JP3361346B2 - 閉鎖性海域の水質浄化方法 - Google Patents

閉鎖性海域の水質浄化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、閉鎖性海域の水質浄
化方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、湾、港、島周辺の海域等の閉鎖性海域における水質
浄化に特に有用な、閉鎖性海域の水質浄化方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、湾、港、島周辺の
海域等においては、その海流の循環がほぼ途絶えた閉鎖
性海域が生じ、河川、排水路等からの汚染された水等が
流入する場合、その閉鎖性海域内においては、水質が著
しく悪化することが多く、社会問題となっている。
【0003】そこで、このような湾、港、島周辺海域等
の閉鎖性海域における汚濁した水を浄化するための方法
が検討されてきている。そのひとつの方法が、浚渫によ
る浄化方法である。この浚渫は、湾内等に堆積している
ヘドロ等を吸引ポンプにより吸引するか、または、グラ
ブにより汲み上げる方法である。
【0004】しかしながら、この浚渫による水質浄化方
法は、当然にも根本的な解決策ではなく、実際、ある一
定の期間がくれば、再度水質汚濁が生じるという欠点が
ある。だが残念ながら、これまでのところ、この方法以
外には、有効な手段が見出されていないのが実情でもあ
る。
【0005】このため、この発明は、以上の通りの事情
に鑑みてなされたものであり、従来の閉鎖海域の水質浄
化方法の欠点を解消し、水質汚濁を防止することのでき
るまったく新しい閉鎖海域水質浄化方法を提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、海の入り江に形成された
閉鎖海域の流路に潮汐流の向きに応じて抵抗の異なる複
数の人工粗度を設置し、潮汐流の干満に応じて閉鎖海域
の流路内における流れ方向による流量に差を与え、干潮
時には抵抗の小さい人工粗度の方向に多くの流量を向け
るようにして潮汐流により流入した流れを開放海域へ向
けて生成させることを特徴とする閉鎖性海域の水質浄化
方法を提供する。すなわちこの発明における閉鎖性海域
の水質浄化方法は、潮汐流の向きに応じて抵抗の異なる
人工粗度を設置することにより、開放海域への流れを発
生させる方法である。
【0007】この方法は、たとえば図1に示すものをひ
とつの態様として示すことができる。この図1(a)
(b)に例示するように、海の入り江に人工島(1)が
埋め立てられて閉鎖性海域(2)が形成され、その閉鎖
性海域(2)に河川(3)が流入している地形に、たと
えば1/4円柱型等の人工粗度(4)を両側にできるだ
け等間隔で取り付ける。もちろん、その人工粗度の大き
さ及び形状、その粗度の間隔は特に限定されるものでは
ない。
【0008】より具体的に説明すると、たとえば図1の
矢印(x)の方向を正の方向とすると、その正の方向に
対して、1/4円柱型の粗度の側面のなめらかな面を向
ける。こうすることによって、xの正の方向の流れに
は、粗度が小さく、xの負の方向の流れには、粗度が大
きくなる。従って、潮が上がった場合、xの正の方向に
流入する海水の方が、xの負の方向に流入する海水より
も、流れやすくなり、結果として、xの正の方向に多く
流れる。さらに、潮が下がった場合、この閉鎖海域より
海に流出する流れは、xの正の方向に流出する流れの方
が、xの負の方向に流出する流れよりも、流れやすくな
り、結果として、xの正の方向に多く流出する。
【0009】もちろんこの発明においては、粗度の取り
付け方向は、全く逆でもよい。このようにして、たとえ
ば、河川などからこの閉鎖海域に流入した汚染された流
れを、潮汐流を制御することにより、恒流を生成させ、
海に流すことができる。なお、図2に例示するように、
一基の調整可能な可動堰(5)を用いて制御することも
可能である。この場合、図2(a)のように、上げ潮時
には、可動堰(5)を閉じることにより湾の左側から右
側に海水が流入する。下げ潮時時は、図2(b)のよう
に、可動堰(5)を開くことにより湾の左右から海水を
湾外へ流出させる。この時、可動堰(5)の一基のみの
調整により、湾外への左右の流れの量を制御すること
できる
【0010】以上のような、人工粗度、可動堰のいずれ
の方式を採用するかは、閉鎖海域の実状況や、流れ生成
による影響の評価により選択することができる。両者を
組み合わせてもよい。これらの人工粗度、可動堰につい
ては、人工構造体として、様々な形式、構成とすること
ができることは言うまでもない。以下実施例を示し、さ
らにこの発明について詳しく説明する。
【0011】
【実施例】実施例1 実際に、この発明の閉鎖性海域の浄化方法をモデル評価
した。すなわち、図3に例示するように、流れの向きの
転換に対して、粗度係数が異なる一様断面水路を考慮に
いれて、流体が潮汐運動する場合に生じる流速と拡散物
質の濃度を数値解析し、水路内に生じる恒流について検
討した。
【0012】この解析には基礎式として、次の一次元の
運動方程式、連続の式、さらに拡散方程式が採用され
る。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】
【数3】
【0016】
【数4】
【0017】これらの式において、Aは断面積、Qは海
水の流入または流出流量、Hは平均水深、Bは海面幅、
f は摩擦勾配、nは Manningの粗度係数、Cは拡散物
質濃度、DL は分散係数、qは河川からの淡水流入量、
q′は負荷流入量、Vは水路における断面平均流速であ
る。そして表1は条件を示したものである。
【0018】
【表1】
【0019】ζは2つの水路口での潮汐に伴う水面変位
で、同一の値を用い、河川からの淡水流入量q及び負荷
流入量q′は、水路を4分割する図3の3点(6,1
1,16)から流入すると仮定した。潮流がxの正方向
に流れるとき、 Manningの粗度係数n1は0.035に
固定し、負の方向に流れるとき、 Manningの粗度係数n
2は0.025と0.035とに変化させることができ
るとした。
【0020】図4と図5は水路内の定常濃度分布を示し
たものであり、図4においては、○は、n1=0.03
5,n2=0.030として、
【0021】
【0022】の場合を示している。比較として、▲はn
2−n1=0の場合の水路内の定常濃度分布である。図
5においては、○は、n1=0.035,n2=0.0
25として、
【0023】
【0024】の場合を示している。比較として▲はn2
−n1=0の場合の水路内の定常濃度分布である。この
4図と5図に例示するように、河川からの淡水負荷流入条
件が水路内で対称にもかかわらず、左半分の領域におけ
る定常濃度は右半分の定常濃度よりも高い。これは、ト
ータルとして考えるとxの負の方向に流れが生じている
ことを示している。
【0025】たとえばこの図5に例示するように、座標
10の点においては、粗度係数が同じ場合は、定常濃度
が0.6であるのに対して、
【0026】
【0027】の場合は、定常濃度が0.24であり、結
果として、60%も定常濃度が減少したこととなる。さ
らに、この解析結果を考慮に入れて、明瞭な恒流の発生
が認められるのは、
【0028】
【0029】が妥当であると思われる。以上の結果か
ら、人工粗度をもちいることによって、水質浄化を行う
ことができる。実施例2 流れの向きの変換によってエネルギー損失水頭の差異が
最も大きくなるような粗度形状を求めた。水路の幅は2
5cm、深さは25cm、長さは8.0mであり、底面
勾配は水平に保たれた。二次元の人工粗度を水平方向
に、一様に水路両面に取り付けた。流れの向きを変える
かわりに、人工粗度の取り付けを逆向きにした。用いた
代表的な粗度形状は、図6(a)(b)に例示したよう
に平板粗度、および図6(c)の1/4円柱の人工粗度
であり、図6(d)の半円柱形の人工粗度とした。
【0030】これらのすべての人工粗度において、側壁
からの粗度の突出高さkを5.0cmに固定し、流れ方
向の長さlを変えることにより、角度を変化させた。流
れの最峡部から上流側40.0cmと、下流側80.0
cmの水路中央に総圧計を固定し、それらの総圧計を二
液マノメータと接続してエネルギー損失を測定した。
【0031】その結果、図6において、流れが左から右
に流れるときのエネルギー損失を、流れが右から左に流
れるときのエネルギー損失と比較したところ、広範囲の
レイノルズ数に対して、形状(c)及び(d)が最も大
きなエネルギー損失水頭の差異を生むことが明らかとな
った。実施例3 実施例2から、単体で順流と逆流とに対して、大きなエ
ネルギー損失を生ずる1/4円柱の人工粗度と半円柱形
の人工粗度を流下方向に配置し、 Manningの粗度係数を
評価した。
【0032】図7はたとえば1/4円柱の人工粗度を配
列した場合の水路平面図を示したものである。流量Qは
9.97×10-43 /s、1.39×10-33
s、1.91×10-33 /sの3種類に対し、s/k
を4,8,12,16および20に変化させた。この実
施例で用いられた突出高さkは3.0cmであった。
【0033】Manningの粗度係数nは次式に従って評価
した。ここで、ne は実験で得られた合成粗度係数であ
る。ns は人工粗度を取り付けない場合の粗度係数であ
る。hは平均水深である。
【0034】
【数5】
【0035】図8はQ=1.91×10-33 /sにお
ける半円柱形の人工粗度の順流及び逆流におけるnの値
をs/kに対してプロットしたものである。図9は同様
にQ=1.91×10-33 /sにおける1/4円柱の
人工粗度の順流及び逆流におけるnの値をs/kに対し
てプロットしたものである。これらの図に例示したよう
に、逆流の方の粗度係数は順流よりも大きく、s/kの
増加とともに減少する傾向が認められる。
【0036】図10は図8と図9で示された順流におけ
る粗度係数をn1とし、逆流に粗度係数をn2とする
時、n2−n1とs/kとの関係を示したものである。
この流量においては、1/4円柱の人工粗度の方が半円
柱形の人工粗度よりも効果的であることがわかる。1/
4円柱の場合n2−n1の値は0.02〜0.025、
半円柱の場合は、0.005〜0.015の差を得るこ
とができる。
【0037】以上のことから、1/4円柱の人工粗度を
用いて、効率的に閉鎖性海域の水質浄化が行えることが
わかる。
【0038】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、海の入り江に
形成された閉鎖海域の流路に、干満に基づく潮汐流の向
きに応じて抵抗の異なる複数の人工粗度を設置し、潮汐
流の干満に応じて閉鎖海域の流路内における流れ方向に
よる流量に差を与え、干潮時には抵抗の小さい人工粗度
の方向に多くの流量を向けるようにして潮汐流により閉
鎖海域の流路内に流入した流れを開放海域へ向けて生成
させるようにしたので、閉鎖性海域の水質浄化閉鎖領域
の水質浄化を、簡単な人工粗度手段の設置によって一層
効果的に行うことができる。一基のみの可動堰の場合
は、従来のように2つの水門では双方の開閉制御が複雑
な作業となることもなく、単純な作業となり、コスト的
に安く済ますことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、人工粗度を用いたこの発明の
概略を示す平面図である。
【図2】(a)(b)は、可動堰を用いたこの発明の概
略を示す平面図である。
【図3】この発明の定常濃度を評価するための計算対象
領域を示す平面図である。
【図4】この発明の定常濃度を評価した結果を示す定常
濃度分布図である。
【図5】この発明の定常濃度を評価した結果を示す定常
濃度分布図である。
【図6】(a)(b)(c)(d)は、この発明を構成
する人工粗度の形状を示す平面図である。
【図7】この発明の実験を示す水路平面図である。
【図8】Q=1.91×10-33 /sにおける順流お
よび逆流の粗度係数(半円柱粗度の場合)図である。
【図9】Q=1.91×10-33 /sにおける順流お
よび逆流の粗度係数(1/4円柱粗度の場合)図であ
る。
【図10】順流と逆流における粗度係数の差とs/kと
の関係図である。
【符号の説明】
1 人工島 2 閉鎖性海域 3 河川 4 人工粗度 5 可動堰
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02B 15/00 E02B 5/08 101

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海の入り江に形成された閉鎖海域の流路
    に、干満に基づく潮汐流の向きに応じて抵抗の異なる複
    数の人工粗度を設置し、潮汐流の干満に応じて閉鎖海域
    の流路内における流れ方向による流量に差を与え、干潮
    時には抵抗の小さい人工粗度の方向に多くの流量を向け
    るようにして潮汐流により閉鎖海域の流路内に流入した
    流れを開放海域へ向けて生成させることを特徴とする閉
    鎖性海域の水質浄化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の閉鎖性海域の水質浄化方法に
    おいて、人工粗度を半円柱形又は1/4円柱形の人工粗
    度からなるものとしたことを特徴とする閉鎖性海域の水
    質浄化方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の閉鎖性海域の水質浄化方法に
    おいて、潮汐流の向きに応じて抵抗の異なる人工粗度の
    順方向と逆方向との粗度係数の差を0.005以上、
    0.015以下として人工粗度を閉鎖海域の流路両側に
    配置してなることを特徴とする閉鎖性海域の水質浄化方
    法。
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