JP3376111B2 - 伸縮性複合体 - Google Patents

伸縮性複合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は伸縮性複合体に関し、使
い捨ておむつ、衣料用材料、手袋、靴カバー、帽子、伴
創膏、包帯等のギャザーまたは止め具として広く使用さ
れるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スキー、モータースポーツ、マリ
ンスポーツ等に用いるスポーツウエア、作業用や外科手
術用等の衣料用基材、食品工業などで用いられる作業用
手袋、帽子用ギャザー、腕バンド、ズボン吊り、ベル
ト、パップ剤を塗布した湿布材、おむつ等の用途に対し
て、伸縮性や弾力性等の機能を備えた各種素材が開発さ
れ、用いられてきた。このような要求に対しては種々の
技術が提案されている。例えば、弾性を有する伸縮性部
材とひだを形成する非伸縮性部材とを積層することによ
り弾性複合体を得る方法(特開昭59−59901号公
報、特開昭62−33889号公報、特開平6−318
33号公報、特開平6−31869号公報、特開平6−
47808号公報)、伸縮性布帛と非伸縮性シートを点
接着することにより凹凸伸縮布帛を製造する方法(特開
昭63−92433号公報)、不織布とゴム状弾性糸を
積層する方法(特開昭61−289163号公報、特開
平3ー213543号公報)、ポリウレタンフィルムと
ポリウレタン不織布とを積層する方法(特開昭62−1
21045号公報、特開昭62−162538号公
報)、特定の熱可塑性ゴム層と不織布を積層し伸縮性を
有する積層体を得る方法(特開平3−158236号公
報)等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、使い捨ておむ
つの腰部止め具、外科手術用や作業用衣類のギャザー、
食品を扱う作業、清掃作業、IC製造作業などの際に使
用する帽子、手袋や靴カバーなどの止め具、伴創膏や包
帯等の止め具などには、適度の伸縮性と弾力性を有する
ことが要求されている。前記の開示技術に見られる伸縮
性および弾力性を有する複合体の改良方法では、これら
の要求特性を十分に満たし、かつ製造容易で経済性に優
れたものは得られていない。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するために鋭意検討した結果、特定の熱可塑
性樹脂製の一軸配向体またはフィラメントからなる網状
物と伸縮性エラストマーとを積層することにより、適度
の伸縮性と弾力性を有する伸縮性複合体が得られること
を見出して、本発明を完成するに至ったものである。す
なわち、本発明は、熱可塑性樹脂製の一軸配向体または
フィラメントからなる網状物の片面または両面に伸縮性
エラストマー層を付与してなり、かつ上記網状物の経糸
および緯糸の方向と該伸縮性エラストマー層の成形方向
とのなす角度が10〜80゜であることを特徴とする伸
縮性複合体を提供するものである。
【0005】以下本発明を更に詳述する。本発明で用い
る熱可塑性樹脂製の一軸配向体としては、熱可塑性樹脂
を原料とした(a)縦一軸配向網状化フィルム、(b)
横一軸配向網状化フィルムおよび(c)一軸配向テープ
から選ばれる少なくとも1種の一軸配向体を、配向軸相
互の角度が20〜90゜で交差するように経緯積層しま
たは織成した不織布または織布が用いられる。
【0006】上記熱可塑性樹脂を原料とする(a)縦一
軸配向網状化フィルムは、単一フィルムでもよいが、好
ましくは第1の熱可塑性樹脂層の片面または両面に、第
1の熱可塑性樹脂より融点の低い第2の熱可塑性樹脂層
を積層した多層フィルムを、縦一軸方向(フィルムの成
形方向)に延伸または圧延し、かつ延伸または圧延の前
および/または後に、例えばスリッターを用い縦方向に
割繊したものである。図2は、(a)縦一軸配向網状化
フィルムの一例の部分拡大斜視図である。図において、
縦一軸配向網状化フィルム1は、第1の熱可塑性樹脂層
2の両面に第2の熱可塑性樹脂層3を積層し、延伸また
は圧延および縦方向の割繊処理を行ったものである。図
中、4は幹繊維、5は枝繊維である。また、熱可塑性樹
脂を原料とする(b)横一軸配向網状化フィルムは、好
ましくは第1の熱可塑性樹脂層の片面または両面に、第
1の熱可塑性樹脂より融点の低い第2の熱可塑性樹脂層
を積層した多層フィルムを、横一軸方向(フィルムの成
形方向と直角の方向)に延伸または圧延し、かつ延伸ま
たは圧延の前および/または後に、例えばスリッターを
用い横方向に割繊したものである。図3は、(b)横一
軸配向網状化フィルムの一例の部分拡大斜視図である。
図において、横一軸配向網状化フィルム6は、第1の熱
可塑性樹脂層2の両面に第2の熱可塑性樹脂層3を積層
した後、延伸または圧延および横方向の割繊処理を行っ
たものである。さらに、熱可塑性樹脂を原料とする
(c)一軸配向テープは、前記第1の熱可塑性樹脂単独
フィルムまたは前記のような例えば3層構成のフィルム
を裁断し、かつ裁断前および/または後に、延伸または
圧延により一軸配向したものである。
【0007】上記第1の熱可塑性樹脂としては、高密度
および中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリヘキセン
−1等のα−オレフィンの単独重合体、プロピレン−エ
チレン共重合体等のα−オレフィン相互の共重合体等の
ポリオレフィン類、ポリアミド、ポリエステル、液晶ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール
等が挙げられる。
【0008】上記第1の熱可塑性樹脂より融点の低い第
2の熱可塑性樹脂としては、高密度、中密度および低密
度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポ
リエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン
−アクリル酸エチル等のエチレン−アクリル酸エステル
共重合体およびエチレン−メタクリル酸エチル等のエチ
レン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−(マ
レイン酸またはそのエステル)共重合体;ポリプロピレ
ン、プロピレン−エチレン共重合体等のプロピレン系重
合体;不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン等が
挙げられる。製造上の理由から、第2の熱可塑性樹脂と
上記の第1の熱可塑性樹脂との融点の差は5℃以上であ
ることが好ましく、さらに好ましくは10〜50℃以上
である。
【0009】本発明で用いる不織布または織布における
具体的な一軸配向体の組合せとしては、(1)図4に示
すように、(a)縦一軸配向網状化フィルム1を2枚積
層した不織布7、(2)(a)縦一軸配向網状化フィル
ムと(b)横一軸配向網状化フィルムとを積層した不織
布、(3)図5に示すように、(c)一軸配向テープ8
を2組積層した不織布9、(4)図6に示すように、
(c)一軸配向テープ8を織成した織布10等が挙げら
れる。一軸配向体からなる網状物の具体的な例としては
「日石ワリフ」(商品名、日石プラスト(株)製)を挙げ
ることができる。
【0010】本発明で用いる熱可塑性樹脂製のフィラメ
ントからなる網状物としては、経糸および緯糸を交差さ
せ、その交点において融着することにより製網した熱可
塑性樹脂製ネットが挙げられる。熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リアミド等が用いられるが、ポリプロピレンが最も好ま
しい。熱可塑性樹脂製ネットの具体的な例としては「日
石コンウエッドネット」(商品名、日石シートパレット
システム(株)製)を挙げることができる。
【0011】本発明で用いる伸縮性エラストマーとして
は、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴム等が挙
げられる。
【0012】上記熱可塑性エラストマーとしては、ポリ
オレフィン系(TPO)、ポリアミド系、ポリスチレン
系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系等
のエラストマーが挙げられる。これらの内ではポリウレ
タン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0013】上記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
としては、トリレンジイソシアネートやp,p'−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の有機ジイソシアネート
と、ジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエス
テル等の低融点ポリオールおよび鎖延長剤との反応によ
って得られるポリマーが挙げられる。
【0014】上記合成ゴムとしては、ポリウレタンゴ
ム、エチレンプロピレン系ゴム、天然ゴム、ニトリルゴ
ム、イソブチレンゴムなどが挙げられ、これらは単独で
も混合物でもよい。
【0015】上記エチレンプロピレン系ゴムとしては、
エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重
合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー
(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)
を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPD
M)が挙げられる。
【0016】本発明に用いる伸縮性エラストマー層を予
め作製しておく場合には、押出成形によるインフレーシ
ョン成形法もしくはTダイ法、カレンダー加工法、流動
浸漬法またはポリウレタン溶液のキャスティング法など
によりフィルムやシートを成形し、あるいはスパンボン
ド法、メルトブロー法等により不織布を作製する。
【0017】本発明において、熱可塑性樹脂製の一軸配
向体またはフィラメントからなる網状物の片面または両
面に、伸縮性エラストマー層を形成する方法としては、
押出ラミネート法、接着剤による貼合法、または加熱お
よび加圧による融着法等が用いられる。また、ポリウレ
タン溶液のキャスティング法によるポリウレタンフィル
ムの場合は、キャスティング法により得られたフィルム
に接着剤、好ましくは低重合度のウレタン接着剤を塗布
した後、一軸配向体またはフィラメントを積層し加熱お
よび加圧を行い、ウレタン接着剤を硬化させることによ
り積層体を得ることができる。図1は、本発明の伸縮性
複合体の一例の部分拡大断面図である。伸縮性複合体1
1は、(a)縦一軸配向網状化フィルムからなる網状物
である不織布7の両面に、伸縮性エラストマー層12を
付与したものである。なお、不織布7の断面は図4の矢
印I−Iに該当する。
【0018】本発明の複合体としての積層体を製造する
際に、接着性を強化するために、予め一軸配向体または
フィラメントからなる網状物に表面処理を施すことが好
ましい。表面処理としては、例えば公知のコロナ放電処
理、プラズマ処理、紫外線処理等の物理的表面処理また
は溶剤処理等の化学的表面処理が挙げられる。表面処理
された表面の濡れ指数は40dyne/cm 以上であることが
好ましい。
【0019】本発明の伸縮性複合体においては、熱可塑
性樹脂製の一軸配向体またはフィラメントからなる網状
物の経糸および緯糸の方向と引張方向とのなす角度が1
0〜80゜であることが必要であるが、また、経糸およ
び緯糸の方向と伸縮性エラストマー層の成形方向とのな
す角度が10〜80゜であることが好ましい。さらに、
伸縮性エラストマー層の成形方向に対して、経糸が右回
り方向に10〜80゜の場合には、緯糸は左回り方向に
10〜80゜となるように積層するのがより好ましい。
【0020】本発明においては、熱可塑性樹脂製の一軸
配向体またはフィラメントからなる網状物および伸縮性
エラストマー層に対し、帯電防止剤、防曇剤、有機ある
いは無機フィラー、酸化防止剤、滑剤、有機あるいは無
機系顔料、紫外線防止剤、分散剤、造核剤、発泡剤、難
燃剤、架橋剤などの公知の添加剤を、発明の特性を本質
的に阻害しない範囲で添加することができる。
【0021】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。 <実施例1>まず、多層フィルムを以下のように成形し
た。製膜工程において、多層水冷インフレーション法に
より、高密度ポリエチレン(密度=0.956g/cm3、M
FR=1.0g/10min、商品名:日石スタフレン E71
0、日本石油化学(株)製)を芯層とし、その両面に接着
層として、低密度ポリエチレン(密度=0.924g/c
m3、MFR=3.0g/10min、商品名:日石レクスロン
F30、日本石油化学(株)製)を積層し、厚みが接着層
15μm/芯層100μm/接着層15μmの3層構造
からなる、幅90cmの多層フィルムを製造した。次
に、延伸工程において、縦方向(成形方向)に延伸倍率
9倍に一軸延伸して、厚み40μm、幅30cmの一軸
延伸フィルムを作製し、実公昭51−38979号公報
に示されている割繊具を用いて縦方向に割繊した後、幅
方向に3倍拡幅して(a)縦一軸配向網状化フィルムを
得た。次の積層工程において、得られたフィルム2枚を
配向軸の角度が60゜で交差するように経緯積層して不
織布Aを作製した。次いで、不織布Aの両面にコロナ放
電処理を行った後、各20μmの厚みのウレタン系熱可
塑性エラストマーを押出ラミネート法により積層した。
この際、エラストマー層の成形方向に対し不織布Aの経
糸が右回り方向に30゜、緯糸が左回り方向に30゜と
なるように積層し、図1に示すような伸縮性複合体を得
た。得られた伸縮性複合体の伸長率は、成形方向に15
%、直角方向に50%であった。
【0022】<実施例2>実施例1と同様に多層フィル
ムを成形し、その延伸工程において、横方向(成形方向
と直角方向)に一軸延伸して得た(b)横一軸配向網状
化フィルムと、実施例1で用いた(a)縦一軸配向網状
化フィルムを、両フィルムの配向軸の角度が60゜で交
差するように経緯積層して不織布Bを作製した。次い
で、実施例1と同様にして、不織布Bの両面に、各20
μmの厚みのウレタン系熱可塑性エラストマーを押出ラ
ミネート法により積層した。この際、エラストマー層の
成形方向に対し不織布Bの経糸が右回り方向に60゜、
緯糸が左回り方向に60゜となるように積層し一方向伸
縮性複合体を得た。得られた伸縮性複合体の伸長率は、
成形方向に50%、直角方向に15%であった。
【0023】<実施例3>縦方向に一軸延伸したフィル
ムを裁断して得た(c)一軸配向テープを、その2組の
配向軸の角度が60゜で交差するように経緯積層して不
織布Cを作製した他は実施例1と同様に行った。得られ
た伸縮性複合体の伸長率は、成形方向に15%、直角方
向に50%であった。
【0024】<実施例4>縦方向に一軸延伸したフィル
ムを裁断して得た(c)一軸配向テープを、その2組の
配向軸の角度が60゜で交差するように経緯製織して織
布Dを作製した他は実施例1と同様に行った。得られた
伸縮性複合体の伸長率は、成形方向に15%、直角方向
に50%であった。
【0025】
【発明の効果】本発明の伸縮性複合体は、熱可塑性樹脂
の一軸配向体またはフィラメントからなる網状物の片面
または両面に、網状物の経糸および緯糸の方向と伸縮性
エラストマー層の成形方向との角度が10〜80゜であ
るように伸縮性エラストマー層を積層したことにより、
伸縮性と弾力性を適度にバランスよく有し、従来の弾性
複合体では得られなかった優れた作用効果を有する。上
記の特性を活かし、使い捨ておむつの腰部止め具、外科
手術用や作業用などの衣類、食品を扱う作業、清掃作
業、IC製造作業などの際に使用する帽子、手袋や靴カ
バーなどの止め具、伴創膏、包帯等の止め具などに広く
利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伸縮性複合体の一例の部分拡大断面図
である。
【図2】(a)縦一軸配向網状化フィルムの一例の部分
拡大斜視図である。
【図3】(b)横一軸配向網状化フィルムの一例の部分
拡大斜視図である。
【図4】不織布の一例の部分平面図である。
【図5】不織布の他の例の部分平面図である。
【図6】織布の一例の部分斜視図である。
【符号の説明】
1 縦一軸配向網状化フィルム 2 第1の熱可塑性樹脂層 3 第2の熱可塑性樹脂層 6 横一軸配向網状化フィルム 7、9 不織布 8 一軸配向テープ 10 織布 11 伸縮性複合体 12 伸縮性エラストマー層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−158236(JP,A) 特開 昭59−76246(JP,A) 特開 平3−180560(JP,A) 特開 昭55−45848(JP,A) 特開 昭52−101865(JP,A) 特開 平6−207359(JP,A) 特開 平8−1840(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂製の一軸配向体またはフィ
    ラメントからなる網状物の片面または両面に伸縮性エラ
    ストマー層を付与してなり、かつ該網状物の経糸および
    緯糸の方向と該伸縮性エラストマー層の成形方向とのな
    す角度が10〜80゜であることを特徴とする伸縮性
    合体。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂製の一軸配向体からな
    る網状物が、下記(a)、(b)および(c)から選ば
    れる少なくとも1種の一軸配向体を、相互の配向軸が2
    0〜90゜の角度で交差するように経緯積層しまたは織
    成してなる熱可塑性樹脂製不織布または織布であること
    を特徴とする請求項1に記載の伸縮性複合体、 (a)縦一軸配向網状化フィルム (b)横一軸配向網状化フィルム (c)一軸配向テープ。
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