JP3371538B2 - 円柱状繊維構造体及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents

円柱状繊維構造体及びその製造方法並びに製造装置

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JP3371538B2
JP3371538B2 JP10877194A JP10877194A JP3371538B2 JP 3371538 B2 JP3371538 B2 JP 3371538B2 JP 10877194 A JP10877194 A JP 10877194A JP 10877194 A JP10877194 A JP 10877194A JP 3371538 B2 JP3371538 B2 JP 3371538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は円柱状繊維構造体及びそ
の製造方法並びに製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材は軽量の構造材として広
く使用されている。そして、三次元繊維構造体(三次元
織物)を骨格材(強化材)とし、樹脂あるいは無機物を
マトリックスとした複合材はロケット、航空機、自動
車、船舶及び建築物の構造材として幅広い用途が期待さ
れている。繊維強化複合材の強度を高めるためには強化
材が製品の形状と対応した形状であることが必要とな
る。
【0003】従来、円柱状の強化材として円柱状の三次
元織物と、それを製造する装置が特開平2−22144
0号、特開平3−838号公報等に開示されている。特
開平2−221440号には図21及び図22に示すよ
うに、軸方向糸Ya、周方向糸Yθ及び半径方向糸Yrz
の3成分の糸から構成された三次元織物(三次元繊維構
造体)Fが開示されている。そして、軸方向糸Yaは三
次元織物Fの中心部から同心円状に複数層に配列され、
周方向糸Yθは軸方向糸Yaの層間に三次元織物Fの周
方向に沿って配列されている。又、半径方向糸Yrzは三
次元織物Fの中心軸を含む断面内において、周方向糸Y
θの任意の層間を周方向糸Yθと直交する状態で軸方向
及び放射方向に連続して蛇行状態に配列されている。
又、特開平3−838号公報には、前記三次元織物Fを
構成する多数の軸方向糸Yaの層のうちの少なくとも1
層又は半径方向糸Yrzを、三次元織物Fの軸方向に対し
て傾斜した状態に配列した三次元織物が開示されてい
る。
【0004】そして、これらの三次元織物を製造する装
置は図23に示すように、三次元織物の織成部を挟んで
上下に分割された状態に構成され、下部側中央には糸固
定テーブル51がスプライン軸52と一体的に昇降動及
び回転可能に配設されている。スプライン軸52には放
射状に延びる多数のアーム53を有する支持体54が所
定の位置において一体回転可能に支持され、スプライン
軸52は図示しない駆動機構により支持体54に対して
上下方向に移動可能となっている。各アーム53の先端
にはエアシリンダ55が固定され、そのピストンロッド
の先端にはボビンホルダ56を吸着保持するホルダ保持
体57が装着されている。ボビンホルダ56には半径方
向糸Yrzが巻き付けられたボビンBが着脱可能に取り付
けられている。
【0005】糸固定テーブル51の上方には織物を構成
する3種類の糸すべてを固定する糸固定テーブル58
が、スプライン軸59と一体的に昇降動及び回転可能に
配設されている。スプライン軸59には支持体54と同
様に多数のアーム60を有する支持体61が所定の高さ
位置でスプライン軸59と一体回転可能に嵌合されてい
る。各アーム60の先端にはエアシリンダ62が固定さ
れ、そのピストンロッドの先端には前記と同様なホルダ
保持体63が装着されている。ホルダ保持体57,63
はそれぞれ同じ上下一対が常に対向する位置関係にあ
り、同じボビンホルダ56の受け渡しを行うようになっ
ている。支持体54の中央上面には織成位置を規制する
ためのガイドフレーム64が配設され、ガイドフレーム
64の上端面とほぼ同じ高さ位置には周方向糸供給部6
5がボビンホルダ56より外側に配設されている。
【0006】円柱状三次元織物を製造する場合は、軸方
向糸Yaが両糸固定テーブル51,58の中心部間に張
設され、各ボビンホルダ56に装着されたボビンBから
繰出された半径方向糸Yrzの一端が上側の糸固定テーブ
ル58に中心から多層状態をなすように固定される。こ
の状態から各ボビンホルダ56がそれぞれ製織条件に対
応していずれかのホルダ保持体57,63に保持された
状態で、周方向糸ボビン66から周方向糸Yθが繰出さ
れ、軸方向糸Ya及び半径方向糸Yrzの外側に巻き付け
られる。そして、ボビンホルダ56の保持位置を製織条
件に対応して変更しながら、周方向糸Yθの巻付け及び
スプライン52,59の上昇が行われ三次元織物が製造
される。
【0007】又、筒状の複合構造体の製造方法としてい
わゆるフィラメントワインディング法がある。この方法
では、未硬化の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂溶液を前
もって繊維に含浸するかワインディングの最中に含浸す
るかしながら、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン
繊維等の連続繊維状補強材(フィラメント)を張力をも
たせて回転コア上に巻く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】三次元織物を強化材と
した繊維強化複合材が良好な物性を持つためには、三次
元織物を構成する糸がそれぞれその配列方向に緊張され
た状態で配列されることが必要である。又、三次元織物
の単位体積中に占める繊維の割合(以下、Vfと称す)
が大きい方が一般に引張り強度、圧縮強度等の物性が優
れ、三次元織物の組織が均一な方がそれらの物性が優れ
る。ところが、前記従来の円柱状三次元織物ではその構
成成分に半径方向糸Yrzが存在する。半径方向糸Yrzは
一平面内で三次元織物の軸方向と放射方向に延びるよう
に屈曲配置される。そのため、半径方向糸Yrzを軸方向
及び放射方向の両方向に緊張状態で配列することは非常
に難しい。仮に緊張状態で配列できたとしても、放射方
向に延びる部分を緊張状態で配列すると、半径方向糸Y
rzは軸方向糸Yaや周方向糸Yθを、三次元織物の中心
部に配列された軸方向糸Yaから分離させる作用をな
す。又、これらの円柱状三次元織物として径の大きなも
のを製造する場合、その中心部に配列される軸方向糸Y
aを増やしてその外側に周方向糸Yθ、半径方向糸Yrz
及び軸方向糸Yaを配列する方法を採ると、製造が容易
となる。しかし、その場合は、三次元織物の中心部と外
側部とで組織の異なる状態となり、物性が悪くなる。
【0009】又、前記公報に開示された製造装置では、
径の大きな円柱状三次元織物を製造する場合、中心部に
配列される軸方向糸Ya(芯糸)の本数を少なくして中
心付近から半径方向糸Yrzが存在する円柱状織物を織る
には、多数の半径方向糸Yrzが必要となる。その結果、
ボビンホルダ56の授受を行うホルダ保持体57,63
及びそれを駆動するエアシリンダ55,62も多数必要
となり、装置が大型化し構造も複雑になるという問題が
ある。
【0010】又、フィラメントワインディングでは中心
部まで繊維の詰まった柱状体を製造することはできな
い。本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであっ
て、その第1の目的は円柱状の繊維強化複合材の強化材
として適した円柱状繊維構造体を提供することにある。
又、第2の目的は小径領域においても周方向糸や軸方向
糸を緻密に配列でき、しかも大径の円柱状繊維構造体を
製造する場合も装置の大型化を招かない円柱状繊維構造
体の製造方法を提供することにある。又、第3の目的は
その製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、請求項1に記載の発明では、円柱状繊維構造体
の軸方向に沿って配列された軸方向糸により構成された
軸方向糸層と、円柱状繊維構造体の周方向に沿って配列
された周方向糸により構成された周方向糸層とを円柱状
繊維構造体の中心から同心円状に交互にそれぞれ複数層
ずつ配列し、円柱状繊維構造体のほぼ軸心を通って円柱
状繊維構造体を貫通するように配列された貫通糸を円柱
状繊維構造体の長手方向に所定間隔で複数箇所に配列し
た。
【0012】
【0013】
【0014】又、請求項に記載の発明では、円柱状繊
維構造体は、その軸方向に沿って配列された軸方向糸
と、円柱状繊維構造体の軸方向に対して傾斜する状態で
配列されたスパイラル糸と、円柱状繊維構造体の周方向
に沿って配列された周方向糸と、円柱状繊維構造体のほ
ぼ軸心を通って円柱状繊維構造体を貫通するように配列
された貫通糸との4成分の糸からなり、軸方向糸層、ス
パイラル糸層及び周方向糸層を円柱状繊維構造体の中心
から同心円状に複数層ずつ配列し、貫通糸を円柱状繊維
構造体の長手方向に所定間隔で複数箇所に配列した。
【0015】又、第2の目的を達成するため、請求項
に記載の発明では、一対の把持部材間に張設された芯材
の周囲に製造すべき繊維構造体と対応する所定間隔をお
いて係止部材を配置し、糸供給ヘッドから繰り出される
糸を対向する係止部材間で折り返すように配列して軸方
向糸とする軸方向糸配列工程と、糸供給ヘッドから繰り
出される糸を前記軸方向糸に所定の張力が加わった状態
で芯材に圧着するように軸方向糸の外側に巻付ける周方
向糸配列工程とを繰り返して、所定の径の繊維構造体を
形成するようにした。
【0016】又、請求項に記載の発明では、一対の把
持部材間に張設された芯材の周囲に製造すべき繊維構造
体と対応する所定間隔をおいて係止部材を配置し、糸供
給ヘッドから繰り出される糸を対向する係止部材間で折
り返すように配列して軸方向糸とする軸方向糸配列工程
と、糸供給ヘッドから繰り出される糸を前記軸方向糸に
所定の張力が加わった状態で芯材に圧着するようにかつ
繊維構造体の軸方向に対して傾斜する状態で軸方向糸の
外側に巻付けてスパイラル糸とするスパイラル糸配列工
程と、糸供給ヘッドから繰り出される糸を前記軸方向糸
に所定の張力が加わった状態で芯材に圧着するようにか
つ繊維構造体の周方向に沿って軸方向糸の外側に巻付け
て周方向糸とする周方向糸配列工程とを繰り返して、所
定の径の繊維構造体を形成するようにした。
【0017】又、第3の目的を達成するため、請求項
に記載の発明においては、同一軸線上に回転可能に配設
され、芯材を把持する一対の把持部材と、前記両把持部
材の間に両把持部材と同一軸線上に回転可能に配設さ
れ、芯材が貫通可能な筒状部の外周面に係止部が突設さ
れた第1の糸係止部材と、前記両把持部材の間に両把持
部材と同一軸線上に回転可能かつ軸方向に移動可能に配
設され、芯材が貫通可能な筒状部の外周面に係止ピンが
着脱可能に突設された第2の糸係止部材と、前記両把持
部材及び両糸係止部材を同期して回転駆動する第1の駆
動手段と、前記第2の糸係止部材を第1の糸係止部材か
ら離れる方向へ一定加圧状態で付勢する付勢手段と、前
記両把持部材及び両糸係止部材の軸線方向に沿って移動
可能に配設された支持部材と、前記支持部材を軸線方向
に沿って移動させる第2の駆動手段と、前記支持部材上
に配設された駆動装置により前記軸線方向と直交する方
向に移動可能に配設された糸供給ヘッドと、前記第1の
駆動手段、第2の駆動手段及び駆動装置を同期制御する
制御装置とを備えた。
【0018】
【作用】請求項1に記載の発明の円柱状繊維構造体は、
軸方向糸層及び周方向糸層が複数層ずつ配列されてい
る。そして、軸方向糸が周方向糸により締めつけ固定さ
れ、各糸が緊張状態で配列されている。従って、樹脂あ
るい無機物をマトリックスとして複合材を構成した場
合、その軸方向に延びる軸方向糸の存在により引張りに
対する強度が向上する。又、軸方向糸に対する周方向糸
による結束力により、圧縮に対して座屈し難く圧縮強度
の大きい材料が得られる。周方向糸による巻き付け力に
よって高いVfを達成することが容易となる。
【0019】そして、前記円柱状繊維構造体の2成分の
糸に加えて、円柱状繊維構造体のほぼ軸心を通って円柱
状繊維構造体を貫通するように配列された貫通糸が存在
する。この貫通糸の存在により他の各糸層の半径方向の
結束力が増し、繊維強化複合材としたとき、貫通糸がな
いものに比較して耐衝撃性が向上する。
【0020】請求項に記載の発明の円柱状繊維構造体
は、請求項1に記載の発明の円柱状繊維構造体の2成分
の糸に加えて、円柱状繊維構造体の軸方向に対して傾斜
する状態で配列されたスパイラル糸が存在する。軸方向
糸及びスパイラル糸は緊張状態で周方向糸により締めつ
け固定され、各糸が緊張状態で配列されている。そし
て、樹脂あるい無機物をマトリックスとして複合材を構
成した場合、引張り、圧縮に対する強度が向上するとと
もに、スパイラル糸の存在によりねじり強度も向上す
る。
【0021】そして、前記円柱状繊維構造体の3成分の
糸に加えて、円柱状繊維構造体の軸心を通って円柱状繊
維構造体を貫通するように配列された貫通糸が存在す
る。この貫通糸の存在により他の各糸層の半径方向の結
束力が増し、繊維強化複合材としたとき、貫通糸がない
ものに比較して耐衝撃性が向上する。
【0022】請求項に記載の発明では、一対の把持部
材間に張設された芯材の周囲に製造すべき繊維構造体と
対応する所定間隔をおいて係止部材が配置される。軸方
向糸配列工程では、糸供給ヘッドから繰り出される糸が
対向する係止部材間で折り返すように配列される。周方
向糸配列工程では、糸供給ヘッドから繰り出される糸が
前記軸方向糸に所定の張力が加わった状態で軸方向糸を
芯材に圧着するように軸方向糸の外側に、繊維構造体の
周方向に沿って巻付けられる。そして、軸方向糸配列工
程と周方向糸配列工程とが繰り返されて、所定の径の繊
維構造体が形成される。
【0023】請求項に記載の発明では、一対の把持部
材間に張設された芯材の周囲に製造すべき繊維構造体と
対応する所定間隔をおいて係止部材が配置される。軸方
向糸配列工程では、糸供給ヘッドから繰り出される糸が
対向する係止部材間で折り返すように配列される。スパ
イラル糸配列工程では、糸供給ヘッドから繰り出される
糸が、前記軸方向糸に所定の張力が加わった状態で軸方
向糸を芯材に圧着するようにかつ繊維構造体の軸方向に
対して傾斜する状態で軸方向糸の外側に巻付けられる。
周方向糸配列工程では、糸供給ヘッドから繰り出される
糸が前記軸方向糸又はスパイラル糸の外側に、繊維構造
体の周方向に沿って巻付けられる。そして、軸方向糸配
列工程、スパイラル糸配列工程及び周方向糸配列工程と
が繰り返されて、所定の径の繊維構造体が形成される。
【0024】又、請求項に記載の発明では、第1の糸
係止部材及び第2の糸係止部材を貫通する状態で芯材が
一対の把持部材の間に把持される。この状態で第1の駆
動手段が駆動され、第1及び第2の糸係止部材及び両把
持部材が同時に回転される。又、第2の駆動手段が第1
の駆動手段と同期して駆動され、糸供給ヘッドが両糸係
止部材間を往復動される。そして、糸供給ヘッドから繰
り出される糸が第1の糸係止部材の係止部と第2の糸係
止部材の係止ピンとの間で折り返すように配列されて軸
方向糸となる。次に第2の糸係止部材が付勢手段の作用
により第1の糸係止部材から離れる方向へ一定加圧状態
で付勢される状態となる。この状態で、第1の糸係止部
材側から第2の糸係止部材へ向かって糸供給ヘッドが移
動しながら糸が繰り出され、軸方向糸の外側に糸が巻き
付けられてスパイラル糸又は周方向糸となる。スパイラ
ル糸及び周方向糸は軸方向糸を芯材に圧着するように配
列される。糸供給ヘッドの移動速度と、第1及び第2の
糸係止部材及び両把持部材の回転速度の比を変更するこ
とにより、糸供給ヘッドから繰り出される糸と軸方向糸
とのなす角度が変化する。そして、前記両速度比が変更
されて、糸供給ヘッドから繰り出される糸がスパイラル
糸又は周方向糸として配列される。
【0025】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を具体化した第1実施例を図
1〜図11に従って説明する。図8に示すように、円柱
状繊維構造体Fは軸方向糸Ya及び周方向糸Yθにより
構成されている。軸方向糸Yaは円柱状繊維構造体Fの
軸方向に延びる状態で配列され、周方向糸Yθは円柱状
繊維構造体Fの周方向に沿って配列されている。軸方向
糸Yaにより構成される軸方向糸層LYaと、周方向糸
Yθにより構成される周方向糸層LYθとが円柱状繊維
構造体Fの中心から交互に配置されている。軸方向糸Y
aは周方向糸Yθにより締めつけ固定され、軸方向糸Y
aが緊張状態で配列されるとともに周方向糸Yθ自身も
緊張状態で配列されている。すなわち、円柱状繊維構造
体F全体として組織が均一化されている。又、従来の円
柱状三次元織物に比較して繊維密度が高く、すなわち高
Vfとなっている。円柱状繊維構造体Fを構成する繊維
(糸)としては、例えば炭素繊維、セラミック繊維、ガ
ラス繊維、アラミド繊維等がある。このうち、炭素繊維
が強度及び軽量化の点で好ましいが、コストも含めた要
求特性に合うように適宜選択される。
【0026】図8では模式的に軸方向糸層LYa及び周
方向糸層LYθが3層ずつ表されているが、実際はより
多くの層で形成されている。層数は円柱状繊維構造体F
及び糸の径によって異なるため、一概に言えないが、例
えば直径20mmの円柱状繊維構造体Fで30〜50層
にしている。円柱状繊維構造体Fを構成する各糸Ya,
Yθの割合が同じでも、1層当たりの厚みを薄くして異
なる層が多数交互に配置された構成とすることにより、
円柱状繊維構造体Fの組成がほぼ均一となり、物性の優
れた複合材が得られる。
【0027】この円柱状繊維構造体Fは樹脂等をマトリ
ックスとした複合材の強化材として使用される。マトリ
ックスを構成する樹脂としては特に限定はなく、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の
熱硬化性樹脂に限らずナイロン等の熱可塑性樹脂も使用
することができるが、耐熱性、耐湿性の点でエポキシ樹
脂が好ましい。マトリックスとして熱硬化性樹脂を使用
する場合は、円柱状繊維構造体Fに未硬化樹脂を含浸さ
せた後、熱硬化させる。マトリックスとして熱可塑性樹
脂を使用する場合は、溶融状態の樹脂を含浸させるか、
樹脂溶液を含浸させた後、溶媒を揮発させて除去する。
そして、このようにして得られた繊維強化プラスチック
(複合材)は、軸方向糸Yaの存在により引張りに対す
る強度に優れたものとなる。又、周方向糸Yθによる結
束力により、圧縮に対して座屈し難く圧縮強度の大きい
材料となる。
【0028】又、円柱状繊維構造体Fの構成繊維として
炭素繊維を使用し、樹脂で硬化した後、マトリックス樹
脂を焼成したり、マトリックスとしてピッチなどを用い
て、炭素繊維と炭素マトリックスとから成る複合材とし
てもよい。
【0029】次に前記の円柱状繊維構造体Fの製造装置
を説明する。図1,2に示すように、フレーム1の第1
端部寄り中央に支持ブラケット2,3がフレーム1の長
手方向に並んで平行に立設されている。支持ブラケット
2にはフレーム1の長手方向に延びる支軸(図示せず)
が、支持ブラケット3側に突設するように設けられ、該
支軸にプーリ4が回転可能に支持されている。プーリ4
には把持部材5が一体回転可能に固定されている。把持
部材5は公知の構成により糸や線材を把持可能となって
いる。支持ブラケット3には中空の回転軸6が前記支軸
と同軸線上に配設されている。回転軸6の基端寄りには
プーリ7が一体回転可能に固定され、先端には第1の糸
係止部材としてのピン立設部8が一体に形成されてい
る。ピン立設部8には係止部としてのピンP1の第1端
部を嵌入する孔が所定間隔で周方向に並んで形成されて
いる。
【0030】フレーム1の第2端部側には第1のベース
プレート9がガイドレール(図示せず)に沿ってフレー
ム1の長手方向に移動可能に固定されている。ベースプ
レート9上にはレール10がフレーム1の長手方向に沿
って敷設され、その上に第2のベースプレート11が摺
動部材12を介して摺動可能に支持されている。ベース
プレート9上にシリンダ13が固定され、そのピストン
ロッド13aがベースプレート11の端部に固定されて
いる。そして、ベースプレート11はシリンダ13の作
動によりフレーム1の長手方向に移動される。
【0031】ベースプレート11上のほぼ中央にはレー
ル14がフレーム1の長手方向に沿って敷設され、その
上に可動ブラケット15が摺動部材16を介して摺動可
能に支持されている。ベースプレート11上の第1端部
寄りには付勢手段としてのエアシリンダ17が固定さ
れ、そのピストンロッド17aが可動ブラケット15に
固定されている。そして、可動ブラケット15はエアシ
リンダ17の作動によりフレーム1の長手方向に移動さ
れる。エアシリンダ17に圧縮空気を供給する管路(図
示せず)には、ピストンロッド17aが突出位置に配置
された状態においてピストンロッド17aを所定の圧力
で突出側へ付勢する状態と、突出側への付勢を解除する
状態とに切り換える切換え弁が設けられている。可動ブ
ラケット15には中空の回転軸18が回転軸6と同軸線
上に配設されている。回転軸18の基端寄りにはプーリ
19が一体回転可能に固定され、先端には第2の糸係止
部材としてのピン立設部20が一体に形成されている。
ピン立設部20には係止ピンP2の第1端部を嵌入する
孔が所定間隔で周方向に並んで形成されている。
【0032】ベースプレート11上の第2端部寄りには
支持ブラケット21が立設され、支持ブラケット21に
は支軸22が回転軸18と同軸線上に固定されている。
支軸22にはプーリ23が回転可能に支持され、プーリ
23には把持部材24が一体回転可能に固定されてい
る。
【0033】フレーム1上には回転軸25が図示しない
ブラケット及び軸受を介してフレーム1の長手方向に沿
って配設され、その下方にはモータ26が固定されてい
る。モータ26の駆動軸には駆動プーリ27が嵌着固定
され、該駆動プーリ27と回転軸25に一体回転可能に
固定されたプーリ28との間にベルト29が巻き掛けら
れている。回転軸25には前記各プーリ4,7,19,
23と対応する位置にプーリ30,31,32,33が
一体回転可能に固定され、それぞれ対応するプーリ間に
ベルト34,35,36,37が巻き掛けられている。
すなわち、全プーリ4,7,19,23が同期して回転
されるようになっている。プーリ32,33と回転軸2
5との結合はスプラインとスプライン軸構造となってお
り、プーリ32,33はプーリ19,23がフレーム1
の長手方向に移動されるとそれに追従して軸方向に摺動
可能となっている。各プーリ4,7,19,23,3
0,31,32,33、ベルト34,35,36,3
7、回転軸25及びモータ26により第1の駆動手段が
構成されている。
【0034】フレーム1にはベースプレート11に対し
て回転軸25と反対側に、第2の駆動手段としての第1
のアクチュエータ38がフレーム1の長手方向に沿って
配設されている。アクチュエータ38にはボールネジを
使用するとともに、ナットと一体移動可能な移動体を1
軸方向に移動させる構成の公知のものが使用されてい
る。アクチュエータ38に装備された支持部材としての
移動体38a上には糸供給ヘッド39を備えた駆動装置
としての第2のアクチュエータ40が固定されている。
アクチュエータ40は糸供給ヘッド39をフレーム1の
長手方向と直交する方向(前後方向)に移動させるよう
に固定されている。糸供給ヘッド39は図示しない糸供
給部に連なる糸を順次繰り出す作用をなす。モータ2
6、第1のアクチュエータ38及び第2のアクチュエー
タ40は制御装置Cにより同期した状態で駆動されるよ
うになっている。
【0035】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。円柱状繊維構造体を製造するときは、まず支
持ブラケット3と可動ブラケット15との距離が所望の
円柱状繊維構造体に対応する間隔となるように、両ベー
スプレート9,11の位置を設定する。一度設定された
状態から支持ブラケット3と可動ブラケット15の距離
を変更する場合、その変更量が小さな場合はシリンダ1
3の作動により第2のベースプレート11を移動させ
る。変更量が大きな場合は第1のベースプレート9を移
動させる。ベースプレート9,11の位置設定が終了し
た後、エアシリンダ17のピストンロッド17aが突出
位置に配置される。次に両把持部材5,24間に芯材と
しての芯糸Ycを張設し、糸供給ヘッド39に連なる糸
Yの先端をピン立設部8に固定することにより、製造準
備が完了する。このとき糸供給ヘッド39はピン立設部
8と対応する位置に配置されている。又、エアシリンダ
17はピストンロッド17aが突出位置に保持される状
態に圧縮空気が供給されている。
【0036】この状態でモータ26とアクチュエータ3
8の駆動が開始され、軸方向糸配列工程が実施される。
アクチュエータ38は糸供給ヘッド39が両ピン立設部
8,20と対応する位置間を往復移動するように駆動さ
れる。モータ26は糸供給ヘッド39が1往復する間
に、ピン立設部8,20がピンP1及び係止ピンP2の
立設間隔の1ピッチ分回動するように駆動される。その
結果、糸供給ヘッド39から繰り出される糸Yが、図1
に示すように両ピン立設部8,20に立設されたピンP
1及び係止ピンP2を折り返し点として配列される。両
ピン立設部8,20が1回転した時点で第1層目の軸方
向糸Yaの配列が完了する。この状態では図3に示すよ
うに、芯糸Ycから所定間隔をおいて軸方向糸Yaが配
列されている。
【0037】次にピストンロッド17aが所定の圧力で
突出側へ付勢される状態に切換え弁が切り換えられる。
そして、糸供給ヘッド39がピン立設部8の先端と対応
する位置に移動された後、周方向糸配列工程が実施され
て周方向糸Yθの配列が行われる。すなわち、糸供給ヘ
ッド39がピン立設部8側から糸Yを繰り出しながらピ
ン立設部20側へ向かって移動するとともに、ピン立設
部8,20及び把持部材5,24が所定速度で回転され
る。モータ26は軸方向糸Yaを配列するときより速く
駆動される。糸供給ヘッド39は軸方向糸Yaを芯糸Y
cの周囲に圧着させるように、所定の張力が加わった状
態で糸Yを供給する。
【0038】ピストンロッド17aが所定の圧力で突出
側に付勢されている状態で、軸方向糸Yaの周囲に周方
向糸Yθが巻付けられると、軸方向糸Yaの張力がピス
トンロッド17aの付勢力より大きくなり、可動ブラケ
ット15が支持ブラケット3側へ移動される。すなわ
ち、図4に示すように軸方向糸Yaが常に緊張された状
態で、周方向糸Yθの巻き付けに伴ってピン立設部20
が徐々にピン立設部8側へ移動される。そして、糸供給
ヘッド39がピン立設部20の先端と対応する位置まで
移動されると、図5に示すように、軸方向糸Yaが芯糸
Ycの周囲に圧着されるとともにその外周に周方向糸Y
θが配列された中実状態の円柱状繊維構造体Fが形成さ
れる。この状態でモータ26及びアクチュエータ38の
駆動が停止される。
【0039】次にピン立設部20に立設された係止ピン
P2が抜き取られ、可動ブラケット15とともにピン立
設部20が元の位置に配置される。係止ピンP2が抜き
取られると軸方向糸Yaの第1端部が自由状態となる
が、軸方向糸Yaは周方向糸Yθにより芯糸Ycの周囲
に巻き付けられているため、中実状態の円柱状繊維構造
体Fの形状は変化しない。
【0040】次にピン立設部20に係止ピンP2が立設
された後、再びモータ26及びアクチュエータ38が軸
方向糸Yaの配列モードで駆動され、図6に示すように
第2層目の軸方向糸Yaが両ピン立設部8,20に立設
されたピンP1及び係止ピンP2間に折り返し状に配列
される。軸方向糸Yaの配列が完了した後、再びモータ
26及びアクチュエータ38が周方向糸Yθの配列モー
ドで駆動される。そして、第2層目の軸方向糸Yaをそ
の内側に形成されている円柱状繊維構造体Fの外側に圧
着するように、周方向糸Yθが配列される。周方向糸Y
θは固定側のピン立設部8側から可動側のピン立設部2
0側に向かって順次配列され、図7に示す状態となる。
なお、図では軸方向糸Yaと周方向糸Yθとの間に隙間
がある状態に描かれているが、実際は互いに圧着された
状態となっている。
【0041】以下、前記と同様に軸方向糸配列工程と、
周方向糸配列工程とが交互に行われ、円柱状繊維構造体
Fの径が順次増大する。円柱状繊維構造体Fの径がピン
立設部8,20のピンP1及び係止ピンP2の立設位置
における径以上になった後は、軸方向糸Yaの外側に周
方向糸Yθを巻き付けても両ピン立設部8,20間の距
離が変わらないため、ピンP1及び係止ピンP2の抜き
取り及びピン立設部20の位置調整は不要となる。そし
て、前記の操作が繰り返されて、所定の径の円柱状繊維
構造体Fが形成される。なお、芯糸Ycは最終的に軸方
向糸Yaとなる。
【0042】前記のように周方向糸Yθの巻付け時に軸
方向糸Yaが緊張状態に保持されるため、軸方向糸Ya
の真直度を保つことができる。又、従来の円柱状三次元
織物を製造する装置に比較して、円柱状繊維構造体Fの
小径領域においても軸方向糸Ya、周方向糸Yθをきめ
細かく配列できる。
【0043】軸方向糸YaをピンP1と係止ピンP2と
の間に折り返し状に配列する配列方法には幾つかの種類
がある。第1の方法は、図9(a)に示すように、軸方
向糸Yaを対向する係止ピンP2と係止して折り返し、
次に隣接するピンP1と係止して折り返すことを順次繰
り返す。第2の方法は、図9(b)に示すように、軸方
向糸Yaを対向するピンP1及び係止ピンP2と1ピッ
チずれた位置のピンP1及び係止ピンP2と係止して折
り返すことを順次繰り返す。第3の方法は、図10
(a)に示すように、軸方向糸Yaを対向するピンP1
及び係止ピンP2との間で平行に配列するように折り返
した後、次に隣接するピンP1と係止する位置で同様に
配列することを順次繰り返す。第4の方法は、図10
(b)に示すように、軸方向糸Yaを対向するピンP1
及び係止ピンP2間で真っ直ぐに延びる状態と、隣接す
るピンP1間あるいは係止ピンP2間でそれと直角に延
びる状態とを繰り返す。軸方向糸Yaの配列密度は、第
4の方法が最も小さく、以下、第2の方法、第1の方法
及び第3の方法の順に大きくなる。従って、軸方向糸Y
aの所望の配列密度に応じて適宜の配列方法が選択され
る。又、複数の方法を組み合わせてもよい。
【0044】第3及び第4の方法では、軸方向糸Yaは
円柱状繊維構造体Fの軸方向と平行に配列され、軸方向
糸Yaと円柱状繊維構造体Fの軸方向とのなす角度はす
べての軸方向糸Yaにおいてほぼ0°となる。一方、第
1の方法では一部の軸方向糸Yaが、又、第2の方法で
は全ての軸方向糸Yaが円柱状繊維構造体Fの軸方向に
対して傾斜した状態となる。そして、この傾斜角度は円
柱状繊維構造体Fの長さと、軸方向糸Yaが配列された
箇所における円柱状繊維構造体Fの径とにより変化す
る。しかし、その角度が10°以下であれば、その円柱
状繊維構造体Fを強化材とした複合材は、第1及び第2
の方法で軸方向糸Yaを配列したものと、ほぼ同等の物
性を示す。
【0045】ピン立設部8,20はできるだけ小径での
ピンP1及び係止ピンP2の立設を可能にするため、図
11(a),(b)に示すようにテーパ形状にし、径の
異なる位置にピンP1及び係止ピンP2を立設する孔4
1を形成するのが好ましい。軸方向糸Yaの配列数は芯
糸Ycに近い側では少なくてよく、小径部に立設される
ピンP1及び係止ピンP2の数が少なくても差し支えな
い。
【0046】(実施例2)次に第2実施例を図12及び
図13に従って説明する。なお、前記実施例と同一部分
は同一符号を付して詳しい説明を省略する。この実施例
の円柱状繊維構造体Fは前記実施例の円柱状繊維構造体
Fの2成分の糸、すなわち軸方向糸Ya及び周方向糸Y
θに加えて、円柱状繊維構造体Fの軸方向に対して傾斜
する状態で配列されたスパイラル糸Ysが存在する点が
異なっている。スパイラル糸Ysにより構成されたスパ
イラル糸層LYsは、円柱状繊維構造体Fの軸方向に対
するスパイラル糸Ysの傾斜角度が互いに逆となる層が
対で設けられている。軸方向糸層LYa、周方向糸層L
Yθ及びスパイラル糸層LYsは円柱状繊維構造体Fの
中心から同心円状に配置されている。軸方向糸Ya及び
スパイラル糸Ysは緊張状態で周方向糸Yθにより締め
つけ固定され、各糸が緊張状態で配列されている。従っ
て、円柱状繊維構造体F全体として組織が均一化される
とともに、従来の円柱状三次元織物に比較して繊維密度
が高められ、コンパクトで高品質の強化材となる。
【0047】図12では模式的に軸方向糸層LYa、周
方向糸層LYθ及びスパイラル糸層LYsが3層ずつ表
されているが、実際はより多くの層で形成されている。
層数は円柱状繊維構造体F及び糸の径によって異なるた
め、一概に言えないが、例えば直径20mmの円柱状繊
維構造体Fで30〜50層にしている。円柱状繊維構造
体Fを構成する各糸Ya,Ys,Yθの割合が同じで
も、1層当たりの厚みを薄くして異なる層が多数積層さ
れた構成とすることにより、円柱状繊維構造体Fの組成
がほぼ均一となり、物性の優れた複合材が得られる。
【0048】この円柱状繊維構造体Fは、基本的には円
柱状繊維構造体Fの軸方向と各糸との成す角度が、軸方
向糸Yaではほぼ0°、スパイラル糸Ysではほぼ±4
5°、周方向糸Yθではほぼ90°となるように各糸層
が形成される。しかし、それらの角度は必ずしも0°、
±45°及び90°でなくてもよい。例えば、軸方向糸
Yaが前記軸方向と成す角度は−10°〜+10°の範
囲、スパイラル糸Ysが前記軸方向と成す角度は−30
°〜−60°及び+30°〜+60°の範囲、周方向糸
Yθが前記軸方向と成す角度は90°±15°の範囲で
あればよい。
【0049】この円柱状繊維構造体Fも前記実施例と同
様にしてエポキシ樹脂等をマトリックスとした複合材と
して使用される。この複合材料は引張り及び圧縮に対す
る強度に優れたものとなるとともに、スパイラル糸Ys
の存在によりねじり強度も優れたものとなる。
【0050】この実施例の円柱状繊維構造体Fも前記実
施例と同じ製造装置により製造されるが、製造方法が一
部異なる。軸方向糸配列工程及び周方向糸配列工程は前
記実施例と同様に行われ、軸方向糸配列工程と周方向糸
配列工程との間にスパイラル糸配列工程を行うことによ
りスパイラル糸Ysを有する円柱状繊維構造体Fが製造
される。スパイラル糸配列工程は基本的には周方向糸配
列工程と同様に、糸供給ヘッド39が糸Yを繰り出しな
がら両ピン立設部8,20の先端部と対応する位置間を
移動し、ピン立設部8,20及び把持部材5,24が所
定速度で回転される。そして、糸供給ヘッド39の移動
速度とピン立設部8,20及び把持部材5,24の回転
速度との比が、周方向糸配列工程の場合より大きく、す
なわち、糸供給ヘッド39の移動速度が速く設定され
る。周方向糸Yθは円柱状繊維構造体Fの軸方向との成
す角度がほぼ90°のため、周方向糸配列工程では、糸
供給ヘッド39がピン立設部8の先端と対応する位置か
らピン立設部20の先端と対応する位置まで移動する
と、1層分の周方向糸Yθの配列が完了する。しかし、
スパイラル糸Ysは円柱状繊維構造体Fの軸方向との成
す角度がほぼ±45°のため、糸供給ヘッド39が両ピ
ン立設部8,20の先端部と対応する位置間を1度移動
しただけではスパイラル糸層LYsを構成するスパイラ
ル糸Ysの数が不十分となる。そのため、スパイラル糸
配列工程では糸供給ヘッド39が両ピン立設部8,20
の先端部と対応する位置間を複数回移動して、スパイラ
ル糸層LYsを構成する所定数のスパイラル糸Ysが軸
方向糸Yaの外側に巻き付けられる。
【0051】例えば、糸供給ヘッド39が3往復移動さ
れる場合、糸供給ヘッド39が先ずピン立設部8側から
ピン立設部20側へ向かって往動する間に、図13に
で示す位置に、スパイラル糸Ysが円柱状繊維構造体F
の軸方向と成す角度がほぼ+45°となるように巻き付
けられる。そして、糸供給ヘッド39の復動時に、で
示すようにスパイラル糸Ysが円柱状繊維構造体Fの軸
方向と成す角度がほぼ−45°となるように巻き付けら
れる。以下、糸供給ヘッド39の往動時には角度がほぼ
+45°に、復動時にはほぼ−45°となるように〜
に示す位置に順にスパイラル糸Ysが巻き付けられ
る。スパイラル糸配列工程が完了すると、糸供給ヘッド
39の移動速度が低速に変更されて、周方向糸配列工程
が実施される。
【0052】そして、軸方向糸配列工程、スパイラル糸
配列工程及び周方向糸配列工程が順次実施され、所定の
径の円柱状繊維構造体Fが形成される。糸供給ヘッド3
9の移動速度と、ピン立設部8,20及び把持部材5,
24の回転速度とがそれぞれ一定の速度となるようにモ
ータ26及びアクチュエータ38が駆動された場合、円
柱状繊維構造体Fの径によりスパイラル糸Ysの角度が
変化する。スパイラル糸Ysの角度の絶対値は、円柱状
繊維構造体Fの径が大きくなるほど大きくなる。従っ
て、小径部におけるスパイラル糸Ysの角度がほぼ±4
5°となるように両者の速度が設定された場合、円柱状
繊維構造体Fの径が大きくなった時点においてスパイラ
ル糸層LYsが形成されると、スパイラル糸Ysの角度
の基準角度±45°からのずれが大きくなる。しかし、
基準角度からのずれが±15°以内であればとくに問題
はない。又、周方向糸Yθの角度がほぼ90°となるよ
うに両者の速度が設定された場合、円柱状繊維構造体F
の径が大きくなった時点において周方向糸層LYθが形
成されると、周方向糸Yθの角度の絶対値は90°より
小さくなる。そして、円柱状繊維構造体Fの径によって
は基準角度90°からのずれが10°を超える場合もあ
るが、ずれが±15°以内であればとくに問題はない。
【0053】スパイラル糸Ys及び周方向糸Yθの角度
を円柱状繊維構造体Fの径の変化に拘らず基準角度とな
るようにスパイラル糸Ys及び周方向糸Yθを巻き付け
るには、糸供給ヘッド39の移動速度が径に対応した速
度となるようにアクチュエータ38を駆動制御する。
又、モータ26としてサーボモータあるいはインバータ
を介して駆動制御される可変速モータ等を使用し、糸供
給ヘッド39の移動速度を一定にするとともに、径に対
応した速度でモータ26を駆動してもよい。
【0054】(実施例3)次に第3実施例を図14〜図
16に従って説明する。この実施例の円柱状繊維構造体
Fは第2実施例の円柱状繊維構造体Fの3成分の糸に加
えて、円柱状繊維構造体Fのほぼ軸心を通って円柱状繊
維構造体Fを貫通するように配列された貫通糸Ydが存
在する点が異なっている。図14に示すように、貫通糸
Ydは円柱状繊維構造体Fの周面でループ状に折り返す
ように配列されるとともに、そのループ部Lpに耳糸Y
pが挿通されて抜け止めされている。図15に示すよう
に、貫通糸Ydの挿通位置は円柱状繊維構造体Fの周面
に沿った螺線上に位相が45°ずつずれた状態で配置さ
れ、耳糸Ypは円柱状繊維構造体Fの周面に沿って螺旋
状に配置されている。
【0055】この円柱状繊維構造体Fは貫通糸Ydの存
在により、同心円状に配列された各糸層の半径方向の結
束力が増す。そして、この円柱状繊維構造体Fを強化材
としてエポキシ樹脂等をマトリックスとした複合材(繊
維強化プラスチック)は、引張り、圧縮及びねじり強度
が優れ、しかも貫通糸Ydがないものに比較して耐衝撃
性が向上する。
【0056】この実施例の円柱状繊維構造体Fも前記実
施例の装置を使用して製造される。円柱状繊維構造体F
を製造する場合、芯材として単なる芯糸Ycを使用する
代わりに、図16(a)に示すように、最終製品となる
円柱状繊維構造体Fの径より長い多数のピン42が直交
する状態で着脱可能に支持された芯材43を両把持部材
5,24間に張設する。同じ位置に種々の方向に延びる
複数のピン42を固定することはできない。従って、ピ
ン42は図16(b)に示すように、軸方向から見た場
合に互いに所定角度をなして放射状に配置されるよう
に、芯材43の軸方向に順次その固定角度が所定角度ず
つ変更された状態で固定される。
【0057】芯材43の張設が完了した後、前記実施例
と同様にして軸方向糸Ya、スパイラル糸Ys及び周方
向糸Yθの配列が順次行われ、半径方向に多数のピン4
2が挿入された円柱状繊維構造体Fが製造される。次に
ピン42が順次引き抜かれるとともに抜き跡に貫通糸Y
dが円柱状繊維構造体Fの周面にループ部Lpを形成す
るように折り返し状に挿入される。そして、そのループ
部Lpに耳糸Ypが挿通されて貫通糸Ydの抜け止めが
なされ、貫通糸Ydを有する円柱状繊維構造体Fが製造
される。貫通糸Ydは図14に鎖線で示すように、先端
に孔44aを有する針44を使用して行われる。貫通糸
Ydを挿通する際、針44が円柱状繊維構造体Fの軸方
向に沿って所定ピッチで間欠的に移動されるとともに、
円柱状繊維構造体Fが一方向に所定角度(この実施例で
は45°)ずつ間欠的に回転されて貫通糸Ydの挿通位
置が順次針44と対応する状態となる。そして、その状
態で針44が貫通糸Ydとともに円柱状繊維構造体Fに
挿通される。
【0058】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 (1)前記装置で製造する繊維構造体は単なる円柱状に
限らず、図17に示すように円柱の端部に先端が拡径と
なる筒部が連続する形状の繊維構造体Fとしてもよい。
このような繊維構造体Fを製造する場合は、ピン立設部
8として筒部の内面形状に対応した外形部を有するもの
を使用する。そして、図18に示すように円柱状部分の
中心部が形成されるまでは、ピン立設部8の先端側にピ
ンP1を立設して前記実施例と同様に繊維構造体を形成
する。その後はピン立設部8の基端側にピンP1を立設
するとともに、周方向糸Yθをピン立設部8の周囲にも
配列して筒部を形成する。筒部の形状は断面が円環状に
限らず三角、四角等の多角環状であってもよい。
【0059】(2)軸方向糸Ya及び周方向糸Yθの2
成分の糸からなる円柱状繊維構造体Fに、円柱状繊維構
造体Fの軸心を通って円柱状繊維構造体Fを貫通するよ
うに配列される貫通糸Ydを加えた構成としてもよい。
この円柱状繊維構造体Fは貫通糸Ydの存在により他の
各糸層の半径方向の結束力が増し、繊維強化複合材とし
たとき、貫通糸Ydがないものに比較して耐衝撃性が向
上する。
【0060】(3)円柱状繊維構造体Fの貫通糸Ydの
抜け止め用に耳糸Ypを使用せずに、図19に示すよう
に貫通糸Ydの先端ループ部Lpを順次1つ前のピン4
2の抜け跡に挿通された貫通糸Ydのループ部Lpに挿
通するようにしてもよい。この場合、鉤針を使用して貫
通糸Ydの挿通を行う。すなわち、ループ部Lpが形成
される側から鉤針を前記抜け跡に挿通して反対側で貫通
糸Ydを掛止した後、鉤針を引き戻してループ部Lpを
形成する。
【0061】(4)貫通糸Ydを有する円柱状繊維構造
体Fを製造する場合、貫通糸Ydと置換用のピンを支持
した芯材43を使用せずに、実施例1及び実施例2と同
様にして円柱状繊維構造体Fを形成した後、針44を使
用して円柱状繊維構造体Fに貫通糸Ydを挿通してもよ
い。その場合、第3実施例と同様に貫通糸Ydをループ
部Lpを形成するように折り返し状に挿入するととも
に、耳糸Ypで抜け止めをする構成と、図20に示すよ
うに、耳糸Ypを使用せずに針を縫い針のように使用し
て、貫通糸Ydを縫い付けるように挿通してもよい。こ
の場合は実施例3に比較して製造が簡単となる。貫通糸
Ydによる結束力を高めるためには、糸を太くしたり、
挿入密度を増すことが好ましい。この場合も、貫通糸Y
dの挿通位置は円柱状繊維構造体Fの周面に沿った螺線
上で位相が順次45°ずつずれた位置に設定されてい
る。しかし、貫通糸Ydの挿通位置を45°以外の角度
に適宜変更してもよい。
【0062】(5)円柱状繊維構造体Fの軸方向に対す
る角度が同じとなるようにスパイラル糸Ysを複数回巻
付けてスパイラル糸層を形成し、次に配列方向が逆とな
るようにスパイラル糸Ysを複数回巻付けてスパイラル
糸層LYsを形成してもよい。この場合、糸供給ヘッド
39の往動が完了した時点でスパイラル糸Ysを1本の
係止ピンP2に係止させて折り返し、糸供給ヘッド39
の復動時にピン立設部8,20及び把持部材5,24を
往動時と逆方向に所定速度で回転させる。糸供給ヘッド
39の復動が完了した時点でスパイラル糸Ysを1本の
ピンP1に係止させて折り返し、再びピン立設部8,2
0及び把持部材5,24の回転方向を変更した後、糸供
給ヘッド39が往動される。そして、糸供給ヘッド39
を所定回数往復動させて同じ角度(配列方向)でかつ巻
き取り位置を若干ずらせてスパイラル糸Ysを巻付けて
スパイラル糸層LYsを形成する。次にスパイラル糸Y
sの配列方向が逆となるようにピン立設部8,20及び
把持部材5,24を回転させて、前記と同様にしてスパ
イラル糸層LYsを形成する。
【0063】ピンP1及び係止ピンP2に係止された部
分は次の周方向糸配列工程終了後、軸方向糸Yaととも
にピンP1及び係止ピンP2との係止状態が解除され
る。このとき、スパイラル糸Ysは周方向糸Yθにより
締めつけ固定されているため、スパイラル糸Ysとピン
P1及び係止ピンP2との係止状態が解除されてもスパ
イラル糸層LYsを構成するスパイラル糸Ysは緊張状
態に保持される。
【0064】(6)各糸層の配列順序は、円柱状繊維構
造体Fの内側から、軸方向糸層LYa、スパイラル糸層
LYs及び周方向糸層LYθの順に限られるものではな
く、最内層を軸方向糸層LYa及びスパイラル糸層LY
sのいずれか一方とし、最外層をスパイラル糸層LYs
及び周方向糸層LYθのいずれか一方とすれば、その間
の各糸層の配列順序は適宜変更してもよい。又、スパイ
ラル糸層LYsは配列方向が互いに逆となる一対の層が
隣接せずに、対をなすスパイラル糸層LYsの間に他の
糸層が配列されてもよい。
【0065】(7)製造する円柱状繊維構造体Fの径が
大きな場合は、糸供給ヘッド39を昇降可能に構成して
もよい。すなわち、軸方向糸Yaを配列するときはその
先端が円柱状繊維構造体Fの中心を指向する位置に、ス
パイラル糸Ys及び周方向糸Yθを配列するときはその
先端が円柱状繊維構造体Fの中心より上側を指向する位
置に移動可能に構成する。具体的には第1のアクチュエ
ータ38の移動体38aに第2のアクチュエータ40を
昇降可能に取付け、エアシリンダでアクチュエータ40
を昇降動させる。このように構成した場合は、周方向糸
Yθ及びスパイラル糸Ysの配列時に周方向糸Yθを円
柱状繊維構造体の外周面に対する接線方向に無理なく供
給できる。
【0066】(8)軸方向糸Ya供給用の糸供給ヘッド
と、周方向糸Yθ及びスパイラル糸Ys供給用の糸供給
ヘッドとを別個に設けてもよい。前者の糸供給ヘッドは
その先端が円柱状繊維構造体Fの中心を指向するように
配設し、後者の糸供給ヘッドは円柱状繊維構造体Fの中
心より上側を指向するように配設する。この場合も周方
向糸Yθ及びスパイラル糸Ysの配列時に、周方向糸Y
θ及びスパイラル糸Ysを円柱状繊維構造体の外周面に
対して接線方向に無理なく供給できる。又、軸方向糸Y
aと周方向糸Yθ及びスパイラル糸Ysとを異なる糸と
することができ、目的とする物性を有するのに適した太
さや種類の糸を使用できる。
【0067】(9)第1実施例において最初から両ピン
立設部8,20に立設された全てのピンP1及び係止ピ
ンP2間に軸方向糸Yaを折り返し状に配列する代わり
に、径の小さな段階では軸方向糸Yaを一部のピンP1
及び係止ピンP2間で折り返し状に配列し、径が大きく
なった後に全てのピンP1及び係止ピンP2間に軸方向
糸Yaを折り返し状に配列してもよい。
【0068】(10)芯材はピン立設部20に立設され
た係止ピンP2を抜き取った場合に、製造途中の繊維構
造体を所定の位置に保持する機能が有ればよく、芯糸Y
cに限らず、金属線やFRP(繊維強化プラスチック)
のロッドでもよい。又、ピン立設部8に立設されるピン
P1は着脱可能とせずに、ピン立設部8に固着してもよ
い。
【0069】(11)第2実施例において、芯材43と
して芯糸Ycを使用してもよい。又、芯材43として芯
糸Ycを使用するとともに、ピン42として糸Yに繊維
構造体に含浸する樹脂を含浸して製造したFRP製のも
のを使用し、円柱状繊維構造体の製造後にピン42と糸
との置換を省略してもよい。この場合、ピン42と貫通
糸Ydとの置換操作が不要となり、製造工程が簡単とな
る。
【0070】(12)各プーリ4,7,19,23は必
ずしも1個のモータ26で駆動される同一の回転軸25
を駆動源とする必要はなく、同期して駆動される別個の
モータにより駆動される構成としてもよい。
【0071】前記実施例及び変更例から把握できる請求
項記載以外の発明について、以下にその効果とともに記
載する。 (1)請求項1又は2に記載の円柱状繊維構造体を強化
材とした繊維強化プラスチック。この場合、対応する従
来の円柱状三次元織物を強化材とした繊維強化プラスチ
ックに比較して、強度が向上する。
【0072】(2)請求項に記載の発明において、芯
材に所望の円柱状繊維構造体の径より長いピンを取り外
し可能に支持した状態で軸方向糸配列工程、スパイラル
糸配列工程及び周方向糸配列工程とを繰り返して所定の
径の繊維構造体を形成した後、ピンを糸と置換して円柱
状繊維構造体の軸心と直交する平面内で円柱状繊維構造
体を貫通するように配列される貫通糸とする。この方法
では、貫通糸を円柱状繊維構造体内に挿通する際に、円
柱状繊維構造体を構成する各糸を傷つけることが少なく
なる。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項
に記載の発明は引張り及び圧縮に優れた円柱状の繊維強
化複合材の強化材となる。また、貫通糸の存在により耐
衝撃性が向上する。請求項に記載の発明は、スパイラ
ル糸の存在によりねじりに対する強度も優れるととも
に、各糸層の構成比を変更することにより所望の物性に
対応した強化材となる
【0074】又、請求項に記載の発明は、小径領域に
おいても軸方向糸及び周方向糸が緻密に配列された円柱
状繊維構造体を容易に製造できる。又、円柱状繊維構造
体を構成する軸方向糸及び周方向糸を1個又は2個の糸
供給ヘッドから供給できるので、大径の円柱状繊維構造
体を製造する場合も装置の小型化が可能となる。
【0075】又、請求項に記載の発明は、小径領域に
おいても軸方向糸、スパイラル糸及び周方向糸が緻密に
配列された円柱状繊維構造体を容易に製造できる。又、
円柱状繊維構造体を構成する軸方向糸、スパイラル糸及
び周方向糸を1個又は2個の糸供給ヘッドから供給でき
るので、大径の円柱状繊維構造体を製造する場合も装置
の小型化が可能となる。
【0076】又、請求項に記載の発明は、請求項
び請求項に記載の発明と同様な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の円柱状繊維構造体製造装置の概略
斜視図である。
【図2】同じく周方向糸を配列している状態を示す概略
斜視図である。
【図3】第1層目の軸方向糸が配列された状態を示す模
式図である。
【図4】第1層目の周方向糸の配列時の状態を示す模式
図である。
【図5】第1層目の周方向糸の配列が完了した状態を示
す模式図である。
【図6】第2層目の軸方向糸が配列された状態を示す模
式図である。
【図7】第2層目の周方向糸の配列が完了した状態を示
す模式図である。
【図8】(a)は第1実施例の円柱状繊維構造体の模式
断面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図9】軸方向糸Yaの配列状態を示す模式展開図であ
る。
【図10】軸方向糸Yaの配列状態を示す模式展開図で
ある。
【図11】(a)はピン立設部の概略斜視図、(b)は
同じく断面図である。
【図12】第2実施例の円柱状繊維構造体の模式断面図
である。
【図13】同じくスパイラル糸の配列状態を示す模式図
である。
【図14】第3実施例の円柱状繊維構造体の模式断面図
である。
【図15】(a)は同じく貫通糸及び耳糸の配置状態を
示す部分概略斜視図、(b)は同じく模式図である。
【図16】(a)は同じく芯材とピンの関係を示す模式
図、(b)はその正面図である。
【図17】変更例の円柱状繊維構造体の模式断面図であ
る。
【図18】同じく製造途中の状態を示す模式図である。
【図19】別の変更例の貫通糸の抜け止め状態を示す模
式図である。
【図20】(a)は別の変更例の貫通糸の配置状態を示
す部分概略斜視図、(b)は同じく模式図である。
【図21】従来の三次元織物の模式断面図である。
【図22】図21のX−X線における部分断面図であ
る。
【図23】従来装置の概略断面図である。
【符号の説明】
5,24…把持部材、8…第1の糸係止部材としてのピ
ン立設部、17…付勢手段としてのエアシリンダ、20
…第2の糸係止部材としてのピン立設部、4,7,1
9,23,30,31,32,33…第1の駆動手段を
構成するプーリ、25…第1の駆動手段を構成する回転
軸、26…第1の駆動手段を構成するモータ、38…第
2の駆動手段としての第1のアクチュエータ、38a…
支持部材としての移動体、39…糸供給ヘッド、40…
駆動装置としての第2のアクチュエータ、42…ピン、
43…芯材、C…制御装置、F…円柱状繊維構造体、P
1…係止部としてのピン、P2…係止ピン、Ya…軸方
向糸、LYa…軸方向糸層、Yθ…周方向糸、LYθ…
周方向糸層、Yc…芯材としての芯糸、Yd…貫通糸、
Yp…耳糸、Ys…スパイラル糸、LYs…スパイラル
糸層、Y…糸。
フロントページの続き (72)発明者 穴原 明司 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (72)発明者 三田 泰哉 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (56)参考文献 特開 平3−838(JP,A) 特開 平1−75225(JP,A) 特開 平2−221440(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円柱状繊維構造体であって、その軸方向
    に沿って配列された軸方向糸により構成された軸方向糸
    層と、円柱状繊維構造体の周方向に沿って配列された周
    方向糸により構成された周方向糸層とを円柱状繊維構造
    体の中心から同心円状に交互にそれぞれ複数層ずつ配列
    、円柱状繊維構造体のほぼ軸心を通って円柱状繊維構
    造体を貫通するように配列された貫通糸を円柱状繊維構
    造体の長手方向に所定間隔で複数箇所に配列した円柱状
    繊維構造体。
  2. 【請求項2】 円柱状繊維構造体であって、その軸方向
    に沿って配列された軸方向糸と、円柱状繊維構造体の軸
    方向に対して傾斜する状態で配列されたスパイラル糸
    、円柱状繊維構造体の周方向に沿って配列された周方
    向糸と、円柱状繊維構造体のほぼ軸心を通って円柱状繊
    維構造体を貫通するように配列された貫通糸との4成分
    の糸から構成され、軸方向糸層、スパイラル糸層及び周
    方向糸層を円柱状繊維構造体の中心から同心円状に複数
    層ずつ配列し、貫通糸を円柱状繊維構造体の長手方向に
    所定間隔で複数箇所に配列した円柱状繊維構造体。
  3. 【請求項3】 一対の把持部材間に張設された芯材の周
    囲に製造すべき繊維構造体と対応する所定間隔をおいて
    係止部材を配置し、糸供給ヘッドから繰り出される糸を
    対向する係止部材間で折り返すように配列して軸方向糸
    とする軸方向糸配列工程と、糸供給ヘッドから繰り出さ
    れる糸を前記軸方向糸に所定の張力が加わった状態で芯
    材に圧着するように軸方向糸の外側に巻付ける周方向糸
    配列工程とを繰り返して、所定の径の繊維構造体を形成
    する円柱状繊維構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一対の把持部材間に張設された芯材の周
    囲に製造すべき繊維構造体と対応する所定間隔をおいて
    係止部材を配置し、糸供給ヘッドから繰り出される糸を
    対向する係止部材間で折り返すように配列して軸方向糸
    とする軸方向糸配列工程と、糸供給ヘッドから繰り出さ
    れる糸を前記軸方向糸に所定の張力が加わった状態で芯
    材に圧着するようにかつ繊維構造体の軸方向に対して傾
    斜する状態で軸方向糸の外側に巻付けてスパイラル糸と
    するスパイラル糸配列工程と、糸供給ヘッドから繰り出
    される糸を前記軸方向糸に所定の張力が加わった状態で
    芯材に圧着するようにかつ繊維構造体の周方向に沿って
    軸方向糸の外側に巻付け て周方向糸とする周方向糸配列
    工程とを繰り返して、所定の径の繊維構造体を形成する
    円柱状繊維構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 同一軸線上に回転可能に配設され、芯材
    を把持する一対の把持部材と、 前記両把持部材の間に両把持部材と同一軸線上に回転可
    能に配設され、芯材が貫通可能な筒状部の外周面に係止
    部が突設された第1の糸係止部材と、 前記両把持部材の間に両把持部材と同一軸線上に回転可
    能かつ軸方向に移動可能に配設され、芯材が貫通可能な
    筒状部の外周面に係止ピンが着脱可能に突設された第2
    の糸係止部材と、 前記両把持部材及び両糸係止部材を同期して回転駆動す
    る第1の駆動手段と、 前記第2の糸係止部材を第1の糸係止部材から離れる方
    向へ一定加圧状態で付勢する付勢手段と、 前記両把持部材及び両糸係止部材の軸線方向に沿って移
    動可能に配設された支持部材と、 前記支持部材を軸線方向に沿って移動させる第2の駆動
    手段と、 前記支持部材上に配設された駆動装置により前記軸線方
    向と直交する方向に移動可能に配設された糸供給ヘッド
    と、 前記第1の駆動手段、第2の駆動手段及び駆動装置を同
    期制御する制御装置とを備えた 円柱状繊維構造体の製造
    装置。
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