JP3360371B2 - 横波振動素子、表面波圧電素子および超音波トランスデューサ - Google Patents
横波振動素子、表面波圧電素子および超音波トランスデューサInfo
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Description
する高分子圧電体を使った、高性能の表面波圧電素子、
およびそれを用いた超音波トランスデューサに関する。
重合体(以下P(VDF−TrFE)と略す)、および
フッ化ビニリデン/4フッ化エチレン共重合体(以下P
(VDF−TeFE)と略す)が強誘電体であり、これ
らの共重合体が伸び圧電性および厚み圧電性を有するこ
とは公知の事実である。
開昭53−26995号公報等に述べられている(伸び
圧電性の定義については後述)。また、特開昭59−2
3678号公報、特開昭62−42560号公報等に述
べられているように、これらの厚み圧電性を利用した装
置としては、超音波トランスデューサがある。高分子特
有の良好な性質を利用して、無機材料にはない、大口径
のものや1μm以下の薄膜を使用した高周波のトランス
デューサが開発されている。
P(VDF−TrFE)およびP(VDF−TeFE)
であるが、これまでに、伸び圧電性と厚み圧電性以外の
全く異なった成分である、ずり圧電性(剪断方向の圧電
性)に関しては、その性能が明らかにされておらず、こ
の性質を利用した素子は開発されていない。
ック材料が応用されているものには、ずり圧電性を利用
しているものがある。高分子材料中では、唯一、フッ化
ビニリデン(PVDF)で表面波素子の実験例の報告
(ULTRASONICS SYMPOSIUM P.
511(1979))があるが、効率が悪く、実用には
至っていない。P(VDF−TrFE)やP(VDF−
TeFE)について表面波素子の報告例はない。
圧電性の大きいP(VDF−TrFE)および/又はP
(VDF−TeFE)膜を用いることによって、高効率
の横波振動素子を提供することにある。そして、この横
波振動素子の具体的な実施態様として、表面波素子、及
び、超音波トランスデューサを提供することにある。
しくはその電気機械結合定数(k15および/又はk24)
が0.1以上の値を有する圧電体においては、そのずり
圧電性を利用して優れた横波振動素子を作製することが
できる。
E)および/又はP(VDF−TeFE)を用いて、そ
のずり圧電性の電気機械結合定数が0.1以上である圧
電膜を得ることに成功した。
り圧電性を利用して、優れた性能の横波振動素子を実現
できることを見出した。
動素子は、膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電性を
有する、電気機械結合定数(k15および/又はk24)が
0.1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチレン共重
合体および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化エチレン
共重合体からなる圧電性高分子膜を、膜厚方向に複数枚
積層、接着した後、積層体の膜面に対し垂直な方向に切
り出した薄膜を有することを特徴とするものである。
厚方向にポーリングされた、ずり圧電性を有する、電気
機械結合定数(k 15 および/又はk 24 )が0.1以上の
フッ化ビニリデン/3フッ化エチレン共重合体および/
又はフッ化ビニリデン/4フッ化エチレン共重合体から
なる圧電性高分子膜を有する表面波圧電素子であって、
前記圧電性高分子膜と、その表面に形成された櫛状電極
との間に、絶縁体薄膜があることを特徴とするものであ
る。また、この圧電性高分子膜は、表面波の伝播媒体と
して高分子よりも減衰の少ない固体、たとえば、金属体
や無機の結晶体などからなる基板上に形成できるので、
さらに有利である。この場合、金属基板または絶縁体基
板上に圧電性高分子膜を形成し、上記同様の櫛状電極を
形成してもよい。そして、上記圧電性高分子膜と櫛状電
極との間には、上記の如く絶縁体薄膜を設けることがで
きる。
サは、膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電性を有す
る、電気機械結合定数(k15および/又はk24)が0.
1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチレン共重合体
および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化エチレン共重
合体からなる圧電性高分子膜を、膜厚方向に複数枚積
層、接着した後、積層体の膜面に対し垂直な方向に切り
出した薄膜と、該薄膜の上面と下面とに設けられた電極
と、を有することを特徴とするものから成る。
方法は、膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電性を有
する、電気機械結合定数(k15および/又はk24)が
0.1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチレン共重
合体および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化エチレン
共重合体からなる圧電性高分子膜を、膜厚方向に複数枚
積層、接着し、積層体の膜面に対し垂直な方向に薄膜を
切り出すことを特徴とする方法からなる。
厚み圧電性を利用しているのみで、ずり圧電性について
は検討されておらず、いうまでもなく、ずり圧電性を利
用した用途については知られていない。
語は次のとおり定義される。高分子圧電膜ではポーリン
グの方向は膜面に垂直な方向であり、この方向をZ
(3)軸にとる。膜面内の対象軸をX(1)軸、Y
(2)軸に選ぶ。ただし、延伸する方向を1軸とする。
この時の圧電e定数の成分は数1で示される。
性を伸び圧電性、e33をもって示される圧電性を厚み圧
電性といい、両者は、伸縮変形と電場を結合するもので
ある。e15、e24で示される定数がずり圧電性で、膜に
加えられたずり変形と電場を結合させる定数である。
ーと機械エネルギーの変換効率を意味する電気機械結合
定数(kij;ijは方向を表す。カップリングファクタ
ーとも言う。)があるが、P(VDF−TrFE)やP
(VDF−TeFE)が大きなk33およびk31を持つこ
とはこれまでもよく知られている。例えば、P(VDF
−TrFE)の厚み方向の電気機械結合定数では、高分
子中最高のk33>0.3を達成している(Jpn.Appl.Phy
s., 24 ,23(1985)) 。
は、数2のように定義される。
しくなる。
E)およびP(VDF−TeFE)膜において、大きな
ずり方向の電気機械結合定数k15およびk24を発現させ
ることに成功した。
の共重合比VDF=0.75の未延伸膜において、k15
=0.2(温度;200K)で、実質的にk15=k24で
あった。この値は、PVDFのk31よりも大きく、PV
DFのk33と同程度の大きな値であることが分かった。
そこで、これを用いて、効率のよい表面波素子、及び、
超音波トランスデューサが実現できたものである。
よい表面波素子の作用について説明する。ずり変形によ
って生じた電荷は膜面に平行に生じ、進行方向に対して
垂直な振動を持つ横波である。このような横波振動素子
を表面波素子として利用するには次のような構成によ
る。
(VDF−TeFE)からなる圧電性高分子膜の表面
に、金属からなる櫛状電極を形成した。分極した圧電膜
表面に金属をフォトリソグラフィ、エッチング等により
櫛状に形成し電極とした。ここで、櫛状電極の材質は、
通常よく用いられている金属で、例えばアルミニウムな
ど、エッチングできる材質ならば何でもよい。櫛状電極
間に交流電圧を印加して、素子を駆動させると、効率の
よい表面波が発生する。
P(VDF−TrFE)および/又はP(VDF−Te
FE)からなる圧電性高分子膜を形成し、その表面に金
属からなる櫛状電極を形成して駆動しても、効率のよい
表面波が得られた。また、P(VDR−TrFE)およ
び/又はP(VDF−TeFE)からなる膜と、櫛状電
極との間に、絶縁体薄膜がある場合にも、効率のよい表
面波が得られた。
衰が大きいので、P(VDF−TrFE)および/又は
P(VDF−TeFE)からなる表面波素子に、減衰の
小さいセラミック、水晶などの無機材料を組み合わせて
も、有効な表面波素子として利用できることは言うまで
もない。
eFE)のずり圧電性は、PVDFのように延伸あるい
は高電圧下で分極処理を施さなくても、未延伸で発現す
るため、どんな基板上にも容易に形成できる。この未延
伸で使用できる点は、k33を利用した通常の超音波トラ
ンスデューサの場合と同じく、大きな利点である。さら
に、高分子の特徴を生かして、複雑な形状、大面積化や
薄膜化が容易である利点もある。
スデューサについて説明する。従来のトランスデューサ
においては、厚み方向の圧電性を利用したものであっ
て、膜厚方向に分極した膜を、例えば、バッキング材に
固定し、所定の周波数(膜厚に固有)で駆動する。本発
明では、ずり圧電性の膜面方向の振動を利用するため、
次のような構造とする。
TrFE)および/又はP(VDF−TeFE)からな
る膜を、膜厚方向に複数枚積層し接着した後、膜面に対
し垂直な方向に薄く切り出して薄膜を得、該薄膜の上面
と下面に電極が形成された膜を用いて、超音波トランス
デューサを製作した。つまり、分極方向が面と平行にな
った膜の上面と下面に均一な電極を形成し、交流電源を
用いて駆動すると、効率のよい超音波トランスデューサ
として使用できる。
波素子、超音波トランスデューサへの応用例を説明した
が、本発明に係る圧電性高分子膜は、もっと一般的に、
ずり圧電性を利用した装置に広く応用できることは言う
までもない。
FE)共重合体、ジメチルホルムアミド溶液をガラス板
に流延し、常温、減圧下で溶媒を気化させ、さらに、1
00℃の熱で溶媒を完全に気化させた。この膜の融点は
145℃、厚さ50μmであった。ガラス板からはがさ
ずに、140℃で熱処理結晶化させたのち、自然冷却さ
せた。膜両面にアルミニウムを蒸着して電極を設け、常
温で外部から±4.5kVのピークを持つ1Hzの交流
電圧(三角波)を膜の上下面に印加してポーリング処理
を施した。ポーリング処理後にアルミニウム電極は水酸
化ナトリウムで溶解剥離した。得られた圧電膜のずり圧
電性k15を測定したところ、温度200Kにおいて、
0.2であった。
数(カップリングファクター)k15およびk24の特性
を、k31およびk33の特性、および比較のためのフッ化
ビニリデン(PVDF)のk31、k33とともに示す。図
に示すように、実質的にk15=k24であり、温度200
Kまで、PVDFのk33と同程度の大きな値をもつこと
が判る。
て用いた、表面波素子を作る場合は、図2に示すよう
に、上記のようにして得られた圧電膜13を基板11上
に設け、その表面に櫛状電極12をフォトリソグラフィ
により形成し表面波圧電素子を得た。櫛状電極間に交流
電源14から交流電場を印加することにより、表面波を
発生させた。発生した表面波を、10mm離して置かれ
た、櫛状電極12′を有する別の表面波素子15によっ
て検出器16を介して検出した。
E)膜を得、これを80枚積層した。接着は圧電性発現
の妨げにならないよう充分注意した。得られた厚さ10
mmのバルク状の塊を積層体の膜の膜面と垂直の方向に
薄くスライスした。こうして得られた積層圧電膜は、図
3に示すような、10mm角で、膜厚が90μmの膜3
であった。この高分子圧電膜3を用いて、図4に示すよ
うな超音波トランスデューサに組み立て駆動させたとこ
ろ、4MHzに動作周波数をもっており、高効率の超音
波トランスデューサが得られた。なお、図4において、
1は支持基板、2は背面側電極、3は高分子圧電膜、4
は動作面側電極、5は保護膜、6は金属ケース、7はプ
ラスチックケース、8は導線を、それぞれ示している。
かった高分子圧電体のずり圧電性を利用して、効率のよ
い表面波圧電素子、および超音波トランスデューサを得
ることができた。
0.75モル%の電気機械結合定数と温度との関係図で
ある。
す概略構成図である。
成図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電
性を有する、電気機械結合定数(k15および/又は
k24)が0.1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチ
レン共重合体および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化
エチレン共重合体からなる圧電性高分子膜を、膜厚方向
に複数枚積層、接着した後、積層体の膜面に対し垂直な
方向に切り出した薄膜を有することを特徴とする横波振
動素子。 - 【請求項2】 膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電
性を有する、電気機械結合定数(k 15 および/又は
k 24 )が0.1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチ
レン共重合体および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化
エチレン共重合体からなる圧電性高分子膜を有する表面
波圧電素子であって、前記圧電性高分子膜と、その表面
に形成された櫛状電極との間に、絶縁体薄膜があること
を特徴とする表面波圧電素子。 - 【請求項3】 膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電
性を有する、電気機械結合定数(k 15 および/又は
k 24 )が0.1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチ
レン共重合体および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化
エチレン共重合体からなる圧電性高分子膜を、膜厚方向
に複数枚積層、接着した後、積層体の膜面に対し垂直な
方向に切り出した薄膜と、該薄膜の上面と下面とに設け
られた電極と、を有することを特徴とする超音波トラン
スデューサ。 - 【請求項4】 膜厚方向にポーリングされた、ずり圧電
性を有する、電気機械結合定数(k 15 および/又は
k 24 )が0.1以上のフッ化ビニリデン/3フッ化エチ
レン共重合体および/又はフッ化ビニリデン/4フッ化
エチレン共重合体からなる圧電性高分子膜を、膜厚方向
に複数枚積層、接着し、積層体の膜面に対し垂直な方向
に薄膜を切り出すことを特徴とする、高分子圧電膜の製
造方法。
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- 1993-08-31 JP JP24063893A patent/JP3360371B2/ja not_active Expired - Fee Related
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