JP3374764B2 - 樹脂複合材料 - Google Patents

樹脂複合材料

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】本発明は,熱可塑性エラストマと有機化ク
レイとよりなる樹脂複合材料に関する。 【0002】 【従来技術】従来,ハードセグメント11とソフトセグ
メント12とよりなるブロック共重合体タイプ熱可塑性
エラストマ91は,図4(a)に示すごとく,ミクロン
〜サブミクロン単位での分離が発生した状態をとるため
(ミクロ相分離構造),弾性率が大きく,架橋ゴム的な
性能を発揮することが知られている。 【0003】これはブロック共重合体タイプ熱可塑性エ
ラストマ91がハードセグメント11とソフトセグメン
ト12とよりなり(後述する図2参照),ハードセグメ
ント11は極性が強い官能基を有し,ソフトセグメント
12は極性がないか,あるいは極性の弱い官能基を有し
ているためである。 【0004】極性の強いハードセグメント11は互いが
固く結合して,架橋ゴムにおける架橋点と同様の構造と
役割を果たすこととなり,極性のない(または弱い極性
を持つ)ソフトセグメント12は互いが殆ど結合するこ
とがない。この構造は架橋点でゴム分子間が結合された
状態にある架橋ゴムとよく似ている。そのため,このよ
うなブロック共重合体タイプ熱可塑性エラストマ91は
一般的な架橋ゴムと似た性能を有する。そして,通常の
エラストマと同様の成形性を備えているため,成形性に
優れた各種弾性材料として大いに有用である。 【0005】しかし,上記ブロック共重合体タイプ熱可
塑性エラストマ91には耐熱性が低いという問題が知ら
れている。これは,上記ハードセグメント11が熱可塑
性であることから,高温でのハードセグメント11間の
結合が弱くなるためである。ハードセグメント11がス
チレンよりなる場合には,70〜80℃で弾性率が低下
して,架橋ゴムのような弾力性が失われてしまう。ま
た,ハードセグメント11がアミドやエステルよりなる
場合には,100〜150℃で弾性率が低下し,弾力性
が失われてしまう。 【0006】この問題を解決するために,従来,図4
(b)に示すごとく,ハードセグメント11を増量し,
架橋点として機能する部分の数や大きさを増やしたブロ
ック共重合体タイプ熱可塑性エラストマ92となすこと
で,耐熱性向上を図る試みがなされていた。 【0007】 【解決しようとする課題】しかしながら,ハードセグメ
ントは硬度の高い部分でもあるため,いたずらにハード
セグメントを増量すれば,相対的にソフトセグメントの
量が減少するため,常温での硬度が上昇し,架橋ゴムの
ようなしなやかな弾力性がブロック共重合体タイプ熱可
塑性エラストマから失われてしまうおそれがあった(後
述する図3参照)。 【0008】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,耐熱性に優れ,常温においても架橋ゴム
のようなしなやかな弾力性を有する,樹脂複合材料を提
供しようとするものである。 【0009】 【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,複数種類
のセグメントよりなるブロック共重合体タイプ熱可塑性
エラストマの少なくとも1種類のセグメントに対し有機
化クレイが分散してなる樹脂複合材であって,上記有機
化クレイが上記セグメントに分散する際には,セグメン
ト,またはこのセグメントを構成するポリマが上記有機
化クレイの層間にインターカレートし,さらに上記イン
ターカレートにより上記有機化クレイの層間距離が少な
くとも元の状態よりも10Å以上広がっており,また上
記複数種類のセグメントは,官能基を有するハードセグ
メントと,官能基をもたないソフトセグメントとよりな
り,また上記ハードセグメントは,ポリスチレン,ポリ
アミド,ポリウレタン,ポリエステルより選ばれる少な
くとも1種類よりなる分子鎖であり,また,上記ソフト
セグメントは,ポリブタジエン,水添ポリブタジエン,
ポリイソプレン,水添ポリイソプレンより選ばれる少な
くとも1種類よりなる分子鎖であり,かつ上記有機化ク
レイは上記ハードセグメントに対して選択的に分散して
いることを特徴とする樹脂複合材料にある。 【0010】本発明にかかるブロック共重合体タイプ熱
可塑性エラストマは,後述する図2に示すごとき,複数
種類のセグメントからなるポリマ等より構成されてお
り,各セグメントがミクロン〜サブミクロン単位の領域
で分離した,ミクロ相分離構造を形成する。 【0011】上記有機化クレイはミクロ相分離構造の少
なくとも1種類のセグメントで構成された相に対して分
散している。有機化クレイが分散する相は,有機化クレ
イと各相を形成するセグメントの分子連鎖との親和性に
より定まり,ポリアミド,ポリウレタン,ポリウレア,
ポリエステル,ポリスチレン等の極性の高い相に上記有
機化クレイは分散しやすい。なお,有機化クレイの一部
が他相に分散していても本発明の効果を得ることができ
る。 【0012】上記有機化クレイは1μm以下の粒径とな
って,上記エラストマに対して分散していることが好ま
しい。これにより本発明の効果を確実に得ることができ
る。また,上記有機化クレイが上記セグメントに分散す
る際は,セグメント(またはこのセグメントを構成する
ポリマ)が上記有機化クレイの層間にインターカレート
する。 【0013】上記有機化クレイは層状構造を持った物質
である。上記インターカレートとは,この有機化クレイ
を構成するある層と他の層との間に上記セグメントが入
り込んで,有機化クレイの層間距離が元よりも広くなっ
た状態を指している。なお,この状態はX線回折を利用
することで確認することができる。このようなインター
カレートが生じることにより有機化クレイの表面とセグ
メントとの界面が大きくなる。よって,有機化クレイに
よってセグメントがより強く拘束されることとなる。よ
って,セグメント間の結合をより強くすることができ
る。 【0014】また,上記インターカレートにより有機化
クレイの層間距離が少なくとも元の状態よりも10Å以
上広がる 層間距離が元の状態よりも10Å以上広がる
ことにより,有機化クレイにより拘束されるセグメント
の割合が増えるため,セグメント間の結合をより強くす
ることができる。さらには30Å以上広がることが好ま
しい。これにより,本発明の効果をより確実に得ること
ができる。なお,層間距離が100Å以上広がることが
さらに好ましい。 【0015】また,上記有機化クレイが上記セグメント
に分散する際には,有機化クレイの層構造が消失し,各
層が単層となって,セグメントに対し分子分散した状態
にあることがことが好ましい。単層となることにより,
より有機化クレイがセグメントに対し均一に分散するこ
とができるため,有機化クレイにより拘束されるセグメ
ントの割合が最も大きくなる。これにより,本発明の効
果をより確実に得ることができる。なお,有機化クレイ
のすべてが単層となってセグメントに分散する必要はな
く,数層程度が積層状態となったままで存在していても
構わない。 【0016】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明の樹脂複合材料を構成するブロック共重合体タイプ熱
可塑性エラストマは複数種類のセグメントよりなり,こ
れらの少なくとも1種類のセグメントに有機化クレイが
分散している。有機化クレイが分散したセグメントにお
いては,有機化クレイがセグメントを拘束するため(後
述する図1参照),強い力でセグメント間が結合される
こととなる。有機化クレイが分散していないセグメント
では,セグメント間が殆ど結合していない状態となる。 【0017】この有機化クレイにより結合されたセグメ
ントが架橋ゴムにおける架橋点と同様の構造を形成する
ため,本発明の樹脂複合材料は常温において一般的なゴ
ムと同様にしなやかな弾力性を得ることができる(後述
する図3参照)。そして,有機化クレイによる拘束は熱
の影響を受け難い。よって,耐熱性に優れた樹脂複合材
料を得ることができる(実施形態例参照)。 【0018】以上,本発明によれば,耐熱性に優れ,常
温においても架橋ゴムのようなしなやかな弾力性を有す
る,樹脂複合材料を提供することができる。 【0019】また,上述したごとく,本発明にかかる樹
脂複合材料は高温で弾性率が低下し難く,高温において
も架橋ゴムに似た弾力性を持っている。このことから,
本発明の樹脂複合材料は高温でのクリープ特性が向上す
ることができる。 【0020】次に,本例の樹脂組成物を構成するブロッ
ク共重合体熱可塑性エラストマについて説明する。ブロ
ック共重合体とは,1分子中に2つ以上の異なった分子
連鎖よりなるセグメントを有するポリマである。図2
(a),(b),(c)に,いわゆるAB型,ABA
型,ABC型を例示したが,これらに限定されるもので
はない。なお,同図において,セグメントA,セグメン
トB及びセグメントCはそれぞれ異なる分子鎖である。 【0021】上記ブロック共重合体を構成するセグメン
トとなるポリマ種について以下に例示する。例えば,ポ
リアミド,ポリウレタン,ポリウレア,ポリカーボーネ
ート,ポリアセタール,ポリエステル,ポリアリレー
ト,ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンサルファ
イド,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポ
リペンテン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン
−ブテン共重合体,ポリブタジエン,ポリイソプレン,
水添ポリブタジエン,水添ポリイソプレン,エチレン,
プロピレン,ジエン共重合体,エチレン−ブテン−ジエ
ン共重合体,ブチルゴム,ポリスチレン,スチレン−ブ
タジエン共重合体,スチレン−水添ブタジエン共重合
体,ポリエーテル,ポリサルホン,ポリケトン,ポリフ
タルアミド,ポリエーテルニトリル,ポリベンズイミダ
ゾール,ポリイミド,ポリカルボジイミド,ポリ4フッ
素化エチレン等のフッ素系ポリマ,ポリアミドイミド,
ポリエーテルイミド,液晶ポリマ,ポリシラン,ポリシ
ロキサン等のシリコーン系ポリマ,PMMA等のアクリ
ル系ポリマ等が挙げられる。 【0022】また,上記ブロック共重合タイプ熱可塑性
エラストマとして使用可能な市販のエラストマとして
は,タフテック(旭化成),ハイトレル(東レ・デュポ
ン),ペルプレン(東洋紡),グリラックス(JS
R),ペバックス(東レ),ダイアミド(ダイセル・ヒ
ュルス),エストラン(武田ハーディッシュウレタン工
業)等が挙げられる。 【0023】上記ブロック共重合体熱可塑性エラストマ
としては,数平均分子量が5,000〜10,000,
000であることが好ましい。分子量が10,000,
000より大きい場合には,樹脂複合材料の加工性が低
下するおそれがある。一方,分子量が5,000未満で
ある場合には,樹脂複合材の機械的物性が低下するおそ
れがある。なお,上記数平均分子量の下限の値は10,
000とすることがより好ましい。 【0024】上記有機化クレイについて以下に説明す
る。上記有機化クレイとは,クレイ(粘土鉱物)を有機
化剤で処理し,その表面に有機物を吸着及び/または結
合させたクレイを示している。ここにクレイとしては,
例えば,カオリナイト,ハロサイト等のカオリナイト
族,モンモリロナイト,バイデライト,サポナイト,ヘ
クトライト,マイカ等のスメクタイト族,バーミキュラ
イト族の各種物質を挙げることができる。また,これら
に限定されない,天然由来のものでも,天然物の処理品
でも,膨潤性のフッ素化マイカのような合成品を用いる
ことができる。また,上記有機化剤としては,これを構
成する有機鎖の一つの炭素数が4以上であることが好ま
しい。 【0025】炭素数3未満の場合には,クレイを充分に
疎水化することができないため,ポリマに対する相溶性
が充分でなく,このため,セグメントに対して有機化ク
レイが充分に分散できなくなるおそれがある。なお,上
記有機化剤は,樹脂複合材料の劣化が生じないかぎり,
カルボン酸等の官能基を含有したものを用いることもで
きる。また,上記有機化剤に含まれる官能基は,ブロッ
ク共重合体熱可塑性エラストマに含まれる官能基と反応
可能であってもよい。また,上記有機化剤は,分岐構
造,環状構造を持つものでもよい。 【0026】また,このような有機化クレイの中で,特
に好ましいのは,有機オニウムイオンがクレイの表面に
イオン結合することにより,有機化された有機化クレイ
である。このオニウムイオンとしては,例えば1〜4級
のアンモニウムイオン,ホスホニウムイオンが好まし
い。 【0027】以下にオニウムイオンの一例を列記する。
例えば,ブチルアンモニウム,ヘキシルアンモニウム,
オクチルアンモニウム,デシルアンモニウム,ドデシル
アンモニウム,オクタデシルアンモニウム,ブチルメチ
ルアンモニウム,ヘキシルメチルアンモニウム,オクチ
ルメチルアンモニウム,デシルメチルアンモニウム,ド
デシルメチルアンモニウム,オクタデシルメチルアンモ
ニウム等とすることができる。 【0028】また,ブチルジメチルアンモニウム,ペン
チルジメチルアンモニウム,ヘキシルジメチルアンモニ
ウム,ヘプチルジメチルアンモニウム,オクチルジメチ
ルアンモニウム,デシルジメチルアンモニウム,ドデシ
ルジメチルアンモニウム,オクタデシルジメチルアンモ
ニウム等とすることができる。 【0029】また,ジブチルアンモニウム,ジヘキシル
アンモニウム,ジオクチルアンモニウム,ジデシルアン
モニウム,ジドデシルアンモニウム,ジオクタデシルア
ンモニウム等とすることができる。また,ブチルジメチ
ルアンモニウム,ヘキシルジメチルアンモニウム,オク
チルジメチルアンモニウム,デシルジメチルアンモニウ
ム,ドデシルジメチルアンモニウム,オクタデシルジメ
チルアンモニウム等とすることができる。 【0030】また,トリブチルアンモニウム,トリヘキ
シルアンモニウム,トリオクチルアンモニウム,トリデ
シルアンモニウム,トリドデシルアンモニウム,トリオ
クタデシルアンモニウム等とすることができる。また,
ブチルトリメチルアンモニウム,ヘキシルトリメチルア
ンモニウム,オクチルトリメチルアンモニウム,デシル
トリメチルアンモニウム,ドデシルトリメチルアンモニ
ウム,オクタデシルトリメチルアンモニウム等とするこ
とができる。 【0031】また,ジブチルジメチルアンモニウム,ジ
ヘキシルジメチルアンモニウム,ジオクチルジメチルア
ンモニウム,ジデシルジメチルアンモニウム,ジドデシ
ルジメチルアンモニウム,ジオクタデシルジメチルアン
モニウム等とすることができる。また,テトラブチルア
ンモニウム,テトラヘキシルアンモニウム,テトラオク
チルアンモニウム,テトラデシルアンモニウム,テトラ
ドデシルアンモニウム,テトラオクタデシルアンモニウ
ム等とすることができる。 【0032】また,12−アミノドデカン酸,18−ア
ミノオクタデカン酸,アニリン,ピリジン,ピロールの
アンモニウム塩等とすることができる。勿論,上述した
各物質に限定されるものではない。 【0033】また,ホスホニウムイオンとしては,次の
ような塩から得られるイオンを挙げることができる。テ
トラエチルホスホニウムブロマイド,トリエチルベンジ
ルホスホニウムクロライド,テトラn−ブチルホスホニ
ウムブロマイド,テトラn−ブチルホスホニウムn,n
−ジエチルホスホロジチオエート,テトラn−ブチルホ
スホニウムベンゾトリアゾレート,トリn−ブチルメチ
ルホスホニウムアイオダイド,トリn−ブチルオクチル
ホスホニウブロマイド,トリn−ブチルヘキサデシルホ
スホニウムブロマイド,トリn−ブチルアリールホスホ
ニウムブロマイド,トリn−ブチルベンゾイルホスホニ
ウムクロライド,トリn−オクチルエチルホスホニウム
ブロマイド,テトラキス(ヒロドキシメチル)ホスホニ
ウムサルファイトが挙げられる。 【0034】また,本発明の樹脂複合材料において,ブ
ロック共重合体タイプ熱可塑性エラストマに対する有機
化クレイの量は,エラストマ100重量部に対して,有
機化クレイは0.01〜200重量部とすることが好ま
しい。これにより,耐熱性を高めることができ,またク
リープ特性を高めることができる。 【0035】有機化クレイが0.01重量部未満である
場合には,有機化クレイの量が少なすぎて,セグメント
間を充分拘束できず,本発明の効果が得られなくなるお
それがある。一方,有機化クレイが200重量部を越え
た場合には,クレイの分散が不充分となるおそれがあ
る。なお,上記有機化クレイの量の上限は30重量部と
することがより好ましい。 【0036】また,本発明の樹脂複合材料において,上
記ブロック共重合体タイプのエラストマがハードセグメ
ントとソフトセグメントよりなる場合,上記ハードセグ
メントを構成する成分の100重量部に対して,上記有
機化クレイは0.1〜300重量部分散されていること
が好ましい。これにより,耐熱性を高め,クリープ特性
を高めることができる。 【0037】有機化クレイが0.1重量部未満である場
合には,有機化クレイの量が少なすぎて,ハードセグメ
ント間を充分拘束できず,本発明の効果が得られなくな
るおそれがある。一方,有機化クレイが300重量部を
越えた場合には,クレイの分散が不充分となるおそれが
ある。なお,上記有機化クレイの量の下限は1重量部と
することがより好ましい。 【0038】本発明にかかる樹脂複合材料は,通常のゴ
ムと同様の弾性材料として広く使用することができる。
例えば,ホース材料,防振材料,自動車内外装材料等に
加工して使用することができる。また,ゴムのような性
質を持っていても,樹脂と同様に加工することができる
ため,射出成形材料,押出成形材料,プレス成形材料,
ブロー成形材料,フィルム材料として使用することがで
きる。 【0039】次に,上記複数種類のセグメントは,官能
基を有するハードセグメントと,官能基をもたないソ
トセグメントとよりなる。 【0040】この場合,ハードセグメントは極性の強い
官能基を有する部分である。後述するごとく,例えば,
ポリスチレン,ポリアミド,ポリウレタン,ポリエステ
ル等からなる分子鎖からなるものを使用する。他方のソ
フトセグメントは官能基を持たない部分である。後述す
るごとく,例えば,ポリブタジエン,水添ポリブタジエ
ン,ポリイソプレン,水添ポリイソプレンよりなる分子
鎖からなるものを使用する。 【0041】このようなエラストマを使用することで,
上記有機化クレイはハードセグメントに対して選択的に
分散する。これにより,ハードセグメントがクレイによ
り拘束され,ハードセグメント間の結合力が増大する。
また,ソフトセグメント間はクレイが分散しない。これ
により,本発明の効果を確実に得ることができる。更
に,上記ハードセグメントにより本発明にかかる樹脂複
合材料の耐熱性をより高めることができ,上記ソフトセ
グメントにより本発明の樹脂複合材料のゴムのような弾
力性をより高めることができる。 【0042】なお,有機化クレイのすべてがハードセグ
メントにのみ分散する必要はなく,一部がソフトセグメ
ントに対し分散した状態にあっても,本発明の効果を得
ることができる。 【0043】また,上記ハードセグメントは,ポリスチ
レン,ポリアミド,ポリウレタン,ポリエステルより選
ばれる少なくとも1種類よりなる分子鎖であり,また,
上記ソフトセグメントは,ポリブタジエン,水添ポリブ
タジエン,ポリイソプレン,水添ポリイソプレンより選
ばれる少なくとも1種類よりなる分子鎖である。これに
より,本発明の効果をより一層確実に得ることができ
る。 【0044】 【発明の実施の形態】実施形態例 本発明の実施形態例にかかる樹脂複合材料(試料1
)とその性能について,比較試料C1,C2と共に評
価する。本例の樹脂複合材料について簡単に説明する
と,図1に示すごとく,これらは複数種類のセグメント
11,12とよりなるブロック共重合体タイプ熱可塑性
エラストマの1種類のセグメント11に対し有機化クレ
イ12が分散している状態にある。 【0045】上記ブロック共重合体タイプ熱可塑性エラ
ストマは,図2に示すごとく,1分子中に2つ以上の異
なった分子連鎖よりなるセグメントを有するポリマであ
る。図2(a),(b),(c)に,いわゆるAB型,
ABA型,ABC型を例示した。同図において,セグメ
ントA,セグメントB及びセグメントCはそれぞれ異な
る分子鎖である。 【0046】次に,各試料や比較試料について説明す
る。試料1にかかる樹脂複合材料を構成するブロック共
重合体タイプ熱可塑性エラストマは水添SBS(水添ポ
リスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)(商品
名,タフテックH1013,旭化成製)である。このも
のは,ポリスチレンよりなるセグメントと水添ポリブタ
ジエンとよりなるセグメントを有する物質である。 【0047】有機化クレイはオクタデシルアミンにより
有機化したNa−モンモリロナイトである。なお,Na
−モンモリロナイトは層状粘土鉱物で,多数のシートが
積層されたような構造を有している。 【0048】試料1の製造方法について説明する。ま
ず,Na−モンモリロナイト80gを80℃の水500
0ミリリットルに分散させた。オクタデシルアミン2
8.5g,濃塩酸11ミリリットルを80℃の水200
0ミリリットルに溶解し,この溶液を先のモンモリロナ
イト分散液に加えた。得られた沈殿物を濾過して,80
℃の水で3回洗浄した。その後,凍結乾燥してオクタデ
シルアンモニウムで有機化したモンモリロナイトを得
た。なお,灼残法により上記有機化したモンモリロナイ
トの無機分を測定したところ,68重量%であった。ま
た,X線回折により上記有機化したモンモリロナイトの
層間距離を測定したところ,22Åであった。 【0049】このような有機化したモンモリロナイト3
8.4gを水添SBSの400gと共に二軸押出機に投
入し,両者を溶融混練した。混練温度は200℃,軸回
転数は200rpmであった。二軸押出機より押出され
て得られた樹脂の無機分を灼残法により求めたところ,
5重量%であった。また,この樹脂を透過型電子顕微鏡
で観察したところ,図1に示すごとく,モンモリロナイ
トがnmのオーダーで樹脂に対し,島状に分布している
ことが分かった(分散している箇所とそうでない箇所が
あることが分かった)。 【0050】また,動的粘弾性測定により,この樹脂の
弾性率の温度依存性を測定した。なお,この時の昇温速
度は2℃/分とした。以上の結果,試料1にかかるこの
樹脂は特定箇所にのみ有機化クレイが非常に細かに分散
し,更にこの樹脂の90℃における貯蔵弾性率は13.
0MPaであることが分かった。 【0051】次に,試料2について説明する。試料1の
方法で作製した有機化したモンモリロナイト22.4g
を水添SBS(試料1と同様のタフテックH1013)
400gと共に二軸押出機に投入し,両者を溶融混練し
た。混練温度は200℃,軸回転数は200rpmであ
った。二軸押出機より押出されて得られた樹脂の無機分
を灼残法により求めたところ,3重量%であった。 【0052】また,この樹脂を上記と同様に調べたとこ
ろ,試料1と同様にモンモリロナイトがnmのオーダー
で樹脂に対し,島状に分布していることが分かった。ま
た,この樹脂を上記と同様に動的粘弾性測定を行い,弾
性率の温度依存性を測定した。なお,この時の昇温速度
は2℃/分とした。この結果,試料2にかかるこの樹脂
も有機化クレイが細かく分散し,90℃における貯蔵弾
性率が11.8MPaであることが分かった。 【0053】次に,比較試料C1について説明する。比
較試料C1は水添SBS(試料1と同様のタフテックH
1013)である。この樹脂を上記と同様に動的粘弾性
測定を行い,弾性率の温度依存性を測定した。なお,こ
の時の昇温速度は2℃/分とした。この結果,比較試料
C1にかかるこの樹脂の90℃における貯蔵弾性率は
9.1MPaであることが分かった。以上,試料1,試
料2及び比較試料C1より,有機化した特定のセグメン
ト(本例においてはポリスチレンの部分となる)に対し
てクレイを分散させることで90℃における貯蔵弾性率
をより大きな値に維持することができることが分かっ
た。 【0054】なお,図3に試料1と比較試料C1との弾
性率と温度との関係を上記と同様に測定して記載した。
同図より知れるごとく,試料1と比較試料C1は低温〜
室温までは殆ど同じような弾性率を持っている。温度が
高くなるにつれて比較試料C1の弾性率は低下し,比較
試料C1から架橋ゴムのようなしなやかさが失われてい
くことが分かった。一方,試料1は高温となってもある
程度の温度範囲においてより高い弾性率を維持できるこ
とが分かった。 【0055】なお,参考試料として,重合時のスチレン
の割合を多くするという方法でポリスチレンよりなるセ
グメントを増量し,前述した図4(b)にかかるような
状態としたものを準備し,これについても弾性率と温度
との関係を測定して同図に記載した。このものの弾性率
はどの温度範囲においても(低温〜室温〜高温のいずれ
においても),試料1,比較試料C1よりも高かった。
しかしながら,この参考試料にかかる樹脂は室温時の弾
性率が高いため,試料1に比べて,使用時に硬くなり,
取り扱いにくくなるという問題が生じ易い。 【0056】 【0057】 【0058】 【0059】次に,比較試料C2について説明する。比
較試料C2はウレタン系エラストマ(試料3と同様のエ
ストランC95A)である。この樹脂を上記と同様に動
的粘弾性測定を行い,弾性率の温度依存性を測定した。
なお,この時の昇温速度は2℃/分とした。この結果,
比較試料C2にかかるこの樹脂の150℃における貯蔵
弾性率は7.2MPaであることが分かった。 【0060】以上比較試料C2より,ウレタン系エラス
トマというブロック共重合体タイプ熱可塑性エラストマ
のポリウレタンよりなるセグメントに有機化したクレイ
を分散させることで150℃における貯蔵弾性率をより
大きな値に維持できることが分かった。 【0061】本例の作用効果について以下に説明する。
本例にかかる試料1,試料2にかかる樹脂複合材料は,
いずれも2つのセグメントよりなるブロック共重合体タ
イプ熱可塑性エラストマの一方のセグメントに対し,有
機化したモンモリロナイトが分散した状態にある。 【0062】モンモリロナイトは粘土鉱物で,珪酸塩の
シートが何枚も積み重なったような層状構造を有してい
る。有機化したモンモリロナイトと上記エラストマとを
上述したごとく二軸押出機で溶融混練することにより,
モンモリロナイトの層状構造を構成するシート間に,エ
ラストマにおける極性の強いセグメント(試料1及び2
ではポリスチレン)がインターカレートし,積層状態の
シートをほぼ単層の状態としてしまう。 【0063】これにより,ばらばらとなったモンモリロ
ナイトのシートが各セグメントを拘束しつつ,各セグメ
ントを相互に結合させる役割を果たすこととなり,図1
に示すごとき,架橋ゴムの架橋点にも似た構造を樹脂複
合材料の内部に生じせしめることとなる。 【0064】以上により,本例にかかる試料1,試料2
は架橋ゴムとよく似たしなやかな弾性を発揮することが
でき,更に,モンモリロナイトのシートが各セグメント
を拘束する力はかなり強いため,図3に示すごとく,よ
り高い温度での弾性率の低下を防ぐことができる。つま
り樹脂複合材料の耐熱性を高めることができる。 【0065】 【発明の効果】上述したごとく,本発明によれば,耐熱
性に優れ,常温においても架橋ゴムのようなしなやかな
弾力性を有する,樹脂複合材料を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】実施形態例における,樹脂複合材料における有
機化クレイの分散状態を示す説明図。 【図2】実施形態例における,樹脂複合材料を構成する
ブロック共重合体タイプ熱可塑性エラストマを示す説明
図。 【図3】実施形態例における,試料1,比較試料C1,
参考試料における,温度と弾性率との関係を示す線図。 【図4】実施形態例における,(a)ブロック共重合体
タイプ熱可塑性エラストマの説明図,(b)ハードセグ
メントを増量したブロック共重合体タイプ熱可塑性エラ
ストマの説明図。 【符号の説明】 1...樹脂複合材料, 11,12...セグメント, 13...有機化クレイ,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−235858(JP,A) 特開 昭51−69550(JP,A) 特開 平10−30039(JP,A) 特開 平10−279705(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 21/00 C08K 3/34 C08K 9/04 C08L 53/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数種類のセグメントよりなるブロック
    共重合体タイプ熱可塑性エラストマの少なくとも1種類
    のセグメントに対し有機化クレイが分散してなる樹脂複
    合材であって, 上記有機化クレイが上記セグメントに分散する際には,
    セグメント,またはこのセグメントを構成するポリマが
    上記有機化クレイの層間にインターカレートし,さらに
    上記インターカレートにより上記有機化クレイの層間距
    離が少なくとも元の状態よりも10Å以上広がってお
    り, また上記複数種類のセグメントは,官能基を有するハー
    ドセグメントと,官能基をもたないソフトセグメントと
    よりなり, また上記ハードセグメントは,ポリスチレン,ポリアミ
    ド,ポリウレタン,ポリエステルより選ばれる少なくと
    も1種類よりなる分子鎖であり, また,上記ソフトセグメントは,ポリブタジエン,水添
    ポリブタジエン,ポリイソプレン,水添ポリイソプレン
    より選ばれる少なくとも1種類よりなる分子鎖であり, かつ上記有機化クレイは上記ハードセグメントに対して
    選択的に分散している ことを特徴とする樹脂複合材料。
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