認められる場合を△,顕著に認めら
れる場合を×とし、その結果も同じように表3に示し
た。
【0046】また、各試料の板強度(MPa)を測定
し、その結果も表3に示した。
【0047】
【表3】
【0048】表1、表2と表3から次のようなことが明
らかである。
【0049】1)まず試料25(従来例)と試料2(実
施例)を比較すると、用いるAl合金の組成はいずれも
本発明で規定する組成であり、かつ焼鈍処理も同じ条件
で行っているにもかかわらず、試料25の再結晶粒は4
0μmより粗大であり、そのため、粗化面の均一性は劣
化し、ストリーク欠陥も多く発生している。これは、試
料25の場合は、試料2のように鋳造圧延されたのち冷
間圧延処理だけで製造されたものではないからである。
【0050】2)試料20〜23(比較例)と試料2を
比較すると、焼鈍処理の条件と最終の冷間圧延処理時の
圧下率も同一であり、また再結晶粒の粒径も略同等であ
るにもかかわらず、試料20〜23の製造に用いたAl
合金の組成はいずれも本発明で規定する組成から逸脱し
ているので、粗化面の均一性が大幅に劣化し、またスト
リーク欠陥も多く発生している。
【0051】3)焼鈍処理時の昇温速度と降温速度が5
0℃/分より遅くなると、試料1(実施例)と試料1
5,16(比較例)を比較して明らかなように、再結晶
粒は顕著に粗大化し、粗化面の均一性は劣化し、ストリ
ーク欠陥も顕著に多発してしまう。 4)焼鈍処理時の保持温度を350℃より低くすると、
試料19(比較例)で明らかなように再結晶粒が成長し
なくなり、粗化面の均一性は劣化し、ストリーク欠陥も
顕著に発生するようになってしまう。
【0052】5)また、焼鈍処理時の保持時間が10分
を超えると、焼鈍時の他の条件は同じであっても、試料
17,18(比較例)と試料2(実施例)を比較して明
らかなように、再結晶粒は粗大化し、粗化面の均一性は
劣化し、同時にストリーク欠陥も顕著に発生するように
なってしまう。 6)また、試料2(実施例)と試料24(比較例)の結
果を比較すると、試料24は印刷版として必要な板強度
である120MPa以上の値を満たしておらず、強度特
性が付与されず、変形や版切れを生ずることが予想され
る。
【0053】このようなことから、最終の冷間圧延処理
は30%以上の圧下率で行うべきであることがわかる。
次に、以上の各試料から以下のようにしてPS版を製造
した。すなわち、各試料の表面に下記の感光性組成物
を、乾燥時の厚みが2g/m2 となるように塗布してP
S版を製造した。
【0054】感光性組成物の組成: ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロ
ライドとヒロガロール,アセタール樹脂とのエステル化
合物(米国特許第3,635,709 号明細書に記載のもの……
0.75g, クレゾールノボラック樹脂……2.00g, オイルブルー#630(商品名、オリエント化学(株)
製)……0.04g, エチレンジクロライド……16g, 2−メトキシエチルアセテート……12g。
【0055】各PS版を透明陽画に密着させ、ここに、
1mの距離からPSライト(東芝メタルハライドランプ
MU2000−2−OL型3kWの光源を備え、富士写真
フイルム(株)から発売されているもの)を用いて30
秒間露光した。その後、ケイ酸ナトリウムの5%水溶液
に1分間浸漬して現像を行い、更に水洗,乾燥を順次行
ってPS版にした。
【0056】得られたPS版につき、常法に従って印刷
を行い、一定枚数の印刷を行った時点で非画像部に発生
した点状の汚れの数を評価したが、いずれの場合も問題
はなかった。
【0057】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明方
法で製造したAl合金支持体は、表層部における再結晶
粒は40μm以下と非常に微細になっていて、粗面化処
理を施すと、表面は非常に均一な粗化面になり、しかも
ストリーク欠陥も発生せず、平版印刷版用の素材として
有用である。そして、最終の冷間圧延処理を30%以上
の圧下率で行うため、得られた支持体の板強度は大き
く、変形や版切れなどは起こさない支持体になってい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榊 博和 静岡県榛原群吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 堀田 吉則 静岡県榛原群吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.05〜1.0重量%、Si:1.0
    重量%以下、Cu:0.2重量%以下、残部がAlと不可
    避的不純物とから成るアルミニウム合金の溶湯を連続的
    に鋳造圧延して厚み25mm以下の帯状鋳造板にしたの
    ち、前記帯状鋳造板に少なくとも1回の冷間圧延処理を
    行って所望厚みの圧延板にする際に、最終の冷間圧延処
    理は30%以上の圧下率で行い、また、冷間圧延処理の
    過程では、圧延板に対し、50℃/分以上の昇温速度で
    350〜620℃の温度域まで加熱し、その温度域に1
    0分間以内の時間保持し、ついで、50℃/分以上の降
    温速度で150℃以下の温度域にまで冷却する焼鈍処理
    を少なくとも1回行うことを特徴とする平版印刷版用ア
    ルミニウム合金支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記最終の冷間圧延処理の直前で行われ
    る前記焼鈍処理を終了したときの圧延板の表層部におけ
    る再結晶粒の平均粒径が40μm以下である、請求項1
    の平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法。
JP7289868A 1994-11-16 1995-11-08 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法 Pending JPH08209313A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7289868A JPH08209313A (ja) 1994-11-16 1995-11-08 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-306774 1994-11-16
JP30677494 1994-11-16
JP7289868A JPH08209313A (ja) 1994-11-16 1995-11-08 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08209313A true JPH08209313A (ja) 1996-08-13

Family

ID=26557778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7289868A Pending JPH08209313A (ja) 1994-11-16 1995-11-08 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08209313A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1138792A1 (en) * 2000-02-07 2001-10-04 Kodak Polychrome Graphics Company Ltd. Aluminium alloy support body for lithographic printing and method for producing the same
JP2007247069A (ja) * 2007-05-28 2007-09-27 Mitsubishi Alum Co Ltd 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
EP2110261A2 (en) 2008-04-18 2009-10-21 FUJIFILM Corporation Aluminum alloy plate for lithographic printing plate, ligthographic printing plate support, presensitized plate, method of manufacturing aluminum alloy plate for lithographic printing plate and method of manufacturing lithographic printing plate support
EP2145772A2 (en) 2008-07-16 2010-01-20 FUJIFILM Corporation Method of manufacturing aluminum alloy plate for lithographic printing plate, aluminum alloy plate for lithographic printing plate, lithographic printing plate support and presensitized plate

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1138792A1 (en) * 2000-02-07 2001-10-04 Kodak Polychrome Graphics Company Ltd. Aluminium alloy support body for lithographic printing and method for producing the same
US6572715B2 (en) 2000-02-07 2003-06-03 Kodak Polychrom Graphics, Llc Aluminum alloy support body for a presensitized plate and method of producing the same
JP2007247069A (ja) * 2007-05-28 2007-09-27 Mitsubishi Alum Co Ltd 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP4593593B2 (ja) * 2007-05-28 2010-12-08 三菱アルミニウム株式会社 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
EP2110261A2 (en) 2008-04-18 2009-10-21 FUJIFILM Corporation Aluminum alloy plate for lithographic printing plate, ligthographic printing plate support, presensitized plate, method of manufacturing aluminum alloy plate for lithographic printing plate and method of manufacturing lithographic printing plate support
EP2145772A2 (en) 2008-07-16 2010-01-20 FUJIFILM Corporation Method of manufacturing aluminum alloy plate for lithographic printing plate, aluminum alloy plate for lithographic printing plate, lithographic printing plate support and presensitized plate

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0164856B1 (en) An aluminium alloy support for a lithographic printing plate
US4822715A (en) Aluminum alloy supporter for lithographic printing plate
JPS6241304B2 (ja)
JPH0361753B2 (ja)
JPS6347349A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体
JPS61146598A (ja) 平版印刷版用支持体及びその製造方法
JPH0528198B2 (ja)
US5711827A (en) Support for planographic printing plate and method for producing the same
JPH0528197B2 (ja)
JPS62181190A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法
JPS6330294A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体およびその製造方法
JPS6286143A (ja) 印刷版支持体用アルミニウム合金素板
JP3650507B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体とその製造方法
JPS6280255A (ja) オフセツト印刷用アルミニウム合金支持体の製造方法
JPH08209313A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法
JP2004292862A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体およびその製造方法
JPH04254545A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体
JPS6223794A (ja) オフセツト印刷用アルミニウム合金支持体
JPS6347348A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体
JPS6274693A (ja) オフセツト印刷用アルミニウム合金支持体
JP4016310B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体および該支持体用素板の製造方法
JPH0473393B2 (ja)
JPH03234594A (ja) 印刷版用アルミニウム合金支持体
JP3107191B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法
JPS6347347A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040330

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060308

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060628