JP3361248B2 - 光ファイバ用ガラス母材の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

光ファイバ用ガラス母材の製造方法及びその製造装置

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康博 中島
忠克 島田
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
    • C03B37/012Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments
    • C03B37/014Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments made entirely or partially by chemical means, e.g. vapour phase deposition of bulk porous glass either by outside vapour deposition [OVD], or by outside vapour phase oxidation [OVPO] or by vapour axial deposition [VAD]
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ用ガラ
ス母材の製造方法及びその製造装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、VAD法による光ファイバ用ガラ
ス母材の製造においては、製造装置のチャンバー内を密
閉してバーナを点火した後、これにガラス原料ガスを流
して火炎加水分解反応により生成するガラス微粒子を、
ターゲットに堆積させこれを軸方向に成長させて多孔質
ガラス母材を作製していた。しかしながら、チャンバー
の大型化、チャンバー内への遮熱板や整流板の挿入、各
部の精度アップのための固定具等の挿入により、バーナ
の点火直後のチャンバー内の温度が低い間、酸水素火炎
反応で生じた水分がチャンバー内で結露して酸性の水滴
となって流れ、チャンバー内の金属部品を腐食し、装置
の耐久性が無くなる等の問題が生じてきた。また、この
腐食物は塩素化合物からなり、スートの製造中に製品に
混入して、光ファイバ用ガラス母材の泡や異物の原因と
なり、光ファイバとしたとき伝送損失が増大する原因と
なっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に鑑み、本発
明は、VAD法において、バーナ点火直後のチャンバー
内が冷えた状態においても結露が生じない光ファイバ用
ガラス母材の製造方法及びその製造装置の提供を課題と
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、光ファイバ用
ガラス母材の製造方法において、バーナの火炎中で合成
したガラス微粒子をターゲットに堆積させ多孔質光ファ
イバ母材を製造する際に、バーナ点火直後のチャンバー
内壁が冷えた状態において、チャンバー内に大量の大気
を導入し結露を防止しながら前記内壁の温度を上げてい
き、内壁が規定の温度に達するまで、上昇する内壁の
度に合わせてその温度に適した大気導入量となるように
調整し、規定の温度に達した後は大気の導入を中止し、
堆積を開始することを特徴とするものであり、また、そ
の製造装置としては、バーナ、ターゲット及び排気管に
加えて、温度計及び内圧測定器を具備するガラス母材の
製造装置に、チャンバー内壁の温度を測定して、該温度
に適した大気導入量になるように、また、規定の温度後
では密閉するように、開口部の開度を調整する開度自動
調整機構を設けたものである。
【0005】本発明によるVAD法によるガラス母材の
製造では、バーナに点火後、チャンバー内面が一定の温
度に加熱されるまで、大気導入用の開口部の開度を調整
しつつ、大量の大気をチャンバー内に導入するため、酸
水素炎の反応で生じた水分が、チャンバー内壁やチャン
バー内の金属部品上で凝集することがないため、金属部
品の腐食がなくガラス母材の製造を行うことができる。
また、金属部品の腐食によりチャンバー内に発生してい
た不純物を抑制できるため、製造工程での母材中への不
純物の混入がなくなり、泡、異物のない母材が得られ、
伝送損失の小さい光ファイバを製造することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る光ファイバ用
ガラス母材の製造装置の縦断面図で、チャンバー1に
は、バーナ2、排気管3、ターゲット4、遮熱板5、熱
電対6及び大気導入用の開口部7が配置されており、図
2は更に開口部7に開度自動調整機構8が配置された図
である。図1では、大気導入用の開口部7の開度は、チ
ャンバー内壁の温度の測定結果に基づき、その温度に適
した大気導入量になるように、また、規定の温度後では
密閉するように調整される。この大気導入量は、その温
度で結露しない程度の量とすれば良く、また上記の規定
温度とは大気を導入しなくても結露が生じない温度で、
チャンバー内の減圧下において水の沸点以上とすればよ
い。図2では、大気導入用の開口部7の開度は、熱電対
6によるチャンバー内壁の温度の測定結果に基づき、開
度自動調整機構8により調整され、チャンバー内壁温度
が常温から徐々に上昇するに伴い、上昇する内壁の温度
に合わせて開口部を徐々に閉めていき、大気の導入量を
減じる。その後、規定の温度に達したところで大気の導
入を断ち、内圧が所定の微減圧になったことを確認して
ガラス微粒子の堆積が開始される。なお、開度自動調整
機構8としては、比例制御弁、開口度を調整できる機能
を有した閉鎖板等が挙げられる。
【0007】本発明では、チャンバー内の金属部品の腐
食の原因である点火直後のチャンバー内壁に結露する水
滴を防止するため、チャンバーに大気導入用の開口部を
設け、バーナに点火後チャンバー壁温が一定の温度に達
するまで開口部より大量の大気を導入して結露を防止
し、チャンバー壁温が上昇し、結露しない温度になった
ところで大気導入用の開口部を全閉し、バーナに原料ガ
スを供給してスートの堆積を開始する。
【0008】
【実施例】
(実施例1)図1のガラス母材製造装置を用いて下記の
とおり行った。図に示すように、チャンバー1内にター
ゲット4がつり下げられて回転しており、その下端にス
ートプリフォームが堆積される。スートプリフォームの
原料ガスの四塩化珪素ガスとドーパントの四塩化ゲルマ
ニウムガスを供給する前にバーナ2に酸素ガスと水素ガ
スを供給して点火をするが、この後原料ガスとドーパン
トガスを供給するまでの間、大気導入用の開口部7を開
けてチャンバー1内に大気を導入し、チャンバー内壁温
度が常温から徐々に上昇するに伴い開口部7を徐々に閉
めていき、内壁温度が80℃に達したところで全閉とし
て、バーナに原料ガスの四塩化珪素ガスとドーパントの
四塩化ゲルマニウムガスを供給してスートの堆積を開始
した。その結果、チャンバー内に水滴が付くことはな
く、外径100 mm、長さ1,000 mmの多孔質ガラス母材の引
上げを15本行ったが、チャンバー内の金属部品等に腐食
は起こらなかった。また、これらの15本の多孔質ガラス
母材を1,000 ℃で脱水し、1,500 ℃で焼結、透明ガラス
化した光ファイバ用プリフォームは泡や異物が認められ
なかった。
【0009】(実施例2)図2のガラス母材製造装置を
用いて下記のとおり行った。図に示すように、チャンバ
ー外壁部に熱電対6を取り付け外壁温度を測定し、外壁
部の温度が50℃に達するまでは開口部7を全開とし、そ
の後温度上昇に合わせ、開度自動調整機構8により開口
部7を徐々に閉めていき、外壁温度が80℃に達したとこ
ろで全閉となるように制御した。また開口部7が全閉と
なり、内圧が所定の微減圧になったことを内圧測定器9
で確認し、バーナ2に原料ガスの四塩化珪素ガスとドー
パントの四塩化ゲルマニウムガスを供給してスートの堆
積を開始した。その結果、チャンバー内に水滴が付くこ
とはなく、外径100 mm、長さ1,000 mmの多孔質ガラス母
材の引上げを20本行ったが、チャンバー内の金属部品等
に腐食は起こらなかった。また、これらの20本の多孔質
ガラス母材を1,000 ℃で脱水し、1,500 ℃で焼結、透明
ガラス化した光ファイバ用プリフォームは泡や異物が認
められなかった。
【0010】
【発明の効果】本発明によると、酸水素火炎の反応で生
じた水分が、チャンバー内壁やチャンバー内の金属部品
上で凝集することがないため、金属部品を腐食すること
なく、また、金属部品の腐食によりチャンバー内に発生
していた不純物を抑制できるため、製造工程での母材中
への不純物の混入がなく、泡、異物の無い母材が得ら
れ、伝送損失の小さい光ファイバを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造装
置の縦断面図である。
【図2】本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造装
置の他の例の縦断面図である。
【符号の説明】
1…チャンバー 2…バーナ 3…排気管 4…ターゲット 5…遮熱板 6…熱電対 7…開口部 8…開度自動調整機構 9…内圧測定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平沢 秀夫 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (56)参考文献 特開 平8−217480(JP,A) 特開 平4−362034(JP,A) 特開 昭59−39737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 37/018 G03B 8/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バーナの火炎中で合成したガラス微粒子
    をターゲットに堆積させ多孔質光ファイバ母材を製造す
    る際に、バーナ点火直後のチャンバー内壁が冷えた状態
    において、チャンバー内に大量の大気を導入し結露を防
    止しながら前記内壁の温度を上げていき、内壁が規定の
    温度に達するまで、上昇する内壁の温度に合わせてその
    温度に適した大気導入量となるように調整し、規定の温
    度に達した後は大気の導入を中止し、堆積を開始するこ
    とを特徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
  2. 【請求項2】 バーナの火炎中で合成したガラス微粒子
    をターゲットに堆積させ多孔質光ファイバ母材を製造す
    る装置において、バーナ、ターゲット及び排気管に加え
    て、温度計及び内圧測定器を備え、チャンバー内壁の温
    度を測定して、該温度に適した大気導入量になるよう
    に、また、規定の温度後では密閉するように、開口部の
    開度を調整する開度自動調整機構を有することを特徴と
    する光ファイバ用ガラス母材の製造装置。
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