JPH0723509B2 - 優れた鉄損特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

優れた鉄損特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0723509B2
JPH0723509B2 JP63258157A JP25815788A JPH0723509B2 JP H0723509 B2 JPH0723509 B2 JP H0723509B2 JP 63258157 A JP63258157 A JP 63258157A JP 25815788 A JP25815788 A JP 25815788A JP H0723509 B2 JPH0723509 B2 JP H0723509B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鉄損が低く、磁束密度の高い無方向性電磁鋼板
の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来の電磁鋼板は鉄損を低くする手段として一般に固有
抵抗増加による渦電流損低下の観点からSiあるいはAl等
の含有量を高める方法が用いられてきた。また、これら
の合金成分を添加せずに優れた電磁特性を得る方法とし
て冷延・焼鈍板に数%のスキンパス圧延を行い、ユーザ
ーで打ち抜き加工をした後、ひずみ取り焼鈍を行う方法
がある(特開昭60−17014号公報など)。
これらの従来法では一般に仕上熱延を800℃以上とし、
捲取温度が低く、再結晶が十分進行していない場合、高
温の熱延板焼鈍を行った後75%以上の冷延を行い高温短
時間焼鈍を施して製品としていた。ただし、後者のセミ
プロセスでは前記したように、その上に数%のスキンパ
ス圧延を行っている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明が解決しようとする課題は、鉄損を下げるために
添加する高価な合金元素の添加量の減少と圧延プロセス
の省略である。
(課題を解決するための手段) 本発明はかかる課題を解決するために、重量%でC:0.05
%以下、N:0.010%以下、Si:1%以下、Mn:1.5%以下、
P:0.15%以下、S:0.010%以下、Al:0.3%以下及び必要
に応じてBをB/Nで1.5以下含み、残部がFeと不可避不純
物よりなる鋼を、鋳造後直ちにまたは再加熱後に熱間圧
延する際、Ar3変態点以下、500℃以上の温度域で、フェ
ライト粒の平均粒径が200μm以上の状態から、少なく
とも30%の圧延を行い、500℃以上の温度で仕上げたの
ち、そのままあるいは熱延板焼鈍を行い、酸洗後通常の
冷間圧延,焼鈍を行うことを特徴とする鉄損が低く、磁
束密度の高い無方向性電磁鋼板を製造する方法を提供す
るものである。
以下、本発明の構成要件の限定理由について説明する。
なお、以下の説明中の%は重量%である。
まず、本発明鋼の化学成分において、Cは鉄損改善のた
めには少ない方が好ましく、かつ時効による磁性劣化を
生じないためには0.005%以下が好ましい。しかし、本
発明法のプロセスではCが0.05%まで鉄損向上の効果が
確認されたので、C量の上限を0.05%とした。Siは鉄損
改善の目的で添加するが、Si量が増加するほど磁束密度
が低くなると共に本発明の製造法により得られる鉄損の
従来法で製造される時の鉄損に対する優位差が小さくな
るばかりでなく本発明の主旨の一つである合金添加によ
るコスト高を抑制する意味からもSi添加量の上限は1%
とする。Nも鉄損改善のためには少ない方がよく、本発
明鋼では0.010%を条件とした。特にAlNの析出を抑制し
鉄損を下げる場合はBを添加してBNを析出させることが
望ましいが、B/Nが1.5超になると過剰Bが磁性を悪化さ
せるので、B量の上限をB/Nで1.5と定めた。本発明鋼で
Si量が少ない場合、鋼板が軟質になり過ぎ、打抜き作業
が難しくなるのを防ぐため強度を上げる目的でPを添加
している。Pの添加は鉄損の改善にもなるが、0.15%を
超えると熱間加工性が悪化し、熱延割れなどが発生する
危険があるので上限を0.15%とした。AlはSiと同様鉄損
改善の目的で添加してもよいが合金添加によるコスト高
を抑制する意味から上限を0.3.%とした。また、MnはP
と同様に強度増加のために添加するが、1.5%を超える
と変態点が低下し、焼鈍時にフェライト−オーステナイ
ト変態が生じやすくなり磁性の劣化がみられるので添加
量の上限は1.5%とした。また、Sは磁性向上に有害なN
nS等の非金属介在物を生成するので0.010%以下にしな
ければ安定した磁性改善効果が得られない。
次に加工条件の限定について述べる。
Ar3変態点(Ar3(℃)=916−509C−64Mn+33Si+50Al
+250P)以下で行う圧延の前のフェライト粒の平均粒径
を200μm以上としたのは、この条件よりフェライト組
織が細かくなると、最終製品の磁性が劣化するためであ
る。
本発明者らはAr3変態点以下の温度域で行う圧延の前の
粒径と圧延後の再結晶集合組織の関係を調べ、粒径があ
る大きさ以上になり、圧延温度がある範囲にあると、磁
性に好ましい{100}方位が強く発達することを見いだ
した。
従来、粗大粒を圧延した場合に生成する再結晶粒の方位
は{110}方位が主体であると報告されているが、本発
明者らはこのような粗大粒組織の材料の圧延温度と再結
晶集合組織の関係を詳細に調べ、ある温度範囲で圧延す
ると再結晶集合組織の主方位が{100}に近い方位にな
ることを見いだした。そして、この方位は冷延,焼鈍を
行った後も比較的強く残り、最終製品の磁性を向上させ
ることが分かった。
すなわち、Ar3変態点以下で行う圧延の前のフェライト
粒径がその後の集合組織形成に大きな影響を与え、200
μm以上の平均粒径のフェライト組織を圧延することが
最終製品の磁性を向上させると考えられる。Ar3変態点
以下で行う圧延の前のフェライト粒の平均粒径を200μ
m以上にする手段は、鋳造スラブを冷却して得てもよい
し、一度過冷されたスラブを再加熱して得てもよい。
次にA3変態点以下で少なくとも30%の圧延をしなければ
ならない理由は、Ar3変態点以下の圧延で最終製品板の
{111}強度が減少し他の強度、特に{100}強度があが
り電磁特性が良くなりかつその効果が十分表われる圧下
率が30%以上であるからである。なお、この効果は板厚
表面層のせん断変形を少なくし、板厚方向での集合組織
を均一化することにより、より顕著になる。板厚表面層
のせん断変形を少なくするためには熱延ロールと鋼板の
平均摩擦係数を0.2以下にすることが好ましい。なお、
この圧延温度の下限を500℃としたのは、これ未満の温
度では動的ひずみ時効が起こり、{110}方位がふえ、
それが最終製品板の{100}方位の発達を妨げるばかり
でなく変形抵抗も高くなるため鋼板の形状不良等が発生
し製造上難点があるためである。
本発明法において熱延後、熱延ままの材料をそのまま冷
延工程に送っても、同成分の材料を従来のプロセスで製
造した場合より顕著な鉄損特性の向上が図られるが、こ
れに熱延板焼鈍を行うと鉄損特性の向上はより一層顕著
に現われ磁束密度も向上する。
以上の製造条件で圧延した熱延板を冷延,焼鈍した材料
は従来の冷延,焼鈍材より低い鉄損を示し、セミプロセ
ス材でひずみ取り焼鈍を行った時に近い低い鉄損が達成
できる。
また、本発明鋼を2〜10%のスキンパス圧延を行いセミ
プロセス材として使用しひずみ取り焼鈍を行うと、従来
材より高磁束密度および、より低い鉄損が得られるので
セミプロセス材として用いることは本発明の主旨に反し
ない。
(実施例) 表1に本発明鋼と比較鋼の成分、プロセス条件、そして
製品板の磁性特性を示す。これらの材料は連続鋳造鋳片
を再加熱せずに、直接熱間圧延工程に送るか1350℃から
750℃の範囲で再加熱してから、連続熱延により板厚3.0
mmの熱延板に仕上げ、その後冷延により0.5mmの最終板
厚に仕上げた。冷延後の再結晶処理は800〜900℃×2分
の連続焼鈍によって行った。熱延板焼鈍有の材料は800
〜850℃×2分の連続焼鈍を施こした。Ar3変態点以下の
圧延の前のフェライト粒の粒径はリニアインターセプト
法で求めた平均粒径である。電磁特性はL,C両方向の鉄
損W1550および磁束密度B50を示した。また、熱延時に
潤滑圧延をした時のAr3〜500℃の圧延の平均摩擦係数は
0.2以下を示し、無潤滑状態では約0.28を示した。この
摩擦係数は実測した先進率より計算で求めた値である。
表1の実施例のNo.1からNo.14は極低炭素鋼でSi量は0.0
2%以下と低い。この鋼種で本発明法にって得られた鉄
損値は6W/kg前後と比較鋼No.7にみられる従来の方法に
よって得られる値8.6W/kg前後と比べて著しく向上して
いる。なお、熱延板焼鈍と潤滑圧延が鉄損の向上に寄与
しているのが認められる。
実施例No.6,8,10はオーステナイト域で圧延を行い、Ar3
変態点以下の圧延の前のフェライト粒径を変化させたも
のであるが、粒径が200μm未満で鉄損も大きくなり磁
束密度の異方性も大きくなる。
実施例No.11,12は、薄スラブ材の例でスラブ厚はそれぞ
れ6mmと4mmである。
また、実施例No.5はCC−DR工程で熱延した材料である。
一方No.1〜4,9,13〜15は870℃で4時間再加熱した後圧
延を行ったものである。
実施例No.13,14はBをB/Nが約1になるように添加した
ものであるが、熱延がAr3変態点を超える温度で行われ
る従来法で製造される比較鋼(No.14)に比べ、本発明
鋼(No.13)が優れた電磁特性を示すことが分かる。ま
た、実施例No.15,16はSiを0.8%添加した例で、本発明
鋼No.15の鉄損は極低炭素鋼の場合より優れているが、
本発明法による鉄損の向上効果は極低炭素鋼の場合ほど
顕著ではない。
実施例17,18はC量0.04%の低炭素鋼の例で、C量の増
加により鉄損が大きくなるが、本発明のプロセスを通る
ことにより鉄損が向上することが確認できる。
実施例19,20はMnを添加した試料、No.21,22はPを添加
した試料の例であるが両例共本発明法に従う圧延プロセ
スで鉄損が向上するのが分る。
(発明の効果) 本発明の方法によれば、同等の電磁特性を得るのに合金
元素(特にSi量)を大幅に低減できるばかりでなく、従
来、同成分ではセミプロセス(フルプロセス後スキンパ
ス圧延を行い、ユーザーで最終的なひずみ取り焼鈍を行
う)でしか得られなかったような優れた電磁特性を得る
ことができ、また本発明によれば通常の冷延鋼板並の成
分系で磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板を経
済的に製造することができるので産業上裨益するところ
が大である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC:0.05%以下、N:0.010%以下、S
    i:1%以下、Mn:1.5%以下、P:0.15%以下、S:0.010%以
    下、Al:0.3%以下で残部がFeと不可避不純物よりなる鋼
    を、鋳造後直ちにまたは再加熱後に熱間圧延する際、Ar
    3変態点以下、500℃以上の温度域で、フェライト粒の平
    均粒径が200μm以上の状態から、少なくとも30%の圧
    延を行い、500℃以上の温度で仕上げたのち、そのまま
    あるいは熱延板焼鈍を行い、酸洗後通常の冷間圧延、焼
    鈍を行うことを特徴とする優れた鉄損特性を有する無方
    向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記鋼に、さらにBをB/Nで1.5以下含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の優れた鉄損特性を有する
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】Ar3変態点以下、500℃以上の温度域の30%
    以上の圧延を、潤滑を施し、ロールと鋼板の平均摩擦係
    数を0.2以下として行う請求項1または2記載の優れた
    鉄損特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法。
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