JP3369544B2 - 海苔処理剤および処理方法 - Google Patents
海苔処理剤および処理方法Info
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Description
苔の処理剤および処理方法に関する。具体的には養殖海
苔に混生し海苔の成長を阻害したり、海苔の品質低下の
原因となるアオノリ、ケイ藻等の雑藻の駆除剤および駆
除方法、および海苔に寄生し生育を阻害するあかぐされ
病、針状細菌症等の病害の防除剤、もしくは予防剤また
はこれらの防除剤を用いる病害の防除方法もしくは予防
方法、または海苔活性化方法に関する。
ノリ(Enteromorpha prolifera)、ヒラアオノリ(E. comp
ressa)およびケイ藻類に属するリクモフォーラ(Licmoph
ora flabellata)、シネドラ属(Synedra. sp)等の雑藻
類、フハイカビ(Pythium)属菌を病原菌とする、あかぐ
され病、フクロカビ(Olpidiopsis)属菌を病原菌とする
壷状菌病および細菌類を病原菌とする緑斑病、擬似しろ
ぐされ病および針状細菌症等多くの雑藻、病害がある。
て、雑藻類および病原菌と海苔の乾燥に対する抵抗性の
差を利用して、長時間海苔網を空中へ吊り上げて干出を
おこなう方法、およびこれら雑藻、病原菌と海苔の冷凍
耐性の差を利用して、一時的に−20℃前後の冷凍処理
をおこなう方法が従来より行われている。しかし、これ
らの方法では雑藻類、病原菌の種類によっては海苔との
抵抗性の差が明確でないものもあり、十分な効果が上げ
られないこともある。また、干出を長く取ると海苔の成
長も止まり、期待する収穫を上げることが難しい点もあ
る。
よび病原菌と海苔の酸に対する抵抗性の差を利用する酸
処理技術が開発され(特公昭56−12601)、一般
的な技術として実施されている。しかし、従来から実施
されていたリンゴ酸、クエン酸等の有機酸単体による処
理は長い処理時間と多大な労力を必要とするものであっ
た。近年の海苔養殖従事者の高齢化や海苔製品価格低迷
に対処するため、養殖作業の省力化が必要とされ、その
必要性から多くの研究がなされ(特昭60−1364
8、特開昭60−248121、特開平1−27980
5、特開平5−139913、特開平7−53306、
特開平7−308136、特開平9−40511、特開
平9−175910、特開平11−193201)、一
部は実用化されている。しかしながら、これらの方法は
依然として過大な労力を要したり、処理薬剤による危険
を伴ったりするため、より効果が高く、作業安全性に優
れた防除剤および防除方法の開発が切望されている。
能が求められるのはもちろんであるが、生産された海苔
の食品としての安全性、養殖作業従事者の健康、安全性
の確保もまた重要である。海苔処理剤の処理効率を高め
るためには、処理剤の作用機作から処理液の酸性度を強
めればその目的は達せられる。しかし、現在業界でその
使用が認められている有機酸では、水素イオンの解離度
とコストの面からその酸性度増強にはおのずと限界があ
る。
度を強めることは可能であるが、これら強酸類は一般に
劇物に指定されており、業界ではその使用を禁止されて
いる。この解決策の一つとして、酸に塩化ナトリウム等
の無機塩を添加し高張液として処理効率を上げる技術が
報告されている(特開平9−201180)。該技術は
優れた技術であるが、処理効果を得るためには処理液の
溶液比重が1.03以上となるように処理液に対して数%〜
10%の塩を添加しなければならない。また、比重が1.
20以上となるように塩を添加すると、逆に塩により海苔
が障害を受ける可能性がある。このように処理効果を得
るためには処理液の比重を一定に保つ必要があるが、連
続作業で行われる処理作業中に多量の塩を投入してその
濃度を一定に保つのはかなり難しい技術であり、作業効
率の面からも難点のある技術である。
く、かつ効力、作業性に優れた処理剤、処理方法の開発
が切望されている。
海苔に混生するアオノリ、ケイ藻等の雑藻駆除およびあ
かぐされ病等の各種病害を効果的、効率的かつ安全に防
除もしくは予防する方法および処理剤を提供することに
ある。
に、本発明者らは鋭意検討を行い、有機カルボン酸およ
び塩化第二鉄を含有し、かつ比重が1.030未満の溶液が
海苔処理剤として優れていることを見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は以下の(1)〜
(7)に関する。
を含有する溶液であり、かつ溶液比重が1.030未満であ
ることを特徴とする海苔処理剤。 (2) 有機カルボン酸の含量が0.05〜0.5%であり、塩
化第二鉄の含量が0.02〜0.3%である、上記(1)の海
苔処理剤。 (3) 海苔処理剤が、5〜50%の有機カルボン酸溶
液および2〜30%の塩化第二鉄溶液を含有する溶液を
希釈して得られる海苔処理剤である、上記(1)または
(2)の海苔処理剤。
カルボン酸溶液からなるA液および2〜70%の塩化第
二鉄溶液からなるB液を希釈・混合して得られる海苔処
理剤である、上記(1)または(2)の海苔処理剤。 (5) 有機カルボン酸が、クエン酸、リンゴ酸、乳
酸、酢酸、酒石酸およびグリコール酸からなる群より選
ばれる有機カルボン酸である、上記(1)〜(4)いず
れか1つの海苔処理剤。
に記載の海苔処理剤に海苔を浸漬するか、または該海苔
処理剤を海苔に散布することを特徴とする海苔処理方
法。 (7) 上記(6)の方法により得られる海苔。 本発明において、「海苔処理」とは、養殖海苔に混生し
海苔の成長を阻害したり、海苔の品質低下の原因となる
アオノリ、ケイ藻等の駆除、および海苔に寄生し生育を
阻害するあかぐされ病、針状細菌症等の病害の防除、も
しくは予防または海苔活性化を目的として、海苔を本発
明の溶液に浸漬したり、本発明の溶液を海苔に散布した
りする行為を示す。
は、海苔病害の治療または海苔が病害に冒されるのを予
防することを意味する。また、「海苔の活性化」とは、
海苔の成長促進、海苔の色、艶などの品質を向上させる
ことを意味する。
ボン酸および塩化第二鉄を含有する溶液であり、かつ溶
液の比重が1.030未満の溶液であればいずれの溶液でも
使用することができる。該海苔処理剤としては、例え
ば、5%〜50%の有機カルボン酸および2%〜30%
の塩化第二鉄の混合溶液からなる処理剤を100〜80
0倍の海水で稀釈することにより得られる0.05〜0.5%
の有機カルボン酸および0.02〜0.3%の塩化第二鉄を含
有する溶液、または5%〜50%の有機カルボン酸を含
むA溶液、および2%〜70%の塩化第二鉄を含むB溶
液をそれぞれ稀釈混合して得られる0.05〜0.5%の有機
カルボン酸および0.02〜0.3%の塩化第二鉄を含有する
溶液をあげることができる。
pHは酸性であればよいが、pH 1.5〜3.0であることが好
ましい。なお、本発明の処理剤には、海苔の栄養成分と
して塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリ
ウム、硝酸カリウム、リン酸、リン酸ナトリウム、リン
酸カリウム、アミノ酸等を添加してもよい。
しくは1.026以下である。本発明に用いる有機カルボン
酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、酒石酸または
グリコール酸等が用いられ、好ましくはクエン酸、乳
酸、リンゴ酸が用いられる。有機カルボン酸の処理剤中
の濃度は0.05〜0.5%、好ましくは0.1〜0.4%である。
は、無水物、各種水和物のいずれも用いることができ
る。六水和物は溶解し易いため、該処理剤を調製する上
で適している。塩化第二鉄の処理剤中の濃度は0.02〜0.
3%、好ましくは0.05〜0.2%である。本発明の溶液とし
ては、水溶液であることが好ましい。水溶液にするため
には水、塩水、海水、緩衝液等を用いることが出来る
が、海水を用いることがとりわけ好ましい。緩衝液とし
てはクエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等があげられる。
処理方法としては、上記処理剤に海苔を浸漬、または該
処理剤を海苔に散布する処理方法があげられる。浸漬と
は箱船等の容器中に調製した処理剤稀釈液の中に、海苔
または海苔の着生した海苔網を手またはローラーで手繰
り込み、30秒〜20分間漬け込んで処理することを言
う。
る散布処理と、支柱に張って養殖状態の海苔網が干出状
態の時に、処理剤稀釈液を海苔網に散布することを言
う。上記処理は従来の海苔処理で行われている通常の温
度下で行うことができ、好ましくは7℃〜22℃、より
好ましくは8℃〜18℃で行う。上記の方法で処理した
後、海苔網は直ちに海水中に戻し、通常の方法で養殖を
継続する。以下に実施例および参考例で本発明を具体的
に説明する。
gの区、クエン酸一水和物30gに塩化ナトリウム(Na
Cl,和光純薬工業株式会社製)10gを加えた区、クエ
ン酸一水和物30gに塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O,
和光純薬工業株式会社製)10gを加えた区、クエン酸
一水和物30gに塩化カルシウム(CaCl2・2H2O,片山化
学工業株式会社製)10gを加えた区、クエン酸一水和
物30gに塩化アンモニウム(NH4Cl,和光純薬工業株式
会社製)10gを加えた区、クエン酸一水和物30gに
塩化亜鉛(ZnCl2,片山化学工業株式会社製)10gを加
えた区、クエン酸一水和物30gに塩化第一鉄(FeCl2
・4H2O,和光純薬工業株式会社製)10gを加えた区、ク
エン酸一水和物30gに塩化第二鉄(FeCl3・6H2O,和光
純薬工業株式会社製)10gを加えた区それぞれに70m
lまたは60mlの水を加えて100gとして溶解し、8
種類の試験原溶液を調製した。次いで、それぞれの試験
原溶液を海水で100倍、200倍、400倍に稀釈し
24種類の試験溶液を調製した。各試験溶液の比重はい
ずれも1.030未満であった。
水温10℃に調温した後、あかぐされ菌に感染した葉長
約8cmのアサクサ海苔の葉体(以下、単に海苔葉体と言
う)をそれぞれの試験溶液に5分間浸漬することにより
浸漬処理を行った。浸漬処理後の海苔葉体は清浄海水で
十分に洗浄して試験溶液を除去した後、30mlの清浄海
水を満たした径10cmのガラスシャーレに各試験区ごと
に収容して、1日10時間の照明を与えた15℃恒温培
養槽中で4日間静置培養を行った。
あかぐされ菌の生存、死滅および海苔葉体の試験溶液に
よる被傷害度を確認して防除効果を判定した。結果を第
1表に示す。
試験溶液によるあかぐされ病防除試験を行った結果、ク
エン酸単独区、クエン酸と塩化ナトリウム併用区、クエ
ン酸と塩化マグネシウム併用区およびクエン酸と塩化ア
ンモニウム併用区では100倍稀釈区においてもあかぐ
され菌の防除効果は認められなかった。また、クエン酸
と塩化カルシウム併用区、クエン酸と塩化亜鉛併用区お
よびクエン酸と塩化第一鉄併用区では、100倍稀釈区
においてのみあまり強くないが、あかぐされ菌の抑制効
果が見られた。しかし、200倍以上の稀釈区ではあか
ぐされ菌の防除効果は認められなかった。
強いあかぐされ菌防除効果がみとめられ、100倍およ
び200倍稀釈いずれにおいてもあかぐされ菌の完全殺
菌が見られ、400倍稀釈区においても抑制効果が認め
られた。また、いずれの区においても海苔葉体に傷害は
認められなかった。 実施例 2 クエン酸一水和物(和光純薬工業株式会社製)を40
%,20%,10%,5%,2.5%,0%の6濃度と、
塩化第二鉄六水和物(和光純薬工業株式会社製)を20
%,10%,5%,2.5%,0%の5濃度の組み合わせ
により、第2表に示す30種類の試験原溶液を調製し
た。該溶液をそれぞれ海水で100倍に希釈し、30種
類の試験溶液を調製した。各試験溶液の比重はいずれも
1.030未満であった。
濃度およびpHを第2表に示した。
槽中で水温12℃に調温した後、あかぐされ菌に感染し
た葉長約8cmの海苔葉体をそれぞれの試験溶液に5分間
浸漬することにより浸漬処理を行った。浸漬処理後の海
苔葉体は清浄海水で十分に洗浄して試験溶液を除去した
後、30mlの清浄海水を満たした径10cmのガラスシャ
ーレに各試験区ごとに収容して、1日10時間の照明を
与えた15℃恒温培養槽中で4日間静置培養を行った。
あかぐされ菌の生存、死滅および海苔葉体の試験溶液に
よる被傷害度を確認して防除効果を判定した。結果を第
3表に示す。
0.4%の試験溶液のみにあかぐされ菌の抑制効果が見ら
れた。塩化第二鉄のみの試験溶液では0.2%の試験溶液
のみにあかぐされ菌の殺菌効果が見られた。しかし、0.
05%以上の濃度試験溶液では海苔葉体の傷害が見られ
た。
験溶液では、クエン酸濃度が0.025%の場合でも、塩化
第二鉄濃度が0.1%以上であれば、防除効果が認められ
た。逆に、塩化第二鉄の濃度が0.025%の場合でも、ク
エン酸濃度が0.2%以上であれば防除効果が認められ
た。このことから、クエン酸と塩化第二鉄の相乗効果が
確認された。また、塩化第二鉄単用で見られた海苔葉体
に対する傷害もクエン酸を併用することによって認めら
れなくなり、薬害の低減が認められた。 実施例 3 クエン酸一水和物30部と塩化第二鉄六水和物20部を
50部の水に溶解し、クエン酸と塩化第二鉄の混合溶液
からなる試験原溶液を調製した。
倍、400倍および800倍に稀釈した4種類の試験溶
液を調製した。各試験溶液の比重はいずれも1.030未満
であった。該試験溶液のそれぞれを恒温槽中で水温18
℃に調温した後、あかぐされ菌に感染した葉長約8cmの
海苔葉体をそれぞれの試験溶液に5分間浸漬することに
より浸漬処理を行った。
に水温15℃の恒温槽中で調温した後、同様の方法であ
かぐされ菌に感染した海苔葉体の浸漬処理を行った。さ
らに、同試験液を12℃、さらに9℃に調温して同様の
処理をおこなった。浸漬処理後の海苔葉体は、それぞれ
処理直後に清浄海水で十分に洗浄して試験溶液を除去し
た後、30mlの清浄海水を満たした径10cmのガラスシ
ャーレに各試験区ごとに収容して、1日10時間の照明
を与えた15℃恒温培養槽中で4日間静置培養を行っ
た。
あかぐされ菌の生存、死滅および海苔葉体の試験溶液に
よる被傷害度を確認して防除効果を判定した。結果を第
4表に示す。
稀釈区の全てで高いあかぐされ防除効果が見られた。し
かし、100倍稀釈区では海苔葉体にも傷害が認められ
た。15℃から9℃の処理区では、いずれも100倍〜
400倍稀釈区で高いあかぐされ防除効果が見られ、海
苔葉体の傷害も認められなかった。しかし、800倍稀
釈区では防除効果が不完全で、一部にあかぐされ菌の生
残が認められた。 実施例 4 上記実施例3で調製した試験原溶液を海水で100倍に
稀釈した液、およびクエン酸一水和物(和光純薬工業株
式会社製)を海水で溶解して0.5%溶液とした2種類の
試験溶液を調製した。各試験溶液の比重はいずれも1.03
0未満であった。次にそれぞれの試験溶液を恒温槽中で
12℃に調温した後、あかぐされ菌に感染した葉長約8
cmの海苔葉体をそれぞれの試験溶液に、30秒間、1分
間、2分間、4分間浸漬することにより浸漬処理をおこ
なった。
に洗浄して試験溶液を除去した後、30mlの清浄海水を
満たした径10cmのガラスシャーレに各試験区ごとに収
容して、1日10時間の照明を与えた15℃恒温培養槽
中で4日間静置培養を行った。培養終了後、海苔葉体を
顕微鏡で観察し、あかぐされ菌の生存、死滅および海苔
葉体の試験溶液による被傷害度を確認して防除効果を判
定した。
の処理であかぐされ菌を完全に殺菌することができ、ま
た、4分間処理でも海苔葉体に傷害は認められなかっ
た。一方、クエン酸0.5%溶液では2分間以下の処理で
は全くあかぐされの防除効果は認められず、4分間処理
でやっと抑制効果が認められる程度であった。このこと
から、本試験原溶液は従来の有機酸のみの処理よりも短
時間で防除効果を上げることができることが示された。 実施例 5 上記実施例3で調製した試験原溶液を海水で、100
倍、200倍、400倍、600倍の4段階に稀釈し、
それぞれの溶液を恒温槽中で18℃に調温し、試験溶液
を作成した。各試験溶液の比重はいずれも1.030未満で
あった。
ノリおよび葉長約2cmの海苔幼芽を同時に投入し、7分
間の浸漬処理を行った。処理終了後、スジアオノリおよ
び海苔幼芽は清浄海水で十分に洗浄して試験溶液を除去
した後、30mlの清浄海水を満たした径10cmのガラス
シャーレに各試験区ごとに収容して、1日10時間の照
明を与えた18℃恒温培養槽中で2日間静置培養を行っ
た。なお、対照区として無処理区を設けた。
色の有無で生死を判定した。また、海苔幼芽について
は、0.2%エリスロシン溶液による染色度合いで、その
傷害の程度を判定した。結果を第6表に示した。
スジアオノリは完全に脱色枯死が見られたが、600倍
稀釈区では、根部が生き残った。海苔幼芽は、100倍
稀釈区では大きな障害を受けたが、200倍以上の稀釈
区では無処理対照区と差が無く、傷害は無いものと考え
られた。 実施例 6 クエン酸一水和物30部と塩化第二鉄六水和物10部お
よび水60部、DLリンゴ酸(和光純薬工業株式会社
製)30部と塩化第二鉄六水和物10部および水60
部、90%乳酸(和光純薬工業株式会社製)33部と塩
化第二鉄六水和物10部および水57部、酢酸(和光純
薬工業株式会社製)30部と塩化第二鉄六水和物10部
および水60部よりなる4種類の試験原溶液を調製し
た。
倍、400倍、および800倍に稀釈し、合計16種類
の試験溶液を作り、12℃の恒温槽中でそれぞれ12℃
に調温した。各試験溶液の比重はいずれも1.030未満で
あった。あかぐされ菌に感染した葉長約8cmの海苔葉体
をそれぞれの試験溶液に5分間浸漬することにより浸漬
処理を行った。
洗浄して試験溶液を除去した後、30mlの清浄海水を満
たした径10cmのガラスシャーレに各試験区ごとに収容
して、1日10時間の照明を与えた15℃恒温培養槽中
で4日間静置培養を行った。培養終了後、海苔葉体を顕
微鏡で観察し、あかぐされ菌の生存、死滅および海苔葉
体の試験溶液による被傷害度を確認して防除効果を判定
した。
る試験原溶液および、乳酸30%と塩化第二鉄10%か
らなる試験原溶液では、いずれも100倍〜400倍希
釈区であかぐされ菌を完全に殺菌し、両試験原溶液は、
ほぼ同等のあかぐされ病防除効果を示した。DLリンゴ酸
30%と塩化第二鉄10%からなる試験原溶液では、1
00倍および200倍希釈ではあかぐされ菌を完全殺菌
したが、400倍希釈では防除効果が認められなかっ
た。
験原溶液では、100倍〜400倍希釈であかぐされ菌
を完全に殺菌し、また、800倍希釈でもある程度の菌
の抑制効果が見られ、試験した4試験原溶液の中では最
も強い作用を示したが、100倍希釈では海苔葉体に傷
害が見られ、海苔に対する薬害も強かった。 実施例 7 上記実施例3で調製した試験原溶液を海水で25倍、5
0倍、100倍に稀釈した溶液、および塩化第二鉄六水
和物(和光純薬工業株式会社製)を海水で溶解して0.8
%、0.4%、0.2%とした6種類の試験液を調製し、それ
ぞれの溶液比重を測定した。
温した後それぞれの試験液に葉長約5cmの海苔葉体を1
分間浸漬処理を行った。また、対照区として海水のみの
比重測定、浸漬処理を行った。浸漬処理後の海苔葉体は
清浄海水で十分に洗浄して試験溶液を除去した後、30
mlの清浄海水を満たした径10cmのガラスシャーレに各
試験区ごとに収容して、1日10時間の照明を与えた1
5℃恒温培養槽中で24時間静置培養を行った。
ン溶液で染色を行い、その染色度合いにより傷害程度を
調べた。結果を第8表に示した。
稀釈を想定して調製したものであり、100倍稀釈時の
溶液比重は1.025で、稀釈に使用した海水の比重1.024に
比べその比重上昇はわずかであった。50倍稀釈では1.
028で、この濃度付近から海苔の細胞に傷害が認められ
た。試験原溶液50倍稀釈液中の塩化第二鉄濃度は0.4
%であり、第8表に示したデータから、海苔細胞が傷害
を受けるのは塩化第二鉄濃度によるものと考えられ、そ
の限界濃度0.3〜0.4%の間にあるものと考えられる。
に1.018〜1.025とされており、このことから本発明の海
苔処理剤を使用する場合、処理剤が海苔の傷害濃度に達
しないように、その溶液比重を少なくとも1.030未満に
止める必要がある。 実施例 8 海苔養殖漁場より採取した海苔葉体を屋外太陽光下に設
置した500リットル容透明プラスチック水槽中に栄養
無添加の天然海水とともに収容し、14日間通気攪拌培
養を行って栄養不足による退色海苔葉体を作成した。
した試験原溶液の200倍稀釈液、およびクエン酸0.4
%溶液を用いて12℃、5分間の浸漬処理を行った。各
試験溶液の比重はいずれも1.030未満であった。処理終
了後の海苔葉体は清浄海水で十分に洗浄して試験液を除
去し、それぞれ100リットル容透明プラスチック水槽
に海水と共に収容し屋外太陽光下で通気攪拌培養を行っ
た。この時の培養液には硝酸ナトリウムとリン酸ナトリ
ウムを加え、窒素とリンがそれぞれ4.4mg/Lおよび0.5
mg/Lとなるように栄養塩補強を行った。
チノイド、フィコエリスリン、フィコシアニン等の色素
によるとされ、色艶の良い高級海苔にはこれら色素が多
く含まれ、栄養不足で退色した海苔には少ないと言われ
る。それで、色艶の簡便評価法として分析が比較的簡単
なクロロフィル量の測定が一般によく用いられるため、
本実験でもクロロフィルの測定を行った。
日後、7日後および14日後に培養海苔葉体の一部を採
取し、それぞれについてクロロフィルaの量を測定し
た。クロロフィルa測定方法は、海苔葉体を真水で洗浄
後90%アセトンで色素を抽出し分光光度計を使用して
665nm、645nmおよび630nmの吸光値を測定し、
次式によりクロロフィルaの値を求めた。
−1.31E645−0.14E630 結果を第9表に示す。
れ、7日後でピークに達した。クロロフィル含量はクエ
ン酸処理の区よりも試験原溶液稀釈液で処理した区が明
らかに多かった。また、14日後には栄養塩枯渇により
再び退色が見られたが、退色の程度は試験原溶液稀釈液
処理の区が軽微で退色しにくかった。
れば、従来のものよりも低濃度で、しかもより短時間で
効果的に海苔の雑藻駆除、およびあかぐされ等の病害を
防除することができ、作業効率の向上、および確実な駆
除、防除が可能となる。また、養殖漁場の栄養塩不足に
よって起こる、海苔の退色による品質低下の防止効果も
期待される。
されている有機酸と鉄化合物のみであるため安全性の高
い処理剤を提供できる。
Claims (7)
- 【請求項1】 有機カルボン酸および塩化第二鉄を含有
する溶液であり、かつ溶液比重が1.030未満であること
を特徴とする海苔処理剤。 - 【請求項2】 有機カルボン酸の含量が0.05〜0.5%であ
り、塩化第二鉄の含量が0.02〜0.3%である、請求項1
記載の海苔処理剤。 - 【請求項3】 海苔処理剤が、5〜50%の有機カルボ
ン酸溶液および2〜30%の塩化第二鉄溶液を含有する
溶液を希釈して得られる海苔処理剤である、請求項1ま
たは2に記載の海苔処理剤。 - 【請求項4】 海苔処理剤が、5〜50%の有機カルボ
ン酸溶液からなるA液および2〜70%の塩化第二鉄溶
液からなるB液を希釈・混合して得られる海苔処理剤で
ある、請求項1または2に記載の海苔処理剤。 - 【請求項5】 有機カルボン酸が、クエン酸、リンゴ
酸、乳酸、酢酸、酒石酸およびグリコール酸からなる群
より選ばれる有機カルボン酸である、請求項1〜4いず
れか1項に記載の海苔処理剤。 - 【請求項6】 請求項1〜5いずれか1項に記載の海苔
処理剤に海苔を浸漬するか、または該海苔処理剤を海苔
に散布することを特徴とする海苔処理方法。 - 【請求項7】 請求項6記載の方法により得られる海
苔。
Priority Applications (1)
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