JP3350888B1 - ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤

Info

Publication number
JP3350888B1
JP3350888B1 JP2001231280A JP2001231280A JP3350888B1 JP 3350888 B1 JP3350888 B1 JP 3350888B1 JP 2001231280 A JP2001231280 A JP 2001231280A JP 2001231280 A JP2001231280 A JP 2001231280A JP 3350888 B1 JP3350888 B1 JP 3350888B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tannin
resin
polyethylene terephthalate
terephthalate resin
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001231280A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003041105A (ja
Inventor
進 日下石
慎行 紺野
佳奈 大橋
Original Assignee
東北ムネカタ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 東北ムネカタ株式会社 filed Critical 東北ムネカタ株式会社
Priority to JP2001231280A priority Critical patent/JP3350888B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3350888B1 publication Critical patent/JP3350888B1/ja
Publication of JP2003041105A publication Critical patent/JP2003041105A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

【要約】 【課題】 ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤 【解決手段】 タンニンとリン酸エステル化合物を重量
比で1:0.1〜1:10で含むポリエチレンテレフタ
レート樹脂の添加剤。該添加剤をポリエチレンテレフタ
レート樹脂に対して20〜1000ppm添加すること
により該樹脂の熱溶融時の熱安定性を向上させまた結晶
化を抑制できると同時に該樹脂に難燃性を付与できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエチレンテレフ
タレート(PET)樹脂(以下PET樹脂と略称するこ
とがある)、または複数の他の樹脂にPET樹脂がブレ
ンドされた樹脂において、熱溶融時に分子量低下が起こ
りその後PET樹脂が結晶化することによって成形品の
衝撃強度などが低下するという現象が発生する。このと
きのPET樹脂の分子量の低下を抑制する、すなわち熱
安定性を向上させ、また結晶化を抑制するとともに難燃
性を付与するための樹脂添加剤およびPET樹脂に難燃
性などを付与する方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】樹脂材料、特にPET
樹脂は、熱溶融によって分子量低下が激しく、また結晶
性樹脂のため衝撃強度などが著しく低下する。従って、
製品のリサイクルはもちろんのこと、成形時に発生する
スプルー、ランナーなどのリサイクルは困難であった。
また家電製品において製品に使用される樹脂は、米国内
においてはUL規格(Under Writers Laboratories In
c., standerd)におけるUL−94の燃焼規格によって
定められた難燃性をもたなければならない。また最近に
おいては米国だけではなく、ほとんどの国でこの規格を
求めるようになってきた。もちろん我が国においても、
義務ではないがこのUL−94規格に定める難燃材料を
使用する方向にある。一方難燃剤はおおむね3種類の原
理が考えられている。1つにはハロゲン系化合物及びリ
ン酸系化合物を数%〜数十%まで添加することによっ
て、燃焼した炎に対し負触媒として働き燃焼を止め、こ
れによって難燃性を付与するものである。2つめはシリ
コーン化合物を数%〜十数%程度添加し、燃焼中に樹脂
の表面にブリードさせることによって表面にチャー(炭
化層)を生成させ、燃焼を止めようとするものである。
3つめは水酸化マグネシウムあるいは水酸化アルミニウ
ムなどの金属塩を30〜40%程度混入し、樹脂の燃焼
によってこれらの化合物が吸熱分解し、かつ水を生成す
るため、この水で全体を冷却し燃焼の継続を止めようと
いうものである。しかし1つめの手法はハロゲン化合物
によるダイオキシンの発生や、リン酸による水質汚染な
どが廃棄プラスチックによって引き起こされるし、2つ
めの場合はシリコーン化合物を大量に添加するため、樹
脂本来の物性を変えてしまい、強度が低下したりするこ
とも多い。また3つめに至っては多量の無機塩を入れる
ため、樹脂が加水分解したり機械的物性が脆くなったり
する欠点があった。
【0003】本発明の第1の目的は上記の問題点を解決
するためのPET樹脂に添加することによってPET樹
脂の加熱、溶融時の分子量低下を抑制する、すなわち熱
安定性を向上させ、そして結晶化も同時に減少させて衝
撃強度を高めたリサイクル可能な材料とすることができ
ると同時にPET樹脂に難燃性を付与することができる
樹脂添加剤を提供することである。本発明の第2の目的
は、同様に上記問題点を解決するためのPET樹脂の加
熱、溶融時の熱安定性を向上させ、そして結晶化も減少
させて衝撃強度を高め、リサイクル可能な材料とすると
同時に難燃性を付与することができる方法を提供するこ
とである。また本発明の第3の目的は同様に上記のよう
な問題点を解決された、加熱溶融時の分子量低下が少な
くて熱安定性の優れたそして結晶化が抑制されて衝撃強
度の低下が少ない、しかも難燃性が付与されたリサイク
ル可能なPET樹脂を提供することである。そして本発
明の更なる目的は以下の説明により一層明らかとなるで
あろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
タンニンとリン酸エステル化合物を重量比で1:0.1
〜1:10で含むポリエチレンテレフタレート樹脂の添
加剤およびポリエチレンテレフタレート樹脂に対し上記
添加剤を20〜1000ppm添加することを特徴とす
るポリエチレンテレフタレート樹脂の加熱、溶融時の熱
安定性を向上させ、また結晶化を抑制するとともに難燃
性を付与する方法、によって達成することができる。以
下本発明を更に詳細に説明する。
【0005】本発明者らはタンニンが高分子材料に与え
る影響について鋭意、研究を続けた結果、タンニンとリ
ン酸エステルを同時に微量樹脂に添加すると、熱可塑性
樹脂の加熱、溶融時における分子量低下が抑制でき、か
つ樹脂の結晶化度を低減できることを見出した。また同
時に本発明者らは熱安定剤が高分子材料に与える影響に
ついて、鋭意、研究を続けた結果、樹脂を高度に熱安定
化すれば樹脂に対し難燃性を付与できることをついに見
出したものである。即ち、少量のタンニンとリン酸エス
テルを同時に入れることによって、PET樹脂の結晶化
度を低減できるとともに樹脂の熱安定性を向上させ、分
解温度を高めることによって、樹脂の燃焼性を抑制する
ことができることを見出し本発明を完成したものであ
る。
【0006】本発明で用いられるタンニンは、タンニン
酸類、カテキン類、ロイコアントシアン類、クロロゲン
酸類を包括する多価フェノールと呼ばれ、広く自然界の
植物に含まれる。大きく分けてタンニンは加水分解型と
縮合型の2種類に分けられるが、いずれも天然化合物で
あるため構造の異なる化合物が多数存在する。加水分解
型にはチャイナタンニン、エラグタンニン、カフェ酸や
キナ酸等のデプシドからなるクロロゲン酸などがあり、
このうちチャイナタンニンは没食子酸、およびその誘導
体がエステル結合したものである。一方の縮合型タンニ
ンには、ケプラコタンニン、ワットルタンニン、ガンビ
ルタンニン、カッチタンニン、フラバタンニンなどがあ
り、更にカテキン類、ロイコアントシアンやロイコアン
トシアニジン類がある(村上孝夫、岡本敏彦:天然物化
学98頁(1983)廣川書店刊)。本発明で用いられ
るタンニンはいずれであってもかまわない。また、タン
ニン酸はタンニンとも呼ばれており本発明では特に区別
はしない。
【0007】代表的な加水分解型タンニンであるチャイ
ナタンニンを式(1)〜式(5)の中の式(1)に示し
た。更にチャイナタンニンに対して述べるならば、没食
子酸基10個がブドウ糖残基の周囲に配座し、更に2つ
の没食子酸基を垂直方向に結合させた(*部に配置され
る)ことが明らかになっている。しかし化合物中心は必
ずしもブドウ糖に限られることもなく、セルローズ型の
化合物であったりもする。また、タンニン酸の加水分解
で得られる式(2)で示した没食子酸のジデプシドなど
も使用することができる。このようにタンニンは広く自
然界の植物に含まれる化合物であるため、部分的に化学
構造が異なることは容易に類推できる。本発明ではこう
したタンニンとカテキンなどを区別しないで多価フェノ
ールの同意語として用いることができる。式(3)と式
(4)と式(5)に化学構造が異なる多価フェノールと
してそれぞれカテキン、ケブロタンニン、及びトルコタ
ンニンを示した。
【0008】なお、染料固定効果や皮の鞣し効果を持つ
多価フェノール化合物を「合成タンニン」または「シン
タン」と呼んでいるが、本発明ではこの合成タンニンの
中で本発明で効果的に用いられる化合物も使用すること
ができる。現在タンニンは日用品としてはインク、医薬
品としては止血剤、工業用としては皮の鞣し剤や染色時
の媒染剤として用いられ、最近においては食品添加剤と
して用いられている。
【0009】更に本発明で用いられる縮合型タンニン
は、タンニンを70〜230℃に数分から数時間加熱す
ることによって作ることができる。加熱されたタンニン
は、分子量が平均して1.6分子程度が脱水反応を伴い
ながら、結合する。この結合はおおむね、タンニン分子
間によるものもあるが、分子内のとなり合った水酸基2
個より、1分子の水が脱水されると考えられ、本発明で
用いる脱水縮重合されたタンニンはタンニンを70〜2
30℃まで加熱、脱水し、いくつかのタンニンが脱水縮
重合しているのが望ましいが、この場合タンニンがある
程度脱水されていることが重要であり、必ずしも高度に
縮重合されてなくてもよい。
【0010】更に本発明で用いられるポリエチレングリ
コールまたはポリビニルアルコールと共重合されたタン
ニンは、ポリビニルアルコール(PVAと略称する)ま
たはポリエチレングリコール(PEGと略称する)をそ
れぞれ水や低級アルコールに溶解した溶液を作り、これ
にタンニンを加えるか、またはタンニン溶液を加える
と、容易に共重合物を作り沈殿する。これを濾過して作
ることができる。このときPVAやPEG、タンニンの
溶液の濃度の影響はほとんどないが、PVAやPEGの
分子量は、適切に選定する必要がある。すなわち、PV
AやPEGは分子量が小さすぎると室温で液状であった
り、生成した共重合タンニンの耐熱性が低かったりす
る。一方PVAやPEGの分子量が100万付近よりも
大きくなると、反応のため水溶液とする際、水で膨潤し
均一な溶液となりにくく、その結果、均一な共重合タン
ニンを得にくい。従ってPVAやPEGは重量平均分子
量でおおむね、800〜900,000位が望ましく、
更に好ましくは、1000〜100000が好都合に用
いられる。こうして、共重合されたタンニンは水や低級
アルコールに不溶となるが、PC、PET、PBT等に
は相溶性が見られ、PET樹脂に添加しても、透明性が
得られる。もちろん、PVA、PEGは混合して用いる
こともでき、また本発明において、熱可塑性樹脂に添加
する場合は、こうしてできた各共重合タンニンを混合し
てもよい。更に共重合反応をする際の溶媒としては水や
低級アルコールが好ましく用いられるが、アセトニトリ
ルなど、PVA又はタンニンのいずれかを溶解すること
のできる溶媒であれば本発明に用いることができる。
【0011】更にこうして作った共重合されたタンニン
を70〜230℃まで加熱し、水分をあらかじめ除去し
ておくことも好ましい。
【0012】タンニンとPVAやPEGとの反応はいず
れか一方の量が少なければその量に比例してグラフト化
合物が得られるため、あまり厳密に考慮する必要はな
い。経済的に言えば、未反応物を捨てるのは好ましくな
いため、概ね等モル量で反応させるのが好ましい。
【0013】PVAやPEGと共重合されたタンニンは
PET樹脂に添加された場合、この樹脂が結晶化するこ
とを防ぐことができる。またPVAやPEGと共重合さ
れたタンニンはPET樹脂に添加された場合、この樹脂
が形成される際に受ける熱により、熱分解してしまうこ
とを防ぐことができる。おおむね、280℃付近より、
タンニンが放出され、後述するように樹脂の熱安定剤と
して働くのに好都合な状態となる。
【0014】このようにして得られた各種タンニンは、
リン酸エステル化合物と一緒になり、高分子間にネット
ワーク的な結合をなし、その結果ポリマー分子の動きを
少なくし結晶化が抑制でき、またPET樹脂の燃焼を抑
制することができるものと考えられる。
【0015】本発明においてこれらのタンニンは、1種
又は2種以上複数を混合して用いることもできる。ま
た、タンニンやこれらの縮重合タンニン、共重合タンニ
ンを混合して用いることもできる。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】本発明でタンニンと混合されて用いられる
リン酸エステルは大別して脂肪族系と芳香族系とがある
が、代表的化学式を式(6)〜式(13)に示した。脂
肪族系の例として式(6)のトリメチルホスフェート、
式(7)のトリエチルホスフェートなどがあり、また芳
香族系の中には数多くの化合物が存在し、リン酸が1分
子のもの、2分子のもの、3分子のものなど非常に多岐
にわたる。リン酸基が1個の比較的単純な化合物として
は式(8)のトリフェニルホスフェート、式(9)のト
リス(ジメチルフェニル)ホスフェート、式(10)の
m−ヒドロキシフェニル−ジフェニルホスフェートなど
が挙げられる。リン酸基が2個の場合には例えば式(1
1)の2,2−ビス[p−(ジフェノキシホスフェノキ
シ)フェニル]プロパンや、式(12)のジ(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトー
ルジホスファイトなどがあり、リン酸基が3個含むもの
としては式(13)の2−[[2,4,8,10−テトラ
キス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f]
[1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]オキ
シ]−N,N−ビス[2−[2,4,8,10−テトラキス
{1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,
2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エ
チル]エタナミンなどの化合物がある。もちろんこれら
の化学構造においてリン酸エステル化合物であれば、わ
ずかな分子構造の違い、例えばメチル基がエチル基にな
ったり、あるいはベンゼン環の側鎖として化学修飾など
があっても、本発明が左右されることはない。本発明に
おいて、これらのリン酸エステル化合物を複数混合して
用いることはもちろんかまわない。
【0020】現在こうしたリン酸エステル化合物は各種
化学薬品の製造原料として、あるいは熱安定剤として用
いられている。こうしたリン酸エステル化合物はアルコ
ールや他の有機溶媒などの溶媒に良く溶けるものが多
く、高濃度の溶液として本発明に用いてもかまわない。
【0021】
【化4】
【0022】本発明の添加剤が添加される対象として用
いられる樹脂は、PET樹脂が好都合である。さらにP
ET樹脂と他の樹脂とのブレンド樹脂が好ましく用いら
れる。もちろん、これらの樹脂の中に無機繊維であるガ
ラス繊維やカーボン繊維あるいはウィスカーなどが含ま
れてもよく、有機繊維としてはケブラー繊維などが含ま
れてもよい。さらには鉱物であるシリカやタルク、マイ
カ、ウォラストナイト、クレー、炭酸カルシウムなどの
無機粒子が含まれてもよく、さらにこれらのものが複数
混合されてもよい。
【0023】本発明における樹脂添加剤の添加法として
は粉末状のタンニン、または縮重合タンニン、または共
重合タンニンとリン酸エステル化合物を直接樹脂に加え
てもよいし、あるいは対象となる樹脂にあらかじめ混合
したりしてこれを樹脂に加えてもよい。樹脂のポリマー
が熱や、せん断応力などによって切断された場合、切断
箇所は当然ラジカル分子となる。また短くなった分子は
動きやすさが増大するため、一般的に結晶性は増大す
る。本発明者らは特許第3046962〜304696
4号などによって、タンニンが熱可塑性樹脂の中に生成
したラジカルを補足するため熱安定化効果が高いことを
先に示したが、このとき分子間をリン酸エステルで主鎖
や側鎖を固定すれば樹脂の結晶化も抑制できることを発
見した。即ちPET樹脂などの結晶性樹脂は結晶化度の
向上に伴い、結晶間粒界が応力などによって破断される
こと、また分子が結晶に取り込まれることによって動き
づらくなることから、衝撃強度は樹脂の結晶性が高まれ
ば高まるほど弱くなる。従って本発明のように、結晶化
が抑制できることは耐衝撃性を高めるためには欠かせな
いことである。PET樹脂の結晶化は分子が切断される
ため短くなること、分子が動きやすいという2つの因子
によって行われると考えられ、従ってタンニンとリン酸
エステルによる相乗効果によって結晶化が抑制できるこ
とは、衝撃強度の向上にかかせないことである。また、
樹脂の燃焼は樹脂が分解することによってガスが発生
し、このガスが空気中の酸素と継続反応することによっ
て燃焼が継続される。従ってこの樹脂が熱安定性に優れ
れば燃焼ガスの発生が少なくなる。本発明はこのような
発想に基づき、優れた熱安定剤であるタンニンとリン酸
エステルの混合物を添加することによってなされたので
ある。
【0024】こうした理論の整合性を確認することは非
常に困難な作業を余儀なくされるが、もちろん本発明が
この理論によって左右されるものではない。
【0025】PET樹脂に対して添加するタンニン(タ
ンニンまたは縮重合タンニンまたは共重合されたタンニ
ン)及びリン酸エステルを含む添加剤中の2つの化合物
の配合比は重量でタンニン1に対しリン酸エステル化合
物を0.1〜10の比率で選択されたものが望ましい。
さらに好ましくはタンニンとリン酸エステルの比が重量
比で1:1〜1:5程度が好ましい。このような比率で
混合された添加剤をPET樹脂に対して20〜1000
ppm添加することが好ましく、さらに好ましくは10
0〜800ppmが好ましい。タンニンが少なければ熱
安定化効果が得にくく、分子が劣化して短くなりガスの
発生が増大し、また結晶化増大の方向にいくし、過剰で
あれば樹脂のポリマー分子間にタンニンやリン酸エステ
ル化合物が存在し、熱的特性や機械的強度が低下する原
因となる。一方リン酸エステルが少なければ、分子を固
定できずに結晶化が進むし、多くても一定以上の効果は
無い。このようにして得られたタンニンとリン酸エステ
ルを添加されたPET樹脂は、結晶化が抑制され高耐衝
撃性をもつ樹脂となり、また燃焼が抑制されたリサイク
ルなども容易なPET樹脂となる。
【0026】
【実施例】以下実施例および比較例により、本発明をさ
らに詳しく説明する。
【0027】実施例1 PET樹脂[(株)クラレ製 クラペットKS750R
C]を用い、これを除湿乾燥機[(株)松井製作所製
P0−200型]で90℃、10時間乾燥後、これにタ
ンニン(小宗化学(株)製 局方チャイナタンニン)と
リン酸エステル[2,2’−メチレンビス−(4,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
アデカアーガス(株)製 MARKHP−10]を1:
2の割合で混合し、これをPETに対し200ppm添
加した。さらにこれをタンブラー[日水加工(株)製
タンブルミキサーTM−50型 8枚羽)にて攪拌羽回
転速度約300rpmで4分間攪拌混合した。これを射
出成形機(東芝機械(株)製IS−170F型、型締圧
力170ton]を用いてノズル温度285℃、射出圧
力102Pa、射出速度1.8秒、保圧68Pa、保持
時間32秒の条件でJISK−7118のIZOD衝撃
試験片を成形した。このとき金型表面温度は34〜35
℃であった。これを密度法に基づいて結晶化度を測定し
た。密度はメトラートレド(株)製、AG−245型を
用い、非結晶部分の密度(da)を1.335、結晶部分の密
度(dc)を1.455として以下の式で求めた。
【0028】χc=dc(d−da) / d(dc−da) ここでχcは結晶化度(重量比)、dは試験片の密度で
ある。また更に分子量の変化傾向をみるため、ランナー
部分を用い固有粘度を測定した。固有粘度(以下IV値
と記す)は1.1.2.2.テトラクロロエタンとフェノ
ールを重量比1:1の混合溶媒とし、測定温度35℃、
ウベローデ型粘度計を用いて測定した。さらに機械的強
度を求めるためにJISK−7110に従い、東洋精機
製作所(株)製JISL−D型を用い、試験片へ深さ
2.0mmのVノッチ加工後に測定した。衝撃強度測定
の環境はJISZ−8703に準拠した。これらの試験
結果を併せて表1に記載した。
【0029】実施例2 実施例1で用いたタンニン約500gをホウロウ製バッ
トに採取し、これを140℃のオーブン[ヤマト科学
(株)製 DX−30型]に入れ、2時間放置し、脱水
縮合反応を行った。これを室温近くまで冷却し、デシケ
ータ中で保管した。これを0.05wt%テトラヒドロ
フラン溶液としてGPC測定を行った結果、平均分子量
で2800となり、これはタンニン1.61分子に相当
する縮重合化合物であることが判明した。この縮重合タ
ンニンを実施例1のタンニンに替えた以外は全く同様に
行った結果を表1に併せて記載した。
【0030】実施例3 ポリビニルアルコール[ナカライテスク(株)製 試薬
1級 重量平均分子量400]を10gビーカーに採取
し、純水100mlを加え攪拌、溶解した。次に実施例
1で用いたタンニン200gを同様、純水100mlに
溶解した。これを500mlのビーカーに同時に注ぎ、
ガラス棒で攪拌すると、茶色の浮遊物が生成した。これ
を室内で24時間放置し、デカンテーション法で沈殿物
を液層から分離し、さらに純水で数回洗浄した。このま
ま60℃、24時間乾燥し、茶褐色のPVA/タンニン
共重合物(cA)を得た。重量を測定したところ27.
5gであり、収率は約92%であった。さらに全く同様
にしてポリエチレングリコール[ナカライテスク(株)
製 試薬1級 重量平均分子量6000]を共重合させ
たもの(gA)を作成した。この場合収率は約94%で
あった。このcAおよびgAを実施例1のタンニンに替
えた以外は全く同様に行った。結果を表1に併せて記載
した。
【0031】比較例1 タンニンとリン酸エステルを添加しなかった以外は実施
例1と全く同様に行い、結果を表1に併せて記載した。
【0032】比較例2 実施例1の中でタンニンを0、リン酸エステルを200
ppm加えたもの、およびタンニン200ppm、リン
酸エステル0とした以外は実施例1と全く同様に行っ
た。結果を表1に併せて記載した。
【0033】実施例4 実施例1で用いたタンニンはチャイナタンニンと呼ばれ
るものである。これをカテキン(ナカライテスク(株)
製 試薬1級)を用い実施例1と全く同様に行った。結
果を表1に併せて記載した。
【0034】比較例3 実施例1でタンニンとリン酸エステルの混合物をPET
樹脂に10、20、800、1000、1200ppm
加え、実施例1と全く同様に行った。結果を表1に併せ
て記載した。
【0035】実施例5 実施例1でリン酸エステルをアデカアーガス(株)製
MARK HP−10の代わりに同社製MARK PE
P−36[ビス−(2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスフフ
ァイト]を用いて実施例1と全く同様に行った。結果を
表1に併せて記載した。
【0036】このように実施例1〜5及び比較例1〜3
のように、結晶化度の低下はタンニンのみまたはリン酸
エステル化合物のみということではなく、2つの化合物
が併用されることによって結晶化度が低下し、それに伴
ってIZOD衝撃強度が向上している。さらにタンニン
添加系はIV値が高く、熱安定化効果が高いこともこの
結果は示している。
【0037】
【表1】
【0038】実施例6 PET樹脂((株)クレラ製 クラペット KS750
RC)を用いた。燃焼試験片の作成および燃焼試験条件
はUL−94を正確に従った。この燃焼試験においては
第三者機関である(株)DJKリサーチセンター(千葉
県東葛飾群関宿町小間ケ瀬5376)に依頼の上行っ
た。このときのPET樹脂に対する各添加材の組成は表
2のようにした。
【0039】
【表2】
【0040】このときの成形条件は表3のとおりであ
る。
【0041】
【表3】
【0042】燃焼結果を表4に記載した。試験片のロッ
ト番号は表2のロット番号と同じである。なおこのとき
の燃焼性試験はUL94HB法である。
【0043】
【表4】
【0044】比較例4(ロット番号3) 実施例6と全く同様にしてタンニン及びリン酸エステル
を添加せず、それ以外は実施例6と同じように行った。
結果を表4の比較例4のロット番号3に記載した。
【0045】比較例4(ロット番号4) 実施例6の中でタンニンを入れずリン酸エステルのみ2
00ppm添加した。結果を表4の比較例4のロット番
号4として記載した。
【0046】実施例7 実施例6で用いたタンニンはチャイナタンニンと呼ばれ
るものである。これをカテキン(ナカライテスク(株)
製 試薬1級)を用い、実施例6と全く同様に行った。
結果を表4に併せて記載した。
【0047】比較例5 実施例6の中でタンニンとリン酸エステルの混合物をP
ET樹脂に10、20、800、1000、1200p
pm加え、実施例6と全く同様に行った。結果を表4に
併せて記載した。
【0048】
【発明の効果】以上の実施例及び比較例に示されるよう
に本発明のタンニン、縮重合タンニン、共重合タンニン
のいずれかまたはこれらの混合されたタンニンと、リン
酸エステル化合物または複数のリン酸エステルの混合物
を共に含む添加剤を、PET樹脂あるいはこれのアロイ
に添加することにより燃焼性を抑制でき、また樹脂の熱
溶融時の熱安定性を向上させ、その後の結晶化を抑制で
き高い衝撃強度を有する樹脂を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−31758(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンニンとリン酸エステル化合物を重量
    比で1:0.1〜1:10で含むポリエチレンテレフタ
    レート樹脂の添加剤。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンテレフタレート樹脂に対
    し、請求項1の添加剤を20〜1000ppm添加する
    ことを特徴とする、ポリエチレンテレフタレート樹脂の
    加熱溶融時の熱安定性を向上させ、また結晶化を抑制す
    るとともに難燃性を付与する方法。
  3. 【請求項3】 タンニンが、カテキン類、ロイコアント
    シアン類、クロロゲン酸類、脱水縮重合されたタンニ
    ン、またはポリエチレングリコールまたはポリビニルア
    ルコールと共重合されたタンニンであることを特徴とす
    る請求項1記載の添加剤。
  4. 【請求項4】 リン酸エステル化合物が脂肪族系、また
    は芳香族系リン酸エステル化合物であることを特徴とす
    る請求項1記載の添加剤。
  5. 【請求項5】 ポリエチレンテレフタレート樹脂がポリ
    エチレンテレフタレート樹脂と他の熱可塑性樹脂との混
    合物であることを特徴とする請求項1記載の添加剤。
JP2001231280A 2001-07-31 2001-07-31 ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤 Expired - Fee Related JP3350888B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001231280A JP3350888B1 (ja) 2001-07-31 2001-07-31 ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001231280A JP3350888B1 (ja) 2001-07-31 2001-07-31 ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3350888B1 true JP3350888B1 (ja) 2002-11-25
JP2003041105A JP2003041105A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19063354

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001231280A Expired - Fee Related JP3350888B1 (ja) 2001-07-31 2001-07-31 ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3350888B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1357148A1 (en) * 2002-04-26 2003-10-29 TOHOKU MUNEKATA Co., Ltd. Agent for imparting flame retardancy to thermoplastic resin

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4665428B2 (ja) * 2003-04-23 2011-04-06 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1357148A1 (en) * 2002-04-26 2003-10-29 TOHOKU MUNEKATA Co., Ltd. Agent for imparting flame retardancy to thermoplastic resin

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003041105A (ja) 2003-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7582690B2 (en) Stabilized aliphatic polyester compositions
KR101130527B1 (ko) 난연성 폴리에스테르 및 그의 제조방법
US20060167256A1 (en) High purity piperazine pyrophosphate and process of producing same
US3794617A (en) Copolyester fiber compositions having improved flame retardant properties
WO2006073728A2 (en) Optically clear polycarbonate polyester compositions
CN108503842B (zh) 一种聚(苯基膦酸酯-酰胺)阻燃剂、其制备方法及其在聚酯中的应用
KR102405379B1 (ko) 포스포네이트 올리고머 및 중합체와 폴리에스테르의 블렌드
JP4382617B2 (ja) 難燃剤及び難燃性樹脂組成物
US6624258B1 (en) Agent for imparting flame retardancy to thermoplastic resin
JPS595141B2 (ja) 樹脂組成物
EP1797136A1 (en) A stabilized polycarbonate polyester composition
JP3350888B1 (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加剤
JP4763305B2 (ja) 熱可塑性樹脂成形体
JP4833564B2 (ja) 難燃剤及び難燃性樹脂組成物
JP5115172B2 (ja) 樹脂組成物
JP3660342B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP3385594B1 (ja) ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法
JP3660341B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
CN114836031B (zh) 生物基阻燃聚酰胺、聚酰胺制品及其制备方法和应用
KR100583064B1 (ko) 향상된 충격강도와 내화학성을 가지는 투명폴리카보네이트/폴리에스테르 수지 조성물
KR930000777B1 (ko) 폴리에스테르 수지조성물
Park et al. Synthesis and properties of novel flame retardant poly (butylene terephthalate)
JP3350887B2 (ja) ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法
JPH0229455A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS5812302B2 (ja) ナンネンセイセイケイヒンノセイゾウホウホウ

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees