JP3376195B2 - 板内均質性に優れかつ脆性亀裂伝播停止特性と溶接性を兼ね備えた高張力厚鋼板の製造方法 - Google Patents
板内均質性に優れかつ脆性亀裂伝播停止特性と溶接性を兼ね備えた高張力厚鋼板の製造方法Info
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物、パイプ、造船、貯槽、土木、建設機械または貯槽等
の分野で使用される、特に板内均質性に優れかつ脆性亀
裂伝播停止特性と溶接性を兼ね備えた高張力厚鋼板の製
造方法に関する。
のように、様々な分野で使用され、高強度化や高じん性
化などの特性の改善がはかられているが、近年では、こ
れらの特性が厚み方向において均一でありかつ鋼材間で
のばらつきも小さいことが、要求されている。
号」の第11〜21頁には、建築物の高層化が進むにつれ、
巨大地震に対して建築物の変形により振動エネルギーを
吸収し倒壊を防ぐ設計がとられるようになってきたこと
が報告されている。具体的には、地震発生時に建築物の
骨組みを所定形状で崩壊させ、この骨組み材の塑性化に
よって建物の倒壊を防ぐものである。すなわち、地震発
生時に建築物の骨組みが、設計者の意図した挙動を示す
ことが前提になり、建築物の柱や梁などの鋼材の耐力比
を設計者が完全に把握していることが必要である。従っ
て、柱や梁などに用いる鋼板やH形鋼などの鋼材は均質
であることが不可欠であり、鋼材の強度ばらつきは大き
な問題となる。
高張力かつ高じん性が要求されるところから、この種の
鋼材は、制御圧延制御冷却法、いわゆるTMCP法に従って
製造されるのが通例である。しかし、このTMCP法によっ
て肉厚の鋼材を製造すると、圧延後の冷却処理における
冷却速度が厚み方向あるいは各鋼材間で異なって組織が
変化するため、得られた鋼材の厚み方向あるいは各鋼材
間で材質のばらつきが発生するのである。材質のばらつ
きとしては、特に厚鋼板において厚み方向に現れるもの
のほか、H形鋼におけるウェブおよびフランジ間での冷
却が不均一になってウェブおよびフランジ間に現れるも
の、または各ロット間に現れるもの等がある。
を添加し、また圧延後の冷却速度を3℃/s以上とする
とともに、冷却停止温度の上限を500 ℃とすることによ
り、板厚方向の組織をフェライトとベイナイトの混合し
た組織として、板厚中心部の強度を上昇して板厚方向の
硬度差を小さくすることが提案されている。しかしなが
ら、冷却速度を板厚中心部においても3℃/s以上に厳
密に制御しなくてはならず、板厚方向に冷却速度分布が
生じると、直ちに材質のばらつきとなるため、その製造
を厳格に制御する必要があり、工業的規模での製造には
不向きであった。
の析出強化によって強度を確保する一方、熱間圧延後に
0.5 ℃/s以上の冷却速度で300 〜700 ℃に冷却し、次
いで500 〜650 ℃の温度域に一定時間保持した後、室温
まで冷却することにより、低温じん性を改善すること
が、提案されている。しかし、この技術は、低温じん性
の改善を目指したものであり、上記した様々な形での材
質のばらつきを抑えることによって、近年の構造用鋼な
どに要求される、材質の均一性を満足することは難し
い。
計手法は、静的な引張応力状態を想定したものである
が、近年では、衝撃荷重下での抵抗性も一層重要視され
てきている。すなわち、TMCP法の出現によって、より高
靱性の鋼板が提供されるようになってはきたが、TMCP法
やこれに続く技術は、あくまで脆性破壊の発生を抑止す
る特性の追求に終始している。従って、実際の構造物で
は予想しない施工上の欠陥や腐食といった要因から、予
め想定した限界亀裂をこえる規模の亀裂から脆性破壊が
発生する可能性を完全に払拭することは不可能であっ
た。このような現象が発生する場合は、高い靱性をそな
えること、中でも、脆性破壊が発生したときに、高速で
伝播する亀裂の進展を停止する能力(以下、脆性亀裂伝
播停止特性という)が、鋼板に必要である。この脆性亀
裂伝播停止特性は、従来、厳しい応力環境で用いられる
海洋構造物、パイプ、造船などの分野では重要な材質特
性として望まれてきたものである。
域圧延の加工フェライトでのセパレーション利用技術
(特開平1−156424号公報参照)がある。しかしなが
ら、従来用いられている脆性亀裂伝播停止特性の良好な
鋼板を製造する技術は、低温での能率の低い圧延を余儀
なくされたり、板厚方向の材質均質性がある程度犠牲に
されたり、また靱性、例えばシャルピー吸収エネルギー
の低下を伴うなどの問題があった。さらに、板厚が増大
すると、冷却技術そのものに限界が発生し、TMCP法をも
ってしても、先に述べた、均質でかつ高強度、高靱性、
優れた溶接性および高い脆性亀裂伝播停止特性などの多
角的な性能を提供することは難しい。
題を解消した、すなわち圧延後の冷却速度における制約
のない、厚み方向および鋼材間などでの材質ばらつきが
少なく、しかも靱性、とりわけ脆性亀裂伝播停止特性に
優れた溶接用厚鋼板の製造方法について提案することを
目的とする。
から中心部までの冷却速度の大幅な変化あるいは製造条
件のばらつきに基づく冷却速度の変化による組織変動に
起因している。言い換えると、冷却速度に対する組織の
依存性を弱くすることによって強度ばらつきの問題の根
幹は解決される。一方、脆性亀裂伝播停止特性は、脆性
亀裂の進行に伴ってエネルギーを吸収する能力に依存し
ているため、亀裂の進展方向を変化させるか、サブクラ
ッチなどより進展亀裂前縁での応力集中を緩和する手法
が有効である。
ろ、第1に遅い冷却速度範囲でベイナイト単相組織とな
るような成分設計を行い、強度制御を組織制御によらず
析出強化あるいは固溶強化を利用して行うことで鋼の材
質ばらつきを極限まで少なくできることを見出した。さ
らに、高温での圧延で適切かつ適度の集合組織を導入す
ることによって、微細なサブクラッチ発生組織を導入し
て脆性亀裂伝播停止特性を向上し得ることも見出し、こ
の発明を完成するに到った。
満、Si:0.5 wt%以下、Mn:1.0 〜2.0 wt%、Ti:0.00
5 〜0.20wt%、B:0.0003〜0.0050wt%およびN:0.00
50wt%未満を含む組成になる鋼素材を、 950〜1350℃の
温度に加熱後、1000〜900 ℃の温度域における累積圧下
率が15%以上、かつ900 ℃以下変態開始温度以上の温度
域での累積圧下率が40%以上となる、熱間圧延を施し、
その後空冷または1℃/s 以下の冷却速度で冷却するこ
とを特徴とする板内均質性に優れかつ脆性亀裂伝播停止
特性と溶接性を兼ね備えた高張力鋼の製造方法である。
0.20wt%、Cu:0.7 〜2.0 wt%およびV:0.005 〜0.2
wt%のうちから選んだ少なくとも1種および/またはRE
M :0.02wt%以下およびCa:0.0040wt%以下のうちから
選んだ少なくとも1種を含有する組成になることが、強
度および/または靱性の向上に有効である。
化学成分の限定理由について説明する。 C:0.03wt%未満 Cは、冷却速度に依存せずにベイナイト単相組織とする
ために0.03wt%未満とする必要がある。すなわち、0.03
wt%以上で含有すると、組織に炭化物を含むパーライト
が出現し始めるため、冷却速度依存性が現われて材質の
均質性が損なわれ易くなる。また、Cの増大は、マルテ
ンサイトを局部的に造りやすくするほか、硬さが上昇し
て溶接性および靱性の劣化をまねくことになる。従っ
て、Cは0.03wt%未満とする。なお、炭素量を低くする
ことによって、この発明の効果が減少することはない
が、実用的には、製鋼上の容易さやNbやV等による析出
効果を利用することを勘案して、含有量を0.002 wt%以
上とすることが好ましい。
生成を抑制するとともに、靱性も劣化させるので上限を
0.5 wt%とする。なお、脱酸および強度確保のために0.
02wt%以上添加することが好ましい。
決定する大きな要因であり、1.0 wt%未満ではその効果
が得られず、一方2.0 wt%を超えると、焼き入れ性の増
加からマトリックスが硬化して靱性が劣化する。
鋼板製造時の加熱段階でのオーステナイト粒の成長を抑
制して細粒化に寄与するとともに、溶接熱影響部(HA
Z)の結晶粒粗大化も抑制しHAZ靱性を向上する効果
がある。さらに、Nを固定して後述するBによる効果を
助長する。また、Tiそのものは固溶してベイナイト変態
を促進する。これらの効果を得るには、0.005 wt%以上
の含有が必要である。一方、過度の含有は、靱性を劣化
するため、0.20wt%を上限とする。
らのフェライト生成を抑制するため、安定してベイナイ
ト組織を得るのに不可欠の成分である。その効果は十分
にNが固定された場合に00003 wt%以上で現れ、一方0.
0050wt%をこえる含有は効果が飽和して経済上不利にな
る。
靱性の面からも少ないことが望ましい。すなわち、上記
したTiの含有をもってしてもNの含有量が0.005 wt%以
上になると、Bの利用が阻害されて十分安定にベイナイ
ト組織が得られなくなる。また、HAZでは固定された
Nが再固溶して靱性劣化の原因となるため、N量を抑制
する必要がある。
することによって、特に圧延後の冷却速度にほとんど依
存しないで、均質なベイナイト単相組織が得られるとこ
ろに特徴がある。この特徴は、図1に結果を示す実験か
ら、明らかである。
鋼(発明例)と、建築材料に用いられる在来の鋼(従来
例)とに関して、製造工程における冷却速度を、0.1 〜
50℃/sの間で種々に変化させて得た鋼板の引張り強さ
を調査した結果について、図1に示す。同図から、この
発明に従う成分に調整することによって、冷却速度に依
存しないで一定した強度が得られることがわかる。特
に、従来では予測できないほど広範囲の冷却速度におい
て、Y.S およびT.S 値のばらつきが少なくなる。これ
は、上述のとおり、C量の制限、そしてMnおよびBの適
量添加が寄与するところである。従って、厚鋼板の厚み
方向で冷却速度が変化しても、冷却速度に依存して強度
が変化することがなく、厚み方向に材質ばらつきの少な
い厚鋼板が得られるのである。
25 wt %、Mn:1.29 wt %、Ti:0.086 wt%、B:0.00
35 wt %およびN:0.0030 wt %を含み、残部鉄および
不可避的不純物になる成分組成になり、一方、従来例
は、C:0.14wt%、Si:0.4 wt%、Mn:1.31wt%、Al:
0.024 wt%、Nb:0.015 wt%、Ti:0.013 wt%であっ
た。そして、同じ製造工程における、冷却速度を変化さ
せて、厚み:15mmの厚鋼板を多数製造して、それぞれの
厚鋼板から採取した試験片にて引張り強さを測定した。
に、所定の化学成分を添加することによって、強度やじ
ん性のレベルを自在に制御することができる。このと
き、既に獲得した均質な組織は、新たな成分の添加に影
響されることが少ないため、材質ばらつきの少ない高強
度および/または高じん性の厚鋼板が容易に得られるの
である。
成分として、Nb:0.005 〜0.20wt%、V:0.005 〜0.2
wt%およびCu:0.7 〜2.0 wt%のうちから選んだ少なく
とも1種を、添加することができる。なお、これらの析
出強化成分を添加した場合は、後述する析出強化処理を
施すことにより、さらなる強化が可能である。
性を高めるとともに、析出強化および靱性の向上にも有
効である。また、オーステナイトの再結晶を抑制し、後
述する圧延条件による効果を促進する。これら効果を得
るためには、0.005 wt%以上の添加が必要であるが、0.
20wt%をこえて添加すると、焼き入れ組織が針状化して
靱性が劣化する傾向にあるため、0.20wt%を上限とす
る。
効果を得るためには、0.05wt%以上の添加が必要であ
る。一方、0.2 wt%をこえる添加は、ベイナイト変態を
阻害するため、0.2 wt%を上限とする。
の発明では主として強度制御のために用いることができ
る。従来のCを多く含有する鋼の場合には、Cu析出処理
温度では焼きもどし効果による強度低下との相殺によっ
て十分な強化が得られなかったが、極めて炭素量を低く
した、この発明の鋼では、最大限の析出強化を得ること
が可能である。この析出強化を用いるためには、0.7 wt
%以上の添加が必要であるが、2.0 wt%をこえて添加す
ると、析出強化が過多となり靱性が急激に劣化する。
よびCaのうちから選んだ少なくとも1種を0.02wt%以下
で添加することができる。REM はオキシサルファイドと
なってオーステナイト粒の粒成長を抑制して靱性を向上
する。すなわち、ベイナイト単相組織では、変態前のオ
ーステナイト粒の制御が鋼板特性を決定するため、微細
介在物(オキシサルファイド)の利用は、従来鋼の場合
に比べて効果が大きい。しかし、0.02wt%をこえて添加
すると、鋼の清浄度を損なうため、かえって靱性を劣化
する原因になって脆性亀裂伝播停止特性を損なうことに
なる。従って、REM の添加量は0.02wt%以下とする。な
お、0.001 wt%未満の添加では、上記した靱性向上効果
が不十分であるため、添加量は0.001 wt%以上とするこ
とが好ましい。
化物の形態制御により、板厚方向の材質改善に有効であ
る。しかしながら、0.004 wt%をこえて添加すると、靱
性や溶接性を劣化させるため、0.004 wt%以下とする。
なお、REM とCuは同時添加してもかまわないが、この場
合には両成分の添加量の和を、過剰添加による悪影響を
回避するために0.005 wt%未満とすることが好ましい。
に成分調整をすることによって、均質な組織が得られる
ため、製造条件を厳密に制御する必要はなく、この種の
鋼板を製造する際の通例に従って製造すればよいが、材
質ばらつきの抑制に併せて、高靱性、とりわけ脆性亀裂
伝播停止特性を確保するには、次に示す製造工程が有利
に適合する。
た鋼材を、まず950 〜1350℃の温度に加熱する。該加熱
温度は、この発明において根幹となる条件ではないが、
材質の均一化と後述する圧延制御のためには、950 ℃以
上の加熱が必須である。しかし、1350℃をこえると表面
酸化が顕著になり、また低C鋼であるために急激な粒成
長が起こって粗大化してしまうところから、加熱温度は
950 〜1350℃とする。特に、靱性の向上のためには、上
限を1150℃とすることが好ましい。
度域における累積圧下率が15%以上となる、熱間圧延を
施す。すなわち、1000〜900 ℃の温度域では、圧延によ
ってオーステナイト粒が部分的に再結晶するため、組織
を微細に分割しかつ均一粒化することができる。この作
用は、従来鋼において、1000℃以上にならないと発現し
ないのが通常であるが、この発明に適合する鋼は、900
〜1000℃においても作用するため、比較的低温で十分な
圧延を行うことが有効であり、その結果、再結晶粒の成
長を抑制できる。この、いわゆる再結晶域での圧延は、
低C鋼であるために粒成長しやすい、この発明の適合鋼
において、均一組織を得て均質な材質を付与するのに必
要不可欠である。また、加熱温度を低くして初期粒径を
小さくする方法と組み合わせることもできる。なお、10
00℃をこえる温度での圧延は、オーステナイト粒の成長
を助長するため、細粒化の目的には好ましくない。一
方、900 ℃未満では未再結晶域に入るので、結晶粒の均
一化の目的には好ましくない。また、1000〜900 ℃での
累積圧下率は大きいほど好ましいが、実用上効果が認め
られるのは15%以上である。
温度以上の温度域での圧延を、累積圧下率が40%以上と
して終了する。この温度域での圧延は、均一化したオー
ステナイト粒を潰して一層の細粒化を図るとともに、微
細オーステナイト粒内に歪を導入しながら集合組織を形
成し、ベイナイト変態時の強化と集合組織の受け継ぎを
達成するために必須である。すなわち、ベイナイト変態
開始温度未満、つまりベイナイト変態開始後に圧延を行
うと、圧延歪が過剰に導入されて靱性が著しく劣化し、
一方900 ℃をこえる温度での圧延は、先にも述べたよう
に、オーステナイト粒が部分的に再結晶する、前段の圧
延に相当するため、本段階の圧延の目的に反する。本圧
延はあくまで未再結晶域の圧延を必要とするため900 ℃
以下としなければならない。また、40%未満の累積圧下
率では、十分な細粒化が得られず、集合組織導入にとも
なう靱性劣化が補償されない。ここで、圧延過程で導入
する集合組織は、脆化破壊の伝播時に発生する亀裂先端
での応力集中を、板表面と平行に近い面に微細亀裂を発
生することによって緩和し、その結果、脆性亀裂の伝播
エネルギーを消費させて亀裂の伝播を停止しやすくする
ものである。
度で冷却する。すなわち、圧延後の冷却が1℃/s をこ
える速い冷却速度では、圧延で導入した歪の回復がほと
んどなくなって過度の歪導入となり、マトリックスが硬
直化して靱性が劣化するため、集合組織の利用が可能な
靱性レベルを確保することが困難となる。
℃/s を超える速度で冷却した場合でも、冷却後に500
℃以上変態温度未満の温度範囲で30s以上等温保持する
ことによって、この遅い冷却の効果を得ることができ
る。特に、Cuを添加した場合には、500 〜650 ℃の温度
で析出(時効)処理することで強化をはかることができ
る。
ブを用いて、表2および3に示す条件に従って、厚さ80
mmの厚鋼板を製造した。
試験およびシャルピー試験を行って、その機械的性質を
調査するとともに、鋼板内の降伏強さのばらつきを評価
するため、鋼板内で観測された降伏点(Y.P)のばらつき
(標準偏差×3)を評価し、ΔY.P として示した。
響部の最高硬さ試験方法に従って、HAZ の最高硬さを求
め、溶接性の指標の一つであるHAZ 硬化性を評価し、そ
して予熱温度を適宜変更してJIS Z3158(1966) のyスリ
ット拘束割れ試験を行うことによって得られる、割れ阻
止(割れ率0%となる)予熱温度にて、溶接性(低温割
れ感受性)を評価した。
て500 mmの正方形試片に29mm深さのノッチを加工する、
試験(ESSO試験)によって、100 ℃における脆性亀裂伝
播停止靱性値(Kca値)を求めて、脆性亀裂伝播停止特
性について評価した。
記するように、この発明に従って得られた鋼板は、450
から850MPaをこえる範囲の強度が得られるとともに、鋼
板内で観測されたY.P のばらつき(ΔY.P :標準偏差×
3)が40MPa 以下と、材質ばらつきは極めて少ないもの
であった。これに対して、成分組成がこの発明の範囲で
も範囲外であっても、圧延条件がこの発明の条件を満足
しない、比較例では、ΔY.P は70MPa をこえている。
め、溶接性の指標として用いられる炭素当量、Ceq WES
ならびにPcm 値が従来比較鋼に比べて低く抑えることが
できる。このため、急熱急冷されるHAZ の最高硬さ(Hvm
ax) は低く、かつyスリット拘束割れ試験で得られた割
れ阻止予熱温度においても、比較例は100 ℃をこえるの
に対して、この発明に従って得られた適合例では、室温
近傍の優れた溶接性(低温割れ感受性)が示されてい
る。
におけるKca 値において、適合例は比較例に比べて
て少なく、しかも靱性、とりわけ脆性亀裂伝播停止特性
に優れた溶接用厚鋼板を、工業的規模で採用される、い
かなる冷却速度によっても、製造することができる。
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】C:0.03wt%未満、 Si:0.5 wt%以下、 Mn:1.0 〜2.0 wt%、 Ti:0.005 〜0.20wt%、 B:0.0003〜0.0050wt%および N:0.0050wt%未満 を含み、残部鉄および不可避不純物よりなる鋼素材を、
950〜1350℃の温度に加熱後、1000〜900 ℃の温度域に
おける累積圧下率が15%以上、かつ900 ℃未満変態開始
温度以上の温度域での累積圧下率が40%以上となる、熱
間圧延を施し、その後空冷または1℃/s 以下の冷却速
度で冷却することを特徴とする板内均質性に優れかつ脆
性亀裂伝播停止特性と溶接性を兼ね備えた高張力厚鋼板
の製造方法。 - 【請求項2】請求項1において、鋼素材が、さらに Nb:0.005 〜0.20wt% Cu:0.7 〜2.0 wt%および V:0.005 〜0.2 wt% のうちから選んだ少なくとも1種を含有する組成になる
板内均質性に優れかつ脆性亀裂伝播停止特性と溶接性を
兼ね備えた高張力厚鋼板の製造方法。 - 【請求項3】請求項1または2において、鋼素材が、さ
らに REM :0.02wt%以下および Ca:0.0040wt%以下 のうちから選んだ少なくとも1種を含有する組成になる
板内均質性に優れかつ脆性亀裂伝播停止特性と溶接性を
兼ね備えた高張力厚鋼板の製造方法。
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