JP3360720B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、用紙面に平行に往復
移動するキャリッジに複数のインクカートリッジを搭載
したインクジェットプリンタに関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットプリンタは、インクを収
納したインクカートリッジをキャリッジに搭載し、この
キャリッジが用紙面に平行に往復移動する間に、用紙を
キャリッジの移動方向に直交する方向においてインクカ
ートリッジの印字ヘッド部の長さだけ相対的に移動させ
るとともに、インクカートリッジの印字ヘッド部を構成
する複数のノズルから選択的にインクを吐出して用紙面
に画像を印刷する。

【０００３】このインクジェットプリンタとして、従来
より、特開平７−１８６４８８号公報及び特開平８−２
０７３１０号公報に開示されているように、単一のキャ
リッジに複数のインクカートリッジを搭載したものがあ
る。

【０００４】これら従来のインクジェットプリンタで
は、単一のキャリッジに搭載する複数のインクカートリ
ッジのそれぞれに互いに異なる色のインクを収納してい
る。各インクカートリッジの印字ヘッド部を、そのイン
クカートリッジが収納しているインクの色に対応する色
にカラー画像を色分解した画像信号によって駆動するこ
とにより、用紙上にカラー画像を印刷する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単一の
キャリッジに複数のインクカートリッジを搭載した従来
のインクジェットプリンタでは、複数のインクカートリ
ッジのそれぞれから用紙上に吐出された互いに異なる色
のインクの混色によってカラー画像を形成するようにし
たものであるため、単一のキャリッジに搭載された複数
のインクカートリッジのそれぞれの印字ヘッド部から用
紙上の同一位置にインクを吐出させる必要があり、複数
のインクカートリッジの印字ヘッド部のそれぞれをキャ
リッジの移動方向に直交する方向の同一位置に配置して
複数のインクカートリッジをキャリッジに搭載してお
り、キャリッジが用紙面に平行に一度往復移動する間に
キャリッジに搭載された複数のインクカートリッジの印
字ヘッド部が対向する用紙面上の範囲は、単一のインク
カートリッジの印字ヘッド部が対向する範囲に等しく、
キャリッジが一度往復移動する間における用紙面に対す
る印字ヘッド部の対向面積を拡大することはできない。

【０００６】このため、用紙上に単一色の画像を印刷す
る場合に、互いに同一の色のインクを収納した複数のイ
ンクカートリッジをキャリッジに搭載しても、用紙上の
印刷範囲の全面にインクカートリッジの印字ヘッド部を
対向させるためのキャリッジの往復移動回数を削減する
ことはできず、印刷速度を高速化することができない問
題があった。

【０００７】この発明の目的は、各インクカートリッジ
の印字ヘッド部をキャリッジの移動方向に直交する方向
における互いに異なる位置に配置して複数のインクカー
トリッジを単一のキャリッジに搭載することにより、キ
ャリッジが一度往復移動する間における用紙面に対する
印字ヘッド部の対向面積を拡大し、用紙上の印刷範囲の
全面にインクカートリッジの印字ヘッド部を対向させる
ためのキャリッジの往復移動回数を削減して印刷速度を
高速化することができ、印刷時間を短縮できるインクジ
ェットプリンタを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、用紙面に対
向する印字ヘッド部を有するインクカートリッジを搭載
して用紙面に平行に往復移動するキャリッジを備えたイ
ンクジェットプリンタにおいて、前記インクカートリッ
ジが、キャリッジの往復移動方向に直交する方向におい
て印字ヘッド部の中心位置をインクカートリッジの中心
位置と異なる位置に配置し、且つキャリッジに搭載した
際にキャリッジの移動方向に直交する一方の側面に端子
部を備えた構造であり、前記キャリッジが、同一色のイ
ンクが収納された２つの前記インクカートリッジの一方
を他方に対して用紙面内において１８０度回転させ、こ
れらのインクカートリッジの前記端子部を互いに対向さ
せた状態で、且つこれら２つのインクカートリッジを該
キャリッジの往復移動方向に並べて搭載する構造であ
り、さらに搭載された２つのインクカートリッジの端子
部と接触する本体側端子部を、搭載された前記２つのイ
ンクカートリッジの間に配置した仕切り板の両面にそれ
ぞれ形成したインクジェットプリンタ。この発明におい
ては、同一色のインクが収納された２つのインクカート
リッジが一方を他方に対して用紙面内において１８０度
回転させ、これら２つのインクカートリッジの側面に備
えた端子部を互いに対向させた状態で、且つキャリッジ
の往復移動方向に並べて搭載される。キャリッジに搭載
される２つのインクカートリッジは同じものである。ま
た、インクカートリッジは、キャリッジの移動方向に直
交する方向について、印字ヘッド部の中心位置がインク
カートリッジの中心位置と異なる位置に配置されてい
る。このため、キャリッジに搭載された２つのインクカ
ートリッジのそれぞれの印字ヘッド部が、キャリッジの
往復移動方向に直交する方向について用紙面に対して互
いに異なる位置に対向する。したがって、キャリッジが
一度往復移動する間における用紙面に対する印字ヘッド
の対向面積がキャリッジに単一のインクカートリッジを
搭載した場合に比較して拡大し、用紙の印刷範囲の全面
に印字ヘッドを対向させるためのキャリッジの往復移動
回数が減少して印刷時間が短縮される。また、キャリッ
ジに搭載された２つのインクカートリッジの端子部と接
触する本体側端子部を、キャリッジの往復移動方向に並
べて搭載された２つのインクカートリッジの間に配置し
た仕切り板の両面にそれぞれ形成したので、印字ヘッド
部に駆動信号を伝達するための信号ラインの構成を簡略
化してキャリッジの大型化を防止することができる。

【０００９】

【００１０】

【００１１】

【００１２】

【００１３】

【発明の実施の形態】図１は、この発明の実施形態に係
るインクジェットプリンタの要部の構成を示す図であ
る。インクジェットプリンタ１の印字部には、円柱状の
ガイド軸３が、長手方向を用紙の搬送方向Ｐに直交させ
て配置されている。このガイド軸３にキャリッジ２が外
嵌する。キャリッジ２には、２つのインクカートリッジ
４が搭載されている。キャリッジ２は、図外の駆動機構
を介してガイド軸３の長手方向に沿って往復移動する。

【００１４】図２は、上記インクジェットプリンタに用
いられるインクカートリッジの構成を示す外観図であ
る。インクカートリッジ４は、略直方体形状に形成さ
れ、上面から突出する係止部４ａ、及び、底面から突出
するヘッド支持部４ｂを備え、一方の側面に端子部４ｃ
を備える。インクカートリッジ４の内部には、インクが
収納されている。係止部４ａは、インクカートリッジ４
の上面において前後方向の中心に位置し、前面及び背面
に同一形状の溝部４１ａ，４１ｂが形成されている。ヘ
ッド支持部４ｂは、インクカートリッジ４の底面におい
て前後方向の中心よりも前面側に位置する。

【００１５】図３は、上記インクカートリッジの底面図
である。上述のように、インクカートリッジ４の底面に
は、前後方向における中心よりも前面側にヘッド支持部
４ｂが突出している。このヘッド支持部４ｂの底面に
は、印字ヘッド部６が設けられている。印字ヘッド部６
には、複数のノズル孔６ａが形成されている。インクカ
ートリッジ４は、印字ヘッド部６が用紙面に対向する状
態でキャリッジ２の装着部５に搭載される。

【００１６】図４は、上記インクジェットプリンタのキ
ャリッジの構成を示す図である。キャリッジ２には、移
動方向の２箇所に装着部５が形成されている。この装着
部５のそれぞれに互いに同一の色のインクを収納した２
つのインクカートリッジ４のそれぞれが装着される。２
つの装着部５の間には仕切り板５１が配置されている。
仕切り板５１の両面には端子部５１ａ，５１ｂが形成さ
れている。２つの装着部５のそれぞれの上方には、突起
５２が背面から突出している。

【００１７】２つの装着部５のそれぞれには、２つのイ
ンクカートリッジ４のそれぞれが、一方を他方に対して
１８０度回転させて端子部４ｃが互いに対向する状態で
装着される。このとき、左側の装着部５に装着されたイ
ンクカートリッジ４の背面側の溝部４１ｂに突起５２が
係合し、右側の装着部５に装着されたインクカートリッ
ジ４の前面側の溝部４１ａに突起５２が係合する。この
溝部４１，４１ｂに対する突起５１の係合によって、キ
ャリッジ２の装着部５に対するインクカートリッジ４の
装着状態が維持される。

【００１８】また、左側の装着部５に装着されたインク
カートリッジ４の端子部４ｃが仕切り板５１の左側面に
形成された端子部５１ａに接触し、右側の装着部５に装
着されたインクカートリッジ４の端子部４ｃが仕切り板
５１の右側面に形成された端子部５１ｂに接触する。こ
のように２つのインクカートリッジ４の端子部４ｃのそ
れぞれに仕切り板５１の両面に形成された端子部５１
ａ，５１ｂが接触することにより、図示しない制御部か
ら出力される駆動信号が端子部５１ａ，５１ｂ及び端子
部４ｃを介して印字ヘッド部６に供給される。このよう
に、キャリッジ２が搭載する２つのインクカートリッジ
４のそれぞれの印字ヘッド部６に駆動信号を供給するた
めの２つの端子部５１ａ，５１ｂを１枚の仕切り板５１
の両面に形成することにより、キャリッジ２における駆
動信号の伝達のための信号ラインの構成を簡略化するこ
とができ、キャリッジ２を小型化できる。

【００１９】図５は、上記インクジェットプリンタのキ
ャリッジに対するインクカートリッジの装着状態を示す
底面図である。図２に示したように、インクカートリッ
ジ４の底面における前後方向について、印字ヘッド部６
の中心がインクカートリッジ４の底面の中心と異なる位
置に配置されている。したがって、図４に示したよう
に、キャリッジ２の２つの装着部５のそれぞれに２つの
インクカートリッジ４のそれぞれを一方に対して他方を
１８０度回転した状態で装着すると、２つのインクカー
トリッジ４の印字ヘッド部６は、インクカートリッジ４
の前後方向において互いに異なる位置に配置される。

【００２０】ここで、インクカートリッジ４の前後方向
は、キャリッジ２の移動方向に直交する方向である。し
たがって、図６（Ａ）に示すように、キャリッジ２が一
度往復移動した際にキャリッジ２に装着された２つのイ
ンクカートリッジ２の印字ヘッド部６が用紙面に対向す
る範囲６１は、図６（Ｂ）に示すようにキャリッジ２に
単一のインクカートリッジ４を搭載した場合の範囲６２
に比較して拡大される。このため、同一の印刷面積につ
いてキャリッジ２の往復移動回数を削減することがで
き、印刷速度を高速化して印刷時間を短縮することがで
きる。

【００２１】なお、キャリッジ２に搭載された２つのイ
ンクカートリッジ４の印字ヘッド部６の相対的な位置関
係は、インクカートリッジ４の底面における印字ヘッド
部６の前後方向の位置に応じて、図７（Ａ）〜（Ｃ）に
示すように、キャリッジ２の移動方向に直交する方向で
あるＸ−Ｘ方向について、２つのインクカートリッジ４
の印字ヘッド部６の位置が一部において重複する状態、
連続する状態、及び、離間する状態の３種類の状態を取
り得る。キャリッジ２に搭載された２つのインクカート
リッジ４の印字ヘッド部６が図７（Ａ）〜（Ｃ）のいず
れの状態に位置する場合であっても、２つのインクカー
トリッジ４のそれぞれの印字ヘッド部６が対向する位置
の画像に応じた駆動信号をそれぞれの印字ヘッド部６に
供給することにより、印刷範囲の全面について連続した
画像を形成することができる。

【００２２】また、上記の実施形態ではキャリッジ２に
２つのインクカートリッジ４を搭載する場合について説
明したが、キャリッジ２におけるインクカートリッジ４
の装着位置、及び、端子部５１の形成位置を考慮するこ
とにより、各インクカートリッジ４の印字ヘッド部６が
キャリッジ２の移動方向に直交する方向において互いに
異なる位置に配置されるようにして３個以上のインクカ
ートリッジ４をキャリッジ２に装着するようにしてもよ
い。

【００２３】

【発明の効果】この発明によれば、キャリッジに搭載さ
れる２つのインクカートリッジのそれぞれにおいて、キ
ャリッジの移動方向に直交する方向における印字ヘッド
部の中心をインクカートリッジの中心と異なる位置に配
置することにより、２つのインクカートリッジの一方を
他方に対して用紙面内において１８０度回転させた状態
でキャリッジに搭載して、２つのインクカートリッジの
それぞれの印字ヘッド部をキャリッジの移動方向に直交
する方向において互いに異なる位置に配置することがで
き、キャリッジに単一のインクカートリッジを搭載した
場合に比較して用紙面に対する印字ヘッド部の対向面積
を拡大することができ、用紙の印刷範囲の全面に印字ヘ
ッドを対向させるためのキャリッジの往復移動回数を削
減して印刷時間を短縮することができる。

【００２４】

【００２５】また、キャリッジに搭載したインクカート
リッジのキャリッジの移動方向に直交する一方の側面に
端子部を形成することにより、少なくとも２つのインク
カートリッジの一方を他方に対して用紙面内において１
８０度回転した状態でキャリッジに搭載した際に、２つ
のインクカートリッジの端子部を互いに対向させ、２つ
のインクカートリッジの中間に位置する仕切り板の両面
にインクカートリッジの端子部に接触する本体側端子部
を配置することができ、印字ヘッド部に駆動信号を伝達
するための信号ラインの構成を簡略化してキャリッジの
大型化を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施形態に係るインクジェットプリ
ンタの要部の構成を示す図である。

【図２】上記インクジェットプリンタに用いられるイン
クカートリッジの構成を示す外観図である。

【図３】上記インクカートリッジの底面図である。

【図４】上記インクジェットプリンタのキャリッジの構
成を示す図である。

【図５】上記インクジェットプリンタのキャリッジに対
するインクカートリッジの装着状態を示す底面図であ
る。

【図６】上記インクジェットプリンタの印刷範囲を従来
のインクジェットプリンタとの比較において説明する図
である。

【図７】上記キャリッジに搭載した複数のインクカート
リッジの印字ヘッド部の位置関係を示す図である。

【符号の説明】

１−インクジェットプリンタ ２−キャリッジ ３−ガイド軸 ４−インクカートリッジ ４ａ−係合部 ４ｂ−ヘッド支持部 ４ｃ−端子部 ５−装着部 ６−印字ヘッド部 ４１ａ，４１ｂ−溝部 ５１−仕切り板 ５１ａ，５１ｂ−端子部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 用紙面に対向する印字ヘッド部を有する
   インクカートリッジを搭載して用紙面に平行に往復移動
   するキャリッジを備えたインクジェットプリンタにおい
   て、 前記インクカートリッジが、キャリッジの往復移動方向
   に直交する方向において印字ヘッド部の中心位置をイン
   クカートリッジの中心位置と異なる位置に配置し、且つ
   キャリッジに搭載した際にキャリッジの移動方向に直交
   する一方の側面に端子部を備えた構造であり、 前記キャリッジが、同一色のインクが収納された２つの
   前記インクカートリッジの一方を他方に対して用紙面内
   において１８０度回転させ、これらのインクカートリッ
   ジの前記端子部を互いに対向させた状態で、且つこれら
   ２つのインクカートリッジを該キャリッジの往復移動方
   向に並べて搭載する構造であり、さらに搭載された２つ
   のインクカートリッジの端子部と接触する本体側端子部
   を、搭載された前記２つのインクカートリッジの間に配
   置した仕切り板の両面にそれぞれ形成したインクジェッ
   トプリンタ。