JP2005097759A - 三次元繊維構造体及びその製造方法並びに複合材 - Google Patents

三次元繊維構造体及びその製造方法並びに複合材 Download PDF

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Abstract

【課題】湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用される繊維強化複合材を製造するための適切な強化材として使用することができる三次元繊維構造体を提供する。
【解決手段】三次元繊維構造体11は、扇面板状部11aと、扇面板状部11aの上下両端に形成された板状部11b,11cとから断面形状がI形状に形成されるとともに、長手方向に沿って一定の曲率で湾曲形成されている。三次元繊維構造体11は、その両端部が、複数の三次元繊維構造体を長手方向の端部同士で連結した際に、円環を形成可能な形状に形成されている。三次元繊維構造体11は、扇面板状の三次元繊維構造中間体12を複数厚さ方向に積層した状態で、円弧状周縁部を残して結合糸13により結合され、結合糸13により結合されなかった円弧状周縁部を扇面板状部11aと直角に折り曲げることにより形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、三次元繊維構造体及びその製造方法並びに複合材に係り、詳しくは長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体及びその製造方法並びに複合材に関する。
繊維強化複合材は軽量の構造材料として広く使用されている。繊維強化複合材のうち、三次元織物(三次元繊維構造体)を強化材として使用したものは強度が非常に高く、航空機等の構造材に使用が考えられ、一部使用されている。このような構造材には直線状ではなく、長手方向に湾曲した形状のものも必要となる。例えば、航空機の胴体は円筒状に形成されているため、円弧状に形成された構造材を連結して円環状で使用する用途も多い。
円弧状の三次元繊維構造体の製法として、三次元に配向された強化用繊維で織物を平板状に形成した後に、当該三次元織物を所定形状を有する治具に倣わせて成形する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、扇形や穴付き円板状の複合材の強化用繊維材料として、らせん状織物が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。これらのらせん状織物は、半径方向に延びるように配列されたよこ糸の密度がほぼ均一となるように、一部のよこ糸が半径方向の途中において折り返されるように配列されている。特許文献3に開示されたらせん状織物の製造方法では、開口、よこ入れ、筬打ちを基本動作とする製織機構によって製織する際、多数本の経糸61を一本ずつ個別に制御して送り出し、よこ糸62を片側の耳糸から反対方向の折返し点までの距離が段階的に異なる他種類のよこ入れ幅でよこ入れする。そして、図14に示すように、筬63で筬打ちされた後の織物64を、頂角5度以上15度未満のコーン形状に形成され、その大径部が前記片側の耳糸側を向くように配列された複数本の引取ローラ65に千鳥状に巻き付け、経糸61の無緊張下で引取ローラ65を回転して引き取り、織物64を引取ローラ65の小径側に湾曲させる。
また、曲面部や屈曲部を有する三次元繊維構造体の製造方法として、製造すべき三次元繊維構造体の形状に対応して分解可能に形成された治具を使用し、その治具上に、糸が折り返し状に配列された複数の糸層を積層して積層糸群を形成し、その積層糸群を各糸層と直交する方向に配列される厚さ方向糸で結合する方法がある(例えば、特許文献4参照。)。
積層糸群を厚さ方向糸で結合する方法(以下、積層法と言う場合もある。)では、I形やT形等の異形断面の三次元繊維構造体を直接製造することはできない。しかし、複数の平板状の三次元繊維構造体をステッチで結合させて異形断面の直線状の三次元繊維構造体を製造する方法は知られている(例えば、非特許文献1参照。)。例えば、T形の異形断面の三次元繊維構造体を製造する場合は、図15(a)に示すように、積層法で製造した2枚の平板状の三次元繊維構造体71を準備する。そして、図15(b)に示すように、2枚の三次元繊維構造体71を重ねてその一部にステッチ72を施して両三次元繊維構造体71を接合し、次にステッチ72が施されていない部分を折り曲げ加工することにより図15(c)に示すようにT形断面の三次元繊維構造体Fが得られる。なお、図15(c)に鎖線で示すように、屈曲された部分の形状保持のため、鎖線で示すように第3の三次元繊維構造体71をステッチ72で接合する場合もある。
特開2003−73176号公報(明細書の段落[0007]、[0017],[0018]、図1) 特開昭56−73138号公報(明細書の1,2頁、図1〜3) 特開平2−33346号公報(明細書の2,3頁、図1,2) 特開平11−1843号公報(明細書の段落[0041]〜[0051]、図1,4) (革新航空機技術開発に関する調査研究報告書No.1101 、社団法人 日本航空宇宙工業会 革新航空機技術開発センター、2000年3月、p.20〜23)
ところが、特許文献1に開示された三次元繊維構造体の製法のように、直線状の三次元織物を所定形状を有する治具に倣わせて成形する方法では、三次元織物が平板状の場合には曲率が小さい状態に曲げるのは可能であるが、I字状、T字状、L字状等の異形断面の三次元織物の場合は湾曲させるのが難しい。また、炭素繊維やアラミド繊維等のように高強度、高弾性率の繊維で形成された三次元織物の場合は、湾曲させるのがより難しい。
また、特許文献2及び特許文献3に開示されたらせん状織物を利用するとともに、非特許文献1に記載された異形断面の三次元繊維構造体の製造方法を適用することにより、異形断面で長手方向に湾曲した三次元繊維構造体を製造することが考えられる。例えば、扇状に切断したらせん状織物を複数枚積層するとともに厚さ方向糸で結合して扇面板状の三次元繊維構造体を形成する。そして、その三次元繊維構造体の一部にステッチを施し、ステッチが施されていない部分を折り曲げ加工することにより異形断面で長手方向に湾曲された三次元繊維構造体が形成される。
しかし、特許文献2及び特許文献3に開示されたらせん状織物は曲率が大きな、即ち曲率半径が小さならせん状織物を対象としており、航空機の構造部材のように曲率半径が数mになるらせん状織物を製織するには織機として非常に大きな装置が必要になるという問題がある。また、らせん状織物は経糸及びよこ糸で形成されているため、三次元繊維構造体として長手方向に沿って配列された糸に対して例えば±45度の角度で配列されるバイアス糸を配列させることができない。従って、強度の要求が大きな複合材の強化材としては物性が不十分となる。
また、扇面板状の三次元繊維構造体を形成する方法として、図16に示すように、x糸67及びy糸68で構成された糸層(さらにバイアス糸からなる糸層を含んでもよい)を厚さ方向糸(図示せず)で結合した三次元織物69から所定の曲率及び幅の扇形状の三次元繊維構造体70を切り出すことが考えられる。しかし、この場合、無駄になる部分が多くなるだけでなく、糸の配列が所定の曲率で湾曲されずに直線状となり、高強度の三次元繊維構造体を得るのが難しい。
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用され、長手方向と直交する断面形状が異形状の繊維強化複合材を製造するための適切な強化材として使用することができる三次元繊維構造体を提供することにある。第2の目的は前記三次元繊維構造体を製造する際の三次元繊維構造中間体として適している三次元繊維構造体を提供することにある。また、第3の目的はその三次元繊維構造体の製造方法を提供することにある。また、第4の目的は湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用されるのに適した複合材を提供することにある。
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明の三次元繊維構造体は、長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体である。そして、同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状部を有し、かつ該扇面板状部の両端部が、複数の三次元繊維構造体を長手方向の端部同士で連結した際に、円環を形成可能な形状に形成されている。「断面形状が異形状」とは、断面形状が長方形や正方形、円形のように単純な形状やパイプ形状ではなく、H字状、I字状、L字状、T字状、C字状、コの字状等の形状及びこれらの複合形状を意味する。
従って、この発明の三次元繊維構造体に樹脂等のマトリックスを含浸、硬化させて繊維強化複合材を製造すれば、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用される繊維強化複合材として好適に使用することができる。
請求項2に記載の発明は、長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体である。同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状部を有し、かつ該扇面板状部の両端部の延長線の成す角度の二等分線が扇面を二等分する形状の三次元繊維構造中間体が、複数厚さ方向に積層された状態で一部が結合糸により結合されている。前記三次元繊維構造中間体の円弧状周縁部の少なくとも一方が折り曲げ形成されている。ここで「扇面板状部」とは、二つの円弧と二つの直線で囲まれた所謂扇面形状をなす板に限らず、扇面形状の外側に一定幅の帯状部が連続する形状も含む概念である。
この発明の三次元繊維構造体に樹脂等のマトリックスを含浸、硬化させて繊維強化複合材を製造すれば、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用される繊維強化複合材として好適に使用することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記三次元繊維構造体は互いに直角を成す複数の板状部を有する異形断面に形成されている。この発明では、三次元繊維構造体を梁等の構造材に使用すると、矩形断面の場合に比較して同じ重量であれば曲げモーメントが大きくなる。
前記第2の目的を達成するため、請求項4に記載の発明は、同心の円弧状に配列された0度配列糸を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状部を有する。この発明の三次元繊維構造体は、請求項1〜請求項3に記載の三次元繊維構造体を製造する際の三次元繊維構造中間体として適している。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記扇面板状部内では、前記積層糸群の各糸層の配列糸角度は前記同心の円弧状に配列された0度配列糸に対して一定である。この発明では、各糸層の配列糸角度が一定でない場合に比較して、三次元繊維構造体の物性が良くなる。
前記第3の目的を達成するため、請求項6に記載の発明は、円錐台の周面形状の繊維配列部を有する繊維束配列用治具を使用して、前記繊維束配列用治具の上に、少なくとも前記円錐台の端部と平行に配列される糸からなる糸層を含むように糸層を複数積層して少なくとも2軸配向となる積層糸群を形成する積層糸群形成工程を備えている。また、前記積層糸群を前記繊維束配列用治具に保持した状態で厚さ方向糸で結合する積層糸群結合工程
を備え、円錐台筒状三次元繊維構造体を形成した後、該円錐台筒状三次元繊維構造体を周方向と直交する方向に切断して展開することにより扇面板状の三次元繊維構造体を形成する。
この発明では、繊維束配列用治具の円錐台の周面をなす形状の繊維配列部上に、少なくとも前記円錐台の端部と平行に配列される糸からなる糸層を含む複数の糸層が積層されて少なくとも2軸配向となる積層糸群が形成される。そして、配列された積層糸群が繊維束配列用治具に保持された状態で厚さ方向糸により結合されて、扇面板状部を有する三次元繊維構造体が形成される。従って、扇面板状部を有する三次元繊維構造体を構成する糸(繊維束)のうち、三次元繊維構造体の長手方向に沿って延びる繊維束(0度配列糸)を配列する際、繊維束に加わる張力を高めることで繊維束を繊維配列部上に容易に押圧することができる。その結果、繊維束を扁平な状態で、繊維配列部上に精度良く、同方向に平行に配列することができ、繊維束を高い繊維体積含有率の三次元繊維構造体が得られるように配列するのが容易になり、この三次元繊維構造体を強化材とした複合材の物性が向上する。
請求項7に記載の発明は、円錐台の周面又は円錐台の周面の一部をなす形状の繊維配列部を有する繊維束配列用治具を使用して、前記繊維束配列用治具の上に、少なくとも前記円錐台の端部と平行に配列される糸からなる糸層を含むように糸層を複数積層して少なくとも2軸配向となる積層糸群を形成する積層糸群形成工程を備えている。また、前記積層糸群を前記繊維束配列用治具に保持した状態で一方向へ間欠的に移動させて所定の位置において厚さ方向糸で順次結合する積層糸群結合工程を備えている。そして、前記積層糸群結合工程において前記厚さ方向糸で結合された積層糸群を順次前記繊維束配列用治具から取り外した後、所定長さに切断して扇面板状の三次元繊維構造体を形成する。
この発明では、請求項6に記載の発明の製造方法と異なり、0度配列糸が所定曲率で配列された扇面板状の三次元繊維構造体を連続的に製造することができ、扇面板状の三次元繊維構造体を効率良く製造することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記繊維束配列用治具から順次取り外された前記厚さ方向糸で結合された積層糸群を扇面板状部が連続する形状の帯状三次元繊維構造体として保管した後、所定長さに切断して扇面板状の三次元繊維構造体を形成する。この発明では、繊維束配列用治具から順次取り外された積層糸群を直ちに所定長さに切断して扇面板状の三次元繊維構造体とするのではなく、帯状三次元繊維構造体として保管した後、所定長さに切断されて扇面板状の三次元繊維構造体が形成される。従って、長さの異なる三次元繊維構造体を自由に製造することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記繊維配列部に対して前記円錐台の端部と平行に配列される糸は当該糸層を構成する全ての糸が同時に配列される。この発明では、円錐台の端部と平行に配列される糸を複数回に分けて配列する場合に比較して、効率良く、しかも互いに精度良く平行となるように配列するのが容易となる。
請求項10に記載の発明は、長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体の製造方法である。この製造方法では、請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された三次元繊維構造体を三次元繊維構造中間体として使用する。そして、前記三次元繊維構造中間体を複数厚さ方向に積層した状態で、少なくとも該三次元繊維構造中間体の一方の円弧状周縁部を残して結合糸により結合する三次元繊維構造中間体結合工程と、前記結合糸により結合されなかった円弧状周縁部を扇面板状部と直角に折り曲げる折り曲げ工程とを備えている。
この発明では、扇面板状の三次元繊維構造中間体が複数厚さ方向に積層された状態で、少なくとも該三次元繊維構造中間体の一方の円弧状周縁部を残して結合糸により結合される。その後、結合糸により結合されなかった円弧状周縁部が扇面板状部に対して直角に折り曲げられることにより、長手方向と直交する断面形状が異形状の三次元繊維構造体が形成される。従って、扇面板状の三次元繊維構造中間体を構成する糸(繊維束)のうち、三次元繊維構造中間体の長手方向に沿って延びる糸を精度良く、同方向に平行に配列することができ、三次元繊維構造体を強化材とした複合材の物性が向上する。
前記第4の目的を達成するため、請求項11に記載の発明の複合材は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の三次元繊維構造体を強化材とした。この発明の複合材は、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用されるのに適している。
請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用され、長手方向と直交する断面形状が異形状の繊維強化複合材を製造するための適切な強化材として使用することができる。請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3に記載の発明の三次元繊維構造体を製造する際の三次元繊維構造中間体として適している。請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜請求項4に記載の発明の三次元繊維構造体の各糸層の配列糸角度が一定でない場合に比較して、三次元繊維構造体の物性が良くなる。請求項6〜請求項9に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の三次元繊維構造体を簡単に製造することができる。また、請求項10に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3に記載の発明の三次元繊維構造体を簡単に製造することができる。請求項11に記載の発明によれば、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用されるのに適している。
(第1の実施形態)
以下、本発明をI形(I字状)の断面形状の三次元繊維構造体に具体化した第1の実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1(a)は三次元繊維構造体11の模式斜視図、(b)は配列糸の配列状態を示す三次元繊維構造中間体の模式斜視図、(c)は厚さ方向糸の配列状態を示す三次元繊維構造中間体の模式斜視図、(d)及び(e)は製造途中の三次元繊維構造体の模式斜視図である。図2は繊維束配列用治具の模式斜視図、図3(a)は繊維束配列用治具の断面を示し(b)のA−A線における模式断面図、(b)は(a)のB−B線における模式断面図である。図4(a)は配列角度−45度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図、(b)は配列角度90度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図、図5(a)は配列角度0度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図、(b)は配列角度+45度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図である。
図1(a)に示すように、三次元繊維構造体11は、長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成されている。三次元繊維構造体11は、I形の断面形状に対応して、板状部としての1個の扇面板状部11aと、扇面板状部11aの下端において扇面板状部11aと直角を成すように両側に形成された板状部11bと、扇面板状部11aの上端において扇面板状部11aと直角を成すように両側に形成された板状部11cとから構成されている。即ち、三次元繊維構造体11は互いに直角を成す複数の板状部を有する異形断面に形成されている。そして、三次元繊維構造体11は、長手方向に沿って一定の曲率で湾曲形成されている。湾曲の状態は使用目的によって異なるが、例えば航空機の胴体の構造材として使用する場合、曲率半径が数m(2〜5m)程度となる。
三次元繊維構造体11の各部の寸法は、例えば航空機の胴体の環状部を構成する構造材に使用する場合、扇面板状部11aの高さHが70〜120mm、板状部11bの幅Wが15〜40mmに形成される。また、長さLは環状部を構成する構造材の数及び曲率半径によって変化するが、曲率半径が5m、個数を4個とすれば、約8mに形成される。
三次元繊維構造体11は、その両端部が、複数の三次元繊維構造体を長手方向の端部同士で連結した際に、円環を形成可能な形状に形成されている。三次元繊維構造体11は、その両端面の延長部の成す角度の二等分線が三次元繊維構造体11の中心を通過するように形成されている。
三次元繊維構造体11は、同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む少なくとも2軸配向(この実施形態では、4軸配向)となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状の三次元繊維構造中間体12(三次元繊維構造体)から構成されている。そして、三次元繊維構造中間体12が、複数厚さ方向に積層された状態で一部が結合糸(ステッチ)13により結合されるとともに、三次元繊維構造中間体12の円弧状周縁部が扇面板状部11aと直角に両側に折り曲げられている。
図1(b)に示すように、三次元繊維構造中間体12を構成する積層糸群14は、0度配列糸15と、90度配列糸16と、+45度配列糸17と、−45度配列糸18とから構成されている。0度配列糸15は同一中心の円弧を構成するように、即ち同心の円弧状に、互いに平行に配列されている。90度配列糸16は0度配列糸15と直交するように配列されており、+45度配列糸17は0度配列糸15に対して+45度の角度で配列されており、−45度配列糸18は0度配列糸15に対して−45度の角度で配列されている。即ち、扇面板状部11a内では、積層糸群14の各糸層の配列糸角度は前記同心の円弧状に配列された0度配列糸15に対して一定である。
そして、図1(c)に示すように、積層糸群14が厚さ方向糸zで結合されて三次元繊維構造中間体12が構成されている。各配列糸15〜18には炭素繊維製の繊維束が使用され、厚さ方向糸zにはポリアラミド繊維製の繊維束が使用されている。炭素繊維製の繊維束は炭素繊維の無撚りのマルチフィラメントからなり、マルチフィラメントはフィラメント数が3000〜24000本程度である。
次に三次元繊維構造体11の製造方法について説明する。
三次元繊維構造体11の製造方法は、積層糸群形成工程と、三次元繊維構造中間体形成工程(積層糸群結合工程)と、三次元繊維構造中間体結合工程と、折り曲げ工程とを備えている。
先ず三次元繊維構造中間体12としての三次元繊維構造体の製造に使用する繊維束配列用治具の構成を説明する。繊維束配列用治具は積層糸群形成工程と、三次元繊維構造中間体形成工程とに使用される。
図3(a),(b)に示すように、繊維束配列用治具19は、ベースプレート20上に立設された支柱21に対して、繊維配列部としての円錐台筒状の支持プレート22がブラケット23を介して固定されている。支持プレート22は、その両端部の周長が形成すべき扇面板状の三次元繊維構造中間体12の両端の円弧部の長さと等しくなるように形成されている。図2に示すように、支持プレート22には一箇所にその幅方向に沿って延びる開口部22aが形成されている。
支持プレート22の一端(この実施形態では上端)側には、小径の支持リング24が支柱21に対してアーム部24aで支持された状態で、支柱21及び支持プレート22に対して回転可能に支持されている。支持プレート22の他端(この実施形態では下端)側には、大径の支持リング25がベースプレート20上に設けられた支持筒26上において支持筒26及び支持プレート22に対して回転可能に支持されている。
支持リング24,25の外径はそれぞれ支持プレート22の端部の外径とほぼ同じに形成されている。両支持リング24,25の内面には内歯車24b,25aが形成されている。両内歯車24b,25aは、径及び歯数が同じに形成されている。ベースプレート20上には、両支持リング24,25の内側の位置に回転軸27が上下方向に延びるように配設されている。回転軸27には内歯車24bに歯噛する歯車28と、内歯車25aに歯噛する歯車29とが一体回転可能に固定されている。回転軸27は図示しない、歯車あるいは巻き掛け伝動機構等を介してモータにより回転駆動されるようになっている。即ち、両支持リング24,25は回転軸27の回転に伴い歯車28,29を介して同じ回転速度で回転されるようになっている。なお、回転軸27の上端は、支持リング24と干渉しない高さに設定されている。また、内歯車24b,25aの歯の図示を省略している。
図2に示すように、支持リング24,25には多数のピン30が、支持リング24,25の外側に向かって突出するようにそれぞれ所定ピッチで固定されている。両支持リング24,25にはそれぞれ同数のピン30が固定されており、各ピン30の固定位置は、繊維束配列用治具19の外周面を扇面状に展開した状態で、両支持リング24,25のピン30が扇面の周縁の曲率中心を通る直線上に存在するように設定されている。支持プレート22、支持リング24,25及びピン30が円錐台の周面をなす形状の繊維配列部を構成する。
なお、図3(a),(b)ではピン30の図示を省略している。また、最終的に製造する複合材が、航空機の胴体フレームに使用され、その曲率半径が5mとすれば、扇面板状の三次元繊維構造中間体12の曲率半径も5mとなる。そして、例えば、4個の複合材で円環を構成するとすれば、複合材の長さは7.85mとなり、それに対応する三次元繊維構造中間体12を製造するのに必要な繊維束配列用治具19は、支持リング24の半径が1.25m、支持リング25の半径が1.29mとなる。一方、三次元繊維構造中間体12の幅は0.15m程度である。しかし、各図において、三次元繊維構造中間体12の長さと幅の比や、繊維束配列用治具19の径と幅の比は、実際の値と異なる値で図示している。
次に繊維束配列用治具19を使用した三次元繊維構造中間体12の形成方法を説明する。先ず繊維束配列用治具19の外周面に糸層を複数積層して4軸配向となる積層糸群14を形成する。糸層には、図5(b)に示すように、支持プレート22の周方向とほぼ+45度の角度を成すように配列される+45度配列糸17により構成された+45度配列糸層31、図4(b)に示すように、支持プレート22の周方向と直交する方向に配列される90度配列糸16により構成された90度配列糸層32がある。また、糸層には、図5(a)に示すように、支持プレート22の周方向に沿って配列される0度配列糸15により構成された0度配列糸層33、図4(a)に示すように、支持プレート22の周方向とほぼ−45度の角度を成すように配列される−45度配列糸18により構成された−45度配列糸層34がある。
90度配列糸16、+45度配列糸17及び−45度配列糸18は、それぞれ支持リング24,25のピン30に係止された状態で折り返すようにして配列される。但し、図示の都合上、図4(a),(b)、図5(b)では、各配列糸16〜18がピン30に係止された部分の図示を省略している。各配列糸16〜18は、一端が支持リング24,25の一方に固定された状態で配列が開始される。0度配列糸15は、一端が支持プレート22に固定された状態で配列が開始される。0度配列糸15は、全ての糸が同時に配列される。
各配列糸16〜18は、1本の糸を順次、支持リング24,25のピン30に係止された状態で折り返すよう配列しても、複数本の糸をピン30の配列ピッチに対応した間隔で供給可能なヘッドを使用して同時に配列してもよい。各配列糸16〜18がピン30に係止された状態で折り返す際には、前記ヘッドは配列糸の本数に対応した距離周方向に沿って移動した後、折り返す。
各糸層31〜34の配置順序には特に制限はないが、+45度配列糸層31と−45度配列糸層34との間に90度配列糸層32及び0度配列糸層33が配置される構成が好ましい。
各糸層31〜34が所定層(例えば、各糸層31〜34が2層ずつ)積層されて繊維束配列用治具19上に積層糸群14が形成された後、積層糸群14を繊維束配列用治具19に保持した状態で厚さ方向糸zによる積層糸群14の各糸層の結合が行われる。厚さ方向糸zによる結合、即ち厚さ方向糸zの積層糸群14への挿入は、基本的には本願出願人が先に提案した特許文献4に記載の装置と同様に構成された厚さ方向糸挿入装置を使用して行われる。厚さ方向糸挿入装置は、厚さ方向糸挿入針35が一列に固定された針支持体36を、支持プレート22の開口部22aと対応する位置において往復移動可能に構成されている。針支持体36は厚さ方向糸挿入針35が繊維束配列用治具19に保持された積層糸群14と係合不能な待機位置と、針孔(図示せず)が積層糸群14の反対側となる位置まで積層糸群14を貫通する作用位置とに移動される。
そして、針支持体36の往動により、厚さ方向糸挿入針35が積層糸群14を貫通して、厚さ方向糸zの厚さ方向糸挿入針35に保持されている部分が積層糸群14の裏側から突出する状態となる。その状態から針支持体36が僅かに復動され、厚さ方向糸挿入針35に連なる各厚さ方向糸zがループ状となる。その状態で各厚さ方向糸zのループ部に耳糸(抜け止め糸)が挿通された後、針支持体36が待機位置まで復動され、厚さ方向糸zが折り返し状に挿入される。
次に両支持リング24,25が厚さ方向糸zの1ピッチ分回動され、積層糸群14が開口部22aに対して同じ距離移動される。その状態で再び針支持体36が前記と同様に駆動され、次の箇所に厚さ方向糸zが折り返し状に挿入される。以下、両支持リング24,25の回動と、針支持体36の往復移動とが交互に行われ、両支持リング24,25が1回転した後、針支持体36の往復移動が終了した時点で、積層糸群14への厚さ方向糸zの挿入作業、即ち積層糸群14の結合作業が完了し、円錐台筒状三次元繊維構造体が形成される。
前記ヘッドにより各配列糸15〜18の配列が行なわれる段階が積層糸群形成工程となる。また、積層糸群14が開口部22aと対応する位置で厚さ方向糸挿入針35によって厚さ方向糸zの挿入が行なわれ、積層糸群14が厚さ方向糸zにより結合される段階が三次元繊維構造中間体形成工程(積層糸群結合工程)となる。
次に積層糸群14が一箇所で90度配列糸16の配列方向に沿って切断される。即ち、円錐台筒状三次元繊維構造体が周方向と直交する方向に切断された後、各配列糸16〜18のピン30に係止された部分が順次取り外されて、展開されることにより三次元繊維構造中間体12の形成が完了する。
次に三次元繊維構造中間体結合工程が実施される。三次元繊維構造中間体結合工程では、図1(d)に示すように、2枚の三次元繊維構造中間体12が厚さ方向に積層された状態で、三次元繊維構造中間体12の両方の円弧状周縁部を残して結合糸13により結合される。
次に折り曲げ工程が実施される。折り曲げ工程では、図1(e)に示すように、結合糸13により結合されなかった円弧状周縁部が扇面板状部11aと直角に折り曲げられる。円弧状周縁部は、扇面板状部11aに対して両側に直角に突出するように折り曲げられる。そして、両側に折り曲げられた部分に、別の三次元繊維構造中間体12が結合糸13によって結合され、板状部11b,11cが構成される。以上により図1(a)に示す三次元繊維構造体11の製造が完了する。
前記のように形成された三次元繊維構造体11に、熱硬化性樹脂が含浸、硬化されることにより、異形断面でしかも長手方向に湾曲した形状の複合材が形成され、軽量、高強度、高剛性の構造材として例えば航空機の胴体の環状部を構成するように使用される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂等が使用される。
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 三次元繊維構造体11は、長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成され、その両端部が、複数の三次元繊維構造体11を長手方向の端部同士で連結した際に、円環を形成可能な形状に形成されている。従って、三次元繊維構造体11に樹脂等のマトリックスを含浸、硬化させて繊維強化複合材を製造すれば、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用される繊維強化複合材として好適に使用することができる。
(2) 三次元繊維構造体11は、扇面板状で、かつ該扇面の両端部の延長線の成す角度の二等分線が扇面を二等分する形状の三次元繊維構造中間体12が、複数厚さ方向に積層された状態で一部が結合糸13により結合されている。三次元繊維構造中間体12は同心の円弧状に配列された0度配列糸15からなる0度配列糸層33を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群14が厚さ方向糸zで結合されて形成されている。そして、三次元繊維構造中間体12の円弧状周縁部が扇面板状部11aと直角に折り曲げ形成されている。従って、三次元繊維構造体11に樹脂等のマトリックスを含浸、硬化させて繊維強化複合材を製造すれば、湾曲した形状の梁や円環状に連結された状態で使用される繊維強化複合材として好適に使用することができる。
(3) 三次元繊維構造体11は直角を成す複数の板状部11b,11c及び扇面板状部11aを有する異形断面に形成されている。従って、三次元繊維構造体11を強化材とした複合材を梁等の構造材に使用すると、矩形断面の場合に比較して同じ重量であれば曲げモーメントが大きくなり、同じ曲げモーメントの構造材とする場合には軽量化できる。
(4) 三次元繊維構造体11はI形の異形断面に形成されている。従って、三次元繊維構造体11は、航空機の胴体の構造材に使用する繊維強化複合材の強化材として好適である。
(5) 複合材は、三次元繊維構造体11を強化材とし、熱硬化性樹脂をマトリックスとして構成されている。従って、マトリックスも炭素化されたカーボン/カーボン複合材に比較して耐熱性は劣るが、航空機の構造材としては十分な耐熱性を有し、カーボン/カーボン複合材に比較して製造が容易で、コストも安くなる。
(6) 扇面板状の三次元繊維構造中間体12を複数厚さ方向に積層した状態で、該三次元繊維構造中間体12の円弧状周縁部を残して結合糸13により結合し、その後、結合糸13により結合されなかった円弧状周縁部を扇面板状部11aと直角に折り曲げることにより、三次元繊維構造体11を形成する。従って、異形断面で長手方向に湾曲した三次元繊維構造体11を、三次元ブレーダや三次元織機で製造するより、容易に形成することができる。
(7) 円錐台状の繊維配列部を有する繊維束配列用治具19を使用し、その繊維束配列用治具19の上に、4軸配向となる積層糸群14を形成し、その積層糸群14を厚さ方向糸zで結合して円錐台筒状の三次元繊維構造体を形成する。従って、扇面板状の三次元繊維構造中間体12を構成する糸(繊維束)のうち、三次元繊維構造中間体12の長手方向に沿って延びる糸(0度配列糸15)を配列する際、繊維束に加わる張力を高めることで繊維束を繊維配列部上(支持プレート22の表面)に容易に押圧することができる。その結果、繊維束を扁平な状態で、繊維配列部上に精度良く、同方向に平行に配列することができ、繊維束を高い繊維体積含有率の三次元繊維構造体が得られるように配列するのが容易になり、この三次元繊維構造体11を強化材とした複合材の物性が向上する。
(8) 各糸層31〜34は同時に配列する必要がないため、各配列糸15〜18を配列する配列ヘッドを各配列糸15〜18毎に設ける必要がない。従って、配列ヘッドを共用することで部品点数を少なくできる。
(9) 繊維配列部に対して円錐台の端部と平行に配列される糸(0度配列糸15)は0度配列糸層33を構成する全ての糸が同時に配列される。従って、円錐台の端部と平行に配列される糸を複数回に分けて配列する場合に比較して、効率良く、しかも互いに精度良く平行となるように配列するのが容易となる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図6及び図7に従って説明する。この実施の形態では、三次元繊維構造中間体12の製造方法が前記第1の実施形態と異なっており、三次元繊維構造中間体12から三次元繊維構造体11を製造する工程は前記第1の実施形態と同じである。つまり、三次元繊維構造中間体結合工程と折り曲げ工程は同じである。前記第1の実施形態では、円錐台筒状の三次元繊維構造体を形成した後、一箇所で切断して展開することで扇面板状の三次元繊維構造中間体12を1個ずつ製造した。それに対して、この実施形態では、扇面板状が連続する形状の帯状三次元繊維構造体を形成するとともに、その帯状三次元繊維構造体を所定の長さに切断して三次元繊維構造中間体12を形成する点が前記第1の実施形態と大きく異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図6は帯状三次元繊維構造体の製造時において0度配列糸15を配列している状態の模式斜視図であり、図7は各糸層31〜34が2層ずつ積層された帯状三次元繊維構造体を形成する際の各配列糸15〜18の配列状態を示す模式展開図である。なお、帯状三次元繊維構造体は、実際は湾曲しているが図示の都合上、直線状に図示している。
この実施形態で使用される繊維束配列用治具19は、基本的に前記第1の実施形態で使用されるものと同じであるが、所定の層数積層されるとともに厚さ方向糸zで結合された積層糸群14を順次ピン30から取り外すのを容易とするため、ピン30の長さをあまり長くしない。また、厚さ方向糸zで結合された積層糸群14を順次ピン30から取り外すガイドが必要に応じて設けられる。
この実施形態では、準備段階を除き、各糸層31〜34を構成する各配列糸15〜18の配列が同時に、それぞれ所定の領域において行われる。従って、前記実施形態の場合と異なり、各糸層31〜34の各配列糸15〜18毎に配列ヘッドが設けられる。そして、0度配列糸15を配列する配列ヘッドは所定位置に保持され、90度配列糸16、+45度配列糸17及び−45度配列糸18を配列する配列ヘッドは、それぞれ所定位置で往復移動される。
図7に示すように、各配列糸15〜18の配列に必要な領域毎に、各配列糸15〜18を供給するための配列ヘッド43a,43b,42a,42b,44a,44b,45a,45bが配置される。配列ヘッド42a,42bは+45度配列糸17を配列し、配列ヘッド43a,43bは0度配列糸15を配列し、配列ヘッド44a,44bは90度配列糸16を配列し、配列ヘッド45a,45bは−45度配列糸18を配列する。
配列ヘッド43a,43bは複数本の0度配列糸15を同時に配列するが、他の配列ヘッド42a,42b,44a,44b,45a,45bは+45度配列糸17、90度配列糸16、−45度配列糸18をそれぞれ1本ずつ配列可能に構成されている。
この実施形態では次のようにして帯状三次元繊維構造体41が形成される。先ず、準備段階とし、1層目の−45度配列糸18の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド45aが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に1層目の90度配列糸16の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド44aが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に1層目の0度配列糸15の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド43aが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に1層目の+45度配列糸17の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド42aが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に2層目の−45度配列糸18の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド45bが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に2層目の90度配列糸16の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド44bが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に2層目の0度配列糸15の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド43bが所定の配列領域と対応する位置に配置される。次に2層目の+45度配列糸17の配列が開口部22aの近傍から開始され、配列ヘッド42bが所定の配列領域と対応する位置に配置される。
なお、各配列糸15〜18の端部は、図示しない端部固定部材に固定される。前記端部固定部材は、初期状態には開口部22aの近くに配置され、製織が開始されると間欠的に移動されて、製織された帯状三次元繊維構造体41を巻き取る巻き取り部に固定されるようになっている。
前記準備段階が終了した後、帯状三次元繊維構造体41の製織が開始される。製織開始により、両支持リング24,25が間欠的に駆動されるとともに、各配列ヘッド42a〜45a,42b〜45bにより各配列糸15〜18の配列が各配列領域において行われる。そして、2層目の+45度配列糸17の配列領域で+45度配列糸17が配列された部分が、各配列糸15〜18が2層ずつ合計8層の糸層で構成された積層糸群14となり、当該部分が開口部22aと対応する状態で厚さ方向糸挿入針35によって厚さ方向糸zの挿入が行われ、積層糸群14が厚さ方向糸zにより結合される。
各配列ヘッド42a〜45a,42b〜45bにより各配列糸15〜18の配列が各配列領域において行われる段階が積層糸群形成工程となる。また、積層糸群14に開口部22aと対応する位置で厚さ方向糸挿入針35によって厚さ方向糸zの挿入が行われ、積層糸群14が厚さ方向糸zにより結合される段階が積層糸群結合工程となる。
積層糸群14は、厚さ方向糸zの挿入が完了するまではピン30に係止された状態に保持され、厚さ方向糸zの挿入が完了した後、順次ピン30との係合が解除される。炭素繊維は殆ど伸びないため、ピン30に係止されていた配列糸16〜18がピン30から取り外されても、帯状三次元繊維構造体41はちぢまず、帯状三次元繊維構造体41を順次取り外しても支障はない。
両支持リング24,25は、厚さ方向糸zの挿入作業が行われている時に停止されるように間欠的に駆動される。製織された帯状三次元繊維構造体41は図示しない巻き取り部によって巻き取られる。即ち、帯状三次元繊維構造体41は、厚さ方向糸zによる結合が終了した部分から順次繊維束配列用治具19から取り外されて巻取り部に巻き取られる。なお、帯状三次元繊維構造体41をピン30から外す箇所には図示しない取り外しガイドが設けられている。
この実施形態では第1の実施形態の(1)〜(7)及び(9)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(10) 三次元繊維構造中間体12の形成が、扇面板状部が連続する形状の帯状三次元繊維構造体41を形成するとともに、厚さ方向糸zによる結合が終了した部分から帯状三次元繊維構造体41を順次繊維束配列用治具46から取り外し、その後、帯状三次元繊維構造体41を所定の長さに切断することにより行われる。従って、所定曲率の扇面板状の三次元繊維構造中間体12を効率良く製造することができ、ひいては長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体11を効率良く製造することができる。
(11) 帯状三次元繊維構造体41を形成する際、厚さ方向糸zによる結合が終了した部分から帯状三次元繊維構造体41を順次繊維束配列用治具19から取り外すとともに巻き取り部で巻き取る。従って、長尺の帯状三次元繊維構造体41を形成して保管しておき、必要に応じて順次切断して三次元繊維構造中間体12を製造することができる。また、長さの異なる三次元繊維構造中間体12を自由に製造することができる。
(12) 0度配列糸15を配列する配列ヘッド43a,43bは、準備段階以後は、一定位置に保持されていればよく、他の配列糸16〜18を配列する配列ヘッド42a,42b,44a,44b,45a,45bは準備段階以後は、所定の配列領域と対応する位置を移動すればよく、移動のために大きなスペースを確保する必要がない。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図8及び図9に従って説明する。この実施の形態では、扇面板状部が連続する形状の帯状三次元繊維構造体41を形成し、その帯状三次元繊維構造体41を所定の長さに切断して三次元繊維構造中間体12を形成する点は前記第2の実施形態と同じであるが、繊維束配列用治具の構成が大きく異なっている。図8は繊維束配列用治具の要部模式斜視図、図9は同じく繊維束配列用治具の一組のベルトの間で切断した模式断面図である。
繊維束配列用治具19では、支持プレート22に対して支持リング24,25が相対回転可能に設けられているが、この実施形態の繊維束配列用治具46では、両支持リング24,25間の繊維配列部が両支持リング24,25と同期して回転される。また、前記繊維配列部に規制ピンが設けられている点が第2の実施形態と異なっている。第2の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
この実施形態においては、両支持リング24,25の間に設けられる繊維配列部は、両支持リング24,25のほぼ半周の部分と対応する箇所に設けられている。繊維配列部は図8に示すように、一組の無端状のベルト47a,47b間に上下方向に延びるように所定間隔で固定されたプレート48を備え、各プレート48には規制ピン49が突設されている。図9に示すように、ベルト47a,47bは、それぞれ駆動プーリ50、被動プーリ51及びガイドプレート52に巻き掛けられ、駆動プーリ50の回転に伴ってほぼ半円状の周回軌道を描くように構成されている。両ベルト47a,47bは両支持リング24,25と同期してそれぞれ同じ速度で駆動されるようになっている。なお、図では規制ピン49を分かり易く、ピン30より大きく図示しているが、実際は規制ピン49が駆動プーリ50の近くで積層糸群14から離脱し易いように短く形成されている。
両支持リング24,25の間には、両ベルト47a,47bの周回領域以外の部分に、円錐台筒をほぼ半分に切断した形状の支持プレート53が、支柱21に支持された状態で配設されている。支持プレート53には駆動プーリ50の近くに厚さ方向糸挿入針35が侵入可能な開口部53aが形成されている。開口部53aの位置は、開口部53aと対応する箇所を移動する積層糸群14からは規制ピン49が離脱されており、積層糸群14の上下両端はピン30に係止された状態に保持され、厚さ方向糸zが開口部53aにおいて積層糸群14に挿入された後、ピン30が積層糸群14から離脱し易い位置に設定されている。
また、図9では理解を容易にする為、プレート48および支持プレート53が支柱21と同じく垂直に配置され、支持リング25の周面上にプレート48が動くように図示しているが、実際にはプレート48および支持プレート53は円錐台筒の側面を形成している為、支柱21に対して傾いて配置されている。
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、準備段階が行われて8箇所に配列ヘッド42a〜45a,42b〜45bが配置された状態で、支持リング24,25が間欠的に回転されるとともに、支持リング24,25の停止中に厚さ方向糸zの積層糸群14への挿入が行われる。そして、支持リング24,25の回転と同期して両ベルト47a,47bが共に移動される。
従って、この実施形態では第2の実施形態と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(13) 両支持リング24,25間に配設された繊維配列部を構成するプレート48が両支持リング24,25の回転と同期して移動される。従って、前記第2の実施形態や第1の実施形態と異なり、積層糸群14が繊維配列部の表面上を摺動することがなく、積層糸群14の繊維配列部と対向する位置にある繊維束が毛羽立つのを防止することができる。
(14) 0度配列糸15に張力を加えて0度配列糸15を繊維配列部に圧接させて配列させる際、プレート48の傾斜角度によっては0度配列糸15が上方にずれる虞がある。しかし、繊維配列部(プレート48)に規制ピン49が突設されているためそのような虞がなく、0度配列糸15を所定の位置に精度良く配列することができる。
なお、実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第2及び第3の実施形態のように帯状三次元繊維構造体41を連続的に形成する方法において、積層糸群14を移動させる構成として、一組の支持リング24,25を使用する構成に代えて、図10に示すように、無端状のベルト54で構成してもよい。図10は図9に対応する模式断面図である。両ベルト54は、駆動プーリ55、被動プーリ56及びガイドプレート57に巻き掛けられ、駆動プーリ55の回転に伴ってほぼ半円状の周回軌道を描くように構成されている。ベルト54の外周面には一定間隔でピン58がベルト54と垂直に突設されている。ガイドプレート57はピン58が所定の曲面に沿って移動可能な曲率の円弧状に形成されている。両ベルト54は同期してそれぞれ円弧部を同じ角速度で駆動されるようになっている。この構成では、支持リング24,25を使用する構成に比較して繊維束配列用治具46を小型化できる。
○ 繊維束配列用治具19として支持プレート22が円錐台筒状に限らず、図11(a)に示すように、円錐台筒状部の上側に支持リング24と同径の円筒部22bが形成され、下側に支持リング25と同径の円筒部22cが形成された形状としてもよい。また、図11(b)に示すように、円錐台筒状部の下側に支持リング25と同径の円筒部22cが形成された形状としてもよい。図11(a)に示す形状の繊維束配列用治具19を使用した場合は、図12に示す形状、即ち扇面状部12aの両周縁に帯状部12bを有する形状の三次元繊維構造中間体12が得られる。この場合、円筒部22b,22cと対応する部分の、扇状の部分の対応する周縁と平行に延びる円弧の長さは等しくなる。従って、円筒部22b,22cと対応する部分を扇面板状部11aと直角に折り曲げることにより、フランジ部の長さが一定な三次元繊維構造体11を得ることができる。
○ 三次元繊維構造体11の断面形状はI字状に限らず、図13(a)に示すように、JとTとが組み合わされたJ/T形としたり、図13(b)に示すように、T字状としたり、その他、L字状、H字状等、扇面板状部11aと直角を成す屈曲部を有する形状であってもよい。
○ 扇面板状部11aに対して直角に折り曲げられた板状部11b,11cに別の三次元繊維構造中間体12を重ねて結合糸13で結合しなくてもよい。しかし、別の三次元繊維構造中間体12を結合した方が三次元繊維構造体11の形状が安定するとともに強度が高くなる。
〇 板状部11b,11cは扇面板状部11aに対して直角に折り曲げられた構成に限らず、扇面板状部11aに対して斜めになるように折り曲げられた構成でもよい。
○ 配列糸15〜18の配列順序は、帯状三次元繊維構造体41を連続的に形成する場合には、0度配列糸15以外の配列糸16〜18が最初に配列されればよく、繊維束配列用治具19を使用してバッチ操作的に三次元繊維構造中間体12を形成する場合は配列順序は自由である。しかし、4軸配向の場合、+45度配列糸17と−45度配列糸18との間に0度配列糸15及び90度配列糸16が配列されるのが好ましい。
○ 三次元繊維構造体11を構成する扇面板状部11a及び板状部11b,11cは、同心の円弧状に配列された0度配列糸15からなる糸層33を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群14が厚さ方向糸で結合されて形成されていればよい。例えば、積層糸群14は、0度配列糸15と、90度配列糸16とで面内2軸配向としたり、0度配列糸15、+45度配列糸17及び−45度配列糸18で3軸配向としてもよい。積層糸群14の配向をどのようにするかは、三次元繊維構造体11を強化材とする複合材に要求される強度によって決められ、4軸配向が全ての方向に対して強度が高くなる。
○ 第1の実施形態のように、円錐台の周面全体が繊維配列部を構成する治具を使用してバッチ操作で三次元繊維構造中間体12を形成する場合、繊維束配列用治具19として複数の三次元繊維構造中間体12を形成可能な大きさのものを使用して、一度に複数の三次元繊維構造中間体12を形成するようにしてもよい。
○ 第2及び第3の実施形態のように帯状三次元繊維構造体41を連続的に形成する方法において、帯状三次元繊維構造体41を巻き取り部に巻き取って保管せずに、帯状三次元繊維構造体41が所定長さ形成された段階で切断し、順次三次元繊維構造中間体12を形成するようにしてもよい。帯状三次元繊維構造体41を巻き取り部に巻き取って保管する場合は、帯状三次元繊維構造体41に不要な曲げ力が作用した状態で保管されるため、好ましくない。しかし、三次元繊維構造中間体12の状態で保管すればそのようなことがない。
○ 第2及び第3の実施形態のように帯状三次元繊維構造体41を連続的に形成する方法において、配列ヘッド42a,42b,44a,44b,45a,45bとして配列糸を1本ずつ配列する構成に限らず、複数本同時に配列する構成としてもよい。
○ 第2及び第3の実施形態のように帯状三次元繊維構造体41を連続的に形成する方法において、準備段階で各層の配列糸が各配列ヘッドによって開口部22a(53a)の近傍から所定の配列領域と対応する位置まで配列されてから製織が開始されるが、この方法に限らない。各配列ヘッドが所定の配列領域から配列を始めつつ、製織が開始されても良い。この場合、帯状三次元繊維構造体41の織りはじめ側の端部は積層が不完全となるが、途中から完全な積層な帯状三次元繊維構造体41が得られる。従って準備段階が不要となる。
○ 第3の実施例において両支持リング24,25の間に設けられる繊維配列部は、両支持リング24,25のほぼ半周部分に限らない。各配列ヘッドによる配列が可能であれば、半周以上でも以下でもよい。
○ 各配列糸15〜18を配列する際、配列糸を構成する繊維束を拡げながら配列するのが好ましい。配列糸15〜18として炭素繊維を使用する場合、太い糸(繊維本数の多い糸)を使用するのが製造時間の短縮、コストの低減に有利であるが。太い糸(例えば、繊維本数が12000本を超える糸)を使用する場合は、糸を拡げながら配列する必要がある。
○ 第1〜第3の実施形態において、両支持リング24,25に突設されるピン30の数あるいは、別の実施形態において、両ベルト54に設けられるピン58の数は必ずしも等しくなくてもよい。90度配列糸16が0度配列糸15と直交する状態で配列されるのが三次元繊維構造体11を強化材とした複合材の物性の面では好ましいが、要求性能によっては直交状態からずれていてもよく、その場合は両支持リング24,25のピン30の数は等しくなくてもよい。また、ピン58の数も同様である。
〇 扇面板状部11a内で、積層糸群14の各糸層の配列糸角度は同心の円弧状に配列された0度配列糸15に対して一定でなくてもよい。
○ 繊維束として炭素繊維に限らず、複合材の用途に応じてボロン繊維、炭化ケイ素繊維等の無機繊維を使用したり、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の高強度・高弾性率の有機繊維の無撚りマルチフィラメントを使用してもよい。
○ 厚さ方向糸zとしてアラミド繊維の他に、炭素繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維を使用してもよい。ポリエステル繊維はアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維に比較して強度が弱いが、結合強度が要求されない条件で使用することができる。
○ 炭素繊維や炭化ケイ素繊維等の無機繊維は一般に折り曲げに弱いため、三次元繊維構造中間体12を炭素繊維や炭化ケイ素繊維等の無機繊維で形成し、その三次元繊維構造中間体12を結合する結合糸13にアラミド繊維やポリエステル繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の高強度・高弾性率の有機繊維を使用してもよい。ポリエステル繊維はアラミド繊維や超高分子量ポリエチレン繊維等に比較して強度が弱いが、結合強度が要求されない条件で使用することができる。
○ 複合材として、耐熱性の要求が高い場合は、炭素繊維で製造した三次元繊維構造体11を使用し、樹脂を含浸、硬化させた後、焼成してカーボン/カーボン複合材を形成すればよい。
○ 複合材のマトリックス樹脂として、用途によっては熱硬化性樹脂ではなく熱可塑性樹脂を使用してもよい。しかし、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を使用する方が、熱可塑性樹脂を使用した場合よりも高強度な複合材を製造できる。
以下の技術的思想(発明)は前記実施の形態から把握できる。
(1) 請求項6に記載の発明において、前記繊維束配列用治具から取り外された前記帯状三次元繊維構造体を順次所定の長さに切断して三次元繊維構造中間体を形成する。
(2) 請求項6〜請求項8及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記繊維束配列用治具は、円錐台の両端と対応する位置に互いに同期して同じ回転速度で間欠的に回転されるとともに配列糸が係止されるピンが突設された支持リングと、両支持リングの間に配設された円錐台筒状の繊維束配列部とを備えている。
(3) 前記技術的思想(2)に記載の発明において、前記繊維束配列部は前記両支持リングと同じ速度で移動可能に設けられている。
(4) 請求項2に記載の発明において、前記異形断面はJ/T形である。
(a)は第1の実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図、(b),(c)は三次元繊維構造中間体の模式斜視図、(d),(e)は製造途中の三次元繊維構造体の模式斜視図。 繊維束配列用治具の模式斜視図。 (a)は繊維束配列用治具の(b)のA−A線における模式断面図、(b)は(a)のB−B線における模式断面図。 (a)は配列角度−45度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図、(b)は配列角度90度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図。 (a)は配列角度0度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図、(b)は配列角度+45度の繊維束の配列状態を示す模式斜視図。 第2の実施形態の繊維束配列用治具の模式斜視図。 各配列糸の配列状態を示す模式展開図。 第3の実施形態の繊維束配列用治具の模式斜視図。 同じく繊維束配列用治具の一組のベルトの間で切断した模式断面図。 別の実施形態の図9に対応する模式断面図。 (a),(b)は別の実施形態の繊維束配列用治具の模式斜視図。 別の実施形態の三次元繊維構造中間体の模式平面図(展開図)。 (a),(b)は別の実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図。 らせん状織物の製造装置の平面図。 (a)〜(c)は異形断面の三次元繊維構造体の製造方法を示す模式斜視図。 平板状の三次元繊維構造体を扇面状に切断した状態の模式図。
符号の説明
L…長さ、z…厚さ方向糸、11…三次元繊維構造体、11a…扇面板状部、11b,11c…板状部、12…三次元繊維構造中間体、13…結合糸、14…積層糸群、15…0度配列糸、19,46…繊維束配列用治具、31〜34…糸層、41…帯状三次元繊維構造体。

Claims (11)

  1. 長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体であって、同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状部を有し、かつ該扇面板状部の両端部が、複数の三次元繊維構造体を長手方向の端部同士で連結した際に、円環を形成可能な形状に形成されている三次元繊維構造体。
  2. 長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体であって、同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状部を有し、かつ該扇面板状部の両端部の延長線の成す角度の二等分線が扇面を二等分する形状の三次元繊維構造中間体が、複数厚さ方向に積層された状態で一部が結合糸により結合され、前記三次元繊維構造中間体の円弧状周縁部の少なくとも一方が折り曲げ形成されている三次元繊維構造体。
  3. 前記三次元繊維構造体は互いに直角を成す複数の板状部を有する異形断面に形成されている請求項1又は請求項2に記載の三次元繊維構造体。
  4. 同心の円弧状に配列された0度配列糸からなる糸層を含む少なくとも2軸配向となる積層糸群が厚さ方向糸で結合されて形成された扇面板状部を有する三次元繊維構造体。
  5. 前記扇面板状部内では、前記積層糸群の各糸層の配列糸角度は前記同心の円弧状に配列された0度配列糸に対して一定である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の三次元繊維構造体。
  6. 円錐台の周面形状の繊維配列部を有する繊維束配列用治具を使用して、前記繊維束配列用治具の上に、少なくとも前記円錐台の端部と平行に配列される糸からなる糸層を含むように糸層を複数積層して少なくとも2軸配向となる積層糸群を形成する積層糸群形成工程と、
    前記積層糸群を前記繊維束配列用治具に保持した状態で厚さ方向糸で結合する積層糸群結合工程と
    を備え、
    円錐台筒状三次元繊維構造体を形成した後、該円錐台筒状三次元繊維構造体を周方向と直交する方向に切断して展開することにより扇面板状の三次元繊維構造体を形成する三次元繊維構造体の製造方法。
  7. 円錐台の周面又は円錐台の周面の一部をなす形状の繊維配列部を有する繊維束配列用治具を使用して、前記繊維束配列用治具の上に、少なくとも前記円錐台の端部と平行に配列される糸からなる糸層を含むように糸層を複数積層して少なくとも2軸配向となる積層糸群を形成する積層糸群形成工程と、
    前記積層糸群を前記繊維束配列用治具に保持した状態で一方向へ間欠的に移動させて所定の位置において厚さ方向糸で順次結合する積層糸群結合工程と
    を備え、
    前記積層糸群結合工程において厚さ方向糸で結合された積層糸群を順次前記繊維束配列用治具から取り外した後、所定長さに切断して扇面板状の三次元繊維構造体を形成する三次元繊維構造体の製造方法。
  8. 前記繊維束配列用治具から順次取り外された前記厚さ方向糸で結合された積層糸群を扇面板状部が連続する形状の帯状三次元繊維構造体として保管した後、所定長さに切断して扇面板状の三次元繊維構造体を形成する請求項7に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
  9. 前記繊維配列部に対して前記円錐台の端部と平行に配列される糸は当該糸層を構成する全ての糸が同時に配列される請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
  10. 長手方向と直交する断面形状が異形状で、長手方向に沿って湾曲形成された三次元繊維構造体の製造方法であって、
    請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された三次元繊維構造体を三次元繊維構造中間体とし、該三次元繊維構造中間体を複数厚さ方向に積層した状態で、少なくとも該三次元繊維構造中間体の一方の円弧状周縁部を残して結合糸により結合する三次元繊維構造中間体結合工程と、
    前記結合糸により結合されなかった円弧状周縁部を折り曲げる折り曲げ工程と
    を備えた三次元繊維構造体の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の三次元繊維構造体を強化材とした複合材。
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