JP3377496B2 - Ctシステムで投影データを作成する方法およびシステム - Google Patents

Ctシステムで投影データを作成する方法およびシステム

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JP3377496B2 JP2000118788A JP2000118788A JP3377496B2 JP 3377496 B2 JP3377496 B2 JP 3377496B2 JP 2000118788 A JP2000118788 A JP 2000118788A JP 2000118788 A JP2000118788 A JP 2000118788A JP 3377496 B2 JP3377496 B2 JP 3377496B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全般的にはコンピ
ュータ断層撮影(CT)イメージング法に関し、更に詳
細には、CTスキャナにより関心のある物体をスキャン
することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】少なくとも一つのCTシステムの構成で
は、スキャン過程の間に、X線源が検出器に向けてX線
ビームを投射し、このX線ビームは撮影する物体を透過
する。周知の工業用CTシステムでは、たとえば、撮影
される物体は、スキャン過程の間にこの物体を回転させ
るマニピュレータ上に位置決めされる。ビームは、この
物体により減衰された後、検出器に入射する。この検出
器は、複数の概して矩形の検出器セル(または、素子)
のアレイ(配列)を含む。またこの各検出器セルに入射
する、減衰を受けた放射線ビームの強度は、物体による
X線ビームの減衰に依存する。このアレイの各検出器セ
ル(または各素子)は、その検出器セル位置でのビーム
強度の計測値である電気信号を別々に発生する。すべて
の検出器セルからの減衰量計測値は別々に収集されて、
透過プロフィールが作成される。
【0003】検出器アレイ位置で受け取られるX線ビー
ムは、2つの成分、すなわち、一次信号および散乱信号
を含むのが普通である。この散乱信号は一般に、再構成
された画像の分解能およびコントラストに望ましくない
低下を起こさせる。散乱信号の入射を減少させるため、
その検出器を覆うようにコリメータを配置させることが
可能である。このコリメータは散乱ビームの検出器セル
への入射を実質的に防止するように構成される。
【0004】静止型コリメータは一般に、一次元検出器
アレイすなわち線形検出器アレイに対する散乱信号の影
響を減少させるためには満足のゆくものであるが、こう
したコリメータは、多次元検出器アレイすなわち面積形
検出器アレイに用いた場合には最良の結果を得ることが
できない。具体的には、面積形アレイの検出器素子のピ
ッチは、線形アレイの検出器素子のピッチと比較して大
幅に狭いことがある。また、静止型コリメータはこうし
た狭いピッチの検出器素子に用いた場合には十分な効果
を発揮できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】面積形検出器アレイの
位置で受け取る散乱信号による寄与を減少させるため
に、CTシステムを散乱信号または一次信号のいずれか
を直接計測するように構成することができる。これによ
り、計測信号のうちの散乱に由来する成分を決定し、次
いでこれを全信号から差し引き、実質的に劣化のない投
影データを作成することができる。しかし、散乱信号ま
たは一次信号のいずれかを直接計測することは複雑であ
り、時間がかかる。
【0006】CTシステムで面積形検出器により収集さ
れたデータから再構成された画像に対する散乱の寄与を
低下できることが望ましい。また、散乱信号や一次信号
を直接計測せずに散乱の寄与を低下させることが望まし
い。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一実施
態様では、コンピュータ断層撮影システムに可動型コリ
メータを設け、またこのシステムでは、一次信号および
散乱信号を直接計測することなく、これらの信号を推定
する散乱補正アルゴリズムが実装されるようにする。ス
キャンの間に、このコリメータを第1の位置から第2の
位置まで移動させる。コリメータが第1の位置あるいは
第2の位置にあるときには、コリメータは検出器を覆う
ように位置しておらず、検出器に入射するビームをコリ
メートしない。しかし、コリメータが第1の位置と第2
の位置の間を移動するにつれて、このコリメータは、検
出器アレイに入射するX線ビームの少なくとも一部分を
コリメートする。コリメータが第1の位置または第2の
位置にあるとき、検出器アレイで第1の信号強度が得ら
れる。またコリメータが第1の位置と第2の位置の間を
移動した後、検出器アレイで第2の信号強度が得られ
る。次に、これらの信号強度を用いて散乱信号を推定す
る。次に、推定した散乱信号を用いて実質的に劣化のな
い投影データを作成する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1を参照して、CTシステム5
のX線源14の動作に関して説明すると、X線ビーム1
6が線源14の焦点50から放出される。X線ビーム1
6は、扇形ビーム16内の中心にある扇形ビームの軸5
2に沿って投射され、工作物境界円54を境界とする物
体を透過する。X線ビーム16はこの物体により減衰を
受け、次いで検出器アレイ18上に位置する静止型コリ
メータ56によりコリメートされる。コリメートされた
ビーム16は検出器アレイ18に向けて投射され、上記
したようにこの検出器アレイ18のさまざまな位置での
入射X線ビーム強度を表す電気信号を発生させる。
【0009】次に図2Aおよび2Bを参照すると、コリ
メータ56は、X線減衰材料で製作された実質的に正方
形のコリメータ・プレート58を含み、このコリメータ
・プレート58は複数のスリットまたは開口60をその
中に有する。コリメータ・プレート58は通常、検出器
アレイ18の実効面積に対応した寸法を有し(図1参
照)、またスリット60はX線源14に対して集束性に
整列する(すなわち、焦点に向かって整列する)。実効
アレイの寸法に満たない寸法(特にコリメータの移動軸
130に垂直な軸に沿った寸法)を有するコリメータ・
プレートは、検出器アレイに入射する散乱信号を阻止す
る効果が低い。
【0010】コリメータ56は、スリット60と平行で
ない傾斜経路に沿って伝搬する散乱信号が検出器アレイ
18と相互作用するのを防止する。コリメータ56のX
線減衰材料は、いくつかの検出器素子(ピクセル)を覆
い、またスリット60はいくつかの検出器列(行)に対
する信号をコリメートする。こうした信号を検出器アレ
イ18から遮ることにより、散乱信号に起因する誤りデ
ータが発生しないため画像品質が改善されると考えられ
る。
【0011】図3は、X線源72と面積形検出器アレイ
74とCTコントローラ150とを含むCTイメージン
グ・システム70の概略図である。コントローラ150
はX線源72、検出器74およびコリメータ・マニピュ
レータ110と結合され、またこのコリメータ・マニピ
ュレータ110は可動型コリメータ76に結合されてい
る。コントローラ150は、CTシステムのコンポーネ
ントを制御すると共に、検出器74からの信号を処理
し、撮影しようとする物体82の画像のディスプレイ2
00用の信号を発生させるように構成する。本明細書で
使用する「するようになした」「するように構成した」
など表現は、選択した制御アルゴリズムに従ったプログ
ラムあるいは動きが実行されるように、コンポーネント
がプログラム可能なコンピュータ・デバイスや特定用途
向けの集積回路などの制御デバイスを含むか又はこれに
接続されることを意味する。
【0012】代表的な動作では、X線源72は焦点80
から検出器アレイ74に向けて円錐状X線ビーム78を
投射する。検出器アレイ74は、関心のある物体あるい
は工作物82の中または周辺を通過するX線を共同して
検知する検出器素子群(図3では示さず)により形成さ
れる。アレイ74上で陰を付けた領域83によって、線
源72から工作物82を通り検出器74に向かって直接
に進む投射X線が、(図3で示す具体的配置の際に)検
出器アレイ74に入射する位置を示している。検出器素
子の各々は、入射X線ビームの強度を表す電気信号を発
生する。スキャンの間に、物体82は通常、物体82の
複数の放射線像(ビュー)を収集することができるよう
に物体用マニピュレータ115により回転される。検出
器74からの信号は物体82のこの複数のビューに対し
て生成され、コントローラ150により処理される。物
体82を操作し所望の複数の放射線画像を得るための図
示した配置は、工業用CTシステムでよく用いられるも
のであり、また別法としては、放射線源と検出器は、互
いの位置関係が固定され、撮影しようとする物体の周り
を回転し、医用システムで通例行われるように所望の放
射線撮影用データ・セットを収集できる。
【0013】コリメータ76は、検出器アレイ74に対
して移動するように構成されていて、X線減衰材料より
製造され且つその中に複数のスリットまたは開口86を
有するコリメータ・プレート84を含む。コリメータ・
プレート84は、アレイ74の上方で中心にくるように
位置決めしたとき、実質的に検出器アレイ74の全体に
わたる広がりを有するような大きさとする。コリメータ
・プレート84は、コリメータ・プレートの軸130
(図3で矢印により示す)に沿ってアレイ74と整列
し、またスリット60はX線源72に対し集束性に整列
するようにする。一例を挙げると、コリメータ・プレー
ト84のスリット86はコリメータ・プレートの軸13
0(図ではz軸として示す)に沿って延伸する。コリメ
ータ・プレート84は、第1の位置と第2の位置の間で
z軸方向に移動可能である。コリメータ・マニピュレー
タ110は、(たとえば、コリメータ・プレートの軸1
30に一致したトラックに沿ってコリメータ・プレート
を駆動するように結合させたモータなどの電気機械式デ
バイスを用いて)、コリメータ・プレートを第1の位置
10や、複数の中間位置15(図3でコリメータ・プレ
ート84が少なくとも部分的に検出器アレイ74と重な
り合う領域として示す)や、第2の位置20にくるよう
に構成する。第1の位置10と第2の位置20では、コ
リメータ76は、線源72からアレイ74に向かって直
接進む放射線がコリメータ・プレートに入射しないよう
に配置される。複数の中間位置15のいずれにおいて
も、コリメータ・プレートは、線源72と検出器74に
対する空間的関係が線源72からアレイ74に向かって
直接進む放射線がコリメータ・プレート84の少なくと
も一部分に入射するようにして配置される。コリメータ
76が第1の位置と第2の位置の間を移動するにつれ
て、コリメータ76は少なくとも部分的に検出器アレイ
74を覆う。
【0014】スキャンの間に、CTコントローラ150
は物体82に対して少なくとも2回の照射を行うように
装置を制御する。この2回のそれぞれの照射時間は同じ
である。第1の照射では、コリメータ76が検出器と重
なり合わない位置(たとえば、第1の位置10あるいは
第2の位置20)にあるときに、検出器アレイ74の位
置での第1の照射信号強度が得られるようにして物体8
2の撮影を行う。ここで、「重なり合う(overli
e)」とは、本明細書で用いる場合、コリメータの少な
くとも一部分が放射線源72と検出器アレイ74の間を
結ぶ直線内に配置されることを意味する。第2の照射
は、コリメータ・プレート84が第1の位置10から第
2の位置20への間(または、第2の位置20から第1
の位置10への間)を移動する際に行われる。このた
め、第2の照射信号によって、コリメータが検出器の少
なくとも一部分と重なり合う位置である複数の中間位置
15をコリメータが通り過ぎる間に検出した、コリメー
タを通過する放射線を表す。次いで、2回の照射より得
たデータを利用し、X線ビーム78の散乱信号を決定
し、以下に示すように実質的に劣化のない投影データを
作成する。
【0015】限定ではなく例として挙げると、コリメー
タ76は初めは検出器アレイ74の下方すなわち第1の
位置10に位置しており、検出器アレイ74はコリメー
トされないX線78を受けている。スキャンの間に、マ
ニピュレータはコリメータ76をコリメータの軸130
(図3では、垂直すなわちz方向で示す)に沿って移動
させて、コリメータを検出器アレイ74の上を移動さ
せ、これによりコリメータがアレイと重なり合う位置で
ある複数の中間位置15を通過して、検出器アレイ74
がコリメートされたX線78を受ける。コリメータ76
は、完全に検出器アレイ74の上方の位置すなわち第2
の位置20に至るまでコリメータ軸に沿って移動し、検
出器アレイ74は再びコリメートされないX線78を受
ける。コリメータ76が第1の位置と第2の位置の間を
移動するのに要する時間は、一回分の照射時間に相当す
る。たとえば物体82のビューを一つ得るのに十分なデ
ータを収集するため物体82への照射に要する時間に相
当する。
【0016】コリメータ76は、N−1個のビューから
投影データが収集されるまでは、検出器アレイ74の上
方に、たとえば第2の位置にとどまる。ここでNは、
は、周期的に行われる一次信号サンプリング(測定)の
間で収集されるビューの個数である。たとえば、一次信
号は20個のビュー毎にサンプリングされるとすると
N=20)。次の照射時間内で、マニピュレータはコ
リメータ76を下方に移動させ、コリメータ76は、検
出器アレイ74を通り、第1の位置に至る。コリメータ
76は、第1の位置のままに置かれ、さらにN−1個の
ビューに対するデータが収集される。次いでコリメータ
を再び第2の位置まで移動させる。マニピュレータは、
スキャン期間の全体にわたって、上記のように、コリメ
ータ76を第1の位置と第2の位置の間で往復させる。
ビューの数Nを事前に選択し、たとえばCTシステム用
コンピュータ内に記憶しておくことができる。
【0017】スキャンの間に、コリメータ76が位置
(y,z)を覆わないとき、たとえば、コリメータが第
1の位置や第2の位置にあるときに、検出器アレイ74
の各位置(y,z)に対して第1の信号強度I1 (y,
z)を決定する。また照射期間中に第2の信号強度を決
定するためコリメータが位置(y,z)の少なくとも一
部分を覆うようにコリメータ76が複数の中間位置を通
って移動中のときに、各位置(y,z)に対して第2の
信号強度I2 (y,z)を決定する。具体的には、コリ
メータ76が第1の位置または第2の位置のいずれかに
あるとき、第1の信号強度I1 (y,z)を表す第1の
データ・セットが収集され格納される。またコリメータ
76を第1の位置と第2の位置の間で移動させながら、
第2の信号強度I2 (y,z)を表す第2のデータ・セ
ットが収集され格納される。次いで、これらのデータ・
セットを用いて検出器アレイ74の位置で受け取ったX
線78の一次信号成分と散乱信号成分を決定する。
【0018】具体的には、第1の信号強度I1 (y,
z)は次式で表せる。
【0019】 I1(y,z)=p(y,z)+s(y,z) [式1] 上式において、p(y,z)は検出器アレイ74で計測
された一次信号強度であり、s(y,z)は検出器アレ
イ74で計測された散乱信号強度であり、yは検出器ア
レイ74の水平方向の寸法であり、またzは検出器アレ
イ74の垂直方向の寸法である。
【0020】しかしコリメータ76は、第1の位置と第
2の位置の間を移動するときに検出器アレイ74上に入
射する散乱信号s(y,z)を減少させるため、第2の
信号強度I2(y,z)はあまり大きな散乱信号s
(y,z)を含まない。その減少量は、アレイの大きさ
に対するコリメータ・プレートの大きさの関数である。
たとえば、コリメータ・プレートの寸法が実質的にアレ
イの寸法に相当する場合、散乱信号の減少は約50%で
ある。またコリメータ・プレートの寸法(たとえば、コ
リメータ・プレートの移動軸と垂直方向のコリメータ・
プレートの寸法)がアレイの寸法に満たない場合、その
散乱信号の減少は50%に満たない。したがって、第2
の信号強度I2(y,z)は次式で表すことができる。
【0021】 I2(y,z)=p(y,z)+αs(y,z) [式2] ここで、αは分数値である。
【0022】第1の信号強度I1 (y,z)および第2
の信号強度I2 (y,z)の両方を用いて解くことによ
って、検出器アレイ74上の各位置(y,z)での一次
信号p(y,z)および散乱信号s(y,z)をスリッ
ト領域内で次式により表現できる。
【0023】 p(y,z) ={I2(y,z)−αI1(y,z)}/(1−α) [式3] s(y,z) ={I1(y,z)−I2(y,z)}/(1−α) [式4] 上の方程式は、垂直方向の平面内(in-phase)の散乱を無
視して、スリット86と整列した検出器アレイ74の部
分に関して少なくとも有効である。計測される散乱信号
の比率は、コリメータ76の高さの関数である。次い
で、決定した一次信号p(y,z)および散乱信号s
(y,z)を用いて、投影データを作成する。更に具体
的に述べると、検出器アレイ74の位置で受け取った散
乱信号s(y,z)を決定した後、多項式と散乱サンプ
ル値の間の誤差の自乗が検出器アレイ74のいくつかの
行にわたって最小となるようにして、散乱の2Dマップ
を作成する。次いで、サンプル値と多項式の間の誤差の
自乗を最小とする多項式面によって散乱信号を近似させ
る。
【0024】この散乱信号は検出器のスリット領域内の
位置(y,z)で決定できる。スリット領域は検出器ア
レイの幅全体にまたがった位置にあるため(たとえば、
図3では検出器の幅は水平軸の方向と一致するように示
してある)、散乱信号のサンプリングはこの方向で行
う。散乱信号は低周波数信号成分を含むため、このサン
プル技法が適する。このためナイキストの定理に従っ
て、この散乱信号に関し該当するデータがこのサンプル
技法より得られる。イメージャ全体のさまざまな位置で
サンプリングした散乱信号を用い、最小自乗近似法を用
いることによって2D面をサンプル値に当てはめる。次
いで、この面を用いて検出器の各位置(y,z)での散
乱信号の近似を行う。引き続きデータ収集を行うため、
この近似した散乱信号(たとえば、時間的に隣接する散
乱のサンプル値から内挿させた散乱信号)を計測した強
度信号から差し引き、画像再構成およびディスプレイ
(たとえば、映像またはプリントアウト・ディスプレイ
手段200)に用いるための散乱のない信号を作成す
る。
【0025】上記のCTシステム70および散乱補正ア
ルゴリズムは、散乱誤差を減少させることにより画像品
質を向上させると考えられる。さらに、こうしたシステ
ムおよびアルゴリズムにより、散乱信号および一次信号
を直接計測することなしに、面積形検出器アレイ74の
位置で受け取った散乱信号の寄与を減少させることがで
きる。
【0026】コリメータ・スリット86を貫通する平面
内の散乱信号の影響を減少させるためには、コリメータ
76の別の配置が用いられる。たとえば、図4は面積形
検出器アレイ92および本発明の別の実施形態による可
動型コリメータ94を含むCTイメージング・システム
90の部分概略図である。検出器アレイ92は関心のあ
る物体あるいは工作物を透過した投射X線を共同して検
知する検出器素子群(図4では示さず)より形成され
る。各検出器素子は入射X線ビームの強度、したがって
ビームが物体を透過する際のビームの減衰を表す電気信
号を発生する。
【0027】コリメータ94は、第1のコリメータ・プ
レート96と第2のコリメータ・プレート98とを備
え、これらの各々は検出器アレイ92に対して移動する
ように構成される。プレート96および98の各々は、
X線減衰材料より製作されていて、その中に複数のスリ
ットまたは開口100を含む。コリメータ・プレート9
6および98はそれぞれ、実質的に検出器アレイ92の
全体にわたって広がる(たとえば、アレイ92の実効面
積に対応する寸法を有する)ような大きさとするのが普
通であり、またスリット100はX線源に対し集束性に
整列する。さらに、コリメータ・プレート96および9
8の各々は、一次信号を計測しようとする場合に、各ピ
クセルが散乱信号を同じ比率で含むことが実質的に保証
されるように構成する。
【0028】第1のコリメータ・プレート96は第1の
コリメータ軸101に沿ってz方向に移動可能であり、
また第2のコリメータ・プレート98は第2のコリメー
タ軸102に沿ってy方向に移動可能である。具体的に
は、コリメータ・プレート96は第1のコリメータ・マ
ニピュレータ110と結合され、第1のコリメータ・マ
ニピュレータ110は、検出器アレイ92に対してコリ
メータ・プレート96を移動させるように構成されると
共に、CT制御メカニズム150から信号を受け取るよ
うに構成さる。同様に、コリメータ・プレート98は第
2のコリメータ・マニピュレータと結合され、第2のコ
リメータ・マニピュレータは、検出器アレイ92に対し
てコリメータ・プレート98を移動させるように構成さ
れると共に、CT制御メカニズムから信号を受け取るよ
うに構成される。コリメータ・プレート96は第1の位
置と第2の位置の間でz方向に移動可能である(この用
語の意味は、上記で図3に示す配置に関して用いたもの
と同じである)。第1の位置と第2の位置では、コリメ
ータ・プレート96は検出器アレイ92と重なり合わな
い、すなわち、コリメータ・プレート96はX線源と検
出器アレイ92の間に位置しない。第1のコリメータ・
プレート96がこのプレートの第1の位置と第2の位置
の間で移動するにつれて、コリメータ・プレート96は
少なくとも部分的に検出器アレイ92を覆う、すなわ
ち、この場合、コリメータ・プレート96が少なくとも
部分的にX線源と検出器アレイ92の間の位置にくる。
同様に、第2のコリメータ・プレート98は、第2のコ
リメータ・プレートの第1の位置と第2の位置の間でy
方向に移動可能であり、この第1の位置と第2の位置で
は、第2のコリメータ・プレート98は検出器アレイ9
2と重なり合わない。第2のコリメータ・プレート98
が、このプレートの第1の位置と第2の位置の間で移動
するにつれて、コリメータ・プレート98は少なくとも
部分的に検出器アレイ92と重なり合う。
【0029】スキャンの間に、コリメータ・プレート9
6および98は、コリメータ・プレート76および検出
器アレイ74に関して上で説明したのと同様に、それぞ
れの軸に沿い検出器アレイ92に対し同期して移動す
る。ここで「同期して移動」とは、第1および第2のコ
リメータ・プレートの移動を連携させ、各プレートがそ
れぞれ同時にアレイ92のピクセルを覆い始め、かつ同
時にアレイ92のピクセルを通過するように移動すると
いう意味である。具体的には、第1のマニピュレータに
より第1のコリメータ・プレート96をこのプレートの
第1の位置と第2の位置の間でz方向に移動させ、照射
時間中に第1のコリメータ・プレート96が(第1およ
び第2の位置の間の)複数の中間位置にくるようにす
る。この位置では、第1のコリメータ・プレート96に
より検出器アレイ92に入射するX線が少なくとも部分
的にコリメートされる。同様に第2のマニピュレータ1
20により第2のコリメータ・プレート98をこのプレ
ートの第1の位置と第2の位置の間でy方向に移動さ
せ、これにより照射時間中に第2のコリメータ・プレー
ト98はやはり検出器アレイ92に入射するX線を少な
くとも部分的にコリメートするように配置される。コリ
メータ・プレート96および98がこれらのプレートの
それぞれ第1の位置と第2の位置の間を移動するのに要
する時間は、たとえば関心のある物体のビューを一つ得
るのに要する時間である、一回分の照射時間であること
が普通である。
【0030】次いで、第1の信号強度と第2の信号強度
1 (y,z)およびI2 (y,z)を上記の方程式に
従って決定する。信号強度I1 (y,z)およびI
2 (y,z)を利用して検出器アレイ92の各位置
(y,z)での散乱信号s(y,z)を上記したように
して決定し、実質的に劣化のない投影データを作成す
る。CTシステム90は、同一平面内の散乱信号の影響
を実質的に軽減するものと考えられる。
【0031】本発明のさまざまな実施態様に関するこれ
までの記述から、本発明の目的が達成されることは明ら
かである。本発明について詳細に記述し図示してきた
が、これらの態様は図示および例示とすることのみを意
図したものであり限定を意図したものではないことを明
瞭に理解すべきである。たとえば、本発明は別の多くの
CTシステムで使用することができる。したがって、本
発明の精神および範囲は、添付の特許請求の範囲によっ
て限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】静止型コリメータを有するCTイメージング・
システムの概略図である。
【図2】図1に示すコリメータの上面図(A)および前
面図(B)である。
【図3】本発明の一実施態様による可動型コリメータを
含むCTイメージング・システムの概略図である。
【図4】本発明の別の実施態様による患者後置式可動型
コリメータを含むCTイメージング・システムの部分概
略図である。
【符号の説明】
5 CTシステム 10 第1の位置 14 X線源 15 複数の中間位置 16 X線ビーム 18 検出器アレイ 20 第2の位置 50 焦点 52 扇形ビームの軸 54 工作物境界円 56 静止型コリメータ 58 コリメータ・プレート 60 スリット 70 CTイメージング・システム 72 X線源 74 面積形検出器アレイ 76 コリメータ 78 円錐状X線ビーム 80 焦点 82 物体 84 コリメータ・プレート 86 スリット 90 CTイメージング・システム 92 面積形検出器アレイ 94 可動型コリメータ 96 第1のコリメータ・プレート 98 第2のコリメータ・プレート 100 スリット 101 第1のコリメータ軸 102 第2のコリメータ軸 110 第1のコリメータ・マニピュレータ 115 物体用マニピュレータ 120 第2のマニピュレータ 130 コリメータの移動軸 150 CTコントローラ 200 ディスプレイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−63031(JP,A) 特開 昭62−176433(JP,A) 特開 平1−305930(JP,A) 実開 昭62−50604(JP,U) 実開 平2−47554(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/04 A61B 6/03 320 A61B 6/03 350

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線ビームを検出器アレイおよび少なく
    とも一つのコリメータに向けて投射するためのX線源を
    含むコンピュータ断層撮影(CT)システムによってス
    キャンされる物体の投影データを作成する方法であっ
    て、 少なくとも一つのコリメータ・プレートを第1の位置か
    ら第2の位置まで、若しくは、第2の位置から第1の位
    置まで移動させるステップと、 前記少なくとも一つのコリメータが第1の位置にあると
    きに、検出器アレイで受け取ったX線ビームの強度を表
    す第1の信号強度を決定するステップと、 前記少なくとも一つのコリメータが前記第1の位置と前
    記第2の位置の間を移動し、前記コリメータが前記検出
    器アレイと少なくとも部分的に重なり合うときに、検出
    器アレイで受け取ったX線ビームの強度を表す第2の信
    号強度を決定するステップと、 前記第1および第2の信号強度を利用して、計測信号の
    うちの散乱に由来する成分を決定することにより、投影
    データを作成するステップと、 を含んでいる前記方法。
  2. 【請求項2】 一つのコリメータ・プレートの前記第1
    の位置と第2の位置の各々がコリメータ軸に沿って検出
    器アレイに対して整列している請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記CTシステムが2つのコリメータ・
    プレートを備え、その内の第1のコリメータ・プレート
    の前記第1の位置と第2の位置の各々が第1のコリメー
    タ軸に沿って検出器アレイに対して整列しており、第2
    のコリメータ・プレートの第1の位置と第2の位置の各
    々が前記第1のコリメータ軸と直交する第2のコリメー
    タの軸に沿って検出器アレイに対して整列している請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の信号強度を決定する間に、前
    記第1および第2のコリメータ・プレートが同期して移
    動する請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の信号強度が次の関係式によっ
    て決定される請求項2に記載の方法。 I1(y,z)=p(y,z)+s(y,z) 上式において、I1 (y,z)は検出器アレイの第1の
    信号強度であり、p(y,z)は検出器アレイで計測さ
    れる一次強度であり、s(y,z)は検出器アレイで計
    測される散乱強度であり、yは検出器アレイの水平方向
    の寸法であり、zは検出器アレイの垂直方向の寸法であ
    る。
  6. 【請求項6】 前記第2の信号強度が次式によって決定
    される請求項5に記載の方法。 I2(y,z)=p(y,z)+αs(y,z) 上式において、I2 (y,z)は検出器アレイの第2の
    信号強度であり、またαは分数値である。
  7. 【請求項7】 前記第1および第2の信号強度を利用し
    て投影データを作成する前記ステップが、前記第1およ
    び第2の信号強度を利用して散乱信号を決定するステッ
    プを含み、 前記散乱信号が次式によって決定される請求項6に記載
    の方法。 s(y,z)={I1(y,z)−I2(y,z)}/(1−α)
  8. 【請求項8】 前記第1の位置と前記第2の位置は、い
    ずれも、前記少なくとも1つのコリメータが前記検出器
    アレイと重なり合わない位置であり、 前記少なくとも1つのコリメータが第1の位置と第2の
    位置の間を移動するのに要する時間が、前記第2の信号
    強度を決定するために照射されるX線ビームの照射時間
    に相当することを特徴とする請求項1乃至7に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記コンピュータ断層撮影(CT)シス
    テム内で関心のある物体に関する投影データを作成する
    システムであって、 X線源と、 前記X線源によって投射されたX線ビームを受け取る検
    出器アレイと、 前記X線源と前記検出器アレイの間の複数の位置に配置
    が可能である少なくとも一つの可動型コリメータ・プレ
    ートと、 前記少なくとも一つのコリメータ・プレートと結合され
    ていて、このプレートを前記検出器アレイに関する軸に
    沿う選択された位置に配置するマニピュレータと、 前記検出器アレイと結合されていて、これから放射線検
    出信号を受け取るCTコントローラであって、前記検出
    信号を処理し、且つ少なくとも一つのこのコリメータ・
    プレートのそれぞれの位置に対応した検出信号に応答し
    て散乱補正信号を作成するCTコントローラと、 を備えている前記システム。
  10. 【請求項10】 前記システムが、第1の位置と第2の
    位置のそれぞれ並びにこれら2つの位置の間にある中間
    位置の間で検出器アレイに対して第1のコリメータ軸に
    沿った移動が可能である第1のコリメータ・プレートを
    備え、前記第1のコリメータ・プレートは、前記中間位
    置にあるときに前記線源から前記検出器アレイまで通過
    する入射放射線に暴露されるように配置されている請求
    項9に記載のシステム。
  11. 【請求項11】 前記システムがさらに、前記第1のコ
    リメータ軸と直交する第2のコリメータ軸に沿い検出器
    アレイに対して移動可能である第2のコリメータ・プレ
    ートを備えている請求項9に記載のシステム。
  12. 【請求項12】 前記CTコントローラが、前記少なく
    とも一つのコリメータ・プレートが前記第1の位置にあ
    るときに、前記検出器アレイで受け取る前記X線ビーム
    強度を表す第1の信号強度を決定し、また、前記少なく
    とも一つのコリメータが前記第1の位置と第2の位置の
    間の複数の中間位置に配置されるときに、前記検出器ア
    レイで受け取る前記X線ビーム強度を表す第2の信号強
    度を決定するように構成されている請求項11に記載の
    システム。
  13. 【請求項13】 前記CTコントローラが、前記第1の
    信号強度および前記第2の信号強度を利用して投影デー
    タを作成するように構成されている請求項12に記載の
    システム。
  14. 【請求項14】 前記第1の信号強度が次の関係式によ
    って決定される請求項13に記載のシステム。 I1(y,z)=p(y,z)+s(y,z) 上式において、I1 (y,z)は前記検出器アレイの前
    記第1の信号強度であり、p(y,z)は前記検出器ア
    レイで計測される一次強度であり、s(y,z)は前記
    検出器アレイで計測される散乱強度であり、yは前記検
    出器アレイの水平方向の寸法であり、zは前記検出器ア
    レイの垂直方向の寸法である。
  15. 【請求項15】 前記第2の信号強度が次の関係式によ
    り決定される請求項14に記載のシステム。 I2(y,z)=p(y,z)+αs(y,z) 上式において、I2 (y,z)は前記検出器アレイの前
    記第2の信号強度であり、またαは分数値である。
  16. 【請求項16】 前記システムは、前記第1の信号強度
    および前記第2の信号強度を利用して投影データを作成
    するために、前記第1の信号強度および前記第2の信号
    強度を利用して散乱信号を決定するように構成されてお
    り、 前記CTコントローラが次式により前記散乱信号を決定
    するように構成されている請求項15に記載のシステ
    ム。 s(y,z)={I1(y,z)−I2(y,z)}/(1−α)
  17. 【請求項17】 前記第1の位置と前記第2の位置は、
    いずれも、前記少なくとも1つのコリメータが前記検出
    器アレイと重なり合わない位置であり、 前記少なくとも1つのコリメータが第1の位置と第2の
    位置の間を移動するのに要する時間が、前記第2の信号
    強度を決定するために照射されるX線ビームの照射時間
    に相当することを特徴とする請求項9乃至16に記載の
    方法。
  18. 【請求項18】 前記第1のコリメータ・プレートが第
    1のコリメータ・マニピュレータと結合され、また前記
    第2のコリメータ・プレートが第2のコリメータ・マニ
    ピュレータと結合され、かつ前記第1および第2のコリ
    メータ・プレート・マニピュレータの各々は前記CTコ
    ントローラに結合されると共に、前記第2の信号強度に
    対するデータを作成するため照射期間中に前記第1およ
    び第2のコリメータ・プレートを同期して移動させるよ
    うに構成されている請求項11に記載のシステム。
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