JP3358410B2 - ほうろう用鋼板 - Google Patents

ほうろう用鋼板

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JP3358410B2
JP3358410B2 JP29445995A JP29445995A JP3358410B2 JP 3358410 B2 JP3358410 B2 JP 3358410B2 JP 29445995 A JP29445995 A JP 29445995A JP 29445995 A JP29445995 A JP 29445995A JP 3358410 B2 JP3358410 B2 JP 3358410B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続焼鈍により製
造したほうろう用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ほうろうは,台所用品,洗面台,建材,
ガスレンジなどに広く用いられているが,浴槽,鍋類な
どでは,ほうろう用鋼に対して、厳しい加工性が要求さ
れる。こうした特性が要求される場合には,従来,C含
有量を低く抑えた上でTiなどの炭化物形成元素を添加
したIF鋼が用いられている。ほうろう用のIF鋼で
は,水素トラップサイトとしての機能を炭窒化物に求め
ていることから,炭窒化物を十分な量形成させるととも
に粗大にする必要があるため,製造上の特徴として箱焼
鈍によって製造されるのが一般的である。
【0003】しかしながら最近になって,一般冷延鋼板
が箱焼鈍から連続焼鈍によって製造される傾向にあり,
特別の場合を除き連続焼鈍が行なわれるようになってき
た。ほうろう用鋼板の製造においても,そうした流れを
受けて,連続焼鈍によって製造しようとする検討がなさ
れている。
【0004】それらは2つの流れに大別される。それぞ
れ, C含有量を低く抑えて,炭窒化物形成元素を添加する
IF鋼ベースの検討であり,たとえば特開昭61-104051
号公報,特開平3-20414号公報,特開平3-10048号公
報,特開平5-43983号公報に開示される技術がこれにあ
たる。 連続焼鈍下での雰囲気を制御して脱炭するための検討
であり,特開平2-282421 号公報,特開平6-116634 号
公報,特開平6-322445 号公報などに記載される技術が
これに相当する。
【0005】これらの技術に共通する課題を整理してみ
ると, 箱焼鈍に比較して連続焼鈍では「焼鈍時間が極めて短
いこと」, それにともなって「CおよびNなどの侵入型元素の固
着に不利に作用すること」 を克服することであり,如何にfreeCおよびfree Nを
低減し,加工性を確保するかである。
【0006】このため,C含有量を低く抑えて,炭窒化
物形成元素を添加するIF鋼ベースの鋼に関する検討
は,炭窒化物の形成を確実にすることを目的として,箱
焼鈍の場合よりも多量の元素を添加する傾向にある。
【0007】また連続焼鈍過程において脱炭する手法に
おいては,雰囲気の露点を極端にあげることを中心に検
討がなされており,水蒸気を積極的添加するなどの提案
がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】Ti添加鋼などのIF
鋼ベースのほうろう用鋼では,水素トラップサイトとし
て,鋼中に炭窒化物を析出させる。それらの炭窒化物に
は,一般的に,Ti、Nb、V、REMなどのそれが用
いられる。しかしながら,これらの元素の炭窒化物は,
ほうろう焼成中にほうろう層中および雰囲気中の水分と
反応してガスを発生させやすく,ガス発生が原因となっ
て泡、黒点欠陥を発生させやすい。またこれらの炭窒化
物は、ほうろう前処理として行なわれる酸洗の過程でも
溶解せず、鋼板表層に残存しするため、酸洗が進むにつ
れて鋼板表層の炭窒化物の量が増大することになる。し
たがってガス発生の機会がますます増大することにな
り,欠陥発生を助長することになる。さらに連続焼鈍に
おいて形成される炭窒化物は,短時間の反応のため十分
に成長せず分解しやすい傾向にあり,このこともガス化
にともなう欠陥発生を助長することになる。
【0009】とくに直接1回掛けにおいては,密着性確
保のため,酸洗減量値,Ni付着量をある一定以上にす
る必要があるが,酸洗減量値,Ni付着量が多すぎる
と,泡,黒点などほうろう欠陥が発生しやすくなる。こ
れらの欠陥は,ほうろう焼成中の露点が高いときに特に
発生しやすい。このため,製造にあたっては,酸洗減量
値,Ni付着量の厳密な制御とともに焼成炉の露点のシ
ビアな管理が必要とされ,デリケートなものづくりを余
儀なくされている。
【0010】一方,連続焼鈍過程で脱炭する手法におい
ては,短時間脱炭焼鈍で製造するため、脱炭雰囲気の制
御が難しく、かつ鋼板表層に酸化層が生成しやすい。こ
の酸化層はほうろう前処理の酸洗工程で除去されるが、
その分酸洗時間を長く取らねばならず非能率的である。
また酸化層があると、それを核にして錆が生成しやす
く、発錆部でほうろう前処理の均一性を損なうことにな
り,ほうろう欠陥が発生することがある。
【0011】本発明は、このような課題を解決するもの
で、高価な添加元素を減らし、非脱炭雰囲気の連続焼鈍
で、泡欠陥、黒点欠陥の発生が少なく、耐時効特性に優
れたほうろう用鋼板を得ることを目的とし、さらに、技
術的にもっとも困難とされる直接1回掛け用ほうろう用
鋼板の提供も目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
量%(以下,同様)で、C: ≦0.003%、Si:0.01%
以下、Mn:0.1〜0.5%、P:0.011〜0.025%、S:0.001〜
0.03%、Cu:0.015〜0.05%、N: ≦0.003%、O:0.0503
0.1%、B:0.0003以上0.003%未満を含有し、かつTi
≦0.001%、Nb≦0.001%、REM≦0.001%、V≦0.003%
とし、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板を、非
脱炭雰囲気下で連続焼鈍して製造することを特徴とする
ほうろう用鋼板である。
【0013】請求項2記載の発明は、C: ≦0.003%、S
i:0.01%以下、Mn:0.1〜0.5%、P:0.011〜0.025%、
S:0.015〜0.02%、Cu:0.015〜0.05%、N: ≦0.003%、
O:0.04 超0.1%以下、B:0.0003以上0.003%未満を含有
し、かつTi≦0.001%、Nb≦0.001%、REM≦0.001
%、V≦0.003%とし、残部Feおよび不可避不純物から
なる鋼板を、非脱炭雰囲気下で連続焼鈍して製造するこ
とを特徴とするほうろう用鋼板である。
【0014】本発明の基本的な考えを述べる。本発明
は,従来の技術で述べた2つの技術思想とは全く異なる
思想に基づいている。それらのポイントを挙げると下記
のとおりである。
【0015】水素のトラップサイトを酸化物とする。
前述したように,Ti、Nb、V、REMなどの炭窒化
物に水素のトラップサイトとしての機能を期待すると,
それらの元素の炭窒化物が不安定であることに起因し
て,ほうろう焼成中にほうろう層中および雰囲気中の水
分と反応してガスを発生させやすく,ガス発生が原因と
なって泡、黒点欠陥を発生させやすい。このため本発明
では炭窒化物の形成を出来るだけ抑制する。このためT
i,Nb,REM,Vといった炭窒化物形成元素の含有
量を制限する。それら炭窒化物に替えて,ほうろう焼成
時にも安定な酸化物を水素のトラップサイトとする。
【0016】C含有量を低く抑えた上で微量のBを添
加する。Ti、Nb、V、REMなどの炭窒化物形成元
素を添加しない場合には,鋼中のCおよびNが固着され
ずfreeCあるいはfreeNが存在し常温時効が生じる場合
がある。これを防止するために,微量のBを添加するの
が本発明の重要なポイントである。常温時効の原因は,
主としてfreeCによるものと判断されることから本発明
では,C含有量を出来るだけ低めることを特徴としてい
る。その上でBを微量添加し,不可避的に混入し、free
CもしくはfreeNとして存在するCとNの固着をBに期
待する。
【0017】連続焼鈍を必須とする。一方Bは焼鈍時
に鋼板の表面で雰囲気中の酸素もしくは水分と反応し,
酸化物になりやすい傾向にある。これを防止する観点か
ら本発明では,焼鈍時間の短い連続焼鈍方法を用いる。
連続焼鈍は箱焼鈍に比較して圧倒的に焼鈍時間が短く,
Bの酸化損失を少なくすることが出来る。さらにコイル
位置での焼鈍条件の均一性にも優れており,結果として
製品の均一性にも優れることになる。ただしBの酸化は
焼鈍雰囲気中の露点が高い場合に生じやすいので,連続
焼鈍時には非酸化雰囲気すなわち露点の低い不活性ガス
雰囲気などの非脱炭雰囲気とすることが必要である。
【0018】本発明の各成分組成の限定理由を述べる。
Cは、ほうろう前処理の酸洗後、鋼板表面に炭化物とし
て濃化し、ほうろう焼成中にほうろう釉薬、雰囲気と反
応し、ガス化する。これは、泡欠陥、黒点欠陥の原因と
なるため、鋼板中のCは少ない方がよい。耐時効性をも
考慮して0.003%以下とする。
【0019】Nは、ほうろう前処理の酸洗後、鋼板表面
に窒化物として濃化し、ほうろう焼成中にほうろう釉
薬、雰囲気中の水分と反応し、ガス化する。これは、泡
欠陥、黒点欠陥の原因となるため、鋼板中のNは少ない
方がよい。耐時効性をも考慮して0.003%以下とする。
【0020】Mnは鋼中に含まれる酸素と結合して酸化
物を形成する。本発明においては、鋼板中にTi、N
b、V、REMの炭窒化物は存在せず、Mnの酸化物量
は耐爪とび性の観点から重要であり、0.1%以上好ましく
は0.2%以上とする。反面、鋼板中のMnが多くなりすぎ
ると、加工性が劣化するので、上限を0.5%とする。 O
は、鋼中で酸化物となり、耐爪とび性に効果がある。本
発明においては、耐爪とび性に効果のあるC、N量を耐
泡性、耐黒点性、耐時効性の観点から低減しているた
め、Oは、0.04% を超える量、好ましくは0.05% 以上必
要である。しかし、多すぎるとその効果は飽和し、加工
性を劣化させるだけなので、0.1%以下とする。
【0021】Pは、ほうろう前処理の硫酸酸洗時の酸洗
時間を短かくし、密着性を向上させるために必要であ
る。特に、良好な密着性を得にくい直接1回掛け用を目
的とした場合、密着性の観点からP量は重要である。一
方、Pが多すぎると、ほうろう前処理の酸洗後、鋼板表
面にスマットが過剰に付着し、泡欠陥、黒点欠陥が発生
しやすくなる。よって、P:0.004〜0.025%の範囲、好ま
しくは0.008%以上0.025%以下とする。
【0022】Cuは、ほうろう焼成中にほうろうと鋼板
の界面をあらくし、密着性を向上させるのに必要であ
る。特に、良好な密着性を得にくい直接1回掛け用を目
的とした場合、密着性の観点からCu量は重要である。
一方、多すぎると酸洗時間が長くなり過ぎて適切な酸洗
減量値をとりにくい。よって、0.015%以上0.05% 以下と
する。
【0023】Sは酸洗時間を短かくする元素であり、か
つ、Sが存在するとほうろう焼成時にほうろう層と鋼板
の界面の反応が促進され、密着性が改善する。しかし、
S量が多すぎると、ほうろう前処理のNiめっきの時、
Niが不均一に付着し、密着性を低下させる要因とな
る。よって、S量は0.001%以上0.03% 以下とする。また
極めて良好な密着性を確保するためのS量は0.015 〜0.
02% である。密着性が良好であると爪とび欠陥、チッピ
ング欠陥なども起こりにくく、より優れたほうろう特性
の鋼板が得られる。
【0024】Bは、C、Nと結合し、耐時効性に効果が
ある。しかしながら、Bが多すぎると、耐泡性、耐黒点
性が劣化し、かつ連続焼鈍における結晶粒の成長が抑制
され、加工性、特に伸び値が劣化する。よって、Bは0.
0003% 以上0.003%未満とする。
【0025】Ti、Nb、V、REMは、炭窒化物形成
元素であり、耐爪とび性は向上する。しかし、これらの
炭窒化物は、スマットとして濃化して残存してほうろう
焼成中に分解し、泡、黒点欠陥となり、また、焼成中の
露点が高いときも、ほうろう焼成中に分解し、泡、黒点
欠陥となる。
【0026】このため、Ti、Nb、V、REMは有害
元素であり、不可避的不純物として混入する場合でも、
Ti、Nb、REMはおのおの0を含み0.001%以下、V
は0を含み0.003%以下とする。
【0027】連続焼鈍は、再結晶温度以上、Ac 3 点以
下の温度で焼鈍する。また、鋼板中のBが酸化して鋼板
表面に濃化しないよう、露点が−20℃未満で、雰囲気ガ
スはH2 が5%未満、残部は主にN2 からなるような非脱
炭雰囲気で行うのが好ましい。露点の低い純H2 でもよ
い。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の鋼板について、他に配慮
すべき点について述べる。
【0029】Si、Alは、脱酸剤として、溶鋼中の酸
素が高すぎた場合にさらに添加して鋼中酸素を調整する
こともあるが、他に合金原料、溶鋼用の容器の耐火物な
どから不可避的に混入するものであり、多すぎると泡欠
陥、黒点欠陥、鋼板の表面欠陥を発生しやすくなる。こ
のため、表面性状に優れたほうろう鋼板を得るためには
少ない方が好ましく、Siは0を含み0.05%以下、Alは
0を含み0.005%以下が好ましい。特にSiは、後述の実
施例の発明鋼板に示すように0.01%以下とする。
【0030】Cr、Mo、Ta、W、Niは不可避的不
純物として混入しくるが、Crは0を含み0.03% 以下、
Mo、Ta、Wは各0を含み0.004%以下、Niは0を含
み0.05% 以下が好ましい。
【0031】製造条件は以下のとおりである。前記の成
分範囲に調整した鋼の鋳片(スラブ)あるいは鋳造板を
連続鋳造法により製造する。なぜなら造塊法では鋳造後
の冷却が遅く、鋼中のBが酸素と結合してしまい、耐時
効性の向上が見込めないからである。
【0032】熱間圧延は、加工性を確保するため、仕上
げ温度はAr3変態点以上にすることが好ましく、このた
め、鋳片あるいは鋳造板の加熱温度は1100℃以上にする
ことが好ましい。巻取温度は機械的性質を考慮して、50
0 ℃〜750 ℃がよい。
【0033】冷間圧延は、機械的性質、耐爪とび性の観
点から、冷圧率は65% 以上が好ましい。
【0034】非脱炭雰囲気で連続焼鈍後の調圧の調圧率
は、耐時効性、およびマイクロボイド形成による耐爪と
び性の向上の観点から0.6%以上が好ましい。
【0035】なお、鋼の精錬方法は電気炉で行っても良
く、また、熱間圧延において、粗圧延を省略して仕上げ
圧延を行っても何ら問題は無い。
【0036】
【実施例】
(実施例1)表1に示す成分組成を有するスラブを仕上
げ温度890 ℃で2.8 mmに熱間圧延してから620 ℃で巻
き取り、酸洗後、0.8 mmに冷間圧延した。その後、82
0 ℃で60秒間の連続焼鈍(露点: −30℃、雰囲気: 窒
素)を行い、次いで調圧率1.0%で調圧を行い、試験材と
した。
【0037】
【表1】
【0038】なお、表1の鋼板の成分組成欄に表示しな
い残部はFeと不可避不純物である。加工性はJIS5
号試験片で引っ張り試験、および平均r値(rm値)の
測定をした。時効指数( AI) は、8%の予引張後、100
℃で1時間の時効処理を行い、再度引張試験時の降伏荷
重と予引張時の荷重の差を予引張後の断面積で割った値
を示す。
【0039】さらに100 ×100 mmのサンプルを以下の
条件でほうろう掛けを行い、ほうろう特性を調査した。
【0040】密着性試験では、密着性の差が明確となる
ように酸洗、Niめっき時間を短くしてサンプルを作
り、PEI法(プレス変形法)で評価を行った。 サンプル:3枚 前処理: 脱脂→硫酸酸洗(15% H2SO4、70℃×2min) →N
iめっき(NiSO4・7H2O =13g/l 、pH2.6 、70℃×2min)
→中和 施釉: 日本フエロー 1553C釉薬 目標: 両面に100 μm ずつ 焼成:830℃×3min
【0041】泡発生試験においては、泡が発生しやすい
釉薬を用い、酸洗時間とNi時間を長くし、焼成時の雰
囲気の露点を高くして泡が発生しやすいようにして評価
した。泡の発生評価は、外観で評価し、10枚のサンプ
ル中、泡欠陥が発生したものの割合%で示した。 サンプル:10枚 前処理: 脱脂→硫酸酸洗(15% H2SO4、70℃×20min)→N
iめっき(NiSO4・7H2O =13g/l 、pH2.6 、70℃×15min)
→中和 施釉: 日本フエロー T3724釉薬。 目標:両面に100μmずつ 焼成:840℃×3min、加湿雰囲気( 露点:30℃) ほうろう焼成後、泡の発生を評価した。
【0042】爪とび試験では、酸洗時間、Niめっき時
間を短くし、焼成時の露点を高くすることにより、爪と
びが発生しやすいようにした。爪とびの発生評価は、外
観で評価し、10枚のサンプル中、爪とび欠陥が発生し
たものの割合%で示した。 サンプル:10枚 前処理: 脱脂→硫酸酸洗(15% H2SO4、70℃×2min) →N
iめっき(NiSO4・7H2O =13g/l 、pH2.6 、70℃×2min)
→中和 施釉: 日本フェロー 1553C釉薬 目標: 両面に100 μm ずつ 焼成:830℃×2min、加湿雰囲気( 露点:30℃) この結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表1、表2から、本発明の鋼板はいずれも
優れた加工性(降伏点YS、引張強さTS、伸びEl、
平均r値rm)、耐時効性(AI)、ほうろう特性(密
着性、泡、爪とび性)が得られている。また、本発明鋼
板でSが0.015 〜0.02% の鋼板3 、4 、10、20は極めて
密着性が良好である。
【0045】それに対して、C量の多い鋼板21は、加工
性、耐時効性に劣り、泡も発生した。酸素量の少ない鋼
板22は、爪とびが発生した。N量が多すぎる鋼板23は、
加工性、耐時効性に劣り、泡も発生した。Bが少ない鋼
板24は耐時効性に劣る。B量が多すぎる鋼板25は加工性
と耐泡性に劣る。Cu量の少ない鋼板26は密着性が劣
る。P量の多すぎる鋼板27は耐泡性に劣る。また、RE
Mを添加した鋼板28、Nbを添加した鋼板29、Vを添加し
た鋼板30、Tiを添加した鋼板31も耐泡性に劣る。
【0046】(実施例2)さらに、C:0.0005〜0.0016%
、Mn:0.25 〜0.34% 、P:0.006 〜0.012%、S:0.015 〜
0.02% 、Cu:0.025〜0.036%、N:0.001 〜0.002%、O:0.04
5 〜0.06% で、残部はFeと不可避不純物である本発明
の鋼板の、B量を変化させた鋼板を実施例1と同様な方
法で製造し、時効指数( AI) 、伸び(El)を測定して
図1に示す。
【0047】図1から、本発明鋼板はAIが40N/mm2
下と遅時効レベルであり、El値は49%以上で良好であ
る。
【0048】(実施例3)表3に示す本発明の成分組成
と残部はFeと不可避不純物のスラブを、仕上げ温度89
0 ℃で2.8 mmに熱間圧延してから620 ℃で巻き取り、
酸洗後、0.8 mmに冷間圧延した。その後、820 ℃で60
秒間の連続焼鈍( 露点: −30℃、雰囲気:窒素) した。
比較例として同一の冷間圧延鋼板を、720 ℃で20時間の
箱焼鈍、720 ℃で8 時間の脱炭焼鈍、720 ℃で10時間の
脱炭脱窒焼鈍、820 ℃で60秒間の連続脱炭焼鈍( 露点:2
0 ℃、H2:15% 、残部窒素) を行い、次いで調圧率1.0%
で調圧を行った。
【0049】焼鈍後のサンプルを両面2 μm 研磨除去
し、鋼板表面のB濃化層を除去した後の化学組成をあわ
せて表3に示す。また、調圧後の鋼板の長手方向におけ
る材質の均一性を調査(20 箇所) し、rm 値の最大値と
最小値の差が0.2 未満を○、0.2 以上0.3 未満を△、0.
3 以上を×と評価した。
【0050】また、焼鈍前後の鋼板表面の酸化増量が5
X10-6 g/cm 2 未満を○、5X10-6 g/cm 2 以上20X10
-6 g/cm 2 未満を△、20X10-6 g/cm 2 以上を×と評価
し、表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3から、非脱炭雰囲気の連続焼鈍による
ときは、焼鈍後、鋼板表層にBが濃化することなく、材
質も長手方向に均一なものが得られ、鋼板表面の酸化増
量も少ない鋼板が得られた。
【0053】焼鈍方法は箱焼鈍では焼鈍時間が長いた
め、鋼板中のBが雰囲気中の酸素、水分と反応し、鋼板
表面にBの酸化物として濃化する。このBの酸化物は、
ほうろう前処理の酸洗過程において除去されるので、実
質的にBが抜けたのと同等となり、B添加による耐時効
性の効果が小さくなっている。
【0054】特に、箱型脱炭焼鈍、箱型脱炭脱窒焼鈍に
よると、焼鈍雰囲気中の露点が高いことによるBの酸化
もあり、より大きなBの減量となっている。
【0055】連続脱炭焼鈍法によると、鋼板表面の酸化
増量がやや多かった。また、予め箱焼鈍により減少する
B量を余分に添加しても、鋼板位置によって、焼鈍条件
が異なるため、B減少量が鋼板の位置で異なり、材質の
不均一を招きやすい。よって、焼鈍は、非脱炭雰囲気の
連続焼鈍で行う必要がある。
【0056】
【発明の効果】この発明によるときは、高価な添加元素
を減らし、非脱炭雰囲気の連続焼鈍法で、泡欠陥、黒点
欠陥、時効不良のないほうろう用鋼板が得られた。さら
に、非常に密着性にも優れ、直接1 回掛け用ほうろう用
鋼板も提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のB量とAI(時効指数)、El(伸
び)の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−27522(JP,A) 特開 平8−199299(JP,A) 特開 平7−242946(JP,A) 特開 平7−90382(JP,A) 特開 平7−41864(JP,A) 特開 平6−116634(JP,A) 特開 平5−43983(JP,A) 特開 平3−232947(JP,A) 特開 平1−31929(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】量%で、C: ≦0.003%、Si:0.01%以
    下、Mn:0.1〜0.5%、P:0.011〜0.025%、S:0.001〜0.
    03%、Cu:0.015〜0.05%、N: ≦0.003%、O:0.0503〜
    0.1%、B:0.0003以上0.003%未満を含有し、かつTi≦
    0.001%、Nb≦0.001%、REM≦0.001%、V≦0.003%と
    し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板を、非脱
    炭雰囲気下で連続焼鈍して製造することを特徴とするほ
    うろう用鋼板。
  2. 【請求項2】量%で、C: ≦0.003%、Si:0.01%以
    下、Mn:0.1〜0.5%、P:0.011〜0.025%、S:0.015〜0.
    02%、Cu:0.015〜0.05%、N: ≦0.003%、O:0.04超0.1
    %以下、B:0.0003以上0.003%未満を含有し、かつTi≦
    0.001%、Nb≦0.001%、REM≦0.001%、V≦0.003%と
    し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板を、非脱
    炭雰囲気下で連続焼鈍して製造することを特徴とするほ
    うろう用鋼板。
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