JP3343818B2 - イオンエッチング方法および装置 - Google Patents

イオンエッチング方法および装置

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JP3343818B2
JP3343818B2 JP21236491A JP21236491A JP3343818B2 JP 3343818 B2 JP3343818 B2 JP 3343818B2 JP 21236491 A JP21236491 A JP 21236491A JP 21236491 A JP21236491 A JP 21236491A JP 3343818 B2 JP3343818 B2 JP 3343818B2
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electrode
magnet
ion etching
magnets
etching
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彰教 古谷
房男 下川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、材料のエッチング技術
に関するものであり、特にマグネトロン型のイオンエッ
チング方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネトロン型イオンエッチング装置
(以下M−IE装置と呼ぶ)は、通常のイオンエッチン
グ装置(以下、IE装置と呼ぶ)に磁界発生装置を装着
して、電界の他に磁界を利用する構成のものである。か
かる従来のM−IE装置の一例を図1に示す。図1にお
いて、1はチャンバであって、このチャンバ1内には、
接地されたアノード電極2と、カソード支持台すなわち
基板ステージ3に取付けられてアノード電極2と対向配
置されたカソード電極4とが平行に配置されている。カ
ソード支持台3の下部には、後述のヨーク7の支柱7A
を貫通させて固着する円筒部3Aが設けられている。カ
ソード電極4のアノード電極2と対向する側の表面上に
は試料としての基板5が載置される。カソード電極4の
下部近傍、すなわちカソード支持台3の裏面側には永久
磁石6が配置されている。7は磁石6の磁路を形成する
ヨークである。8は磁石6から試料5を通る磁束を示
す。9はカソード支持台3をチャンバ1内に取付けるに
あたって両者間に介在させる絶縁体である。10はカソ
ード支持台3に設けた冷却水導出管である。20はチャ
ンバ1内にガスを導入するためのガス導入口、21はチ
ャンバ1を真空にするための真空ポンプ系である。カソ
ード電極4には、高周波(RF)電源15からの高周波
電力がマッチングボックス16およびカソード支持台3
を介して印加される。17はマッチングボックス16の
出力電圧を測定する高周波電圧計である。
【0003】電界Eと磁界Bが直交するM−IE装置に
おいては、カソードシース内の電子は、サイクロトロン
運動を行う。この運動で中性の原子,分子と電子が衝突
する確率が高まり、これによりイオン化確率が増加し、
以てカソードとアノードとの間に高密度のプラズマ(多
量のイオンと電子)を形成することができる。
【0004】IE装置およびM−IE装置における加工
パラメータとしては、投入電力,ガス圧力と次に説明す
るセルフバイアス電圧および磁界強度(M−IE装置の
み)の4つがある。
【0005】通常、希ガス中で、カソード電極に高周波
電力を印加すると、これによって、プラズマが形成さ
れ、カソード電極表面には、正イオンによるシースが形
成される。このシース領域におけるセルフバイアス電圧
によって、カソードとアノードとの間のイオンは、カソ
ード方向に加速され、材料がエッチングされる。
【0006】あるガス電圧,電力,圧量のもので良好な
異方性エッチングができたとしても、エッチング速度を
増加させようとして、投入電力を増加させていくと、セ
ルフバイアス電圧も増えて加工損傷が増加する。
【0007】また、IEでは不均一な磁場が存在しない
ため、広範囲に渡り均一なエッチング領域が得られるも
のの、プラズマ密度が低いためエッチング速度も遅いと
いった問題点を有していた。
【0008】イオンシースはプラズマの密度分布に左右
され、磁場を印加するM−IEでは、磁場の強さの分布
によってプラズマ密度およびシース領域にイオンの分布
が生じ、磁場強度が大きいところではプラズマ密度は高
く、強度の小さいところでは密度は低くなる。これらの
プラズマ密度の分布によりエッチング領域は均一にする
ことができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】いずれの場合にも、セ
ルフバイアス電圧は、電力密度の増加に伴って増大して
おり、独立に制御することができない。また、従来のM
−IE装置では、磁場を用いているので、IE装置に比
べて、より小さなセルフバイアス電圧となっているが、
印加している磁場強度が小さいため、100V以下の値
を得ることはできない。
【0010】また、エッチング時のセルフバアイス電圧
の大小は、材料の加工速度(スパッタ率)を決めるだけ
でなく、加工した面の品質や加工材料のパターンの出来
具合を決定する選択比(被加工材料とマスクのエッチン
グ速度比であって、この値が大きいほど良好な異方性エ
ッチングができることになる)をも決定する。
【0011】セルフバイアス電圧は、磁界強度によって
変化し、磁界強度が強くなるにつれて減少する。従来の
M−IE装置における磁界強度は、数百ガウス程度であ
り、それによって得られるセルフバイアス電圧の大きさ
は、100V以上である。従って、加工される面の損傷
も大きく、この損傷を低減することが重要な課題となっ
ている。
【0012】また、M−IE装置では、磁場を用いるこ
とにより、IE装置に比べてエッチングレートは大き
く、高速加工,低損傷,高選択比といった工業的観点か
らも優れた特徴をもっているが、印加している磁場強度
が分布を持つため、均一なエッチング領域を得ることは
できなかった。このため、エッチング分布を均一化する
ことも重要な課題となっている。
【0013】そこで、本発明の目的は、磁場を適切に制
御してセルフバイアス電圧を減少させ、かつ磁場を回転
させることにより、上述した従来の欠点を除去し、さら
に、回転させる磁石の配置形状を工夫して、大面積均一
で、高速かつ高品質のエッチングを行うことができるよ
うにしたイオンエッチング方法および装置を提供するこ
とにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明方法は、真空チャンバ内に第1および
第2電極を互いに平行に配置し、前記第1電極を接地
し、前記第2電極に高周波電力を供給し、前記第2電極
の前記第1電極と対向する側の主面の上に試料を載置
し、前記第2電極の他方の主面の下側に磁石を該磁石と
前記第2電極との間の距離を可変とするように移動可能
配置するとともに、該磁石を回転可能にしたマグネト
ロン型イオンエッチング装置を用いて、前記磁石と前記
第2電極との間の距離を変えるように前記磁石を移動さ
せて、イオンエッチング中に前記第2電極に印加される
セルフバイアス電圧が、常に所望値に、および前記高周
波電圧および前記真空チャンバ内に導入されるガスの圧
力とは無関係に、設定されるようにするとともに、前記
第2電極下側の前記磁石を回転させて、イオンエッチン
グ中に前記第2電極に形成されるエッチング領域が、常
に均一に、および前記高周波電力および前記真空チャン
バ内に導入されるガスの圧力とは無関係に、設定される
ようにするイオンエッチング方法であって、前記磁石
が、前記第2電極の表面に沿う平面内で前記第2電極の
中心から外周方向にほぼ扇形に開いた形状をなす複数の
磁石と、前記ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれとは極性
が異なり、該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれの外周の
外側に該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれに対向して配
置されている複数の磁石とから構成され、前記ほぼ扇形
をなす複数の磁石は、前記平面内でS極とN極とが周方
向に交互に配置されるとともに、前記複数の磁石のほぼ
扇形の形状は、磁石静止時における前記ほぼ扇形の複数
の磁石から前記第2電極の表面に向かって漏洩する磁束
が前記第2電極の中心から半径方向外方に向かって距離
に比例して増加する形状であることを特徴とする。
【0015】本発明装置は、真空チャンバ内に第1およ
び第2電極を互いに平行に配置し、前記第1電極を接地
し、前記第2電極に高周波電力を供給し、前記第2電極
の前記第1電極と対向する側の主面の上に試料を載置
し、前記第2電極の他方の主面の下側に磁石を該磁石と
前記第2電極との間の距離を可変とするように移動可能
配置するとともに、該磁石を回転可能としたマグネト
ロン型イオンエッチング装置であって、前記磁石が、前
記第2電極の表面に沿う平面内で前記第2電極の中心か
ら外周方向にほぼ扇形に開いた形状をなす複数の磁石
と、前記ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれとは極性が異
なり、該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれの外周の外側
に該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれに対向して配置さ
れている複数の磁石とから構成され、前記ほぼ扇形をな
す複数の磁石は、前記平面内でS極とN極とが周方向に
交互に配置されるとともに、前記複数の磁石のほぼ扇形
の形状は、磁石静止時における前記ほぼ扇形の複数の磁
石から前記第2電極の表面に向かって漏洩する磁束が前
記第2電極の中心から半径方向外方に向かって距離に比
例して増加する形状であることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明では、基板ステージの裏面側に配置した
永久磁石を、基板ステージとの間の距離を変えることが
できるように、基板ステージに対して移動可能にしたの
で、放電時に基板ステージに誘起されるセルフバイアス
電圧の値とは別に、基板ステージと永久磁石との間隔を
適切に定めることによりセルフバイアス電圧を任意所望
の値に設定することができる。
【0017】セルフバイアス電圧は、基板ステージ上で
の磁界強度を増加させると減少し、逆に磁界強度を減少
させると増加する。従って、セルフバイアス電圧は、永
久磁石と基板ステージとの距離を変えて、基板表面での
磁束密度を変化させることにより任意所望の値に調節す
ることができる。その電圧値は、高周波電圧計を用いて
常時モニターしながら磁束密度を制御することにより、
セルフバイアス電圧を常に任意所望の一定値にすること
ができる。
【0018】さらに、基板ステージの裏面側に配置した
永久磁石を基板ステージに対して回転できるようにした
ので、放電時に基板ステージ上に形成されるイオンシー
スやプラズマの分布を適切に定めることにより、単位時
間でのエッチング深さ、すなわちエッチング速度を均一
にすることができる。エッチングレートは、セルフバイ
アス電圧一定の時、基板ステージ上のプラズマ密度を増
加させると増加し、逆にプラズマ密度を減少させると減
少する。従って、エッチング領域および永久磁石の配置
は、基板ステージ表面でのプラズマ密度(磁束密度)と
エッチングレートとの関係より設定できる。
【0019】本発明者らは、上記問題を解決するため
に、磁場強度の大きな永久磁石を用い、印加する磁場強
度を従来より一桁程度増加させることにより、セルフバ
イアス電圧値を減少させ、かつ所望の値を得ることがで
きた。さらに、その磁石を適切に配置することにより、
基板ステージ上に所望のエッチング領域分布をもたせ、
このエッチング領域分布制御と磁場回転機構を組み合わ
せることにより、基板ステージ上の広範囲において均一
な深さのエッチング領域を得ることができた。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0021】(実施例1)図2は、本発明イオンエッチ
ング装置の一実施例の構成を示す。この装置において、
図1と同様の箇所には同一の符号を付して、その説明を
省略する。
【0022】カソード支持台3に設けた円筒部3Aはヨ
ーク支柱7Aを摺動自在に支持するようにし、および円
筒部3Aの内部にはチャンバ1の内部を気密に封止する
ためOリング11を配設する。支柱7Aの下側には歯車
ノブ12を形成する。絶縁体製の歯車13をこの歯車ノ
ブ12と噛合させる。この歯車13をステッピングモー
タ14により段歩的に駆動し、以て支柱7を矢印方向、
すなわち基板ステージ3と磁石6との間の距離を変える
方向(図示例では基板ステージ3に対して垂直な方向)
に移動可能とし、これにより磁場強度制御機構を構成す
る。
【0023】さらに、支柱7Aはステッピングモータ1
4Aにより自転するようになっており、永久磁石の回転
数を0〜2000rpmまで制御することができる。な
お、この場合、ステッピングモータ14Aは歯車ノブ1
2の上下動に伴って上下動する機構であるが、歯車ノブ
12を2重軸構造とし、ステッピングモータ14Aを固
定してもよい。また、ステッピングモータ14,14A
は共に通常のモータでもよい。上記構成によれば、磁石
6は、回転と上下動の両動作が可能である。
【0024】18はコンピュータであり、高周波電圧計
17で測定したセルフバイアス電圧をインターフェイス
19を介して取り込み、ストアする。この状態で、コン
ピュータ18により、投入電力およびセルフバイアス電
圧を調整すべく、インターフェイス19を介して、それ
ぞれ、RF電源15およびステッピングモータ14を制
御する。すなわち、コンピュータ18はセルフバイアス
電圧が一定となるように磁場強度を可変動作させる。さ
らに、ステッピングモータ14Aにより、永久磁石を回
転させエッチング速度の均一化を図っている。
【0025】なお、本実施例において、永久磁石6に変
えて電磁石を用いてもよいこと勿論であるが、移動およ
び回転可能かつ磁場の強い磁石としては永久磁石が好適
であり、材質はサマリウムコバルト等の希土類マグネッ
トが適当である。
【0026】この装置は、次のように動作させる。ま
ず、真空ポンプ系21によりチャンバ1をおよそ1×1
-7Torr程度まで真空排気したのち、ガス導入口2
0よりエッチングガス、たとえばO2 ガスを1×10-3
Torrになるまで導入する。次に、RF電源15によ
り、RF電力をカソード電極4に印加すると、カソード
電極4とアノード電極2との間に放電が生じ、プラズマ
が形成される。この時、基板5は、カソード支持台3の
上に置かれたカソード電極4上に載置されており、冷却
水導出管10から流入する冷却水により冷却されてい
る。高周波電力計17には、上記の放電によりあるセル
フバイアス電圧が誘起される。ここで、永久磁石移動用
歯車ノブ12,絶縁体歯車13とステッピンモータ14
を用いることにより、永久磁石6を図中の矢印の方向
に、すなわち、基板5と垂直方向に移動することができ
る。これにより、高周波電力計17に表示されるセルフ
バイアス電圧の値を−30Vから−1kVの範囲で制御
することができる。
【0027】図3は、本発明におけるセルフバイアス電
圧と磁場強度との関係を示す特性図である。図3から、
磁場強度を大きくすると、セルフバイアス電圧がより小
さくなることがわかる。この場合、超高選択比および超
高品質加工の実現のためには、数+eVのセルフバイア
ス電圧が得られる磁場強度が理想である。
【0028】ここで、超高選択比エッチングについて説
明する。エッチングは、プラズマ中のイオン(物理的効
果)とラジカル(化学的効果)の相乗効果によって進行
する。この中で、イオンは、基板に対して方向性をもっ
て衝突するため、エッチング時の異方性を決定し、ま
た、ラジカルは、基板表面に吸着し、基板構成原子と反
応して揮発性の高い化合物を形成して離脱するので、材
料のエッチング速度を主に決定する。このようにイオ
ン,ラジカルによって材料は、加工されていく。一方、
基板材料上に形成されたマスクも、基板材料と同様にイ
オン衝突とラジカルによる反応を受ける。マスク材料
は、ラジカルとほとんど反応しないため、イオン衝撃に
よってのみ削られていく。マスクは、削られたり、変形
(後退)することがないことが理想であるから、イオン
のエネルギーは、できるだけ小さいことが望まれる。具
体的には、材料構成原子の変位しきい値エネルギー(材
料がスパッタされるのに必要な最低のエネルギーであっ
て、おおよそ20eV)程度までイオンの運動エネルギ
ーを下げることができれば、マスク材料は、ほとんど削
られず、被加工材料のみがイオン衝撃とラジカル反応に
よってエッチングされることになる。従って、このよう
な理想的な状態が形成されれば、マスクの加工量がゼロ
となり、マスクと被加工材料とのエッチング速度比、す
なわち選択比が無限大の異方性エッチングが実現できる
ことになる。
【0029】次に、超高品質加工について述べる。超高
選択比エッチングについての説明で述べたように、加工
時のイオンエネルギーを20〜30eV程度まで減少す
ることができれば、エッチングが理想的な状態で進行す
る。すなわち、基板表面は、イオン衝撃を受けるが、基
板原子を取り去るのに必要な最小限のエネルギーである
ため、加工後の表面損傷も最小の状態となっている。こ
のことから、加工表面は最も理想的な加工面に近いこと
になる。そのためは上述したセルフバイアス電圧を数+
V程度にすればよい。本発明では、1000ガウス以上
の大きな磁束を印加することにより、従来では、得られ
なかった−100V以下の低エネルギーのセルフバイア
ス電圧が得られることがわかる。2000ガウスの磁場
を印加した場合には、約−30Vのセルフバイアス電圧
が得られた。
【0030】また、セルフバイアス電圧とRF電力密度
との関係をプロットしたのが図4である。ここで、エッ
チングガスとしてO2 ガスを圧力5×10-3Torrで
導入した。電力密度とは、電力の値を電極面積(100
cm2 )で割った値を示している。本装置では、電力が
50〜300Wの範囲(電力密度0.5〜3W/cm
2 )でセルフバイアス電圧が一定となるように制御可能
なことがわかる。この場合、電力密度が大きくなるにつ
れ加工速度も大きくなるが、電力密度2ないし3W/c
2 で加工した場合にも、1W/cm2 のときに得られ
た加工形状パターンをそのまま維持できることがわかっ
た。
【0031】さらに、セルフバイアス電圧の値と、材料
を加工する際のマスクと被加工材料とのエッチング速度
比、すなわち、選択比との関係を図5に示す。ここで、
マスク材料にはTi、被加工材料にはポリイミドを用い
た。従って、選択比は(ポリイミドのエッチング速度)
/(Tiのエッチング速度)となる。ここで、セルフバ
イアス電圧が減少するにつれて、選択比が上昇し、セル
フバイアス電圧−40Vでは、選択比1000倍が得ら
れた。
【0032】図6は、このような状態での材料(ポリイ
ミド)のエッチング深さと時間との関係である。ここ
で、磁石の回転数は1500rpm、セルフバイアス電
圧は−45Vとし、エッチングガスとしてのO2 ガスを
圧力5×10-3Torrで導入した。高周波電力20
0,600Wの2つの場合の特性を示す。この特性図か
ら、エッチング深さを時間で精度よく制御することが可
能なことがわかる。600Wの場合のエッチング速度
は、5μm/分程度であり、従来装置の5倍程度大きな
値である。これは、約2000ガウスと言った従来より
一桁程度大きな磁界により、電極間に高密度なプラズマ
が形成され、生成された多量のイオンにより材料がエッ
チングされていることによるためである。
【0033】さらに、このようにセルフバイアス電圧を
減少させることができると、次に述べるように加工面の
品質も向上させることができることがわかった。すなわ
ち、図5に示したエネルギー範囲で、エネルギーのみを
変化させ、エッチングガスをCF4 とし、他の加工パラ
メータを一定としてSiエッチングを行った。その後、
ウェットエッチングにより欠陥を評価したところ、セル
フバイアス電圧40V以下での加工損傷は化学エッチン
グと遜色の無いほどで、加工ダメージがないことがわか
った。このことは、理想的な加工面を維持したままエッ
チングされていることを示唆している。
【0034】(実施例2)エッチング領域でのエッチン
グ速度の均一化を目的とした場合の上記装置の応用実施
例を以下に詳細に説明する。
【0035】はじめに、図7に磁場設計のために、エッ
チングレートの磁場依存性を示す。エッチング条件は、
電力密度2W/cm2 、エッチングガス;アルゴン、試
料;タングステン、ガス圧1×10-2Torr、基板温
度20℃で行った。磁場の増加にともないエッチングレ
ートは単調に増加し500ガウスで最大となる。さらに
増加させるとレートは単調に減少する。
【0036】次にこの図を基に磁場設計を行う。設計例
を次に述べる。まずカソード永久磁石配置の概略図を図
8に示す。
【0037】このカソードの磁石設計は回転時の単位時
間単位面積当りの平均磁場強度が一定となるような磁石
配置、すなわち、停止時において動径方向の距離に磁場
強度が比例するように永久磁石の配置の一例である。な
お、磁石の材質は同じで磁化モーメントは磁石のどの部
分も一定である。ここで磁石の形状について説明する。
円の中心を原点0とし、図のようにx軸およびy軸をと
り、磁石は4つの部分からなり、S極とN極とが交互に
並んでいる場合を考える。なお、この図8の磁石配置で
は、交互に配列した複数のほぼ扇形のS極とN極のそれ
ぞれの外周の外側には、それぞれの極性と逆の円弧状の
磁石が配置されている。すなわち、磁石の全体的配置と
しては、周方向(回転方向)に、ほぼ扇形のS極とN極
とが交互に対向して配列され、半径方向外方に、前記ほ
ぼ扇形の各S極、N極に対向して極性が逆の磁石が配列
されている形状となっている。
【0038】
【外1】
【0039】
【外2】
【0040】
【外3】
【0041】
【外4】
【0042】上記の方法で設計したカソードにおいて、
動径方向にカソード表面の漏洩磁界を測定した。この場
合のlは15cmであり、外周部におけるS極−N極の
ギャップは2cmであった。結果を図9に示す。設計通
りに漏洩磁界は中心から動径方向へ向けほぼ比例して5
00ガウスまで増加し、所望の磁界分布が得られた。
【0043】なお、カソード表面のバッキングプレート
はパーマロイ等の磁気遮蔽材料との複合板を用い、この
板の厚さを変えることによりターゲット表面全体での平
均漏洩磁界強度の適正化(中心磁場強度から外周での磁
場強度に応じてエッチング速度が比例するように平均磁
場強度を予め設定する。)を行った。
【0044】なお、上記説明では、S極N極が対になっ
た磁石の数を4枚としたが、2枚構成でも8枚構成でも
よい。8枚以上にすると磁力線の外部へのもれが少なく
なるため適当ではない。2枚,4枚,8枚構成のうち、
磁力線分布や磁力線のもれから見て、4枚構成が最も適
当である。
【0045】また、前記lの具体的寸法としては、前記
したように、例えば、15cmが適当であり、外周部に
おけるS極−N極のギャップは2cm程度が適当であ
る。
【0046】また、前記y=f(x)で表された磁石の
外周形状を実際に加工するには、直線加工を多段に繰り
返す工法を採用し、コスト的に引き合う範囲内で加工直
線幅を小さく(段数を多く)することにより対応する。
【0047】さらに、前記の磁石配置においては、各磁
石片の中央端を一致させたが、実用上、各先端を一致さ
せても、離間させても、さらには重ねても問題はない。
従って、実際の加工に際して適宜選択すればよい。
【0048】次に、上記磁石を回転させて1時間カソー
ドをエッチングした場合のエッチング深さの均一性を検
討した。結果を図10に示す。図から明らかなように、
中心と外周を除き均一にエッチングされている。
【0049】同様に、他の材料(SiO2 等の誘電体,
CoCr等の磁性体)のエッチングを行う場合において
も、上記と同様の方法を用いることにより均一な深さで
エッチングされた。
【0050】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、基板ステージの裏面側に配置した永久磁石を基板ス
テージとの間の距離を変えることができるように基板ス
テージに対して移動できるようにしたので、放電時に基
板ステージに誘起されるセルフバイアス電圧を任意所望
の値に設定し直すことができる。しかも、磁場強度の大
きな永久磁石を用いることによってセルフバイアス電圧
を下げることができるので、高速で、かつ高品質であ
り、さらに高選択比で異方性エッチングが可能である。
また、基板ステージの裏面側に配置した永久磁石を基板
ステージに対して回転させることにより、放電時に基板
ステージに形成されるエッチング領域は広範囲に渡り均
一にすることができ、大面積に渡り均一深さエッチング
が可能である。このことから、本発明は、誘電体等のよ
うにスパッタ率が小さく、削れにくい材料,LD(レー
ザーダイオード)のエッチングミラー等,端面の平滑
性,垂直性等が要求される部品、および、大面積で均一
なエッチング領域が要求されている工業的プロセスにお
ける部品等のパターン形成等の加工に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図3】本発明におけるセルフバイアス電圧と磁束密度
との関係を示す特性図である。
【図4】本発明におけるセルフバイアス電圧と電力密度
との関係を示す特性図である。
【図5】本発明における選択比とセルフバイアス電圧と
の関係を示す特性図である。
【図6】本発明におけるエッチング深さと時間との関係
を示す特性図である。
【図7】磁場設計のためのエッチング速度の磁場強度依
存性を示した図である。
【図8】カソード永久磁石の概略を示す平面図である。
【図9】磁場強度とカソード中心からの距離との関係を
示した特性図である。
【図10】エッチング深さとカソード中心からの距離と
の関係を示した特性図である。
【符号の説明】
1 チャンバ 2 アノード電極 3 カソード支持台(基板ステージ) 3A 円筒部 4 カソード電極 5 基板 6 永久磁石 7 ヨーク 7A 支柱 8 磁束 9 絶縁体 10 冷却水導出管 11 Oリング 12 歯車ノブ 13 絶縁体歯車 14 ステッピングモータ 14A ステッピングモータ 15 RF電源 16 マッチングボックス 17 高周波電圧計 18 コンピュータ 19 インターフェイス 20 ガス導入口 21 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−123034(JP,A) 特開 昭62−111430(JP,A) 特開 平3−190127(JP,A) 特開 平1−130531(JP,A) 特開 昭59−232420(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 4/00 H01L 21/3065

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャンバ内に第1および第2電極を
    互いに平行に配置し、前記第1電極を接地し、前記第2
    電極に高周波電力を供給し、前記第2電極の前記第1電
    極と対向する側の主面の上に試料を載置し、前記第2電
    極の他方の主面の下側に磁石を該磁石と前記第2電極と
    の間の距離を可変とするように移動可能に配置するとと
    もに、該磁石を回転可能にしたマグネトロン型イオンエ
    ッチング装置を用いて、前記磁石と前記第2電極との間
    の距離を変えるように前記磁石を移動させて、イオンエ
    ッチング中に前記第2電極に印加されるセルフバイアス
    電圧が、常に所望値に、および前記高周波電圧および前
    記真空チャンバ内に導入されるガスの圧力とは無関係
    に、設定されるようにするとともに、前記第2電極下側
    の前記磁石を回転させて、イオンエッチング中に前記第
    2電極に形成されるエッチング領域が、常に均一に、お
    よび前記高周波電力および前記真空チャンバ内に導入さ
    れるガスの圧力とは無関係に、設定されるようにするイ
    オンエッチング方法であって、 前記磁石が、前記第2電極の表面に沿う平面内で前記第
    2電極の中心から外周方向にほぼ扇形に開いた形状をな
    す複数の磁石と、前記ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれ
    とは極性が異なり、該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれ
    の外周の外側に該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれに対
    向して配置されている複数の磁石とから構成され、 前記ほぼ扇形をなす複数の磁石は、前記平面内でS極と
    N極とが周方向に交互に配置されるとともに、前記複数
    の磁石のほぼ扇形の形状は、磁石静止時における前記ほ
    ぼ扇形の複数の磁石から前記第2電極の表面に向かって
    漏洩する磁束が前記第2電極の中心から半径方向外方に
    向かって距離に比例して増加する形状である ことを特徴
    とするイオンエッチング方法。
  2. 【請求項2】 前記磁石として、前記試料のスパッタし
    きい値エネルギーに対応するセルフバイアス電圧がえら
    れるような磁束を発生させるものを用いることを特徴と
    する請求項1に記載のイオンエッチング方法。
  3. 【請求項3】 真空チャンバ内に第1および第2電極を
    互いに平行に配置し、前記第1電極を接地し、前記第2
    電極に高周波電力を供給し、前記第2電極の前記第1電
    極と対向する側の主面の上に試料を載置し、前記第2電
    極の他方の主面の下側に磁石を該磁石と前記第2電極と
    の間の距離を可変とするように移動可能に配置するとと
    もに、該磁石を回転可能としたマグネトロン型イオンエ
    ッチング装置であって、 前記磁石が、前記第2電極の表面に沿う平面内で前記第
    2電極の中心から外周方向にほぼ扇形に開いた形状をな
    す複数の磁石と、前記ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれ
    とは極性が異なり、該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれ
    の外周の外側に該ほぼ扇形の複数の磁石のそれぞれに対
    向して配置されている複数の磁石とから構成され、 前記ほぼ扇形をなす複数の磁石は、前記平面内でS極と
    N極とが周方向に交互に配置されるとともに、前記複数
    の磁石のほぼ扇形の形状は、磁石静止時における前記ほ
    ぼ扇形の複数の磁石から前記第2電極の表面に向かって
    漏洩する磁束が前記第2電極の中心から半径方向外方に
    向かって距離に比例して増加する形状である ことを特徴
    とするイオンエッチング装置。
  4. 【請求項4】 前記第2電極に印加される高周波電圧を
    測定し、その測定された電圧に応じて前記磁石の移動を
    制御することを特徴とする請求項3に記載のイオンエッ
    チング装置。
  5. 【請求項5】 前記第2電極に印加される高周波電圧を
    測定し、その測定された電圧に応じて前記第2電極に印
    加される高周波電圧の値を制御することを特徴とする請
    求項3または4に記載のイオンエッチング装置。
  6. 【請求項6】 前記磁石は前記試料のスパッタしきい値
    エネルギーに対応するセルフバイアス電圧が得られるよ
    うな磁束を発生させるものであることを特徴とする請求
    3ないし5のいずれかに記載のイオンエッチング装
    置。
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