JP2001192977A - 柔軟化スエード調人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

柔軟化スエード調人工皮革およびその製造方法

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JP2001192977A JP2000005731A JP2000005731A JP2001192977A JP 2001192977 A JP2001192977 A JP 2001192977A JP 2000005731 A JP2000005731 A JP 2000005731A JP 2000005731 A JP2000005731 A JP 2000005731A JP 2001192977 A JP2001192977 A JP 2001192977A
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史洋 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】諸物性の低下を引き起こすことなく、表面のタ
ッチ感を向上させたスエード調人工皮革を得る。 【解決手段】基体層およびその表面に形成された立毛層
からなり、かつ該基体層表面には内部に連通する孔を有
しているスエード調人工皮革において、その該立毛層に
は柔軟剤が塗布されている部分とそうでない部分が混在
しているスエード調人工皮革。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スエード調人工皮
革に関し、特にゴルフを始めとするスポーツ用手袋や衣
類等に用いられる柔軟な表面タッチを有する柔軟化スエ
ード調人工皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、柔軟な表面タッチを有するス
エード調人工皮革を得る方法として、 1.基体層を構成する極細繊維もしくは弾性高分子の材
質として特定のものを選択することにより柔軟な人工皮
革を得る方法 2.合成した人工皮革に柔軟剤を含浸する方法 3.合成した人工皮革を揉み加工する方法 4.合成した人工皮革の表層部に柔軟剤を塗布する方法 などの種々の方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記1
の方法、すなわち極細繊維もしくは弾性高分子の材質と
して特定のものを選択する方法は、その組み合わせによ
り非常に柔軟な風合いを有するものも得られるが、柔軟
化効果は限られた組み合わせにおいてのみ達成されるた
め、使用できる用途にも限りがあり汎用性に欠けるとい
う問題点を有している。また上記2の方法、すなわち人
工皮革に柔軟剤を含浸処理する方法の場合には、摩擦堅
牢度、強力、伸度などの諸物性の低下を避けることがで
きない。また、上記3の方法、すなわち人工皮革を揉み
加工する方法の場合には、立毛後に揉み加工を行うこと
から揉み工程中の毛羽落ちが問題となるとともに、柔軟
化後の製品も毛羽落ちしやすくなるという問題を有して
いる。すなわち、以上のような1〜3の方法では、表面
タッチばかりではなく人工皮革全体の風合いを変化させ
てしまう。一方、表面のタッチ感だけを改良する方法と
して実施されている上記4の表面のみに柔軟剤を塗布す
る方法の場合には、人工皮革全体の風合いを変化させな
いという長所を有している反面、一般に摩擦堅牢度の低
下を引き起こすという問題点を有しており、この方法の
更なる改良が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スエード
調人工皮革の柔軟処理方法について鋭意検討した結果、
従来の方法では得られなかった柔軟な表面タッチを有す
るスエード調人工皮革の製造方法を見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、基体層およびそ
の表面に形成された立毛層からなり、かつ該基体層表面
には内部に連通する孔を有しているスエード調人工皮革
において、その表層には柔軟剤が塗布されている立毛部
とそうでない部分が混在している柔軟化スエード調人工
皮革であり、そしてこの本発明の柔軟化スエード調人工
皮革は、従来の方法では得られなかった柔軟な表面タッ
チを有し、かつ摩擦堅牢性が実質的に低下していないこ
とを見出した。
【0005】また本発明は、基体層およびその表面に形
成された立毛層からなり、かつ該基体層表面には内部に
連通する孔を有しているスエード調人工皮革の該立毛層
表面に、柔軟剤非浸透性の樹脂を柄状に塗布した後、柔
軟剤を塗布することを特徴とする柔軟化スエード調人工
皮革の製造方法であり、そしてこの製造方法において、
好ましくはスエード調人工皮革から柔軟剤塗布後に柔軟
剤非浸透性の樹脂を除去する柔軟化スエード調人工皮革
の製造方法である。
【0006】本発明の柔軟化スエード調人工皮革では、
表面全体ではなく部分的に柔軟剤が塗布されているため
に、従来の柔軟剤を表面塗布する技術において問題とな
っていた摩擦堅牢度の低下も抑制できる。さらに本発明
の柔軟化人工皮革では、柔軟処理された立毛部とそうで
ない部分が表面に混在しているために、これまで得られ
なかった柔軟な表面タッチが実現できる。また処理部分
が表面に偏在しているために、表面タッチ以外の風合い
や物性は実質的に維持することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明を構成する基体層として
は、編織布や不織布等の繊維布帛およびその内部に弾性
高分子が含浸・凝固されたものであり、かつ人工皮革と
して良好な厚みや風合いを有するシートであれば特に限
定されるものではない。もちろん編織布と不織布を重ね
合わせ、一体化したものでも良い。特に本発明では、天
然皮革様の伸縮性、風合い、立毛性などを達成する上
で、三次元絡合不織布が好ましい。
【0008】繊維布帛を構成する繊維に関しては特に限
定されるものではなく、公知のセルロース系繊維、アク
リル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、
ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維な
どの合成繊維、天然繊維、再生繊維、半合成繊維等が挙
げられ、これら繊維は単独であっても、あるいは複数種
が混合使用されてもよい。良好なハンドリング性、さら
に天然皮革様の柔軟性や風合い、手触り感を得るために
は、表面立毛繊維の繊維の繊度は0.2デシテックス以
下が好ましい。特に本発明において基体層を構成する繊
維としては、単繊度は0.2デシテックス以下の極細繊
維が数本〜数百本集束して、トータルデシテックスが
0.5〜20デシテックスとなった、いわゆる極細繊維
束が柔軟性や立毛性の点で好ましい。
【0009】このような極細繊維束は、相溶性を有しな
い2種以上のポリマーを混合して溶融して紡糸口金から
吐出して延伸することにより、あるいは該ポリマーを別
々に溶融して溶融物を紡糸口金で合わせて吐出して延伸
することにより、繊維断面が海島構造あるいは多層貼り
合わせ構造となっている、いわゆる極細繊維形成性繊維
を製造し、この繊維から海成分ポリマーを除去、あるい
は層間で剥離することにより得られる。この極細繊維形
成性繊維を構成する島成分ポリマーとしては、ナイロン
−6、ナイロン−610、ナイロン−66等のポリアミ
ド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等のポリエステル類等が挙げられ、また海成
分ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリスチレン及び
これらの繰り返し単位を構成単位の一部とする共重合
体、共重合ポリエステルなどが挙げられる。
【0010】本発明を構成する人工皮革は、上記したよ
うに、基体層の内部に連通する微細な孔(すなわち空間
部分)が基体層表面、すなわち立毛の根元付近や根元間
に無数に存在していることにより天然皮革並の柔軟な風
合いとなる。また、表面に存在する微細な連通孔は汗や
水等を毛細管現象により基体層内部に吸収する役割を有
している。
【0011】連通孔を有する基体層を得る方法として
は、繊維布帛に弾性高分子の溶液や分散液を含浸させ、
弾性高分子を非溶剤により湿式凝固させる方法やエマル
ジョンを熱により破壊して凝固させる方法や、該弾性高
分子の含浸時に易抽出成分を添加しておき弾性高分子の
凝固後に易抽出成分を抽出除去する方法などが挙げられ
る。風合い及び機械的強度の点及び通水性を有する連通
孔が容易に形成されることから、前記極細繊維形成性繊
維からなる絡合不織布に弾性高分子溶液を含浸し、弾性
高分子を湿式凝固させ、そして極細繊維形成性繊維を極
細繊維束に変換する方法が好ましい。
【0012】基体層を構成する弾性高分子としては、公
知の弾性高分子が使用できるが、良好な風合いが得られ
る点からポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。好
ましいポリウレタン樹脂としては、ジオールとジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体とを反応させて得
られるポリエステルジオールやそれとポリエーテルとの
ブロック共重合ジオール、ポリラクトンジオール、ポリ
カーボネートジオール、ポリエーテルジオール等からな
る群より選ばれた数平均分子量が500〜5000の少
なくとも1種のポリマージオールを使用し、これとジイ
ソシアネート化合物と低分子鎖伸長剤とを反応せしめて
得られる、いわゆるセグメンテッドポリウレタンが挙げ
られる。上記ポリエステルジオールの合成に用いられる
ジオール化合物としては、耐久性あるいは皮革様の風合
いの点で炭素数6以上10以下の化合物を少なくとも一
部に用いるのが好ましく、このようなジオール化合物と
して、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−
オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10
−デカンジオールなどがあげられる。またジカルボン酸
の代表例として、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
などが挙げられる。
【0013】ポリマージオールの数平均分子量が500
未満の場合には、柔軟性に欠け、天然皮革様の風合いが
得られないため好ましくない。ポリマージオールの数平
均分子量が5000を越える場合には、ポリウレタン中
のウレタン基濃度が減少するため柔軟性および耐久性、
耐熱性、耐加水分解性にバランスの取れた人工皮革が得
られにくい。また低分子鎖伸長剤としては、分子量50
0未満で活性水素原子を2個以上有する化合物、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ヘキサンジオール、エチレンジアミン、イソホ
ロンジアミンなどの活性水素原子を2個有する低分子量
化合物が挙げられる。またジイソシアネート化合物とし
ては、たとえばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族
系、ヘキサメチレンジイソシアネートで代表される脂肪
族系、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系のも
のが挙げられる。また、必要に応じて、顔料、染料、凝
固調節剤、安定剤などを添加してもよく、さらに2種以
上のポリマーを併用してもかまわない。
【0014】弾性高分子の付与方法については特に限定
されるものではないが、風合いのバランスの点から繊維
布帛に弾性高分子溶液を含浸する方法が好ましい。ま
た、天然皮革様の柔軟な風合いの点から、基体層の繊維
布帛を構成する繊維と高分子弾性体との重量比は、30
/70〜80/20の範囲内にあることが好ましい。さ
らに好ましくは40/60〜55/45の範囲内であ
る。基体層で繊維の比率が低くなり過ぎるとゴムライク
な風合いとなり好ましくなく、また繊維の比率が高くな
り過ぎるとペーパーライクとなり、目標とする天然皮革
様の風合いが得られない。
【0015】繊維布帛が極細繊維形成性繊維からなる場
合には、弾性高分子を含浸させるに先立って極細繊維形
成性繊維を極細繊維束に変性してもよいし、また弾性高
分子を含浸させた後に極細繊維形成性繊維を極細繊維束
に変性してもよい。好ましくは、極細繊維形成性繊維が
海島構造繊維である場合には、弾性高分子を含浸させた
後に海成分ポリマーを除去して極細化する方法であり、
この方法を用いると天然皮革調の柔軟性が得られやす
い。基体層の厚みとしては、0.3〜2.0mmが天然
皮革調のものが得られ易いことから好ましい。
【0016】基体層の表面に立毛を存在させる方法とし
ては、特に限定されないが、好ましくはサンドペーパー
などの研磨材にて表面を擦り、繊維を含浸樹脂の中から
掘り起こす方法が高級感のある天然皮革様の面感が得ら
れるので好ましい。
【0017】表面に塗布される柔軟剤としては、塗布す
ることにより人工皮革が柔軟になるような物質であるな
らば、特に制限はなく、一般に市販されている種々の柔
軟剤を用いることができる。例えば、アニオン系、カチ
オン系、非イオン系などの水溶性油剤、油脂、蝋、高級
アルコールなどの非水溶性油剤、およびシリコン系等が
挙げられる。なかでも、シリコン系が好ましい。これら
の柔軟剤は、表面塗布に際し、原液のまま使用すること
もできるし、人工皮革物性を低下させない溶媒に希釈し
て使用することもできる。
【0018】柔軟剤の塗布に先立ち、まず、これらの柔
軟剤を浸透させない樹脂を人工皮革表面に非連続状態に
て塗布する。なお、本発明でいう非連続状とは、立毛表
面の全面に化合物が付与されていない状態をいい、ある
方向には化合物層が連続して存在しているが、ある方向
には化合物層が不連続に存在しているような状態、及び
すべての方向に対して化合物層が不連続に存在している
ような状態を意味している。本発明において、任意の1
cm四方の大きさの人工皮革を切り出した場合に、立毛
面に化合物層が存在している部分と化合物が存在してい
ない部分が常に共存しているような化合物層の非連続状
態が好ましい。化合物が存在している部分と存在してい
ない部分との面積比としては、1:0.1〜50が柔軟
性と耐摩耗性を両立し易い点から好ましい。具体的な塗
布方法としては、グラビアロールにて柄転写する方法が
好ましいが、スプレー法等による塗布でも同様の効果が
得られる。用いられる樹脂としては、使用する柔軟剤を
浸透させず、且つ人工皮革を形成する繊維及び弾性高分
子を劣化させないものの中から任意に選択することがで
きる。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチ
レン、ポリイソプレン、ポリスチレン−ポリイソプレン
共重合体等のポリマーおよびその誘導体、アビエチン酸
系化合物などが柔軟剤を浸透させない樹脂の具体例とし
て挙げられる。柔軟剤を浸透させない樹脂の塗布量とし
ては、人工皮革1m2当たり1〜100gが好ましい。
【0019】表面に柔軟剤を塗布する方法としては、グ
ラビアロールにて塗布する方法が好ましいが、スプレー
法等による塗布でも同様の効果が得られる。柔軟剤の塗
布量に関しては、特に制限はないが、塗布量が少なすぎ
ると柔軟効果が低下し、塗布量が多すぎると摩擦堅牢度
などの物性低下につながるため、1〜100g/m2
度が好ましい。柔軟剤を浸透させない樹脂を予め不連続
状に塗布しておくことにより、その上に柔軟剤を塗布し
ても、柔軟剤が実質的に人工皮革に付着することがな
く、したがって柔軟剤が塗布されている立毛部とそうで
ない部分が混在化していることとなる。
【0020】さらに、柔軟剤を処理した後、予め表面に
塗布しておいた樹脂を除去することにより、元の立毛面
を再度表面に露出させることもできる。樹脂の除去方法
としては、剥離させることにより除去することもできる
し、柔軟剤が溶出しない溶媒を用いて溶解除去すること
もできる。
【0021】本発明による柔軟化スエード調人工皮革
は、摩擦堅牢度が実用的に問題のないレベルにありなが
ら、新規な柔軟性を有する表面タッチをもつスエード調
人工皮革として、衣料や手袋用途に適したものであると
いう特長を有する。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施態様を実施例で具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中の部及び%は断わりのない限り
重量に関するものである。
【0023】実施例1 ナイロンとポリエチレンをチップで50/50の割合で
混合して、溶融押出機から吐出して紡糸を行い海島構造
繊維(ナイロンが島成分、ポリエチレンが海成分)を紡
糸し、延伸し、51mm長にカットして、太さ4デシテ
ックスの短繊維を得た。この短繊維をウェッブとし、ニ
ードルパンチにより絡合処理して三次元絡合不織布を得
た。この不織布にポリウレタン(ポリメチルペンタンア
ジペートとポリエチレングリコールからなる平均分子量
2000のポリエステルエーテルジオール、4、4’−
ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブタンジオー
ルからなるポリウレタン)のジメチルホルムアミド溶液
を含浸し、湿式凝固させた後、繊維成分の海成分を抽出
して極細繊維束とし、そして染料を用いて黒色に染色し
た。こうして目付270g/m2、厚み0.8mm、ポ
リウレタンと繊維の比率が55/45の基体層を得た。
得られた基体層のナイロン極細繊維の繊度は0.06デ
シテックスであり、かつ、柔軟な皮革様の風合いを有し
ていた。得られた基体層の片面をサンドペーパーにてバ
フィングして該ナイロン極細繊維からなる立毛面を得
た。
【0024】柔軟剤を浸透させない樹脂として、アビエ
チン酸49%、デヒドロアビエチン酸7%、ネオアビエ
チン酸10%、パラストリン酸18%、ピマル酸10
%、その他6%からなる組成物50部をシクロヘキサノ
ン50部に溶解した液を調製し、グラビア方式にて基体
層の立毛面に30g/m2の塗布量で格子状(格子を構
成する線の太さ1mmで隣り合う線との間隔は1mm、
塗布された部分の面積と塗布されていない部分との面積
比率は3:1)に塗布した。この人工皮革を厚さ方向の
切断面に電子顕微鏡にて観察すると、基体層の表面から
内部さらに裏面に至る孔が無数に存在していることがわ
かった。表面を観察したがツヤ感がなく、特に樹脂等が
存在していると認められなかった。こうして得られた基
体の表面に、柔軟剤として日華化学社製「ニッカシリコ
ンAM−204」を水で10倍に希釈した溶液を150メ
ッシュで1段グラビア処理を施し、100℃で3時間乾
燥させ、柔軟化スエード調人工皮革を得た。得られた人
工皮革は、柔軟剤を浸透させない樹脂が塗布された立毛
部には柔軟剤が存在していないが、塗布されていない部
分には柔軟剤が存在していることを、各部の立毛を元素
分析することにより確認した。以上の方法により得られ
た人工皮革は、柔軟化処理をされていない人工皮革と同
程度の摩擦堅牢度を有しているとともに、これまでに得
られなかった柔軟な表面タッチを有しており、衣料用お
よび手袋用素材として十分使用可能であった。この人工
皮革を用いてゴルフ用手袋を作製し、20名の一般モニ
ターに使用感を確認したところ、18名から「ノンスリ
ップ性を有しつつも表面の柔軟なタッチ感に優れてい
る」という評価を得た。
【0025】実施例2 実施例1において作製した柔軟化人工皮革から、格子状
に塗布された樹脂を剥離除去することにより、スエード
調人工皮革を得た。得られた人工皮革は、柔軟化処理を
されていない人工皮革と同程度の摩擦堅牢度を有してい
るとともに、これまでに得られなかった柔軟な表面タッ
チを有しており、衣料用および手袋用素材として十分使
用可能であった。この人工皮革を用いて衣料用手袋を作
製し、20名の一般モニターに使用感を確認したとこ
ろ、18名から「肌触り感等に優れている」という評価
を得た。
【0026】実施例3 上記実施例2において、柔軟剤を浸透させない樹脂とし
て、アビエチン酸49%、デヒドロアビエチン酸7%、
ネオアビエチン酸10%、パラストリン酸18%、ピマ
ル酸10%、その他6%からなる組成物50部をシクロ
ヘキサノン50部に溶解した液中に、表面がDRYな状
態でノンスリップを高める樹脂としてスチレン−イソプ
レンブロック共重合ポリマーの水素添加物[(株)クラ
レ製セプトン2043(SEPSと略す)]30部およ
び粘着付与剤としてテルペン系樹脂30部をトルエン7
0部に溶解した液を混合した液をグラビア方式にて基体
層の立毛面に30g/m2の塗布量で格子状に塗布した
以外は同様の方法で柔軟化人工皮革を作製した。得られ
た人工皮革は、柔軟化処理されていない人工皮革と同程
度の摩擦堅牢度を有しているとともに、柔軟な表面タッ
チを有しており、衣料用および手袋用素材として十分使
用可能であった。この人工皮革を用いてゴルフ用手袋を
作製し、20名の一般モニターに使用感を確認したとこ
ろ、19名から「ノンスリップ性を有しつつも表面の柔
軟なタッチ感に優れている」という評価を得た。
【0027】比較例1 実施例1において、柔軟剤を浸透させない樹脂を表面塗
布しなかった以外は同様の手法で柔軟化スエード調人工
皮革を得た。得られた人工皮革は、柔軟な表面タッチを
有しているものの、摩擦堅牢度を測定したところ、We
t測定で2級、Dry測定で3級と判定され、実用素材
としては不適なものであった。得られた人工皮革の立毛
表面には、全面的に柔軟剤が存在しており、柔軟剤が存
在していない部分は実質的になかった。
【0028】比較例2 比較例1において、柔軟剤塗布方法としてグラビア塗布
ではなく、含浸処理を採用した以外は同様の手法で柔軟
化スエード調人工皮革を得た。得られた人工皮革は、柔
軟な表面タッチを有しているものの、摩擦堅牢度を測定
したところWet測定で2級、Dry測定で3級と判定
され、実用素材としては不適なものであった。また、基
体の強力も柔軟未処理品と比較して大きく低下してい
た。以上の実施例および比較例により得られた皮革様シ
ートの性能を以下の表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明により得られるスエード調人工皮
革は、諸物性を低下させることなく、表面の触感だけに
新規な表面タッチを付与しうるために、ハンドリング性
に優れしかも十分なる機械的強度を有する。本発明のス
エード調人工皮革は、衣料用およびゴルフ用手袋用途と
して好適である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体層およびその表面に形成された立毛
    層からなり、かつ該基体層表面には内部に連通する孔を
    有しているスエード調人工皮革において、その表層には
    柔軟剤が塗布されている立毛部とそうでない部分が混在
    化している柔軟化スエード調人工皮革。
  2. 【請求項2】 基体層およびその表面に形成された立毛
    層からなり、かつ該基体層表面には内部に連通する孔を
    有しているスエード調人工皮革の該立毛層表面に、柔軟
    剤非浸透性の樹脂を柄状に塗布した後、柔軟剤を塗布す
    ることを特徴とする柔軟化スエード調人工皮革の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のスエード調人工皮革か
    ら柔軟剤塗布後に柔軟剤非浸透性の樹脂を除去する柔軟
    化スエード調人工皮革の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の柔軟化スエード調人工皮
    革からなる衣料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の柔軟化スエード調人工皮
    革からなる手袋。
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