JP3360236B2 - 磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法

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JP3360236B2 JP32913594A JP32913594A JP3360236B2 JP 3360236 B2 JP3360236 B2 JP 3360236B2 JP 32913594 A JP32913594 A JP 32913594A JP 32913594 A JP32913594 A JP 32913594A JP 3360236 B2 JP3360236 B2 JP 3360236B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として小型静止器に
使用されるセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】音響機器用や安定器などの小型静止器に
は、主として無方向性電磁鋼板が使用される。そして、
小型静止器の一例のEIコアでは、図1に示すように、
板取りは圧延方向(以下L方向と記す)の割合が磁路の
75%となるため、L方向の磁気特性の優れた無方向性
電磁鋼板が求められる。
【0003】L方向の磁気特性の優れた鋼板の製造方法
としては、下記のものが提案されている。特公昭56−
43294号公報では、熱延板を中間焼鈍を挟む2回冷
延を行う製造方法の2回目の冷延の冷延率を2〜15%
とし、圧延後の鋼板の粗度が15μ−in.R.M.
S.以下となるような圧延ロールで行うことを特徴とす
る方法が開示されている。
【0004】特開昭61−119618号公報では、熱
延板を熱板延焼鈍なしに中間焼鈍を挟む2回冷延を行う
製造方法において、中間焼鈍を675〜750℃で15
秒〜2分の連続焼鈍で行い、2回目の冷延を圧下率3〜
7%で行うことを特徴とする方法が開示されている。ま
た、本発明者らは、特開平2−305930号公報にお
いて、熱延板を必要に応じて熱延板焼鈍し、中間焼鈍を
挟む2回冷延を行う製造方法において、中間焼鈍後の平
均結晶粒径を10〜15μmとし、2回目の冷間圧延の
圧下率を3〜10%、2回目の冷間圧延後の鋼板の表面
粗度を15μm−in.R.M.S.以下とすることを
特徴とする方法を提案した。
【0005】一方、中間焼鈍を挟む2回冷延を行う製造
方法において、2回目の冷間圧延のワークロール径に関
しては、特開昭63−118014号公報に、ワークロ
ール径を100mm未満とし、被調質圧延鋼板の板厚t
とロール径Dの積D×t≦70とすることを特徴とする
方法が提案されており、この方法によれば、異方性の小
さい磁気特性の優れた鋼板を製造できるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電気機器の小型化が進
んでいる昨今、特公昭56−43294号公報、特開昭
61−119618号公報、特開平2−305920号
公報で提案されている技術で得られるL方向の磁束密度
では満足することはできない。また、特開昭63−11
8014号公報で提案されている技術は異方性を小さく
するものであり、L方向の磁束密度は高くすることはで
きない。
【0007】本発明は、前記従来技術の欠点を解決した
L方向の磁気特性の優れた小型静止器用セミプロセス無
方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは下記のとおりである。 (1)重量%で、C:0.015%以下、Si:0.0
5〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.15
%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:1.0%
以下、T.N:0.01%以下、T.O:0.02%以
下を含み、残部鉄および不可避的不純物よりなるスラブ
を、熱間圧延後、中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施す
際に、中間焼鈍後の平均結晶粒径を10〜15μmと
し、圧下率を3〜10%とする2回目の冷間圧延を、ワ
ークロール径/2回目冷間圧延前板厚が550以上であ
るワークロールを用いて行い、圧延後の鋼板表面粗度
15μ−in.R.M.S.以下とすることを特徴とす
る磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製
造方法。
【0009】(2)熱延板を700〜1000℃で熱延
板焼鈍することを特徴とする前記(1)記載の磁気特性
の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法。本
発明者らは、特開平2−305920号公報においてL
方向の磁気特性の優れた小型静止器用のセミプロセス無
方向性電磁鋼板の製造方法を提案したが、さらに磁気特
性の良好な鋼板の製造方法を開発すべく、鋭意研究に取
り組んだ。以下に、新たに得られた知見を述べる。
【0010】C:0.002%、Si:0.11%、M
n:0.2%、P:0.06%、S:0.0089%、
T.N:0.0029%、T.O:0.017%、So
l.Al:0.001%を含有するスラブを熱延し、中
間焼鈍を挟む2回冷延法の工程において、1回目の冷間
圧延で0.53mmに冷延し、中間焼鈍して中間焼鈍後
の平均結晶粒径を13μmとし、次いで種々の径のワー
クロールを用いて、6%の冷延率で2回目の冷延を行
い、鋼板の粗度を13〜14μ−in.R.M.S.と
し、最終製品板厚を0.50mmとした。そして、75
0℃×2時間の磁性焼鈍を行い、磁気特性を評価した。
この時のワークロール径/2回目冷間圧延前板厚と磁気
特性の関係を図2に示す。図2の実験例より、ワークロ
ール径/2回目冷間圧延前板厚が550以上の場合にL
方向の磁束密度が高くなることが分かる。
【0011】なお、中間焼鈍の温度、時間と平均結晶粒
径の関係は、一つの素材については厳密に存在するが、
成分素材などが変わった時にこの関係はずれてくる。例
えば、Siの含有量により再結晶開始温度や粒成長速度
が変わる。この関係について実験した例を図3に示す。
図3の実験は、Si量が0.1%、1.0%、1.8%
の3種類で、鉄以外のその他の元素は0.005%以下
の成分素材の熱延板を82%の圧下率で冷間圧延し、中
間焼鈍の均熱時間は30秒に固定し、均熱温度を変えて
平均結晶粒径との関係を調査したものである。図3よ
り、Si含有量により同じ均熱時間でも、得られる平均
結晶粒径が異なることが分かる。このため、本発明では
冶金的に意味のある平均結晶粒径で中間焼鈍の条件を規
定する。
【0012】〔本発明の諸条件の限定理由〕Cは0.0
15%を超えると磁気特性に有害となるばかりか、Cの
析出による磁気時効が著しくなり、磁気特性が劣化する
ので、0.015%以下、好ましくは0.010%以下
とする。Siは鉄損を減少させる元素である。0.05
%未満では鉄損が悪すぎ、また1.0%を上限としたの
は、1.0%を超えると磁束密度の低下を招くためであ
る。
【0013】Mnは鋼板の硬度を増加させ、打抜き性を
改善するために0.1%以上添加する。上限の1.5%
は経済的理由によるものである。Pも鋼板の硬度を増加
させ、打抜き性を改善するために添加する。上限の0.
15%を超えると脆化が著しい。SはMnSなどの硫化
物となり、鉄損を悪化させるので0.03%以下とし
た。
【0014】Sol.Alの上限を1.0%としたの
は、1.0%を超えると磁束密度の低下を招くためであ
る。T.NはAlNなどの窒化物となり、鉄損を悪化さ
せるので、0.01%以下とする。T.Oは酸化物を形
成し、鉄損を悪化させるので、0.02%以下とする。
【0015】中間焼鈍後の平均結晶粒径は10〜15μ
mの範囲とする。中間焼鈍後の平均結晶粒径が10μm
未満の場合や15μmを超えるとL方向の磁束密度を高
くすることができない。2回目の冷間圧延の圧下率は3
〜10%の範囲とする。2回目の冷間圧延の圧下率が3
%未満の場合や10%を超えるとL方向の磁束密度を高
くすることができない。
【0016】2回目の冷間圧延後の鋼板の表面粗度は1
5μ−in.R.M.S.以下とする。2回目の冷間圧
延後の鋼板の表面粗度が15μ−in.R.M.S.を
超えるとL方向の磁束密度を高くすることができない。
2回目の冷間圧延のワークロール径/2回目冷間圧延前
板厚は550以上とする。ワークロール径/2回目冷間
圧延前板厚が550未満であるとL方向の磁束密度を高
くできない。
【0017】熱延板焼鈍温度は700〜1000℃とす
る。熱延板焼鈍は、必要に応じて実施し、下限の700
℃未満では磁気特性向上の効果がなく、また上限の10
00℃を超えると冷延性が悪化する。
【0018】
【実施例】
〔実施例1〕C:0.001%、Si:0.07%、M
n:0.3%、P:0.07%、S:0.018%、
T.N:0.0029%、T.O:0.014%、So
l.Al:0.001%を含む無方向性電磁鋼板用スラ
ブを製造した。このスラブを熱延し、一部は熱延板焼鈍
を施し、続いて冷間圧延して0.53mmの中間厚みと
し、中間焼鈍して中間焼鈍後の平均結晶粒径を12μm
とした。次いで、6%の圧下率で2回目の冷間圧延を実
施し、種々の径のワークロールを用いて、ワークロール
径/2回目冷間圧延前板厚を変更した。鋼板の粗度は1
3〜14μ−in.R.M.S.で0.50mmの最終
製品板厚とし、絶縁皮膜を塗布して製品とした。その
後、磁気特性はエプスタイン試料を750℃×2時間の
磁性焼鈍を行って評価した。この時の熱延板焼鈍温度、
ワークロール径、ワークロール径/2回目冷間圧延前板
厚、および磁気特性の関係を表1に示す。表1より、本
発明例の場合、L方向の磁束密度が高くなることが分か
る。
【0019】
【表1】
【0020】〔実施例2〕C:0.002%、Si:
0.55%、Mn:0.3%、P:0.07%、S:
0.003%、T.N:0.0014%、T.O:0.
005%、Sol.Al:0.328%を含む無方向性
電磁鋼板用スラブを製造した。このスラブを熱延し、一
部は熱延板焼鈍を施し、続いて冷間圧延して0.55m
mの中間厚みとし、中間焼鈍して中間焼鈍後の平均結晶
粒径を12μmとした。次いで、9%の圧下率で2回目
の冷間圧延を実施し、種々の径のワークロールを用い
て、ワークロール径/2回目冷間圧延前板厚を変更し
た。鋼板の粗度は13〜14μ−in.R.M.S.で
0.50mmの最終製品板厚とし、絶縁皮膜を塗布して
製品とした。その後、磁気特性はエプスタイン試料を7
50℃×2時間の磁性焼鈍を行って評価した。この時の
熱延板焼鈍温度、ワークロール径、ワークロール径/2
回目冷間圧延前板厚、および磁気特性の関係を表2に示
す。表2より、本発明例の場合、L方向の磁束密度が高
くなることが分かる。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、L方向の
磁気特性の優れた小型静止器用セミプロセス無方向性電
磁鋼板の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EIコアの板取りは圧延方向の割合が磁路の7
5%となることを示す図である。
【図2】2回目冷間圧延におけるワークロール径/2回
目冷間圧延前板厚と磁束密度の関係を示す図である。
【図3】Siの含有量と中間焼鈍条件と中間焼鈍後の平
均結晶粒径の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/06 H01F 1/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.015%以下、S
    i:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、
    P:0.15%以下、S:0.03%以下、Sol.A
    l:1.0%以下、T.N:0.01%以下、T.O:
    0.02%以下を含み、残部鉄および不可避的不純物よ
    りなるスラブを、熱間圧延後、中間焼鈍を挟む2回の冷
    間圧延を施す際に、中間焼鈍後の平均結晶粒径を10〜
    15μmとし、圧下率を3〜10%とする2回目の冷間
    圧延を、ワークロール径/2回目冷間圧延前板厚が55
    0以上であるワークロールを用いて行い、圧延後の鋼板
    表面粗度15μ−in.R.M.S.以下とすること
    を特徴とする磁気特性の優れたセミプロセス無方向性電
    磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱延板を700〜1000℃で熱延板焼
    鈍することを特徴とする請求項1記載の磁気特性の優れ
    たセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法。
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