JP3377675B2 - 高周波増幅回路 - Google Patents

高周波増幅回路

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JP3377675B2 JP06252596A JP6252596A JP3377675B2 JP 3377675 B2 JP3377675 B2 JP 3377675B2 JP 06252596 A JP06252596 A JP 06252596A JP 6252596 A JP6252596 A JP 6252596A JP 3377675 B2 JP3377675 B2 JP 3377675B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高周波増幅回路に係
わり、特にディジタル移動体通信システムや、携帯用移
動体通信端末用に用いる低位相歪の高周波増幅回路に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図8はバイポーラ・トランジスタをエミ
ッタ接地増幅器として用いた従来例の高周波増幅回路の
代表的な構成を示すものであり、図9は図8に示す高周
波増幅回路のベース・エミッタ特性と入力信号との関係
を示す図であり、図10は図8に示す高周波増幅回路の
入出力特性を示す図である。上記図8に示す従来の高周
波増幅回路の動作を上記図9及び図10を用いて説明す
る。
【0003】バイポーラ・トランジスタTr1より成る
エミッタ接地増幅器を線形増幅器として使用する場合、
図8に示すようにベース側のB1点の印加電圧は外部の
電圧源VBより印加された電圧を、抵抗R1、R2によ
る抵抗分割等で任意の電圧値に変換して与えられる。そ
の動作点をA級とした場合、入力電力の振幅が図9の入
力電力V1として示すように、B1点に与えられている
バイアス電圧VB1と上記バイポーラ・トランジスタT
r1のベース・エミッタ間のダイオードのOn電圧Vt
hとの電位差を越えない電圧振幅のときは、バイポーラ
・トランジスタTr1は線形動作状態であり、利得・入
出力電力の位相偏差は共に一定であるが、図9に示すよ
うに入力電力の増加につれて、B1点の電圧振幅が増加
してV2になり、上記B1点に与えられているバイアス
電圧VB1とベース・エミッタ間のダイオードのOn電
圧Vthとの電位差を越えてしまう場合は、トランジス
タは非線形動作状態で、A級として動作点を保つことが
できず電力利得が徐々に減少していく。
【0004】又、入力電力の振幅が図9のV2で示すよ
うに大きくなって、上記バイポーラ・トランジスタTr
1のベース・エミッタ間のダイオードのOn電圧Vth
以下の電位までB1点の電圧値が振れると、ベース・エ
ミッタ間がオン状態の時間とオフ状態の時間とが発生す
る。オン状態では、ベース・エミッタ間のダイオードの
入力インピーダンスはA級動作点を保っているときと等
しいが、オフ状態のときは上記ベース・エミッタ間のダ
イオードの入力インピーダンスはA級動作点を保ってい
るときに比べ高いインピーダンスになるので、そのとき
のB1の電圧値は、負側に大きく振れてしまう。A級動
作点を保っている場合は、時間平均ではB1点の電圧値
はVB1で一定であったが、B1点の電圧値が、バイポ
ーラ・トランジスタTr1のベース・エミッタ間のダイ
オードのOn電圧Vth以下まで振れたときは、時間平
均ではVB1より低い電圧値となる。
【0005】一方、バイポーラ・トランジスタTr1の
ベース・エミッタ間ダイオードのジャンクション容量値
は電圧依存性を持っている。従って、ベース・エミッタ
間への印加電圧が変動すると上記ベース・エミッタ間ダ
イオードのジャンクション容量が変動し、エミッタ接地
増幅器の入力インピーダンスが入力電力が充分小さくA
級動作を保っているときに比べ異なる値になるため、電
力の通過位相に影響を与え、図10に示すように位相偏
差も小信号時から変動してしまう。図10は図8に示す
回路の入出力特性であり、横軸の入力信号(pin)の
レベルに対する縦軸の利得(GAIN)及びトランジス
タTr1のベース・エミッタ間電圧VBEと、位相(P
HASE)の変化の様子を示している。図10より明ら
かなようにトランジスタTr1への入力電力が増大し、
非線形動作状態になると、トランジスタTr1の利得が
低下し、ベース・エミッタ間電圧VBEが低下すると共
に、位相(PHASE)が変動する。
【0006】又、動作点をAB級にした場合でも小信号
時はA級に近い動作を行うが、徐々に入力電力が増加し
ていくと、同様に、入力電力の振幅が増加していき、そ
れに伴ってトランジスタTr1の入力インピーダンスが
変動するため、通過位相が小信号時の線形動作状態と入
力電力が増加したときの非線形動作状態とで位相偏差が
異なってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】A級或いは、AB級で
動作する増幅器では、電力付加効率は入力電力が増加し
て出力電力が飽和し始める領域付近、即ち非線形動作領
域で最大となる。ところが、入力電力が増加して増幅器
の動作が非線形領域に達しはじめると、バイポーラ・ト
ランジスタではベースの電圧振幅が、増加して上記トラ
ンジスタのベース側のダイオードのオン・オフにより、
ベース・エミッタ間ダイオードのジャンクション容量が
変動して、トランジスタの入力インピーダンスが変動
し、電力の通過位相が小信号時より徐々に異なってく
る。ディジタル移動体通信システムで採用されている通
信方式では、信号の振幅情報と共に位相情報を必要とす
る変調方式などがある。又、携帯用移動体通信端末中に
搭載されるパワーアンプでは、その通信時間の延命化の
為に高効率化が望まれている。上述する従来技術では、
高効率化が図れる非線形動作領域では位相偏差が増大す
るので、位相情報を必要とする変調方式には問題があっ
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波増幅回路
は、バイポーラ・トランジスタより成るエミッタ接地増
幅器のベース端子と、該ベース端子にベースバイアス電
圧を供給するベースバイアス回路間に、順方向に接続し
たPN接合素子を設け、該PN接合素子と上記バイアス
回路との接続点と接地点間に、上記PN接合素子より、
上記バイアス回路側を見たときのインピーダンスより高
周波的に充分小さいインピーダンスとなるキャパシタを
設けたことを特徴とする。
【0009】従って、上記ベースバイアス回路と、エミ
ッタ接地増幅器として使用されるバイポーラ・トランジ
スタのベース端子との間に設けれたPN接合素子のアノ
ード側は、接地点との間にキャパシタが接続されている
ので、該キャパシタにより高周波的には接地された状態
になっている。また、上記PN接合素子のアノード側は
直流的には接地されていないので、バイポーラ・トラン
ジスタのベース端子には上記ベースバイアス回路より上
記PN接合素子を介して、ベースバイアス電圧が印加さ
れる。
【0010】エミッタ接地増幅器として使用される上記
バイポーラ・トランジスタが非線形動作領域に達する
と、そのベース側の電圧振幅が大きくなり、上記エミッ
タ接地のバイポーラ・トランジスタのベースがオン、オ
フを繰返す。その結果、ベースの平均電圧値は減少して
いく。バイポーラ・トランジスタのベースの平均電圧値
が減少すると、ベース・エミッタ間の容量値の電圧依存
性で、このバイポーラ・トランジスタの入力インピーダ
ンスが変動するが、上記バイポーラ・トランジスタのベ
ース・エミッタと直列に接続されているバイアス供給用
のPN接合素子は、エミッタ接地のバイポーラ・トラン
ジスタのベース側の平均電圧値が減少すると、PN接合
素子自身にかかる電圧値は増加するので、PN接合素子
の持つ容量値は上記バイポーラ・トランジスタのベース
・エミッタ間の容量値とは逆方向に変動し、これを補償
するように働く。一方、上記PN接合素子のアノード側
は接地点との間に設けられたキャパシタにより高周波的
に接地されているので、上記PN接合素子と上記キャパ
シタの直列回路が上記バイポーラ・トランジスタのベー
スと接地点間に高周波的には並列に接続されたものとな
り、上記バイポーラ・トランジスタのベース・エミッタ
間の容量値の変動を補償することができる。
【0011】また、本発明の高周波増幅回路は、バイポ
ーラ・トランジスタより成るエミッタ接地増幅器のベー
ス端子と、該ベース端子にベースバイアス電圧を供給す
るベースバイアス回路間に、バイアス供給用直流増幅ト
ランジスタのベース・エミッタ間を順方向に設け、上記
バイアス供給用直流増幅トランジスタのベースと接地点
間には、上記バイアス供給用直流増幅トランジスタのベ
ース端子より、上位ベースバイアス回路側を見たインピ
ーダンスより高周波的に充分小さいインピーダンスとな
るキャパシタを設けたことを特徴とする。
【0012】従って、バイポーラ・トランジスタより成
るエミッタ接地増幅器のベースバイアス電圧をバイアス
供給用直流増幅トランジスタを介して印加する場合も上
述する場合と同様に、エミッタ接地増幅器として使用さ
れるトランジスタが非線形動作領域に達すると、バイア
ス供給用トランジスタのベース・エミッタ間の電圧値
は、上記エミッタ接地のトランジスタのベース・エミッ
タ間の電圧変動と逆の方向に動くため、エミッタ接地の
トランジスタの入力インピーダンスの変動を抑える作用
がある。
【0013】また、本発明の高周波増幅回路は、バイポ
ーラ・トランジスタより成るエミッタ接地増幅器のベー
ス端子と、該ベース端子にベースバイアス電圧を供給す
るベースバイアス回路間にベース端子とコレクタ端子或
いはベース端子とエミッタ端子間を接続したバイアス供
給用トランジスタを順方向に設け、上記バイアス供給用
トランジスタのベース端子に、該ベース端子自身から、
上記ベースバイアス回路を見たインピーダンスより高周
波的に充分小さいインピーダンスとなるキャパシタを設
けたことを特徴とする。
【0014】従って、バイポーラ・トランジスタより成
るエミッタ接地増幅器のベースバイアス電圧を、ベース
端子とコレクタ端子、又はベース端子とエミッタ端子と
を接続してベース・エミッタ間又はベース・コレクタ間
でダイオードとして動作させるようにしたバイアス供給
用トランジスタを介して印加する場合も、上述する場合
と同様の作用でエミッタ接地増幅器を構成するバイポー
ラ・トランジスタの入力インピーダンスの変動を抑える
ことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 <第1の実施形態>図1は本発明の第1の実施形態の回
路図であり、図2は図1に示す回路中のトランジスタの
ベース及びダイオードにかかる電圧を示すグラフ、図3
は、本実施回路の入出力特性を示すグラフである。以降
図にしたがって、本実施形態を説明する。バイポーラ・
トランジスタより成るエミッタ接地増幅器を線形増幅器
として使用する場合、図1に示すようにベース側のB1
点の印加電圧は、外部の電圧源VBより印加された電圧
を例えば抵抗R1とR2による抵抗分割等で任意の電圧
値に変換して、更に図中B2点からB1点の間にB1点
側をダイオードのカソード端子側となるようにダイオー
ドを挿入して与える。同時にB2点とアース電位との間
にB2点からバイアス抵抗側を見たインピーダンスに比
べ、充分小さいインピーダンス値となるようなキャパシ
タC1を挿入する。
【0016】図1のエミッタ接地トランジスタTr1の
動作点をA級にした場合、入力電力の電圧が図9のV1
で示すように充分小さく、その振幅がB1点に与えられ
ているバイアス電圧VB1とベース・エミッタ間のダイ
オードのOn電圧Vthとの電位差を越えない電圧振幅
であるときは、上記トランジスタTr1は線形動作状態
であり、利得・入出力電力の位相偏差は共に一定であ
る。ところが、図9のV2で示すように入力電力の増加
につれて、B1点の電圧振幅V2が増加し、上記B1点
に与えられているバイアス電圧VB1とベース・エミッ
タ間のダイオードのOn電圧Vthとの電位差を越える
と、トランジスタTr1は非線形動作状態となり、A級
としての動作点を保つことができず電力利得が徐々に減
少していく。又、ベース・エミッタ間のダイオードのO
n電圧Vth以下の電位までB1点の電圧値が振れる
と、上記トランジスタTr1のベース・エミッタ間に
は、オン状態の時間と、オフ状態の時間とが発生する。
【0017】オン状態では、ベース・エミッタ間のダイ
オードの入力インピーダンスはA級動作点を保っている
ときと等しいが、オフ状態のときは、上記ベース・エミ
ッタ間のダイオードの入力インピーダンスはA級動作点
を保っているときに比べ高いインピーダンスになるの
で、そのときのB1点の電圧値は、負側に大きく振れ
る。A級動作点を保っている場合は、時間平均ではB1
点の電圧値はVB1で一定であったが、上記のオフ状態
のときは時間平均ではVB1よりも小さい電圧値とな
る。ベース・エミッタ間ダイオードのジャンクション容
量値は電圧依存性を持っている。従って、ベース・エミ
ッタ間への印加電圧が変動すると上記ベース・エミッタ
間ダイオードのジャンクション容量が変動し、エミッタ
接地増幅器の入力インピーダンスが、入力電力が充分小
さくA級動作を保っているときに比べ異なった値にな
る。
【0018】一方、B2点の電位は、定電圧源の電圧値
と抵抗R1、R2の分割比で決定され、入力電力の増加
に影響されないので、B1点の電位が上述のように徐々
に小信号動作時より下がってしまうと、図1に示すダイ
オードD1にかかる電圧値△VBE2は、図2に示すよ
うに徐々に増加していく。そのため上記エミッタ接地の
トランジスタTr1のベース・エミッタ間ダイオードの
ジャンクション容量の変動とは、逆の変動をバイアス回
路中のダイオードD1の持つジャンクション容量は行う
ことになる。従って、徐々に入力電力が増加していく
と、入力電力の振幅が増加し、それに伴ってエミッタ接
地トランジスタTr1の入力インピーダンスが変動する
が、ダイオードD1のインピーダンスがそれを相殺する
ように変動するため、上記エミッタ接地トランジスタT
r1の入力インピーダンスの変動を抑制し、通過位相偏
差を従来回路に比べて小さくできる。更に、ダイオード
D1にかかる電圧値が大きくなると、ダイオードD1を
通ってトランジスタTr1のベースに流れ込む電流値が
増加するので、コレクタ電流が増加し、コレクタ端での
出力電力の飽和を解消でき、電力利得の減少も改善する
ことができる。
【0019】図3は図1に示す回路の入出力特性であ
り、横軸の入力信号(pin)のレベルに対する縦軸の
利得(GAIN)と位相(PHASE)の変化の様子を
示している。図1に示す回路は図3に示すように、小信
号時からの電力利得圧縮が1dBのとき(図3中、Aで
示す)の位相偏差が±1度(図3中、Bで示す)の範囲
にあるが、図10に示す従来例の場合は、小信号時から
の電力利得圧縮が1dBのとき(図10中、A’で示
す)の位相偏差は±1.3度(図10中、B’で示す)
となり、本発明の回路は従来例に比べて入力信号の変化
に対して位相偏差が小さくなっていることが判る。
【0020】<第2の実施形態>図4は本発明の第2の
実施形態の回路図であり、図1に示す本発明の第1の実
施形態に対応する部分には同一符号を付し、説明を省略
する。図4において、Tr2はバイポーラ・トランジス
タであり、図1のダイオードD1の代わりに用いられて
おり、抵抗R1、R2で電源電圧VBを分割するベース
バイアス回路のB2点とトランジスタTr1のベース間
に上記トランジスタTr2のベース・エミッタが順方向
になるように接続されており、上記トランジスタTr2
のコレクタには、電源電圧VCが印加される。ベースバ
イアス回路中のB2点即ち上記トランジスタTr2のベ
ース端子と接地点との間には、上記ベースからバイアス
用抵抗R1、R2を見たときのインピーダンスよりも充
分小さいインピーダンスとなるようなキャパシタC1を
挿入する。
【0021】この実施形態は図1に示すベースバイアス
回路に設けたダイオードD1のPN接合を利用したもの
に対して、トランジスタTr2のベース・エミッタ間の
PN接合を利用するもので、回路の動作はダイオードD
1をベースバイアス回路に設けた図1に示す実施形態の
場合と実質的に同じである。ただ、上記トランジスタT
r2は増幅回路を形成しているので、ベースバイアス電
流はこのトランジスタTr2によって増幅され、エミッ
タ接地トランジスタTr1のベースに供給される。従っ
て、上記抵抗R1、R2で構成した、もとのベースバイ
アスを生成するベースバイアス回路に流れる電流を低減
することができる。
【0022】<第3の実施形態>図5は本発明の第3の
実施形態の回路であり、図1に示す本発明の第1の実施
形態に対応する部分には同一符号を付し、説明を省略す
る。図5において、Tr3はベースとコレクタ間が抵抗
R3で接続したバイポーラ・トランジスタで、図1のダ
イオードD1の代わりに用いられており、抵抗R1、R
2で電源電圧VBを分割するベースバイアス回路のB2
点と、トランジスタTr1のベース間に、上記トランジ
スタTr3のベース・エミッタ間が順方向になるように
接続されている。この場合上記トランジスタTr3は抵
抗R3によりベースとコレクタ間が接続されているの
で、B2点とトランジスタTr1のベース間には、トラ
ンジスタTr3のベース・エミッタ間のPN接合が挿入
されたことになる。
【0023】動作原理は図1に示す第1の実施形態と同
様であるので説明を省略する。この実施形態において、
ベースバイアス回路に設けたダイオード接続するトラン
ジスタTr3として、GaAsHBT(ヘテロジャンク
ション・バイポーラ・トランジスタ)のように、ベース
・エミッタ間のダイオードのOn電圧とベース・コレク
タ間のダイオードのOn電圧とが異なり、ベース・コレ
クタ間のダイオードのOn電圧の方が小さいものを用い
る場合などは、エミッタ接地トランジスタTr1のベー
スのOn電圧と上記バイアス回路中に設けたトランジス
タTr3のベース・エミッタ間のPN接合より成るダイ
オードのOn電圧の和以上の電圧がベース端子へのバイ
アス供給用電圧源にあればよいので、上述する第1、第
2の実施形態の場合に比べて電源電圧VBを低電圧にす
ることができ、回路の低電圧化を図ることができる。
【0024】図5に示す回路を200mWクラスのパワ
ーアンプに応用した場合の実施形態を示すと、トランジ
スタTr1としてエミッタフィンガーサイズが6.4μ
m×20μmの単位トランジスタを12個並列接続した
ものを使用し、トランジスタTr3として、エミッタフ
ィンガーサイズが6.4μm×20μmのトランジスタ
を使用する。キャパシタC1の容量値は10pFとす
る。この場合の特性を図6に示す。図6より明らかなよ
うに、従来回路での電力利得圧縮が1dBのときの位相
偏差は1.3度あるが、本実施形態の回路の電力利得圧
縮が1dBのときの位相偏差は0.7度であり、且つ1
dB利得圧縮点に至るまでの位相偏差は、従来例の場
合、±1.3度であるのに対して、本実施形態では、±
1度以内に収まっており、いずれも特性が改善されてい
ることが判る。
【0025】図7は図5に示す実施形態の変形例であ
る。ベースバイアス回路に設けたバイポーラ・トランジ
スタTr3を図5に示す回路では抵抗R3によりベース
・コレクタ間を接続しているのに対して、この回路では
ベース・エミッタ間を抵抗R4で接続し、トランジスタ
Tr3のベース・コレクタ間のPN接合を利用するよう
にしている。そして、ベースバイアス回路のB2点に上
記トランジスタTr3のコレクタを、又、トランジスタ
Tr1のベースに上記トランジスタTr3のエミッタを
接続している。その他の構成は図5と同様であり、ま
た、動作も実質的には図5の場合と同じであるので、詳
細な説明は省略する。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ト
ランジスタの入力電力が増加し、非線形動作領域に達し
た場合でも、従来のような位相差が大きくなり、且つ電
力利得圧縮が増加するため、信号の振幅情報と共に位相
情報を必要とする変調方式などで高効率化が図りにくい
という問題を解決することができ、入力電力の増大に伴
う、トランジスタの入力インピーダンスの変動による通
過位相偏差の増加を抑制し、且つ非線形領域でのコレク
タ端での出力電力の飽和を低減し、電力利得圧縮も抑制
できるため、回路の高効率化が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の回路構成図であ
る。
【図2】 図1の動作説明図である。
【図3】 図1の入出力特性図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態の回路構成図であ
る。
【図5】 本発明の第3の実施形態の回路構成図であ
る。
【図6】 図5の動作説明図である。
【図7】 本発明の第3の実施形態の変形例の回路構成
図である。
【図8】 従来例の回路構成図である。
【図9】 増幅器の動作説明図である。
【図10】 従来例の入出力特性図である。
【符号の説明】
Tr1 エミッタ接地バイポーラ・トランジスタ Tr2 トランジスタ Tr3 トランジスタ D1 ダイオード R1 抵抗 R2 抵抗 R3 抵抗 R4 抵抗 C1 キャパシタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 3/19 H03F 3/50 H03F 3/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイポーラ・トランジスタより成るエミ
    ッタ接地増幅器のベース端子と、該ベース端子にベース
    バイアス電圧を供給するベースバイアス回路間に、順方
    向に接続したPN接合素子を設け、該PN接合素子と上
    記バイアス回路との接続点と接地点間に、上記PN接合
    素子より、上記バイアス回路側を見たときのインピーダ
    ンスより高周波的に充分小さいインピーダンスとなるキ
    ャパシタを設けたことを特徴とする高周波増幅回路。
  2. 【請求項2】 バイポーラ・トランジスタより成るエミ
    ッタ接地増幅器のベース端子と、該ベース端子にベース
    バイアス電圧を供給するベースバイアス回路間にバイア
    ス供給用直流増幅トランジスタのベース・エミッタ間を
    順方向に設け、上記バイアス供給用直流増幅トランジス
    タのベースと接地点間には、上記バイアス供給用直流増
    幅トランジスタのベース端子より、上記ベースバイアス
    回路側を見たインピーダンスより高周波的に充分小さい
    インピーダンスとなるキャパシタを設けたことを特徴と
    する高周波増幅回路。
  3. 【請求項3】 バイポーラ・トランジスタより成るエミ
    ッタ接地増幅器のベース端子と、該ベース端子にベース
    バイアス電圧を供給するベースバイアス回路間に、ベー
    ス端子とコレクタ端子或いはベース端子とエミッタ端子
    間を接続したバイアス供給用トランジスタを順方向に設
    け、上記バイアス供給用トランジスタのベース端子に、
    該ベース端子自身から、上記ベースバイアス回路を見た
    インピーダンスより高周波的に充分小さいインピーダン
    スとなるキャパシタを設けたことを特徴とする高周波増
    幅回路。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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