JPH07324252A - 円柱状繊維構造体及び繊維強化複合材 - Google Patents

円柱状繊維構造体及び繊維強化複合材

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JPH07324252A
JPH07324252A JP6115702A JP11570294A JPH07324252A JP H07324252 A JPH07324252 A JP H07324252A JP 6115702 A JP6115702 A JP 6115702A JP 11570294 A JP11570294 A JP 11570294A JP H07324252 A JPH07324252 A JP H07324252A
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JP
Japan
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yarn
fiber structure
spiral
circumferential
axial
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Application number
JP6115702A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Yasui
義治 安居
Yasuchika Mita
泰哉 三田
Shoichiro Totsuka
正一郎 戸塚
Kyoichi Masugi
京一 真杉
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Toyota Industries Corp
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】引張り、圧縮及びねじり強度等に優れ、他の部
材と一体化した部品の製作に適した円柱状繊維強化複合
材の強化材を提供する。 【構成】円柱状繊維構造体Fは軸方向糸Ya、スパイラ
ル糸Ys、周方向糸Yθ及び貫通糸Ydにより構成され
ている。軸方向糸Yaは円柱状繊維構造体Fの軸方向に
沿って、周方向糸Yθは円柱状繊維構造体Fの周方向に
沿ってそれぞれ配列されている。スパイラル糸Ysは円
柱状繊維構造体Fの軸方向に対して傾斜する状態で配列
されている。軸方向糸層、スパイラル糸層LYs及び周
方向糸層LYθが円柱状繊維構造体Fの中心から同心円
状に複数層ずつ配置されている。貫通糸Ydは円柱状繊
維構造体Fのほぼ軸心を通って円柱状繊維構造体Fを貫
通するように配列されている。円柱状繊維構造体Fは第
1端部側に大径部Faが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は円柱状繊維構造体及び繊
維強化複合材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材は軽量の構造材として広
く使用されている。そして、三次元繊維構造体(三次元
織物)を骨格材(強化材)とし、樹脂あるいは無機物を
マトリックスとした複合材はロケット、航空機、自動
車、船舶及び建築物の構造材として幅広い用途が期待さ
れている。繊維強化複合材の強度を高めるためには強化
材が製品の形状と対応した形状であることが必要とな
る。
【0003】従来、円柱状の強化材として円柱状の三次
元織物が特開平2−221440号、特開平3−838
号公報等に開示されている。特開平2−221440号
には図16及び図17に示すように、軸方向糸Ya、周
方向糸Yθ及び半径方向糸Yrzの3成分の糸から構成さ
れた三次元織物(三次元繊維構造体)Fが開示されてい
る。そして、軸方向糸Yaは三次元織物Fの中心部から
同心円状に複数層に配列され、周方向糸Yθは軸方向糸
Yaの層間に三次元織物Fの周方向に沿って配列されて
いる。又、半径方向糸Yrzは三次元織物Fの中心軸を含
む断面内において、周方向糸Yθの任意の層間を周方向
糸Yθと直交する状態で軸方向及び放射方向に連続して
蛇行状態に配列されている。又、特開平3−838号公
報には、前記三次元織物Fを構成する多数の軸方向糸Y
aの層のうちの少なくとも1層又は半径方向糸Yrzを、
三次元織物Fの軸方向に対して傾斜した状態に配列した
三次元織物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】三次元織物を強化材と
した繊維強化複合材が良好な物性を持つためには、三次
元織物を構成する糸がそれぞれその配列方向に緊張され
た状態で配列されることが必要である。三次元織物の単
位体積中に占める繊維の割合(以下、Vfと称す)が大
きい方が一般に引張り強度、圧縮強度等の物性が優れ、
又、三次元織物の組織が均一な方がそれらの物性が優れ
る。ところが、前記従来の円柱状三次元織物ではその構
成成分に半径方向糸Yrzが存在する。半径方向糸Yrzは
一平面内で三次元織物の軸方向と放射方向に延びるよう
に屈曲配置される。そのため、半径方向糸Yrzを軸方向
及び放射方向の両方向に緊張状態で配列することは非常
に難しい。仮に緊張状態で配列できたとしても、放射方
向に延びる部分を緊張状態で配列すると、半径方向糸Y
rzは軸方向糸Yaや周方向糸Yθを、三次元織物の中心
部に配列された軸方向糸Yaから分離させる作用をな
す。又、これらの円柱状三次元織物として径の大きなも
のを製造する場合、その中心部に配列される軸方向糸Y
aを増やしてその外側に周方向糸Yθ、半径方向糸Yrz
及び軸方向糸Yaを配列する方法を採ると、製造が容易
となる。しかし、その場合は、三次元織物の中心部と外
側部とで組織の異なる状態となり、物性が悪くなる。
【0005】又、繊維強化複合材は一般に金属に比較し
て軽量で、引張り及び圧縮強度等の物性が金属と同等以
上のものもあるが、耐摩耗性や硬度の点で劣る。本発明
は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その第
1の目的は引張り、圧縮及びねじり強度等に優れた繊維
強化複合材の強化材として適した円柱状繊維構造体を提
供することにある。第2の目的は他の部材と一体化した
部品の製作に適した繊維強化複合材を提供することにあ
る。又、第3の目的は前記繊維強化複合材を主要部とし
たピストンロッドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、請求項1に記載の発明では、円柱状繊維構造体
が、その軸方向に沿って配列された軸方向糸と、円柱状
繊維構造体の軸方向に対して傾斜する状態で配列された
スパイラル糸と、円柱状繊維構造体の周方向に沿って配
列された周方向糸との3成分の糸から構成され、軸方向
糸層、スパイラル糸層及び周方向糸層を円柱状繊維構造
体の中心から同心円状に複数層ずつ配置するとともに、
その軸方向の一部の区間においてスパイラル糸及び周方
向糸の少なくとも一方の配列数を増してその区間を太く
した。
【0007】又、請求項2に記載の発明では、円柱状繊
維構造体が、その軸方向に沿って配列された軸方向糸
と、円柱状繊維構造体の軸方向に対して傾斜する状態で
配列されたスパイラル糸と、円柱状繊維構造体の周方向
に沿って配列された周方向糸と、円柱状繊維構造体のほ
ぼ軸心を通って円柱状繊維構造体を貫通するように配列
された貫通糸との4成分の糸からなり、軸方向糸層、ス
パイラル糸層及び周方向糸層を円柱状繊維構造体の中心
から同心円状に複数層ずつ配置し、貫通糸を円柱状繊維
構造体の軸方向に所定間隔で複数箇所に配列するととも
に、その軸方向の一部の区間においてスパイラル糸及び
周方向糸の少なくとも一方の配列数を増してその区間を
太くした。
【0008】又、請求項3に記載の発明では、請求項1
又は請求項2に記載の発明において、最外層にスパイラ
ル糸層を配置した。第2の目的を達成するため、請求項
4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1
項に記載の円柱状繊維構造体を強化材とし、樹脂をマト
リックスとして繊維強化複合材を形成した。
【0009】又、第3の目的を達成するため、請求項5
に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項
に記載の円柱状繊維構造体の第1端部を太く形成したも
のを強化材とした繊維強化複合材の大径部に、当該繊維
強化複合材より硬度の大きい材質からなる部材を締付け
固定してピストンロッドを形成した。
【0010】
【作用】請求項1に記載の発明の円柱状繊維構造体は、
軸方向糸及びスパイラル糸が周方向糸により締め付け固
定され、各糸が緊張状態で配列される。従って、樹脂あ
るい無機物をマトリックスとして複合材を構成した場
合、その軸方向に延びる軸方向糸の存在により引張り強
度が向上する。軸方向糸が周方向糸により締め付けられ
て強く結束されているため圧縮に対して座屈し難く圧縮
強度が向上する。又、スパイラル糸の存在によりねじり
強度も向上する。
【0011】請求項2に記載の発明の円柱状繊維構造体
は、請求項1に記載の発明の円柱状繊維構造体の3成分
の糸に加えて、円柱状繊維構造体のほぼ軸心を通って円
柱状繊維構造体を貫通するように配列された貫通糸が存
在する。この貫通糸の存在により他の各糸層の半径方向
の結束力が増し、繊維強化複合材としたとき、貫通糸が
ないものに比較して耐衝撃性が向上する。
【0012】請求項3に記載の発明の円柱状繊維構造体
は、請求項1に記載の発明の円柱状繊維構造体はその最
外層にスパイラル糸層が配置されている。従って、最外
層に周方向糸層が配置されたものと比較して、複合材を
形成するために樹脂を含浸させる際、樹脂が表面に沿っ
て流れ易い。
【0013】請求項4に記載の発明の繊維強化複合材
は、引張り、圧縮、ねじり及び衝撃強度が優れる。そし
て、大径部が一体に形成されているため、他の部材と一
体化した部品を製作する際、大径部を利用することによ
り他の部材との一体化が容易となる。
【0014】請求項5に記載の発明のピストンロッドは
大部分が、引張り、圧縮、ねじり及び衝撃強度に優れた
繊維強化複合材で形成されているため、金属製のピスト
ンロッドより軽量で、しかもピストンロッドに作用する
引張り、圧縮等の力に耐える。又、ピストンとなる大径
部には当該繊維強化複合材より硬度の大きい材質からな
る部材が締付け固定されているため、シリンダとの摺動
摩擦による摩耗は少なくとも通常のピストンロッドと同
等となる。
【0015】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を具体化した第1実施例を図
1〜図9に従って説明する。図1に示すように、円柱状
繊維構造体Fは軸方向糸Ya、スパイラル糸Ys及び周
方向糸Yθにより構成されている。軸方向糸Yaは円柱
状繊維構造体Fの軸方向に沿って配列されている。スパ
イラル糸Ysは円柱状繊維構造体Fの軸方向に対して傾
斜する状態で配列されている。周方向糸Yθは円柱状繊
維構造体Fの周方向に沿って配列されている。スパイラ
ル糸層LYsはスパイラル糸Ysの円柱状繊維構造体F
の軸方向に対する配列方向が互いに逆となる層が対で設
けられている。なお、図1及び図2では一対で1層とし
て表している。軸方向糸Yaにより構成された軸方向糸
層LYaと、スパイラル糸Ysにより構成されたスパイ
ラル糸層LYsと、周方向糸Yθにより構成された周方
向糸層LYθとが円柱状繊維構造体Fの中心から同心円
状に配置されている。そして、円柱状繊維構造体Fの中
心部から軸方向糸層LYa、スパイラル糸層LYs、周
方向糸層LYθの順で各3層ずつ配置された後、軸方向
糸層LYaが配置され、最外層に周方向糸層LYθが配
置されている。
【0016】円柱状繊維構造体Fはその第1端部側の一
定区間において、周方向糸Yθの配列数が他の部分より
多くなっている。すなわち、円柱状繊維構造体Fは第1
端部が太く形成されて大径部Faとなっている。最外層
の周方向糸層LYθを除く各周方向糸層LYθは、大径
部Faと対応する区間においてその配列数が、小径部F
bにおける配列数より多くなっている。この実施例では
ほぼ2倍になっている。
【0017】図1及び図2では模式的にスパイラル糸層
LYsが3層、軸方向糸層LYa及び周方向糸層LYθ
が4層ずつ表されているが、実際はより多くの層で形成
されている。層数は円柱状繊維構造体F及び糸の径によ
って異なるため、一概には言えないが、例えば直径20
mmの円柱状繊維構造体Fで30〜50層にしている。
円柱状繊維構造体Fを構成する各糸Ya,Ys,Yθの
割合が同じでも、1層当たりの厚みを薄くして異なる層
が多数交互に配置された構成とすることにより、円柱状
繊維構造体Fの組成がほぼ均一となり、物性の優れた複
合材が得られる。
【0018】軸方向糸Yaはスパイラル糸Ys及び周方
向糸Yθにより締めつけ固定されて緊張状態で配列さ
れ、スパイラル糸Ys及び周方向糸Yθ自身も緊張状態
で配列されている。従って、円柱状繊維構造体F全体と
して従来の円柱状三次元織物に比較して繊維密度が高
く、すなわち高Vfとなっており、コンパクトで高品質
の強化材となる。
【0019】円柱状繊維構造体Fを構成する繊維(糸)
としては、例えば炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊
維、アラミド繊維等がある。このうち、炭素繊維が強度
及び軽量化の点で好ましいが、コストも含めた要求特性
に合うように適宜選択される。
【0020】円柱状繊維構造体Fは、基本的には円柱状
繊維構造体Fの軸方向と各糸との成す角度が、軸方向糸
Yaではほぼ0°、スパイラル糸Ysではほぼ±45
°、周方向糸Yθではほぼ90°となるように各糸層が
形成される。しかし、それらの角度は必ずしも0°、±
45°及び90°でなくてもよい。例えば、軸方向糸Y
aが前記軸方向と成す角度は−10°〜+10°の範
囲、スパイラル糸Ysが前記軸方向と成す角度は−30
°〜−60°及び+30°〜+60°の範囲、周方向糸
Yθが前記軸方向と成す角度θは90°±15°の範囲
であればよい。
【0021】この円柱状繊維構造体Fは樹脂等をマトリ
ックスとした複合材の強化材として使用される。マトリ
ックスを構成する樹脂としては特に限定はなく、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の
熱硬化性樹脂に限らずナイロン等の熱可塑性樹脂も使用
することができるが、耐熱性、耐湿性の点でエポキシ樹
脂が好ましい。マトリックスとして熱硬化性樹脂を使用
する場合は、円柱状繊維構造体Fに未硬化樹脂を含浸さ
せた後、熱硬化させる。マトリックスとして熱可塑性樹
脂を使用する場合は、溶融状態の樹脂を含浸させるか、
樹脂溶液を含浸させた後、溶媒を揮発させて除去する。
そして、このようにして得られた繊維強化プラスチック
(複合材)は、軸方向糸Yaの存在により引張りに対す
る強度に優れたものとなる。周方向糸Yθによる結束力
により、圧縮に対して座屈し難く圧縮強度の大きい材料
となる。又、スパイラル糸Ysの存在によりねじり強度
も優れたものとなる。
【0022】そして、金属製あるいはセラミック製の他
の部材と接合した部品を製作するとき、大径部Faにお
いて他の部材と接合することにより、均一径の円柱状部
材に大径のリング部材を嵌着して接合した部品と比較し
て、全体として接合力の強い部品を得ることができる。
又、大径部において他の部材の占める体積の割合が小さ
くなり、全体として重量が軽くなる。
【0023】なお、円柱状繊維構造体Fの構成繊維とし
て炭素繊維を使用し、樹脂で硬化した後、マトリックス
樹脂を焼成したり、マトリックスとしてピッチなどを用
いて、炭素繊維と炭素マトリックスとから成る複合材と
してもよい。
【0024】次に前記の円柱状繊維構造体Fの製造装置
を説明する。図3,4に示すように、フレーム1の第1
端部寄り中央に支持ブラケット2,3がフレーム1の長
手方向に並んで平行に立設されている。支持ブラケット
2にはフレーム1の長手方向に延びる支軸(図示せず)
が、支持ブラケット3側に突設するように設けられ、該
支軸にプーリ4が回転可能に支持されている。プーリ4
には把持部材5が一体回転可能に固定されている。把持
部材5は公知の構成により糸や線材を把持可能となって
いる。支持ブラケット3には中空の回転軸6が前記支軸
と同軸線上に配設されている。回転軸6の基端寄りには
プーリ7が一体回転可能に固定され、先端にはピン立設
部8が一体に形成されている。ピン立設部8にはピンP
1の第1端部を嵌入する孔が所定間隔で周方向に並んで
形成されている。
【0025】フレーム1の第2端部側には第1のベース
プレート9がガイドレール(図示せず)に沿ってフレー
ム1の長手方向に移動可能に固定されている。ベースプ
レート9上にはレール10がフレーム1の長手方向に沿
って敷設され、その上に第2のベースプレート11が摺
動部材12を介して摺動可能に支持されている。ベース
プレート9上にシリンダ13が固定され、そのピストン
ロッド13aがベースプレート11の端部に固定されて
いる。そして、ベースプレート11はシリンダ13の作
動によりフレーム1の長手方向に移動される。
【0026】ベースプレート11上のほぼ中央にはレー
ル14がフレーム1の長手方向に沿って敷設され、その
上に可動ブラケット15が摺動部材16を介して摺動可
能に支持されている。ベースプレート11上の第1端部
寄りにはエアシリンダ17が固定され、そのピストンロ
ッド17aが可動ブラケット15に固定されている。そ
して、可動ブラケット15はエアシリンダ17の作動に
よりフレーム1の長手方向に移動される。エアシリンダ
17に圧縮空気を供給する管路(図示せず)には、ピス
トンロッド17aが突出位置に配置された状態において
ピストンロッド17aを所定の圧力で突出側へ付勢する
状態と、突出側への付勢を解除する状態とに切り換える
切換え弁が設けられている。可動ブラケット15には中
空の回転軸18が回転軸6と同軸線上に配設されてい
る。回転軸18の基端寄りにはプーリ19が一体回転可
能に固定され、先端にはピン立設部20が一体に形成さ
れている。ピン立設部20には係止ピンP2の第1端部
を嵌入する孔が所定間隔で周方向に並んで形成されてい
る。
【0027】ベースプレート11上の第2端部寄りには
支持ブラケット21が立設され、支持ブラケット21に
は支軸22が回転軸18と同軸線上に固定されている。
支軸22にはプーリ23が回転可能に支持され、プーリ
23には把持部材24が一体回転可能に固定されてい
る。
【0028】フレーム1上には回転軸25が図示しない
ブラケット及び軸受を介してフレーム1の長手方向に沿
って配設され、その下方にはモータ26が固定されてい
る。モータ26の駆動軸には駆動プーリ27が嵌着固定
され、該駆動プーリ27と回転軸25に一体回転可能に
固定されたプーリ28との間にベルト29が巻き掛けら
れている。回転軸25には前記各プーリ4,7,19,
23と対応する位置にプーリ30,31,32,33が
一体回転可能に固定され、それぞれ対応するプーリ間に
ベルト34,35,36,37が巻き掛けられている。
すなわち、全プーリ4,7,19,23が同期して回転
されるようになっている。プーリ32,33と回転軸2
5との結合はスプラインとスプライン軸構造となってお
り、プーリ32,33はプーリ19,23がフレーム1
の長手方向に移動されるとそれに追従して軸方向に摺動
可能となっている。
【0029】フレーム1にはベースプレート11に対し
て回転軸25と反対側に、第1のアクチュエータ38が
フレーム1の長手方向に沿って配設されている。アクチ
ュエータ38にはボールネジを使用するとともに、ナッ
トと一体移動可能な移動体を1軸方向に移動させる構成
の公知のものが使用されている。アクチュエータ38に
装備された支持部材としての移動体38a上には糸供給
ヘッド39を備えた第2のアクチュエータ40が固定さ
れている。アクチュエータ40は糸供給ヘッド39をフ
レーム1の長手方向と直交する方向(前後方向)に移動
させるように固定されている。糸供給ヘッド39は図示
しない糸供給部に連なる糸を順次繰り出す作用をなす。
モータ26、第1のアクチュエータ38及び第2のアク
チュエータ40は制御装置Cにより同期した状態で駆動
されるようになっている。
【0030】次に前記のように構成された装置による円
柱状繊維構造体Fの製造方法を説明する。円柱状繊維構
造体Fを製造するときは、まず支持ブラケット3と可動
ブラケット15との距離が所望の円柱状繊維構造体に対
応する間隔となるように、両ベースプレート9,11の
位置を設定する。一度設定された状態から支持ブラケッ
ト3と可動ブラケット15の距離を変更する場合、その
変更量が小さな場合はシリンダ13の作動により第2の
ベースプレート11を移動させる。変更量が大きな場合
は第1のベースプレート9を移動させる。ベースプレー
ト9,11の位置設定が終了した後、エアシリンダ17
のピストンロッド17aが突出位置に配置される。次に
両把持部材5,24間に芯材としての芯糸Ycを張設
し、糸供給ヘッド39に連なる糸Yの先端をピン立設部
8に固定することにより、製造準備が完了する。このと
き糸供給ヘッド39はピン立設部8と対応する位置に配
置されている。又、エアシリンダ17はピストンロッド
17aが突出位置に保持される状態に圧縮空気が供給さ
れている。
【0031】この状態でモータ26とアクチュエータ3
8の駆動が開始され、軸方向糸配列工程が実施される。
アクチュエータ38は糸供給ヘッド39が両ピン立設部
8,20と対応する位置間を往復移動するように駆動さ
れる。モータ26は糸供給ヘッド39が1往復する間
に、ピン立設部8,20がピンP1及び係止ピンP2の
立設間隔の1ピッチ分回動するように駆動される。その
結果、糸供給ヘッド39から繰り出される糸Yが、図3
に示すように両ピン立設部8,20に立設されたピンP
1及び係止ピンP2を折り返し点として配列される。両
ピン立設部8,20が1回転した時点で第1層目の軸方
向糸Yaの配列が完了する。この状態では図5に示すよ
うに、芯糸Ycから所定間隔をおいて軸方向糸Yaが配
列されている。
【0032】次にピストンロッド17aが所定の圧力で
突出側へ付勢される状態に切換え弁が切り換えられる。
そして、糸供給ヘッド39がピン立設部8の先端と対応
する位置に移動された後、スパイラル糸配列工程が実施
されてスパイラル糸Ysの配列が行われる。すなわち、
糸供給ヘッド39が糸Yを繰り出しながら両ピン立設部
8,20の先端部と対応する位置間を往復移動し、ピン
立設部8,20及び把持部材5,24が所定速度で回転
される。モータ26は軸方向糸Yaを配列するときより
速く駆動される。糸供給ヘッド39は軸方向糸Yaを芯
糸Ycの周囲に圧着させるように、所定の張力が加わっ
た状態で糸Yを供給する。アクチュエータ38は糸供給
ヘッド39から繰り出される糸Yが、円柱状繊維構造体
Fの軸方向との成す角度がほぼ±45°となるように軸
方向糸Yaに巻付けられる所定速度で移動体38aを移
動させる。そして、軸方向糸Yaに巻付けられた糸Yが
スパイラル糸Ysとなる。スパイラル糸Ysは円柱状繊
維構造体Fの軸方向との成す角度がほぼ±45°のた
め、糸供給ヘッド39が両ピン立設部8,20の先端部
と対応する位置間を1度移動しただけではスパイラル糸
層LYsを構成するスパイラル糸Ysの数が不十分とな
る。そのため、スパイラル糸配列工程では糸供給ヘッド
39が両ピン立設部8,20の先端部と対応する位置間
を複数回移動して、スパイラル糸層を構成する所定数の
スパイラル糸Ysが軸方向糸Yaの外側に巻き付けられ
る。
【0033】例えば、糸供給ヘッド39が3往復移動さ
れる場合、糸供給ヘッド39がピン立設部8側からピン
立設部20側へ向かって往動する間に、スパイラル糸Y
sが円柱状繊維構造体Fの軸方向と成す角度がほぼ+4
5°となるように巻き付けられる。そして、糸供給ヘッ
ド39の復動時に、スパイラル糸Ysが円柱状繊維構造
体Fの軸方向と成す角度がほぼ−45°となるように巻
き付けられる。以下、糸供給ヘッド39の往動時には角
度がほぼ+45°に、復動時にはほぼ−45°となるよ
うに巻付け位置を若干ずらせて順にスパイラル糸Ysが
巻き付けられる。
【0034】ピストンロッド17aが所定の圧力で突出
側に付勢されている状態で、軸方向糸Yaの周囲にスパ
イラル糸Ysが巻付けられると、軸方向糸Yaの張力が
ピストンロッド17aの付勢力より大きくなり、可動ブ
ラケット15が支持ブラケット3側へ移動される。すな
わち、図6に示すように軸方向糸Yaが常に緊張された
状態で、スパイラル糸Ysの巻き付けに伴ってピン立設
部20が徐々にピン立設部8側へ移動される。そして、
糸供給ヘッド39がピン立設部8,20間を所定回数往
復動されると、図7に示すように、軸方向糸Yaが芯糸
Ycの周囲に圧着されるとともにその外周にスパイラル
糸Ysが配列される。すなわち、互いに配列方向が異な
る一対のスパイラル糸層LYsを構成するスパイラル糸
配列工程が完了する。
【0035】次に周方向糸配列工程が実施される。周方
向糸配列工程は糸供給ヘッド39がピン立設部8側から
糸Yを繰り出しながらピン立設部20側へ向かって移動
するとともに、ピン立設部8,20及び把持部材5,2
4が所定速度で回転される。アクチュエータ38は糸供
給ヘッド39から繰り出される糸Yが、円柱状繊維構造
体Fの軸方向との成す角度がほぼ90°となるようにス
パイラル糸層LYsの外側に巻付けられる所定速度で移
動体38aを移動させる。そして、巻付けられた糸Yが
周方向糸Yθとなる。移動速度はスパイラル糸配列工程
より低速に変更されて、糸供給ヘッド39は軸方向糸Y
aを芯糸Ycの周囲に圧着させるように、所定の張力が
加わった状態で糸Yを供給する。
【0036】そして、糸供給ヘッド39がピン立設部2
0の先端と対応する位置まで移動されると、1層分の周
方向糸Yθがスパイラル糸層LYsの外側に巻付けられ
る。径が全長にわたって等しい円柱状繊維構造体Fを製
造する場合は、この状態で1層分の周方向糸配列工程が
終了する。しかし、この実施例では第1端部に大径部F
aを有する円柱状繊維構造体Fを製造するので、糸供給
ヘッド39は糸Yを繰り出しながらピン立設部8側へ向
かって所定距離移動された後、モータ26及びアクチュ
エータ38の駆動が停止される。すなわち、円柱状繊維
構造体Fの第1端部側の所定区間における周方向糸Yθ
の配列数が他の区間の配列数の2倍となる。
【0037】次にピン立設部20に立設された係止ピン
P2が抜き取られ、可動ブラケット15とともにピン立
設部20が元の位置に配置される。係止ピンP2が抜き
取られると軸方向糸Yaの第1端部が自由状態となる
が、軸方向糸Yaはスパイラル糸Ys及び周方向糸Yθ
により芯糸Ycの周囲に巻き付けられているため、中実
状態の円柱状繊維構造体Fの形状は変化しない。
【0038】次にピン立設部20に係止ピンP2が立設
された後、再びモータ26及びアクチュエータ38が軸
方向糸Yaの配列モードで駆動され、図8に示すように
第2層目の軸方向糸Yaが両ピン立設部8,20に立設
されたピンP1及び係止ピンP2間に折り返し状に配列
される。軸方向糸Yaの配列が完了した後、再びモータ
26及びアクチュエータ38がスパイラル糸Ysの配列
モードで駆動される。そして、第2層目の軸方向糸Ya
をその内側に形成されている円柱状繊維構造体Fの外側
に圧着するように、前記と同様にスパイラル糸Ysが配
列される。次にモータ26及びアクチュエータ38が周
方向糸Yθの配列モードで駆動され、前記と同様に周方
向糸層LYθがスパイラル糸層LYsの外側に形成され
て図9に示す状態となる。なお、図では便宜上、製造途
中の円柱状繊維構造体Fを全長にわたって同じ径で示し
ている。又、図で各糸層の間に隙間がある状態に描かれ
ているが、実際は互いに圧着された状態となっている。
【0039】以下、前記と同様に軸方向糸配列工程、ス
パイラル糸配列工程及び周方向糸配列工程が順次行わ
れ、円柱状繊維構造体Fの径が順次増大する。そして、
前記の操作が繰り返されて、所定の径の円柱状繊維構造
体Fが形成される。なお、最外層の軸方向糸層LYaの
外側にはスパイラル糸層LYsを形成せずに、周方向糸
層LYθが形成される。又、芯糸Ycは最終的に軸方向
糸Yaとなる。
【0040】前記のようにスパイラル糸Ys及び周方向
糸Yθの巻付け時に軸方向糸Yaが緊張状態に保持され
るため、軸方向糸Yaの真直度を保つことができる。
又、従来の円柱状三次元織物を製造する装置に比較し
て、円柱状繊維構造体Fの小径領域においても軸方向糸
Ya、スパイラル糸Ys及び周方向糸Yθをきめ細かく
配列できる。
【0041】ピン立設部8,20はできるだけ小径での
ピンP1及び係止ピンP2の立設を可能にするためテー
パ形状にし、径の異なる位置にピンP1及び係止ピンP
2を立設する孔を形成するのが好ましい。軸方向糸Ya
の配列数は芯糸Ycに近い側では少なくてよく、小径部
に立設されるピンP1及び係止ピンP2の数が少なくて
も差し支えない。
【0042】糸供給ヘッド39の移動速度と、ピン立設
部8,20及び把持部材5,24の回転速度とがそれぞ
れ一定の速度となるようにモータ26及びアクチュエー
タ38が駆動された場合、円柱状繊維構造体Fの径によ
りスパイラル糸Ysの角度が変化する。スパイラル糸Y
sの角度の絶対値は、円柱状繊維構造体Fの径が大きく
なるほど大きくなる。従って、小径部におけるスパイラ
ル糸Ysの角度がほぼ±45°となるように両者の速度
が設定された場合、円柱状繊維構造体Fの径が大きくな
った時点においてスパイラル糸層LYsが形成される
と、スパイラル糸Ysの角度の基準角度±45°からの
ずれが大きくなる。しかし、基準角度からのずれが±1
5°以内であればとくに問題はない。又、周方向糸Yθ
の角度がほぼ90°となるように両者の速度が設定され
た場合、円柱状繊維構造体Fの大径部を基準に設定され
た条件では、小径部におけるずれが大きくなる。そし
て、円柱状繊維構造体Fの径によっては基準角度90°
からのずれが10°を超える場合もあるが、ずれが±1
5°以内であればとくに問題はない。
【0043】(実施例2)次に第2実施例を図10及び
図11に従って説明する。なお、前記実施例と同一部分
は同一符号を付して詳しい説明を省略する。この実施例
の円柱状繊維構造体Fは軸方向糸Ya、スパイラル糸Y
s及び周方向糸Yθに加えて、円柱状繊維構造体Fのほ
ぼ軸心を通って円柱状繊維構造体Fを貫通するように配
列された貫通糸Ydが存在する点が前記実施例のものと
異なっている。図10に示すように、貫通糸Ydは円柱
状繊維構造体Fの軸心を含む平面内において、円柱状繊
維構造体Fの周面に沿ってその軸方向に延びる部分と、
円柱状繊維構造体Fの軸心と直交する部分とが連続する
ように蛇行状態に配列されている。そして、前記のよう
に配列された貫通糸Ydが、図11に示すように、位相
がずれた状態で複数箇所に配列されている。
【0044】この円柱状繊維構造体Fは貫通糸Ydの存
在により、同心円状に配置された各糸層LYa,LY
s,LYθの半径方向の結束力が増す。又、小径部Fb
から大径部Faに至る傾斜部Fcと対応する位置に配列
された貫通糸Ydは、円柱状繊維構造体Fの傾斜部Fc
における形状保持に役立つ。
【0045】そして、この円柱状繊維構造体Fを強化材
としてエポキシ樹脂等をマトリックスとした複合材は、
引張り、圧縮及びねじり強度が優れ、しかも貫通糸Yd
がないものに比較して耐衝撃性が向上する。
【0046】この実施例の円柱状繊維構造体Fを製造す
る場合は、先ず前記実施例と同様にして、貫通糸Ydを
含まない円柱状繊維構造体Fを製造する。次に針を縫い
針のように使用して、円柱状繊維構造体Fの周面からそ
の軸心を通って反対に抜けるように円柱状繊維構造体F
に針を刺し通し、貫通糸Ydを縫い付けるようにして順
次挿通する。 (実施例3)次に第3実施例を図12に従って説明す
る。この実施例では前記両実施例と同様にして製造され
た円柱状繊維構造体Fを強化材とした繊維強化複合材を
主要部としたピストンロッドを形成した。ピストンロッ
ド41は円柱状繊維構造体Fと、その大径部Faに締付
け固定されたリング部材42と、ねじ43とから構成さ
れている。リング部材42は当該繊維強化複合材より硬
度の大きい金属で形成されている。リング部材42は大
径部Faとほぼ等しい内径を有する大径の嵌合部42a
と、小径部Fbとほぼ等しい内径を有する小径の嵌合部
42bと、両者に連続するとともに傾斜部Fcと同じ傾
きを有するテーパ部42cとを備えている。嵌合部42
aの先端には雌ねじ部42dが形成されている。そし
て、雌ねじ部42dに螺合されたねじ43の作用によ
り、リング部材42が大径部Faに締付け固定されて、
ピストン44を構成している。
【0047】ピストンロッド41は大部分が、引張り、
圧縮、ねじり及び衝撃強度に優れた繊維強化複合材で形
成されているため、金属製のピストンロッドより軽量
で、しかもピストンロッドに作用する引張り、圧縮等の
力に充分耐える。又、大径部Faに締付け固定されてピ
ストン44を構成するリング部材42が金属製のため、
シリンダ(図示せず)との摺動摩擦による摩耗は少なく
とも通常の金属製のピストンロッドと同等となる。
【0048】ピストンはシリンダ内面との接触部の面粗
さが小さく、硬度が大きなものが望ましい。繊維強化複
合材の表面の面粗さを研磨加工なしに通常のピストン表
面と同等にすることは極めて難しい。従って、面粗さを
小さくするには研磨加工を必要とするが、繊維強化複合
材の研磨加工は金属の研磨加工に比較して難しい。又、
繊維強化複合材の硬度を大きくするのも難しい。しか
し、この条件を満足する硬度の金属は多数存在する。従
って、シリンダとの摺動部を金属製のリング部材42で
構成することにより、軽くて引張り、圧縮等の力に充分
耐えるという繊維強化複合材の利点を生かしたピストン
44が簡単に得られる。そして、円柱状繊維構造体Fの
端部に大径部Faが存在するため、リング部材42は大
径部Faをねじ43と共同して締付け固定するという簡
単な構成で確実に円柱状繊維構造体Fと一体化される。
そして、ピストン44に作用する引張り及び圧縮力が確
実にピストンロッド41に伝達される。
【0049】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 (1)貫通糸Ydを円柱状繊維構造体Fに挿通する場
合、第2実施例のように貫通糸Ydを円柱状繊維構造体
Fの軸心を含む平面内で連続して蛇行する状態に配置す
る代わりに、図13(a),(b)に示すように配置し
てもよい。すなわち、貫通糸Ydをその挿通位置が円柱
状繊維構造体Fの周面に沿った螺線上に位相が45°ず
つずれた状態で配置する。
【0050】又、図14(a),(b)に示すように貫
通糸Ydをループ部Lpを形成するように折り返し状に
挿入するとともに、耳糸Ypで抜け止めをする構成とし
てもよい。この場合は、針を円柱状繊維構造体Fの挿入
側と反対側へ完全に抜き出す必要がない。先端に孔が形
成された針を使用して、孔が円柱状繊維構造体Fの周面
から所定量突出する位置まで針を円柱状繊維構造体Fに
挿通して、貫通糸Ydのループ部Lpに耳糸Lpを挿通
した後、針を引き戻すことにより貫通糸Ydを抜け止め
状態で挿通できる。従って、貫通糸Ydの挿通作業が簡
単で、機械化が容易となる。
【0051】(2)前記製造装置で円柱状繊維構造体F
を製造する場合、図15(a)に示すように、最終製品
となる円柱状繊維構造体Fの径より長い多数のピン45
が直交する状態で着脱可能に支持された芯材46を使用
してもよい。この芯材46を使用して第1あるいは第2
実施例と同様に円柱状繊維構造体Fを製造した後、ピン
45を引き抜いて抜き跡に貫通糸Ydを挿通してもよ
い。芯材46の同じ位置に種々の方向に延びる複数のピ
ン45を固定することはできない。従って、ピン45は
図15(b)に示すように、軸方向から見た場合に互い
に所定角度をなして放射状に配置されるように、芯材4
6の軸方向に順次その固定角度が所定角度ずつ変更され
た状態で固定される。
【0052】(3)芯材46として芯糸Ycを使用する
とともに、ピン45として糸Yに繊維構造体に含浸する
樹脂を含浸して製造したFRP製のものを使用し、円柱
状繊維構造体の製造後にピン45と貫通糸Ydとの置換
を省略してもよい。この場合、ピン45と貫通糸Ydと
の置換操作が不要となり、製造工程が簡単となる。
【0053】(4)円柱状繊維構造体Fの軸方向に対す
る角度が同じとなるようにスパイラル糸Ysを複数回巻
付けてスパイラル糸層を形成し、次に配列方向が逆とな
るようにスパイラル糸Ysを複数回巻付けてスパイラル
糸層LYsを形成してもよい。この場合、糸供給ヘッド
39の往動が完了した時点でスパイラル糸Ysを1本の
係止ピンP2に係止させて折り返し、糸供給ヘッド39
の復動時にピン立設部8,20及び把持部材5,24を
往動時と逆方向に所定速度で回転させる。糸供給ヘッド
39の復動が完了した時点でスパイラル糸Ysを1本の
ピンP1に係止させて折り返し、再びピン立設部8,2
0及び把持部材5,24の回転方向を変更した後、糸供
給ヘッド39が往動される。そして、糸供給ヘッド39
を所定回数往復動させて同じ角度(配列方向)でかつ巻
き取り位置を若干ずらせてスパイラル糸Ysを巻付けて
スパイラル糸層LYsを形成する。次にスパイラル糸Y
sの配列方向が逆となるようにピン立設部8,20及び
把持部材5,24を回転させて、前記と同様に糸供給ヘ
ッド39を所定回数往復動させてスパイラル糸層LYs
を形成する。
【0054】ピンP1及び係止ピンP2に係止された部
分は次の周方向糸配列工程終了後、軸方向糸Yaととも
にピンP1及び係止ピンP2との係止状態が解除され
る。このとき、スパイラル糸Ysは周方向糸Yθにより
締めつけ固定されているため、スパイラル糸Ysとピン
P1及び係止ピンP2との係止状態が解除されてもスパ
イラル糸層LYsを構成するスパイラル糸Ysは緊張状
態に保持される。
【0055】(5)各糸層の配列順序は、円柱状繊維構
造体Fの内側から、軸方向糸層LYa、スパイラル糸層
LYs及び周方向糸層LYθの順に限られるものではな
く、最内層を軸方向糸層LYa及びスパイラル糸層LY
sのいずれか一方とし、最外層をスパイラル糸層LYs
及び周方向糸層LYθのいずれか一方とすれば、その間
の各糸層の配列順序は適宜変更してもよい。又、スパイ
ラル糸層LYsは配列方向が互いに逆となる一対の層が
隣接せずに、対をなすスパイラル糸層LYsの間に他の
糸層が配列されてもよい。
【0056】複合材の強度を高めるには、円柱状繊維構
造体Fの周面に被覆される樹脂量が少ない方がよい。そ
こで、樹脂を含浸させる際、円柱状繊維構造体Fをその
形状にほぼ等しい大きさのキャビティーを有する金型を
使用するとともに、樹脂をキャビティー内に圧入する。
このとき、最外層に周方向糸層LYθが配置されもので
は、樹脂の流れる方向と直交する状態に周方向糸層LY
θが存在するため、樹脂が流れ難い。しかし、スパイラ
ル糸層LYsを最外層に配置した円柱状繊維構造体Fの
場合は、スパイラル糸Ysの配列方向に沿って樹脂流れ
るため、樹脂が円柱状繊維構造体Fの表面に沿って第1
端部から第2端部に向かって流れ易くなり、含浸が円滑
に行われるとともに含浸作業時間が短くなる。
【0057】(6)第3実施例において、円柱状繊維構
造体Fに樹脂を含浸・硬化させて複合材とした後、大径
部Faにリング部材42をねじ43で締付け固定する代
わりに、円柱状繊維構造体Fにリング部材42を締付け
固定した後、樹脂を含浸・硬化させてもよい。又、ピス
トンを構成するリング部材42の材質を金属に代えてセ
ラミックスとしてもよい。
【0058】(7)大径部Faを円柱状繊維構造体Fの
中間部に形成してもよい。この場合、両ロッド形のピス
トンロッドの形成に好適となる。又、大径部の数を複数
としてもよい。大径部Faを形成する場合、周方向糸Y
θの配列数を増す代わりにスパイラル糸Ysの配列数を
増してもよい。又、両糸Yθ,Ysの配列数を同時に増
したり、交互に増してもよい。周方向糸Yθ及びスパイ
ラル糸Ysの配列数を増す場合、特定の層においてのみ
配列数を増してもよいが、全層に分散して増加させる方
が、組成が均一となるので物性が良くなる。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明は引張り、圧縮及びねじり強度に優れた円柱状の繊維
強化複合材の強化材となるとともに、各糸層の構成比を
変更することにより所望の物性に対応した強化材とな
る。請求項2に記載の発明は、前記の効果に加えて貫通
糸の存在によって各糸層の半径方向の結束力が増し、繊
維強化複合材としたとき、貫通糸がないものに比較して
耐衝撃性が向上する。
【0060】又、請求項3に記載の発明は、最外層にス
パイラル糸層が配置されているので、最外層に周方向糸
層が配置されたものと比較して、複合材を形成するため
に樹脂を含浸させる際、樹脂が表面に沿って流れ易い。
【0061】請求項4に記載の発明の繊維強化複合材
は、引張り、圧縮、ねじり及び衝撃強度が優れる。そし
て、大径部が一体に形成されているため、他の部材と一
体化した部品を製作する際、大径部を利用することによ
り他の部材との一体化が容易となる。
【0062】請求項5に記載の発明のピストンロッドは
大部分が、引張り、圧縮、ねじり及び衝撃強度に優れた
繊維強化複合材で形成されているため、金属製のピスト
ンロッドに比較して軽量で、しかもピストンロッドに作
用する引張り、圧縮等の力に耐える。又、ピストンとな
る大径部には当該繊維強化複合材より硬度の大きい材質
からなる部材が締付け固定されているため、シリンダと
の摺動摩擦による摩耗は少なくとも通常のピストンロッ
ドと同等となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の円柱状繊維構造体の模式断面図で
ある。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】円柱状繊維構造体製造装置の概略斜視図であ
る。
【図4】同じくスパイラル糸を配列している状態を示す
概略斜視図である。
【図5】第1層目の軸方向糸が配列された状態を示す模
式図である。
【図6】第1層目のスパイラル糸の配列時の状態を示す
模式図である。
【図7】第1層目のスパイラル糸の配列が完了した状態
を示す模式図である。
【図8】第2層目の軸方向糸が配列された状態を示す模
式図である。
【図9】第2層目の周方向糸の配列が完了した状態を示
す模式図である。
【図10】第2実施例の円柱状繊維構造体の模式断面図
である。
【図11】同じく貫通糸の配列状態を示す模式図であ
る。
【図12】第3実施例のピストンロッドの模式断面図で
ある。
【図13】(a)は変更例の貫通糸の配列を示す模式
図、(b)は同じく概略斜視図である。
【図14】(a)は別の変更例の貫通糸の配列を示す模
式図、(b)は同じく概略斜視図である。
【図15】(a)は芯材とピンの関係を示す概略斜視
図、(b)はその正面図である。
【図16】従来の三次元織物の断面図である。
【図17】図16のX−X線の部分断面図である。
【符号の説明】
41…ピストンロッド、42…部材としてのリング部
材、43…ねじ、44…ピストン、F…円柱状繊維構造
体、Fa…大径部、LYa…軸方向糸層、LYs…スパ
イラル糸層、LYθ…周方向糸層、Ya…軸方向糸、Y
θ…周方向糸、Yd…貫通糸、Ys…スパイラル糸、Y
…糸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 3/02 // B29L 31:12 (72)発明者 戸塚 正一郎 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 真杉 京一 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円柱状繊維構造体であって、その軸方向
    に沿って配列された軸方向糸と、円柱状繊維構造体の軸
    方向に対して傾斜する状態で配列されたスパイラル糸
    と、円柱状繊維構造体の周方向に沿って配列された周方
    向糸との3成分の糸から構成され、軸方向糸層、スパイ
    ラル糸層及び周方向糸層を円柱状繊維構造体の中心から
    同心円状に複数層ずつ配置するとともに、その軸方向の
    一部の区間においてスパイラル糸及び周方向糸の少なく
    とも一方の配列数を増してその区間を太くした円柱状繊
    維構造体。
  2. 【請求項2】 円柱状繊維構造体であって、その軸方向
    に沿って配列された軸方向糸と、円柱状繊維構造体の軸
    方向に対して傾斜する状態で配列されたスパイラル糸
    と、円柱状繊維構造体の周方向に沿って配列された周方
    向糸と、円柱状繊維構造体のほぼ軸心を通って円柱状繊
    維構造体を貫通するように配列された貫通糸との4成分
    の糸からなり、軸方向糸層、スパイラル糸層及び周方向
    糸層を円柱状繊維構造体の中心から同心円状に複数層ず
    つ配置し、貫通糸を円柱状繊維構造体の軸方向に所定間
    隔で複数箇所に配列するとともに、その軸方向の一部の
    区間においてスパイラル糸及び周方向糸の少なくとも一
    方の配列数を増してその区間を太くした円柱状繊維構造
    体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の発明にお
    いて、最外層にスパイラル糸層を配置した円柱状繊維構
    造体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載の円柱状繊維構造体を強化材とし、樹脂をマトリック
    スとした繊維強化複合材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載の円柱状繊維構造体の第1端部を太く形成したものを
    強化材とした繊維強化複合材の大径部に、当該繊維強化
    複合材より硬度の大きい材質からなる部材を締付け固定
    したピストンロッド。
JP6115702A 1994-05-27 1994-05-27 円柱状繊維構造体及び繊維強化複合材 Pending JPH07324252A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110001091A (zh) * 2019-03-29 2019-07-12 云浮市欣粤电力器材有限公司 一种复合材料电杆生产张拉模具

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110001091A (zh) * 2019-03-29 2019-07-12 云浮市欣粤电力器材有限公司 一种复合材料电杆生产张拉模具

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