JP3371923B2 - 制振材 - Google Patents
制振材Info
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- JP3371923B2 JP3371923B2 JP06999694A JP6999694A JP3371923B2 JP 3371923 B2 JP3371923 B2 JP 3371923B2 JP 06999694 A JP06999694 A JP 06999694A JP 6999694 A JP6999694 A JP 6999694A JP 3371923 B2 JP3371923 B2 JP 3371923B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、損失係数が高いと共に
適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃の温度
範囲内における所望の温度に損失係数のピークを示すよ
うに制御することができる制振材に関するものである。
その主な用途は、車両・船舶用、電器・機械器具用及び
建築・建材用材料等である。 【0002】 【従来の技術】周知の如く、制振材は、自動車、電車等
の車両や船舶、洗濯機、乾燥機、音響機器、精密工作機
械、工場プラント機器等の電器・機械器具に組み込まれ
ているエンジンやモーター等の回転に起因して発生する
振動や騒音、ビルディング、家屋等の水道・ガス等の導
管類や空調用ダクト等により発生する振動や騒音並びに
車両が路面や線路を走行する時に発生する振動等を防止
・抑制することを目的として各種分野で広く使用されて
いる。 【0003】制振材は、一般に、雲母粉体等の充填材料
を結合材樹脂を用いて押し出し成形、カレンダー成形、
圧縮成形、射出成形、注型成形等の成形法によりシート
状又はブロック状等に成形することにより製造される。
中でもシート状の制振材を鋼板等の基材に加熱融着又は
貼付して使用されるケースが多い。制振材の制振効果を
高める為、制振材の厚みを厚くする方法や高密度の充填
材料を多量に添加して制振材の重量を増加させる方法が
広く知られているが、これらの方法による場合には、前
述した制振材の軽量化、薄型化、小型化は困難である。 【0004】近年、上記車両・船舶、電器・機械器具及
び建築・建材等は益々軽量化又は小型化の傾向にあり、
それに伴って材料として用いられる制振材も、軽量化、
薄型化、小型化が益々必要となっており、その為には高
い制振効果、即ち損失係数ができるだけ高いことが強く
要求されている。 【0005】一般に、制振材に使用される結合材樹脂と
しては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等が用いられる
ことが多く、結合材樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場
合は、加熱混合後圧延等を行ってシート状に成形され、
一方、結合材樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合は、
溶剤等で流動性を持たせ、型枠等に注入後硬化させて使
用されている。前者の場合は非常に柔軟性を有したシー
トとなり、後者の場合は柔軟性の乏しいシートとなる。
シートが適当な柔軟性を有しない場合や、充填材料と結
合材樹脂との比率によってはシート化できない場合等
は、使用に供しえないこととなる。したがって、複数の
樹脂を混合配合してなる制振材の場合には各樹脂の混合
割合を、さらには結合材樹脂と充填材料との混合割合を
考慮して適当な柔軟性を有するシートを得ることが要望
される。 【0006】また、通常、制振材は、ある特定の温度に
損失係数のピークを持ち、そのピークを示す温度を中心
としたごく限られた範囲内の温度で高い損失係数を示す
が、この温度範囲を外れると十分な損失係数を得ること
ができない。 【0007】ところが、制振材はその機能上、様々な温
度環境下で使用される。例えば、車両においてはフロア
内やその周辺では20〜40℃の環境下で使用され、エ
ンジンやモーターの周辺等では60℃付近の高温環境下
で使用され、外気に直接触れる部分では10℃以下の低
温環境下で使用されることもある。高い損失係数を有す
る従来の制振材(特開平2−302455号)では損失
係数のピークを示す温度範囲が20〜40℃であり、フ
ロア内やその周辺の使用には問題ないが、高温環境下の
60℃付近での損失係数は十分なものではなかった。ま
た、10℃付近においても十分な損失係数は得られてい
なかった。そこで、10〜60℃の温度範囲の所望の温
度に損失係数のピークを持つように自由に制御できる制
振材が強く要求されている。 【0008】従来、充填材料や結合材料の種類やその混
合配合量を種々変化させて組成や配合割合を調製する方
法により諸特性を改良する方法が検討されており、特開
平2−302455号公報には、雲母粉末及び鉄酸化物
粉末等の充填材料をエチレン酢酸ビニル共重合体と石油
樹脂との結合材樹脂を用いてシート状に成形することに
より損失係数を向上させた制振シートが記載されてお
り、特開昭63−3046号公報には、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体とハロゲン系有機難燃剤とからなる結合材
樹脂と、鉄精鉱スラグと三酸化アンチモンとからなる充
填材料とを混合することにより難燃性を改善させた遮音
材が記載されている。 【0009】樹脂の種類や混合比率を変化させることに
よって損失係数のピークを示す温度を制御することも試
みられており、特開昭52−25900号公報には、エ
ポキシ樹脂、ポリアミドもしくはポリアミンからなる硬
化剤、タール及び無機充填剤からなる制振材であって、
タールの配合量を変えることにより損失係数のピークを
示す温度を20〜100℃の温度範囲で変化させる方法
が記載されており、特開平3−115446号には、ブ
チルゴムと炭化水素樹脂とを主成分とする制振材組成物
において、その炭化水素樹脂の種類、配合比を変えて−
26℃〜33℃の温度範囲において損失弾性率のピーク
を示す制振材組成物が記載されている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】損失係数が高いと共に
適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃の温度
範囲内における所望の温度に損失係数のピークを示すよ
うに制御することができる制振材は、現在最も要求され
ているところであるが、前出公知の各制振シートはこれ
ら諸特性を十分満足するものとは言いがたいものであ
る。 【0011】即ち、前出特開平2−302455号公報
に記載の制振シートは損失係数が高いと共に適当な柔軟
性を有してはいるが、損失係数のピークを所望の温度に
制御するものではない。 【0012】前出特開昭63−3046号公報記載の遮
音材ではその遮音性を示す特性値として密度しか示され
ておらず、制振効果については評価されていない。 【0013】前出特開昭52−25900号公報に記載
の制振材は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂に対して
タールの配合量を減少させることにより高温で制振特性
のピークを有するよう制御しているが、タールを少なく
する必要があるので全体に対するエポキシ樹脂の割合が
増加するためシートとしての柔軟性が低下する。 【0014】前出特開平3−115446号公報に開示
されている制振材組成物は、特定の温度範囲において安
定した制振効果を示す制振材について記載されている
が、良好な制振効果を示す範囲は高々40℃以下であ
り、60℃以上の高温領域では十分高い制振効果を得る
ことが難しい。 【0015】そこで、本発明は、損失係数が高いと共に
適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃の温度
範囲内における所望の温度に損失係数のピークを示すよ
うに制御することができる制振材を提供することを技術
的課題とする。 【0016】 【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。 【0017】即ち、本発明は、無機充填材料を、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体、石油樹脂及び臭素化エポキシ樹
脂からなる結合材樹脂を用いて成形してなる制振材であ
って、前記エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に
対して前記石油樹脂の量を10〜500重量部、前記臭
素化エポキシ樹脂の量を5〜600重量部の範囲とする
とともに、前記結合材樹脂100重量部に対して前記無
機充填材料の量を30〜250重量部の範囲となるよう
に、前記無機充填材料と前記結合材樹脂とを混合配合し
てなる制振材において、前記エチレン酢酸ビニル共重合
体100重量部に対し110〜620重量部の範囲内で
選ばれる前記石油樹脂又は前記臭素化エポキシ樹脂、若
しくは当該両樹脂の配合割合に対応して10〜60℃の
温度範囲内に損失係数のピークを有することを特徴とす
る制振材である。 【0018】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
通りである。 【0019】先ず、本発明に係る制振材は、損失係数の
ピーク値が0.25以上であり、好ましくは0.27以
上、より好ましくは0.30以上である。また、後述す
る柔軟性試験により亀裂を生じることなく適当な柔軟性
を有している。さらに損失係数のピークを示す温度を1
0〜60℃の温度範囲の所望の温度に制御することがで
きる。 【0020】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。 【0021】本発明におけるエチレン酢酸ビニル共重合
体としては、酢酸ビニル含有量が20〜70重量%のエ
チレン酢酸ビニル共重合体が好適である。好ましくは3
0〜65重量%、最も好ましくは35〜63重量%であ
る。 【0022】本発明における石油樹脂としては、芳香族
系石油樹脂や脂肪族系石油樹脂が好適であり、両者を併
用することもできる。 【0023】芳香族系石油樹脂は、例えば、石油類を熱
分解して得られる分解油留分のうち、140〜220℃
の範囲の沸点を有する留分、即ち、スチレン、ビニルト
ルエン、インデン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレ
ン等の1種又は2種以上を含む留分を重合することによ
り得られる。損失係数を考慮すれば軟化点が80〜17
0℃のものが好ましく、80〜130℃のものがより好
ましい。 【0024】脂肪族系石油樹脂は、例えば、石油類を熱
分解して得られる分解油留分のうち、C5 留分、即ち、
イソプレン、ピペリレン、ペンテン等の1種又は2種以
上を含む留分を重合することにより得られる。損失係数
を考慮すれば軟化点が80〜110℃のものが好まし
く、80〜100℃のものがより好ましい。 【0025】なお、好ましくは芳香族系石油樹脂を主と
して含む石油樹脂が用いられ、芳香族系石油樹脂成分を
重合前の構成留分として少なくとも65重量%含み、残
部はイソプレン、ピペリレン等の脂肪族系石油樹脂成分
等を含んでいてもよい。芳香族系石油樹脂成分の含有量
が65重量%以上の場合にはより高い損失係数が得られ
る。 【0026】エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部
に対し石油樹脂の量は、10〜500重量部の範囲であ
る。10重量部未満の場合には、エポキシ樹脂の割合が
多くなるため、比重が重くなりすぎるため好ましくな
い。500重量部を越える場合には十分な損失係数が得
られない。好ましくは50〜470重量部である。 【0027】本発明における臭素化エポキシ樹脂として
は、ビスフェノールA又はフェノールノボラックをベー
スとするエポキシ樹脂の臭素化物であって臭素をBrと
して53.0重量%以上、好ましくは55.0重量%以
上含有するものが好適であり、このものは一般に市販さ
れている。臭素化エポキシ樹脂の量は、前記エチレン酢
酸ビニル共重合体100重量部に対し5〜600重量部
の範囲である。また、臭素化エポキシ樹脂を使用するこ
とで付加的に得られる難燃性を考慮すれば、より好まし
くは、30〜600重量部の範囲である。さらに、石油
樹脂に比べて臭素化エポキシ樹脂は比重が重く、また、
高価であるため、軽量化、及び、経済性を考慮すれば、
特に好ましくは30〜500重量部の範囲である。 【0028】本発明においては、前記エチレン酢酸ビニ
ル共重合体100重量部に対し110〜620重量部の
範囲内で選ばれる前記石油樹脂又は前記臭素化エポキシ
樹脂若しくは当該両樹脂の配合割合に対応して、10〜
60℃の温度範囲内における所望の温度に損失係数のピ
ークを示すように制御することができる。 【0029】即ち、例えば、前記エチレン酢酸ビニル共
重合体100重量部に対する前記石油樹脂又は前記臭素
化エポキシ樹脂若しくは当該両樹脂の配合割合を110
重量部付近と低く選択する場合にはこれに対応して10
℃付近に損失係数のピークを示す制振材が得られ、逆に
配合割合を620重量部付近と高く選択する場合にはこ
れに対応して60℃付近に損失係数のピークを示す制振
材を得ることができるのである。 【0030】本発明における無機充填材料としては、鱗
片状粉体及び粒状粉体から選ばれた一種以上の無機粉体
が使用できる。 【0031】鱗片状粉体としては、雲母粉体、板状酸化
鉄粉体、グラファイト粉体等が使用でき、これら粉体
は、板面径が1〜1000μm程度、好ましくは、1〜
350μm程度のものが好適である。厚みは0.02〜
50μm程度、好ましくは、0.05〜50μmのもの
が好適である。板状比は3〜300、好ましくは5〜2
00のものが好適である。 【0032】粒状粉体としては、三酸化アンチモン粉
体、五酸化アンチモン粉体、炭酸カルシウム粉体、含水
酸化鉄粉体、ヘマタイト粉体、マグヘマイト粉体、マグ
ネタイト粉体、及びZn,Mn,Co,Ni,Cu,M
g,Li等の金属を一種または二種以上含有するスピネ
ルフェライト粉末等が使用でき、マグネタイト、マグヘ
マイト粉体が好ましい。その粒径としては0.05〜1
00μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに0.
1〜1μmの範囲のものが特性的、経済的にも特に好ま
しい。 【0033】前記両粉体は、それぞれ単独でも、混合し
ても用いることができるが、高い損失係数を得る場合に
は鱗片状粉体を単独又は鱗片状粉体の配合割合を多くす
ることが好ましい。 【0034】前記結合材樹脂100重量部に対して、前
記無機充填材料として前記鱗片状粉体又は前記粒状粉体
若しくは当該両粉体の量は30〜250重量部の範囲内
である。30重量部未満の場合には高い損失係数が得ら
れない。250重量部を越えても損失係数の向上が認め
られず、また、250重量部を越えると制振シート製造
時のシーティング作業性が低下する。なお、好ましくは
50〜220重量部である。 【0035】前記両粉体を併用する場合には、前記鱗片
状粉体:前記粒状粉体を20:1〜5:3の割合で用い
ることが損失係数のピーク値及び損失係数の温度依存性
の両観点から好ましい。 【0036】本発明においては、制振材の各種特性を向
上させる為に通常使用されるプロセスオイル、DOP、
ステアリン酸、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、
ステアリン酸Ca等の可塑剤又は滑剤の一種または2種
以上含有させることができる。 【0037】 【作用】本発明に係る制振材において、損失係数が高い
と共に適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃
の温度範囲内における所望の温度に損失係数のピークを
示すように制御することができる理由について、本発明
者は、次のように考えている。 【0038】先ず、高い損失係数は、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体、石油樹脂及び臭素化エポキシ樹脂からなる
結合材樹脂と無機充填材料とからなる制振材において、
前記3種の樹脂並びに前記無機充填材料の適切な選択と
適切な配合比率の選択によって得ることができる。 【0039】次に、損失係数のピークを示す温度を所望
する温度に自由に制御できる点については、前出特開平
2−302455号公報において「・・・樹脂の分子量
や軟化点等を変える事により、制振効果のピークを20
〜50℃の間で変化させることが可能となり・・・」と
あるように樹脂の軟化点を変化させ、制振材自体の軟化
点を変えることによって損失係数のピークを示す温度を
変化させうることが知られている。即ち、制振材の軟化
点と損失係数のピークを示す温度との間には相関がある
ことが知られている。例えば樹脂の種類を変えることで
結合材樹脂の軟化点を変えて損失係数のピークを示す温
度を制御しようとする場合、樹脂の種類を変えることに
よりシートの柔軟性が大きく変わるため使用に適さない
場合がある。軟化点の異なる2種の結合材樹脂を混合し
てなる制振材において、2種の結合材樹脂の配合比率を
変えて結合材樹脂の軟化点を変えることにより損失係数
のピークを示す温度を制御しようとする場合、どちらか
一方の樹脂の配合比率が多くなりすぎると、シートの柔
軟性が軟らかくなりすぎるか、あるいは硬くなりすぎて
使用に供することができない。 【0040】そこで、本発明者は、2種類の樹脂を混合
配合してなる制振材の欠点を克服するべく、いずれも異
なる軟化点を有するエチレン酢酸ビニル共重合体、石油
樹脂、及び臭素化エポキシ樹脂からなる3種類の樹脂を
混合配合してなる制振材において、高い損失係数を有
し、シートが適当な柔軟性を有しており、しかも損失係
数のピークを示す温度を所望の温度に自由に制御するこ
とが可能である制振材を得る方法について種々検討を行
った結果、前記3種類の樹脂の配合比を適宜選択するこ
とで損失係数のピークを示す温度を10〜60℃の温度
範囲内において所望の温度に自由に制御できることを見
出した。 【0041】より具体的には、軟化点の低いエチレン酢
酸ビニル共重合体樹脂量に対して、軟化点の高い石油樹
脂又は臭素化エポキシ樹脂若しくは両樹脂の割合を大き
くすると損失係数のピ−クを示す温度をより高温側に振
ることができ、小さくすると損失係数のピークを示す温
度をより低温側に振ることができる。しかも、異なる軟
化点の3種類の樹脂を混合配合したことにより、損失係
数のピークを示す温度を中心としてある一定の高い損失
係数が得られる温度範囲を広くすることができる。 【0042】また、3種類の樹脂の混合配合する割合に
ついて、いずれか一種類の樹脂の割合が多くなりすぎな
いように調製することにより、シートが適当な柔軟性を
有するように調製することができる。 【0043】 【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。 【0044】制振効果の指標として用いる損失係数ηは
片持バリ式共振法に基づき測定した。得られた制振シー
トを巾15mm、長さ220mmに裁断し、0.8mm
厚鋼板(15×300mm)の基板上に置いて150℃
で30分間加熱融着させ試験片を得た。この試験片の損
失係数(η)を片持バリ式共振法により得た。 【0045】シートの柔軟性の評価方法としては、得ら
れた制振シートを外径50mmの丸棒に巻きつけてシー
ト表面の亀裂の有無により評価した。 【0046】実施例1 酢酸ビニル含有量が40重量%(VA=40重量%)の
エチレン酢酸ビニル共重合体35重量部と石油樹脂(重
合前の構成モノマーの約90重量%が芳香族系成分から
なる石油樹脂)30重量部とビスフェノールAをベース
とするエポキシ樹脂の臭素化物(Br換算59重量%含
有)を主成分とする臭素化エポキシ樹脂35重量部から
なる結合材樹脂に対し、充填材料として雲母粉末(平均
板面径150μm、平均厚み3μm)140重量部を添
加配合し、該配合物を加圧ニーダーにて10分間加熱混
合後、カレンダーロールで圧延し、厚さ2mmの制振シ
ートを作製した。得られた制振シートの損失係数ηのピ
ーク値は温度30℃において、0.44であり、損失係
数の優れたものであった。シートの柔軟性試験において
も亀裂を生ずることなく適当な柔軟性を有するシートで
あった。 【0047】実施例2〜10、比較例1〜3 表1及び表2に示す各組成の材料及び量を用いた他は、
実施例1と同様にして制振シートを作製した後、損失係
数を評価する試験片を得た。得られた試験片の損失係数
ηのピーク値及びその時の温度、シートの柔軟性試験結
果は表3に示す通りであった。 【0048】 【表1】【0049】 【表2】【0050】 【表3】【0051】 【発明の効果】本発明に係る制振材は、前出実施例にも
示した通り、損失係数が高いと共に適当な柔軟性を有し
ており、しかも、10℃〜60℃の温度範囲内において
所望の温度に損失係数のピークを示すように制御するこ
とができるため、制振材の軽量化、薄型化、小型化が可
能であり、しかも、使用環境温度に応じて高い損失係数
を十分発揮できるように設計することができるので、車
両・船舶用、電器・機械器具用及び建築・建材用材料と
して好適である。
適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃の温度
範囲内における所望の温度に損失係数のピークを示すよ
うに制御することができる制振材に関するものである。
その主な用途は、車両・船舶用、電器・機械器具用及び
建築・建材用材料等である。 【0002】 【従来の技術】周知の如く、制振材は、自動車、電車等
の車両や船舶、洗濯機、乾燥機、音響機器、精密工作機
械、工場プラント機器等の電器・機械器具に組み込まれ
ているエンジンやモーター等の回転に起因して発生する
振動や騒音、ビルディング、家屋等の水道・ガス等の導
管類や空調用ダクト等により発生する振動や騒音並びに
車両が路面や線路を走行する時に発生する振動等を防止
・抑制することを目的として各種分野で広く使用されて
いる。 【0003】制振材は、一般に、雲母粉体等の充填材料
を結合材樹脂を用いて押し出し成形、カレンダー成形、
圧縮成形、射出成形、注型成形等の成形法によりシート
状又はブロック状等に成形することにより製造される。
中でもシート状の制振材を鋼板等の基材に加熱融着又は
貼付して使用されるケースが多い。制振材の制振効果を
高める為、制振材の厚みを厚くする方法や高密度の充填
材料を多量に添加して制振材の重量を増加させる方法が
広く知られているが、これらの方法による場合には、前
述した制振材の軽量化、薄型化、小型化は困難である。 【0004】近年、上記車両・船舶、電器・機械器具及
び建築・建材等は益々軽量化又は小型化の傾向にあり、
それに伴って材料として用いられる制振材も、軽量化、
薄型化、小型化が益々必要となっており、その為には高
い制振効果、即ち損失係数ができるだけ高いことが強く
要求されている。 【0005】一般に、制振材に使用される結合材樹脂と
しては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等が用いられる
ことが多く、結合材樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場
合は、加熱混合後圧延等を行ってシート状に成形され、
一方、結合材樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合は、
溶剤等で流動性を持たせ、型枠等に注入後硬化させて使
用されている。前者の場合は非常に柔軟性を有したシー
トとなり、後者の場合は柔軟性の乏しいシートとなる。
シートが適当な柔軟性を有しない場合や、充填材料と結
合材樹脂との比率によってはシート化できない場合等
は、使用に供しえないこととなる。したがって、複数の
樹脂を混合配合してなる制振材の場合には各樹脂の混合
割合を、さらには結合材樹脂と充填材料との混合割合を
考慮して適当な柔軟性を有するシートを得ることが要望
される。 【0006】また、通常、制振材は、ある特定の温度に
損失係数のピークを持ち、そのピークを示す温度を中心
としたごく限られた範囲内の温度で高い損失係数を示す
が、この温度範囲を外れると十分な損失係数を得ること
ができない。 【0007】ところが、制振材はその機能上、様々な温
度環境下で使用される。例えば、車両においてはフロア
内やその周辺では20〜40℃の環境下で使用され、エ
ンジンやモーターの周辺等では60℃付近の高温環境下
で使用され、外気に直接触れる部分では10℃以下の低
温環境下で使用されることもある。高い損失係数を有す
る従来の制振材(特開平2−302455号)では損失
係数のピークを示す温度範囲が20〜40℃であり、フ
ロア内やその周辺の使用には問題ないが、高温環境下の
60℃付近での損失係数は十分なものではなかった。ま
た、10℃付近においても十分な損失係数は得られてい
なかった。そこで、10〜60℃の温度範囲の所望の温
度に損失係数のピークを持つように自由に制御できる制
振材が強く要求されている。 【0008】従来、充填材料や結合材料の種類やその混
合配合量を種々変化させて組成や配合割合を調製する方
法により諸特性を改良する方法が検討されており、特開
平2−302455号公報には、雲母粉末及び鉄酸化物
粉末等の充填材料をエチレン酢酸ビニル共重合体と石油
樹脂との結合材樹脂を用いてシート状に成形することに
より損失係数を向上させた制振シートが記載されてお
り、特開昭63−3046号公報には、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体とハロゲン系有機難燃剤とからなる結合材
樹脂と、鉄精鉱スラグと三酸化アンチモンとからなる充
填材料とを混合することにより難燃性を改善させた遮音
材が記載されている。 【0009】樹脂の種類や混合比率を変化させることに
よって損失係数のピークを示す温度を制御することも試
みられており、特開昭52−25900号公報には、エ
ポキシ樹脂、ポリアミドもしくはポリアミンからなる硬
化剤、タール及び無機充填剤からなる制振材であって、
タールの配合量を変えることにより損失係数のピークを
示す温度を20〜100℃の温度範囲で変化させる方法
が記載されており、特開平3−115446号には、ブ
チルゴムと炭化水素樹脂とを主成分とする制振材組成物
において、その炭化水素樹脂の種類、配合比を変えて−
26℃〜33℃の温度範囲において損失弾性率のピーク
を示す制振材組成物が記載されている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】損失係数が高いと共に
適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃の温度
範囲内における所望の温度に損失係数のピークを示すよ
うに制御することができる制振材は、現在最も要求され
ているところであるが、前出公知の各制振シートはこれ
ら諸特性を十分満足するものとは言いがたいものであ
る。 【0011】即ち、前出特開平2−302455号公報
に記載の制振シートは損失係数が高いと共に適当な柔軟
性を有してはいるが、損失係数のピークを所望の温度に
制御するものではない。 【0012】前出特開昭63−3046号公報記載の遮
音材ではその遮音性を示す特性値として密度しか示され
ておらず、制振効果については評価されていない。 【0013】前出特開昭52−25900号公報に記載
の制振材は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂に対して
タールの配合量を減少させることにより高温で制振特性
のピークを有するよう制御しているが、タールを少なく
する必要があるので全体に対するエポキシ樹脂の割合が
増加するためシートとしての柔軟性が低下する。 【0014】前出特開平3−115446号公報に開示
されている制振材組成物は、特定の温度範囲において安
定した制振効果を示す制振材について記載されている
が、良好な制振効果を示す範囲は高々40℃以下であ
り、60℃以上の高温領域では十分高い制振効果を得る
ことが難しい。 【0015】そこで、本発明は、損失係数が高いと共に
適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃の温度
範囲内における所望の温度に損失係数のピークを示すよ
うに制御することができる制振材を提供することを技術
的課題とする。 【0016】 【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。 【0017】即ち、本発明は、無機充填材料を、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体、石油樹脂及び臭素化エポキシ樹
脂からなる結合材樹脂を用いて成形してなる制振材であ
って、前記エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に
対して前記石油樹脂の量を10〜500重量部、前記臭
素化エポキシ樹脂の量を5〜600重量部の範囲とする
とともに、前記結合材樹脂100重量部に対して前記無
機充填材料の量を30〜250重量部の範囲となるよう
に、前記無機充填材料と前記結合材樹脂とを混合配合し
てなる制振材において、前記エチレン酢酸ビニル共重合
体100重量部に対し110〜620重量部の範囲内で
選ばれる前記石油樹脂又は前記臭素化エポキシ樹脂、若
しくは当該両樹脂の配合割合に対応して10〜60℃の
温度範囲内に損失係数のピークを有することを特徴とす
る制振材である。 【0018】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
通りである。 【0019】先ず、本発明に係る制振材は、損失係数の
ピーク値が0.25以上であり、好ましくは0.27以
上、より好ましくは0.30以上である。また、後述す
る柔軟性試験により亀裂を生じることなく適当な柔軟性
を有している。さらに損失係数のピークを示す温度を1
0〜60℃の温度範囲の所望の温度に制御することがで
きる。 【0020】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。 【0021】本発明におけるエチレン酢酸ビニル共重合
体としては、酢酸ビニル含有量が20〜70重量%のエ
チレン酢酸ビニル共重合体が好適である。好ましくは3
0〜65重量%、最も好ましくは35〜63重量%であ
る。 【0022】本発明における石油樹脂としては、芳香族
系石油樹脂や脂肪族系石油樹脂が好適であり、両者を併
用することもできる。 【0023】芳香族系石油樹脂は、例えば、石油類を熱
分解して得られる分解油留分のうち、140〜220℃
の範囲の沸点を有する留分、即ち、スチレン、ビニルト
ルエン、インデン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレ
ン等の1種又は2種以上を含む留分を重合することによ
り得られる。損失係数を考慮すれば軟化点が80〜17
0℃のものが好ましく、80〜130℃のものがより好
ましい。 【0024】脂肪族系石油樹脂は、例えば、石油類を熱
分解して得られる分解油留分のうち、C5 留分、即ち、
イソプレン、ピペリレン、ペンテン等の1種又は2種以
上を含む留分を重合することにより得られる。損失係数
を考慮すれば軟化点が80〜110℃のものが好まし
く、80〜100℃のものがより好ましい。 【0025】なお、好ましくは芳香族系石油樹脂を主と
して含む石油樹脂が用いられ、芳香族系石油樹脂成分を
重合前の構成留分として少なくとも65重量%含み、残
部はイソプレン、ピペリレン等の脂肪族系石油樹脂成分
等を含んでいてもよい。芳香族系石油樹脂成分の含有量
が65重量%以上の場合にはより高い損失係数が得られ
る。 【0026】エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部
に対し石油樹脂の量は、10〜500重量部の範囲であ
る。10重量部未満の場合には、エポキシ樹脂の割合が
多くなるため、比重が重くなりすぎるため好ましくな
い。500重量部を越える場合には十分な損失係数が得
られない。好ましくは50〜470重量部である。 【0027】本発明における臭素化エポキシ樹脂として
は、ビスフェノールA又はフェノールノボラックをベー
スとするエポキシ樹脂の臭素化物であって臭素をBrと
して53.0重量%以上、好ましくは55.0重量%以
上含有するものが好適であり、このものは一般に市販さ
れている。臭素化エポキシ樹脂の量は、前記エチレン酢
酸ビニル共重合体100重量部に対し5〜600重量部
の範囲である。また、臭素化エポキシ樹脂を使用するこ
とで付加的に得られる難燃性を考慮すれば、より好まし
くは、30〜600重量部の範囲である。さらに、石油
樹脂に比べて臭素化エポキシ樹脂は比重が重く、また、
高価であるため、軽量化、及び、経済性を考慮すれば、
特に好ましくは30〜500重量部の範囲である。 【0028】本発明においては、前記エチレン酢酸ビニ
ル共重合体100重量部に対し110〜620重量部の
範囲内で選ばれる前記石油樹脂又は前記臭素化エポキシ
樹脂若しくは当該両樹脂の配合割合に対応して、10〜
60℃の温度範囲内における所望の温度に損失係数のピ
ークを示すように制御することができる。 【0029】即ち、例えば、前記エチレン酢酸ビニル共
重合体100重量部に対する前記石油樹脂又は前記臭素
化エポキシ樹脂若しくは当該両樹脂の配合割合を110
重量部付近と低く選択する場合にはこれに対応して10
℃付近に損失係数のピークを示す制振材が得られ、逆に
配合割合を620重量部付近と高く選択する場合にはこ
れに対応して60℃付近に損失係数のピークを示す制振
材を得ることができるのである。 【0030】本発明における無機充填材料としては、鱗
片状粉体及び粒状粉体から選ばれた一種以上の無機粉体
が使用できる。 【0031】鱗片状粉体としては、雲母粉体、板状酸化
鉄粉体、グラファイト粉体等が使用でき、これら粉体
は、板面径が1〜1000μm程度、好ましくは、1〜
350μm程度のものが好適である。厚みは0.02〜
50μm程度、好ましくは、0.05〜50μmのもの
が好適である。板状比は3〜300、好ましくは5〜2
00のものが好適である。 【0032】粒状粉体としては、三酸化アンチモン粉
体、五酸化アンチモン粉体、炭酸カルシウム粉体、含水
酸化鉄粉体、ヘマタイト粉体、マグヘマイト粉体、マグ
ネタイト粉体、及びZn,Mn,Co,Ni,Cu,M
g,Li等の金属を一種または二種以上含有するスピネ
ルフェライト粉末等が使用でき、マグネタイト、マグヘ
マイト粉体が好ましい。その粒径としては0.05〜1
00μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに0.
1〜1μmの範囲のものが特性的、経済的にも特に好ま
しい。 【0033】前記両粉体は、それぞれ単独でも、混合し
ても用いることができるが、高い損失係数を得る場合に
は鱗片状粉体を単独又は鱗片状粉体の配合割合を多くす
ることが好ましい。 【0034】前記結合材樹脂100重量部に対して、前
記無機充填材料として前記鱗片状粉体又は前記粒状粉体
若しくは当該両粉体の量は30〜250重量部の範囲内
である。30重量部未満の場合には高い損失係数が得ら
れない。250重量部を越えても損失係数の向上が認め
られず、また、250重量部を越えると制振シート製造
時のシーティング作業性が低下する。なお、好ましくは
50〜220重量部である。 【0035】前記両粉体を併用する場合には、前記鱗片
状粉体:前記粒状粉体を20:1〜5:3の割合で用い
ることが損失係数のピーク値及び損失係数の温度依存性
の両観点から好ましい。 【0036】本発明においては、制振材の各種特性を向
上させる為に通常使用されるプロセスオイル、DOP、
ステアリン酸、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、
ステアリン酸Ca等の可塑剤又は滑剤の一種または2種
以上含有させることができる。 【0037】 【作用】本発明に係る制振材において、損失係数が高い
と共に適当な柔軟性を有しており、しかも10〜60℃
の温度範囲内における所望の温度に損失係数のピークを
示すように制御することができる理由について、本発明
者は、次のように考えている。 【0038】先ず、高い損失係数は、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体、石油樹脂及び臭素化エポキシ樹脂からなる
結合材樹脂と無機充填材料とからなる制振材において、
前記3種の樹脂並びに前記無機充填材料の適切な選択と
適切な配合比率の選択によって得ることができる。 【0039】次に、損失係数のピークを示す温度を所望
する温度に自由に制御できる点については、前出特開平
2−302455号公報において「・・・樹脂の分子量
や軟化点等を変える事により、制振効果のピークを20
〜50℃の間で変化させることが可能となり・・・」と
あるように樹脂の軟化点を変化させ、制振材自体の軟化
点を変えることによって損失係数のピークを示す温度を
変化させうることが知られている。即ち、制振材の軟化
点と損失係数のピークを示す温度との間には相関がある
ことが知られている。例えば樹脂の種類を変えることで
結合材樹脂の軟化点を変えて損失係数のピークを示す温
度を制御しようとする場合、樹脂の種類を変えることに
よりシートの柔軟性が大きく変わるため使用に適さない
場合がある。軟化点の異なる2種の結合材樹脂を混合し
てなる制振材において、2種の結合材樹脂の配合比率を
変えて結合材樹脂の軟化点を変えることにより損失係数
のピークを示す温度を制御しようとする場合、どちらか
一方の樹脂の配合比率が多くなりすぎると、シートの柔
軟性が軟らかくなりすぎるか、あるいは硬くなりすぎて
使用に供することができない。 【0040】そこで、本発明者は、2種類の樹脂を混合
配合してなる制振材の欠点を克服するべく、いずれも異
なる軟化点を有するエチレン酢酸ビニル共重合体、石油
樹脂、及び臭素化エポキシ樹脂からなる3種類の樹脂を
混合配合してなる制振材において、高い損失係数を有
し、シートが適当な柔軟性を有しており、しかも損失係
数のピークを示す温度を所望の温度に自由に制御するこ
とが可能である制振材を得る方法について種々検討を行
った結果、前記3種類の樹脂の配合比を適宜選択するこ
とで損失係数のピークを示す温度を10〜60℃の温度
範囲内において所望の温度に自由に制御できることを見
出した。 【0041】より具体的には、軟化点の低いエチレン酢
酸ビニル共重合体樹脂量に対して、軟化点の高い石油樹
脂又は臭素化エポキシ樹脂若しくは両樹脂の割合を大き
くすると損失係数のピ−クを示す温度をより高温側に振
ることができ、小さくすると損失係数のピークを示す温
度をより低温側に振ることができる。しかも、異なる軟
化点の3種類の樹脂を混合配合したことにより、損失係
数のピークを示す温度を中心としてある一定の高い損失
係数が得られる温度範囲を広くすることができる。 【0042】また、3種類の樹脂の混合配合する割合に
ついて、いずれか一種類の樹脂の割合が多くなりすぎな
いように調製することにより、シートが適当な柔軟性を
有するように調製することができる。 【0043】 【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。 【0044】制振効果の指標として用いる損失係数ηは
片持バリ式共振法に基づき測定した。得られた制振シー
トを巾15mm、長さ220mmに裁断し、0.8mm
厚鋼板(15×300mm)の基板上に置いて150℃
で30分間加熱融着させ試験片を得た。この試験片の損
失係数(η)を片持バリ式共振法により得た。 【0045】シートの柔軟性の評価方法としては、得ら
れた制振シートを外径50mmの丸棒に巻きつけてシー
ト表面の亀裂の有無により評価した。 【0046】実施例1 酢酸ビニル含有量が40重量%(VA=40重量%)の
エチレン酢酸ビニル共重合体35重量部と石油樹脂(重
合前の構成モノマーの約90重量%が芳香族系成分から
なる石油樹脂)30重量部とビスフェノールAをベース
とするエポキシ樹脂の臭素化物(Br換算59重量%含
有)を主成分とする臭素化エポキシ樹脂35重量部から
なる結合材樹脂に対し、充填材料として雲母粉末(平均
板面径150μm、平均厚み3μm)140重量部を添
加配合し、該配合物を加圧ニーダーにて10分間加熱混
合後、カレンダーロールで圧延し、厚さ2mmの制振シ
ートを作製した。得られた制振シートの損失係数ηのピ
ーク値は温度30℃において、0.44であり、損失係
数の優れたものであった。シートの柔軟性試験において
も亀裂を生ずることなく適当な柔軟性を有するシートで
あった。 【0047】実施例2〜10、比較例1〜3 表1及び表2に示す各組成の材料及び量を用いた他は、
実施例1と同様にして制振シートを作製した後、損失係
数を評価する試験片を得た。得られた試験片の損失係数
ηのピーク値及びその時の温度、シートの柔軟性試験結
果は表3に示す通りであった。 【0048】 【表1】【0049】 【表2】【0050】 【表3】【0051】 【発明の効果】本発明に係る制振材は、前出実施例にも
示した通り、損失係数が高いと共に適当な柔軟性を有し
ており、しかも、10℃〜60℃の温度範囲内において
所望の温度に損失係数のピークを示すように制御するこ
とができるため、制振材の軽量化、薄型化、小型化が可
能であり、しかも、使用環境温度に応じて高い損失係数
を十分発揮できるように設計することができるので、車
両・船舶用、電器・機械器具用及び建築・建材用材料と
して好適である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 23/08
C08L 31/04
C08L 57/02
C08L 63/00 - 63/10
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】無機充填材料を、エチレン酢酸ビニル共重
合体、石油樹脂及び臭素化エポキシ樹脂からなる結合材
樹脂を用いて成形してなる制振材であって、前記エチレ
ン酢酸ビニル共重合体100重量部に対して前記石油樹
脂の量を10〜500重量部、前記臭素化エポキシ樹脂
の量を5〜600重量部の範囲とするとともに、前記結
合材樹脂100重量部に対して前記無機充填材料の量を
30〜250重量部の範囲となるように、前記無機充填
材料と前記結合材樹脂とを混合配合してなる制振材にお
いて、前記エチレン酢酸ビニル共重合体100重量部に
対し110〜620重量部の範囲内で選ばれる前記石油
樹脂又は前記臭素化エポキシ樹脂若しくは当該両樹脂の
配合割合に対応して10〜60℃の温度範囲内に損失係
数のピークを有することを特徴とする制振材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06999694A JP3371923B2 (ja) | 1994-03-14 | 1994-03-14 | 制振材 |
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JP (1) | JP3371923B2 (ja) |
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1994
- 1994-03-14 JP JP06999694A patent/JP3371923B2/ja not_active Expired - Fee Related
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