JP3288572B2 - 材質ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法 - Google Patents
材質ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築、海洋構造
物、パイプ、造船、貯槽、土木、建設機械等の分野で使
用される、厚みが30mm以上、とりわけ50mm以上の厚鋼
板、鋼帯、形鋼または棒鋼などの鋼材、特に強度ばらつ
きが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法
に関する。
物、パイプ、造船、貯槽、土木、建設機械等の分野で使
用される、厚みが30mm以上、とりわけ50mm以上の厚鋼
板、鋼帯、形鋼または棒鋼などの鋼材、特に強度ばらつ
きが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板に代表される肉厚の鋼材は、上記
のように、様々な分野で使用され、高強度化や高じん性
化などの特性の改善がはかられているが、近年では、こ
れらの特性が厚み方向において均一でありかつ鋼材間で
のばらつきも小さいことが、要求されている。
のように、様々な分野で使用され、高強度化や高じん性
化などの特性の改善がはかられているが、近年では、こ
れらの特性が厚み方向において均一でありかつ鋼材間で
のばらつきも小さいことが、要求されている。
【0003】例えば、「鉄と鋼 第74年(1988)第6
号」の第11〜21頁には、建築物の高層化が進むにつれ、
巨大地震に対して建築物の変形により振動エネルギーを
吸収し倒壊を防ぐ設計がとられるようになってきたこと
が報告されている。具体的には、地震発生時に建築物の
骨組みを所定形状で崩壊させ、この骨組み材の塑性化に
よって建物の倒壊を防ぐものである。すなわち、地震発
生時に建築物の骨組みが、設計者の意図した挙動を示す
ことが前提になり、建築物の柱や梁などの鋼材の耐力比
を設計者が完全に把握していることが必要である。従っ
て、柱や梁などに用いる鋼板やH形鋼などの鋼材は均質
であることが不可欠であり、鋼材の強度ばらつきは大き
な問題となる。
号」の第11〜21頁には、建築物の高層化が進むにつれ、
巨大地震に対して建築物の変形により振動エネルギーを
吸収し倒壊を防ぐ設計がとられるようになってきたこと
が報告されている。具体的には、地震発生時に建築物の
骨組みを所定形状で崩壊させ、この骨組み材の塑性化に
よって建物の倒壊を防ぐものである。すなわち、地震発
生時に建築物の骨組みが、設計者の意図した挙動を示す
ことが前提になり、建築物の柱や梁などの鋼材の耐力比
を設計者が完全に把握していることが必要である。従っ
て、柱や梁などに用いる鋼板やH形鋼などの鋼材は均質
であることが不可欠であり、鋼材の強度ばらつきは大き
な問題となる。
【0004】ここで、建築や造船などに供する鋼材には
高張力かつ高じん性が要求されるところから、この種の
鋼材は、制御圧延制御冷却法、いわゆるTMCP法に従って
製造されるのが通例である。しかし、このTMCP法によっ
て肉厚の鋼材を製造すると、圧延後の冷却処理における
冷却速度が厚み方向あるいは各鋼材間で異なって組織が
変化するため、得られた鋼材の厚み方向さらには各鋼材
間で材質のばらつきが発生するのである。材質のばらつ
きとしては、特に厚鋼板において厚み方向に現れるもの
のほか、H形鋼におけるウェブおよびフランジ間での冷
却が不均一になってウェブおよびフランジ間に現れるも
の、または各ロット間に現れるもの等がある。
高張力かつ高じん性が要求されるところから、この種の
鋼材は、制御圧延制御冷却法、いわゆるTMCP法に従って
製造されるのが通例である。しかし、このTMCP法によっ
て肉厚の鋼材を製造すると、圧延後の冷却処理における
冷却速度が厚み方向あるいは各鋼材間で異なって組織が
変化するため、得られた鋼材の厚み方向さらには各鋼材
間で材質のばらつきが発生するのである。材質のばらつ
きとしては、特に厚鋼板において厚み方向に現れるもの
のほか、H形鋼におけるウェブおよびフランジ間での冷
却が不均一になってウェブおよびフランジ間に現れるも
の、または各ロット間に現れるもの等がある。
【0005】そこで、特開平4−224623号公報では、Nb
を添加し、また圧延後の冷却速度を3℃/s以上とする
とともに、冷却停止温度の上限を500 ℃とすることによ
り、板厚方向の組織をフェライトとベイナイトの混合し
た組織として、板厚中心部の強度を上昇して板厚方向の
硬度差を小さくすることが提案されている。しかしなが
ら、冷却速度を板厚中心部においても3℃/s以上に厳
密に制御しなくてはならず、板厚方向に冷却速度分布が
生じると、直ちに材質のばらつきとなるため、その製造
を厳格に制御する必要があり、工業的規模での製造には
不向きであった。
を添加し、また圧延後の冷却速度を3℃/s以上とする
とともに、冷却停止温度の上限を500 ℃とすることによ
り、板厚方向の組織をフェライトとベイナイトの混合し
た組織として、板厚中心部の強度を上昇して板厚方向の
硬度差を小さくすることが提案されている。しかしなが
ら、冷却速度を板厚中心部においても3℃/s以上に厳
密に制御しなくてはならず、板厚方向に冷却速度分布が
生じると、直ちに材質のばらつきとなるため、その製造
を厳格に制御する必要があり、工業的規模での製造には
不向きであった。
【0006】一方、特開昭62−130215号公報には、Cuの
析出強化によって強度を確保し、さらに熱間圧延後に0.
5 ℃/s以上の冷却速度で300 〜700 ℃に冷却し、次い
で500 〜650 ℃の温度域に一定時間保持した後、室温ま
で冷却することにより、低温じん性を改善することが、
提案されている。しかし、この技術は、低温じん性の改
善を目指したものであり、上記した様々な形での材質の
ばらつきを抑えることによって、近年の構造用鋼などに
要求される、材質の均一性を満足することは難しい。
析出強化によって強度を確保し、さらに熱間圧延後に0.
5 ℃/s以上の冷却速度で300 〜700 ℃に冷却し、次い
で500 〜650 ℃の温度域に一定時間保持した後、室温ま
で冷却することにより、低温じん性を改善することが、
提案されている。しかし、この技術は、低温じん性の改
善を目指したものであり、上記した様々な形での材質の
ばらつきを抑えることによって、近年の構造用鋼などに
要求される、材質の均一性を満足することは難しい。
【0007】また、上記した用途の鋼材では、耐疲労特
性に優れること、すなわち、無限回の繰り返し負荷でも
疲労破壊しない最大応力である、疲労限が高いことも重
要である。この母材の疲労限は、主に引張り強さによっ
て決定され、疲労限を上昇させるには、鋼の添加元素量
を増加して引張り強さを高めることが有効である。例え
ば、特開平2−197525号公報には、Nb、CrおよびMoの1
種以上を添加し、溶接継手の熱影響部の軟化を防止する
ことによって耐疲労性を向上することが示され、これは
母材においても同様である。
性に優れること、すなわち、無限回の繰り返し負荷でも
疲労破壊しない最大応力である、疲労限が高いことも重
要である。この母材の疲労限は、主に引張り強さによっ
て決定され、疲労限を上昇させるには、鋼の添加元素量
を増加して引張り強さを高めることが有効である。例え
ば、特開平2−197525号公報には、Nb、CrおよびMoの1
種以上を添加し、溶接継手の熱影響部の軟化を防止する
ことによって耐疲労性を向上することが示され、これは
母材においても同様である。
【0008】しかしながら、高強度化のために添加元素
を増量すると、溶接割れ感受性指数も上昇するため、溶
接性が劣化することが、新たな問題となる。
を増量すると、溶接割れ感受性指数も上昇するため、溶
接性が劣化することが、新たな問題となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解消した、すなわち圧延後の冷却速度における制約
のない、厚み方向の強度ばらつきが少なく、しかも耐疲
労性および溶接性を両立した、高靱性鋼材の製造方法に
ついて提案することを目的とする。
題を解消した、すなわち圧延後の冷却速度における制約
のない、厚み方向の強度ばらつきが少なく、しかも耐疲
労性および溶接性を両立した、高靱性鋼材の製造方法に
ついて提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】肉厚の鋼材、その典型例
である厚鋼板の材質ばらつきは、冷却工程における、鋼
板表面から中心部までの厚み方向冷却速度の大幅な変化
あるいは製造条件のばらつきによる冷却速度の変化か
ら、組織変動が発生することに起因している。この組織
変動を回避するには、広い冷却速度範囲で均質の組織を
得ることが肝要である。
である厚鋼板の材質ばらつきは、冷却工程における、鋼
板表面から中心部までの厚み方向冷却速度の大幅な変化
あるいは製造条件のばらつきによる冷却速度の変化か
ら、組織変動が発生することに起因している。この組織
変動を回避するには、広い冷却速度範囲で均質の組織を
得ることが肝要である。
【0011】そこで、発明者らは、製造条件が変化して
も均質の組織を得る手法に関して、原点に立ち戻って検
討を重ねたところ、成分組成を新たに設計し直すことに
よって、冷却速度の変化にかかわらず厚み方向の組織を
一定とした、材質ばらつきの少ない鋼板が得られること
を知見するに至った。
も均質の組織を得る手法に関して、原点に立ち戻って検
討を重ねたところ、成分組成を新たに設計し直すことに
よって、冷却速度の変化にかかわらず厚み方向の組織を
一定とした、材質ばらつきの少ない鋼板が得られること
を知見するに至った。
【0012】すなわち、Mn,TiおよびBを適量添加する
ことによって、組織を冷却速度に依存することなく、ベ
イナイト単相とした。また、該組織によって組織の強化
を併せてはかるとともに、Cuの析出および固溶強化に利
用することによって、引張り強さを高めて耐疲労性を向
上した。さらに、未再結晶の低温域あるいは2相域の温
度範囲で圧下率30%以上の圧延を行うことによって、図
1に示すように疲労限を上昇させる。
ことによって、組織を冷却速度に依存することなく、ベ
イナイト単相とした。また、該組織によって組織の強化
を併せてはかるとともに、Cuの析出および固溶強化に利
用することによって、引張り強さを高めて耐疲労性を向
上した。さらに、未再結晶の低温域あるいは2相域の温
度範囲で圧下率30%以上の圧延を行うことによって、図
1に示すように疲労限を上昇させる。
【0013】ここで、図1は、C:0.008 wt%、Si:0.
25wt%、Mn:1.8wt %、Ti:0.01wt%、B:0.0015wt
%、Cu:1.2 wt%、Nb:0.035 wt%およびAl:0.030 wt
%からなる成分系の鋼スラブを、1150℃で1h保持した
後、各仕上温度までに10〜50%圧下後、空冷して50mm
厚の鋼板を製造し、片振り引張疲労試験を行った結果で
ある。
25wt%、Mn:1.8wt %、Ti:0.01wt%、B:0.0015wt
%、Cu:1.2 wt%、Nb:0.035 wt%およびAl:0.030 wt
%からなる成分系の鋼スラブを、1150℃で1h保持した
後、各仕上温度までに10〜50%圧下後、空冷して50mm
厚の鋼板を製造し、片振り引張疲労試験を行った結果で
ある。
【0014】なお、この発明では急速冷却によらずにベ
イナイト単相組織が得られるため、焼入れなどの熱処理
は不要であり、低コストでの製造が可能である。
イナイト単相組織が得られるため、焼入れなどの熱処理
は不要であり、低コストでの製造が可能である。
【0015】この発明は、C:0.001 〜0.02wt%、Mn:
1.0 〜3.0 wt%、Ti:0.005 〜0.20wt%、B:0.0003〜
0.0050wt%、Cu:1.0 〜2.0 wt%およびAl:0.10wt%以
下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有す
る鋼素材を、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、950 ℃以
上の温度域での圧下率が20%以上および全圧下率が30%
以上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕上
げて、厚み:30mm以上の鋼材としたのち、冷却を行うこ
とを特徴とする厚み方向の強度ばらつきが少なくかつ耐
疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法である。
1.0 〜3.0 wt%、Ti:0.005 〜0.20wt%、B:0.0003〜
0.0050wt%、Cu:1.0 〜2.0 wt%およびAl:0.10wt%以
下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有す
る鋼素材を、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、950 ℃以
上の温度域での圧下率が20%以上および全圧下率が30%
以上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕上
げて、厚み:30mm以上の鋼材としたのち、冷却を行うこ
とを特徴とする厚み方向の強度ばらつきが少なくかつ耐
疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法である。
【0016】また、この発明は、C:0.001 〜0.02wt
%、Mn:1.0 〜3.0 wt%、Ti:0.005〜0.20wt%、B:
0.0003〜0.0050wt%、Cu:1.0 〜2.0 wt%およびAl:0.
10wt%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組
成を有する鋼素材を、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、
950 ℃以上の温度域での圧下率が20%以上および全圧下
率が30%以上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範
囲で完了して、厚み:30mm以上の鋼材としたのち、650
℃以下まで冷却を行い、650 ℃以下で冷却を停止し、再
加熱または冷却停止後直ちに500 〜650 ℃の温度範囲で
1200〜6000s保持することを特徴とする厚み方向の強度
ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製
造方法である。
%、Mn:1.0 〜3.0 wt%、Ti:0.005〜0.20wt%、B:
0.0003〜0.0050wt%、Cu:1.0 〜2.0 wt%およびAl:0.
10wt%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組
成を有する鋼素材を、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、
950 ℃以上の温度域での圧下率が20%以上および全圧下
率が30%以上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範
囲で完了して、厚み:30mm以上の鋼材としたのち、650
℃以下まで冷却を行い、650 ℃以下で冷却を停止し、再
加熱または冷却停止後直ちに500 〜650 ℃の温度範囲で
1200〜6000s保持することを特徴とする厚み方向の強度
ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製
造方法である。
【0017】ここで、上記鋼素材が、さらにSi:0.60wt
%以下、Cr:0.2 wt%以下、Ni:2.0 wt%以下、Mo:0.
2 wt%以下、W:0.5 wt%以下、V:0.005 〜0.20wt%
およびNb:0.20wt%以下の1種または2種以上、さらに
はCa:0.006 wt%以下およびREM :0.02 wt %以下の1
種または2種、を含有する組成になることが、高強度
化、さらには溶接熱影響部の靱性の向上に有効である。
%以下、Cr:0.2 wt%以下、Ni:2.0 wt%以下、Mo:0.
2 wt%以下、W:0.5 wt%以下、V:0.005 〜0.20wt%
およびNb:0.20wt%以下の1種または2種以上、さらに
はCa:0.006 wt%以下およびREM :0.02 wt %以下の1
種または2種、を含有する組成になることが、高強度
化、さらには溶接熱影響部の靱性の向上に有効である。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の鋼材の各化学成
分の限定理由について説明する。 C:0.001 〜0.02wt% Cは、強度を確保するために0.001 wt%以上の含有量が
必要であるが、0.02wt%をこえると、溶接性を著しく害
するため、0.001 〜0.02wt%とした。
分の限定理由について説明する。 C:0.001 〜0.02wt% Cは、強度を確保するために0.001 wt%以上の含有量が
必要であるが、0.02wt%をこえると、溶接性を著しく害
するため、0.001 〜0.02wt%とした。
【0019】Mn:1.0 〜3.0 wt% Mnは、実質上冷却速度に依存することなしに、均質なベ
イナイト組織を得るとともに、固溶強化により強度を確
保して耐疲労性を向上するために、1.0 wt%以上は必要
である。一方、3.0 wt%をこえる含有は、靱性を劣化す
るため、1.0 〜3.0 wt%の範囲とする。
イナイト組織を得るとともに、固溶強化により強度を確
保して耐疲労性を向上するために、1.0 wt%以上は必要
である。一方、3.0 wt%をこえる含有は、靱性を劣化す
るため、1.0 〜3.0 wt%の範囲とする。
【0020】Ti:0.005 〜0.20wt% Tiは、ベイナイト組織を形成するためおよびHAZ 靭性の
向上のために0.005 wt%以上は必要であるが、その効果
は0.20wt%をこえると飽和するから、0.005 〜0.20wt%
の範囲とする。
向上のために0.005 wt%以上は必要であるが、その効果
は0.20wt%をこえると飽和するから、0.005 〜0.20wt%
の範囲とする。
【0021】B:0.0003〜0.0050wt% Bは、微量の添加によって鋼の焼入れ性を高めてベイナ
イト組織の形成に寄与する成分であり、少なくとも0.00
03wt%は必要である。一方、0.0050wt%をこえると、BN
などのB化合物を形成して靱性を劣化するため、0.0003
〜0.0050wt%に限定する。
イト組織の形成に寄与する成分であり、少なくとも0.00
03wt%は必要である。一方、0.0050wt%をこえると、BN
などのB化合物を形成して靱性を劣化するため、0.0003
〜0.0050wt%に限定する。
【0022】Cu:1.0 〜2.0 wt% Cuは、析出強化および固溶強化により強度を上昇して耐
疲労性を向上するのに1.0 wt%以上は必要である。一
方、2.0 wt%をこえると、コストの上昇をまねくため、
2.0 wt%以下とする。
疲労性を向上するのに1.0 wt%以上は必要である。一
方、2.0 wt%をこえると、コストの上昇をまねくため、
2.0 wt%以下とする。
【0023】Al:0.10wt%以下 Alは、脱酸のために0.01wt%以上は必要である。しか
し、0.10wt%を超えて添加した場合は鋼の清浄度が劣化
するため上限を0.10wt%とする。
し、0.10wt%を超えて添加した場合は鋼の清浄度が劣化
するため上限を0.10wt%とする。
【0024】この発明は、上記の基本組成に成分調整を
することによって、特に圧延後の冷却速度にほとんど依
存しないで、均質な組織、具体的には体積率で90%以上
がベイナイト組織が得られるところに特徴がある。この
特徴は、図2に結果を示す実験から、明らかである。
することによって、特に圧延後の冷却速度にほとんど依
存しないで、均質な組織、具体的には体積率で90%以上
がベイナイト組織が得られるところに特徴がある。この
特徴は、図2に結果を示す実験から、明らかである。
【0025】すなわち、この発明に従う成分に調整した
鋼(発明例)と、建築材料に用いられる在来の鋼(従来
例)とに関して、製造工程における冷却速度を、0.1 〜
50℃/sの間で種々に変化させて得た鋼板の引張り強さ
を調査した結果について、図2に示す。同図から、この
発明に従う成分に調整することによって、冷却速度に依
存しないで一定した強度が得られることがわかる。特
に、従来では予測できないほど広範囲の冷却速度におい
て、Y.S およびT.S 値のばらつきが少なくなる。これ
は、上述のとおり、Mn,TiおよびBを適量添加が寄与す
るところである。従って、厚鋼板の厚み方向で冷却速度
が変化しても、冷却速度に依存して強度が変化すること
がなく、厚み方向に材質ばらつきの少ない厚鋼板が得ら
れるのである。
鋼(発明例)と、建築材料に用いられる在来の鋼(従来
例)とに関して、製造工程における冷却速度を、0.1 〜
50℃/sの間で種々に変化させて得た鋼板の引張り強さ
を調査した結果について、図2に示す。同図から、この
発明に従う成分に調整することによって、冷却速度に依
存しないで一定した強度が得られることがわかる。特
に、従来では予測できないほど広範囲の冷却速度におい
て、Y.S およびT.S 値のばらつきが少なくなる。これ
は、上述のとおり、Mn,TiおよびBを適量添加が寄与す
るところである。従って、厚鋼板の厚み方向で冷却速度
が変化しても、冷却速度に依存して強度が変化すること
がなく、厚み方向に材質ばらつきの少ない厚鋼板が得ら
れるのである。
【0026】なお、発明例は、C:0.005wt %、Mn:1.
80wt%、Ti:0.01wt%、B:0.0013wt%、Cu:1.1wt %
およびAl:0.035wt %を含み、残部鉄および不可避的不
純物になる成分組成になり、一方、従来例は、C:0.14
wt%、Si:0.4 wt%、Mn:1.31wt%、Al:0.024 wt%、
Nb:0.015 wt%、Ti:0.013 wt%であった。そして、同
じ製造工程における、冷却速度を変化させて、厚み:50
mmの厚鋼板を多数製造して、それぞれの厚鋼板から採取
した試験片にて引張り強さを測定した。
80wt%、Ti:0.01wt%、B:0.0013wt%、Cu:1.1wt %
およびAl:0.035wt %を含み、残部鉄および不可避的不
純物になる成分組成になり、一方、従来例は、C:0.14
wt%、Si:0.4 wt%、Mn:1.31wt%、Al:0.024 wt%、
Nb:0.015 wt%、Ti:0.013 wt%であった。そして、同
じ製造工程における、冷却速度を変化させて、厚み:50
mmの厚鋼板を多数製造して、それぞれの厚鋼板から採取
した試験片にて引張り強さを測定した。
【0027】また、この発明においては、上記基本成分
に、所定の化学成分を添加することによって、強度やじ
ん性のレベルを自在に制御することができる。このと
き、既に獲得した均質な組織は、新たな成分の添加に影
響されることが少ないため、材質ばらつきの少ない高強
度および/または高じん性の厚鋼板が容易に得られるの
である。
に、所定の化学成分を添加することによって、強度やじ
ん性のレベルを自在に制御することができる。このと
き、既に獲得した均質な組織は、新たな成分の添加に影
響されることが少ないため、材質ばらつきの少ない高強
度および/または高じん性の厚鋼板が容易に得られるの
である。
【0028】まず、強度向上をはかるために、析出強化
成分として、Si:0.60wt%以下、Cr:0.2 wt%以下、N
i:2.0 wt%以下、Mo:0.2 wt%以下、W:0.5 wt%以
下、V:0.005 〜0.20wt%、Nb:0.20wt%以下の1種ま
たは2種以上を、添加することができる。これらの析出
強化成分を添加した場合は、後述する析出強化処理を施
すことにより、さらなる強化が可能である。なお、これ
らの成分は、微量でも効果があるため、V以外の下限に
ついては適宜設定することができる。
成分として、Si:0.60wt%以下、Cr:0.2 wt%以下、N
i:2.0 wt%以下、Mo:0.2 wt%以下、W:0.5 wt%以
下、V:0.005 〜0.20wt%、Nb:0.20wt%以下の1種ま
たは2種以上を、添加することができる。これらの析出
強化成分を添加した場合は、後述する析出強化処理を施
すことにより、さらなる強化が可能である。なお、これ
らの成分は、微量でも効果があるため、V以外の下限に
ついては適宜設定することができる。
【0029】Si:0.60wt%以下 Siは、強度上昇のために0.05wt%以上添加するのが好ま
しいが、0.60wt%を越えて添加すると溶接性を阻害する
ため、上限は0.60wt%とする。
しいが、0.60wt%を越えて添加すると溶接性を阻害する
ため、上限は0.60wt%とする。
【0030】Cr:0.2 wt%以下 Crは、母材および溶接部の強度を高めるのに有効である
が、0.2 wt%をこえて添加すると溶接性や溶接熱影響部
(HAZ )の靱性が劣化するため、0.2 wt%以下の範囲で
添加する。
が、0.2 wt%をこえて添加すると溶接性や溶接熱影響部
(HAZ )の靱性が劣化するため、0.2 wt%以下の範囲で
添加する。
【0031】Ni:2.0 wt%以下 Niは、強度および靭性を向上し、またCuを添加した場合
には圧延時のCu割れを防止するのに有効であるが、高価
である上、過剰に添加してもその効果が飽和するため、
2.0 wt%以下の範囲で添加する。なお、0.05wt%未満の
添加では上記の効果が不十分であるため添加量は0.05wt
%以上とすることが好ましい。
には圧延時のCu割れを防止するのに有効であるが、高価
である上、過剰に添加してもその効果が飽和するため、
2.0 wt%以下の範囲で添加する。なお、0.05wt%未満の
添加では上記の効果が不十分であるため添加量は0.05wt
%以上とすることが好ましい。
【0032】Mo:0.2 wt%以下 Moは、常温および高温での強度を上昇する効果がある
が、0.2 wt%をこえると、溶接性が劣化するため、0.2
wt%以下の範囲で添加する。
が、0.2 wt%をこえると、溶接性が劣化するため、0.2
wt%以下の範囲で添加する。
【0033】W:0.5 wt%以下 Wは、高温強度を上昇する効果があるが、高価である
上、0.5 wt%をこえると、じん性が劣化するため、0.5
wt%以下の範囲で添加する。
上、0.5 wt%をこえると、じん性が劣化するため、0.5
wt%以下の範囲で添加する。
【0034】V:0.005 〜0.20wt% Vは、析出強化のために、0.005 wt%以上は添加する
が、0.20wt%をこえて添加しても、その効果が飽和する
ため、0.20wt%を上限とする。
が、0.20wt%をこえて添加しても、その効果が飽和する
ため、0.20wt%を上限とする。
【0035】Nb:0.20wt%以下 Nbは、析出強化、そしてグラニュラーベイニティックフ
ェライト組織の形成のために添加するが、0.20wt%をこ
えると、その効果が飽和するため0.20wt%以下とする。
ェライト組織の形成のために添加するが、0.20wt%をこ
えると、その効果が飽和するため0.20wt%以下とする。
【0036】また、HAZ のじん性向上をはかるために、
CaおよびREM のうちから選んだ少なくとも1種を添加す
ることができる。 Ca:0.006 wt%以下 Caは、硫化物系介在物の形態制御してHAZ の靱性を向上
するのに有効であるが、0.006 wt%をこえると鋼中介在
物を形成して鋼の性質を悪化するため、0.006wt%以下
とする。
CaおよびREM のうちから選んだ少なくとも1種を添加す
ることができる。 Ca:0.006 wt%以下 Caは、硫化物系介在物の形態制御してHAZ の靱性を向上
するのに有効であるが、0.006 wt%をこえると鋼中介在
物を形成して鋼の性質を悪化するため、0.006wt%以下
とする。
【0037】REM :0.02 wt %以下 REM はフェライト析出核の形成に役立ち、またオキシサ
ルファイドとなってオーステナイト粒の粒成長を抑制し
てHAZ のじん性を向上するが、0.02wt%をこえて添加す
ると鋼の清浄度を損なうため、0.02wt%以下とする。
ルファイドとなってオーステナイト粒の粒成長を抑制し
てHAZ のじん性を向上するが、0.02wt%をこえて添加す
ると鋼の清浄度を損なうため、0.02wt%以下とする。
【0038】なお、CaおよびREM は、0.001 wt%未満の
添加では上記HAZ 靱性向上効果が不十分であるため、添
加量は0.001 wt%以上とすることが好ましい。
添加では上記HAZ 靱性向上効果が不十分であるため、添
加量は0.001 wt%以上とすることが好ましい。
【0039】上記成分組成の鋼板は、上述した基本組成
に成分調整をすることによって、均質な組織が得られる
ため、製造条件を厳密に制御する必要はなく、この種の
鋼板を製造する際の通例に従って製造すればよいが、材
質ばらつきの抑制に併せて、耐疲労性および溶接性を確
保するには、次に示す製造工程が有利に適合する。
に成分調整をすることによって、均質な組織が得られる
ため、製造条件を厳密に制御する必要はなく、この種の
鋼板を製造する際の通例に従って製造すればよいが、材
質ばらつきの抑制に併せて、耐疲労性および溶接性を確
保するには、次に示す製造工程が有利に適合する。
【0040】すなわち、上述した基本組成に成分調整し
た鋼スラブを、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、950 ℃
以上の温度域での圧下率が20%以上および全圧下率が30
%以上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕
上げて、その後冷却を行う工程が、耐疲労性および溶接
性を向上する手法として推奨される。
た鋼スラブを、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、950 ℃
以上の温度域での圧下率が20%以上および全圧下率が30
%以上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕
上げて、その後冷却を行う工程が、耐疲労性および溶接
性を向上する手法として推奨される。
【0041】ここで、加熱温度をAc3点〜1350℃とする
のは、ここで組織を一旦オーステナイトとし、引き続く
圧延工程にてベイナイト組織を得るためである。
のは、ここで組織を一旦オーステナイトとし、引き続く
圧延工程にてベイナイト組織を得るためである。
【0042】次に、熱間圧延において、その950 ℃以上
の温度域での圧下率を20%以上とすることによって、γ
組織を整粒化して変態組織を微細化し、高強度化をはか
って耐疲労性を向上し、併せて組織の微細化によって溶
接性をも確保する。
の温度域での圧下率を20%以上とすることによって、γ
組織を整粒化して変態組織を微細化し、高強度化をはか
って耐疲労性を向上し、併せて組織の微細化によって溶
接性をも確保する。
【0043】さらに、熱間圧延は、その全圧下率が30%
以上でかつ800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕上げ
る。なぜなら、圧延仕上温度を800 ℃未満にするのは、
集合組織を発達させて疲労亀裂の進展抵抗を増加するた
めである。すなわち、集合組織によって、疲労亀裂の進
展が阻まれるのである。加えて、圧延仕上温度を800 ℃
未満とすると、図3に示すように、 vTrs≦−40℃とな
る高い靱性が確保できる効果も期待できる。なお、図3
に結果を示した実験は、表1のNo.20 鋼を1150℃に加熱
し、1時間保持後950 ℃までに30%圧延し、その後、仕
上温度+50℃から仕上温度までの間で77%圧延を行い、
空冷する条件で行った。得られた鋼板の板厚中心からシ
ャルピー試験片を採取し、そのvTrsを調査した。
以上でかつ800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕上げ
る。なぜなら、圧延仕上温度を800 ℃未満にするのは、
集合組織を発達させて疲労亀裂の進展抵抗を増加するた
めである。すなわち、集合組織によって、疲労亀裂の進
展が阻まれるのである。加えて、圧延仕上温度を800 ℃
未満とすると、図3に示すように、 vTrs≦−40℃とな
る高い靱性が確保できる効果も期待できる。なお、図3
に結果を示した実験は、表1のNo.20 鋼を1150℃に加熱
し、1時間保持後950 ℃までに30%圧延し、その後、仕
上温度+50℃から仕上温度までの間で77%圧延を行い、
空冷する条件で行った。得られた鋼板の板厚中心からシ
ャルピー試験片を採取し、そのvTrsを調査した。
【0044】一方、圧延仕上温度が650 ℃未満になる
と、変形抵抗が非常に大きくなって圧延不能になる。ま
た、熱間圧延の全圧下率を30%以上としたのは、全圧下
率が30%未満になると、集合組織が発達せずに耐疲労性
の向上を十分にはかられないからである。その後の冷却
速度は、とくに限定されないが、靱性を確保するには、
30℃/sをこえないことが好ましい。
と、変形抵抗が非常に大きくなって圧延不能になる。ま
た、熱間圧延の全圧下率を30%以上としたのは、全圧下
率が30%未満になると、集合組織が発達せずに耐疲労性
の向上を十分にはかられないからである。その後の冷却
速度は、とくに限定されないが、靱性を確保するには、
30℃/sをこえないことが好ましい。
【0045】なお、Cuの析出強化を所期して、圧延後、
650 ℃以下まで冷却を行い、650 ℃以下で冷却を停止
し、再加熱または冷却停止後直ちに500 〜650 ℃の温度
範囲で1200〜6000s保持することが、高強度を確保して
耐疲労性を向上するのに有効である。
650 ℃以下まで冷却を行い、650 ℃以下で冷却を停止
し、再加熱または冷却停止後直ちに500 〜650 ℃の温度
範囲で1200〜6000s保持することが、高強度を確保して
耐疲労性を向上するのに有効である。
【0046】すなわち、温度範囲は500 ℃以上でなけれ
ば十分なCuの拡散が行われず、逆に650 ℃を越えるとCu
が固溶してしまうため、析出強化しない。よって、保持
温度は500 ℃以上650 ℃以下とする。また、冷却途中あ
るいは冷却後、再加熱で1200s 以上保持しなければCu析
出が十分でなく、6000s を越えて保持すると過時効とな
り強度低下が起こるため、保持時間は1200s 以上6000s
以下とする。
ば十分なCuの拡散が行われず、逆に650 ℃を越えるとCu
が固溶してしまうため、析出強化しない。よって、保持
温度は500 ℃以上650 ℃以下とする。また、冷却途中あ
るいは冷却後、再加熱で1200s 以上保持しなければCu析
出が十分でなく、6000s を越えて保持すると過時効とな
り強度低下が起こるため、保持時間は1200s 以上6000s
以下とする。
【0047】
実施例1 表1に示す種々の成分組成に調整した鋼スラブを用い
て、表2に示す条件に従って、厚さ50mmの厚鋼板を製造
した。
て、表2に示す条件に従って、厚さ50mmの厚鋼板を製造
した。
【0048】かくして得られた各厚鋼板について、引張
試験およびシャルピー試験を行って、その機械的性質を
調査するとともに、厚み方向の強度のばらつきを評価す
るため、鋼板断面の硬さを表面より2mmピッチにて測定
して板厚方向の硬さ分布を調査した。また、HAZ のじん
性を評価するため、ピーク温度1400℃で800 ℃から500
℃まで10sで冷却する熱サイクル(50kJ/cmの入熱量で
溶接したときのCGHAZの熱履歴に相当)を施してから、
シャルピー試験片を採取し、0℃でのシャルピー吸収エ
ネルギーを測定した。さらに、耐疲労性を評価するた
め、周波数10Hzの片振り引張の疲労試験を行った。な
お、試験片は表面研削を行っている。
試験およびシャルピー試験を行って、その機械的性質を
調査するとともに、厚み方向の強度のばらつきを評価す
るため、鋼板断面の硬さを表面より2mmピッチにて測定
して板厚方向の硬さ分布を調査した。また、HAZ のじん
性を評価するため、ピーク温度1400℃で800 ℃から500
℃まで10sで冷却する熱サイクル(50kJ/cmの入熱量で
溶接したときのCGHAZの熱履歴に相当)を施してから、
シャルピー試験片を採取し、0℃でのシャルピー吸収エ
ネルギーを測定した。さらに、耐疲労性を評価するた
め、周波数10Hzの片振り引張の疲労試験を行った。な
お、試験片は表面研削を行っている。
【0049】これらの各調査結果を、表3に示すよう
に、この発明に従って得られた厚鋼板は、500MPa以上の
引張強さを有しかつ組織が均一になるため、厚み方向の
硬さのばらつきが鋼材21に比べて極めて小さく、硬さの
最大値と最小値との差がHv で20未満となることがわか
る。また、析出強化成分を添加し析出処理を施した鋼材
1〜20(ただし、鋼材9,10を除く)は、析出強化成分
を含まない鋼材9と比べて、高い強度が得られている。
に、この発明に従って得られた厚鋼板は、500MPa以上の
引張強さを有しかつ組織が均一になるため、厚み方向の
硬さのばらつきが鋼材21に比べて極めて小さく、硬さの
最大値と最小値との差がHv で20未満となることがわか
る。また、析出強化成分を添加し析出処理を施した鋼材
1〜20(ただし、鋼材9,10を除く)は、析出強化成分
を含まない鋼材9と比べて、高い強度が得られている。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】この発明によって得られる鋼材は、工業
的規模での生産における冷却工程で用いられる、いずれ
の冷却速度によっても、強度がばらつくことはない。従
って、今後需要増が予想される、厚み方向の強度ばらつ
きの極めて少ない厚鋼板を、工業的に安定して供給でき
る。なお、この発明は形鋼の分野にも有利に適合する。
的規模での生産における冷却工程で用いられる、いずれ
の冷却速度によっても、強度がばらつくことはない。従
って、今後需要増が予想される、厚み方向の強度ばらつ
きの極めて少ない厚鋼板を、工業的に安定して供給でき
る。なお、この発明は形鋼の分野にも有利に適合する。
【図1】厚鋼板における仕上温度と2×106 回疲労強度
の関係を示す図である。
の関係を示す図である。
【図2】厚鋼板における冷却速度と強度との関係を示す
図である。
図である。
【図3】圧延仕上温度と靱性との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川端 文丸 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (72)発明者 天野 虔一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 平6−93332(JP,A) 特開 昭62−256916(JP,A) 特開 昭60−59018(JP,A) 特開 昭61−213322(JP,A) 特開 平2−173207(JP,A) 特開 平9−176741(JP,A) 特開 平9−176731(JP,A) 特開 平9−249934(JP,A) 特開 平8−144019(JP,A) 特開 平9−157741(JP,A) 特開 平9−137218(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C21D 9/46 - 9/48 C22C 38/00 - 38/60
Claims (4)
- 【請求項1】 C:0.001 〜0.02wt%、 Mn:1.0 〜3.0 wt%、 Ti:0.005 〜0.20wt%、 B:0.0003〜0.0050wt%、 Cu:1.0 〜2.0 wt%および Al:0.10wt%以下 を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有する
鋼素材を、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、950 ℃以上
の温度域での圧下率が20%以上および全圧下率が30%以
上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で仕上げ
て、厚み:30mm以上の鋼材としたのち、冷却を行うこと
を特徴とする厚み方向の強度ばらつきが少なくかつ耐疲
労性に優れた高靱性鋼材の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.001 〜0.02wt%、 Mn:1.0 〜3.0 wt%、 Ti:0.005 〜0.20wt%、 B:0.0003〜0.0050wt%、 Cu:1.0 〜2.0 wt%および Al:0.10wt%以下 を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有する
鋼素材を、Ac3点〜1350℃の温度に加熱後、950 ℃以上
の温度域での圧下率が20%以上および全圧下率が30%以
上の圧延を、800 ℃未満650 ℃以上の温度範囲で完了し
て、厚み:30mm以上の鋼材としたのち、650 ℃以下まで
冷却を行い、650 ℃以下で冷却を停止し、再加熱または
冷却停止後直ちに500 〜650 ℃の温度範囲で1200〜6000
s保持することを特徴とする厚み方向の強度ばらつきが
少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法。 - 【請求項3】請求項1または2において、鋼材が、さら
に Si:0.6 wt%以下、 Cr:0.2 wt%以下、 Ni:2.0 wt%以下、 Mo:0.2 wt%以下、 W:0.5 wt%以下、 V:0.005 〜0.20wt%および Nb:0.20wt%以下 の1種または2種以上を含有する成分組成を有すること
を特徴とする厚み方向の強度ばらつきが少なくかつ耐疲
労性に優れた高靱性鋼材の製造方法。 - 【請求項4】請求項1、2または3において、鋼材が、
さらに Ca:0.006 wt%以下および REM :0.02 wt %以下 の1種または2種を含有する成分組成を有することを特
徴とする厚み方向の強度ばらつきが少なくかつ耐疲労性
に優れた高靱性鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05714596A JP3288572B2 (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | 材質ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05714596A JP3288572B2 (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | 材質ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09249915A JPH09249915A (ja) | 1997-09-22 |
JP3288572B2 true JP3288572B2 (ja) | 2002-06-04 |
Family
ID=13047412
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05714596A Expired - Fee Related JP3288572B2 (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | 材質ばらつきが少なくかつ耐疲労性に優れた高靱性鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3288572B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1026276B1 (en) | 1998-08-05 | 2010-12-29 | Nippon Steel Corporation | Rolled steel product excellent in weatherability and fatigue resisting characteristic and method of production thereof |
JP4110652B2 (ja) * | 1999-01-05 | 2008-07-02 | Jfeスチール株式会社 | 材質ばらつきが少なくかつ溶接部低温靱性に優れた鋼材の製造方法 |
-
1996
- 1996-03-14 JP JP05714596A patent/JP3288572B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09249915A (ja) | 1997-09-22 |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |