JP3364999B2 - 押し出し加工性に優れたゴム組成物 - Google Patents
押し出し加工性に優れたゴム組成物Info
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Description
出し加工性に優れ、加工性と加硫物性のバランスに優れ
たゴム組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、
あるいはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンとの
三元または多元共重合ゴム(以下、単に「エチレン−α
−オレフィン系共重合ゴム」ともいう)は、耐候性、耐
熱老化性などに優れることから、自動車用材料、建築材
料、電線用材料、ポリオレフィン改質用材料として広く
用いられている。これらの用途では、加硫物性が優れて
いることはもちろん、加工性、とりわけ押し出し加工性
が優れていることが望まれる。従来、加工性、押し出し
加工性が良好なエチレン−α−オレフィン系共重合ゴム
として、種々のものが提案されている。 【0003】例えば、特公昭55−33764号公報
では、分子量分布が広く、かつエチレン結晶性の高いも
のが提案されている。一方、特公昭59−14497
号公報、同46−29012号公報では、低分子量成分
のブレンドによって分子量分布を広げ加工性を改良する
方法、あるいは同様の趣旨ではあるが、特公昭54−1
5472号公報、特開昭57−131212号公報では
リアクター2器の直列運転によって低分子量成分と高分
子量成分のブレンド物をつくり、加工性を改良しようと
試みている(ブレンド法)。また、特開昭61−26
4035号公報は、特定のアルコールで変性したバナジ
ウム化合物を用い、分子量分布が2山で、かつブロード
なポリマーを得て、加工性の改良を試みている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、の高
エチレン含量、分子量分布の広い共重合ゴムは、高弾性
であるためか、ダイスウエルが大きく、また押し出し形
状の温度依存性が大きいという欠点がある。また、の
ブレンド法は、いずれも2成分ブレンド物であるため
か、充分満足のいく加工性改良をするためには、多量の
低分子量成分をブレンドする必要があり、そのため特に
引張強度、セット性などの物性面で充分なものとなって
いない。しかも、これらのブレンド法では、ブレンド操
作、複数リアクター直列による連続重合、回分式での多
段重合といった複雑な生産方式が必要であり、コストア
ップにつながるという問題がある。さらに、では、分
子量分布が広くなるため、加工性−物性、特に圧縮永久
歪のバランスにおいて不満足である。 【0005】本発明は、上記従来技術の課題を背景にな
されたもので、特定の触媒成分を用い、加工性、とりわ
け押し出し加工性に優れ、安価で加工性と加硫物性のバ
ランスに優れたエチレン−α−オレフィン系共重合ゴム
を主成分とするゴム組成物を提供することを目的とす
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、バナジウム化
合物と下記一般式(I)で表されるフェノール化合物
(以下「フェノール化合物」ともいう)および/または
該フェノール化合物の金属塩との反応生成物ならびに有
機アルミニウム化合物からなる触媒を用いて製造された
エチレン−α−オレフィン共重合ゴムもしくはエチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴムであって、
該共重合ゴム中の下記で定義する低分子量成分Aの含量
(A値)が20〜80重量%であり、かつ該低分子量成
分Aの結合プロピレン含量が高分子量成分Bの結合プロ
ピレン含量より5重量%以上高く、しかも重量平均分子
量/数平均分子量が1.5〜5のバイモーダルな分子量
分布を有するエチレン−α−オレフィン共重合ゴムもし
くはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴ
ム単独、または該共重合ゴムと他の合成ゴムもしくは天
然ゴムとのブレンド物に、ゴム配合剤を配合したことを
特徴とする押し出し加工性に優れたゴム組成物を提供す
るものである。低分子量成分Aの含量 標準ポリスチレンを用いて較正したGPC測定法によ
り、分子量分布図を作成し、ガウス関数を用いて2つの
山に波形分離し、低分子量成分A側と高分子量成分B側
の面積から低分子量成分Aの割合を求める。 【0007】 【化2】 【0008】〔一般式(I)中、R1 は同一または異な
り、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基また
はハロゲン原子、nは1〜5の整数を示す(ただし、R
1 すべてが水素原子の場合、n≠5)〕 【0009】本発明のゴム組成物に供される共重合ゴム
を得るためには、特定の触媒成分を用いる必要がある。
従来、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを製造す
る際に、遷移金属化合物としてバナジウム化合物、例え
ば四塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、バナジ
ウムトリアセチルアセトナート、バナジルジアセチルア
セトナート、バナジルトリアルコキシド;VO(OR)
3 、ハロゲン化バナジルアルコキシド;VO(OR)X
2 もしくはVO(OR)2 X(ここで、Rは炭化水素残
基、Xはハロゲン原子を示す、以下同じ)またはオキシ
三塩化バナジウムと、アルコールもしくはフェノールと
の反応生成物などを利用する方法は公知である。 【0010】また、従来、特公43−2924号公報に
示されるように、バナジルトリアルコキシド;VO(O
R)3 、モノハロゲン化バナジルアルコキシド;VO
(OR)2 X、ジハロゲン化バナジルアルコキシド;V
O(OR)X2 もしくはオキシ三塩化バナジウムとアル
コールの反応混合物のごときアルコキシ基を含むバナジ
ウム化合物を使用して得た触媒系は、分子量分布の狭い
共重合ゴムを製造するのに適していると記載されてい
る。さらに、特開昭49−55787号公報には、可溶
性バナジウム触媒系による重合において、ヒドロキシフ
ェニル基を有するカルボン酸エステル化合物を添加し、
重合活性を高める方法が提案されている。さらに、前述
した特開昭61−264035号公報には、第2級のア
ルコールで変性したバナジウム化合物を触媒成分として
使用し、分子量分布がバイモーダルで押し出し加工性の
良好な共重合ゴムが得られることが提案されている。 【0011】このように、従来よりバナジウム化合物を
触媒成分に用いて、エチレン−α−オレフィン系共重合
ゴムを得ることは多々提案されているが、これらの公知
技術の範囲では、現在のエチレン−α−オレフィン系共
重合ゴムに求められている厳しい要求、特に加工性と加
硫物性の良好なバランス化を図ることが不満足であっ
た。 【0012】すなわち、本発明のゴム組成物に供される
共重合ゴムを得るためには、触媒系の一方の成分にバナ
ジウム化合物と上記一般式(I)で表されるフェノール
化合物および/または該フェノール化合物の金属塩との
反応生成物を用いる必要がある。 【0013】本発明において、上記一般式(I)で表さ
れるフェノール化合物および/または該フェノール化合
物の金属塩と混合・反応させるバナジウム化合物は、一
般式VO(OR2 )3-m Xm およびV(OR2 )4-l X
l で表されるバナジウム化合物で代表される(式中、R
2 は炭素数1〜12の脂肪族炭化水素残基、Xはハロゲ
ン原子、mは1〜3の整数、Lは1〜4の整数を示
す)。 【0014】バナジウム化合物の具体例は、四塩化バナ
ジウム、オキシ三塩化バナジウム、モノハロゲン化バナ
ジルアルコキシド(例えばバナジン酸ジエトキシドモノ
クロリド、バナジン酸ジプロポキシモノクロリド、バナ
ジン酸ジイソプロポキシモノクロリド、バナジン酸ジ−
n−ブトキシドモノクロリド、バナジン酸ジ−sec−
ブトキシドモノクロリド、バナジン酸ジ−t−ブトキシ
ドモノクロリドなど)、ジハロゲン化バナジルアルコキ
シド(例えばバナジン酸エトキシドジクロリド、バナジ
ン酸プロポキシジクロリド、バナジン酸イソプロポキシ
ジクロリド、バナジン酸−n−ブトキシジクロリド、バ
ナジン酸−sec−ブトキシドジクロリド、バナジン酸
−t−ブトキシドジクロリドなど)を挙げることができ
る。これらバナジウム化合物のなかでは、オキシ三塩化
バナジウムが好ましい。 【0015】これらバナジウム化合物は、一般式(I)
で表されるフェノール化合物および/またはその金属塩
と混合・反応させ使用するが、ここで用いられるフェノ
ール化合物は、上記一般式(I)で表される。フェノー
ル化合物の具体例は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェノール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェ
ノール、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−n
−ブチルフェノール、2,6−ジ−sec−ブチルフェ
ノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、2−
t−ブチル−6−メチルフェノール、2−t−ブチル−
6−エチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノ
ール、2,4,6−トリエチルフェノール、2,4,6
−トリ−n−ブチルフェノールなどが挙げられる。これ
らのフェノール化合物のうち、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチル
フェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−t−ブ
チルフェノールが好ましい。また、フェノール化合物の
金属塩としては、上記フェノール化合物と、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属との塩が挙げられる。 【0016】これらバナジウム化合物またはフェノール
化合物もしくはその金属塩は、いずれも単独であるいは
2種以上の混合物として使用することができる。 【0017】上記バナジウム化合物とフェノール化合物
および/またはその金属塩との反応生成物は、アルゴ
ン、窒素などの不活性ガスをバブリングして揮発物を系
外に追い出しそのまま使用することができる。また、得
られた反応生成物からフェノキシ基を含むバナジウム化
合物を蒸留などの手段により単離精製後使用することも
できる。さらに、バナジウム化合物に対するフェノール
化合物および/またはその金属塩の使用量は、バナジウ
ム化合物1モルに対し0.1〜5モル、好ましくは0.
3〜3モルである。さらに、フェノール化合物および/
またはその金属塩は、必要最小限使用すれば、他のフェ
ノール化合物またはアルコールと混合して使用すること
も可能である。 【0018】次に、本発明に供される共重合ゴムを得る
ための触媒系の他方の成分として使用される有機アルミ
ニウム化合物は、一般式Al(R′)p (X′)3-p で
示される(ここで、R′は炭素数1〜12の脂肪族炭化
水素残基、X′はハロゲン原子またはアルコキシ基、p
は1〜3の整数である)。 【0019】これらの有機アルミニウム化合物として
は、例えばトリアルキルアルミニウム(具体的にはトリ
エチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リ−2−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウ
ム、トリオクチルアルミニウム、ジアルキルアルミニウ
ムモノハライド(具体的にはジエチルアルミニウムモノ
クロリド、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジイソ
ブチルアルミニウムモノクロリド)、ジアルキルアルミ
ニウムモノアルコキシド(具体的にはジイソブチルアル
ミニウムモノエトキシド、ジエチルアルミニウムモノブ
トキシド)、アルキルアルミニウムセスキハライド(具
体的にはエチルアルミニウムセスキクロリド、2−ブチ
ルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセ
スキブロミド)、アルキルアルミニウムジハライド(具
体的にはエチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミ
ニウムジブロミド)などが挙げられる。これら有機アル
ミニウム化合物は、1種類で、あるいは2種以上の混合
物として用いることができる。 【0020】本発明の共重合ゴムを得るためには、上記
のようなバナジウム化合物とフェノール化合物および/
またはその金属塩との反応生成物、ならびに有機アルミ
ニウム化合物を必須成分とする触媒系を用いる必要があ
るが、さらに必要に応じて触媒の第3成分として他の有
機化合物を含有することもできる。 【0021】これら化合物としては、例えば不飽和ジカ
ルボン酸無水物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ラク
トン化合物、不飽和環式化合物、アミン類、酸アミド
類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類あるいは各種
キレート剤、さらにハロゲン、硫黄、金属ハライド、酸
素、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、有機硝酸塩、亜硝
酸塩、N−オキシド化合物、P−オキシド化合物、アゾ
化合物、有機サルファイド、ダイサルファイド、キノン
類、酸ハライド、ハロゲン化炭化水素などが挙げられ
る。 【0022】これらの化合物は、重合活性の向上、三次
元架橋ゲル防止、分子量分布の調整、エチレン連鎖長の
調整などの目的に対して添加されるが、本発明の目的で
ある押し出し加工性改良のためには、とりわけ不飽和ジ
カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、不飽和
ラクトン化合物、不飽和環式化合物、ハロゲン化炭化水
素などが好ましい。 【0023】具体的には、無水マレイン酸、α−および
β−ハロゲン化無水マレイン酸、ジハロゲン化無水マレ
イン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、テトラクロ
ロ無水フタル酸など、ケイ皮酸ハライド(例えばクロラ
イドおよびブロマイド)、α−およびβ−クロルケイ皮
酸ハライド(例えばクロライドおよびブロマイド)、
α,β−ジクロルケイ皮酸クロライド、アクリル酸ハラ
イド(例えばクロライドおよびブロマイド)、ケイ皮酸
アルキルエステル、アクリル酸およびメタクリル酸のア
ルキルエステル、クロトン酸ハライド(例えばクロライ
ドおよびブロマイド)、フマル酸ジハライド(例えばジ
クロライドおよびジブロマイド)、α−およびβ−クロ
ルフマル酸ジハライド(例えばジクロライドおよびジブ
ロマイド)、α,β−ジクロルフマル酸ジハライド(例
えばジクロライドおよびジブロマイド)、マレイン酸ジ
ハライド(例えばジクロライドおよびジブロマイド)、
ジクロルマレイン酸ジハライド(例えばジクロライドお
よびジブロマイド)、マレイン酸アルキルエステル(例
えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイ
ン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘ
キシル、マレイン酸ジオクチル)、パークロルクロトン
酸アルキルエステル(例えばパークロルクロトン酸ブチ
ル)、2,3,4,4−テトラクロル−2−ブテノイッ
ク酸アルキルエステル(例えば2,3,4,4−テトラ
クロル−2−ブテノイック酸ブチル)、トリクロル酢酸
エステル(例えばトリクロル酢酸メチル、トリクロル酢
酸エチルなど)、ヘキサクロルブタジエンなどを挙げる
ことができる。これらの化合物は、1種または2種以上
を併せて用いることができる。これらの化合物は、バナ
ジウム化合物1モルに対し0.1〜5モル、好ましくは
0.2〜2モルの割合で使用される。 【0024】本発明に使用されるエチレン−α−オレフ
ィン系共重合ゴムは、バッチ重合ないし連続重合により
製造される。また、共重合は、共重合ゴムの良溶媒中で
行う溶液重合方式、または貧溶媒を利用するスラリー重
合方式などを利用することができる。溶媒としては、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタ
ン、ケロシン、メチレンジクロリド、トリクロルエチレ
ン、テトラクロルエタン、パークロルエチレンなどが利
用される。また、後述のα−オレフィンを溶媒としたス
ラリー重合方式も可能である。共重合の温度は、−20
℃〜120℃、好ましくは20℃〜80℃である。共重
合の圧力は、一般に0〜50kg/cm2 ・G、好まし
くは2〜30kg/cm2 ・Gに保持される。 【0025】本発明のバナジウム化合物の使用量は、反
応媒体中0.01〜50ミリモル/l、好ましくは0.
1〜5ミリモル/lである。有機アルミニウム化合物の
使用量は、バナジウム化合物1モルあたり1〜300モ
ル、好ましくは2〜150モルである。共重合反応槽に
おける平均滞留時間は、5〜300分程度、好ましくは
10〜200分程度である。共重合ゴムの分子量および
エチレン含量については、主として分子量調節のために
使用される水素濃度あるいはジアルキル亜鉛量および反
応されるべきモノマー混合物中のエチレンとα−オレフ
ィンとの比率を変化させることによって調節することが
できる。 【0026】次に、本発明における共重合ゴムは、バイ
モーダルな分子量分布を有し、その低分子量成分Aは、
本発明の目的である押し出し加工性に対し重要な因子で
あり、後述する低分子量成分Aの含量(以下「A値」と
いうことがある)が20〜80重量%、好ましくは25
〜70重量%の範囲である。A値が、20重量%より小
さい場合、またはA値が80重量%より大きいいずれの
場合も、バイモーダルではなく、良好な押し出し加工性
を得ることができない。 【0027】また、本発明における共重合ゴムは、低分
子量成分Aの結合プロピレン含量が高分子量成分Bの結
合プロピレン含量より5重量%以上、好ましくは10重
量%以上多くする必要があり、5重量%未満では、押し
出し加工性、特に押し出し加工肌が劣り好ましくない。
その上限は、特に制限されないが、この値が30重量%
以上になると、樹脂ライクとなり加硫物性が劣ってく
る。 【0028】さらに、本発明の共重合ゴムのo−ジクロ
ルベンゼン中、120℃で測定したゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフ(GPC)から求めた重量平均分子量
/数平均分子量(Mw/Mn)は、1.5〜5、好まし
くは2〜4であることが必要である。Mw/Mnが1.
5未満の場合は、主として押し出し加工性が不充分とな
り、一方Mw/Mnが5より大きい場合は、押し出し加
工性、特に押し出し速度および物性、特に圧縮永久歪が
不充分となる。A値、結合プロピレン含量の分布および
Mw/Mnは、有機アルミニウム化合物/バナジウム化
合物のモル比、フェノール化合物(もしくはその金属
塩)/バナジウム化合物のモル比あるいはバナジウム化
合物量などにより任意に調節することが可能である。例
えば、有機アルミニウム化合物/バナジウム化合物のモ
ル比を小さくすることにより、Mw/Mnが大きくな
る。また、フェノール化合物(もしくはその金属塩)/
バナジウム化合物のモル比を小さくすることにより、A
値が小さくなる。 【0029】なお、 共重合用モノマーとして用いるα
−オレフィンは、炭素数3〜12のα−オレフィンであ
り、具体例としてはプロピレン、ブテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などであ
り、好ましくはプロピレン、ブテン−1などである。こ
れらのα−オレフィンは、1種でも2種以上を併せても
用いることができる。共重合ゴム中のα−オレフィン含
量は、用途により任意の値を選択することができるが、
好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜
55重量%である。α−オレフィン含量が、10重量%
を下回ると混練り時のエネルギーロスが大となり、一方
60重量%を超えると最終製品の物性が充分なものでな
くなる。 【0030】また、本発明に供される共重合ゴムとして
は、主として硫黄加硫を目的とするためには、非共役ジ
エンを共重合することもできる。本発明に使用される非
共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、トリシク
ロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエ
ン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−
2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボ
ルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−
(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−ビニル−2
−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘ
キセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチ
ル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2′
−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシ
クロブタン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,
4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オ
クタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエ
ン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5
−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オク
タトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエンなどを挙
げることができる。これらの非共役ジエンの中で、特に
ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボル
ネン、1,7−オクタジエンが好ましい。 【0031】非共役ジエンを共重合させた3元ないし多
元共重合ゴムの場合の非共役ジエン含量は、沃素価で対
応させることができるが、通常、5〜50、好ましくは
5〜40である。沃素価が5未満のものは、充分な加硫
効果が認められず、一方沃素価が50を超えるものでは
重合時のゲルの発生により押し出し加工性を悪化させ
る。 【0032】本発明の共重合ゴムの分子量は、ムーニー
粘度で対応させることができるが、一般にはML1+4 ,
100℃のムーニー粘度で10〜400、好ましくは1
5〜300であり、10未満ではロール加工性が困難で
あり、また最終製品の物性が充分なものでなくなり、4
00を超えると押し出し加工性が悪化する。なお、分子
量の高い場合は、油展ゴムとして仕上げることもでき
る。 【0033】本発明に使用される共重合ゴムは、単独で
あるいは他の合成ゴム、天然ゴムと混合し、加硫するこ
とによって従来加硫ゴムが使用されていた分野で使用す
ることができる。他の合成ゴムとしては、ブチルゴム、
ポリブタジエンゴム、ハイビニルポリブタジエンゴム、
スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレンゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、シリコ
ンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびムーニー粘
度、共重合組成もしくは分子量などの異なった他のエチ
レン−α−オレフィン系共重合ゴムなどが挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、天然ゴム、ブチルゴム
である。 【0034】また、本発明に使用される共重合ゴムは、
熱可塑性樹脂などの合成樹脂と混合して使用することが
できる。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン(ホモポリマーまたはエチレン、ブテン
−1などのコポリマーを含む)などが挙げられる。 【0035】上記ゴムまたは樹脂への本発明の共重合ゴ
ムの添加量は、20重量%以上、好ましくは30重量%
以上である。本発明のゴム組成物において、上記共重合
ゴムの含有量が20重量%未満では、押し出し加工性に
劣るものとなる。 【0036】本発明は、上記のように、バナジウム化合
物、その他の特定化合物からなる触媒を使用して得た、
特定の分子量分布を持つエチレン−α−オレフィン共重
合ゴムもしくはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエ
ン共重合ゴム(以下「共重合ゴムE」と略記する)を主
成分とするゴム組成物である。本発明は、上記のよう
に、共重合ゴム(E)に、ゴム配合剤を配合したゴム組
成物、または共重合ゴム(E)と他の合成ゴムもしくは
天然ゴムの混合物にゴム配合剤を配合したゴム組成物で
ある。ゴム配合剤としては、通常のエチレン−プロピレ
ン−(非共役ジエン)ゴムを加硫するときに用いられる
ゴム配合剤を使用する。ゴム配合剤は、加硫剤、加硫助
剤、ペルオキシド加硫に使用するペルオキシド、加硫助
剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、そのほか必要に応じ、活
性剤、分散剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、発泡剤、
発泡助剤、滑剤、老化防止剤などが挙げられる。ゴム配
合剤の配合量は、通常の加硫ゴム配合で行われる値であ
り、ゴムの種類、目的とするゴム組成物の用途、目標と
する物性に応じて適宜、定めることができる。 【0037】加硫剤としては、過酸化物、硫黄、一塩化
硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキル
フェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスル
フィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどの硫黄
化合物、酸化マグネシウム、亜鉛華、鉛丹などの金属化
合物を挙げることができる。硫黄は、通常、ゴム成分1
00重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは
0.5〜5重量部の割合で使用される。 【0038】ペルオキシド加硫に使用されるペルオキシ
ドとして、ジクミルペルオキシド、1,1′−ジ(t−
ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベ
ンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)ヘキシンなどが例示される。
その際の加硫助剤として、硫黄、ジペンタメチレンチウ
ラムテトラスルフィドのような硫黄化合物、エチレンジ
メタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレー
ト、メタフェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマ
レイミドのような多官能性モノマー、p−キノンジオキ
シム、p,p′−ジベンゾイルキノンオキシムなどのオ
キシム化合物などを単独でもしくは混合して用いること
ができる。 【0039】なお、必要に応じて加硫促進剤を使用でき
る。加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベ
ンゾチアゾール−スルフェンアミド、N−オキシジエチ
レン−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、N,
N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾール−スルフェ
ンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−
(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾ
ール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)
ベンゾチアゾール、ベンゾチアジル−ジスルフィドなど
のチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニル
グアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、o−トリルバ
イグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレートなどの
グアニジン系;アセトアルデヒド−アニリン反応物;ブ
チルアルデヒド−アニリン縮合物;ヘキサメチレンテト
ラミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒド
アミンまたはアルデヒド−アンモニア系;2−メルカプ
トイミダゾリンなどのイミダゾリン系;チオカルバニリ
ド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、ジ−o
−トリルチオユリアなどのチオユリア系;テトラメチル
チウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスル
フィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブ
チルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム
テトラスルフィドなどのチウラム系;ジメチルジチオカ
ルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−
n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルカ
ルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜
鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル
ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバ
ミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなど
のジチオ酸塩系;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザ
ンテート系などを挙げることができる。これら加硫促進
剤は、ゴム成分100重量部に対して、通常、0.1〜
20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で使
用される。 【0040】充填剤としては、カーボンブラック、ホワ
イトカーボン(ケイ酸化合物)、炭酸カルシウム、タル
ク、クレーなどの無機充填剤;ハイスチレン樹脂、クマ
ロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メ
ラミン樹脂、石油樹脂などの有機充填剤を挙げることが
できる。このうち、特に無機充填剤が好ましく使用され
る。充填剤は、ゴム成分100重量部に対し、通常、0
〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の割合
で使用される。 【0041】軟化剤としては、プロセス油、潤滑油、パ
ラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリ
ンなど石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッ
チなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、
ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サ
ブ油;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ
類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ラノリン酸亜鉛などの脂
肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂などの合成高分子物質を
挙げることができる。軟化剤は、ゴム成分100重量部
に対し、通常、0〜100重量部、好ましくは5〜10
0重量部の割合で使用される。 【0042】可塑剤としては、フタル酸エステル系、ア
ジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、リン酸系
など、粘着付与剤としては、クマロンインデン樹脂、テ
ルペン・フェノール樹脂、キシレン・ホルマリン樹脂な
ど、着色剤としては、無機および有機顔料など、発泡剤
としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、N,
N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾカル
ボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンス
ルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、
カルシウムアミド、パラトルエンスルホニルアジドな
ど、発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、尿素な
どを使用することができる。可塑剤は、ゴム成分100
重量部に対し、通常、0〜50重量部、好ましくは1〜
20重量部の割合で使用される。 【0043】本発明の配合物は、オープンロールミル、
バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて、ゴムと充
填剤、軟化剤、加硫剤、加硫助剤などを混練りし、その
後、押し出し機で成形加工され、さらにその後、加硫す
ることができる。 【0044】 【作用】本発明では、バナジウム化合物と上記一般式
(I)で表されるフェノール化合物および/または該フ
ェノール化合物の金属塩との反応生成物ならびに有機ア
ルミニウム化合物からなる特定の触媒系を用いると、バ
イモーダルな分子量分布を有し、かつ結合プロピレン含
量が特定の組成分布を有し、さらにMw/Mnが比較的
狭いエチレン−α−オレフィン共重合ゴムもしくはエチ
レン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴムが得ら
れる。そして、この共重合ゴムを用いた組成物は、押し
出し加工性、例えば押し出し肌、押し出し速度などに優
れ、また従来の技術では2律背反していた加工性と加硫
物性を両立させることができる。 【0045】 【実施例】次に、実施例を挙げ本発明を具体的に説明す
るが、本発明は特許請求の範囲を越えない限り、実施例
に限定されるものではない。なお、実施例中の%および
部は、特に特に断らない限り原則的に重量基準である。
また、実施例中、各種分析方法および物理特性の測定方
法は、下記の方法に従った。 【0046】Mw/Mn 竹内著「ゲルパーミエーションクロマトグラフ」〔丸善
(株)刊〕に準じて次のようにして測定した。 分子量既知の標準ポリスチレン〔東ソー(株)製、単
分散ポリスチレン〕を使用して、分子量MとそのGPC
(Gel Permeation Chromatograph) カウントを測定し、
分子量MとEV(Elution Volume) の相関図較正曲線を
作図する。このときの濃度は、0.02%とする。標準
ポリスチレンによる較正曲線をユニバーサル法によりE
PDMの較正曲線に補正する。 【0047】GPC測定法により、試料のGPCパタ
ーンをとり、上記によりMを知る。その際のサンプル
調整条件およびGPC測定条件は、以下のとおりであ
る。サンプル調整 (a)1,2,4−トリクロルベンゼン溶媒に老化防止
剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを
0.08%を添加し、溶解する。 (b)試料を0.2%になるように、1,2,4−トリ
クロルベンゼン溶媒とともに三角フラスコに分取する。 (c)三角フラスコを120℃に加温し、約60分間撹
拌し、溶解させる。 (d)その溶液をGPCにかける。なお、GPC装置内
で自動的に0.5μmの焼結フィルターでろ過させる。 【0048】GPC測定条件 (a)装置;Waters社製、150C型 (b)カラム;昭和電工(株)製カラム (c)サンプル量;500μl (d)温度;135℃ (e)流速;1ml/分 (f)カラム総理論段数;1×104 〜2×104 (アセトンによる測定値) 【0049】低分子量成分Aの含量(A値) 上記分子量分布測定データより、横軸に分子量、縦軸に
ポリマー濃度をとり、分子量分布図を作製する。なお、
このとき分子量分布の面積が常に一定になるよう規格化
する。規格化された分子量分布図をガウス関数を用いて
二つの山に波形分離し、低分子量成分A側の面積を
W1 、高分子量成分B側の面積をW2 とし、次式に基づ
いてA値を求めた。 A=〔W1 /(W1 +W2 〕×100(%) 【0050】低分子量成分、高分子量成分の結合プロピ
レン含量 上記したGPC測定装置にニコレイ社製、Magna−
IR750を接続して、GPC−IRを測定した。GP
C−IRにおける2,960cm-1および2,928c
m-1の吸収の強度比から検量線を作成し、GPCカウン
トに対応する結合プロピレン含量を決定した。すなわ
ち、分子量分布図の二山の谷に垂線を引き、低分子量側
と高分子量側に分け、それぞれのGPC−IRから求め
た結合プロピレン含量の平均値を、低分子量成分の結合
プロピレン含量(低分子量C3 )および高分子量成分の
結合プロピレン含量(高分子量C3 )とした。 【0051】ムーニー粘度(ML1+4 、100℃) 予熱1分、測定4分、温度100℃で測定。結合プロピレン含量(%) 赤外線吸収スペクトルで測定。沃素価 滴定法により測定。 【0052】配合ゴムのロール加工性 BR型バンバリーミキサーにて混練り後の配合物を、5
0℃、ニップ幅2mmに保持した10インチロールに巻
き付け、タイトに巻き付くまでに要する時間の長短およ
びその巻き着き状態がタイトに巻き付いているか否かに
より評価した。結果は、優、良、可、劣、不可で示す。 【0053】押出試験(押出量、形状およびダイスウエル) ASTM D2230に準拠し、チューブタイプ(径5
0mm、スクリュー温度70℃、ヘッド100℃、30
rpm、ガーベイダイ)で測定。なお、押出量(g/m
in)は、押出量が多いほど、押し出し性がよい。ま
た、形状の点数の基準は、次のとおりである。 断面(ゴムの膨張);膨張が小さいものを小、膨張が
大きいものを大とし、膨張が小さい方がよい。 エッジ(縁の状態);ノコギリのようなギザギザの状
態のものを×と評価する。 コーナー(縁の状態);エッジの評価と同じ。 肌(表面の状態);滑らかなものを○、ブツブツの状
態のものを×と評価する。 以上〜の4項目につき、各1〜4点、計16点満点
で配合ゴムの加工性を評価する。さらに、ダイスウエル
は、機械より押し出したときのゴム膨張率であり、小さ
い方がよい。引張強さ、引張応力、伸び、硬度、圧縮永久歪 JIS K6301に基づき測定。 【0054】実施例1 容量20リットルのオートクレーブ反応器中に、n−ヘ
キサン供給量8リットル/時間、滞留時間45分、気相
部エチレン/プロピレンモル比(C2 /C3 )=0.5
8、気相部水素濃度=7モル%、5−エチリデン−2−
ノルボルネン(ENB)供給量53g/時間供給し、バ
ナジウム触媒成分はあらかじめ反応器外でオキシ三塩化
バナジウム(VOCl3 )に2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノールをモル比で1.5倍添加し、窒素
ガスで脱塩酸して調製したものをバナジウム化合物濃度
として0.58ミリモル/lヘキサン添加した。 【0055】有機アルミニウム化合物として、エチルア
ルミニウムセスキクロリドを4.1ミリモル/lヘキサ
ン添加し、重合温度35℃、重合圧力6kg/cm2 ・
Gの条件で連続重合反応を行った。反応器から抜き出さ
れた重合液に反応停止剤として少量の水を加え、溶媒を
水蒸気蒸留にて系外へ追い出し、60℃で乾燥した。重
合条件、得られたゴムの生ゴム特性を表1、表2に示
す。 【0056】この生ゴムを用いて下記配合処方のブレン
ドを行った。配合処方 (部) ポリマー 100 HAFカーボン 67.5 ステアリン酸 1 亜鉛華 5 ナフテン系オイル 35 【0057】上記成分をBR型バンバリーミキサーを用
い、70℃の温度で4.5分間、76rpmで混練り
後、テトラメチルチウラムモノスルフィド1.5部、メ
ルカプトベンゾチアゾール0.5部および硫黄1.5部
を50℃に保持した10インチロールで5分間混合し
た。このとき、ニップ幅は2mm、ロール回転は前後の
ロールがそれぞれ22/28rpmであった。加硫条件
は160℃、30分とし、得られた加硫物の物性を表2
に示す。 【0058】実施例2〜10、比較例1〜6 表1に示した重合条件の下で、実施例1と同様の方法で
ゴムを得た。得られた生ゴムの特性、加工性、加硫物性
を、表2に示す。表1〜2から明らかなように、実施例
1〜10のゴム組成物は、配合ゴムの押し出し加工性、
形状、ダイスウエルに優れ、圧縮永久歪などの加硫ゴム
物性にも優れている。これに対し、比較例1〜2は、フ
ェノール化合物を用いていないため、いずれも押し出し
性が悪く、ダイスウエルも大きい。比較例3〜4は、分
子量分布が二山でかつ結合プロピレン含量の組成分布を
持つため、配合ゴムの加工性は良好ではあるが、分子量
分布が広いために、圧縮永久歪が大きい。比較例5は、
フェノール化合物の使用量が少ないため、A値が小さ
く、押し出し性が悪く、形状も劣っている。比較例6
は、フェノール化合物を大量に用いているため、A値が
高くなり、押し出し性、形状、ダイスウエルが劣ってい
る。 【0059】 【表1】【0060】 【表2】【0061】 【発明の効果】本発明のゴム組成物は、特定の触媒成分
を用いて得られ、バイモーダルでかつ結合プロピレン含
量の組成分布を有し、しかもさらにMw/Mnが比較的
狭いエチレン−α−オレフィン共重合ゴムもしくはエチ
レン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴムを主成
分としているので、加工性、とりわけ押し出し加工性に
優れ、安価で加工性と加硫物性のバランスに優れてい
る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 バナジウム化合物と下記一般式(I)で
表されるフェノール化合物および/または該フェノール
化合物の金属塩との反応生成物ならびに有機アルミニウ
ム化合物からなる触媒を用いて製造されたエチレン−α
−オレフィン共重合ゴムもしくはエチレン−α−オレフ
ィン−非共役ジエン共重合ゴムであって、該共重合ゴム
中の下記に定義する低分子量成分Aの含量(A値)が2
0〜80重量%であり、かつ該低分子量成分Aの結合プ
ロピレン含量が高分子量成分Bの結合プロピレン含量よ
り5重量%以上高く、しかも重量平均分子量/数平均分
子量が1.5〜5のバイモーダルな分子量分布を有する
エチレン−α−オレフィン共重合ゴムもしくはエチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム単独、また
は該共重合ゴムと他の合成ゴムもしくは天然ゴムとのブ
レンド物に、ゴム配合剤を配合したことを特徴とする押
し出し加工性に優れたゴム組成物。低分子量成分Aの含量 標準ポリスチレンを用いて較正したGPC測定法によ
り、分子量分布図を作成し、ガウス関数を用いて2つの
山に波形分離し、低分子量成分A側と高分子量成分B側
の面積から低分子量成分Aの割合を求める。 【化1】 〔一般式(I)中、R1 は同一または異なり、水素原
子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基またはハロゲン
原子、nは1〜5の整数を示す(ただし、R1すべてが
水素原子の場合、n≠5)〕
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JP22230293A JP3364999B2 (ja) | 1993-08-16 | 1993-08-16 | 押し出し加工性に優れたゴム組成物 |
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ID=16780236
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