JP3361423B2 - 温水床暖房パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】この発明は、温水床暖房パネ
ルに関するものである。さらに詳しくは、この発明は、
蓄熱部の容易かつ低コストでの製造を可能にした蓄熱パ
イプを備えた蓄熱式の温水床暖房パネルに関するもので
ある。 【０００２】 【従来の技術】電気の契約には、従量電灯および時間帯
別電灯とともに、従量電灯と深夜電力とを加えた方式が
あり、これら各々について電気料金が定められている
が、いわゆる深夜（２３時から７時、または１時から６
時）電力の料金が格安なことから、この深夜電力を有効
利用することに関心が高まっている。 【０００３】深夜電力によって得た熱を蓄熱し、この熱
を昼間の床暖房に利用しようとする試みはその具体的な
現れである。従来、深夜電力の床暖房への利用に関し、
たとえば図１１およびに図１２に示したように、床表層
材（ア）と、床断熱材（イ）上に配設された捨て貼板
（ウ）との間で、かつ根太（エ）間に配置されたパネル
状の蓄熱ボード（カ）に、深夜電力によりヒーター
（キ）を用いて加熱し、蓄熱させた熱を、昼間（およそ
７時から２３時）に蓄熱ボード（カ）から自然放熱さ
せ、床表層材（ア）を加温するような蓄熱式床暖房設備
が提供されている。 【０００４】また、以上とは別に、深夜電力によって水
を加熱し、一旦蓄熱タンクに溜めた温水を、昼間、放熱
部であるフローリングに送り、床暖房に利用することも
検討されている。ところが、深夜電力を床暖房に利用し
ようとする従来の試みは、たとえば図１１および図１２
に示した床暖房設備では自然放熱としているため、床温
度の制御が難しく、朝は温かいものの、夜になると熱エ
ネルギーが枯渇してしまい暖房効果が低下するという欠
点がある。したがって、ランニングコストが高く、ヒー
ター（キ）による加熱ではあっても放熱制御が難しいと
いう問題が避けられず、いわゆる追焚機能が必要であ
り、床暖房性能の向上が望み得ない。 【０００５】一方、温水による蓄熱は、その熱効率が大
きくないため、どうしても大きな蓄熱タンクが必要とな
り、設備規模の点で制約がある。そこで、この発明の発
明者等は、図１３に模式的に示した蓄熱式温水床暖房設
備の実用化を検討してきた。すなわち、この温水床暖房
設備においては、蓄熱材（サ）を内蔵した蓄熱部
（シ）、放熱パイプ（ス）および均熱板（セ）により床
暖房パネル（ソ）を構成し、また、たとえば、膨張タン
ク（タ）、ポンプ（チ）、蓄熱ヒーター（ツ）、追焚ヒ
ーター（テ）等により加熱ユニット部（ト）を構成して
いる。そして、加熱ユニット部（ト）で加熱した温水
を、床暖房パネル（ソ）の蓄熱部（シ）から放熱パイプ
（ス）へ通水した後、加熱ユニット部（ト）へと還流さ
せるようにしている。この温水床暖房設備においては、
夜間は、蓄熱ヒーター（ツ）で加熱した温水を床暖房パ
ネル（ソ）の蓄熱部（シ）に供給し、その熱エネルギー
を蓄熱部（シ）に内蔵された蓄熱材（サ）に吸収させ、
蓄熱させる。昼間は、加熱ユニット部（ト）を停止し、
夜間に蓄熱した熱を蓄熱材（サ）から自然放熱させて均
熱板（セ）を加温する。蓄熱材（サ）の熱エネルギーが
枯渇して床暖房性能が低下した場合には、追焚ヒーター
（テ）を作動させ、温水を蓄熱部（シ）に供給し、蓄熱
材（サ）に蓄熱するとともに、残余の熱エネルギーは放
熱パイプ（ス）から放熱させ、これによって、床暖房性
能を回復させる。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】この発明の発明者等が
開発を進めている以上の蓄熱式温水床暖房設備は優れた
性能を有するが、その後の検討により改良すべき点が見
出された。すなわち、床暖房パネル（ソ）の蓄熱部
（シ）では、たとえば図１４の一部切欠斜視図に示した
ように、板体（ナ）内に複数の蓄熱材（サ）を並列に配
置し、各蓄熱材（サ）を継手配管（ニ）により直列に連
結して温水を順次に通水させるようにしている。このた
め、板体（ナ）は、各蓄熱材（サ）を挿入するための複
数の角状空洞を備えたハニカム構造に押出成形される必
要がある。 【０００７】しかしながら、このような板体（ナ）は、
内部に温水を通水させるため、高い耐熱性を有する高分
子樹脂を用いて製造する必要があるが、そのような樹脂
を所望の形状に均一な寸法で押出成形することは極めて
困難である。また、成形のための金型は高価であり、製
造設備の大型化とともに、製造コストの増大が避けられ
ない。 【０００８】さらに、蓄熱材（サ）を挿入するための空
洞が角状であるため、内圧に対する耐久性を確保するた
めには肉厚とする必要があり、多量の原料を必要とする
という問題もある。この発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、この発明の発明者等が先に提
案している蓄熱式床暖房設備の実用化に有効な、蓄熱部
の容易かつ低コストでの製造を可能にした蓄熱パイプを
備えた蓄熱式の温水床暖房パネルを提供することを目的
としている。 【０００９】 【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、裏面合板がその左右両側端部に
位置する枠材の裏面に貼り付けられ、この裏面合板の上
に、保温材、放熱パイプ、均熱板が順次積層された構造
を有する放熱パネル部と、直線状の筒体の内部に蓄熱材
が温水の通水を可能にして充填され、筒体両端に配管接
続口を備えた蓋体を有する蓄熱パイプが複数本並列配置
され、これら蓄熱パイプが上下の固定枠により挟持され
た構造を有する蓄熱ユニット部とが、蓄熱ユニット部の
下固定枠がその両端において放熱パネル部の枠材に固定
されて一体化され、蓄熱ユニット部の各蓄熱パイプは、
その蓋体の配管接続口に接続される継手配管により直列
に連結され、出口側の蓄熱パイプが、継手配管により放
熱パネル部の放熱パイプに連結されていることを特徴と
する温水床暖房パネルを提供する。 【００１０】 【発明の実施の形態】以下、添付した図面に沿ってこの
発明の温水床暖房パネルについてさらに詳しく説明す
る。 【００１１】図１は、この発明の温水床暖房パネルに備
えることのできる蓄熱パイプの一形態を示した一部切欠
斜視図である。たとえばこの図１に示した蓄熱パイプ
（１）では、中空円筒形の筒体（２）の内部に、温水の
通水を可能にして蓄熱材（３）が充填されている。筒体
（２）の両端には蓋体（４）が接着固定されており、蓋
体（４）にはその略中央部に配管接続口（５）が設けら
れている。 【００１２】筒体（２）は、たとえば耐熱性の樹脂や塩
化ビニル製のパイプを利用することができる。蓋体
（４）は、筒体（２）と同様な素材を用い、所望の形状
に作製することができる。蓄熱材（３）は、その種類に
特段の制限はないが、筒体（２）内を流れる温水に接触
することから、液体状となって温水中に混入することな
く、効果的に蓄熱と放熱とを可能とする素材を用いるの
が好ましい。たとえばそのような素材として、この出願
人が既に提案しているパラフィン、パラフィンワックス
等の結晶性炭化水素、結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸エス
テル等の、より好ましくは融点が９０℃以下で、潜熱量
が２０Ｋｃａｌ／ｋｇ以上の潜熱蓄熱材とポリオレフィ
ン系樹脂、さらに必要に応じてこれに無機フィラーが添
加されたもの等が例示される。ポリオレフィン系樹脂に
は、エチレン−αオレフィン共重合体、超高分子量ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン等がある。また、蓄熱材
（３）は、その形状にも特段の制限はなく、筒体（２）
の内部形状等に合わせて円柱、角柱等の適宜な形状とす
ることができる。 【００１３】図２（ａ）（ｂ）（ｃ）は、各々、以上の
蓄熱パイプ（１）の製造方法の一例した工程図である。
まず、図２（ａ）に示したように、多孔質の整流板
（６）を内側の突起部（７）に融着して蓋体（４）を組
み立てる。次いで、蓄熱材（３）を筒体（２）に挿入し
（図２（ｂ））、最後に筒体（２）の両側に蓋体（４）
を接着する（図２（ｃ））。蓋体（４）の配管接続口
（５）は、使用前までは止めナット（８）で封止してお
くことができる。以上から明らかなように、蓄熱パイプ
（１）は、この発明の発明者等が先に提案している蓄熱
式床暖房設備における蓄熱部の製造を容易かつ低コスト
とすることができることが理解されよう。なお、筒体
（２）と蓋体（４）との接着固定は、たとえば融着機を
用いて行うことができる。この場合、たとえば図３に示
したように、筒体（２）の端部が蓋体（４）の内側に挿
入され、図中Ｘ部において融着されるが、この図３に示
したように、配管接続口（５）を蓋体（４）の中央部に
おいて外方に突出させることによって、融着機の圧力
（図中矢印方向）を均一化することができ、融着ムラを
低減させることができる。配管接続口（５）が蓋体
（４）の中央部にない場合、筒体（２）の両端に配設す
る蓋体（４）においてそれぞれの配管接続口（５）の位
置を一致させる必要があるが、図３に示した蓋体（４）
にはその必要なく、手間がかからない。 【００１４】図４、図５は、各々、この発明の温水床暖
房パネルの一実施形態を示した分解斜視図、分解正面図
であり、図６（ａ）（ｂ）（ｃ）は、各々、その表面
図、側面図、裏面図である。たとえばこれらの図４、図
５および図６（ａ）（ｂ）（ｃ）に示したように、この
発明の温水床暖房パネルは、放熱パネル部（１０）とこ
の下方に一体化される蓄熱ユニット部（２０）とから構
成される。放熱パネル部（１０）は、裏面合板（１５）
がその左右両端部に位置する枠材（１４）の裏面に貼り
付けられ、この裏面合板（１５）の上に、ロックウール
等の保温材（１３）、放熱パイプ（１２）、均熱板（１
１）が順次積層された構造を有している。蓄熱ユニット
部（２０）は、前述した蓄熱パイプ（１）が複数本並列
配置され、これら蓄熱パイプ（１）が上下の固定枠（２
１）（２２）により挟持された構造を有している。そし
て、この発明の温水床暖房パネルでは、蓄熱ユニット部
（２０）の下固定枠（２２）がその両端において放熱パ
ネル部（１０）の枠材（１４）にビス（２３）等を用い
て固定されて一体化されている。 【００１５】また、図４および図６（ａ）（ｂ）（ｃ）
に示したように、この発明の温水床暖房パネルでは、蓄
熱ユニット部（２０）に並列配置された各蓄熱パイプ
（１）は、図２および図３に示した蓋体（４）の配管接
続口（５）に接続される継手配管（３１）により温水を
通水することができるように直列に連結されており、ま
た、出口側の蓄熱パイプ（１）から流出する温水を放熱
パネル部（１０）の放熱パイプ（１２）に送ることがで
きるように、出口側の蓄熱パイプ（１）が継手配管（３
２）により放熱パイプ（１２）に連結されている。温水
は、入口側の蓄熱パイプ（１）に連結される継手配管
（３３）から蓄熱ユニット部（２０）に流入し、以上の
ように連結された各蓄熱パイプ（１）を経て放熱パネル
部（１０）の放熱パイプ（１２）を流れ、その一端に連
結される継手配管（３４）を介して加熱ユニット（ポン
プ、ヒーター等）に向かい、温水床暖房パネルと加熱ユ
ニットとの間を循環する。以上の継手配管（３３）（３
４）には、図４に示したようなワンタッチ継手（３５）
を連結することができ、この場合、加熱ユニットから複
数枚の温水床暖房パネルに温水を供給するための配管接
続が容易となる。 【００１６】以上のこの発明の温水床暖房パネルは、た
とえば図７に示したように、放熱パネル部（１０）の枠
材（１４）を根太（４０）で支えるようにして施工した
り、あるいは図８に示したように、根太（４０）間の下
地材（４１）上に載置して施工したりすることができ
る。図９は、この発明の温水床暖房パネルに備えること
のできる蓄熱パイプの別の形態を示した断面斜視図であ
る。この図９に示した蓄熱パイプ（５０）では、筒体
（５１）を角筒状としている。角筒は、円筒と同一の外
寸法とした場合、円筒に比べ断面積が大きく、したがっ
て、多量の蓄熱材（３）の挿入が可能となる。このた
め、図１０（ａ）（ｂ）（ｃ）に示したように、蓄熱パ
イプ（５０）の長さを図６（ａ）（ｂ）（ｃ）に示した
円柱状の蓄熱パイプ（１）より短くしても、同一の外寸
法を有する限り、蓄熱パイプ（１）と同等の蓄熱効果を
得ることができる。その結果、蓄熱ユニット部（２０）
の小型化が可能となる。 【００１７】もちろんこの発明は以上の例によって限定
されるものではなく、細部の構成等については様々な態
様が可能であることは言うまでもない。 【００１８】 【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、この発明の発明者等が先に提案している蓄熱式床
暖房設備の実用化に有効な、蓄熱部の容易かつ低コスト
での製造を可能にした蓄熱パイプを備えた蓄熱式の温水
床暖房パネルが提供される。

【図面の簡単な説明】 【図１】この発明の温水床暖房パネルに備えることので
きる蓄熱パイプの一形態を示した一部切欠斜視図であ
る。 【図２】（ａ）（ｂ）（ｃ）は、各々、図１に示した蓄
熱パイプの製造方法の一例した工程図である。 【図３】図１に示した蓄熱パイプにおける蓋体への筒体
の接着固定を示した要部断面図である。 【図４】この発明の温水床暖房パネルの一実施形態を示
した分解斜視図である。 【図５】図４に示した温水床暖房パネルの分解正面図で
ある。 【図６】（ａ）（ｂ）（ｃ）は、各々、図４に示した温
水床暖房パネルの表面図、側面図、裏面図である。 【図７】この発明の温水床暖房パネルの施工例を示した
正面図である。 【図８】この発明の温水床暖房パネルの別の施工例を示
した正面図である。 【図９】この発明の温水床暖房パネルに備えることので
きる蓄熱パイプの別の形態を示した斜視図である。 【図１０】（ａ）（ｂ）（ｃ）は、各々、図９に示した
蓄熱パイプを備えたこの発明の温水床暖房パネルの表面
図、側面図、裏面図である。 【図１１】従来の蓄熱式床暖房設備を示した一部切欠斜
視図である。 【図１２】図１１に示した蓄熱床暖房設備における床構
造を示した要部断面図である。 【図１３】この発明の発明者等が先に提案した蓄熱式温
水床暖房設備の模式図である。 【図１４】図１３に示した温水床暖房設備における蓄熱
部を示した一部切欠斜視図である。 【符号の説明】 １、５０ 蓄熱パイプ ２、５１ 筒体 ３ 蓄熱材 ４ 蓋体 ５ 配管接続口 ６ 整流板 ７ 突起部 ８ 止めナット １０ 放熱パネル部 １１ 均熱板 １２ 放熱パイプ １３ 保温材 １４ 枠材 １５ 裏面合板 ２０ 蓄熱ユニット部 ２１、２２ 固定枠 ２３ ビス ３１、３２、３３、３４ 継手配管 ３５ ワンタッチ継手 ４０ 根太 ４１ 下地材

フロントページの続き (72)発明者 前田 太 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (56)参考文献 特開 平３−140720（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−154769（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−20816（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−198882（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F24D 11/00 F24D 3/16 F28D 20/00

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 裏面合板がその左右両側端部に位置する
   枠材の裏面に貼り付けられ、この裏面合板の上に、保温
   材、放熱パイプ、均熱板が順次積層された構造を有する
   放熱パネル部と、直線状の筒体の内部に蓄熱材が温水の
   通水を可能にして充填され、筒体両端に配管接続口を備
   えた蓋体を有する蓄熱パイプが複数本並列配置され、こ
   れら蓄熱パイプが上下の固定枠により挟持された構造を
   有する蓄熱ユニット部とが、蓄熱ユニット部の下固定枠
   がその両端において放熱パネル部の枠材に固定されて一
   体化され、蓄熱ユニット部の各蓄熱パイプは、その蓋体
   の配管接続口に接続される継手配管により直列に連結さ
   れ、出口側の蓄熱パイプが、継手配管により放熱パネル
   部の放熱パイプに連結されていることを特徴とする温水
   床暖房パネル。