JP3365655B2 - 調湿性成形物およびその製造方法 - Google Patents

調湿性成形物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、天井材や内外
装材、床材などの建築用資材や、家具用資材として用い
ることができる調湿性成形物およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の調湿性成形物としては、例えば、
特開昭54−160428号公報に示すものがある。す
なわち、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とするケイカ
ル板であって、ケイ酸カルシウム水和物が非常に微細な
結晶から成り、多孔質のため、ケイ酸カルシウム水和物
の大きな比表面積を利用して調湿を行うものである。
【0003】また、他の従来の調湿性成形物としては、
例えば、特開昭62−246848号公報に示すものが
ある。すなわち、ゼオライトをセメント等のバインダー
で成形したゼオライトパネルや人造木材であって、ゼオ
ライトの分子構造内に数十〜数ナノメートルの超微細な
空隙が散在し、ゼオライトの大きな比表面積を利用して
調湿を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図12を参照して、調
湿性を必要とする一般的状況を考察する。図12に示す
ように、空間1の湿度を雰囲気2に影響されることなく
一定に保つため、調湿性を有する壁3を設けている。こ
の場合、壁3は、空間1に接する3a面側にのみ調湿機
能を持てばよく、雰囲気2に接する3b面側に調湿機能
を持つ必要はない。むしろ、3b面側に調湿機能を有す
る場合、3b面側の調湿機能が3a面側の調湿機能に影
響を及ぼして、空間1の保湿に悪影響を及ぼすこととな
る。
【0005】従来の調湿性成形物は、いずれも均一な材
料から成っており、使用の際、保湿を必要とする空間側
だけでなく、その雰囲気側にも調湿性を有していた。従
って、雰囲気側の調湿機能が保湿を必要とする空間の保
湿に悪影響を及ぼすのを防ぐには、雰囲気側の面を防湿
性の材料で覆う必要があった。その場合、従来の調湿性
成形物では、防湿性の材料で覆う分、施工が複雑にな
り、コスト高となるうえ、防湿性の材料が時間の経過と
ともに次第に調湿性成形物から剥離し、耐久性に欠ける
という問題点があった。
【0006】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、保湿を必要とする空間の調湿を雰
囲気の影響を受けずに行うことができ、施工が簡単でコ
ストが安く、耐久性が高い調湿性成形物およびその製造
方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る調湿性成形物は、水硬性物質と調湿性
物質とから成り、この水硬性物質による防湿面を有し、
この防湿面からその反対面にかけて前記水硬性物質に対
する前記調湿性物質の混合割合が連続的または段階的に
増加した混合物から成ることを特徴とする。
【0008】本発明に係る調湿性成形物の製造方法は、
ケイ酸質原料と石灰質原料とを混合して成る水硬性物質
と、ケイ酸質原料と石灰質原料と調湿性物質とを混合し
て成り、この調湿性物質の混合割合がそれぞれ異なる複
数種の混合物とをそれぞれ製造する製造過程と、前記製
造過程で得た水硬性物質と前記複数の混合物とを、前記
調湿性物質の混合割合が増加または減少する順に積層す
る積層過程と、前記積層過程による積層体を硬化させる
硬化過程とを、有することを特徴とする。
【0009】例えば、本発明に係る調湿性成形物の製造
方法では、前記水硬性物質および前記複数の混合物は水
を混合して成る泥しょう体であり、前記積層過程と前記
硬化過程との間に、前記積層体を圧縮成形する成形過程
を有し、前記硬化過程は前記積層体を養生により硬化さ
せる。
【0010】また、例えば、本発明に係る調湿性成形物
の製造方法では、前記水硬性物質および前記複数の混合
物は粉粒体であり、前記積層過程と前記硬化過程との間
に、前記積層体に水を加えて圧縮成形する成形過程を有
し、前記硬化過程は前記積層体を養生により硬化させ
る。
【0011】養生は、気中養生であっても、水熱養生で
あっても、それらの組み合わせであってもよい。水熱養
生は、例えば、オートクレーブで行うことができる。
【0012】本発明に係る調湿性成形物およびその製造
方法では、例えば、前記水硬性物質はケイ酸カルシウム
水和物を主成分とし、前記調湿性物質は多孔性粉粒体ま
たは木屑から成る。
【0013】調湿性物質とは、温度の上昇に伴い放湿を
行い、温度の降下に伴い吸水・吸着作用を行う物質であ
る。調湿性物質は、吸水・吸着作用に伴って吸臭作用を
も併せ持つ。
【0014】多孔性粉粒体とは、例えば、ゼオライト、
セピオライト、クリストバライト、パーライト、アタパ
ルジャイト、珪酸カルシウム、ケイソウ土、カオリン、
モンモリロナイト、バーミキュライト、活性アルミナ、
シリカゲル、活性炭、多孔性架橋有機高分子化合物や、
これらの2種以上の混合物など、吸水・吸着作用を有す
る粉粒体である。多孔性粉粒体としては、特に、ゼオラ
イトが好ましい。
【0015】木屑には、例えば、木材のオガ屑や、破砕
片を用いることができる。調湿性成形物の材料には、金
属製ワイヤー等の補強材や、アクリルポリマー、ビニロ
ン繊維等の補強材や着色剤を加えてもよい。調湿性成形
物の表面には、例えば木材のオガ屑や破砕片が成形物か
ら剥離するのを完全に防止するために、吸湿性のコーテ
ィング剤を塗布してもよい。
【0016】水硬性物質は、例えば、ケイ酸カルシウム
水和物、セメント、炭酸カルシウム、石灰、ALCやこ
れらの2種以上の混合物などである。水硬性物質として
は、特に、SiO2 とCaOとの3対1の割合の混合物
(以下、「調質原料」という。」と、セメントと、石膏
との混合物が好ましい。また、水硬性物質は、発泡化に
より軽量化を図ったALCが好ましい。
【0017】調湿性成形物は、水硬性物質に対する調湿
性物質の混合割合が段階的に増加するものの場合、防湿
面を形成する水硬性物質の層と、水硬性物質に対する調
湿性物質の混合割合がそれぞれ異なる少なくとも2つの
層とにより、少なくとも3層で構成されるが、3層以上
であれば何層であってもよい。
【0018】調湿性成形物は、例えば、調湿性物質にゼ
オライトを用いて5層で構成して、第1層を調質原料7
0〜80重量部、セメント15〜20重量部、石膏3〜
5重量部から構成し、第2層を調質原料55〜60重量
部、セメント15〜20重量部、ゼオライト15〜20
重量部、石膏3〜5重量部から、第3層を調質原料35
〜40重量部、ゼオライト35〜40重量部、セメント
15〜20重量部、石膏3〜5重量部から、第4層をゼ
オライト60〜70重量部、調質原料20〜30重量
部、セメント10〜15重量部、石膏3〜5重量部か
ら、第5層をゼオライト85〜95重量部、セメント5
〜10重量部、石膏3〜5重量部から構成したものが好
ましい。
【0019】また、調湿性成形物は、例えば、調湿性物
質にオガ屑を用いて5層で構成して、第1層を調質原料
70〜80重量部、セメント15〜20重量部、石膏3
〜5重量部から構成し、第2層を調質原料60〜70重
量部、セメント15〜25重量部、石膏4〜8重量部、
オガ屑3〜5重量部から、第3層を調質原料50〜60
重量部、セメント20〜30重量部、オガ屑5〜10重
量部、石膏3〜5重量部から、第4層を調質原料45〜
55重量部、セメント25〜35重量部、オガ屑10〜
20重量部、石膏3〜5重量部から、第5層をセメント
70〜80重量部、オガ屑20〜25重量部、石膏3〜
5重量部から構成したものが好ましい。
【0020】本発明に係る調湿性成形物の製造方法で、
積層体を圧縮成形する場合、板状、ブロック状、半円板
状などいかなる形状に成形を行ってもよい。
【0021】
【作用】本発明に係る調湿性成形物では、保湿を必要と
する空間と雰囲気との間の壁を形成するとき、雰囲気側
に防湿面を向け、保湿を必要とする空間側にその反対面
を向けて配置される。調湿性成形物は、防湿面により雰
囲気の湿分を遮断する。その反対面は、調湿性物質によ
り保湿を必要とする空間の調湿を行う。すなわち、調湿
性成形物は、温度の上昇に伴い放湿を行い、温度の降下
に伴い吸水・吸着を行う。雰囲気の湿分を遮断すること
によって、雰囲気の湿度が保湿を必要とする空間の保湿
に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0022】調湿性成形物は、防湿面からその反対面に
かけて調湿性物質の混合割合が連続的または段階的に増
加した傾斜化構造を有しており、強度が大きく、耐久性
が高い。
【0023】本発明に係る調湿性成形物の製造方法で
は、水硬性物質および複数の混合物を積層し、硬化させ
ることにより、容易に調湿性成形物を製造することがで
きる。
【0024】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の第1および第2
実施例を説明する。まず、本発明の第1実施例について
説明する。調湿性成形物10は、以下のようにして製造
した。まず、第1層を構成する水硬性物質と、第2層〜
第5層を構成する4つの混合物とを製造する。第1層〜
第5層の混合物の原料および分量を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1からわかるように、第1層はゼオライ
トを含んでおらず、第2層から第5層へとゼオライトの
混合割合が増加している。使用したセメントは、市販の
ポルトランドセメント(商品名「白色ポルトランドセメ
ント」小野田セメント株式会社製)および早強セメント
(商品名「小野田早強ポルトランドセメント」小野田セ
メント株式会社製)であり、第5層には前者の、そして
第1層から第4層にかけては後者のセメントを他の調合
原料と混合して使用した。
【0027】使用したゼオライトは、天然ゼオライトの
粉粒体を500〜600℃で30〜40分、加熱処理
し、活性化したものである。ゼオライトは、活性化によ
り調湿作用を有して、温度の上昇に伴い放湿を行い、温
度の降下に伴い吸水・吸着作用を行うようになる。
【0028】各層ごとに、表1に示す原料のうちセメン
トと水とを除く原料を充分に攪拌し、攪拌後、この混合
物がスラリー状態とならない程度に水を添加する。各層
で水和反応による発熱が完全に終了したことを確認した
後、この混合物に表1に示す分量のセメントを添加し、
充分に攪拌する。セメントを発熱終了後に添加するの
は、製造された調湿性成形物に反りや欠けができるのを
防ぐためである。
【0029】図1(A)〜(C)に示すように、こうし
て準備した第1層11、第2層12、第3層13、第4
層14、第5層15の各混合物は、泥しょう体である。
これらを金型に入れる。金型21は、型サイズが83m
m×153mmの両押金型である。金型21は、両方の
プレス・ダイ22を吸水シートで覆った後、この吸水シ
ートがプレス・ダイと密着するように水をかけて準備さ
れる。
【0030】混合物は、図1(A),(B)に示すよう
に、第1層11から順にそれぞれ平坦になるよう金型内
に積層する。各層を積層する順は、ゼオライトの混合割
合が増加する順となる。積層終了後、図1(C)に示す
ように、積層体を金型から取り出し、油圧プレス装置2
3により100〜250kgf/cm2 の圧力で1〜3
0秒間、両押プレスをかけ、圧縮成形する。
【0031】図1(D)に示すように、この成形体を内
部の水分が外部に放出しないよう、ビニール袋24で密
閉する。第5層15を下側にして恒温槽25の中に置
き、70〜90℃の温度で1〜5時間程度、前養生す
る。前養生後、図1(E)に示すように、前養生体に対
してオートクレーブ26により180℃の温度で4時
間、本養生を行い、前養生体を充分に硬化させる。こう
して、図1(F)に示すように、83mm×153mm
×12mmの大きさの調湿性成形物10が製造された。
【0032】次に、本発明の第2実施例を説明する。調
湿性成形物は、以下のようにして製造された。まず、第
1層を構成する水硬性物質と、第2層〜第5層を構成す
る4つの混合物とを製造する。第1層〜第5層の原料お
よび分量を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2からわかるように、第1層はオガ屑を
含んでおらず、第2層から第5層へとオガ屑の混合割合
が増加している。使用したセメント、石膏は、第1実施
例のものと同一のものである。使用したオガ屑は、ブナ
のオガ屑である。
【0035】原料および分量以外は、第1実施例と同様
の方法により行った。こうして、83mm×153mm
×12mmの大きさの調湿性成形物が製造された。
【0036】図1に示すように第1実施例および第2実
施例により製造された調湿性成形物10は、第1層11
による防湿面10aを有し、防湿面10aからその反対
面10bにかけて第2層12から第5層15へとゼオラ
イト又はオガ屑の混合割合が段階的に増加している。
【0037】次に、第1実施例および第2実施例により
製造された調湿性成形物10の作用および効果について
説明する。第1実施例の調湿性成形物を、それぞれ粒径
の異なるゼオライトを使用して3種類、製造した。それ
らは、ゼオライトの平均粒径が0.35mm未満のもの
(以下、「FZ/A」という。)、0.35〜0.7m
mのもの(以下、「MZ/A」という。)、0.7〜
1.2mmのもの(以下、「CZ/A」という。)であ
る。
【0038】第2実施例の調湿性成形物は、それぞれサ
イズの異なる木片を使用して2種類、製造した。それら
は、オガ屑および破砕片のサイズが2.5mm未満のも
の(以下、「FW/A」という。)、2.5mmより大
きいもの(以下、「MW/A」という。)である。
【0039】また、比較のため、ゼオライトを加えない
第1実施例の第1層の原料のみから成るケイ酸カルシウ
ム系コンクリート成形体(以下、「ALC」という。)
と、平均粒径0.35〜0.7mmのゼオライト2重量
部とセメント1重量部とから成る成形体(以下、「Ze
o」という。)と、アメリカ産のツガの木塊(以下、
「Wood」という。)とを準備した。
【0040】これらの試料FZ/A、MZ/A、CZ/
A、FW/A、MW/A、ALC、ZeoおよびWoo
dに対し、吸放湿試験と、最大吸水量試験および最大放
水量試験と、寸法安定性試験と、3点曲げ試験と、寒冷
暴露試験とを行った。
【0041】吸放湿試験は、試料に対し、気温20℃、
RH60%の条件と、気温20℃、RH15%の条件と
を96時間サイクルで繰り返して行った。この吸放湿試
験の結果を図2〜図4に示す。
【0042】図3および図4から、調湿性成形物FZ/
A、MZ/A、CZ/A、FW/A、MW/Aは、Wo
odやALCに比べて顕著な吸放湿特性を示すことがわ
かる。これらの調湿性成形物の性能は、Zeoとほぼ同
等であり、特に、初期応答性が良好であることがわか
る。
【0043】最大吸水量試験および最大放水量試験は、
試料を20℃の水に96時間含浸後、最大吸水量(吸湿
率)を測定し、さらにこの試料を85℃で96時間強制
的に加熱乾燥後、最大放水量(放湿量)を測定して行っ
た。この最大吸水量試験および最大放水量試験の結果を
図5および図6に示す。
【0044】図5および図6から、調湿性成形物FZ/
A、MZ/A、CZ/A、FW/A、MW/Aは、AL
Cに比べて1.5倍程度の最大吸水量および最大放水量
を有し、Zeoとほぼ同等の性能を有していることがわ
かる。
【0045】寸法安定性試験は、各試料について、20
℃の気乾状態と、20℃の気乾状態から20℃の水に9
6時間含浸後の状態と、さらに85℃で96時間強制的
に加熱乾燥後の状態とで、図7(A)および図7(B)
に示す9つの寸法を測定した。この寸法安定性試験の結
果を図8および図9に示す。
【0046】図8および図9から、調湿性成形物FZ/
A、MZ/A、CZ/A、FW/A、MW/Aは、Wo
odに比べて、膨張率が平面方向で最大1/25倍、厚
さ方向で最大1/12倍で、収縮率が平面方向で最大1
/53倍、厚さ方向で最大1/7倍であって、寸法安定
性が優れており、特に、平面方向の寸法安定性が極めて
優れていることがわかる。
【0047】3点曲げ試験は、各試料を60℃、RH1
0%で48時間保った後、「建築用ボード類の曲げ試験
方法(JIS A1408)」に準拠して行った。この
試験は、図10に示すように、各試料を30.00mm
(2L)の幅で支持し、その中央に0.1mm/分のク
ロスヘッド速度で破壊荷重Wを加えて行った。破壊応力
σf は、試料の板厚を2h、板幅をbとするとき、σf
=3WL/4bh2 の算出式で求めた。この3点曲げ試
験の結果を図11に示す。
【0048】図11から、ゼオライト系の調湿性成形物
FZ/A、MZ/A、CZ/Aは、Woodに比べて強
度が上回っていることがわかる。また、これらの試料
は、ワイブル分布の形状パラメータmも高い値を示すこ
とから、材料の均一性も高いと考えられる。特に、ゼオ
ライト系の調湿性成形物FZ/A、MZ/A、CZ/A
は、建築・家具用材料として使用するのに充分な強度お
よび再現性を有していると判断できる。この強度および
再現性は、主として、ゼオライトとケイ酸カルシウム系
コンクリートとに傾斜化構造を付与したことにより、ク
ラックの偏向や粒子分散強化などを生じ、最終破壊を引
き起こすまでのクラック伝播抵抗が増加したことに起因
すると推察される。
【0049】また、木質系の調湿性成形物FW/A、M
W/Aも、比較的、均一性が良好であることがわかる。
木質系の調湿性成形物FW/A、MW/Aは、混合物の
組成成分を変えたり、プレス圧力を変えたりすることに
より、さらに強度特性を向上させることができると考え
られる。
【0050】寒冷暴露試験は、各試料を1992年12
月から1993年3月の冬季間、札幌市内の風雪に曝さ
れる場所で、直射日光が当たるところと日陰のところと
に置いて行った。
【0051】この結果、調湿性成形物FZ/A、MZ/
A、CZ/A、FW/A、MW/Aは、いずれも亀裂、
層間剥離などの欠陥や、それに伴う欠損が発生しなかっ
た。このことから、調湿性成形物は、いずれも北海道の
ような寒冷地でも充分、使用できると判断できる。
【0052】このような調湿性成形物10を建物の壁材
として使用し、保湿を必要とする室内と屋外との間の壁
を形成するとき、屋外側に防湿面10aを向け、室内側
にその反対面10bを向けて配置する。調湿性成形物1
0は、防湿面10aにより屋外の湿分を遮断する。その
反対面10bは、含まれるゼオライトまたはオガ屑によ
り室内の調湿を行う。すなわち、ゼオライトまたはオガ
屑は、温度の上昇に伴い放湿を行い、温度の降下に伴い
吸水・吸着を行う。屋外の湿分を遮断することによっ
て、屋外の湿度が室内の保湿に影響を及ぼすのを防ぐこ
とができる。
【0053】調湿性成形物10は、防湿面10aからそ
の反対面10bにかけてゼオライトまたはオガ屑の混合
割合が段階的に増加した傾斜化構造を有しており、防湿
面10aとその反対面10bとの間に成分の急激な差異
を有しない。一般に物体は成分の急激な差異のある部分
から割れるものであるが、調湿性成形物10はそのよう
な差異を有しないため、強度が大きく、耐久性が高い。
【0054】一般のコンクリート壁材では結露や凍害を
生じる欠点があり、木材の板壁では燃えやすい欠点があ
ったが、調湿性成形物10の資材は結露や凍害を生じな
いうえに、耐火性を有している。
【0055】調湿性成形物10の資材は、屋外の湿分の
遮断と、室内の調湿とを内外壁一体型の単体で行うこと
ができるので、施工が簡単でコストが安い。調湿性成形
物10は、コンクリートに比べて軽量なゼオライトまた
はオガ屑を含むため、一般のコンクリート壁材に比べて
軽量である。
【0056】調湿性成形物10は、第1層を構成する水
硬性物質と、第2層〜第5層を構成する4つの混合物と
を順に積層し、養生により硬化させることによって、容
易に製造することができる。調湿性成形物10は、有機
系接着剤や樹脂などを全く使用せずに再現性良く製造す
ることができる。
【0057】調湿性成形物10は、壁材などの建築用資
材や家具用資材として適しており、これらに用いること
によって、より快適な生活空間、環境および理想的な貯
蔵空間を容易に提供することができるものである。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る調湿性成形物によれば、保
湿を必要とする空間の調湿を雰囲気の影響を受けずに行
うことができ、雰囲気の湿分の遮断と、保湿を必要とす
る空間の調湿とを単体で行うことができるので、施工が
簡単でコストが安く、また、防湿面からその反対面にか
けて水硬性物質に対する調湿性物質の混合割合が連続的
または段階的に増加しているので、耐久性が高い。
【0059】本発明に係る調湿性成形物の製造方法によ
れば、本発明に係る調湿性成形物を容易に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の調湿性成形物の製造方法
を示す概略工程図である。
【図2】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿性
成形物の吸放湿試験条件を示すグラフである。
【図3】本発明の第1実施例の調湿性成形物の吸放湿試
験結果を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施例の調湿性成形物の吸放湿試
験結果を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿性
成形物の最大吸水量試験結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿性
成形物の最大放水量試験結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿性
成形物の寸法安定性試験の際に、調湿性成形物の(A)
平面、(B)中央断面の寸法測定を行った箇所を示す説
明図である。
【図8】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿性
成形物の膨張率を示す寸法安定性試験結果を示すグラフ
である。
【図9】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿性
成形物の収縮率を示す寸法安定性試験結果を示すグラフ
である。
【図10】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿
性成形物の(A)正面、(B)側面により3点曲げ試験
の試験方法を示す説明図である。
【図11】本発明の第1実施例および第2実施例の調湿
性成形物の3点曲げ試験結果を示すグラフである。
【図12】従来技術の説明のため、調湿性を必要とする
一般的状況を示す概略図である。
【符号の説明】
10 調湿性成形物 11 第1層 12 第2層 13 第3層 14 第4層 15 第5層 21 金型 23 油圧プレス装置 25 恒温槽 26 オートクレーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 22/08 C04B 22/08 A 28/18 28/18 E04B 2/00 B01J 20/18 Z // B01J 20/18 C04B 22:08 A (C04B 28/18 18:26 22:08 E04C 2/46 Z 18:26) (72)発明者 斎藤 雅弘 宮城県仙台市太白区金剛沢三丁目19番15 号 (72)発明者 高橋 秀明 宮城県仙台市太白区金剛沢1丁目30−11 (72)発明者 寺村 敏史 愛知県名古屋市中区錦一丁目13番26号 小野田エー・エル・シー・株式会社内 (72)発明者 川名 竜司 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 小 野田エー・エル・シー・株式会社開発研 究所内 (72)発明者 佐藤 徹雄 宮城県仙台市太白区山田北前町48番25号 (72)発明者 松本 浩 宮城県仙台市宮城野区小鶴3−1−5 (56)参考文献 特開 平3−125739(JP,A) 特開 平1−308622(JP,A) 特開 昭63−134032(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 2/00 B28B 3/02 B32B 5/00 B32B 13/00 C04B 18/26 C04B 22/08 C04B 28/18 E04B 1/64 E04C 2/46

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水硬性物質と調湿性物質とから成り、この
    水硬性物質による防湿面を有し、この防湿面からその反
    対面にかけて前記水硬性物質に対する前記調湿性物質の
    混合割合が連続的または段階的に増加した混合物から成
    ることを特徴とする調湿性成形物。
  2. 【請求項2】前記水硬性物質はケイ酸カルシウム水和物
    を主成分とし、前記調湿性物質は多孔性粉粒体または木
    屑から成ることを特徴とする請求項1記載の調湿性成形
    物。
  3. 【請求項3】前記多孔性粉粒体はゼオライトから成るこ
    とを特徴とする請求項2記載の調湿性成形物。
  4. 【請求項4】ケイ酸質原料と石灰質原料とを混合して成
    る水硬性物質と、ケイ酸質原料と石灰質原料と調湿性物
    質とを混合して成り、この調湿性物質の混合割合がそれ
    ぞれ異なる複数種の混合物とをそれぞれ製造する製造過
    程と、 前記製造過程で得た水硬性物質と前記複数の混合物と
    を、前記調湿性物質の混合割合が増加または減少する順
    に積層する積層過程と、 前記積層過程による積層体を硬化させる硬化過程とを、 有することを特徴とする調湿性成形物の製造方法。
  5. 【請求項5】前記水硬性物質および前記複数の混合物は
    水を混合して成る泥しょう体であり、前記積層過程と前
    記硬化過程との間に、前記積層体を圧縮成形する成形過
    程を有し、前記硬化過程は前記積層体を養生により硬化
    させることを特徴とする請求項4記載の調湿性成形物の
    製造方法。
  6. 【請求項6】前記水硬性物質および前記複数の混合物は
    粉粒体であり、前記積層過程と前記硬化過程との間に、
    前記積層体に水を加えて圧縮成形する成形過程を有し、
    前記硬化過程は前記積層体を養生により硬化させること
    を特徴とする請求項4記載の調湿性成形物の製造方法。
  7. 【請求項7】前記調湿性物質は、多孔性粉粒体または木
    屑から成ることを特徴とする請求項4,5または6記載
    の調湿性成形物の製造方法。
  8. 【請求項8】前記多孔性粉粒体はゼオライトから成るこ
    とを特徴とする請求項7記載の調湿性成形物。
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