JP3375815B2 - 皮革様シート - Google Patents

皮革様シート

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JP3375815B2
JP3375815B2 JP05744096A JP5744096A JP3375815B2 JP 3375815 B2 JP3375815 B2 JP 3375815B2 JP 05744096 A JP05744096 A JP 05744096A JP 5744096 A JP5744096 A JP 5744096A JP 3375815 B2 JP3375815 B2 JP 3375815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノンスリップ性を
有する皮革様シートに関し、特に、スポーツ手袋、アメ
リカンフットボール用やバスケットボール用のボールな
どに好適な皮革様シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ノンスリップ性を有する皮革
様シートを得る方法として種々の方法が提案されてい
る。たとえば特公平7−30285号公報には、分子中
に水酸基を有するポリウレタン樹脂、分子中に水酸基を
含有する液状ゴム、無機または有機充填剤、およびイソ
シアネートプレポリマーを配合した被膜用組成物をシー
ト表面にコートする方法が、また実開昭63−1974
75号公報には、不織布にゴム弾性を示す樹脂を含浸固
化させ、そしてその中間層にてスライスする方法が、さ
らに特開昭63−152483号公報には、ゴム系素材
にゼラチンを混入して加熱発泡成形したのち、その成形
品の表面スキン層の一部を取り除き、そして表面のゼラ
チンを熱水にて除去して表面を多孔構造とする方法が、
それぞれ提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
分子中に水酸基を有するポリウレタン樹脂、分子中に水
酸基を含有する液状ゴム、無機または有機充填剤、およ
びイソシアネートプレポリマーを配合した被膜用組成物
をシート表面にコートする方法ではコートされる面は繊
維と樹脂が混在する表面ではなく、したがって得られる
シートは透湿性が低く、ボール、手袋などに使用された
時に微妙なハンドリング性が得られない。さらに、得ら
れるノンスリップ性に関しても満足できるものではな
く、特に表面が濡れた状態では水分が滑剤として作用す
るためハンドリング性はさらに低下して不十分であっ
た。また上記の不織布にゴム弾性を示す樹脂を含浸固化
させてその中間層にてスライスする方法では、繊維立毛
が表面にあり、含浸された樹脂のノンスリップの効果が
十分に発揮されない。さらに上記の、ゴム系素材にゼラ
チンを混入して加熱発泡成形した成形品の表面スキン層
の一部を取り除きかつ表面のゼラチンを熱水にて除去し
て表面を多孔構造とする方法の場合には、基体層が多孔
質であるため、機械的強度が不足しており、ボールや手
袋などのハードな使用には適さないものであった。
【0004】アメリカンフットボールやバスケットボー
ル等の種目に用いられるボールは、ノンスリップ性が要
求され、さらにそのようなボールを扱う手が汗等により
濡れている場合にも滑ることが少ないことが要求され
る。またゴルフ手袋や野球用手袋なども汗により滑るこ
とが少ないことが求められる。本発明の目的は、特に汗
や雨水などの水分が表面に付着した状態でノンスリップ
性に優れ、かつハンドリング性に優れ、しかも十分なる
機械的強度を有する皮革様シートを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、基体層
およびその表面に形成された立毛層からなり、かつ該基
体層表面には内部に連通する孔を有する皮革様シートの
該立毛層に、表面に水分が付着した状態でノンスリップ
性を発揮する化合物が非連続状に付与されていることを
特徴とする皮革様シートにより達成される。
【0006】本発明にて使用される基体層としては、編
織布、不織布にかかわらず、少なくとも片面を立毛が存
在している繊維布帛およびその内部に弾性重合体が含浸
されたものであり、かつ皮革様シートとして良好な厚み
や風合いを有するシートであれば特に限定されるもので
はない。もちろん編織布と不織布を重ね合わせたもので
も良い。特に本発明においては、天然皮革様の伸縮性、
風合い、立毛性などを達成する上で、三次元絡合不織布
が好ましい。本発明の皮革様シートにおいては、基体層
が上記したように繊維布帛とその内部に含浸された弾性
高分子からなることにより、前記した従来のものと比べ
て繊維による補強効果により機械的強度の点で極めて優
れていることとなる。さらに天然皮革調の性能を得る点
からも繊維布帛が用いられていることが極めて重要であ
る。
【0007】また、編織布、不織布を構成する繊維に関
しては特に限定されるものではなく、公知のセルロース
系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリイミド系繊維
など合成繊維あるいは天然繊維、再生繊維、半合成繊維
等が挙げられ、これら繊維は単独であっても、あるいは
複数種が混合使用されてもよい。特に基体層が連通孔を
有していることにより、表面が濡れた状態で滑剤として
作用する水分を基体層に吸収する働きを高めるような水
分を吸収する繊維を使用することがさらに好ましい。良
好なノンスリップ性およびハンドリング性、さらに天然
皮革様の柔軟性や風合い、手触り感を有するためには、
表面立毛繊維の単繊度は0.2デニール以下が好まし
い。特に本発明において基体層を構成する繊維としては
単繊度は0.2デニール以下の極細繊維が数本〜数百本
集束して、トータルデニールが0.5〜20デニールと
なった、いわゆる極細繊維束が柔軟性や立毛性の点で好
ましい。このような極細繊維束は、相溶性を有しない2
種以上のポリマーを混合して溶融して口金から吐出、あ
るいは該ポリマーを別々に溶融し紡糸口金で合わせて吐
出することにより、断面が海島構造あるいは多層貼り合
わせ構造となっている繊維を製造し、この繊維から海成
分を除去、あるいは層間で剥離することにより得られ
る。
【0008】本発明を構成する皮革様シートは、上記し
たように、基体層の内部に連通する微細な孔(すなわち
空間部分)が基体層表面、すなわち立毛の根元付近や根
元間に無数に存在していることにより天然皮革並の柔軟
な風合いとなる。また、表面に存在する微細な連通孔は
ノンスリップ性を低下させる要因となる汗や水等を毛細
管現象により基体層内部に吸収し、水によるノンスリッ
プ性低下を防ぐ働きをしている。
【0009】連通孔を有する基体層を得る方法として
は、編織布や不織布に、弾性高分子系の樹脂溶液や分散
液を含浸させ、樹脂を非溶剤により湿式凝固させる方法
やエマルジョンを熱により破壊して凝固させる方法や、
該樹脂の含浸時に易抽出成分を添加しておき樹脂の凝固
後に易抽出成分を抽出除去する方法などが挙げられる。
風合い及び機械的強度の点から、前記極細繊維束を絡号
した不織布に樹脂溶液を含浸し、樹脂を湿式凝固させる
方法が好ましい。
【0010】基体層を構成する樹脂としては、公知の高
分子弾性体が使用できるが、風合いの点からポリウレタ
ン樹脂を用いることが好ましい。好ましいポリウレタン
樹脂としてはソフトセグメントにおいてジオールとジカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とを反応させ
て得られるポリエステルジオール、ポリラクトンジオー
ル、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール
等からなる群より選ばれた数平均分子量が500〜50
00の少なくとも1種のポリマージオールを使用し、こ
れとジイソシアネート化合物と低分子量伸長剤とを反応
せしめて得られる、いわゆるセグメンテッドポリウレタ
ンが挙げられる。上記ジオール化合物としては耐久性あ
るいは皮革様の風合いの点で炭素数6以上10以下の化
合物が好ましく、例えば、3−メチル−1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオールなどがあげられる。ジカルボ
ン酸の代表例としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボ
ン酸などが挙げられる。
【0011】ポリマージオールの数平均分子量が500
未満の場合には、柔軟性に欠け、天然皮革様の風合いが
得られないため好ましくない。ポリマージオールの数平
均分子量が5000を越える場合には、ウレタン基濃度
が減少するため柔軟性および耐久性、耐熱性、耐加水分
解性にバランスの取れたシートが得られにくい。また、
低分子鎖伸長剤としては、例えばエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオ
ール、エチレンジアミンなどの活性水素原子を2個有す
る低分子量化合物が挙げられる。また、ジイソシアネー
ト化合物としては、たとえば4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェ
ニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート
等の芳香族系や脂肪族系、脂環族系のものが挙げられ
る。また、必要に応じて、顔料、染料、凝固調節剤、安
定剤などを添加してもよく、さらに2種以上のポリマー
を併用してもかまわない。
【0012】高分子弾性体の付与方法については特に限
定されるものではないが、風合いのバランスの点から繊
維質シートに高分子弾性体溶液を含浸する方法が好まし
い。また、天然皮革様の柔軟な風合いの点から、基体層
の編織布や不織布を構成する繊維と高分子弾性体は重量
比率で30/70〜80/20の範囲内にあることが好
ましい。さらに好ましくは繊維/弾性体の比率にて40
/60〜55/45の範囲内である。基体層で繊維の比
率が低くなり過ぎるとゴムライクな風合いとなり好まし
くなく、また繊維の比率が高くなり過ぎるとペーパーラ
イクになり目標とする天然皮革様の風合いが得られな
い。
【0013】基体層の表面に立毛を存在させる方法とし
ては、特に限定されないが、好ましくはサンドペーパー
などの研磨材にて表面を擦り、繊維を掘り起こす方法が
高級感のある天然皮革様の面感が得られるので好まし
い。立毛は、特に基体層にハンドリング性および表面塗
布樹脂を強固に接着させる効果の点から必要である。本
発明の皮革様シートは各種ボールや手袋などの極めて激
しい力がかかる製品に好適に用いられるものであること
より、表面樹脂には高度の耐剥離性が要求される。この
要求に答えるために、表面立毛が存在していることが特
に重要である。表面立毛がない場合には、基体層に塗布
した表面樹脂が剥離しやすく好ましくない。
【0014】また、密着性を高めるために、立毛表面に
プレポリマー等を全面塗布して接着層を介在させて表面
樹脂を形成する方法が一般に用いられているが、この方
法は、連通孔による効果を低下させるため好ましくな
い。
【0015】表面に水分が付着したときにノンスリップ
性が発揮する化合物としては、アビエチン酸系化合物が
挙げられ、具体的には、アビエチン酸、デヒドロアビエ
チン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸
等の化合物及びこれら化合物の水素添加物が挙げられ
る。もちろんこれら化合物は混合して用いてもよい。こ
れら化合物は、水分を含んだときに初めて粘着性を発生
する。特に軟化点が65〜80℃である化合物が好まし
い。
【0016】またこれら化合物により、ノンスリップ性
を長期間保つために、これら化合物を、ポリテルペン樹
脂、石油炭化水素樹脂などの粘着付与剤に練り込み、こ
の混合物を塗布してもよい。さらに手袋やボールなどに
使用された場合、表面に水が付着した時のみならず、表
面に水の付着していないドライな状態でも同様のノンス
リップ性を必要とされるため、また表面に付与する上記
化合物は、スチレンーイソプレンブロック共重合体、ス
チレンーブタジエンブロック共重合体等のスチレン−ジ
エン系モノマーの共重合体又はその水素添加物との混合
物で添加しても良い。これらスチレン−ジエン系モノマ
ーのブロック共重合体及びその水素添加物粘着付与剤
は、ドライな状態でのノンスリップ性をもたらすのみな
らず、ノンスリップ性を長期間保つ働きも有している。
さらにそれらのノンスリップ性を付与する化合物に他の
種類のポリマーを組み合わせたりしてもよい。皮革様シ
ートの表面に付与する、表面に水分が付着したときにノ
ンスリップ性が発揮する化合物の量としては、5〜80
g/m2が好ましい。
【0017】本発明の皮革様シートをボールなどに使用
する場合には、滑り止め効果をさらに向上させるため
に、表面樹脂を付与するに先立って、基体層の表面を賦
型して面に凹凸を与えることが好ましい。また、軟化
剤、充填剤、老化防止剤などを表面の摩擦抵抗が低下し
ない範囲であれば添加してもよい。表面に水分が付着し
たときにノンスリップ性が発揮する化合物を塗布する方
法としては非連続状態にて塗布する方法が用いられる。
具体的な方法としてはグラビアロールにてドット状に転
写する方法が好ましい。また、スプレー法等による塗布
でも同様の効果が得られる。一方、ナイフコートなど表
面に一定の厚みを持ってコートする方法、工程紙など基
材に樹脂を塗布して製膜し、接着層を介して基体層に接
着する方法、押し出し機からダイを通じて基体層上に均
一に押し出して表面に製膜する方法があるが、これらの
方法では通常、樹脂層が連続状態にて基体層表面に樹脂
が塗布されているため立毛繊維と混在一体化することに
よって得られる微妙なハンドリング性が得られず、ま
た、連通孔による表面に付着した水分の吸収の効果が得
られないため好ましくない。
【0018】なお、本発明でいう非連続状とは、立毛表
面の全面に化合物が付与されていない状態をいい、ある
方向には化合物層が存在しているが、ある方向には化合
物層が不連続に存在しているような状態、及びすべての
方向に対して化合物層が不連続に存在しているような状
態を意味している。本発明において、任意の1cm四方
の大きさの皮革様シートを切り出した場合に、立毛面に
化合物層が存在している部分と化合物が存在していない
部分が常に共存しているような化合物層の非連続が好ま
しい。
【0019】また、基体層の水分の吸収性については、
水滴を0.03cc滴下した状態で表面より水滴の表面
が60秒以内に見えなくなる吸収性が好ましい。
【0020】皮革様シートのノンスリップ性を測定する
方法として、表面摩擦係数をカトーテック(株)製摩擦感
テスターKES−SEにて温度20℃、湿度65%の条
件下にて測定する方法が挙げられる。表面がWETな状
態での摩擦感を測定するには10g/m2の水分を表面
に噴霧して10秒後に上記摩擦感テスターで測定するこ
とが挙げられ、る。表面摩擦感について表面がDRY、
WETの状態に関わりなく表面摩擦係数が0.5〜10
の範囲内にあるときがハンドリング性が良好で優れた滑
り止め効果が得られることを見いだした。また本発明の
皮革様シートにおいてもこの条件を満足していることが
好ましく、特に上記したアビエチン酸系化合物を非連続
状で表面に存在している場合には、DRY時には摩擦感
が低く表面摩擦係数が0.5以下であるが、表面に水分
が付着してWETになったとき初めて、表面摩擦係数
0.5〜10の範囲を満足することになる。表面摩擦係
数については、表面摩擦係数が10より高い場合にはノ
ンスリップ感が高すぎて、表面タッチが粘着するタッチ
になり、ボール、手袋など製品としてのハンドリング
性、加工性に問題があるため好ましくない。また、表面
摩擦係数が0.5より低い場合には目的とするノンスリ
ップ感が低くハンドリング性も悪い。本発明において表
面がWETな状態で初めてノンスリップ性を付与する化
合物としては、該化合物をポリエステルフィルム上の厚
さ50μmとなるように全面塗布した場合に、上記表面
に水分を付着させた状態で表面摩擦係数を測定した値が
0.5〜20となる樹脂を意味している。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施態様を実施例で具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中の部数及び%は断わりのない限
り重量に関するものである。表面摩擦係数の測定方法
は、カトーテック(株)製摩擦感テスターKES−SEに
て温度20℃、湿度65%の条件下にて測定した。ま
た、表面がWETな状態での摩擦感の測定は10g/m
2の水分を表面に噴霧して10秒後に上記摩擦感テスタ
ーで測定した。
【0022】実施例1 ナイロン/ポリエチレンをチップで50/50の量率で
混合して、押出機にて紡糸を行い海島状繊維(ナイロン
が島成分、ポリエチレンが海成分)を紡糸し、延伸、カ
ットした4デニールの短繊維を絡合して不織布を得た。
この繊維質シートにポリウレタン(ポリエチルペンタン
アジペートとポリエチレングリコールからなる平均分子
量2000のポリマージオール、4、4’−ジフェニル
メタンジイソシアネートおよびブタンジオールからなる
ポリウレタン)のジメチルホルムアミド溶液を含浸し、
湿式凝固させた後、繊維成分の海成分を抽出し、目付2
70g/m2、厚み0.8mmポリウレタンと繊維の比
率が55/45の基体層を得た。得られたシートのナイ
ロン極細繊維の繊度は0.06デニールであり、かつ、
柔軟な皮革様の風合いを有していた。得られた基体層の
片面をサンドペーパーにてバフィングして該ナイロン極
細繊維からなる立毛面を得た。ノンスリップ性を高める
ため表面にエンボッシングマシンにて表面にバスケット
ボール調のエンボス凹凸を付与した。
【0023】表面がWETな状態でノンスリップを高め
る化合物として、アビエチン酸49%、デヒドロアビエ
チン酸7%、ネオアビエチン酸10%、パラストリン酸
18%、ピマル酸10%、その他6%からなる組成物5
0部をシクロヘキサノン50部に溶解した液を調製し、
グラビア方式にて基体層の立毛面に30g/m2の塗布
量でドット状に塗布した。この皮革様シートを厚さ方向
の切断面に電子顕微鏡にて観察すると、基体層の表面か
ら内部さらに裏面に至る孔が無数に存在していることが
わかった。表面を観察したがツヤ感がなく、特に樹脂等
が存在していると認められなかった。得られた製品の透
湿度は2560g/m2/24時間であった。ノンスリ
ップの測定をカトーテック(株)製摩擦感テスターKES
−SEにて測定したところ、表面に水分が存在しない状
態で表面摩擦係数(μ)は0.3であった。表面にスプ
レーにて水分を10g/m2噴霧し、10秒間静置して
表面摩擦係数を測定したところ1.5まで上昇した。ま
た、水上スキー用手袋に加工して実用テストしたところ
表面に水分の存在しない場合、ハンドリング性は滑り気
味であったが、上記化合物を塗布した面にスプレーにて
水分を噴霧したところ、初めて表面タック感が現れ滑り
止めの効果が発現してハンドリング性が良好になった。
さらに表面摩耗性、引張強度等の機械的性能においても
優れたものでありアウトドアスポーツ用手袋用素材とし
て十分使用可能であった。さらに、この素材を表面材と
してバスケットボールを作製したところ、気温の高い発
汗状態の激しい条件下で使用しても滑ることがなく、極
めてハンドリング性に優れたものであった。
【0024】実施例2 上記実施例1の基体層において、表面がWETな状態で
ノンスリップを高める化合物50部をシクロヘキサノン
50部に溶解した液中に、表面がDRYな状態でノンス
リップを高める樹脂としてスチレン−イソプレンブロッ
ク共重合ポリマーの水素添加物[(株)クラレ製セプト
ン2043(SEPSと略す)]30部および粘着付与
剤としてテルペン系樹脂30部をトルエン70部に溶解
した液を混合して表面タック感付与液として調製した。
その液をグラビア方式にて基体層の立毛面に30g/m
2の塗布量で塗布した。塗布面を観察すると樹脂層は平
均直径0.13mmの丸い大きさにスポット的に塗布さ
れておりかつ隣合うスポットの間には塗布されていない
部分が巾約0.03mmで存在していた。またこの皮革
様シートを厚さ方向の切断面に電子顕微鏡にて観察する
と、基体層の表面から内部さらに裏面に至る孔が無数に
存在していることがわかった。得られた製品の透湿度は
2038g/m2/24時間であり、実施例1の、WE
Tな状態でノンスリップを高める化合物のみを用いた場
合の測定値に比べて若干低下したが、実用テストにて評
価したレベルでは問題がなかった。ノンスリップの測定
をカトーテック(株)製摩擦感テスターKES−SEにて
測定したところ、表面に水分が存在しない状態で表面摩
擦係数μは7.0であった。また、表面にスプレーにて
水分を10g/m2噴霧し、10秒間静置して表面摩擦
係数を測定したところ、スチレンーイソプレン系樹脂と
アビエチン酸系化合物の相乗効果で11.6まで上昇し
ていた。またこの皮革様シートをアメリカンフットボー
ルの表面材に加工して実用テストしたところ表面状態が
DRY,WETのどちらの状態でも表面タック感は良好
であり、特に野外テストにて雨天時にテストしたとこ
ろ、表面が雨水に濡れたときもハンドリング性は良好で
十分な滑り止めの効果を有した。また、3ヶ月間使用し
ても表面樹脂の剥離はほとんど見られずノンスリップ性
の低下はほとんどなく、表面のDRY,WETに関わら
ずハンドリング性は良好であった。さらに引張強度等の
機械的性能においても優れたものであった。
【0025】比較例1 上記実施例1において、表面がWETな状態でノンスリ
ップを高める化合物を塗布する代わりに、酢酸ビニル樹
脂を押出成形して実施例1の基体層上に25g/m2
塗布量で全面に塗布したところ、ノンスリップ性は若干
あるシートが得られた。また、得られたシートの表面に
水滴を0.03cc滴下しても表面にフィルム層が存在
するため表面に水滴が浮いたままであった。手袋に加工
して実用条件のテストにおいても透湿性がないため発汗
時にスリップして、表面タッチで満足できる機能ではな
かった。
【0026】比較例2 上記実施例2において表面に塗布する樹脂をスチレン−
イソプレンブロック共重合ポリマーの水素添加物とテル
ペン系樹脂のみで表面がWETな状態でノンスリップを
高める化合物を添加しない組成の樹脂を同じ塗布量にて
実施例1の基体層の表面に塗布したところ、透湿性、吸
水性を有しかつ表面がDRY時に良好な表面摩擦感を有
する皮革用シートが得られた。この皮革様シートのノン
スリップの測定をカトーテック(株)製摩擦感テスターK
ES−SEにて測定したところ、表面に水分が存在しな
い状態で表面摩擦係数μは7.0と良好な摩擦感であっ
た。しかし、表面に水分を噴霧して表面がWETな状態
で表面摩擦感を測定したところ表面摩擦係数は0.3と
低く、また、水上スキー用手袋に加工して実用テストを
行ったが、表面が濡れたときにノンスリップ性が不足気
味で十分なハンドリング性が得られないという評価であ
った。以上の実施例および比較例により得られた皮革様
シートの性能を以下の表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明により、乾いている場合はもちろ
んのこと、濡れている場合においてもノンスリップ性に
優れ、ハンドリング性に優れ、しかも十分なる機械的強
度を有する皮革様シートが得られ、本発明の皮革様シー
トは、特にノンスリップ性及び機械的強度が要求される
スポーツ手袋、アメリカンフットボール用やバスケット
ボール用のボールなどに好適である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体層およびその表面に形成された立毛
    層からなり、かつ該基体層表面には内部に連通する孔を
    有している皮革様シートにおいて、その該立毛層には水
    分が付着した時にノンスリップ性を発揮する化合物が非
    連続状に付与されていることを特徴とする皮革様シー
    ト。
  2. 【請求項2】 水分が付着した際にノンスリップ性を発
    揮する化合物がアビエチン酸系化合物である請求項1に
    記載の皮革様シート。
  3. 【請求項3】 表面が賦型されている請求項1に記載の
    皮革様シート。
  4. 【請求項4】 請求項1の皮革様シートからなる手袋。
  5. 【請求項5】 請求項1の皮革様シートからなるボー
    ル。
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