JP3345874B2 - 包括固定化担体及びアンモニア含有廃水の処理装置 - Google Patents

包括固定化担体及びアンモニア含有廃水の処理装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、包括固定化担体及びアンモニア
含有廃水の処理装置に係り、特に、処理速度が速く、有
機物を必要としないアンモニア含有廃水の処理装置及び
それに使用する担体に関する。
【0002】
【従来の技術】下水、し尿、産業廃水等の廃水中の窒素
は、湖沼、内湾などの閉鎖性水域における富栄養化現象
の原因とされている。従来、これらの廃水中から窒素成
分を除去する処理方法としては、微生物を利用した生物
学的な硝化・脱窒処理が行われており、代表例としては
活性汚泥循環変法がある。この処理方法は、独立栄養菌
である硝化細菌のアンモニア酸化能力を利用して、廃水
中のアンモニア性窒素を先ず好気性状態で亜硝酸や硝酸
に酸化し、その後、従属栄養細菌である脱窒細菌の働き
により、メタノール等の水素供与体を栄養源として亜硝
酸や硝酸を嫌気性状態で窒素に還元することにより廃水
から窒素を除去するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アンモニア含有廃水の処理方法は、硝化処理によりアン
モニア性窒素を酸化して生成される最終的な生成物であ
る亜硝酸態窒素、更に硝酸性窒素に変換してから窒素ガ
スに変換するために処理時間が長時間になるという欠点
がある。
【0004】更に、脱窒処理において脱窒細菌の栄養源
である水素供与体としての例えばメタノールや水素等の
添加が必要となるため、処理コストが高くなるという欠
点がある。このように、活性汚泥循環変法に代表される
従来のアンモニア含有廃水の処理方法は、処理時間や処
理コストの点で満足できるものではなかった。
【0005】本発明のこのような事情に鑑みてなされた
もので、処理時間と処理コストを低減することができ、
更には装置のコンパクト化を図ることのできるアンモニ
ア含有廃水の処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を解決
するために、鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
で包括固定化した担体粒子と、硝化細菌との混合物を、
固定化材料濃度25%以下で包括固定化して成ることを
特徴とする。また、本発明は前記目的を解決するため
に、鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%で包括固
定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化材料濃度
25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子と、硝化
細菌との混合物を、固定化材料濃度25%以下で包括固
定化して成ることを特徴とする。
【0007】また、本発明は前記目的を解決するため
に、鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%で包括固
定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化材料濃度
25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子と、硝化
細菌を固定化材料濃度25%以下で包括固定化した第3
の担体粒子との混合物を、固定化材料濃度25%以下で
包括固定化して成ることを特徴とする。
【0008】また、本発明は前記目的を解決するため
に、鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%で包括固
定化した担体粒子と、硝化細菌との混合物を、固定化材
料濃度25%以下で包括固定化して成る包括固定化担体
と、アンモニア含有廃水とを接触させる反応槽と、前記
反応槽内にエアを曝気する曝気手段と、を備えたことを
特徴とする。
【0009】また、本発明は前記目的を解決するため
に、鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%で包括固
定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化材料濃度
25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子と、硝化
細菌との混合物を固定化材料濃度25%以下で包括固定
化して成る包括固定化担体と、アンモニア含有廃水とを
接触させる反応槽と、前記反応槽内にエアを曝気する曝
気手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】また、本発明は前記目的を解決するため
に、鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%で包括固
定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化材料濃度
25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子と、硝化
細菌を固定化材料濃度25%以下で包括固定化した第3
の担体粒子との混合物を固定化材料濃度25%以下で包
括固定化して成る包括固定化担体と、アンモニア含有廃
水とを接触させる反応槽と、前記反応槽内にエアを曝気
する曝気手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】本発明によれば、本発明の包括固定化担体
は、包括される硝化細菌、鉄酸化細菌、脱窒細菌の種類
により固定化材料濃度を変えて酸素透過係数を変えると
共に、二重包括構造をとることにより、好気細菌である
硝化細菌と、微好気細菌である鉄酸化細菌と、嫌気細菌
である脱窒細菌を1つの担体に包含することができるよ
うにした。
【0012】また、本発明のアンモニア含有廃水の処理
装置によれば、アンモニア含有廃水と、本発明の包括固
定化担体を反応槽内で接触させて、曝気装置からエアを
反応槽内に曝気するようにしたので、アンモニア性窒素
が酸化される中間生成物であるヒドロキシルアミンの段
階で窒素ガスに変換させる好気脱窒を行うことができ
る。また、包括固定化担体に脱窒細菌を含有する場合に
は、廃水中に残存する亜硝酸態窒素や硝酸態窒素も除去
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る包括固定化担体及びアンモニア含有廃水の処理装置の
好ましい実施の形態について詳説する。本発明の実施の
形態を説明する前に、先ず本発明の理論的根拠について
説明する。
【0014】即ち、本発明の発明者等は、アンモニア含
有廃水と、硝化細菌と鉄酸化細菌との混成細菌を包括固
定した包括固定化担体とを好気性条件下で接触させるこ
とにより、(1)式に示すように、アンモニア性窒素
(NH4 - N)の最終的な酸化生成物である亜硝酸態窒
素(NO2 - N)や硝酸態窒素(NO3 - N)に酸化さ
れる前の中間生成物であるヒドロキシルアミン(NH2
OH)の段階で窒素ガス(N2 )に酸化させる好気的な
脱窒反応が生じることを見い出した。
【0015】NH4 →NH2 OH→N2 …(1) 即ち、硝化細菌がアンモニア性窒素をヒドロキシルアミ
ンに酸化し、鉄酸化細菌がヒドロキシルアミンを窒素ガ
スに酸化し、どちらも好気性条件下で反応が行われる。
更に、発明者等は、好気細菌である硝化細菌と微好気細
菌である鉄酸化細菌とを固定化材料に包括固定化する際
の固定化材料濃度が、硝化細菌と鉄酸化細菌の両方を効
率的には働かせる重要な因子であり、(1)の反応を促
進させることを見い出した。更には、好気細菌である硝
化細菌、微好気細菌である鉄酸化細菌、嫌気細菌である
脱窒細菌を包括固定化する固定化材料濃度を変えること
により、これら性質の異なる細菌を1つの担体に包含さ
せることができることを見いだした。
【0016】図1は、硝化細菌、鉄酸化細菌、脱窒細菌
をそれぞれ固定化材料に包括固定化する際の固定化材料
濃度と細菌保持量との関係、及び固定化材料濃度と酸素
透過係数との関係を示したものである。図1において、
曲線Dkは固定化材料濃度と酸素透過係数の関係を示
す。また、曲線Aは硝化細菌での固定化材料濃度と細菌
保持量との関係を示し、曲線Bは鉄酸化細菌での固定化
材料濃度と細菌保持量との関係を示し、曲線Cは脱窒細
菌での固定化材料濃度と細菌保持量との関係を示す。
【0017】図1の結果から分かるように固定化材料濃
度が増加すると酸素の透過性が悪くなり、酸素透過係数
Dkは低下する。そして、曲線Aと曲線Dkから分かる
ように、硝化細菌は好気性の細菌であるためDkが高い
領域で細菌保持量が大となり、硝化細菌の細菌保持量を
大きく維持するには担体の固定化材料濃度が25%以
下、更に好ましくは18%以下が良い。
【0018】また、曲線Bと曲線Dkから分かるよう
に、ヒドロキシルアミンを窒素ガスに酸化する鉄酸化細
菌はDkが微好気性の範囲で細菌保持量が大となり、鉄
酸化細菌の細菌保持量を大きく維持するには担体の固定
化材料濃度が15〜35%が良く、更に好ましくは20
〜30%が良い。また、曲線Cと曲線Dkから分かるよ
うに、脱窒細菌は嫌気性の細菌であるためDkが低い領
域で細菌保持量が大となり、脱窒細菌の細菌保持量を大
きく維持するには担体の固定化材料濃度を25〜45
%、好ましくは30〜40%が良い。
【0019】そして、本発明の包括固定化担体は、硝化
細菌、硝化細菌と鉄酸化細菌の混成細菌、脱窒細菌の反
応にそれぞれ必要な好気条件、微好気条件、嫌気条件
を、各細菌を包括固定化する際の固定化材料濃度を変え
て酸素透過係数を変えることにより形成し、1つの担体
に硝化と好気脱窒、或いは硝化と好気脱窒と嫌気脱窒の
複数の機能を備えることができるように包括固定化担体
を構成したものでるり、具体的には以下の通りである。
【0020】図2は、本発明の包括固定化担体を模式図
的に示した断面図である。図2に示すように、本発明の
包括固定化担体は、鉄酸化細菌10を濃度が15〜35
%の第1の固定化材料12で包括固定化した担体粒子1
4と、硝化細菌16との混合物を、濃度が25%以下の
第2の固定化材料18で包括固定化して構成される(以
下、包括固定化担体Aという)。第1、第2の固定化材
料12、18は、材質を同じにしても良く、違えてもよ
い。
【0021】尚、包括固定化担体の固定化材料として
は、ポリエチレングリコール、ポリビニールアルコー
ル、アクリルアミド、ポリビニルホルマール等をゲル化
した高分子ゲルを使用することができる。また、図3
は、本発明の包括固定化担体の別の態様を模式図的に示
した断面図ある。
【0022】図3に示すように、本発明の包括固定化担
体は、鉄酸化細菌10を濃度が15〜35%の第1の固
定化材料12で包括固定化した第1の担体粒子14と、
脱窒細菌20を濃度が25〜45%の第2の固定化材料
22で包括固定化した第2の担体粒子24と、硝化細菌
16との混合物を、濃度が25%以下の第3の固定化材
料18で包括固定化して構成される(以下、包括固定化
担体Bという)。第1、第2、第3の固定化材料12、
22、18は、材質を同じにしても良く、違えてもよ
い。
【0023】また、図4は、本発明の包括固定化担体の
更に別の態様を模式図的に示した断面図ある。図4に示
すように、本発明の包括固定化担体は、鉄酸化細菌10
を濃度が15〜35%の第1の固定化材料12で包括固
定化した第1の担体粒子14と、脱窒細菌20を濃度が
25〜45%の第2の固定化材料22で包括固定化した
第2の担体粒子24と、硝化細菌16を濃度が25%以
下の第3の固定化材料18で包括固定化した第3の担体
粒子26との混合物を、濃度が25%以下の第4の固定
化材料18で包括固定化して構成される(以下、包括固
定化担体Cという)。第1、第2、第3、第4の固定化
材料、12、22、18、18は、材質を同じにしても
良く、違えてもよい。
【0024】上記した本発明の包括固定化担体A、B、
Cは、キュービック状或いは球状、その他の形状に形成
され、担体A、B、C中に包含される担体粒子14、2
4、26は担体内に高密度で分散させるために2mm以
下にすることが好ましい。次に、図5により、上記した
本発明の包括固定化担体を用いて構成したアンモニア含
有廃水の処理装置30について説明する。
【0025】処理装置30は、原水供給管32と、本発
明の包括固定化担体が収納された反応槽34と、反応槽
34内の底部に設けられた曝気装置36と、反応槽34
の処理水排出口に設けられた担体流出防止用のスクリー
ン38と、処理水配管40とで構成される。そして、ア
ンモニア含有廃水と、包括固定化担体とが反応槽内で接
触されると共に、曝気装置からエアが反応槽内に曝気さ
れる。
【0026】本発明の包括固定化担体Aを用いた処理装
置30によれば、NH4 →NH2 OH→N2 の反応経路
による好気脱窒を行うと共に、硝化細菌と鉄酸化細菌と
の固定化材料濃度を変えて酸素透過係数を変えることに
より、硝化細菌と鉄酸化細菌とに反応に必要な酸素量が
適切に取り込まれるようにした。これにより、アンモニ
ア性窒素を最終的な酸化生成物である亜硝酸態窒素や硝
酸態窒素にする必要がないので、処理時間を短縮するこ
とができると共に、脱窒細菌による脱窒処理を行わない
ので水素供与体としての有機物を必要としない。
【0027】更には、包括固定化担体Aでは、図2に示
す通り、鉄酸化細菌10を包括固定化した担体粒子14
と、硝化細菌16との混合物を、更に固定化材料18で
包括固定化する、所謂、二重包括構造をとることによ
り、反応において適切な酸素量の異なる硝化細菌と鉄酸
化細菌とを1つの包括固定化担体Aに包含することがで
きるようにした。これにより、1つの包括固定化担体A
に硝化と好気脱窒の複数の機能を備えることができるの
で、1つの反応槽34内で硝化処理と好気脱窒処理を行
うことができる。従って、装置のコンパクト化を図るこ
とができる。
【0028】本発明の包括固定化担体B又はCを用いた
処理装置によれば、硝化細菌と鉄酸化細菌によりNH4
→NH2 OH→N2 の反応経路による好気脱窒を行うと
共に、廃水中に残存する亜硝酸態窒素や硝酸態窒素を脱
窒細菌により嫌気脱窒を行うことができる。また、包括
固定化担体B又はCの場合にも、二重包括構造をとるこ
とにより、反応において好気細菌である硝化細菌及び鉄
酸化細菌と、嫌気細菌である脱窒細菌を1つの担体とし
て形成し、1つの包括固定化担体B又はCに硝化と好気
脱窒と嫌気脱窒の3つの機能を備えることができる。こ
れにより、1つの反応槽34内で硝化処理、好気脱窒処
理及び嫌気脱窒処理を行うことができる。従って、装置
のコンパクト化を図ることができる。また、廃水中のア
ンモニア性窒素のほとんどは好気脱窒により除去される
ので、脱窒細菌の栄養源としてメタノール等の添加を微
量に抑えることができる。
【0029】また、包括固定化担体Cは、硝化細菌、鉄
酸化細菌、脱窒細菌の全てを二重包括構造にしたので、
硝化細菌が二重包括構造を有しない包括固定化担体Bよ
りも窒素除去率が高くなる。これは、全ての細菌を二重
包括構造にすることにより、担体粒子内で反応が完結し
易くなるためと推察される。図6は、本発明のアンモニ
ア含有廃水の処理装置の別の態様である。
【0030】図6に示す処理装置50は、図5に示した
処理装置30のように包括固定化担体を反応槽内に浮遊
させるタイプではなく、筒状のケーシング内に本発明の
包括固定化担体を充填して固定ろ床51を形成したもの
である。即ち、ケーシング52内の下部に包括固定化担
体を保持するスクリーン54を設け、スクリーン54上
のケーシング52内全体に包括固定化担体を充満させ
る。アンモニア含有廃水は、原水供給管56を介してケ
ーシング52の上端からケーシング52内に供給される
と共に、原水供給管56内にはエア押込装置58からエ
アが押し込まれる。そして、ケーシング52内で処理さ
れた処理水は処理水配管60を介して抜き出される。
【0031】図6に示した処理装置50の場合にも図5
の処理装置30と同様の効果を得ることができると共
に、廃水中の固形物を固定ろ床51で濾過することがで
きる。更には、包括固定化担体で形成された固定ろ床5
1は、包括固定化担体を浮遊させる場合に比べて廃水中
に微量残存する亜硝酸態窒素や硝酸態窒素の除去率を向
上させることができる。
【0032】図7は、本発明のアンモニア含有廃水の処
理装置の更に別の態様である。尚、図6で説明したと同
様の部材、装置は同符号を付すと共に説明は省略する。
図7の処理装置70は、ケーシング52内に前記固定ろ
床51と活性炭層72とを設け、ケーシング52内に供
給されたアンモニア含有廃水が固定ろ床51を処理され
た後、活性炭層72を通過するようにしたものである。
【0033】図7の処理装置70によれば、活性炭層7
2を設けたことにより、廃水中の色素、臭い成分等の微
量不純物も除去することができるので、浄水の製造に適
している。
【0034】
【実施例】 (実施例1)実施例1は、図5に示した反応槽に包括固
定化担体Aを収納し、曝気装置から反応槽にエアを曝気
した場合である。比較例として担体中に鉄酸化細菌を有
しない従来の包括固定化担体を曝気槽に収納し、曝気装
置から曝気槽にエアを曝気した場合について行った。
【0035】表1は、実施例1の反応槽に投入した包括
固定化担体、及び比較例で曝気槽に投入した包括固定化
担体の組成である。
【0036】
【表1】 (表1)担体の組成 但し、固定化材料〔PEG〕とは、硝化細菌と、鉄酸化
細菌の担体粒子の混合物を包括固定する固定化材料であ
る。また、鉄酸化細菌の担体粒子は、鉄酸化細菌数10
5 (cells/ml)を濃度が20%のPEG(ポリエチレン
グリコール)で包括固定した粒径1mmの粒子である。
【0037】表2は、原水のアンモニア濃度及び運転条
件である。但し、原水は、有機物を含まない無機合成廃
水を用いた。
【0038】
【表2】 (表2)原水及び運転条件 その結果、比較例の処理水の水質は、NH4-N濃度1mg
/l 以下、NH2 OH濃度1mg/l 以下、NO2-N濃度
1mg/l 以下、NO3-N濃度9〜10mg/l であった。
この結果から分かるように、担体中に鉄酸化細菌を有し
ないために好気的な脱窒反応は全く進行していなかっ
た。従って、廃水の総窒素濃度を低減することはできな
かった。
【0039】これに対し、実施例1の処理水の水質は、
NH4-N濃度1mg/l 以下、NH2OH濃度1mg/l 以
下、NO2-N濃度1mg/l 以下、NO3-N濃度1mg/l
以下であり、総窒素濃度でも2mg/l 以下であった。こ
こで、原水のNH4-N濃度と処理水の総窒素濃度の差が
NH4 →NH2 OH→N2 の反応経路を経て除去された
窒素の量と言える。従って、原水NH4-N濃度10mg/
l から処理水の総窒素濃度2mg/l (NH4-N濃度、N
3-N濃度、NH2 OH濃度及びNO3-N濃度の合計)
以下を引いた8mg/l 以上がNH4 →NH2 OH→N2
の反応経路により好気的に脱窒されたことになり、窒素
除去率は80%以上であった。このことから硝化細菌と
鉄酸化細菌とによる好気的な脱窒が行われていることが
立証された。また、この好気的な脱窒には、従来の嫌気
的な脱窒に必須なメタノール等の水素供与体を必要とし
ないことも立証された。 (実施例2)実施例2は、図5に示した反応槽に包括固
定化担体Bを収納し、曝気装置からエアを曝気した場合
である。
【0040】表3は、反応槽に投入した包括固定化担体
Bの組成である。
【0041】
【表3】 (表3)担体の組成 但し、固定化材料〔PEG〕とは、硝化細菌と、鉄酸化
細菌の担体粒子と、脱窒細菌の担体粒子との混合物を包
括固定する固定化材料である。鉄酸化細菌の担体粒子
は、鉄酸化細菌数105 (cells/ml)を濃度が20%の
PEG(ポリエチレングリコール)で包括固定した粒径
1mmの粒子である。脱窒細菌の担体粒子は、鉄酸化細
菌数107 (cells/ml)を濃度が25%のPEG(ポリ
エチレングリコール)で包括固定した粒径1mmの粒子
である。
【0042】また、試験に供した原水及び運転条件は、
実施例1と同様である。その結果、実施例2の処理水の
水質は、NH4-N濃度1mg/l 以下、NH2 OH濃度1
mg/l 以下、NO2-N濃度1mg/l 以下、NO3-N濃度
1mg/l 以下で総窒素濃度でも1.6mg/l 以下であっ
た。従って、原水NH4-N濃度10mg/l から処理水の
総窒素濃度1.6mg/l 以下を引いた8.4mg/l 以上
が除去されたことになり、窒素除去率は84%以上にな
った。
【0043】また、廃水中のアンモニア性窒素は、ほと
んどが好気脱窒により除去されるので、嫌気脱窒を行っ
て亜硝酸態窒素や硝酸態窒素を除去する脱窒細菌に必要
な栄養源も微量で良いことがわかった。 (実施例3)実施例3は、図5に示した反応槽に包括固
定化担体Cを収納し、曝気装置から反応槽内にエアを曝
気した場合である。
【0044】表4は、反応槽に投入した包括固定化担体
Bの組成である。
【0045】
【表4】 (表4)担体の組成 但し、固定化材料〔PEG〕とは、硝化細菌の担体粒子
と鉄酸化細菌の担体粒子と脱窒細菌の担体粒子との混合
物を包括固定する固定化材料である。硝化細菌の担体粒
子は、硝化細菌107 (cells/ml)を濃度が10%のP
EG(ポリエチレングリコール)で包括固定した粒径1
mmの粒子である。鉄酸化細菌の担体粒子は、鉄酸化細
菌数105 (cells/ml)を濃度が20%のPEGで包括
固定した粒径1mmの粒子である。脱窒細菌の担体粒子
は、鉄酸化細菌数107 (cells/ml)を濃度が25%の
PEGで包括固定した粒径1mmの粒子である。
【0046】また、試験に供した原水及び運転条件は、
実施例1と同様である。その結果、実施例3の処理水の
水質は、NH4-N濃度1mg/l 以下、NH2 OH濃度1
mg/l 以下、NO2-N濃度1mg/l 以下、NO3-N濃度
1mg/l 以下で総窒素濃度でも1.2mg/l 以下であっ
た。従って、原水NH4-N濃度10mg/l から処理水の
総窒素濃度1.2mg/l 以下を引いた8.8mg/l 以上
が除去されたことになり、窒素除去率は88%以上にな
った。
【0047】実施例3が、実施例2に比べて窒素除去率
が高くなった理由としては、前述したように、硝化細
菌、鉄酸化細菌、脱窒細菌の全てを担体粒子としたの
で、担体粒子内で反応が完結し易くなったためと考えら
れる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の包括固定
化担体及びアンモニア含有廃水の処理装置によれば、廃
水中のアンモニア性窒素をNH4 →NH2 OH→N2
反応経路により窒素ガスに変換することができるので、
処理時間を短縮することができる。また、水素供与体と
しての高価なメタノール等を必要としないか、必要とし
も微量ですむので、処理コストを大幅に低減できる。
【0049】更には、包括固定化担体は、包括される硝
化細菌、鉄酸化細菌、脱窒細菌により固定化材料濃度を
変えて酸素透過係数を変えると共に、二重包括構造をと
ることにより、好気細菌である硝化細菌と、微好気細菌
である鉄酸化細菌と、嫌気細菌である脱窒細菌を1つの
担体に包含することができる。これにより、1つの包括
固定化担体に硝化と好気脱窒と嫌気脱窒の複数の機能を
備えることができるので、1つの反応槽内で硝化処理と
好気脱窒処理と嫌気脱窒を行うことができる。従って、
装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、硝化細菌、鉄酸化細菌、脱窒細菌をそ
れぞれ固定化材料に包括固定化する際の固定化材料濃度
と細菌保持量との関係、及び固定化材料濃度と酸素透過
係数との関係を示した図である。
【図2】図2は、本発明の包括固定化担体を模式図的に
示した断面図
【図3】図3は、本発明の包括固定化担体の別の態様を
模式図的に示した断面図
【図4】図4は、本発明の包括固定化担体の更に別の態
様を模式図的に示した断面図
【図5】図5は、本発明のアンモニア含有廃水の処理装
置を示した断面図
【図6】図6は、本発明のアンモニア含有廃水の処理装
置の別の態様を示した断面図
【図7】図7は、本発明のアンモニア含有廃水の処理装
置の更に別の態様を示した断面図
【符号の説明】
A、B、C…包括固定化担体 10…鉄酸化細菌 12、18、22…固定化材料 14…鉄酸化細菌を包括固定した担体粒子 16…硝化細菌 20…脱窒細菌 24…脱窒細菌を包括固定した担体粒子 26…硝化細菌を包括固定した担体粒子 30…アンモニア含有廃水の処理装置 32…原水供給管 34…反応槽 36…曝気装置 38…スクリーン 40…処理水配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小笠原 多佳子 東京都千代田区内神田1丁目1番14号 日立プラント建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−165981(JP,A) 特開 平10−230292(JP,A) 特開 昭63−101000(JP,A) 特開 平2−207895(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/34 C02F 3/34 101

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
    で包括固定化した担体粒子と、硝化細菌との混合物を、
    固定化材料濃度25%以下で包括固定化して成ることを
    特徴とする包括固定化担体。
  2. 【請求項2】鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
    で包括固定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化
    材料濃度25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子
    と、硝化細菌との混合物を、固定化材料濃度25%以下
    で包括固定化して成ることを特徴とする包括固定化担
    体。
  3. 【請求項3】鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
    で包括固定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化
    材料濃度25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子
    と、硝化細菌を固定化材料濃度25%以下で包括固定化
    した第3の担体粒子との混合物を、固定化材料濃度25
    %以下で包括固定化して成ることを特徴とする包括固定
    化担体。
  4. 【請求項4】前記担体粒子の粒径は2mm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3の包括固定化担体。
  5. 【請求項5】鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
    で包括固定化した担体粒子と硝化細菌との混合物を固定
    化材料濃度25%以下で包括固定化して成る包括固定化
    担体と、アンモニア含有廃水とを接触させる反応槽と、 前記反応槽内にエアを曝気する曝気手段と、 を備えたことを特徴とするアンモニア含有廃水の処理装
    置。
  6. 【請求項6】鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
    で包括固定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化
    材料濃度25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子
    と、硝化細菌との混合物を固定化材料濃度25%以下で
    包括固定化して成る包括固定化担体と、アンモニア含有
    廃水と、を接触させる反応槽と、 前記反応槽内にエアを曝気する曝気手段と、 を備えたことを特徴とするアンモニア含有廃水の処理装
    置。
  7. 【請求項7】鉄酸化細菌を固定化材料濃度15〜35%
    で包括固定化した第1の担体粒子と、脱窒細菌を固定化
    材料濃度25〜45%で包括固定化した第2の担体粒子
    と、硝化細菌を固定化材料濃度25%以下で包括固定化
    した第3の担体粒子との混合物を固定化材料濃度25%
    以下で包括固定化して成る包括固定化担体と、アンモニ
    ア含有廃水とを接触させる反応槽と、 前記反応槽内にエアを曝気する曝気手段と、 を備えたことを特徴とするアンモニア含有廃水の処理装
    置。
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