JP3357314B2 - 低インダクタンスコンデンサ - Google Patents

低インダクタンスコンデンサ

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JP3357314B2 JP07800799A JP7800799A JP3357314B2 JP 3357314 B2 JP3357314 B2 JP 3357314B2 JP 07800799 A JP07800799 A JP 07800799A JP 7800799 A JP7800799 A JP 7800799A JP 3357314 B2 JP3357314 B2 JP 3357314B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数個のコンデン
サ素子を並列接続してなる低インダクタンスコンデンサ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のコンデンサは、図4に示すように
一対の金属化フィルムを重ねて巻回し、その巻回端面に
はんだなどを吹き付けることにより電極導出部22a、
22bを形成しコンデンサ素子21とし、該素子を複数
個、並列に配列して接続板23a、23bを、例えばは
んだ付けで電極導出部22a、22bに接続し、リード
線24a、24bを介して図示しない金属製容器に取り
付けられている外部端子に接続しているが、その一方の
第1のリード線24aは、コンデンサ素子の上端部から
導出され、他方の第2のリード線24bは、電極導出部
22b−素子下端−電極導出部22a側へと伸延する接
続板23bに接続され、第1のリード線24aに沿わせ
て導出されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の並列接続構造に
より、コンデンサの内部インダクタンスの低減を図って
いるが、使用回路の高周波化に伴い、該構造ではインダ
クタンス低減を十分に行うことができず、回路機能に支
障を生じていたため、さらなる低インダクタンス化が要
求されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題を
解決するために発明されたもので、電極導出部を有する
コンデンサ素子を複数個、並列に接続してコンデンサ素
体を形成し、一方の電極導出部に接続した導体を、コの
字状に形成した絶縁シートを介して、他方の導体が囲む
ように形成したもので、2つの導体を同一電極導出部側
から互いに近接して引き出し、外部端子に接続した構造
の低インダクタンスコンデンサを提供しようとするもの
である。
【0005】すなわち、一対の金属化フィルムを重ねて
巻回し、巻回端面に金属を溶射して電極導出部2a、2
bを形成してなるコンデンサ素子1を複数個、並列に接
続してコンデンサ素体3を形成し、該素体の電極導出部
2a、2bに導体5、6を介して外部端子10に接続し
てなる低インダクタンスコンデンサにおいて、コンデン
サ素体3の一方の電極導出部2aに接続する第1の引出
板5と、他方の電極導出部2bに接続する第2の引出板
6bとを絶縁シート7を介して、互いに近接して導出さ
せ、かつ第2の引出板6bと繋がる接続板6aが上記素
体3を囲むように、一方の電極導出部2bから素体3の
側面、他方の電極導出部、そして元の電極導出部2bに
戻るように折り曲げたことを特徴としている。なお、第
1の引出板は第1の導体を形成し、第2の引出板と接続
板は第2の導体を形成する。
【0006】また、上記の第1の引出板5と第2の引出
板6bとを上記素体の上部側面の略中央部に導出させた
ことを特徴としている。そして、第2の引出板6bと接
続板6aとが一体であることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】上記のように本発明の低インダク
タンスコンデンサは、電極導出部を有するコンデンサ素
子を複数個、並列に接続してコンデンサ素体を形成し、
該素体の一方の電極導出部から素体の上部側面の略中央
部に第1の導体を引き出し、他方の電極導出部に接続し
た第2の導体を絶縁シートを介して上記素体の両側面を
囲むように形成し、第1の導体に沿わせて引き出し、外
部端子に接続する。このように、第2の導体をコンデン
サ素体の両側面に沿って他方の電極導出部側に渡すこ
と、および、第1、第2の2つの導体を同一電極導出部
側から互いに近接して引き出すことによりコンデンサの
内部インダクタンスを低減することができる。
【0008】
【実施例】図1は本発明の低インダクタンスコンデンサ
の一実施例を示す一部断面図であり、図2は図1を構成
する金属製容器および包囲絶縁シートを取除いた詳細図
で、(a)は平面図、(b)は一部断面図、(c)は左
側面一部断面図、(d)は右側面一部断面図、(e)は
第1、第2の導体の斜視図である。
【0009】以下、本発明の一実施例について、図面を
参照しながら説明する。図1に示す低インダクタンスコ
ンデンサは、図3に示すように複数個のコンデンサ素子
1の電極導出部2a、2bを銅板(金属テープ)などか
らなる結線板4a、4bで並列にはんだなどで接続して
コンデンサ素体を形成し、該素体の結線板4aに第1
の導体5をはんだなどで接続する。さらに、絶縁紙、プ
レスボード、ポリエステルフィルムなどからなるコの字
状に構成した絶縁シート7を介して接続板6aと引出板
6bからなる第2の導体の接続板6aを結線板4bに
はんだなどで接続し、接続板6aをコンデンサ素体
両側面に配置し、反対側の第1の導体5側にて引出板6
bとはんだなどにて接続し、第1の導体5と第2の導体
とが離れないようにインシュロック帯などのロック帯
12で止める。これら全体を絶縁紙、プレスボード、ポ
リエステルフィルムなどからなる包囲絶縁シート8にて
包囲し金属製容器9に収納後、第1の導体5と第2の導
の外部端子10への接続距離Lを短くして上記容器
に設けている外部端子10にそれぞれはんだなどで接続
し、絶縁油、絶縁ガスなどの充填剤11を充填したこと
により構成している。
【0010】コンデンサ素子1は、一対の金属化ポリプ
ロピレンフィルム、金属化ポリエステルフィルムなどか
らなる金属化フィルムを重ねて巻回し、巻回端面にはん
だ、亜鉛などの金属を溶射して電極導出部2a、2bを
形成している。銅板(金属テープ)などからなる第1の
導体5は、コンデンサ素体を形成している一方の電極
導出部2aに接続している結線板4aにはんだなどで接
続し、先端部を除いて絶縁処理されている。また、第1
の導体5と結線板4aとははんだなどで接続している
が、このような接続方法をとらず、両者を初めから一体
成形したものを用いてもよい。第2の導体を形成して
いる銅板(金属テープ)などからなる接続板6aは、図
2に示すように他方の電極導出部2b側からコンデンサ
素体の電極導出部2a側に沿って、元の電極導出部2
b側に戻るように折り曲げ、この接続板6aの両端部を
電極導出部2bと接続する結線板4bに接続し、次に銅
板などからなる引出板6bを第1の導体5に沿うように
はんだなどで接続板6aと接続し、上記素体の上部側面
の略中央部まで伸延し、それぞれ外部端子10にはんだ
などで接続する。この引出板6bも先端部分を除いて絶
縁処理している。コの字状に構成されている絶縁シート
7は、図2に示すように電極導出部側2aを中央にして
コンデンサ素体の両側面に配置し、第2の導体の引
出板6bと第1の導体5と、さらに上記素体の両側面と
第2の導体の接続板6aとを電気的に絶縁している。
【0011】上記の並列接続構造におけるコンデンサの
内部インダクタンスは、コンデンサ素体の上端から外部
端子に至るまでの引出部のインダクタンス、リターン回
路のインダクタンスおよび素子インダクタンスである。
引出部のインダクタンスは、同一電極導出部側の上端部
からコンデンサ素体の上部側面の略中央部まで導体を重
ね合せるように引き出し、さらに外部端子への接続に際
し、接続距離Lをできるだけ短くしている。また、素子
インダクタンスはコンデンサ素子固有のものであり、そ
の値は引出部のインダクタンス、リターン回路のインダ
クタンスに比べて非常に小さい値である。リターン回路
のインダクタンスは、コンデンサ素体の一方の電極導出
部と、他方の電極導出部と接続し上記素体の両側面に沿
って一方の電極導出部に渡した第2の導体との間のイン
ダクタンスである。
【0012】以下、本発明の原理を図5〜7の模式図に
より説明する。通常、平行導体板のインダクタンスは次
のように計算される。図5に示すように、幅h、長さa
の導体板が距離sだけ離れて平行に対向しているときの
平行導体板のインダクタンスLは、〔数1〕のようにな
る。
【0013】
【数1】
【0014】本発明のようにコンデンサ素体の両側面に
沿って導体を渡した場合のリターン回路の模式図は、図
6のようになる。図6はコンデンサ素子の直径を2rと
して、そのコンデンサ素子を縦方向に5個並べて1列を
形成し、横方向に2列(図では上下方向)並べ、並列接
続してコンデンサ素体を形成し、高さh、長さaなる導
体をコンデンサ素体の両側面に配置したものである。
【0015】電流iがコンデンサ素体のA方向(図の右
端)からB方向(図の左端)に流れると、それぞれの縦
方向の列には電流が1/2・iずつ流れ、それぞれの導
体にはコンデンサ素体に流れる電流と反対方向のB方向
からA方向に電流が1/2・iずつ流れ、これらの導体
に流れる電流によるインダクタンスは低減するが、コン
デンサ素子と導体とが離れているためインダクタンスは
0とはならない。この場合、縦方向に1列に並んだコン
デンサ素子の中央部に電流が集中して流れると考える
と、上記のような平行導体板とみなすことができ、導体
が距離rだけ離れた平行導体板が2組ある(コンデンサ
素子と導体間の距離は0と考える。)ことになり、その
ときのリターン回路のインダクタンスL は、〔数
2〕のとおりとなる。
【0016】
【数2】
【0017】また、コンデンサ素体の片側側面のみに導
体を沿わせた場合の従来のリターン回路の模式図は図7
のようになる。図7は上記と同様にコンデンサ素子の直
径が2rで、そのコンデンサ素子を縦方向に5個、横方
向に2列並べてコンデンサ素体を形成し、導体(高さ
h、長さa)をコンデンサ素体の片側側面に配置したも
のである。
【0018】電流iがコンデンサ素体のA方向からB方
向に流れると、導体には反対方向の電流iが流れる。こ
の場合、縦方向に2列に並んだコンデンサ素子の中央部
に電流が集中して流れると考えると、上記と同じような
平行導体板とみなすことができ、導体の距離が2rだけ
離れた平行導体板とする(コンデンサ素子と導体間の距
離は0と考える。)ことができ、そのときのリターン回
路のインダクタンスL は、〔数3〕のとおりとな
る。
【0019】
【数3】
【0020】本発明と従来例のリターン回路のインダク
タンスを比較すると、〔数4〕のようになる。
【0021】
【数4】
【0022】計算によれば、リターン回路のインダクタ
ンスは、コンデンサ素体の両側面に導体を配置する本発
明の方が、従来の片側のみに配置したものより、横に2
列並べた場合、75%削減することができ、横に3列、
4列、・・・並べた場合でも上式の計算から75%の削
減ができる。これらの計算に用いたコンデンサ素子の形
状は円筒形の形状であるが、偏平形状のコンデンサ素子
であっても同様の効果がある。
【0023】因みに、図7に示す従来のコンデンサと、
本発明の低インダクタンスコンデンサとを定格電圧16
50VDC、4500μFのフィルタ用コンデンサにて
それぞれ作製し、両者のインダクタンスを比較した結果
を以下に示す。従来の並列接続構造のコンデンサにはコ
ンデンサ素体の片側側面に導体を配置し、本発明の低イ
ンダクタンスコンデンサにはコンデンサ素体の両側面に
導体を配置した。その他の仕様、構造は同一としてい
る。それぞれのインダクタンスを実測したところ、従来
のコンデンサのインダクタンスは80nHで、本発明の
低インダクタンスコンデンサのインダクタンスは45n
Hと約44%の低減であったが、この低減率はコンデン
サ素体の両側面に配置した導体による影響に加えて、外
部端子間のインダクタンス、すなわち外部端子間の距離
および外部接続した接続部分までの高さにより決まるイ
ンダクタンスが大きく影響しているためであり、本発明
の導体をコンデンサ素体の両側面に沿って他方の電極導
出部側に渡し、2つの導体を同一電極導出部側より導出
することによりインダクタンスが低減するという効果が
実証された。
【0024】なお、以上の説明では、第2の導体の接続
板6aと引出板6bとははんだなどで接続したが、この
ような接続方法をとらず、両者を初めから一体成形した
ものを用いることもできる。また、コンデンサ素子は金
属化フィルムを巻回して形成したものとしたが、これに
限定されるものではなく、アルミニウム箔、銅箔などの
金属箔を電極とし、ポリプロピレンフィルムなどのプラ
スチックフィルム、紙若しくはこれらの複合体を誘電体
としてコンデンサ素子を形成しても同等の効果を奏す
る。
【0025】
【発明の効果】上記のことから本発明の低インダクタン
スコンデンサは、コンデンサ素体の一方の電極導出部に
接続した第1の導体と、上記素体の他方の電極導出部に
接続した第2の導体を上記素体の両側面に沿って一方の
電極導出部に渡して同一電極導出部より導出することに
よりリターン回路のインダクタンスの低減を図ることが
でき、また上記素体の上部側面の略中央部まで沿わせて
2つの導体を引き出しているので、コンデンサの内部イ
ンダクタンスを低減することができ、工業的、実用的に
その価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の低インダクタンスコンデンサの
一実施例を示す断面図である。
【図2】図2は図1を構成する金属製容器、包囲絶縁シ
ートを取除いた詳細図で、(a)は平面図、(b)は一
部断面図、(c)は左側面一部断面図、(d)は右側面
一部断面図、(e)は第1、第2の導体の斜視図であ
る。
【図3】図3は本発明の低インダクタンスコンデンサの
一実施例を示すコンデンサ素体の図面で、(a)は正面
図、(b)は側面図である。
【図4】図4は従来のコンデンサの並列接続構造を示す
図面である。
【図5】図5は本発明の原理を表示するために記載した
平行導体板の模式図である。
【図6】図6は本発明のリターン回路の模式図である。
【図7】図7は従来のリターン回路の模式図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子 2a 電極導出部 2b 電極導出部 3 コンデンサ素体 4a 結線板 4b 結線板 5 第1の導体(引出板) 6 第2の導体 6a 接続板 6b 引出板 7 絶縁シート 8 包囲絶縁シート 9 金属製容器 10 外部端子 11 充填剤 12 ロック帯 21 コンデンサ素子 22a 電極導出部 22b 電極導出部 23a 接続板 23b 接続板 24a 第1のリード線 24b 第2のリード線
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/10 H01G 4/14 - 4/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の金属化フィルムを重ねて巻回し、
    巻回端面に金属を溶射して電極導出部を形成してなるコ
    ンデンサ素子を複数個、並列に接続してコンデンサ素体
    を形成し、該素体の電極導出部に導体を介して外部端子
    に接続してなる低インダクタンスコンデンサにおいて、 コンデンサ素体の一方の電極導出部に接続する第1の引
    出板と、他方の電極導出部に接続する第2の引出板とを
    絶縁シートを介して、互いに近接して導出させ、かつ第
    2の引出板と繋がる接続板が上記素体を囲むように、一
    方の電極導出部から素体の側面、他方の電極導出部、そ
    して元の電極導出部に戻るように折り曲げたことを特徴
    とする低インダクタンスコンデンサ。
  2. 【請求項2】 上記の第1の引出板と第2の引出板とを
    上記素体の上部側面の略中央部に導出させたことを特徴
    とする請求項1記載の低インダクタンスコンデンサ。
  3. 【請求項3】 上記の第2の引出板と接続板とが一体で
    あることを特徴とする請求項1または請求項2記載の低
    インダクタンスコンデンサ。
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