JP3776937B2 - 海域における潮汐残差流の生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湾,港,島周辺の海域等における潮汐流を制御して、新たな潮汐残差流を生成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湾,港,島周辺の海域においては、海水の交換がほぼ途絶えた閉鎖性海域が発生しており、かかる閉鎖性海域に河川や排水路等から汚濁・汚染された水等が流入した場合には、閉鎖性海域内に汚濁・汚染した水等が滞留して、閉鎖性海域内の水質が経時的に悪化するという不具合がある。
【0003】
そこで、汚濁・汚染した水等を浄化するための方法として、例えば、特開昭6-146249号に記載された水質浄化方法が開発されている。
かかる水質浄化方法は、閉鎖性海域の流路を形成する両側壁に、複数の人工粗度を流路伸延方向に間隔を開けて取付け、同人工粗度により流路内に一方向への潮汐流の流水を生成することにより、閉鎖性海域内に流入した汚濁した水を、閉鎖性海域外へ流出させて、閉鎖性海域内を浄化するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した水質浄化方法は、未だ、次のような課題を有している。
1.閉鎖性海域流路の幅が大きい場合、側壁に取付けた人工粗度では潮汐流の平均流れが生成されない。
2.生成される潮汐流の平均流れは、閉鎖性海域の流路に沿った一方向の流れであり、流れ方向を自由に、かつ、任意の方向に制御できない。
3.閉鎖性海域の流路に生成される一方向の潮汐流の平均流れは二次元的な変化であり、例えば、温度が高くて軽い表層と温度が低くて重い深層(無酸素若しくは貧酸素状態の層)とが形成される成層化現象の発生防止や、成層の破壊を行なうような三次元的な流れの変化ではない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、海域における海底面であって、潮汐流に面する海底面に、潮汐流を用いて潮汐流を制御するための、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有する底面構造体を複数配置して、新たな潮汐残差流を生成することを特徴とする海域における潮汐残差流の生成方法に係るものである。
【0006】
また、本発明は、海域における海底面であって、潮汐流に面する海底面に、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有する底面構造体を、潮汐流の流れ方向に沿わせて配置すると共に、潮汐流に所望の方向への運動量を付与する運動量付与面を有する底面構造体を、潮汐流の流れ方向と交差する方向に沿わせて配置して、曲線的な流れのパターンをもつ新たな潮汐残差流を生成すること、及び、底面構造体が漁礁・魚巣機能を有するものであることにも特徴を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明すると、図1に示すように、矩形状にモデル化した閉鎖性海域としての湾1内の海底面2に、潮汐流を制御するための底面構造体3を複数配置している。
【0008】
そして、底面構造体3は、図2にも示すように、1/4球形状の球面部3aと、同球面部3aの背面側に凹状に開口させて形成した開口部3bとから形成しており、球面部3aに潮汐流があたる場合、すなわち、順流に対する順流側粗度をもたせると共に、開口部3bに潮汐流があたる場合、すなわち、逆流に対する逆流側粗度をもたせて、順流側粗度よりも逆流側粗度を大きくすることにより、両方向の間に方向粗度差をもたせている。Fは順流方向、Bは逆流方向を示している。
【0009】
また、かかる底面構造体3は、図1に示す湾1内の海底面2に、次のように配置している。
すなわち、複数の底面構造体3を、右側域においては、球面部3aが潮汐流の上げ潮に当たる方向に向くようにして、湾口1a側より湾奥1b側へ順次一定の間隔を開けて配置し、また、湾奥1bの海域においては、球面部3aが右側を向くようにして、右側より左側へ順次一定の間隔を開けて配置し、また、左側海域においては、球面部3aが潮汐流の下げ潮に当たる方向に向くようにして、湾奥1b側より湾口1a側へ順次一定の間隔を開けて配置している。
【0010】
このように、右側海域においては、湾口1a側より湾奥1b側へ流れる上げ潮流T1に対する底面構造体3の順流側粗度よりも、湾奥1b側より湾口1a側へ流れる下げ潮流T2に対する底面構造体3の逆流側粗度が大きいために、潮汐運動が生じた場合の右側海域では、上げ潮の方が下げ潮よりも流れやすくなり、また、同様に、湾奥1bの海域では右側より左側へ向けて海水が流れやすくなり、また、同様に左側域では下げ潮の方が上げ潮よりも流れやすくなって、結局、湾外の海水が湾口1aより湾内に流入し、湾1内を時計回りに周回して、湾口1aより外海へ流出する環流が潮汐残差流T3として生成される。
【0011】
ここで、潮汐残差流T3の流れの方向は、底面構造体3の配置と粗度の大きさを適宜設定することにより、自由にデザインすることができる。
【0012】
しかも、湾1内に発生している複数の環流同士の間に潮汐残差流T3を生成することにより、環流同士を接続して、一つの大きな環流を生成することも、また、一つの環流を横断する状態に潮汐残差流T3を生成することにより、一つの環流を分断して、複数の環流を生成することもできる。
【0013】
さらに、底面構造体3の開口部3bに向けて海水が流れた場合には、図3に示すように、湧昇流T4が生成されるために、同湧昇流T4により成層を破壊することができると共に、成層化現象の発生を抑制することができ、栄養分に富んだ深層水を、水面近傍の貧栄養水域層9aに供給する一方、溶存酸素の豊富な水面近傍の表層水を、無酸素若しくは貧酸素状態の深層9bに供給することができ、安定したプランクトン増殖システムを構築することができて、安定した漁場の形成や、海洋の環境保全に資することができる。
【0014】
また、図4に示すように、底面構造体3の球面部3aを、藻類等の海草類4が付きやすい材質や形状にすることにより、藻場を育成することができる。
そして、図4に示すように、底面構造体3は、内部に漁礁・魚巣用空間5を形成しているために、湾1内に人工漁場を形成することもできる。6は、底面構造体3に形成した連通路、7は魚巣ブロック、8は魚である。
【0015】
次に、底面構造体3の形状について説明すると、同底面構造体3の形状は、基本的に、順流側粗度と逆流側粗度との間に方向粗度差を有しているものが好ましく、しかも、方向粗度差の大きいものがより好ましい。
【0016】
そして、流れの方向をデザインする際には、単に粗度を有するだけで、方向粗度差を有しない底面構造体と、方向粗度差を有する底面構造体3とを組み合わせて配置することも、さらには、方向粗度等の大きさの異なる底面構造体3を組み合わせて配置することにより、所望の流れをデザインすることができる。
【0017】
また、図5〜図25は、上記した基本形態としての底面構造体3の変形型の例を示している。
【0018】
図5に示す第1変形例としての底面構造体3は、左右幅方向に伸延する1/2円筒状体3cと、同1/2円筒状体3cの両端部より1/2円筒状体3cが円弧状に突出する側とは反対側に伸延する一対の板状体3d,3dとから平面視略コ字状に形成している。
そして、かかる底面構造体3は、1/2円筒状体3cの円弧状凸面にあたる流れが順流になり、大きな方向粗度差を得ることができるようにしている。
【0019】
図6に示す第2変形例としての底面構造体3は、一対の1/2円筒状体3e,3eの円弧状凸面をそれぞれ外側方に配置すると共に、先端同士を接続して、平面視略V字状に形成している。
そして、かかる底面構造体3は、平面視略V字状の突出側にあたる流れが順流になり、大きな方向粗度差を得ることができるようにしている。
【0020】
図7に示す第3変形例としての底面構造体3は、1/4球面形状の球面部3aと、同球面部3aの背面側に形成した略垂直の壁面部3fとから形成している。
そして、かかる底面構造体3は、球面部3aにあたる流れが順流になりまた、略垂直の壁面部3fにあたる流れが逆流になり、大きな方向粗度差を得ることができるようにしている。
しかも、略垂直の壁面部3fは、流れが同壁面部3fに当たると、かかる海水が壁面部3fに沿って上昇して、スムーズに湧昇流を生成するようにしている。
【0021】
図8に示す第4変形例としての底面構造体3は、変形1/2球面状の球面部3gと、同球面部3gの背面側に形成した略垂直の壁面部3hとから形成している。
かかる底面構造体3は、前記した図7の底面構造体3と比べて、球面部3a,3gの曲率半径を同じくして、高さだけを高く設定することができ、同様の使用形態において、粗度を大きくすることができると共に、湧昇流を起こし易くすることができる。
【0022】
図9に示す第5変形例としての底面構造体3は、一対の1/2円柱状体3j,3jの円弧状凸面をそれぞれ外側方に配置すると共に、略垂直の壁面を内側方に配置して、先端同士を接続することにより、平面視略V字状に形成している。
かかる底面構造体3は、前記した図6の底面構造体3と同様の使用形態にて、大きな方向粗度差を得ることができると共に、逆流方向の海水が壁面に沿って上昇して、スムーズに湧昇流を生成するようにしている。
【0023】
図10に示す第6変形例としての底面構造体3は、前後方向に伸延する一対の細幅矩形板体3k,3kの先端同士を接続し、平面視略V字状に形成している。
かかる底面構造体3は、前記した図9の底面構造体3に比べて方向粗度差を小さく設定することができ、同様の使用形態において、湧昇流をスムーズに生成することができるようにしている。
【0024】
なお、図6、図9、及び図10に示す平面視略V字状の底面構造体3,3,3は、それぞれV字形を形成する内角θを任意の鋭角に設定することにより、粗度及び方向粗度差を適宜調整することができる。
【0025】
図11に示す第7変形例としての底面構造体3は、1/2円筒状のシンプルな形状となしている。
そして、かかる底面構造体3は、円弧状凸面にあたる流れが順流になり、大きな方向粗度差を得ることができるようにしている。
【0026】
図12及び図13に示す第8変形例としての底面構造体3は、上方へ漸次縮径状に形成したロート状筒体を、縦割りした一側半部の形状である。kは粗度高さ、b1は下端外径、b2は中途部内径、b3は上端外径、t1は肉厚である。
かかる底面構造体3は、上端が開口しているために、湧昇流が生成されやすく、しかも、所望の方向粗度差を確保することができる。
【0027】
図14及び図15に示す第9変形例としての底面構造体3は、1/2球形状に形成している。2rは外径である。
かかる底面構造体3は、粗度高さを高くすることができて、大きな方向粗度差を得ることができると共に、確実に湧昇流を生成することができる。
【0028】
図16及び図17に示す第10変形例としての底面構造体3は、軸線を垂直方向へ向けた円筒状体の後部を一部切欠して、粗度高さを同一となした三個の一部切欠垂直円筒状体3m-1,3m-2,3m-3を、同一直線上に一定の間隔11,12を開けて配置したものである。
そして、三個の一部切欠垂直円筒状体3m-1,3m-2,3m-3は、順次粗度半径r1,r2,r3を小さく形成して、これら一部切欠垂直円筒状体が形作る輪郭が順流方向に流線形状となるようにしている。
また、かかる底面構造体3は、境界層の剥離を少なくすることができる。
【0029】
図18及び図19に示す第11変形例としての底面構造体3は、上記第10変形例としての底面構造体3と基本的構造を同じくしているが、順流方向の下流側に配置する一部切欠垂直円筒状体3n-2の粗度高さk2を、上流側の一部切欠垂直円筒状体3n-1の粗度高さk1よりも高く形成している。
かかる底面構造体3は、前記第10変形例の場合と同様に、輪郭を順流方向に流線形状となすという考え方を高さ方向にも適用して、境界層の剥離をより少なくすることができる。
【0030】
図20及び図21に示す第12変形例としての底面構造体3は、前記第7変形例としての底面構造体3を略U字状に屈曲させた1/2円筒U字状体に形成している。bは外径である。
かかる底面構造体3は、前記第7変形例としての底面構造体3に比べて大きな方向粗度差を得ることができる。
【0031】
図22及び図23に示す第13変形例としての底面構造体3は、上記第12変形例としての底面構造体3と同様に形成した1/2円筒U字状体3pの上に、前記基本形態としての底面構造体3と同様に形成した1/4球形状体3qを載設して形成している。θ3は、1/4球形状体の開き角度である。
かかる底面構造体3は、単体としての第12変形例としての底面構造体3や基本形態としての底面構造体3よりもさらに大きな方向粗度差を得ることができると共に、確実に湧昇流を生成することができる。
【0032】
図24及び図25に示す第14変形例としての底面構造体3は、一部切欠垂直円筒状体3sの上に、1/4球形状体3qを載設して形成している。
そして、一部切欠垂直円筒状体3sには、順流方向に連通する複数の連通孔3tを、円周方向へ間隙を開けて形成している。
かかる底面構造体3は、一部切欠垂直円筒状体3sに複数の連通孔3tを形成しているにもかかわらず、大きな方向粗度差を得ることができると共に、底面構造体3内の土砂の堆積を防止することができ、湧昇流も生成することができる。
【0033】
図26は、湾口1aの開口幅に比べて湾奥1bまでの奥行きが長い湾1における底面構造体3の配置例をしている。
すなわち、湾1内の海底面2において、湾口1aの近傍で、かつ左側域に、球面部3aを湾口1a側に向けた複数の底面構造体3を配置すると共に、湾口1aの近傍でかつ右側域に、開口部3bを湾口1a側に向けた複数の底面構造体3を配置し、また、湾奥1bの近傍でかつ左側域に、開口部3bを湾口1a側に向けた複数の底面構造体3を配置すると共に、湾奥1bの近傍でかつ右側域に、球面部3aを湾口1a側へ向けた複数の底面構造体3を配置している。
このようにして、湾外の海水が湾口1aの左側部より湾内に流入し、同湾1内の湾口側半部を反時計回りに周回して、湾口1aの右側部より外海へ流出する湾口側潮汐残差流T5と、湾1内の湾奥側半部において時計回りに周回する湾奥側潮汐残差流T6が生成されるようにしている。
【0034】
そして、経時的に、湾口側潮汐残差流T5と湾奥側潮汐残差流T6とが湾1内の略中央部において接続されて、略8の字状の全湾規摸潮汐残差流T7が形成されるようにしている。
従って、湾奥1bの汚染物質等も、経時的に全湾規模潮汐残差流T7により湾口1aの右側部より外海へ流出させることができて、湾1内に汚染物質等が滞溜するのを防止することができる。
【0035】
図27は、図26と同じ湾1における他の実施例としての底面構造体21,22,23,24,25の配置例を示している。
ここで、図28〜図31に基本形態となる第1の底面構造体20を示しており、同底面構造体20は、四角柱形状に形成して、同底面構造体20の長方形状の側面を運動量付与面27,28となして、各運動量付与面27,28にあたる潮汐流に所望の方向への運動量を付与することができるようにしている。
【0036】
そして、かかる第1の底面構造体20は、図28に示すように、平面視において、直角三角形状となし、一方の運動量付与面27を基準にして頂部29の角度θ4を漸次大きく形成することにより、変形例としての第2・第3・第4の底面構造体21,22,23を任意に形成することができるようにして、第4の底面構造体23は、平面視二等辺三角形となしている。
【0037】
また、第1の底面構造体20は、図30に示すように、平面視において、他方の運動量付与面28を基準にして、頂部29の角度θ4を漸次大きく形成することにより、変形例としての第5・第6・第7の底面構造体24,25,26を形成することができる。
【0038】
上記のように構成した第1〜第7底面構造体20,21,22,23,24,25,26は、基本的に潮汐流と交差する方向に潮汐残差流が生成されるように、同潮汐残差流をデザインする際に、デザインする潮汐残差流が生成される方向への運動量を潮汐流に付与することができるように配置する。
【0039】
すなわち、図27及び図34に示すように、湾1内の略中央部に、平面視二等辺三角形状の第4底面構造体23を配置すると共に、同第4底面構造体23は、頂部29が右側に位置するように配置し、かつ、同頂部29を通る仮想対称線C1が左右方向へ向くように配置する。
【0040】
そして、第4底面構造体23より右側方へかつ湾口1aへ向けて順次第3底面構造体22、第2底面構造体21、第5底面構造体24、第6底面構造体25を配置する。
また、第4底面構造体23より左側方へかつ湾口1aへ向けて、順次第3・第2・第5・第6底面構造体22,21,24,25をそれぞれ上記右側に配置した各底面構造体を表裏反転させた状態にて配置する。
【0041】
しかも、上記した第6・第5・第2・第3・第4・第3・第2・第5・第6底面構造体を、前記仮想対称線C1を中心に線対称位置に配置し、さらに、これら底面構造体を湾奥側へ180度点対称の位置に配置する。
【0042】
このようにして、図34に示すように、上げ潮流T1が、第6・第5・第2・第3・第4・第3・第2・第5・第6底面構造体25,24,21,22,23,22,21,24,25の各運動量付与面27,28にあたると、各運動量付与面27,28より上げ潮流T1に新たに運動量成分F1が加えられ、また、同様に、下げ潮流T2が各運動量付与面27,28にあたると、各運動量付与面27,28より下げ潮流T2に新たに運動量成分F2が加えられて、潮汐流の1周期平均によりこれら運動量成分F1,F2のベクトルを合成した方向に残差運動量が発生し、同残差運動量が経時的に湾口側潮汐残差流T5を生成する。同様に、湾1内の湾奥側半部に配置された第6・第5・第2・第3・第4・第3・第2・第5・第6底面構造体25,24,21,22,23,22,21,24,25により、同湾奥側半部において時計回りに周回する湾奥側潮汐残差流T6が生成される。
【0043】
そして、経時的に、湾口側潮汐残差流T5と湾奥側潮汐残差流T6とが湾1内の略中央部において接続されて、略8の字状の全湾規模潮汐残差流T7が形成される。従って、湾奥1bの汚染物質等も、経時的に全湾規模潮汐残差流T7により湾口1aの右側部より外海へ流出させることができて、湾1内に汚染物質等が滞溜するのを確実に防止することができる。
【0044】
図35は、図26に示す底面構造体3の配置形態と、図27に示す第1〜第5底面構造体20,21,22,23,24の配置形態とを組合わせた底面構造体の配置形態である。
このようにして、潮汐流の流れ方向の潮汐残差流と、同潮汐流と交差する方向の潮汐残差流とを効率良く生成することができる。
従って、湾口側潮汐残差流T5と湾奥側潮汐残差流T6とが円滑かつ確実に生成され、その結果、湾1内と外海との海水交換を活発に行なう全湾規摸潮汐残差流T7が生成される。
【0045】
図36は、他の実施例としての底面構造体30を示しており、同底面構造体30は、三角錐形状に形成して、同底面構造体30の三角形状の側面を運動量付与面27,28となして、各運動量付与面27,28にあたる潮汐流に所望の方向への運動量を付与することができるようにしている。
【0046】
また、上記した底面構造体20,21,22,23,24,25,26,30は、頂部29と対向する側の面を開口させると共に、内部に空間を形成して、各底面構造体に漁礁・魚巣機能をもたせることもできる。
【0047】
【実施例】
〔第1実施例〕
本発明に係る海域における潮汐残差流の生成方法により生成される潮汐残差流と、同潮汐残差流による汚染物質濃度分布の変化を、実際にモデル評価した。
【0048】
すなわち、図37に示すように、開境界を有する平面視正方形のモデル湾10において、湾奥に二個所の汚染物質流入地点11,11を設けて、各汚染物質流入地点11,11より汚染物質を流入させた場合に、モデル湾10内に生じる潮汐残差流と、同潮汐残差流によりひろがった汚染物質濃度分布を数値解析して検討した。
【0049】
そして、かかる解析には、平面2次元潮流・拡散の基礎式として、以下の連続の式、x方向の運動方程式、y方向の運動方程式、及び移流拡散方程式を採用した。
連続の式
【0050】
【数1】
【0051】
x方向の運動方程式
【0052】
【数2】
【0053】
y方向の運動方程式
【0054】
【数3】
【0055】
移流拡散方程式
【0056】
【数4】
【0057】
ここで、xとyは水平方向座標、tは時刻、UとVはx,y方向の水深平均流速、Cは水深平均拡散物質濃度、ζは水位上昇(潮位)、hは平均水深、νtはみかけの渦動粘性係数、Dは分散係数、Sは単位面積・単位時間当りの拡散物質の流入量、qは単位面積・単位時間当りの淡水流入量、γb 2は海底摩擦係数(=0.0026)、gは重力加速度、fはコリオリ係数である。
【0058】
また、底面せん断応力の評価式(図38を参照)、マニング(Manning)の式、γb 2とnとの関係式を、以下に示す。
底面せん断応力の評価式
【0059】
【数5】
【0060】
Manningの式
【0061】
【数6】
【0062】
γ b 2 とnの関係式
【0063】
【数7】
【0064】
これにより、h=20mの場合には、γb 2=0.0026でn=0.0268となり、γb 2=0.0049でn=0.0368となる。
【0065】
また、表1に計算の条件を示す。
【0066】
図39は、比較例としての事例1.を示しており、計算条件として、全海域一様にManningの粗度係数をn=0.0268、海底摩擦係数をγ2b=0.0026に設定している。
【0067】
図40は、事例2.を示しており、モデル湾10を左側半分の海域Aと右側半分の海域Bとに区分けし、海域Aと海域Bにおける各順流側粗度と逆流側粗度のManningの粗度係数と、海底摩擦係数の計算条件を、表2に示す通り設定して、海域A・Bに相互に反対方向の方向粗度差をもたせている。
【0068】
図41は、事例3.を示しており、モデル湾10を左側部の海域Aと中央部の海域Bと右側部の海域Cと湾奥部の海域Dとに区分けし、各海域A、B、C、Dにおける各順流側粗度と逆流側粗度のManningの粗度係数と海底摩擦係数の計算条件を、表3に示す通り設定して、各海域A、B、C、Dにそれぞれ方向粗度差をもたせている。
【0069】
ここで、海域Dでは、右側から左側への水の流れ(U<0)を順流方向とし、その反対方向の流れ(U>0)を逆流方向としている。
また、事例1.、2.、3.において、二個所の各汚染物質流入地点11,11より流入する汚染物質の流入量は500kg/日に設定している。
【0070】
各事例1.、2.、3.について、上記した計算条件にもとづいて計算した結果を、以下に示す。
すなわち、事例1.における潮流計算結果を図42及び図43に示しており、図42は最大下げ潮時を示し、また、図43は最大上げ潮時を示している。
【0071】
そして、図44は、潮汐残差流の計算結果を示しており、また、図45では、定常状態の汚染物質濃度分布の計算結果を示している。
かかる事例1.においては、図44に示すように、強い潮汐残差流はほとんど生成されず、図45に示すように、汚染物質流入地点11,11より流入する汚染物質も、同汚染物質流入地点11,11の近傍に大部分が滞留していることがわかる。
【0072】
次に、事例2.について、潮汐残差流の計算結果を図46に示し、また、定常状態の汚染物質濃度分布の計算結果を図47に示す。
かかる事例2.においては、図46に示すように、湾口の右側部→湾奥の右側部→湾奥の左側部→湾口の左側部へ向かって流れる略U字状の潮汐残差流が生成されていることがわかる。
そして、図47に示すように、汚染物質流入地点11,11より流入した汚染物質は、同汚染物質流入地点11,11より海域Aと海域Bの湾奥側にかけて低濃度のものが分布していることより、上記した潮汐残差流により、汚染物質が湾外へ効率的に流出されていることがわかる。
【0073】
次に、事例3.について、潮汐残差流の計算結果を図48に示し、また、定常状態の汚染物質濃度分布の計算結果を図49に示す。
かかる事例3.においては、図48に示すように、前記事例2.と同様の潮汐残差流が生成されていることがわかる。
そして、図49に示すように、汚染物質流入地点11,11より流入した汚染物質は、事例2.と同様に潮汐残差流により、汚染物質が湾外へ流出されていることがわかる。
【0074】
次に、事例1.、2.、3.のそれぞれについて、海水交換の比較を、表4に示す条件で行なった。
そして、図50〜図53に、事例1.における満潮時の汚染物質濃度分布の計算結果を、潮汐運動の満潮から次の満潮を1周期として、50周期後、100周期後、150周期後、及び200周期後についてそれぞれ示している。
【0075】
かかる事例1.と同様に、事例2.は図54〜図57に示しており、また、事例3.は図58〜図61に示している。
【0076】
図62は、湾内の汚染物質残留率の時間変化を示しており、これより、事例2.が最も汚染物質の残留率が低く、水質浄化効率が良いことがわかる。
【0077】
〔第2実施例〕
第2実施例では、第1実施例における事例1.、2.について、条件を少し変更した事例1.′、2.′の潮流と潮汐残差流と汚染物質濃度分布を計算して、モデル評価した。
【0078】
そして、変更した条件は、水深をh=10(m)=一定とし、事例1.′の海底摩擦係数をγb 2=0.0026、Manningの粗度係数をn=0.0239に設定している。
また、事例2.′のManningの粗度係数と海底摩擦係数は、表5に示す通り設定した。
【0079】
各事例1.′、2.′について、上記した計算条件にもとづいて計算した結果を、以下に示す。
すなわち、事例1.′における潮流計算結果を図63及び図64に示しており、図63は最大下げ潮時を示し、また、図64は最大上げ潮時を示している。
【0080】
そして、図65は、潮汐残差流の計算結果を示しており、また、図66は、定常状態の汚染物質濃度分布の計算結果を示している。
かかる事例1.′においては、図65に示すように、潮汐残差流は左右側の湾岸にわずかに生成されるだけであり、図66に示すように、汚染物質流入地点11,11より流入する汚染物質も、同汚染物質流入地点11,11の近傍に大部分が滞留していることがわかる。
【0081】
次に、事例2.′について、潮汐残差流の計算結果を図67に示し、また、定常状態の汚染物質濃度分布の計算結果を図68に示す。
かかる事例2.′においては、図67に示すように、事例2.と同様に略U字状の潮汐残差流が生成されていることがわかる。
【0082】
そして、図68に示すように、汚染物質流入地点11,11より流入した汚染物質は、同汚染物質流入地点11,11より海域Aの湾奥側にかけて低濃度のものが分布していることより、上記した潮汐残差流により、汚染物質が湾外へ効率的に流出されていることがわかる。
【0083】
次に、事例1.′、2.′のそれぞれについて、海水交換の比較を、第1実施例と同様に、表4に示す条件で行なった。
そして、事例1.′における満潮時の汚染物質濃度分布の計算結果を、50周期後、100周期後、150周期後、及び200周期後毎に、それぞれ図69〜図72に示す。
【0084】
かかる実施例1.′と同様に、事例2.′については、図73〜図76に示す。
【0085】
図77は、湾内の汚染物質残留率の時間変化を示しており、これより、事例2.′の場合、汚染物質の残留率をほぼ0にすることができ、水質浄化効率がきわめて良いことがわかる。
【0086】
〔第3実施例〕
第3実施例では、図78に示すように、開境界を外海まで拡張して設定し、表6に示す条件で数値解析した。
【0087】
図79は、事例3.′を示しており、同事例3.′では、モデル湾10を湾口側と湾奥側とに二等分し、かつ、湾口側の左側半部の海域Aと、湾口側の右側半部の海域Bと、湾奥側の海域Cとに区分けしている。
【0088】
図80は、事例4.′を示しており、同事例4.′ではモデル湾10を湾口近傍側(湾口より湾奥までの1/4の幅)と湾奥側とに二分し、かつ、湾口近傍側の左側の海域Aと、湾口近傍側の右側の海域Bと、湾奥側の海域Cとに区分けしている。
【0089】
図81は、事例5.′を示しており、同事例5.′では、事例3.′における海域Aの左側半部を海域Cとなし、かつ、海域Bの右側半部を海域Cとなしている。
そして、上記した事例3.′、4.′、5.′のManningの粗度係数と海底摩擦係数は、表7に示すとおり設定した。
【0090】
次に、各事例1.′、2.′、3.′、4.′、5.′について、前記した計算条件にもとづいて計算した結果を、以下に示す。
すなわち、図82〜図86は、各事例1.′〜5.′の潮汐残差流の計算結果を示している。
これより、事例2.′〜5.′の潮汐残差流は、ほぼ同様の形態で生成されることがわかる。
【0091】
そして、湾内と外海との海水交換の度合を調べるために、初期時刻に、湾内に一様濃度(C=10.0mg/l)を与えて、事例1.′、2.′、3.′の場合について、湾内に残留した汚染物質の濃度分布を計算し、その結果を、50周期後、100周期後、150周期後、及び200周期後毎に、図87〜図98に示している。
【0092】
図99は、各周期に湾内に残留している全汚染物質量の初期時刻における湾内全物質量に対する比、すなわち、残留率の時間変化について調べた結果を示している。
【0093】
これより、事例2.′と事例3.′については、ほぼ同じ海水交換能力を持っているものと考えられる。
すなわち、粗度を有する底面構造体3の配置の仕方により、少ない粗度で効率良く潮汐残差流を生成することができることが示唆されている。
【0094】
〔第4実施例〕
第4実施例では、図100に示すように、湾口1aの左側半部に防波堤12が構築されたモデル湾10内に生じる既存の潮汐残差流のパターンを、方向特性を有する底面構造体3の配置により変えることができるかどうかを数値解析して検討した。なお、計算条件や境界条件は、前記第3実施例における表6に示す条件と同様である。
【0095】
図101は、比較例としての事例(1)を示しており、同事例(1)では、モデル湾10を左側半分の海域Aと右側半分の海域Bとに区分けしている。
【0096】
図102は、事例(2)を示しており、同事例(2)では、モデル湾10内の右側1/4を海域Aとすると共に、左側3/4を海域Bとして区分けしている。
【0097】
図103は、事例(3)を示しており、同事例(3)では、モデル湾10内の右側半部で、かつ、湾口側半部の1/4の区画を、左右に二分割して、その右側半部を海域Aとすると共に、左側半部を海域Bとして区分けし、これら海域A,B以外の海域を底面構造体Bを配置しない海域Cとしている。
【0098】
図104は、事例(4)を示しており、同事例(4)では、上記事例(3)の海域A,Bの湾奥側半部を海域Cとなしている。
【0099】
そして、上記した事例(1)〜(4)において、矢印の方向を順流方向として、図100のy軸の正方向成分に対して、海底摩擦係数γb 2=0.0026を与えると共に、負方向成分に対して、γb 2=0.0053を与えた。ただし、事例(4)については、逆流に対しては粗度係数差を2倍にして、γb 2=0.0088(n=0.044)を与えた。
また、事例(0)として、モデル湾10内に海底構造体3を配置していない場合を設定した。
【0100】
次に、各事例(0),(1),(2),(3),(4)について、前記した計算条件にもとづいて計算した結果を、以下に示す。
すなわち、図105〜図114は、各事例(0)〜(4)における1周期分の潮汐流の計算結果を平均することにより得られた潮汐残差流とその流線の計算結果を示している。
これより、事例(0)で、湾スケールの循環流が形成され、事例(1)では、事例(0)で湾内に既に存在していた湾スケールの循環流が強化され、事例(2)〜(4)では、外海に発達した循環流が湾内部にまで侵入していることがわかる。
【0101】
このことは、底面構造体3の配置を工夫すると共に、方向粗度差の大きい底面構造体3を配置することにより、潮汐残差流をより効率良く制御することができることを示唆している。
【0102】
また、事例(1)のように、湾内の循環流を強化するだけでなく、事例(2)〜(4)のように、湾口付近の外海の循環流を変化させて湾内へ侵入させることにより、外海の循環流と湾内の循環流とを混合させることができて、外海との海水交換をより活発化させることができる。
【0103】
次に、底面構造体による潮汐残差流の制御が海水交換へ及ぼす影響について調べるために、湾内に標識粒子を配置して、粒子追跡計算(Euler-Lagrange法)を行った。
【0104】
この際、各時刻における粒子の位置ベクトルは、次の式により計算した。
【0105】
【数8】
【0106】
そして、前記各事例(0)〜(4)について得られた1周期分の流速データを基に、標識粒子の移動を計算した。計算時間間隔は、粒子の移動距離が1メッシュ以上にならないようにΔt=150秒と設定した。境界付近の処理は、壁面で粒子は完全反射し、開境界から流出した粒子は再び計算領域内へは戻らないものとした。なお、乱流拡散・移流分散による効果は、今回の計算には取り入れなかった。
【0107】
海水交換率を評価する境界線は、図100に示す湾口部のラインa′−b′とし、標識粒子をラインより湾内側全域に1メッシュ(500m×500m)当たり25個、計10,000個配置し、下げ潮最強時から始まる1潮汐間にわたって各粒子の軌跡を計算した。
【0108】
そして、潮汐の1周期間で境界線よりも外側へ出た粒子が代表する湾内水の体積が最大となるとき(通常は最干潮時付近)の体積をVmaxとし、1周期後の下げ潮最強時にライン外側へ残っている粒子が代表する体積をVresとして、海水交換率を次の式で定義している。
【0109】
【数9】
【0110】
本実施例では、この海水交換率EXにより底面粗度の効果を評価した。
【0111】
粒子追跡計算結果の一例として、事例(0)〜(4)のVmaxとVresが得られた時刻の湾口部付近の粒子の分布を図115〜図124に示す。また、各事例(0)〜(4)において得られたVmax,Vres,海水交換率EXの値を表8に示す。
【0112】
この結果によると、事例(4)が最も海水交換が活発化されており、底面構造体を敷設しない場合(事例(0))の約2倍の交換率が得られている。事例(4)は、底面構造体を配置した面積は最も小さかったが、粗度差を他の事例(1)〜(3)より大きく設定したものであったことより、海水交換率を大きくするには湾口付近に局所的に強い粗度差を与えて過度の発生を促進させることが重要であることが推定できる。
【0113】
次に、湾内水の長期的な交換能力について比較するために、粒子追跡計算を60周期(約1ケ月)にわたって行った。初期時刻から15周期後と60周期後の最大下げ潮時の粒子の分布を事例(0)〜(4)について図125〜図134に示す。
また、初期時刻に湾内に配置された全粒子のうち、各周期の最後の時刻(最大下げ潮時)に湾内に存在している粒子残存率の経時変化を図135に示す。
【0114】
これらの結果を比較すると、比較的初期の段階でき海水交換率の大きい事例(4)が湾内水を外海に流出させる能力が大きいことが分るが、10周期を過ぎると外海への流出が少なくなっている。20周期程度からむしろ事例(2)の方が残存率が下がっており、長期間にわたる交換能力は最も優れているという結果になった。
【0115】
また、事例(2)が湾口から湾奥まで粗度を配置していたのに対し、事例(4)が湾口部付近にのみ強い抵抗差を与えていたことを考えると、閉鎖性海域の海水交換の促進には、湾口部の海水交換能力の引き上げと湾全体にわたるスケールの循環流により湾奥部の海水を湾口付近に運ぶ機能の2つが必要であることが分かる。
【0116】
〔第5実施例〕
第5実施例では、前記した基本形態としての底面構造体3及び第8〜第14変形例としての底面構造体3について、室内実験により、順流方向と逆流方向の抵抗特性の検討を行なった。
【0117】
本実験では、順流方向と逆流方向の抵抗差が最も大きくなるような単体底面構造体の最適形状を調べるために、図136に示す実験装置Mを用いて、各底面構造体に作用する効力を測定した。
【0118】
まず、実験装置Mについて説明すると、同実験装置Mは、図136〜138に示すように、水路形成体40の上流側に整水板41を設け、中央部に抗力測定装置42を設け、下流側に可動堰43を設け、同水路形成体40の上流側直上方位置に給水部44を配設して構成している。
そして、水路形成体40は、中途部に水路床40aと左右内側壁40b,40bを設けて、内外側二重構造となしている。
【0119】
また、抗力測定装置42は、水路床40aの中央部に形成した開口部45中に、粗度設置板46を配置すると共に、同粗度設置板46を三枚の燐青銅板47,47,47により上流側2点、下流側1点の三点で支持し、下流側の燐青銅板47に歪みゲージ48を貼設している。
【0120】
図136〜図138において、L1=6000mm,L2=1800mm,L3=3000mm,L4=1200mm,L5=1700mm,L6=200mm,L7=1100mm,H1=100m,H2=385mm,H3=15mm,H4=80mm,W1=424mm,W2=38mm,W3=38m,W4=250mm,W5=2mm,W6=2mm,t2=1mm,t3=2mm,t4=2mmである。
【0121】
このようにして、抗力は、粗度設置板46に働く力により生じる燐青銅板47の変形を歪みゲージ48により読み取り、実験前後に行なう検定から得られるキャリブレーション曲線より換算して求めた。なお、粗度設置板46は、粗度としての底面構造体3を設置したときに、上面が水路床40aの上面と面一となるように調節する。
【0122】
次に、実験方法について説明すると、本実験では、粗度としての底面構造体3を粗度載置板46上に固定した状態で、順流方向(添字fで表示)と逆流方向(添字bで表示)に対して、それぞれ粗度設置板46に作用する全抗力(Df,Db)を測定し、その後、底面構造体を取外した状態で粗度設置板46に作用する底面摩擦力(Ff,Fb)を測定して、この値を差し引くことにより、各底面構造体に作用する抗力(τf=Df−Ff,τb=Db−Fb)を求めた。
また、水深hは、粗度設置板46の前後1mの二個所でサーボ式水位計(図示せず)を用いて測定し、両測定値の平均値により求めた。流量Qは流量バケツ(図示せず)により測定した。
【0123】
以上の要領で測定したτ,h,Qを用いて、次の式により各底面構造体の抗力係数Cdを求めた。
【0124】
【数10】
【0125】
ここで、τは粗度の抗力、ρは水の密度、Aは粗度の流れ方向への投影面積、Uは断面平均流速(=Q/hB,B=42.4cm)である。
そして、実験条件は、表9に示す通りである。
【0126】
ここで、粗度NO.1は、図139及び図140に示す1/4球形状の底面構造体3、粗度NO.2は、図12及び図13に示す第8変形例としての底面構造体、粗度NO.3は、図14及び図15に示す第9変形例としての底面構造体、粗度NO.4は、図16及び図17に示す第10変形例としての底面構造体、粗度NO.5は、図18及び図19に示す第11変形例としての底面構造体、粗度NO.6は、図20及び図21に示す第12変形例としての底面構造体、粗度NO.7は、図22及び図23に示す第13変形例としての底面構造体、粗度NO.8は、図24及び図25に示す第14変形例としての底面構造体である。
【0127】
そして、図140において、θ1は、底面構造体3の水路床40aから開口面までの角度、θ2は、同底面構造体3の球面の開き角度である。
また、粗度NO.1〜NO.8の粗度高さk,粗度半径r,肉厚t,粗度幅b,角度θ,間隔1の具体的数値は、表10に示す通りである。
【0128】
また、方向粗度差としての抗力係数差ΔCdは、順流方向の抗力係数Cdfを逆流方向の抗力係数Cdbから差し引いた値として得ることができ、同じ抗力係数差ΔCdの場合には、順流方向の抗力係数が小さい方が有利といえる。
そこで、底面構造体の総合評価として、次の式に示す抗力係数差ΔCdと順流方向の抗力係数Cdfとの比αにより効率を比較した。
【0129】
【数11】
【0130】
各粗度NO.1〜NO.8の抗力係数差ΔCdを図141〜図143に示し、α=ΔCd/Cdfを図144〜図146に示す。
これより、粗度NO.7,NO.8が抗力係数差ΔCdに関して大きな値をとっており、粗度NO.8はΔCd/Cdfに関しても比較的大きな値をとっている。
【0131】
以上のことから、粗度NO.7と粗度NO.8の底面構造体が、最も効果的であると考えられる。
また、粗度NO.1や粗度NO.3のような単純な形状の底面構造体3でも、比較的大きなΔCd,ΔCd/Cdfの値をとることがわかった。
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
1.本発明では、海域における海底面であって、潮汐流に面する海底面に、潮汐流を用いて潮汐流を制御するための、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有する底面構造体を複数配置して、新たな潮汐残差流を生成するようにしているために、閉鎖性海域の流路の幅に関係なく、外海とつながる潮汐残差流を生成することができて、かかる潮汐残差流により海水の交換を活発化させて、閉鎖性海域を開放性海域と同等にすることができる。
【0133】
しかも、潮汐残差流の流れ方向は、潮汐流れを制御するための底面構造体の配置位置と大きさを設定することにより、自由に、かつ、任意の方向に設定することができ、閉鎖性海域であった場所に、新しい流れを創造して、閉鎖性海域を開放性海域と同等にすることができる。
従って、かかる海域内に河川や排水路等から汚濁・汚染した水等が流入した場合にも、かかる汚濁・汚染した水等は外海域に流出されて湾内に滞留することが少なくなり、経時的に閉鎖性海域であった場所の水質を浄化することができると共に、水質汚濁を防止することができる。
【0134】
さらに、海底面に配置する底面構造体によって、湧昇流が形成されるために、成層を破壊することができると共に、成層化現象の発生を抑制することができ、栄養分に富んだ深層水を、水面近傍の貧栄養水域層に供給する一方、溶存酸素の豊富な水面近傍の表層水を、無酸素若しくは貧酸素状態の深層に供給することができ、安定したプランクトン増殖システムを構築することができて、安定した漁場の形成や、海洋の環境保全に資することができる。
また、底面構造体の表面を、藻類等の海草類が付きやすい材質や形状にすることにより、藻場を育成することもできる。
【0135】
以上のように、本発明では、沿岸域の新しい水環境を創造することができる。
【0136】
特に、底面構造体は粗度を有するものであるために、構造簡易にして以上の効果を得ることができる。
【0137】
また特に、底面構造体は、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有するものであるために、大きな方向粗度差を得ることができ、所望の潮汐残差流を生成することができて、以上の効果を効率良く得ることができる。
【0138】
2.本発明では、海域における海底面であって、潮汐流に面する海底面に、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有する底面構造体を、潮汐流の流れ方向に沿わせて配置すると共に、潮汐流に所望の方向への運動量を付与する運動量付与面を有する底面構造体を、潮汐流の流れ方向と交差する方向に沿わせて配置して、曲線的な流れのパターンをもつ新たな潮汐残差流を生成するものであるために、湾内に所望の潮汐残差流を効率良く生成することができて、湾内に汚染物質等が滞溜するのを確実に防止することができる。
【0139】
特に、底面構造体は、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有するものであるために、大きな方向粗度差を得ることができ、所望の潮汐残差流を生成することができて、以上の効果を効率良く得ることができる。
また特に、底面構造体は、潮汐流に所望の方向への運動量を付与する運動量付与面を有するものであるために、同運動量付与面に潮汐流があたると、同運動量付与面より潮汐流に新たに運動量成分が加えられて、潮汐流の1周期平均により運動量成分のベクトルを合成した方向に残差運動量が発生し、同残差運動量が経時的に潮汐残差流を生成する。
従って、かかる底面構造体は、潮汐流の流れ方向と交差する方向に沿わせて配置することにより、曲線的な新たな潮汐残差流を確実に生成することができる。
【0140】
3.本発明では、底面構造体は、漁礁・魚巣機能を有するものであるために、上記1.、2.の効果に加えて、新たに開放性海域と同等になった場所に、養殖場を形成することができる。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
【表8】
【0149】
【表9】
【0150】
【表10】
【0151】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る潮汐残差流の生成方法を示す概念説明図。
【図2】同潮汐残差流の生成に使用する底面構造体の斜視説明図。
【図3】同底面構造体による成層化防止の説明図。
【図4】同底面構造体の使用説明図。
【図5】同底面構造体の第1変形例を示す斜視説明図。
【図6】同底面構造体の第2変形例を示す斜視説明図。
【図7】同底面構造体の第3変形例を示す斜視説明図。
【図8】同底面構造体の第4変形例を示す斜視説明図。
【図9】同底面構造体の第5変形例を示す斜視説明図。
【図10】同底面構造体の第6変形例を示す斜視説明図。
【図11】同底面構造体の第7変形例を示す斜視説明図。
【図12】同底面構造体の第8変形例を示す斜視図。
【図13】同変形例の説明図。
【図14】同底面構造体の第9変形例を示す斜視図。
【図15】同第9変形例の説明図。
【図16】同底面構造体の第10変形例を示す斜視図。
【図17】同第10変形例の説明図。
【図18】同底面構造体の第11変形例を示す斜視図。
【図19】同第11変形例の説明図。
【図20】同底面構造体の第12変形例を示す斜視図。
【図21】同第12変形例の説明図。
【図22】同底面構造体の第13変形例を示す斜視図。
【図23】同第13変形例の説明図。
【図24】同底面構造体の第14変形例を示す斜視図。
【図25】同第14変形例の説明図。
【図26】本発明に係る潮汐残差流の生成方法を示す説明図。
【図27】他の実施例としての潮汐残差流の生成方法を示す説明図。
【図28】他の実施例としての底面構造体の平面説明図。
【図29】同底面構造体の斜視図。
【図30】他の実施例としての底面構造体の平面説明図。
【図31】同底面構造体の斜視図。
【図32】同底面構造体の斜視説明図。
【図33】同底面構造体の斜視説明図。
【図34】潮汐残差流の生成説明図。
【図35】もう一つの他の実施例としての潮汐残差流の生成方法を示す説明図。
【図36】もう一つの他の実施例としての底面構造体の斜視図。
【図37】モデル湾の説明図。
【図38】同底面せん断応力のモデル化の説明図。
【図39】事例1.の場合のモデル湾の説明図。
【図40】事例2.の場合のモデル湾の説明図。
【図41】事例3.の場合のモデル湾の説明図。
【図42】潮流計算結果図(最大下げ潮時)。
【図43】潮流計算結果図(最大上げ潮時)。
【図44】潮汐残差流計算結果図。
【図45】汚染物質濃度分布計算結果図(定常状態)。
【図46】潮汐残差流計算結果図。
【図47】汚染物質濃度分布計算結果図(定常状態)。
【図48】潮汐残差流計算結果図。
【図49】汚染物質濃度分布計算結果図(定常状態)。
【図50】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図51】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図52】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図53】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図54】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図55】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図56】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図57】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図58】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図59】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図60】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図61】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図62】湾内の汚染物質残留率の時間変化図。
【図63】潮流計算結果図(最大下げ潮時)。
【図64】潮流計算結果図(最大上げ潮時)。
【図65】潮汐残差流計算結果図。
【図66】汚染物質濃度分布計算結果図(定常状態)。
【図67】潮汐残差流計算結果図。
【図68】汚染物質濃度分布計算結果図(定常状態)。
【図69】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図70】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図71】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図72】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図73】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図74】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図75】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図76】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図77】湾内の汚染物質残留率の時間変化図。
【図78】第3実施例としてのモデル湾の説明図。
【図79】事例3.′の場合のモデル湾の説明図。
【図80】事例4.′の場合のモデル湾の説明図。
【図81】事例5.′の場合のモデル湾の説明図。
【図82】事例1.′の場合の潮汐残差流計算結果図。
【図83】事例2.′の場合の潮汐残差流計算結果図。
【図84】事例3.′の場合の潮汐残差流計算結果図。
【図85】事例4.′の場合の潮汐残差流計算結果図。
【図86】事例5.′の場合の潮汐残差流計算結果図。
【図87】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図88】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図89】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図90】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図91】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図92】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図93】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図94】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図95】汚染物質濃度分布計算結果図(50周期後)。
【図96】汚染物質濃度分布計算結果図(100周期後)。
【図97】汚染物質濃度分布計算結果図(150周期後)。
【図98】汚染物質濃度分布計算結果図(200周期後)。
【図99】湾内の汚染物質残留率の時間変化図。
【図100】モデル湾の説明図。
【図101】事例(1)の場合のモデル湾の説明図。
【図102】事例(2)の場合のモデル湾の説明図。
【図103】事例(3)の場合のモデル湾の説明図。
【図104】事例(4)の場合のモデル湾の説明図。
【図105】事例(0)の場合の潮流計算結果図。
【図106】同事例(0)の場合の潮汐残差流の流線図。
【図107】事例(1)の場合の潮流計算結果図。
【図108】同事例(1)の場合の潮汐残差流の流線図。
【図109】事例(2)の場合の潮流計算結果図。
【図110】同事例(2)の場合の潮汐残差流の流線図。
【図111】事例(3)の場合の潮流計算結果図。
【図112】同事例(3)の場合の潮汐残差流の流線図。
【図113】事例(4)の場合の潮流計算結果図。
【図114】同事例(4)の場合の潮汐残差流の流線図。
【図115】事例(0)の場合の粒子追跡計算結果図(Vmaxが得られた時刻)。
【図116】同事例(0)の場合の粒子追跡計算結果図(Vresが得られた時刻)。
【図117】事例(1)の場合の粒子追跡計算結果図(Vmaxが得られた時刻)。
【図118】同事例(1)の場合の粒子追跡計算結果図(Vresが得られた時刻)。
【図119】事例(2)の場合の粒子追跡計算結果図(Vmaxが得られた時刻)。
【図120】同事例(2)の場合の粒子追跡計算結果図(Vresが得られた時刻)。
【図121】事例(3)の場合の粒子追跡計算結果図(Vmaxが得られた時刻)。
【図122】同事例(3)の場合の粒子追跡計算結果図(Vresが得られた時刻)。
【図123】事例(4)の場合の粒子追跡計算結果図(Vmaxが得られた時刻)。
【図124】同事例(4)の場合の粒子追跡計算結果図(Vresが得られた時刻)。
【図125】事例(0)の場合の粒子追跡計算結果図(15周期後)。
【図126】同事例(0)の場合の粒子追跡計算結果図(60周期後)。
【図127】事例(1)の場合の粒子追跡計算結果図(15周期後)。
【図128】同事例(1)の場合の粒子追跡計算結果図(60周期後)。
【図129】事例(2)の場合の粒子追跡計算結果図(15周期後)。
【図130】同事例(2)の場合の粒子追跡計算結果図(60周期後)。
【図131】事例(3)の場合の粒子追跡計算結果図(15周期後)。
【図132】同事例(3)の場合の粒子追跡計算結果図(60周期後)。
【図133】事例(4)の場合の粒子追跡計算結果図(15周期後)。
【図134】同事例(4)の場合の粒子追跡計算結果図(60周期後)。
【図135】粒子残存率の経時変化図。
【図136】実験装置の側面説明図。
【図137】同実験装置の平面説明図。
【図138】抗力測定装置の拡大側面説明図。
【図139】1/4球形状の底面構造体の斜視図。
【図140】同底面構造体の説明図。
【図141】条件1における抗力係数を比較したグラフ。
【図142】条件2における抗力係数差を比較したグラフ。
【図143】条件3における抗力係数差を比較したグラフ。
【図144】条件1における効率を比較したグラフ。
【図145】条件2における効率を比較したグラフ。
【図146】条件3における効率を比較したグラフ。
Claims (3)
- 海域における海底面であって、潮汐流に面する海底面に、潮汐流を用いて潮汐流を制御するための、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有する底面構造体を複数配置して、新たな潮汐残差流を生成することを特徴とする海域における潮汐残差流の生成方法。
- 海域における海底面であって、潮汐流に面する海底面に、順流があたる球面部または円弧状凸面と、逆流があたる凹状の開口部または壁面部とを有する底面構造体であって、前記球面部または円弧状凸面によって形成される、順流方向の潮汐流に対する順流側粗度と、前記凹状の開口部または壁面部によって形成される、逆流方向の潮汐流に対する逆流側粗度との間に生じる方向粗度差を有する底面構造体を、潮汐流の流れ方向に沿わせて配置すると共に、潮汐流に所望の方向への運動量を付与する運動量付与面を有する底面構造体を、潮汐流の流れ方向と交差する方向に沿わせて配置して、曲線的な流れのパターンをもつ新たな潮汐残差流を生成することを特徴とする海域における潮汐残差流の生成方法。
- 底面構造体は、漁礁・魚巣機能を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の海域における潮汐残差流の生成方法。
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