JP3360846B2 - 疎水性シリカ形成用シリカゾル並びに疎水性シリカ被膜及び疎水性シリカ粉体 - Google Patents
疎水性シリカ形成用シリカゾル並びに疎水性シリカ被膜及び疎水性シリカ粉体Info
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Description
シリカゾル並びにそのシリカゾルにより形成された疎水
性シリカ被膜及び疎水性シリカ粉体に関する。
常のシリカゲルの粉体を形成した後、そのシリカゲルの
表面シラノール(水酸基)を、例えばトリメチルシラン
クロリドやビス(オクタドデシル)シランジクロリドの
ような有機ケイ素の塩素化合物により保護する方法が知
られていた。一方、疎水性シリカ被膜については、現在
までその存在は知られていない。
疎水性シリカ粉体の製法では、一度シリカ粉体を形成し
た後、更に疎水性を付与するための処理工程が必要であ
るため、工程が繁雑だった。このため、シリカ粉体を形
成すると同時に、それらが疎水性を付与しているといっ
た製法が望まれていた。更に、疎水性シリカ被膜の製造
が望まれていた。
た工程により得られる疎水性シリカ粉体、及び新規に製
造された疎水性シリカ被膜の提供を目的とする。
決するため、本発明の第1発明の疎水性シリカ形成用シ
リカゾルは、炭素数1〜4のアルキル基を有するオルト
ケイ酸アルキルと、該オルトケイ酸アルキルに対する体
積比が0.1〜0.8の水と、四塩化炭素、ニトロメタ
ン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘ
キサクロロエタン、シクロヘキサノン、クロルベンゼ
ン、o−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、
1,3,5−トリクロルベンゼン、ニトロベンゼン、ベ
ンゾニトリルのうちから選択された1種又は2種以上の
化合物と、メタノールまたはエタノールとを、酸の存在
下で混合撹拌することによって得られる。
のシリカゾルを基材表面に塗布後乾燥することによって
形成される。第3発明の疎水性シリカ粉体は、第1発明
のシリカゾルを乾燥することによって得られる。
は、メタノールまたはエタノールの存在下、炭素数1〜
4のアルキル基を有するオルトケイ酸アルキルを、該オ
ルトケイ酸アルキルに対する体積比が0.1〜0.8の
水を含有する酸性水により加水分解した後、四塩化炭
素、ニトロメタン、アセトニトリル、塩化メチレン、ク
ロロホルム、ヘキサクロロエタン、シクロヘキサノン、
クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、p−ジクロル
ベンゼン、1,3,5−トリクロルベンゼン、ニトロベ
ンゼン、ベンゾニトリルのうちから選択された1種又は
2種以上の化合物を添加し、混合撹拌して調製すること
によって得られる。
のシリカゾルを基材表面に塗布後乾燥することによって
形成される。第6発明の疎水性シリカ粉体は、第4発明
のシリカゾルを乾燥することによって得られる。
いて詳述する。オルトケイ酸アルキルのアルキル基は、
炭素数1〜4のアルキル基であり、この中で特にメチル
基、エチル基が好ましい。炭素数が5以上のアルキル基
では、ゾルの調製時に粘度が上昇したり、粉体化が起き
たりするため好ましくない。
オルトケイ酸アルキルに対する体積比が0.01〜1、
特に0.1〜0.5であることが好ましい。使用する水
の量は、調製するゾルの粘度を決定する重要な要因であ
ると同時に、調製したゾルにより形成したシリカ被膜又
は粉体の疎水性の程度を支配する要因でもある。そのた
め、使用する水の量は、オルトケイ酸アルキルに対する
体積比が0.1〜0.8の範囲で設定しなければならな
い。水の量が下限より少ない場合は、加水分解が不十分
となる。一方、上限より多い場合は、加水分解速度が速
すぎるためゾルからゲルに変化してしまい、被膜形成が
困難となるのみならず、そのシリカゾルにより形成した
シリカ被膜又は粉体の疎水性が十分得られない。
ル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサクロロエタ
ン、シクロヘキサノン、クロルベンゼン、o−ジクロル
ベンゼン、p−ジクロルベンゼン、1,3,5−トリク
ロルベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリルのうち
から選択された1種又は2種以上の化合物の添加量は、
オルトケイ酸アルキルに対して0.1〜1(g/vo
l.)、特に0.2〜0.8(g/vol.)であるこ
とが好ましい。添加量が下限より少ないと疎水性に乏し
くなり、上限より多いとメタノールまたはエタノールへ
の溶存性が低下し、反応に寄与しないものが多くなるた
め好ましくない。
酸等に代表される無機酸、及び酢酸等に代表される有機
酸を使用することができる。このうち、特に塩酸が好ま
しい。酸の使用量については、系内のpHが1.0〜
3.0、特に2.0付近となるように設定するのが好ま
しい。系内のpHが下限より低い、あるいは上限より高
いと、ゾルの安定性が悪くなり、好ましくない。
〜70℃、好ましくは20〜40℃で、5〜80分、好
ましくは20〜60分行う。この条件範囲を逸脱した場
合、適正なシリカゾルを得ることが難しくなる傾向にあ
る。このようにして得られるシリカゾルの生成直後のB
型粘度計での測定値は、3〜7cPを示す。
る。第2発明に使用する基材は、通常ステンレス、鉄
板、アルミニウム、銅などの金属及びガラス、石英など
の無機質のものが挙げられ、中でもステンレス、ガラス
及び石英が好ましい。また、耐熱性及び耐溶媒性を有す
る合成樹脂を基材とすることもできる。これらの基材の
形状は特に限定されないが、通常板状が好ましい。被膜
を施す基材は、予め、通常の方法によりその表面を洗浄
し脱脂しておくことが好ましい。
疎水性シリカ被膜を形成する方法としては、特に限定す
るものではないが、例えばディッピング法、ドクターブ
レード法、スプレー又はローラーによる塗布等が挙げら
れ、この中で特にディッピング法が好ましい。
に基材を浸漬し、次いで引き上げ、最後に乾燥して被膜
を形成する。以下にディッピング法について説明する。 <浸漬、引き上げ工程>基材を第1発明のシリカゾル中
に浸漬する場合、通常、基材はゾル溶液面に対してほぼ
垂直に浸漬し、またほぼ垂直に引き上げる。浸漬処理時
の温度は、通常、10〜50℃であり、浸漬時間は、通
常、5〜30分である。浸漬時間が前記下限より短い場
合、基板とのなじみが悪くなり、一方、前記上限より長
くしても被膜を形成する上で特に効果はない。
より引き上げるが、この際の引き上げ速度は、液面に対
してほぼ垂直に0.01〜100mm/sec.、好ま
しくは、0.1〜1mm/sec.である。この引き上
げ速度は、基材の表面に均一に付着したシリカゾルの成
分をそのままの状態を保ちながら引き上げる必要がある
ため、前記範囲内に設定するのが好ましい。また、この
引き上げ速度は、形成する被膜の膜厚に関与する重要な
要因であるため、所定の膜厚に応じて前記範囲内で引き
上げ速度を選定する。 <乾燥工程>引き上げられた基材は、次いで1〜20℃
/min.、好ましくは3〜10℃/min.の昇温速
度で60〜300℃、好ましくは110〜200℃まで
昇温し乾燥することにより、疎水性シリカ被膜を基材表
面上に完全に定着させる。急激な加熱は疎水性シリカ被
膜の形成に悪影響を及ぼす可能性があるため、昇温速度
がこの上限を超えないように注意することが好ましい。
また、加熱温度が下限より低い場合には、強度及び定着
性の面から良好な疎水性シリカ被膜を得ることができ
ず、上限より高い場合には、疎水性でなくなるため好ま
しくない。なお、加熱処理に要する時間は、加熱温度に
到達後、通常、5〜120分である。
被膜が形成されるが、この被膜の膜厚は上記の条件の範
囲を適宜選定することにより、0.1〜2.0μmで調
節することが可能である。また、疎水性シリカ被膜の膜
厚を厚くするために、上記した基材の浸漬処理、引き上
げ、及び加熱処理の一連の操作を繰り返し実施しても差
し支えない。
第1発明のシリカゾルを、1〜20℃/min.、好ま
しくは3〜10℃/min.の昇温速度で60〜300
℃、好ましくは110〜200℃まで昇温し乾燥するこ
とにより、疎水性シリカ粉体を形成させる。急激な加熱
は疎水性シリカ粉体の形成に悪影響を及ぼす可能性があ
るため、昇温速度がこの上限を超えないように注意する
ことが好ましい。また、加熱温度が下限よりも低い場合
には、乾燥、定着が不十分なので、良好な疎水性シリカ
粉体を得ることができず、上限よりも高い場合には、疎
水性でなくなるので好ましくない。なお、加熱処理に要
する時間は、加熱温度に到達後、通常、0.5〜24時
間である。
れるが、この粉体の粒子径は上記の条件の範囲を適宜選
定することにより、0.01〜5000μmの範囲で調
節することができる。引き続いて、第4発明の構成の詳
細について説明する。
ルキル」、「メタノールまたはエタノール」、「水」、
「酸」並びに「四塩化炭素、ニトロメタン、アセトニト
リル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサクロロエタ
ン、シクロヘキサノン、クロルベンゼン、o−ジクロル
ベンゼン、p−ジクロルベンゼン、1,3,5−トリク
ロルベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリルのうち
から選択された1種又は2種以上の化合物」について
は、第1発明の構成と同様である。オルトケイ酸アルキ
ルの加水分解は、通常、10〜70℃で、5〜80分間
行う。混合撹拌を行う際の条件は、10〜70℃、好ま
しく20〜40℃で、5〜80分間、好ましくは20〜
60分間行う。
ン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ヘ
キサクロロエタン、シクロヘキサノン、クロルベンゼ
ン、o−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、
1,3,5−トリクロルベンゼン、ニトロベンゼン、ベ
ンゾニトリルのうちから選択された1種又は2種以上の
化合物」を添加した後の混合撹拌条件は、10〜50
℃、好ましくは20〜40℃で、5〜60分間、好まし
くは10〜30分間行う。以上の条件範囲を逸脱した場
合、例えば、添加物の揮発又は凝固などが起こりやす
く、適正なシリカゾルを得ることが難しくなる傾向にあ
る。
粘度計での測定値は、3〜7cPを示す。第5発明及び
第6発明の構成の詳細については、第4発明のシリカゾ
ルを用いることを除いて、それぞれ第2発明及び第3発
明と同様であるので省略する。
るために、好適な実施例について説明する。ただし、本
発明は以下の実施例により何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の態
様で実施できることはいうまでもない。
OKIMEC製B型粘度計を、FT−IR吸収スペクト
ルの測定には日本分光製FT−IR5MP型をそれぞれ
使用した。 [実施例1] (第1発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
オルトケイ酸エチル50mlと、エタノール10ml
と、蒸留水10mlと、四塩化炭素20gとを混合し、
この系内に塩酸をpH2になるまで加えた後、20℃で
1時間混合攪拌し、静置熟成することにより、透明なゾ
ルを得た。このゾルの粘度は、6cP(20℃)であっ
た。 (第2発明の疎水性シリカ被膜の実施例)上記方法によ
り得たシリカゾル中に、予め洗浄処理したSUS304
ステンレス板(30mm×20mm×0.5mm)をほ
ぼ垂直に全部浸漬し、20℃で30分間保持した後、
0.5mm/sec.の速度でステンレス板をほぼ垂直
に引き上げ、次いでこれを5℃/min.の昇温速度で
170℃まで昇温し、同温度で30分間加熱処理するこ
とにより、疎水性シリカ被膜が形成されたステンレス板
を得た。このときの膜厚は約0.5μmであった。 (第3発明の疎水性シリカ粉体の実施例)上記方法によ
り得たシリカゾルを、5℃/min.の昇温速度で17
0℃まで昇温し、同温度で3時間加熱処理することによ
り、疎水性シリカ粉体を得た。この疎水性シリカ粉体の
粒子径をパーティクル・サイズ・アナライザー(HOR
IBA製LA−500)により測定したところ、この粒
子全体の90%について、平均粒子径が165μmで、
13〜200μmの範囲に分布していた。 [実施例2] (第1発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
蒸留水の量を7.5mlにした以外は、実施例1の疎水
性シリカ形成用シリカゾルの調製と同様にして、シリカ
ゾルを得た。このゾルの粘度は、5cP(20℃)であ
った。 (第2発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例2の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.4μmであった。 (第3発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例2の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [実施例3] (第1発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
蒸留水の量を5mlにした以外は、実施例1の疎水性シ
リカ形成用シリカゾルの調製と同様にして、シリカゾル
を得た。このゾルの粘度は、4cP(20℃)であっ
た。 (第2発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例3の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.3μmであった。 (第3発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例3の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [実施例4] (第1発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
四塩化炭素20gの代わりにニトロメタン10gを使用
した以外は、実施例1の疎水性シリカ形成用シリカゾル
の調製と同様にして、シリカゾルを得た。このゾルの粘
度は、3.2cP(20℃)であった。 (第2発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例4の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.5μmであった。 (第3発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例4の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [実施例5] (第1発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
四塩化炭素20gの代わりにシクロヘキサノン10gを
使用した以外は、実施例1の疎水性シリカ形成用シリカ
ゾルの調製と同様にして、シリカゾルを得た。このゾル
の粘度は、3.9cP(20℃)であった。 (第2発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例5の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.5μmであった。 (第3発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例5の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [実施例6] (第1発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
四塩化炭素20gの代わりにo−ジクロルベンゼン10
gを使用した以外は、実施例1の疎水性シリカ形成用シ
リカゾルの調製と同様にして、シリカゾルを得た。この
ゾルの粘度は、4.3cP(20℃)であった。 (第2発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例6の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.5μmであった。 (第3発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例6の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [実施例7] (第4発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
オルトケイ酸エチル50mlと、エタノール10ml
と、蒸留水10mlとを混合し、この系内に塩酸をpH
2になるまで加えた後、20℃で混合攪拌した。次いで
アセトニトリル10gを加え、20℃で1時間混合攪拌
後、静置熟成することにより、透明なゾルを得た。この
ゾルの粘度は、5cP(20℃)であった。 (第5発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例7の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.4μmであった。 (第6発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例7の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [実施例8] (第4発明の疎水性シリカ形成用シリカゾルの実施例)
アセトニトリル10gの代わりに四塩化炭素20gを加
えた以外は、実施例6の疎水性シリカ形成用シリカゾル
の調製と同様にして、シリカゾルを得た。このゾルの粘
度は、6cP(20℃)であった。 (第5発明の疎水性シリカ被膜の実施例)実施例8の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ被膜の調製と同様にして、疎水性シリカ
被膜を得た。このときの膜厚は約0.5μmであった。 (第6発明の疎水性シリカ粉体の実施例)実施例8の疎
水性シリカ形成用シリカゾルを用いた以外は、実施例1
の疎水性シリカ粉体の調製と同様にして、疎水性シリカ
粉体を得た。 [比較例1] (シリカゾルの調製)オルトケイ酸エチル50mlと、
エタノール10mlと、蒸留水10mlとを混合し、こ
の系内に塩酸をpH2になるまで加えた後、20℃で1
時間混合攪拌し、静置熟成することにより、透明なゾル
を得た。このゾルの粘度は、4.7cPであった。 (シリカ被膜の形成)上記方法により得たシリカゾルを
用いて、実施例1の疎水性シリカ被膜の形成と同様の条
件により、シリカ被膜が形成されたステンレス板を得
た。このときの膜厚は約0.5μmであった。 (シリカ粉体の形成)上記方法により得たシリカゾルを
用いて、実施例1の疎水性シリカ粉体の形成と同様の条
件により、シリカ粉体を形成した。 [比較例2] (シリカゾルの調製)使用する水の量を40mlに代え
たこと以外は、実施例1と同様にしてシリカゾルを調製
した。このゾルの粘度は、約8cP(20℃)であっ
た。 (シリカ被膜の形成)上記方法により得たシリカゾルを
用いて、実施例1の疎水性シリカ被膜の形成と同様の条
件により、被膜形成を試みたところ、被膜に亀裂が走
り、欠落が生じ、均一な被膜を得ることができなかっ
た。 (シリカ粉体の形成)上記方法により得たシリカゾルを
用いて、実施例1の疎水性シリカ粉体の形成と同様の条
件により、粉体を形成した。 [疎水性の確認]実施例1〜8で得たシリカ被膜及び粉
体が疎水性であることの確認は、比較例1のシリカ被膜
及び粉体とのFT−IR吸収スペクトルを比較すること
により、行った。
と、比較例1とのFT−IR吸収スペクトル(波長27
00〜4000cm-1)を示す。図1では、3400〜
3500cm-1に現れる表面シラノールに吸着した水に
帰属するピークの強度が、比較例1のシリカ被膜に比べ
て実施例1〜3のシリカ被膜は小さい。このピーク強度
は、一般に、単位面積当りのシリカ被膜に対する表面シ
ラノールの量と相関があることが知られている。このた
め、実施例1のシリカ被膜は比較例1のシリカ被膜に比
べ、疎水性に富むことがわかる。
体の表面シラノールに吸着した水に帰属するピーク強度
を1とした場合の、実施例1〜8で得た疎水性シリカ被
膜及び粉体のピーク強度の相対比をまとめた。また、比
較例2についても同様に、ピーク強度の相対比を掲載し
た。
リカ被膜及び粉体は、比較例1で得たシリカ被膜及び粉
体と比較して、いずれも疎水性に富んでいる。一方、使
用する水の量が適切でない場合、すなわち比較例2で得
られたシリカ粉体は、比較例1のシリカ粉体と比較した
結果、疎水性に富むものは得られなかった。
旦シリカゲルの粉体を形成した後有機ケイ素の塩素化合
物によりシリカゲルの表面のシラノールを保護すること
により疎水性シリカ粉体を得ていたのに対して、本発明
によれば、シリカゲルの粉体を形成するだけで疎水性を
有しているシリカ粉体が得られるため、製造工程が簡略
化された。また、同様にして疎水性を有しているシリカ
被膜を製造することができた。
発明によれば、簡略化された工程により得られる疎水性
シリカ粉体、及び新規に製造された疎水性シリカ被膜の
提供が可能となる。
水性の程度は、従来の疎水性シリカ粉体と同等もしくは
それ以上であった。
1のシリカ被膜のFT−IR吸収スペクトルのチャート
図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 炭素数1〜4のアルキル基を有するオル
トケイ酸アルキルと、該オルトケイ酸アルキルに対する
体積比が0.1〜0.8の水と、四塩化炭素、ニトロメ
タン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、
ヘキサクロロエタン、シクロヘキサノン、クロルベンゼ
ン、o−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、
1,3,5−トリクロルベンゼン、ニトロベンゼン、ベ
ンゾニトリルのうちから選択された1種又は2種以上の
化合物と、メタノールまたはエタノールとを、酸の存在
下で混合撹拌することによって得られる疎水性シリカ形
成用シリカゾル。 - 【請求項2】 請求項1記載のシリカゾルを基材表面に
塗布後乾燥することによって形成される疎水性シリカ被
膜。 - 【請求項3】 請求項1記載のシリカゾルを乾燥するこ
とによって得られる疎水性シリカ粉体。 - 【請求項4】 メタノールまたはエタノールの存在下、
炭素数1〜4のアルキル基を有するオルトケイ酸アルキ
ルを、該オルトケイ酸アルキルに対する体積比が0.1
〜0.8の水を含有する酸性水により加水分解した後、
四塩化炭素、ニトロメタン、アセトニトリル、塩化メチ
レン、クロロホルム、ヘキサクロロエタン、シクロヘキ
サノン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、p−
ジクロルベンゼン、1,3,5−トリクロルベンゼン、
ニトロベンゼン、ベンゾニトリルのうちから選択された
1種又は2種以上の化合物を添加し、混合撹拌して調製
することによって得られる疎水性シリカ形成用シリカゾ
ル。 - 【請求項5】 請求項4記載のシリカゾルを基材表面に
塗布後乾燥することによって形成される疎水性シリカ被
膜。 - 【請求項6】 請求項4記載のシリカゾルを乾燥するこ
とによって得られる疎水性シリカ粉体。
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