JP3358691B2 - 鉄分測定装置 - Google Patents

鉄分測定装置

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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電プラント等の
貫流型ボイラの系統水中に含まれる鉄分の濃度を測定す
る鉄分測定装置に関し、更に詳しくは、被測定溶液中の
鉄成分を完全に溶解して測定精度を向上すると共に、被
測定溶液中の気泡及び固形分等の妨害成分を除き、安定
して被測定溶液中の鉄成分を測定することのできる鉄分
測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被測定溶液中の鉄成分、すなわち、イオ
ン状鉄、コロイド状鉄、粒子状鉄からなる全鉄を定量す
るに際し、重要なことは、被測定溶液中に含まれる鉄粒
子あるいはコロイド状の鉄を完全に鉄イオンに溶解した
状態で測定するということである。特開平07−201
13号公報には、FIA(フローインジェクション分析
法)によって被測定液中の鉄粒子あるいはコロイド状の
鉄を短時間で溶解して測定する鉄分測定装置が記載され
ている。この装置は、鉄成分が溶解している被測定溶液
に酸を加えた後、マイクロ波を用いて加熱を行い、鉄成
分の溶解率を高めたものである。
【0003】更に、特開平07−140128号公報
は、特開平07−20113号公報に記載された技術を
改良しているもので、マイクロ波による加熱を長時間行
なえるようにして鉄成分の溶解率を高めたものである。
図5は、特開平07−20113号公報に記載された技
術によって測定した測定結果を示したクロマトグラムで
ある。サンプル採取から、測定終了まで略8分以上の測
定時間が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の鉄分
測定装置は、粒径の大きな鉄粒子等に対しては溶解能力
が低く、溶解時間に長時間を有するという欠点があるほ
か、溶解能力が低いために測定精度が悪いという欠点が
あった。また、これらの装置は、被測定液を直接採取し
て分析しているために、FIA(フローインジェクショ
ン分析法)のラインが被測定溶液中に含まれている固形
物によって閉塞したり、被測定溶液中の気泡等によって
測定が不安定になるという欠点があった。
【0005】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、測定に際し、鉄成分に反応液を合流する前に被
測定溶液中に含まれている固形物や気泡を前処理タンク
で除去、脱気するようにしたものである。また、鉄成分
の溶解を、耐熱性のフューズド シリカ キャピラリーチ
ューブを用いて略200°Cに加熱して行うもので、鉄
成分の溶解率が高く、測定精度の高い鉄分測定装置を提
供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】搬送液で搬送される被測
定液に被測定液中の鉄成分をイオン化する反応液を合流
した後、鉄成分がイオン化された被測定液に発色液を合
流し、発色液で発色した被測定液を検出器に導いて被測
定液中の鉄成分の濃度を測定する鉄分測定装置におい
て、耐熱性を有していて、前記鉄成分をイオン化する反
応液が合流された被測定液が加圧下で搬送されると共
に、加熱される無機材料のキャピラリー、を具備したこ
とを特徴としている。また、搬送液で搬送される被測定
液に被測定液中の鉄成分をイオン化する反応液を合流し
た後、鉄成分がイオン化された被測定液に発色液を合流
し、発色液で発色した被測定液を検出器に導いて被測定
液中の鉄成分の濃度を測定する鉄分測定装置において、
前記反応液を合流する前に前記被測定液中の気泡を脱気
すると共に、前記被測定液中の固形分を除去する前処理
手段と、耐熱性を有していて、前記鉄成分をイオン化す
る反応液が合流された被測定液が加圧下で搬送されると
共に、加熱させる無機材料のキャピラリー、を具備した
ことを特徴としている。さらに、前記無機材料のキャピ
ラリーは、フューズド ジリカキャピラリーであること
を特徴としている。
【0007】
【作用】本発明の各構成要素は次のような作用をする。
キャピラリーは、耐熱性を有し、鉄成分をイオン化する
反応液が合流された被測定液を加圧下で加熱し、鉄成分
を鉄イオンに分解する。前処理手段は、被測定液に反応
液を合流する前に被測定液中を一定時間滞留し、被測定
液中の気泡を脱気すると共に、被測定液中の固形分を沈
殿除去する。
【0008】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の一実施例を詳細
に説明する。図1は、本発明の鉄分測定装置の一実施例
を示した構成図である。図中、1は搬送液(例えば、純
水)を送出する第1ポンプ、2は第1反応液である例え
ば、1規定の塩酸を送出する第2ポンプ、3は火力発電
プラント等の貫流型ボイラの系統水(以下、被測定液と
いう)を一定量採取するサンプリングバルブである。サ
ンプリングバルブ3の計量管3Aで採取された被測定液
は、第1ポンプ1の搬送液によって計量管3Aより送出
される。
【0009】搬送液で計量管3Aより送出された被測定
液は、加熱炉4の前段で第2ポンプ2からの第1反応液
が合流される。加熱炉4は、180〜250°Cの範囲
で制御できるようになっていて、内部には略200°C
に加温されたフューズド シリカ キャピラリーチューブ
5が設置されている。
【0010】フューズド シリカ キャピラリーチューブ
5は、内径が0.3〜0.8mmで長さが1〜20mあっ
て、第1反応液が合流された被測定液が導かれ、鉄成分
のイオン化が行われる。フューズド シリカ キャピラリ
ーチューブ5の特性は、耐熱、耐薬品性に優れ、熱伝導
性が良く、フレキシビリテがありコイル状に巻くこと
ができるので電気炉のような加熱炉4に設置するのに適
している。尚、フューズド シリカ キャピラリーチュー
ブ5は、ステンレス若しくはアルミニウム製のキャピラ
リチューブにシリカ等の無機材料がコーティングされた
ものでも代用可能である。
【0011】フューズド シリカ キャピラリーチューブ
5内で塩酸と反応された被測定液は、第3ポンプ6から
還元剤である第2反応液、例えば塩酸ヒドロキシルアミ
ン1%溶液が合流され、第1反応コイル7で反応され
る。第1反応コイル7で反応された被測定液は、第4ポ
ンプ8からの発色液、例えば、2,,6−トリ−2‐ピ
リジル−1,,5−トリアジン溶液が合流され、第2反
応コイル9で反応される。
【0012】発色液が加えられた被測定液は、第5ポン
プ10から緩衝液が合流され、第3反応コイル11で反
応される。緩衝液が合流された被測定液は、検出波長が
595nmに設定された可視光吸光検出器12によって
測定される。
【0013】13はFIA(フローインジェクション分
析法)のライン中の圧力を約20kgf/cm2に昇圧
する抵抗管である。14は第1〜第3の反応コイル7.
9.11と抵抗管13を一定温度に保つ恒温槽で、この
場合は略40°Cに保たれている。第1〜第3の反応コ
イル7.9.11が恒温槽に収納されているのは、測定
の再現性の向上であり、抵抗管13が恒温槽に収納され
ているのは、周囲温度が変化しても背圧が変化しないよ
うにするためである。尚、各反応コイル7.9.11
は、チューブ内径が0.5mm程度で、長さが数cm〜
数mのものが使用される。
【0014】図2は、本発明の鉄分測定装置で測定した
クロマトグラムを示したもので、横軸は保持時間、縦軸
は595nmにおける吸光度である。被測定液がFIA
のラインに注入されてから、略3分後に測定が終了す
る。従来は、測定の終了まで8分を有しているから、鉄
をイオン化する時間が格段に短くなったことがわかる。
【0015】図3は、低圧タービン部のドレイン中の鉄
成分を本発明の鉄分測定装置で測定した場合とJIS法
で測定した場合の相関を示したものである。尚、図中の
破線で示した直線は、マイクロ波加熱を長時間行なって
鉄成分の溶解率を高めた従来法のものである。低圧ター
ビン部のドレインは、大きな鉄粒子を含んだものである
ため、従来法ではJIS法の測定値を1とした場合、
0.60であった。これに対し、本発明の鉄分測定装置
は傾きが0.98でJIS法と同様に良好な結果であっ
た。
【0016】図4は、鉄分測定装置の第2の発明の一実
施例を示した構成図である。図中、図1と同一作用をす
るものは同一符号を付けて説明する。図中、20は前処
理タンクで、反応液を合流する前に被測定液中の気泡を
脱気すると共に、被測定液中の固形分を除去する。
【0017】21は被測定液を採取するサンプリング部
で、例えば、第1流路によって低圧タービンのドレイン
を採取し、第2流路によって復水ポンプ出口の排水を採
取する。211〜212は各流路に設けられたポンプ、2
3〜218は流路を開/閉するバルブである。
【0018】第1流路から採取された被測定液は、ポン
プ211及び開かれているバルブ213、217を介して
前処理タンク20の下部から前処理タンク20に送出さ
れる。尚、この時、バルブ214、215、216、218
は、閉になっている。前処理タンク20に送出された被
測定液は、一定時間放置され、被測定液中の気泡が脱気
されると共に、固形分が除去される。気泡が脱気され、
固形分が除去された被測定液は、バルブ22及びポンプ
23を介してサンプリングバルブ3に送出されて計量管
3Aに採取される。計量管3Aに採取された被測定液
は、搬送液によって計量管3Aより送出され、測定され
る。
【0019】次に、異なる被測定液を第2流路から採取
する場合を例にあげて説明する。先ず、バルブ213
バルブ217とが閉にされると共に、ドレインのバルブ
218が開にされる。続いて、バルブ214とバルブ21
5とが開かれ、第2流路から採取した被測定液で、第1
流路から採取した被測定液が洗い流される。第2流路か
ら採取した被測定液で流路が洗浄された後、バルブ21
5が閉にされ、バルブ217が開にされる。
【0020】一定時間後、バルブ218が閉にされて第
2流路からの被測定液が前処理タンクに送出され、測定
状態に入る。本実施例では、測定流路が2流路の場合に
ついて説明したが、流路は2以上ある場合でも同様に測
定が可能である。
【0021】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の鉄
分測定装置は、以下に示すような効果がある。第1請求
項記載の発明によれば、被測定液中の鉄成分の溶解を、
耐熱性のフューズド シリカ キャピラリーチューブを用
いて略200°Cに加熱して行うもので、鉄成分の溶解
率が高く、測定精度の高い分析が可能となる。第2請求
項記載の発明によれば、鉄イオンの測定に際し、鉄成分
に反応液を合流する前に被測定溶液中に含まれている固
形物や気泡を前処理タンクで除去、脱気するようにして
いるので、FIA(フローインジェクション分析法)の
ラインが被測定溶液中に含まれている固形物によって閉
塞したり、被測定溶液中の気泡が測定ノイズにならず、
安定して精度よい分析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄分測定装置の一実施例を示した構成
図である。
【図2】本発明の鉄分測定装置のクロマトグラムを示し
たものである。
【図3】低圧タービン部のドレイン中の鉄成分を本発明
の鉄分測定装置で測定した場合とJIS法で測定した場
合の相関を示したものである。
【図4】鉄分測定装置の第2の発明の一実施例を示した
構成図である。
【図5】従来装置の測定結果を示したクロマトグラムで
ある。
【符号の説明】
3 サンプリングバルブ 4 加熱炉 5 フューズド シリカ キャピラリーチューブ 20 前処理タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−140128(JP,A) 特開 平1−185425(JP,A) 実開 昭60−170763(JP,U) 実開 昭51−96490(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 31/00 G01N 1/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】搬送液で搬送される被測定液に被測定液中
    の鉄成分をイオン化する反応液を合流した後、鉄成分が
    イオン化された被測定液に発色液を合流し、発色液で発
    色した被測定液を検出器に導いて被測定液中の鉄成分の
    濃度を測定する鉄分測定装置において、 耐熱性を有していて、前記鉄成分をイオン化する反応液
    が合流された被測定液が加圧下で搬送されると共に、加
    熱される無機材料のキャピラリー、 を具備したことを特徴とした鉄分測定装置。
  2. 【請求項2】搬送液で搬送される被測定液に被測定液中
    の鉄成分をイオン化する反応液を合流した後、鉄成分が
    イオン化された被測定液に発色液を合流し、発色液で発
    色した被測定液を検出器に導いて被測定液中の鉄成分の
    濃度を測定する鉄分測定装置において、 前記反応液を合流する前に前記被測定液中の気泡を脱気
    すると共に、前記被測定液中の固形分を除去する前処理
    手段と、 耐熱性を有していて、前記鉄成分をイオン化する反応液
    が合流された被測定液が加圧下で搬送されると共に、加
    熱される無機材料のキャピラリー、 を具備したことを特徴とした鉄分測定装置。
  3. 【請求項3】前記無機材料のキャピラリーは、フューズ
    ド ジリカキャピラリーであることを特徴とした請求項
    (1)、(2)記載の鉄分測定装置。
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