JP3342873B2 - gas6による受容体活性化 - Google Patents

gas6による受容体活性化

Info

Publication number
JP3342873B2
JP3342873B2 JP52769896A JP52769896A JP3342873B2 JP 3342873 B2 JP3342873 B2 JP 3342873B2 JP 52769896 A JP52769896 A JP 52769896A JP 52769896 A JP52769896 A JP 52769896A JP 3342873 B2 JP3342873 B2 JP 3342873B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas6
cells
rse
cell
human
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP52769896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10505507A (ja
Inventor
チェン,ジエン
ハモンズ,アール・グレン
ゴドウスキー,ポール・ジェイ
マーク,メラニー・アール
マザー,ジェニー・ピー
リ,ロンガオ
Original Assignee
ジェネンテク・インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/402,253 external-priority patent/US6211142B1/en
Application filed by ジェネンテク・インコーポレイテッド filed Critical ジェネンテク・インコーポレイテッド
Publication of JPH10505507A publication Critical patent/JPH10505507A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3342873B2 publication Critical patent/JP3342873B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/745Blood coagulation or fibrinolysis factors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P5/00Drugs for disorders of the endocrine system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は、概してRse又はMerチロシンキナーゼ受容体
を活性化する方法に関する。より具体的には、本発明
は、Rse受容体を含む細胞(神経膠細胞など)又はMer受
容体(例えば単球)の生存、増殖及び/又は分化を、ga
s6を用いて増進する方法に関する。また本発明は、gas6
変種、具体的には自然界から単離されるgas6よりもγ−
カルボキシル化されていないgas6変種に関する。
関連技術の説明 発生中の細胞と成人組織の細胞の成長と分化を制御す
る特定のシグナルは、しばしば、固有のチロシンキナー
ゼ活性を含有する細胞表面受容体に結合し、それを活性
化することによってその効力を発揮する。Markらは、最
近、成体の脳内に選択的に発現する受容体チロシンキナ
ーゼRseのヒトとネズミの相補DNAについて記述している
(Markら,J.Biol.Chem.269:10720[1994])。Rse受容
体の細胞外ドメインは、2つの免疫グロブリン様(Ig−
L)反復と、それに続く2つのフィブロネクチンタイプ
III反復から構成される。ヒトRse(Ohashiら,Oncogene
9:699[1994])及びネズミRse(Laiら,Oncogene9:2567
[1994])と同一のタンパク質をコードする相補DNA配
列は独立して報告されており、これらはSky及びTyro3と
呼ばれている。brtと呼ばれるRseのネズミ等価体に関す
るFujmimoto及びYamamoto,Oncogene9:693(1994)と、t
ifと呼ばれるヒト分子に関するDaiら,Oncogene9:975(1
994)をも参照のこと。
Rseの発現は種々の組織で研究されている。Laiら(上
記)は、成体の脳内で、Rse mRNAが新皮質、小脳及び海
馬のニューロン内に局在することを発見した。Schulzら
は同様に、Rseが大脳皮質、外側中隔、海馬、嗅球及び
小脳内で高レベルに発現することを発見した。脳内で最
も高レベルのRse発現は、ニューロンに関係することが
わかった(Schulzら,Molec.Brain Res.28:273−280[19
95])。マウスの中枢神経系(CNS)では、皮質ニュー
ロンと海馬ニューロン中のシナプス回路構成の確立及び
維持と時を同じくして、後期胚段階中と出生後に、Rse
の発現が最も高いレベルで検出される(Laiら,上記及
びSchneiderら,Cell54:787−793[1988])。この過程
は、互いに直接接触しているか、若しくは近くに位置す
る細胞によって、局所的に制御されると考えられる。Ma
rkら(上記)は、ノーザンブロット分析によって、脳と
腎臓から得たRNAの試料に、高レベルのRse mRNAが存在
することを発見した。Daiら(上記)は、Rseがヒトの卵
巣と精巣に高度に発現することを発見した。Markら(上
記)は、種々のヒト細胞系におけるRseの発現も分析し
た。単球細胞系THP−1又はリンパ芽球様RAJI細胞から
得たmRNA試料のノーザンブロッティングでは、Rse mRNA
はほとんど若しくは全く検出されなかった。しかし、骨
髄の細胞(すなわ骨髄性白血病系K562と骨髄単球U937細
胞)と巨核球白血病系DAMI及びCMK11−5並びにヒト乳
癌細胞系MCF−7を含むいくつかの造血細胞系では、Rse
転写物が検出された。調べられた細胞系のなかでは、He
p3B細胞(ヒト肝癌細胞系)で最も高いレベルの発現が
観測された。
RseはAxl(Ufo又はArkとしても知られる)に構造的に
関係し、このチロシンキナーゼ受容体と43%の全アミノ
酸配列同一性を共有する。Axlについては、O′Bryan
ら,Mol.Cell.Biol.11:5016(1991)、Janssenら,Oncoge
ne6:2113(1991)、Rescignoら,Oncogene5:1909(199
1)及びBellostaら,15:614(1995)を参照のこと。Rse
とAxlは、Mer(Grahamら,Cell Growth Differ.5:647[1
994])と共に、細胞外ドメインが神経細胞認識及び接
着分子(Ruitishauser,U.,Current Opin.Neurobiology
3:709[1993]とBrummendorf及びRathjen,J.Neurochemi
sty61:1207[1993]に概説されている)に似る一群の受
容体チロシンキナーゼを規定する。Rseと同様に、Axlも
神経系で発現するが、Rseよりも広く末梢組織に発現す
る。
Mer mRNAは、末梢血液単核細胞、骨髄単核細胞及び単
球中に検出されるが、顆粒球には検出されない。Mer mR
NAは、それが新生物B及びT細胞系に発現するという事
実にも関わらず、正常なB又はTリンパ球には検出され
ない(Grahamら,Cell Growth DTffer.5:647[199
4])。Merはヒト組織に広く発現するが、最も高レベル
のMer mRNAは精巣、卵巣、前立腺、肺及び腎臓で検出さ
れる(Grahamら,Cell Growth Differ.5:647[199
4])。
Mer、Rse及びAxlの無秩序な発現は、細胞のトランス
フォーメションに関係する。例えば、Axlは、慢性骨髄
性白血病の患者(O′Bryanら,上記)と慢性骨髄増殖
障害の患者(Janssenら,上記)のDNAから、トランスフ
ェクション/腫瘍形成性試験を用いて単離された。Mer
は新生物B細胞系からクローン化されており、数多くの
トランスフォームしたT急性リンパ球白血病細胞系で発
現する(Grahamら,上記)。RseとAxlは、繊維芽細胞で
過剰発現すると、細胞のトランスフォーメションを誘導
する(O′Bryanら,上記;Ohashiら,Oncogene9:669[19
94];Taylorら,J.Biol.Chem.270:6872−6880[1995];M
cCloskeyら,Cell Growth and Diff.5:1105−1117[199
4])。RseのmRNAとタンパク質は、wnt−1又はfgf−3
癌遺伝子を過剰発現させる形質転換動物に由来する乳腫
瘍でも過剰発現する(Taylorら,J・Biol.Chem.270:6872
−6880[1994])。
Rse受容体とAxl受容体の推定リガンドは既に報告され
ている。Varnumら,Nature373:623(1995)とStittら,Ce
ll80:661−670(1995)は、最近、gas6(成長阻止特異
的遺伝子6)がAxlのリガンドであることを報告した。g
as6は、NIH3T3細胞で血清飢餓中に高度に発現する一組
のネズミ遺伝子に属する(Schneiderら,Cell54:787−79
3[1988])。これらの遺伝子は、その発現が成長誘導
中に負に調節されるので、成長阻止特異的遺伝子(grow
th arrest−specific gene)と命名された。ネズミgas6
のヒト相同体も、Manifiolettiら,Molec.Cell.Biol.13
(8):4976−4985(1993)によってクローン化され、
配列決定された。彼らは、gas6はビタミンK依存性タン
パク質であると結論し、成長調節に関係するプロテアー
ゼカスケードの調節に役割を果たしているのであろうと
推測した。gas6は、脳を含む種々の組織で発現する。ga
s6については、Colomboら,Genome2:130−134(1992)と
Ferreroら,J.Cellular Physiol.158:263−269(1994)
をも参照のこと。
さらにStittら(上記)は、プロテインSがTyro3のリ
ガンドであることを報告した。プロテインSは、活性化
プロテインCによる因子Va及びV III aのタンパク質加
水分解的不活を刺激する補因子として作用することによ
り抗凝固因子として機能する、ビタミンK依存性血漿タ
ンパク質である。これについては、Easmonら,Aterioscl
er.Thromb.12:135(1992)に概説されている。したがっ
て、プロテインSは血液凝固カスケードの重要な負の調
節因子である。Walkerら,J.Biol.Chem.255:5521−5524
(1980)、Walkerら,J.Biol.Chem.256:11128−11131(1
981)、Walkerら,Arch.Biochem.Biophys252:322−328
(1991)、Griffinら,Blood79:3203(1990)及びEasmo
n.D.,Aterioscler.Thromb.12:135(1992)を参照のこ
と。ヒト血漿中のプロテインSの約半分がC4BPに結合し
ているという発見は、プロテインSがこの補体カスケー
ドに関与するという概念をさらに裏付ける。Dahlback
ら,PNAS(USA)78:2512−2516(1981)。平滑筋細胞の
有糸分裂促進物質としてのプロテインSの役割も報告さ
れている。Gasicら,PNAS(USA)89:2317−2320(199
2)。
プロテインSは4つのドメインに分割することができ
る(本願の図1A、1C及び1Dを参照のこと)。残基1−52
(領域A)は、負に荷電したリン脂質に対するプロテイ
ンSのCa2+依存的結合を媒介するγ−カルボキシグルタ
ミン酸(Gla)が豊富である(Walker,J.Biol.Chem.259:
10335[1984])。領域Bはトロンビン感受性ループを
含む。領域Cは4つの上皮細胞増殖因子(EGF)様反復
を含有する。領域Dはステロイドホルモン結合性グロブ
リン(SHBG)タンパク質と相同である(Hammondら,FEBS
Lett.215:100[1987])。JosephとBaker(FASEB J.6:
2477[1994])によって議論されているように、この領
域は、ラミニン(23%同一)とメロシン(merosin)(2
2%同一)のA鎖中のドメイン及びDrosophilaクラムス
(crums)中のドメイン(19%)に相同である。
ネズミとヒトのgas6cDNAは、ヒトプロテインSに対し
てそれぞれ43%及び44%のアミノ酸配列同一性を持つタ
ンパク質をコードする。
発明の概要 上述の発明は、本質的にγカルボキシル化されていな
いgas6変種、若しくはこの分子の内在性供給源に由来す
るgas6よりもγカルボキシル化量が本質的に少ないgas6
変種に関する。上記変種の例としては、通常はγカルボ
キシル化されるgas6のAドメインから1又はそれ以上の
グルタミン酸残基を欠くgas6変種、Aドメインを欠くga
s6の断片、及び実質上gas6のDドメイン(又はgas6のG
ドメイン断片)からなる断片が挙げられる。
本発明はさらに、Rse又はMer受容体を含む細胞(好ま
しくはヒト細胞)を、Rse又はMer受容体を活性化するの
に有効な量の外因性gas6にさらすことによって、Rse又
はMer受容体を活性化する方法をも提供する。そのRse又
はMer受容体は通常は細胞結合型であり、gas6はヒトgas
6であることが好ましい。本発明は、Rse又はMer受容体
をその細胞膜に組込んでいる細胞の生存、増殖及び/又
は分化を増進する方法であって、その細胞をその細胞の
生存、増殖及び/又は分化を増進するのに有効な量のga
s6にさらすことによる方法をも提供する。その細胞はニ
ューロンであってもよいし、膠細胞(シュワン細胞な
ど)であってもよく、また単球(例えばマクロファー
ジ)であってもよい。その細胞は細胞培養中に存在して
もよいし、神経学的な疾患又は障害に罹っている哺乳動
物(例えばヒト)中に存在してもよい。gas6は、しばし
ば、生理学的に許容できる担体に入れて提供される。
本発明は、gas6ポリペプチドを含むキット及び製品を
も提供する。通常、この製品は、gas6を試験管内培養に
使用するための使用説明書又はgas6を哺乳動物に投与す
るための使用説明書を含む。
図面の簡単な説明 図1A〜1Dは、プロテインSとgas6の構造(図1A)、ヒ
トgas6(図1B)とプロテインSのウシ型(b)及びヒト
型(h)とのアミノ酸相同性の比較(それぞれ図1C及び
1D)を表す概略図である。h gas6については、枠は、Gl
a領域(すなわちAドメイン)、ループ領域(すなわち
Bドメイン)、Cドメインを形成する4つのEGF様反復
(C1〜C4と表記)及び性ホルモン結合性グロブリンに相
同な領域(すなわちDドメイン;この領域はラミニンA
鎖とメロシンのGドメイン及びDrosphiliaクラムスタン
パク質にも関係する)を表す。h gas6とbプロテインS
又はhプロテインSの間で共有されるアミノ酸同一性率
を対応する枠内に示す。各領域の境界にあるアミノ酸を
枠上に示す。
図2は、ネズミgas6(m gas6)[配列番号1]、h ga
s6[配列番号2]及びhプロテインS[配列番号3]の
アミノ酸配列の比較を表す。「プレ」配列と「プロ」配
列の残基を示す(矢印は各前駆体配列の最後の残基を示
す)。A〜DドメインとDドメイン中に存在する2つの
Gドメイン(すなわちGドメイン1とGドメイン2)を
詳述する。
図3A〜3Dは、ウシ胎児血清(FBS)中のRse−Lの特長
づけを表すグラフである。図3Aは、125I−Rse−IgGの結
合を、FBS濃度の関数として示す。結合、つまり添加し
た全カウントに対する膜結合カウントの百分率(100×B
/T(すなわち結合/全量))を、FBS濃度の関数として
プロットする。そのデータを4変数モデルにあてはめ
て、0.58%v/vのEC50を得た。図3Bは、125I−Rse−IgG
の結合を、一定FBS濃度の下に、Ca2+濃度の関数として
表す。結合は、10%のダイアフィルトレーションしたFB
Sの存在下又は不在下に、種々の濃度のCa2+を添加し
て、図3Aと同様に行なった。このデータに対する4変数
フィッティングによって判断したCa2+のEC50は0.18nMで
ある。図3Cは、FBSによって媒介されるCMK11−5膜に対
する125I−Rse−IgG結合のスキャッチャード分析であ
る。非標識Rse−IgGの濃度を増大させながら、1濃度の
125I−Rse−IgG、FBS及びCa2+を用い、非特異的結合に
ついて補正した後、結合分と遊離分の比(B/F)に対し
て結合をプロットした。1%FBS(Kd=0.82nM)で行な
った実験と10%FBS(Kd=2.2nM)で行なった実験の両方
を示す。図3Dは、FBSのQ−セファロース濃縮(QSE)画
分によるRseリン酸化の用量依存的活性化のKIRA分析で
ある。この挿入図は、Rse−IgGと共にインキュベートす
ることによって、Rse−L活性が特異的に中和されたこ
とを示している。Rseリン酸化は、血清飢餓細胞
(−)、又はIgGタンパク質を添加せずにQSE画分で処理
した細胞(QSE)、又は表示の通りRse−IgG又はCD4−Ig
Gと共にインキュベートしたQSEで処理した細胞に認めら
れる。
図4は、実施例4に記載のRse受容体に関するKIRA EL
ISAを示すフローチャート/模式図である。
図5は、非標識Rse−IgGによるgas6に対する125I−Rs
e−IgGの結合の阻害を示す。125I−Rse−IgGとgas6を一
定にして、チューブに加える非標識Rse−IgGの量を増大
させた。1種類の部位を用いたデータに対する非線型最
小二乗法によって、平衡解離定数は0.46±0.04nMと見積
もられた。この挿入図は、非特異的結合について補正し
た後の、結合(B)対結合/遊離(B/F)のスキャッチ
ャードプロットを示す。
図6A〜6Cは、星状細胞培養におけるRse−L活性を示
す。星状細胞がRseリガンドを分泌するかどうかを決定
するために、3日間条件付けした血清非含有培地をセン
トリコン−10遠心限外ろ過装置で10倍濃縮し、検定チュ
ーブに直接加えて、表記の最終濃度とした。図6Aでは、
星状細胞ならし培地(ACM)の添加によって、125I−Rse
−IgGをCMK11−5膜に結合させたところ、13%v/vACMで
半最大効果に達した。図6BはACMによるRseのリン酸化の
KIRA分析である。図6Cは、ACMによるRseのリン酸化が、
Rse−IgGと共にインキュベートすることによって阻害さ
れるが、CD4−IgGでは阻害されないことを示す。中和は
図3の説明文に記載のように行なった。
図7に示すように、gas6の欠失分析によって、試験管
内でのRseに対する結合には、Gドメインだけでも十分
であることが示された。基本的に実施例6に記載の手法
に従って、エピトープで標識した(gD)gas6又はプロテ
インS、若しくはgas6のN−末端欠失変種(表記の残基
を含む)を構築し、293細胞で一時的に発現させた。正
しい分子量を持つタンパク質は、そのエピトープ標識に
対する抗体を用いて、未分画の(投入)細胞上清中に検
出できた。プロテインSとは対照的に、gas6誘導体はRs
e−IgGによって細胞上清から沈降した。タンパク質は対
照ヒトFcでは沈降しなかったので、この結合はRseの細
胞外ドメインに特異的である。定量化のため、未分画
(投入)レーンは沈降に用いた物質の20%に相当する。
図8は、gas6がP45ラットシュワン細胞の増殖を用量
応答的に誘導することを示している。24ウェルプレート
中の10μg/mlインスリン及びトランスフェリンと5μg/
mlビタミンEを含むF12/DME培地で、表示の濃度の組換
えヒトgas6と共に細胞を培養した。48時間後、コールタ
ーカウンターで細胞数を数えた。各処置につき6ウェル
の平均と標準偏差を示す。
図9は、gas6によって誘導されるp45ラットシュワン
細胞の増殖がRse−IgGによって中和されることを表す。
細胞は、図8の説明文のように培養した。対照細胞には
さらなる添加を行なわなかった。他の細胞は全て、2種
類のgas6精製物(すなわちロット番号15とロット番号
9)及び10μg/mlのRse−IgG(標識Rse)又はCD4−IgG
(標識CD4Fc)で処理した。
図10は、実施例10に記載のKIRA検定におけるRseリン
酸化の活性化に関する服量応答曲線を示す。
図11は、ヒト組換えgas6を発現させる細胞によって条
件付けした培地のイオン交換クロマトグラフィーを表
す。培地(700ml)を緩衝液A(50mM Tris−HClpH7.5,5
mMベンズアミジン)に対して透析し、0.1%CHAPSに調節
し、6ml Resource−Qカラム(Pharmacia)に10ml/分で
充填した。そのカラムを緩衝液Aで洗浄し、緩衝液A中
の0から0.4M NaClに至る70mlの直線的勾配(流速1.0ml
/分)で溶出させ、2.0mlずつ集めた。その画分を、実施
例6に記載の塩化バリウム結合法と実施例4に記載のKI
RA検定法を用いて、Rseを結合し活性化するそれらの能
力について分析した。結合活性は、塩化バリウムで沈殿
した放射活性の添加した全放射活性に対する百分率とし
て表す。KIRA活性は標品に関する単位/mlとして表す。
図12A〜12Cは、ヒトシュワン細胞の成長とDNA合成に
対するgas6と他の増殖因子の効果を表す。全てのデータ
を平均±標準誤差(n=4)として表した。図12Aは、
異なる条件下におけるgas6に対するヒトシュワン細胞の
用量応答曲線を示す。表示の濃度のgas6と共に84時間培
養した後、細胞数をコールターカウンターで数えた。図
12Bは、異なる濃度のgas6の存在下に図12Aのように培養
したシュワン細胞におけるチミジン取り込みを、gas6が
増大させたことを示している。3H−[メチル]−チミジ
ン(0.5μCi/ml)を培養の48時間時点で加えた。培養の
96時間時点で細胞を収集し、DNA中に取り込まれた放射
活性を測定するために処理した。図12Cは、8Fの存在下
におけるシュワン細胞の成長に対する増殖因子類の影響
を示す。8F中で、PDGF(10ng/ml)、塩基性FGF(20ng/m
l)、IL−1α(1ng/ml)、TGF−β1(1ng/ml)及びga
s6(30ng/ml)と共に(若しくはこれらを伴わずに)、
シュワン細胞を培養した。108時間後に細胞数を数え
た。
図13は、培養中のヒトシュワン細胞の成長の時間経過
を表す。8Fを補足した24ウェルマルチプレート中のF12/
DME(1:1)中で、gas6又は10%のダイアフィルトレーシ
ョンしたウシ胎児血清(FBS)と共に(若しくはこれら
を伴わないで)2×104細胞/ウェルのヒトシュワン細
胞を培養した。各群から4ウェルの培養物を取り出し、
24時間毎に細胞数を数えた。表示のデータは平均±標準
誤差(n=4)である。
図14は、gas6が誘導するRseリン酸化の受容体−Fc融
合タンパク質による中和をKIRA検定法で測定した図であ
る。表示の濃度の受容体融合タンパク質の存在下に精製
gas6で処理したCHO Rse.gD細胞中で観測されるRseリン
酸化の、gas6だけで処理した細胞中で観測されるものに
対する百分率を示す。
図15A〜15Dは、Mer−Fcに対するリガンド結合の速度
論的分析を示す。Mer−Fcを、BIAcoreTMバイオセンサー
表面のカルボキシルメチル化デキストラン層にカップリ
ングした。160秒時点で、精製gas6(図15A、B及びC)
又はプロテインS(図15D)を100nM(破線)又は140nM
(実線)の濃度でバイオセンサーの表面に注入した。34
0秒時点で、注入ループを緩衝液に切り替えて、解離を
追跡した。チップ上のMer−Fcに対するgas6の結合は、
可溶性Mer−Fcと共に予備インキュベートすることによ
って遮断されたが(図15B)、CD4−Fcでは遮断されなか
った(図15C)。Mer−Fcに対するプロテインSの結合は
観測されなかった(図15D)。
好ましい態様の詳細な説明 1.定義 本明細書において「gas6」及び「gas6ポリペプチド」
という用語は、(特に示さない限り)Rse受容体又はMer
受容体を活性化できるポリペプチドを意味し、自然界の
供給源から精製したgas6ポリペプチド若しくは化学合成
又は組換え生産されたgas6ポリペプチドの成熟型、プレ
型、プレプロ型及びプロ型を包含する。この定義には、
特に、Manfiolettiら,Mol.Cell.Biol.13(8):4976−4
985(1993)に公表されたアミノ酸配列(EMBL/GenBank/
DDBJから受入番号X59846の下に入手可能)からなる「ヒ
ト」gas6ポリペプチド及び他の哺乳類gas6ポリペプチド
(ネズミgas6、Manfiolettiら,上記を参照のこと)が
含まれる。gas6ポリペプチドが自然界に認められるgas6
ポリペプチドのアミノ酸配列を持つ場合は、それがどの
ような方法で生産されたかにかかわらず(例えばその分
子の内在性供給源から単離することもできるし、合成法
によって生産することもできる)、本明細書ではそれを
「天然」又は「天然配列」ポリペプチドと呼ぶ。
gas6は、図1A〜B及び図2に詳述した種々のアミノ酸
「領域」又は「ドメイン」を持つ。このポリペプチドの
アミノ末端にある「Aドメイン」又は「Gla領域」は、
細胞膜中の負に荷電したリン脂質に対するgas6のカルシ
ウム依存的結合を媒介すると思われるγ−カルボキシグ
ルタミン酸(Gla残基)が豊富な残基を持つ。Aドメイ
ンは、ネズミgas6のほぼ残基46−48と、ヒトgas6のほぼ
残基49−89に広がっている。これに続く「Bドメイン」
は、トロンビン感受性「ループ」を含有し、ネズミgas6
のほぼ残基87−114と、ヒトgas6のほぼ残基90−117に広
がっている。本明細書で「Cドメイン」と呼ぶ第3のド
メインは、4つの上皮細胞増殖因子(EGF)様反復(図1
BのC1〜C4)を持つ。このCドメインは、ネズミgas6の
ほぼ残基115−275と、ヒトgas6のほぼ残基118−278に広
がっている。残りの「Dドメイン」はステロイドホルモ
ン結合性グロブリン(SHBG)タンパク質と相同であり、
ネズミgas6のほぼ残基276−673と、ヒトgas6の残基279
−678を含む。Dドメインは、「Gドメイン1」(ネズ
ミgas6についてはほぼ残基311−468、ヒトgas6について
はほぼ残基314−471)及び「Gドメイン2」(ネズミga
s6についてはほぼ残基500−666、ヒトgas6についてはほ
ぼ残基503−671)と呼ばれる一対の「Gドメイン」を含
む。
「gas6」及び「gas6ポリペプチド」という用語は、天
然gas6の「変種」及び「突然変異体」をも包含する。上
記変種には、ヒトgas6配列の断片、ヒトgas6配列のN−
又はC−末端若しくはその内部に1又はそれ以上のアミ
ノ酸残基が加えられたポリペプチド、1又はそれ以上の
アミノ酸残基が欠失し、任意に1又はそれ以上のアミノ
酸で置換されていてもよいポリペプチド、アミノ酸残基
が共有結合的に修飾されて非天然アミノ酸になっている
上記タンパク質、ポリペプチド又はその断片の誘導体が
含まれる。gas6変種は、例えば部位特異的突然変異誘発
法やPCR突然変異導入法によって合成的に製造すること
もできるし、Manfiolettiらに記載の翻訳されたアミノ
酸配列の対立遺伝子型その他の天然変種(ヒトその他の
動物種に存在しうるもの)のように、天然に存在するも
のであってもよい。
gas6変種は、それが機能的に活性である限り、本発明
の範囲に包含される。本明細書において、gas6に関して
「機能的に活性」及び「機能的活性」とは、そのgas6が
Rse受容体及び/又はMer受容体を活性化し、かつ/また
は、Rse受容体又はMer受容体を含む細胞(ニューロン、
膠細胞、単球細胞など)の増殖、生存及び/又は分化を
増進できることを意味する。「膠細胞」は中枢及び末梢
神経系に由来し、寡突起膠細胞、星状細胞、上衣細胞、
微小膠(microglial)細胞並びに神経節の随伴細胞及び
末梢神経繊維の周囲のシュワン細胞又は神経線維鞘細胞
から選択できる。「単球細胞」はマクロファージなどの
単核白血球である。
gas6変種は、例えばNeedlemanら,J.Mol.Biol.48:443
−453(1970)に記載のアルゴリズムのFitchら,PNAS(U
SA)80:1382−1386(1983)版によって決定される最大
の相同性を与えるように配列を整合させると、しばし
ば、成熟gas6をコードする翻訳されたアミノ酸配列又は
その断片に対して、少なくとも約75%(好ましくは80%
以上、より好ましくは90%以上)の配列同一性を持つだ
ろう。機能的に活性なgas6変種をスクリーニングするに
は、変種を、次に挙げる機能的活性試験/検定の1又は
それ以上にかけることができる。
(a)受容体チロシンキナーゼ活性の下方調節又は活性
化を測定する受容体活性化検定(例えばその変種がRse
受容体又はMer受容体を活性化できるかどうかを決定す
るための抗ホスホチロシン抗体によるウェスタンブロッ
ティング、本明細書の実施例3を参照のこと)。
(b)その変種のRse又はMer受容体活性化能を下記実施
例4に記述の如く決定するKIRA ELISA。
(c)その変種が細胞培養中のシュワン細胞の増殖を増
進できるかどうかを確認するシュワン細胞増殖検定。本
明細書の実施例9を参照のこと。
gas6のアミノ酸配列変種は、適当なヌクレオチド変化
をgas6DNAに導入した後、得られた修飾DNAを宿主細胞中
で発現させるか、試験管内合成法で発現させることによ
って製造できる。このような変種は、例えば、Manfiole
ttiらに記載のgas6アミノ酸配列内のアミノ酸残基の欠
失、挿入又は置換を含む。生成する変種が本明細書に記
載の所望の特長を保持する限り、欠失、挿入及び置換を
自由に組み合わせて、gas6のアミノ酸配列変種を作るこ
とができる。gas6のアミノ酸配列変種を得るためにアミ
ノ酸配列に施す変化は、例えばグリコシル化部位を導入
又は移動させるような変化のために、宿主細胞中でそれ
が発現するときにgas6のさらなる修飾をもたらすもので
あってもよい。
gas6のアミノ酸配列変種の構築には、主な変数が2つ
ある。すなわち、突然変異部位の位置と突然変異の性質
である。これらはヒトgas6アミノ酸配列からの変種であ
って、gas6の天然の対立遺伝子型であってもよいし、ga
s6DNAを突然変異させて対立遺伝子若しくは自然界に認
められない変種にすることによって作成したgas6の予定
の突然変異型であってもよい。一般に、選択した突然変
異の位置と性質は、変更しようとするgas6の特長に依存
するだろう。
例えば、ヌクレオチドコーディング配列の縮重性ゆえ
に、コードされるgas6のアミノ酸配列に影響を与えるこ
となく、ヒトgas6ヌクレオチド配列に突然変異を作成す
ることができる。Manfiolletiらに記載のアミノ酸配列
とは異なるアミノ酸配列を持つが、機能的には活性なga
s6をもたらす他の突然変異を作成することもできる。こ
のように機能的に活性なgas6のアミノ酸配列変種は、例
えば、ヒトgas6アミノ酸配列中の1又はそれ以上のアミ
ノ酸残基を、類似の若しくは異なる極性又は電荷を持つ
他のアミノ酸残基に置換することによって選択される。
有用な方法の一つは「アラニンスキャニング突然変異
導入法」と呼ばれる。この方法では、アミノ酸残基又は
標的残基群(例えばarg、asp、his、lys及びgluのよう
な荷電残基)を同定し、組換えDNA技術を用いて、それ
らを中性又は負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはア
ラニン又はポリアラニン)に置換することによって、細
胞内外の水性環境とそれらアミノ酸との相互作用に影響
を与える。Cunninghamら,Science244:1081−1085(198
9)。次に、これらの置換に対して機能的感受性を示す
ドメインを、さらなる変異又は他の変異をそれらの置換
部位に導入することによって、詳細に調べる。
したがって、アミノ酸配列変異を導入する位置は予め
決定されるが、突然変異の性質そのものを予め決定する
必要はない。例えば、ある部位における突然変異の効果
を最適化するには、標的コドン又は標的領域に対してal
aスキャニング又はランダム突然変異導入を行なって、
発現したgas6変種を上述のように機能的活性についてス
クリーニングする。
アミノ酸配列の欠失は一般に約1残基から30残基、よ
り好ましくは約1残基から10残基の範囲であり、通常は
連続的である。例えば、他のチロシンキナーゼ受容体リ
ガンドと実質的に相同な領域からの欠失は、gas6の機能
的活性に影響を与える可能性が高い。一般に、連続的欠
失の数は、変異を施したドメインにおけるgas6の三次構
造(例えばβ−プリーツシート又はα−ヘリックス)が
保存されるように選択されるだろう。好ましい欠失変異
体としては、gas6のAドメイン内の1又はそれ以上のグ
ルタミン酸残基(すなわち図2に示すgas6のAドメイン
中のE残基)を欠くものや、Aドメイン全体を欠くもの
が挙げられる。gas6の好ましい欠失変異体は、gas6のD
ドメイン若しくはそのGドメインの一つである。
アミノ酸配列挿入には、1アミノ酸残基から100残基
以上を含有するポリペプチドまでにわたる長さのアミノ
−及び/又はカルボキシル−末端融合と、1アミノ酸残
基又は複数アミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。配列
内挿入(すなわち、ヒトgas6アミノ酸配列内に施した挿
入)は、一般的には約1〜10残基、より好ましくは1〜
5、最も好ましくは1〜3の範囲であろう。末端挿入の
例としては、N−末端メチオニル残基を持つgas6(これ
は組換え細胞培養におけるgas6の直接発現によって生じ
うる)や、gas6の組換え宿主細胞からの分泌を改善する
ために異種N−末端シグナル配列を持つgas6が挙げられ
る。その他の挿入としては、PCT公開番号WO89/02922(1
989年4月16日公開)に記述されているように、gas6の
N−又はC−末端に対する免疫原性ポリペプチド(例え
ば大腸菌trp遺伝子座によってコードされる酵素やβ−
ラクタマーゼのような細菌性ポリペプチド又は酵母タン
パク質)の融合や、長い半減期を持つタンパク質(免疫
グロブリン定常領域、アルブミン又はフェリチンなど)
とのC−末端融合が挙げられる。
変種の第3のグループは、gas6アミノ酸配列中の少な
くとも1アミノ酸残基(好ましくは1つのみ)が除去さ
れ、そこに異なる残基が挿入されているものである。こ
のような置換を施すのに最も興味深い部位は、他のチロ
シンキナーゼ受容体リガンドと最大の相同性を持つgas6
アミノ酸配列の領域内である。これらの部位は、gas6の
機能的活性にとって重要であるかもしれない。したがっ
て、機能的活性を保持するには、これらの部位(特に、
少なくとも3つの他の等しく保存された部位の配列内に
含まれるもの)を比較的保存的に置換する。このような
保存的置換を「好ましい置換」という標題で表1に示
す。このような置換が機能的活性に変化をもたらさない
ならば、より本質的な変化(表1で「典型的置換」と呼
ぶものか、アミノ酸の種類に関して更に後述するもの)
を導入して、得られる変異gas6を機能的活性について分
析してもよい。
gas6の安定性を改善するために、gas6アミノ酸配列中
に挿入、欠失及び置換変異を作成することもできる。例
えば、トリプシン又は他のプロテアーゼ切断部位は、コ
ードされたアミノ酸配列をアルギニル残基又はリジニル
残基について調べることによって同定される。その残基
を別の残基(好ましくはグルタミンのような塩基性残基
か、セリンのような疎水性残基)で置換するか、その残
基を欠失させるか、若しくはその残基の直後にプロリル
残基を挿入すると、これらはプロテアーゼに対して不活
性になる。また、機能的活性にとって適正なgas6のコン
フォメーションを維持するのに関与しないシステイン残
基を、一般的にはセリンで置換して、その分子の酸化的
安定性を改善し、異常な架橋を防止することもできる。
gas6のアミノ酸配列変種をコードするDNAは、当該技
術分野で知られる種々の方法によって調製される。これ
らの方法には、自然界からの単離(gas6の天然アミノ酸
配列変種の場合)や、gas6の変種又は非変種型をコード
する先に調製したDNAに対する部位特異的(又はオリゴ
ヌクレオチド媒介)突然変異誘発法、PCR突然変異導入
法及びカセット突然変異導入法による調製が含まれる
が、これらに限られるわけではない。
部位特異的突然変異誘発法は、gas6DNAの置換、欠失
及び挿入変種の調製に好ましい方法である。この技術は
当該技術分野で良く知られており(例えばZollerら,Met
h.Enz.100:4668−500[1983];Zollerら,Meth.Enz.154:
329−350[1987];Carter,Meth.Enz.154:382−403[198
7];Horwitzら,Meth.Enz.185:599−611[1990]を参照
のこと)、例えば、トリプシンやT4リゾチームのアミノ
酸配列変種(これらの変種は特定の望ましい機能的性質
を持つ)を生産するために使用されている。Perryら,Sc
ience226:555−557(1984)及びCraikら,Science228:29
1−297(1985)。
簡単に述べると、gas6DNAの部位特異的突然変異導入
を行なう際には、まず、所望の突然変異をコードするオ
リゴヌクレオチドをgas6DNAの一本鎖にハイブリッド形
成させることによって、そのgas6DNAを改変する。ハイ
ブリッド形成の後、ハイブリッド形成したそのオリゴヌ
クレオチドをプライマーとし、gas6DNAの一本鎖を鋳型
として、DNAポリメラーゼを用いて完全な第2鎖を合成
する。したがって、得られる二本鎖DNAには、所望の突
然変異をコードする上記オリゴヌクレオチドが組込まれ
る。
PCR突然変異導入法も、gas6のアミノ酸配列変種を作
成するのに適している。Higuchi,PCR Protocols,177−1
83頁(Academic Press,1990)とValletteら,Nuc.Acids
Res.17:723−733(1989)を参照のこと。簡単に述べる
と、少量の鋳型DNAをPCRの出発物質として使用する場合
は、鋳型DNA中の対応する領域と配列がわずかに異なる
プライマーを使用することによって、そのプライマーと
その鋳型の相違点のみが鋳型配列とは異なる特定のDNA
断片を比較的大量に作成することができる。
変種を調製するもう1つの方法、すなわちカセット突
然変異導入法は、Wellら,Gene34:315−323(1985)に記
述された技術に基づく。出発物質は、変異させようとす
るgas6DNAを含有するプラスミド(又は他のベクター)
である。変異させようとするgas6DNA中のコドンを同定
する。同定した突然変異部位の両側には、ユニークな制
限エンドヌクレアーゼ部位がなければならない。そのよ
うな制限部位が存在しない場合は、それらをgas6DNA中
の適当な位置に導入するための上記オリゴヌクレオチド
媒介突然変異法を用いて、それらを作成することができ
る。このプラスミドDNAをこれらの部位で切断して、そ
れを直鎖化する。上記制限部位間のDNA配列をコードす
るが、所望の突然変異を含有する二本鎖オリゴヌクレオ
チドは、そのオリゴヌクレオチドの2つの鎖を別個に合
成した後、それらを標準的な技術で互いにハイブリッド
形成させるという標準的手法で、合成される。この二本
鎖オリゴヌクレオチドはカセットと呼ばれる。このカセ
ットは、直鎖化した上記プラスミドの末端と適合する
5′及び3′末端を持つように設計されるので、そのプ
ラスミドに直接連結することができる。これによって、
このプラスミドは突然変異したgas6DNA配列を含有する
ようになる。
gas6分子の共有結合的修飾も、本発明の範囲に包含さ
れる。例えば、共有結合的修飾は、gas6の標的アミノ酸
残基を、選択したアミノ酸側鎖又はN−若しくはC−末
端残基と反応しうる有機誘導体化試薬と反応させること
によって、gas6中に導入される。
システイニル残基は、クロロ酢酸やクロロアセタミド
のようなα−ハロ酢酸(及び対応するアミン)と反応さ
せて、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘
導体を得るのが、最も一般的である。システイニル残基
の誘導体化は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロ
モ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロア
セチルリン酸、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−
2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスル
フィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロ
メルクリ−4−ニトロフェノール又はクロロ−7−ニト
ロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によ
っても行われる。
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0で、ジエチルピロカー
ボネートとの反応によって誘導体化される。この試薬は
ヒスチジル側鎖に比較的特異的だからである。臭化p−
ブロモフェナシルも有用であり、その反応はpH6.0の0.1
Mカコジル酸ナトリウム中で行なうことが好ましい。
リジニル残基とアミノ末端残基は、コハク酸無水物又
は他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの試薬に
よる誘導体化は、リジニル残基の電荷を反転させるとい
う効果を持つ。α−アミノ含有残基の誘導体化に適した
他の試薬としては、ピコリンイミド酸メチルのようなイ
ミドエステル、ピリドキサルリン酸、ピリドキサル、ク
ロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O
−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオン及びグリオキ
シレートとのトランスアミナーゼ触媒反応が挙げられ
る。
アルギニル残基は1又は数種の従来試薬との反応によ
って修飾され、それら試薬としては、とりわけ、フェニ
ルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキ
サンジオン及びニンヒドリンが挙げられる。グアニジン
官能基はpKaが高いので、アルギニン残基を誘導体化す
るには、その反応をアルカリ条件下で行なう必要があ
る。また、これらの試薬は、リジンの基及びアルギニン
のε−アミノ基とも反応できる。
チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化
合物又はテトラニトロメタンとの反応によって、チロシ
ル残基にスペクトル的標識を導入するという特別な目的
をもって行なうことができる。最も一般的には、N−ア
セチルイミジゾールとテトラニトロメタンを用いて、そ
れぞれO−アセチルチロシル種と3−ニトロ誘導体を得
る。ラジオイムノアッセイに用いる標識タンパク質を調
製するには、125I又は131Iを用いてチロシル残基をヨウ
素化する。上述のクロラミンT法が好適である。
カルボキシル側鎖(アルパルチル又はグルタミル)
は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4
−エチル)カルボジイミドや1−エチル−3−(4−ア
ゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなど
のカルボジイミド(R′−N=C=N−R′;ここにR
とR′は異なるアルキル基を表す)との反応によって、
選択的に修飾される。また、アルパルチル残基とグルタ
ミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によって、ア
スパラギニル残基とグルタミニル残基に変換される。
二官能性試薬による誘導体化は、gas6を診断及び/又
は治療用の水不溶性支持基盤又は表面に架橋するのに有
用である。一般的に使用される架橋剤としては、例えば
1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、
グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステル(例えば4−アジド−サリチル酸とのエステ
ル)、ホモ二官能性イミドエステル(3,3′−ジチオビ
ス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスク
シンイミジルエステルを含む)及び二官能性マレイミド
(ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなど)が挙げ
られる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチ
オ]プロピオイミデートのような誘導体化剤は、光の存
在下に架橋を形成できる光活性化中間体を与える。ま
た、米国特許第3,969,287号、同3,691,016号、同4,195,
128号、同4,247,642号、同4,229,537号、同4,330,440号
に記載の臭化シアン活性化炭水化物のような反応性水不
溶基盤とその反応性基質も、タンパク質の固定化に使用
される。
グルタミニル残基とアスパラギニル残基は、しばし
ば、対応するグルタミル残基とアルパルチル残基に、そ
れぞれ脱アミド化される。また、これらの残基は温和な
酸性条件下に脱アミド化される。これら残基のどちらの
形態も本発明の範囲に含まれる。
その他の修飾としては、プロリンとリジンのヒドロキ
シル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基の
リン酸化、リジン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα
−アミノ基のメチル化、N−末端アミンのアセチル化、
C−末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。Crei
ghton,Proteins:Structure and Molecular Properties,
79−86(W.H.Freman & C.,1983)。gas6は、米国特許
第4,179,337号、同4,301,144号、同4,496,689号、同4,6
40,835号、同4,670,417号又は同4,791,192号に記載の方
法で、非タンパク質性ポリマー(例えばポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレン
など)にも共有結合される。
好ましいgas6は「ヒトにおいて非免疫原性」のもので
ある。これは、医薬的に許容できる担体中の治療的有効
量のそのポリペプチドを、ヒトの適当な組織と接触させ
たときに、適当な潜伏期間(例えば8〜14日)後にその
ポリペプチドを再び投与しても、そのポリペプチドに対
する刺激反応状態や抵抗状態が明示されないことを意味
する。
好ましいgas6変種は、本質的に「γカルボキシル化」
されていないもの、若しくはその分子の内在性供給源
(例えば血清)に由来する「天然」gas6や、gas6のγカ
ルボキシル化を促進する(例えばビタミンKが培養培地
に存在する)条件下に培養された組換え細胞によって生
産される天然gas6よりも、カルボキシル化の程度が少な
いものである。ビタミンKはカルボキシラーゼ酵素の補
因子である。天然gas6のAドメインは数個のグルタミン
酸残基を持ち、それらは通常、γカルボキシル化される
(上記Manfiolettiらを参照のこと)。したがって、gas
6の非γ−カルボキシル化変種gas6を作成する便利な方
法は、天然gas6のAドメインのE残基(図2参照)の1
又はそれ以上を欠くgas6変種若しくはこのドメインを欠
く他のgas6断片を作成することである。γカルボキシル
化の程度は、アミノ酸配列分析か、実施例11に記載の塩
化バリウム検定法によって測定できる。
「gas6拮抗薬」又は「拮抗薬(アンタゴニスト)」
は、gas6の機能的活性に対抗又は干渉する物質を意味す
る。gas6拮抗薬の例としては、中和抗体、Rse−IgG、Rs
e細胞外ドメイン(Rse ECD)、Axl−IgG、Axl ECD、Mer
−IgG及びMer ECDが挙げられる。
「抗体」という用語は最も広義に使用され、特に、単
一の抗gas6モノクローナル抗体(作用薬抗体及び拮抗薬
抗体を含む)と、ポリエピトープ特異性を持つ抗gas6抗
体組成物を包含する。
本明細書で使用する「モノクローナル抗体」という用
語は、実質上均一な抗体の集団(すなわちその集団を構
成する個々の抗体は、微量に存在すると考えられる天然
の突然変異以外は、同一である)から得られる抗体を意
味する。モノクローナル抗体は高度に特異的で、単一の
抗原部位を指向する。また、通常は異なる決定基(エピ
トープ)を指向する異なる抗体を含む従来の(ポリクロ
ーナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナルは
その抗原上の単一の決定基を指向する。
抗gas6抗体の可変ドメイン(超可変ドメインを含む)
を定常ドメインと接合することによって(例えば「擬人
化」抗体)、若しくは軽鎖を重鎖と接合することによっ
て、若しくはある種に由来する鎖を別の種に由来する鎖
と接合することによって生産されるハイブリッド及び組
換え抗体、若しくは異種タンパク質との融合物、並びに
抗体断片(例えばFab、F(ab′)及びFv)も、起源
の種や免疫グロブリンクラス又はサブクラス名にかかわ
らず、それらが所望の生物学的活性を示す限り、本明細
書におけるモノクローナル抗体に含まれる(例えば、米
国特許第4,816,567号とMage及びLamoyi,Monoclonal Ant
ibody Production Techniques and Applications,79−9
7頁(Marcel Dekker,Inc.,ニューヨーク[1987])を参
照のこと)。
したがって、「モノクローナル」という修飾詞は、そ
の抗体が実質上均一な抗体集団から得られるという特徴
を示すのであって、特定の方法によるその抗体の生産を
必要とするのだと解釈してはならない。例えば、本発明
に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler及び
Milstein,Nature256:495(1975)に初めて記述されたハ
イブリドーマ法で作成してもよいし、組換えDNA法(米
国特許第4,816,567号)によって作成してもよい。「モ
ノクローナル抗体」は、例えばMcCaffertyら,Nature34
8:552−554(1990)に記載の技術を用いて作成されるフ
ァージライブラリーから単離することもできる。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の「擬人化」型は、非ヒ
ト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する特殊な
キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそれらの
断片(例えばFv、Fab、Fab′、F(ab′)若しくは抗
体の他の抗原結合性部分配列)である。擬人化抗体の大
部分はヒト免疫グロブリン(受容抗体)であって、その
受容抗体の相補性決定領域(CDR)が、所望の特異性、
親和性及び容量を持つマウス、ラット、ヤギなどのヒト
以外の種のCDR(供与抗体)に由来する残基で置換され
ている。ある場合は、ヒト免疫グロブリンのFv枠組み構
造領域(FR)残基が対応する非ヒト残基で置換される。
また、擬人化抗体は、受容抗体にも、輸入されるCDR又
は枠組み構造配列にも存在しない残基を含んでもよい。
これらの修飾は、抗体の性能をさらに精密にし、最適化
するために施される。一般に、擬人化抗体は、少なくと
も1つ、通常は2つの可変ドメイン(このうち、CDR領
域の全て又は実質上全てが非ヒト免疫グロブリンの当該
領域に対応し、FR領域の全て又は実質上全てがヒト免疫
グロブリン共通配列の当該領域である)の実質上すべて
を含有するだろう。最適な擬人化抗体は、免疫グロブリ
ン定常領域(Fc)(通常はヒト免疫グロブリンの当該領
域)の少なくとも一部をも含有するだろう。
本明細書で用いる「中和抗体」という用語は、gas6に
特異的に結合でき、かつ、gas6の機能的活性を生体内及
び/又は試験管内で本質的に阻害又は排除できる抗体を
意味する。典型的には、中和抗体は、例えばKIRA ELISA
(下記実施例4を参照のこと)によって決定されるgas6
の機能的活性を少なくとも約50%、好ましくは80%以上
阻害するだろう。
gas6に対するポリクローナル抗体は、gas6とアジュバ
ントを皮下又は腹腔内に複数回注射することによって、
動物中に生じる。gas6やそのペプチド断片を、免疫しよ
うとする種において免疫原性を持つ担体タンパク質(キ
ーホールリムペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウ
シチログロブリン、大豆トリプシン阻害因子など)に、
二官能性試薬又は誘導体化試薬、例えばマレイミドベン
ゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基
を介する結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジ
ン残基を介する結合)、グルタルアルデヒド、コハク酸
無水物、SOCl2又はR1N=C=NR(RとR1は異なるアルキ
ル基を表す)などを用いて、結合することも有益であろ
う。
動物は、上記gas6−担体タンパク質複合体を用いて、
複合体1mg又は1μg(それぞれウサギ又はラットの場
合)を3体積のフロインド完全アジュバントと混合し、
その溶液を皮内の複数箇所に注射することによって免疫
される。1ヶ月後、最初の複合体量の1/5〜1/10量をフ
ロインド完全アジュバントに混合して、それを複数個所
に皮下注射することによって、動物を追加抗原刺激す
る。7〜14日後に動物から採血し、その血清を抗gas6抗
体力価について検定する。抗体力価が平坦になるまで、
動物に追加抗原刺激する。好ましくは、同じgas6の異な
る担体タンパク質との複合体及び/又は異なる架橋剤に
よる複合体を注射することによって、動物を追加抗原刺
激する。gas6の複合体と適当な担体タンパク質は、組換
え細胞培養中で融合タンパク質として生産することもで
きる。また、免疫応答を増進するには、明礬のような凝
集剤が用いられる。
gas6に対するモノクローナル抗体は、培養中の連続的
継代細胞系によって抗体を生産する任意の方法を用いて
生産される。モノクローナル抗体を生産するのに適した
方法の例としては、Kohlerら,Nature256:495−497(197
5)の最初のハイブリドーマ法や、ヒトB細胞ハイブリ
ドーマ法(Kozbor,J.,Immunol.133:3001(1984);Brode
urら,Monoclonal Antibody Production Techniques and
Applications,51−63(Marcel Dekker,Inc.,ニューヨ
ーク,1987))が挙げられる。
非ヒト抗体を擬人化する方法は、当該技術分野で良く
知られている。一般に、擬人化抗体は、ヒト以外の供給
源から導入された1又はそれ以上のアミノ酸残基を含
む。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「輸入
(import)」残基と呼ばれ、通常は「輸入」可変ドメイ
ンに由来する。擬人化は当該技術分野で知られる方法
(Jonesら,Nature,321:522−525[1986];Riechmannら,
Nature,332:323−327[1988];Verhoeyenら,Science23
9:1534−1536[1988])に従って、齧歯動物の相補性決
定領域(CDR)でヒト抗体の対応する領域を置換するこ
とによって、行なうことができる。
別法として、現在では、免疫化した時に、内因性免疫
グロブリンを生産することなく、ヒト抗体のすべて(fu
ll repertoire)を生産することのできる形質転換動物
(例えばマウス)を作出することもできる。例えば、キ
メラ及び生殖細胞系突然変異マウスにおける抗体重鎖結
合領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失は、内因性抗体生産
の完全な阻害をもたらすことが既に記述されている。こ
の生殖細胞系突然変異マウスにヒト生殖細胞系免疫グロ
ブリン遺伝子アレイを移入すると、抗原投与時にヒト抗
体の生産が起こるだろう。例えば、Jakobovitsら,PNAS9
0:2551−2555(1993);Jakobovitsら,Nature362:255−2
58(1993);Bruggermannら,Year in Immuno.7:33(199
3)を参照のこと。ヒト抗体は、ファージ−ディスプレ
ーライブラリーで生産することもできる。Hoogenboom
ら,J.Mol.Biol.227:381(1991)及びMarksら,J.Mol.Bio
l.222:581(1991)。
「イムノアドヘシン(immunoadhesin)」という用語
は、「gas6−免疫グロブリンキメラ」(「gas6−I
g」)、「Rse−免疫グロブリンキメラ」(「Rse−I
g」)及び「Mer−免疫グロブリンキメラ」(「Mer−I
g」)という表現と交換可能で、機能的に活性なgas6
(例えばそのDドメイン)、Rse又はMer(例えばそれら
のECD)が免疫グロブリン配列と結合しているキメラ分
子を意味する。その免疫グロブリン配列は免疫グロブリ
ン定常ドメインであることが好ましいが、必ずしもそう
でなくてもよい。本発明キメラの免疫グロブリン部分
は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4サブタイプ、IgA、IgE、
IgD又はIgMから得ることができるが、IgG1又はIgG3が好
ましい。
適当な免疫グロブリン定常ドメイン配列に結合したタ
ンパク質配列(例えばRse又はMer受容体ECD)から構築
されるキメラ(イムノアドヘシン)は当該技術分野で知
られている。文献に報告されたイムノアドヘシンには、
T細胞受容体(Gascoigneら,PNAS(USA)84:2936−2940
[1987])、CD4(Caponら,Nature337:525−531[198
9];Trauneckerら,Nature339:68−70[1989];Zettmeis
slら,DNA Cell Biol.USA9:347−353[1990];Byrnら,Na
ture344:667−670[1990])、L−セレクチン(Watson
ら,J.Cell.Biol.110:2221−2229[1990];Watsonら,Nat
ure349:164−167[1991])、CD44(Aruffoら,Cell61:1
303−1313[1990])、CD28及びB7(Linsleyら,J.Exp.M
ed.173:721−730[1991])、CTLA−4(Lisleyら,J.Ex
p.Med.174:561−569[1991])、CD22(Stamenkovicら,
Cell66:1133−1144[1991])及びTNF受容体(Ashkenaz
iら,PNAS(USA)88:10535−10539[1991])の融合物が
含まれる。
最も単純で最も簡単なイムノアドヘシン設計では、
「アドヘシン(adhesin)」タンパク質の機能的に活性
な領域を、免疫グロブリン重鎖のヒンジ及びFc領域に結
合する。本発明のgas6−、Mer−又はRse−免疫グロブリ
ンキメラを製造する場合、通常は、Rse又はMer受容体の
細胞外ドメイン若しくはgas6(又はその断片)をコード
する核酸を、免疫グロブリン定常ドメインのN−末端を
コードする核酸にC−末端融合するが、N−末端融合も
可能である。
通常、上記融合物では、コードされるキメラポリペプ
チドが、少なくとも免疫グロブリン重鎖の機能的に活性
なヒンジ、CH2及びCH3ドメインを保持するだろう。融合
は、定常ドメインのFc部分のC−末端、若しくは重鎖の
CH1又は軽鎖の対応する領域のすぐN−末端側に対して
も行われる。
融合を行なう正確な位置は重大な問題ではない。特定
の部位は良く知られており、Rse−、Mer−又はgas6−免
疫グロブリンキメラの生物学的活性、分泌又は結合特性
を最適化するために選択することができる。
いくつかの態様では、本質的にWO91/08298に記述され
ているように、Rse−、Mer−又はgas6−免疫グロブリン
キメラが単量体、ヘテロ−又はホモ−多量体(特に二量
体又は四量体)に会合する。
好ましい態様として、gas6配列、Rse又はMer受容体細
胞外ドメイン配列を免疫グロブリンG1(IgG1)のFcドメ
インのN−末端に融合する。全重鎖定常領域をgas6、Me
r又はRse受容体配列に融合することもできるが、より好
ましくは、IgG Fcを化学的に規定するパパイン切断部位
(すなわち、重鎖定常領域の最初の残基を114として、
残基216)又は他の免疫グロブリンの類似の部位のすぐ
上流のヒンジ領域中に始まる配列を融合物に用いる。特
に好ましい態様として、Rse又はMer受容体又はgas6アミ
ノ酸配列を、IgG1、IgG2又はIgG3重鎖の(a)ヒンジ領
域とCH2及びCH3、若しくは(b)CH1、ヒンジ、CH2及び
CH3ドメインに融合する。融合を行なう正確な部位を重
大な問題ではなく、日常的な実験で最適な部位を決定す
ることができる。
いくつかの態様では、Rse−、Mer−又はgas6−免疫グ
ロブリンキメラが多量体(特にホモ二量体又は四量体)
に会合する。一般に、これらの会合免疫グロブリンは、
既知の単位構造を持つだろう。基本的な四鎖構造単位
は、IgG、IgD及びIgEがとる形態である。より高分子量
の免疫グロブリンでは四鎖単位が繰り返される。IgMは
一般に、ジスルフィド結合で互いに結合した四基本単位
の五量体として存在する。IgAグロブリンと、時にはIgG
グロブリンも、血清中で多量体型で存在する。多量体の
場合は、四単位のそれぞれが同じ場合もあるし、異なる
場合もある。
また、Rse、Mer又はgas6配列を、キメラ重鎖を含有す
る免疫グロブリンが得られるように、免疫グロブリンの
重鎖配列と軽鎖配列の間に挿入してもよい。この態様で
は、Rse、Mer又はgas6配列を、免疫グロブリンの各アー
ム中の免疫グロブリン重鎖の3′末端に、ヒンジとCH2
ドメインの間か、CH2ドメインとCH3ドメインの間で融合
する。同様の構築は、Hoogenboomら,Mol.Immunol.28:10
27−1037(1991)に報告されている。
免疫グロブリン軽鎖の存在は本発明のイムノアドヘシ
ンには必要でないが、免疫グロブリン軽鎖が、Rse、Mer
又はgas6−免疫グロブリン重鎖融合ポリペプチドに共有
結合して存在するか、Rse又はMer受容体又はgas6に直接
融合して存在するかもしれない。前者の場合は、通常、
免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、Rse−、Mer−
又はgas6−免疫グロブリン重鎖融合タンパク質をコード
するDNAと同時に発現させる。分泌時に、重鎖と軽鎖は
共有結合して、ジスルフィド結合した2つの免疫グロブ
リン重鎖−軽鎖対を含む免疫グロブリン様構造をとるだ
ろう。このような構造の調製に適した方法は、例えば米
国特許第4,816,567号に開示されている。
好ましい態様では、本発明イムノアドヘシンの構築に
使用する免疫グロブリン配列がIgG免疫グロブリン重鎖
定常ドメインに由来する。ヒトイムノアドヘシンについ
ては、ヒトIgG1及びIgG3免疫グロブリン配列の使用が好
ましい。IgG1を用いる主な利点は、IgG1イムノアドヘシ
ンを固定化プロテインAで効率よく精製できるというこ
とである。これに対して、IgG3の精製にはプロテインG
が必要であり、これはかなり汎用性の低い媒体である。
しかし、特定の免疫アドヘシン構築についてIg融合パー
トナーを選択する際には、免疫グロブリンの他の構造的
特徴と機能的特徴も考慮すべきである。例えば、IgG3
ンジはかなり長く、柔軟なので、IgG1に融合すると正し
く折りたたまないか、正しく機能しないかもしれない大
きな「アドヘシン」ドメインを適合させることもでき
る。考慮すべきもう1つの問題は結合価だろう。IgG免
疫グロブリンは二価のホモ二量体であるが、IgAやIgMの
ようなIgサブタイプは、基本Igホモ二量体単位のそれぞ
れ二量体又は五量体を生じうる。生体内で応用するため
に設計されるRse−、Mer−又はgas6−イムノアドヘシン
については、Fc領域によって特定されるエフェクター機
能と薬物動力学的性質も重要である。IgG1、IgG2及びIg
G4は、いずれも21日間の生体内半減期を持つが、補体系
を活性化する時のそれらの相対効力は異なる。IgG4は補
体を活性化せず、IgG2は補体活性化がIgG1よりかなり弱
い。また、IgG1とは異なり、IgG2は単核細胞又は好中球
上のFc受容体に結合しない。IgG3は補体活性化には最適
であるが、その生体内半減期は他のIgGイソタイプの3
分の1程度である。ヒトの治療薬として使用するために
設計されるイムノアドヘシンにとって重要なもう1つの
問題は、特定のイソタイプのアロタイプ変種の数であ
る。一般に、血清学的に定義されるアロタイプが少ない
IgGイソタイプほど好ましい。例えば、IgG1は血清学的
に定義されるアロタイプ部位を4つしか持たず、そのう
ちの2つ(G1m及び2)がFc領域に位置する。これらの
部位のうちの一つ(G1m1)は非免疫原性である。これに
対して、IgG3には血清学的に定義されるアロタイプが12
あって、これらは全てFc領域内にあり、非免疫原性のア
ロタイプを持つのは、これらの部位のうちの3つ(G3m
5、11及び12)に過ぎない。したがって、γ3イムノア
ドヘシンの潜在的免疫原性は、γ1イムノアドヘシンよ
り大きい。
gas6、Mer及びRseイムノアドヘシンを構築する最も便
利な方法は、gas6、Mer又はRse部分をコードするcDNA配
列を、Ig cDNA配列に、枠を合わせて(in frame)融合
することである。しかし、ゲノムIg断片への融合も使用
できる(例えばGascoigneら,上記;Aruffoら,Cell61:13
03−1313[1990];Stamenkovicら,Cell66:1133−1144
[1991]を参照のこと)。後者のタイプの融合物は、発
現にIg調節配列の存在を必要とする。IgG重鎖定常領域
をコードするcDNAは、脾臓又は末梢血液リンパ球由来の
cDNAライブラリーから、公表された配列に基づいて、ハ
イブリッド形成又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術
で単離することができる。「アドヘシン」をコードする
cDNAとイムノアドヘシンのIg部分をコードするcDNAを、
選択した宿主細胞内で効率のよい発現を指令するプラス
ミドベクターに、縦一列に挿入する。哺乳動物細胞内で
の発現には、pRK5系ベクター(Schallら,Cell61:361−3
70[1990])とCDM8系ベクター(Seed,Nature329:840
[1989])が有用である。正確な接合部は、計画した接
合コドン間の余分な配列を、オリゴヌクレオチド特異的
欠失突然変異導入法(Zoller及びSmith,Nucleic Acids
Res.10:6487[1982];Caponら,Nature337:525−531[19
89])で除去することによって作成できる。各半分が所
望の接合部の両側の配列に相補的な合成オリゴヌクレオ
チドを用いることができる。理想的には、これらは36〜
48マーである。別法として、PCR技術を用いて、この分
子の2つの部分を適当なベクターに枠を合わせて結合さ
せることもできる。
イムノアドヘシン発現用の宿主細胞の選択は、主とし
て発現ベクターに依存する。考慮すべきもう1つの問題
は、必要とされるタンパク質量である。ミリグラム量
は、しばしば、一過性トランスフェクションによって生
産できる。例えば、アデノウイルスEIA形質転換293ヒト
胚腎臓細胞系は、リン酸カルシウム法の変法によって、
pRK−5系ベクターで一時的にトランスフェクションさ
れて、十分なイムノアドヘシンを発現させる。CDM8系ベ
クターは、DEAE−デキストラン法によるCOS細胞のトラ
ンスフェクションに使用できる(Aruffoら,Cell61:1303
−1313[1990];Zettmeisslら,DNA Cell Biol.(US)9:
347−353[1990])。より大量のタンパク質を望むので
あれば、宿主細胞系の安定なトランスフェクション後
に、イムノアドヘシンを発現させることができる。例え
ば、pRK5系ベクターは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DH
FR)をコードしG418に対する耐性を付与する追加プラス
ミドと共に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞
に導入できる。G418耐性クローンを培養から選択でき
る。これらのクローンを、DHFR阻害因子メトトレキセー
トのレベルを増大させつつ生育し、DHFR配列とイムノア
ドヘシン配列をコードする遺伝子コピーの数が同時に増
幅するクローンを選択する。イムノアドヘシンが疎水性
のリーダー配列をそのN−末端に含有するならば、それ
はトランスフェクションされた細胞によってプロセシン
グされ、分泌されるかもしれない。より複雑な構造を持
つイムノアドヘシンの発現には、特に適合させた宿主細
胞が必要かもしれない。例えば、軽鎖やJ鎖のような成
分は、ある種の骨髄腫又はハイブリドーマ宿主細胞によ
って供給されうる(Gascoigneら,上記;Martinら,J.Vir
ol.67:3561−3568[1993])。
イムノアドヘシンは、アフィニティークロマトグラフ
ィーによって便利に精製できる。アフィニティーリガン
ドとしてプロテインAが適当であるかどうかは、そのキ
メラに使用される免疫グロブリンFcドメインのイソタイ
プと種に依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2又
はγ4重鎖に基づくイムノアドヘシンの精製に使用でき
る(Lindmarkら,J.Immunol.Meth.62:1−13[1983])。
プロテインGは、全てのマウスイソタイプとヒトγ3に
推奨される(Gussら,EMBOJ.5:15671575[1986])。ア
フィニティーリガンドを結合させる基盤は、たいていア
ガロースであるが、他の基盤も利用できる。制御多孔質
ガラス(controlled pore glass)やポリ(スチレンジ
ビニル)ベンゼンのように機械的に安定な基盤を使用す
れば、アガロースの場合よりも速い流速と短い処理時間
が可能になる。プロテインA又はGアフィニティーカラ
ムにイムノアドヘシンを結合させる条件は、もっぱら、
そのFcドメインの特徴(つまりその種とイソタイプ)に
よって決まる。一般に、適切なリガンドを選択すれば、
無調節の培養液から直接的に、効率の良い結合が起こ
る。イムノアドヘシンのきわだった特徴の一つは、ヒト
γ1分子の場合、プロテインAに関する結合能が、同じ
Fcタイプの抗体よりもいくらか減少するということであ
る。結合したイムノアドヘシンは、酸性pH(3.0か、そ
れ以上)か、温和なカオトロピック塩を含有する中性pH
緩衝液で、効率よく溶出させることができる。このアフ
ィニティークロマトグラフィー操作によって、>95%純
粋なイムノアドヘシン調製物を得ることができる。
本明細書で使用する「Rse細胞外ドメイン」又は「Rse
ECD」という表現は、Rse受容体の細胞外ドメインのリ
ガンド結合機能を分担するポリペプチド配列を意味す
る。「リガンド結合機能」とは、gas6のようなRseリガ
ンドを結合するそのポリペプチドの能力を意味する。し
たがって、必ずしも全細胞外ドメインを含む必要がない
ことも多い。より小さい断片でもリガンド結合には十分
であることが一般に認められるからである。ECDという
用語は、Rse受容体の細胞質ドメインと疎水性膜貫通配
列(さらに膜貫通ドメインのアミノ末端側の1〜20アミ
ノ酸を含んでもよい)が欠失しているポリペプチド配列
を包含する。一般に、Rse受容体のECDは、Markら(上
記)に開示されている成熟Rse受容体のほぼ1から428ま
でのアミノ酸残基を含む。
本明細書で使用する「Mer細胞外ドメイン」又は「Mer
ECD」という表現は、Mer受容体の細胞外ドメインのリ
ガンド結合機能を分担するポリペプチド配列を意味す
る。「リガンド結合機能」とは、gas6のようなMerリガ
ンドを結合するそのポリペプチドの能力を意味する。し
たがって、必ずしも全細胞外ドメインを含む必要はな
い。より小さい断片でもリガンド結合には十分であるこ
とが一般に認められるからである。ECDという用語は、M
er受容体の細胞質ドメインと疎水性膜貫通配列(さらに
膜貫通ドメインのアミノ末端側の1〜20アミノ酸を含ん
でもよい)が欠失しているポリペプチド配列を包含す
る。一般に、Mer受容体のECDは、GenBankデータベース
(受入番号U08023)に開示されている成熟ヒトMer受容
体のほぼ1から499までのアミノ酸残基を含む。
本明細書で使用する「エピトープ標識(した)」とい
う用語は、「標識(tag)ポリペプチド」に融合した機
能的に活性なgas6を含むキメラポリペプチドを意味す
る。その標識ポリペプチドは、それに対する抗体を作り
うるエピトープを提供するに足るだけの残基を持つと共
に、gas6の機能的活性を妨害しない程度に短い。また、
標識ポリペプチドは、それに対する抗体が他のエピトー
プと実質的に交差反応しないように、かなり独特(ユニ
ーク)であることが好ましい。好適な標識ポリペプチド
は一般に少なくとも6アミノ酸残基を持ち、通常は約8
〜50アミノ酸残基(好ましくは約9〜30残基)である。
エピトープ標識は一般にgas6のアミノ末端かカルボキシ
ル末端で分析される。このようなエピトープ標識型のga
s6が望ましい。その存在を、その標識ポリペプチドに対
する標識(labeled)抗体を用いることによって検出で
きるからである。また、エピトープ標識を与えると、抗
標識抗体を用いるアフィニティー精製によって、そのga
s6を容易に精製できるようにもなる。
標識ポリペプチドとその抗体は当該技術分野で良く知
られている。その例としては、flu HA標識ポリペプチド
とその抗体12CA5(Fieldら,Mol.Cell.Biol.8:2159−216
5[1988]);c−myc標識とそれに対する8F9、3C7、6E1
0、G4、B7及び9E10抗体(Evanら,Molecular and Cellul
ar Biology5(12):3610−3616[1985]);単純疱疹ウ
イルス糖タンパク質D(gD)標識及びその抗体(Pabors
kyら,Protein Engineering3(6):547−553[1990])
が挙げられる。他の標識ポリペプチドも開示されてい
る。フラッグ(Flag)−ペプチド(Hoppら,Bio Technol
ogy6:1204−1210[1988])、KT3エピトープペプチド
(Martinら,Science255:192−194[1992])、α−チュ
ーブリンエピトープペプチド(Skinnerら,J.Biol.Chem.
266:15163−15166[1991])及びT7遺伝子10タンパク質
ペプチド標識(Lutz−Freyermuthら,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA87:6393−6397[1990])などがその例である。標
識ポリペプチドを選択したら、それに対する抗体は、本
明細書に開示する技術で生成させることができる。
gas6−標識ポリペプチド融合物の最も便利な構築法
は、gas6部分をコードするcDNA配列を標識ポリペプチド
DNAに枠を合わせて融合し、得られたDNA融合構築物を適
当な宿主細胞で発現させることである。本発明のgas6−
標識ポリペプチドキメラを製造する際には、通常は、ga
s6(又はその断片)をコードする核酸を、その3′末端
で、標識ポリペプチドのN−末端をコードする核酸に融
合するが、5′融合も可能である。
エピトープ標識gas6は、抗標識抗体を用いるアフィニ
ティークロマトグラフィーによって便利に精製できる。
このアフィニティー抗体を結合する基盤は、ほとんどの
場合、アガロースであるが、他の基盤も利用できる[例
えば制御多孔質ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベン
ゼン]。エピトープ標識gas6は、例えば緩衝液のpHやイ
オン強度を変えたり、カオトロピック試薬を加えること
などによって、アフィニティーカラムから溶出させるこ
とができる。
「外因性」化合物とは、その化合物で処置される細胞
及び/又は哺乳動物にとって外来性である化合物、若し
くはその細胞又は哺乳動物中に認められる化合物に相同
ではあるが、その細胞又は哺乳動物の外部で生産された
ものを意味するものとする。
本明細書に開示する種々のタンパク質の説明に「単離
(された)」という表現を使用する場合、それは、同定
され、かつ、その自然環境の一成分から分離及び/又は
回収されているタンパク質を意味する。その自然環境の
汚染成分とは、そのタンパク質の診断的又は治療的使用
を妨害する物質であり、酵素、ホルモンその他のタンパ
ク質性溶質若しくは非タンパク質性溶質などが含まれ
る。好ましい態様では、タンパク質を、(1)スピンニ
ングカップシークエネーターを用いて、N−末端アミノ
酸配列又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得る
ことができる程度に精製するか、(2)クーマシーブル
ーか、好ましくは銀染色を用いて、非還元条件又は還元
条件下にSDS−PAGEで均一になるまで精製する。
「本質的に純粋な」タンパク質とは、その組成物の全
重量に対して少なくとも約99重量%、好ましくは少なく
とも約95%のタンパク質を含有する組成物を意味する。
「本質的に均一な」タンパク質とは、その組成物の全重
量に対して少なくとも約90重量%のタンパク質を含有す
る組成物を意味する。
哺乳類「Rse受容体」又は「Rse受容体プロテインチロ
シンキナーゼ」(すなわち「rPTK」)は、Markら,J.Bio
l.Chem.269:10720(1994)に記述されている。本願で使
用する場合、「Rse受容体」という表現は、興味ある細
胞中に存在する内因性Rse受容体と、例えば細胞がRse受
容体をコードする核酸で形質転換されているために、そ
の細胞中に存在するRse受容体とを意味する。したがっ
て、Rse受容体は、「機能的に活性」である(すなわ
ち、gas6のようなRseリガンドで活性化されうる)限
り、Markらが記述した天然Rse受容体の一つのアミノ酸
変種又は共有結合的変種(covalent variant)であって
もよい。好ましいRse受容体は、ヒト細胞の細胞膜に存
在する内因性ヒトRse受容体である。
「Rse受容体を活性化する」という表現は、Rse受容体
の細胞内キナーゼドメインに基質ポリペプチド中のチロ
シン残基をリン酸化させる操作を意味する。そのチロシ
ン残基は、そのRse受容体に固有のものであることも多
い(すなわち、「基質」にはRse受容体の細胞内ドメイ
ンも含まれる)。したがって、活性化の程度は、Rse受
容体「自己リン酸化」と相関する。Rse受容体自己リン
酸化は、抗ホスホチロシン抗体を用いるウェスタンブロ
ッティング(実施例3参照)か、KIRA ELISA(実施例4
参照)によって検出できる。しかし、Rse受容体の活性
化は、Rse受容体以外の基質のリン酸化とも相関しうる
(例えばそのRse受容体の近傍に存在するチロシンキナ
ーゼ)。これは、その基質のチロシンリン酸化を(例え
ばウェスタンブロッティングで)測定することによって
検出できる。
哺乳類「Mer受容体」は、Grahamら,Cell Growth Diff
er.5:647(1994)(正しいヒトMer配列についてはGenBa
nkデータベース受入番号U08023を参照のこと)とGraham
ら,Oncogene10(12):2349−2359(1995)に記述されて
いる。本願で使用する場合、「Mer受容体」という表現
は、興味ある細胞中に存在する内因性Mer受容体と、例
えば細胞がMer受容体をコードする核酸で形質転換され
ているために、その細胞中に存在するMer受容体とを意
味する。好ましいMer受容体は、ヒト細胞中に存在する
内因性ヒトMer受容体である。
「Mer受容体を活性化する」という表現は、Mer受容体
の細胞内キナーゼドメインに基質ポリペプチド中のチロ
シン残基をリン酸化させる操作を意味する。そのチロシ
ン残基は、そのMer受容体に固有のものであることも多
い(すなわち、「基質」にはMer受容体の細胞内ドメイ
ンも含まれる)。したがって、活性化の程度は、Mer受
容体「自己リン酸化」と相関する。Mer受容体自己リン
酸化は、抗ホスホチロシン抗体を用いるウェスタンブロ
ッティングか、KIRA ELISA(下記参照)によって検出で
きる。しかし、Mer受容体の活性化は、Mer受容体以外の
基質のリン酸化とも相関しうる(例えばそのMer受容体
の近傍に存在するチロシンキナーゼ)。これは、その基
質のチロシンリン酸化を(例えばウェスタンブロッティ
ングで)測定することによって検出できる。
「細胞の生存を増進する」という表現は、試験管内又
は生体内における細胞の存在期間を、gas6にさらしてい
ない無処置の細胞よりも増大させる作用を意味する。
「細胞の増殖を増進する」という表現は、試験管内又
は生体内におけるその細胞の成長及び/又は再生の程度
を、無処置の細胞よりも増大させる操作を包含する。細
胞培養中の細胞増殖の増大は、gas6にさらす前とgas6に
さらした後に、細胞数を数えることによって検出できる
(本明細書の実施例9を参照のこと)。増殖の程度は、
集密(コンフルエンシー)の程度を顕微鏡で調べること
によって、定量化できる。細胞増殖は、その細胞による
3H取り込みを測定することによっても定量化できる。
「細胞の分化を増進する」とは、もとの細胞とは異な
る特徴又は機能を1つ以上獲得又は保持する程度(すな
わち細胞分化)を増大させる作用をいう。これは、その
細胞の表現型の変化についてスクリーニングする(例え
ばその細胞の形態変化を同定する;下記実施例9参照)
ことによって検出できる。
「生理学的に許容できる」担体、賦形剤又は安定化剤
とは、それらにさらされる細胞又は哺乳動物にとって、
使用する用量及び濃度で毒性を示さない物をいう。生理
学的に許容できる担体はpH緩衝水溶液であることが多
い。生理学的に許容できる担体の例としては、リン酸、
クエン酸その他の有機酸などといった緩衝剤;アスコル
ビン酸などの抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポ
リペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリ
ンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水
性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ア
ルギニン又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マン
ノース、デキストリンなどを含む単糖類、二糖類その他
の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールや
ソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのよう
な塩形成対イオン;及び/又はTween、Pluronic又はポ
リエチレングリコール(PEG)のような非イオン界面活
性剤が挙げられる。
「処理(処理、治療)する」、「処置(処理、治
療)」及び「治療(療法)」という用語は、治療、予防
及び防止を意味する。
「哺乳動物」という用語は、哺乳類に分類される任意
の哺乳動物を意味し、ヒト、牛、馬、犬及び猫などが含
まれる。本発明の好ましい態様では、その哺乳動物はヒ
トである。
「制御配列」という表現は、特定の宿主生物における
作動可能に連結したコーディング配列の発現に必要なDN
A配列を意味する。原核生物に適した制御配列には、例
えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、リボソ
ーム結合部位、あるいはまだよくわかっていないその他
の配列が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリア
デニル化シグナル及びエンハンサーを使用することが知
られている。
核酸がもう1つの核酸配列と機能的な関係に置かれる
とき、その核酸は「作動可能に連結(operably linke
d)」されるという。例えば、プレ配列又は分泌リーダ
ーのDNAは、それがあるポリペプチドの分泌に関与する
プレタンパク質として発現するならば、そのポリペプチ
ドのDNAに作動可能に連結しており、プロモーターやエ
ンハンサーは、それがあるコーディング配列の転写に影
響を与えるならば、そのコーディング配列に作動可能に
連結しており、また、リボソーム結合部位は、それが翻
訳を促進するように位置するならば、コーディング配列
に作動可能に連結している。一般に、「作動可能に連
結」とは、連結されるDNA配列が連続的であり、分泌リ
ーダーの場合は、連続的かつ解読相が一致していること
を意味する。しかし、エンハンサーは連続していなくて
もよい。連結(linking)は、便利な制限部位でのライ
ゲーション(連結)によって達成される。そのような部
位が存在しない場合は、従来通り、合成オリゴヌクレオ
チドアダプター又はリンカーを使用する。
2.gas6生産 天然gas6又はgas6変種の生産に適した技術は当該技術
分野で良く知られており、このポリペプチドの内在性供
給源(例えば血清)からのgas6の単離、ペプチド合成
(ペプチド合成装置によるもの)及び組換え技術(又は
これら技術の組み合わせ)が含まれる。天然gas6又はga
s6変種の生産に好ましい技術は、組換え技術である。好
ましいgas6変種は、本質的にγカルボキシル化されてい
ないものである。これは、いくつかの方法で達成できる
が、最も便利な方法では、通常はγカルボキシル化され
る天然gas6のAドメイン中のグルタミン酸残基の1又は
それ以上を欠く分子を作成する。任意に、全Aドメイン
を酵素的切断によって天然分子から除去してもよいが、
通常は、所望の断片(例えばそのDドメイン又はGドメ
イン)をコードする核酸分子を単離するだろう。この核
酸分子は天然のgas6核酸から得ることができる。
天然gas6をコードする核酸は、そのポリペプチドmRNA
を保持し、かつ、それを検出できるレベルで発現させる
と考えられる組織(例えば脳組織;下記実施例6参照)
から調製したcDNAライブラリーから単離することができ
る。ライブラリーは、gas6遺伝子又はそれによってコー
ドされるタンパク質を同定するために設計されたプロー
ブ(抗体や約20〜80塩基のオリゴヌクレオチドなど)を
用いてスクリーニングされる。選択したプローブによる
cDNAライブラリー又はゲノムライブラリーのスクリーニ
ングは、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory
Manual(ニューヨーク:Cold Spring Harbor Press,198
9)の10〜12章に記述されているような標準的手法で行
なうことができる。
野生型核酸の改変によってgas6突然変異体を作成する
技術については上述した。天然gas6又はgas6変種をコー
ドする核酸(例えばcDNAやゲノムDNA)を、さらなるク
ローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能
ベクターに挿入する。多くのベクターを利用できる。ベ
クター成分は一般に、次に挙げる成分の1又はそれ以上
を含むが、これらに限られるわけではない:シグナル配
列、複製起点、1又はそれ以上のマーカー遺伝子、エン
ハンサー要素、プロモーター及び転写終結配列。
gas6ポリペプチドは、シグナル配列若しくは成熟タン
パク質又はポリペプチドのN−末端に特異的切断部位を
持つ他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとして生産
できる。一般に、シグナル配列は、そのベクターの一成
分であってもよいし、そのベクターに挿入するDNAの一
部であってもよい。その宿主細胞によって認識されプロ
セシングされる(すなわちシグナルペプチダーゼによっ
て切断される)異種シグナル配列を選択することが好ま
しい。原核宿主細胞の場合は、そのシグナル配列を、例
えばアルカリ性ホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp
又は熱安定性エンテロトキシンIIリーダーからなる群よ
り選択される原核シグナル配列で置換することができ
る。酵母分泌の場合は、天然のシグナル配列を、例えば
酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(サッカ
ロミセスのα因子リーダー及びKluyveromycesのα因子
リーダー(これは1991年4月23日発行の米国特許第5,01
0,182号に記載されている)を含む)、酸性ホスファタ
ーゼリーダー、C.alabicansグルコアミラーゼリーダー
(1990年4月4日に公開されたEP362,179)、又は1990
年11月15日に公開されたWO90/13646に記載のシグナルな
どに置換することができる。哺乳類細胞発現の場合は、
天然のgas6シグナル配列でも十分であるが、他の哺乳類
シグナル配列やウイルス分泌リーダー(例えばヘルペス
シンプレックスgDシグナル)も好適でありうる。このよ
うな前駆体領域のDNAは、天然gas6/gas6変種をコードす
るDNAに読み枠を合わせて連結される。
発現ベクターとクローニングベクターは共に、選択し
た1又はそれ以上の宿主細胞におけるそのベクターの複
製を可能にする核酸配列を含有する。一般にクローニン
グベクターでは、この配列は、そのベクターをその宿主
染色体DNAとは独立に複製させるものであり、複製起点
又は自律的に複製する配列を含む。そのような配列は種
々の細菌、酵母及びウイルスについて良く知られてい
る。プラスミドpBR322由来の複製起点はほとんどのグラ
ム陰性菌に適し、2μプラスミド起点は酵母に適し、種
々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイル
ス、VSV又はBPV)は哺乳類細胞中のクローニングベクタ
ーに有用である。一般に、複製起点成分は哺乳類発現ベ
クターには必要ない(通常はSV40起点が使用されるが、
それはSV40起点が初期プロモーターを含有するからに過
ぎない)。
発現ベクターとクローニングベクターは、選択遺伝子
(選択可能マーカーとも呼ばれる)を含有すべきであ
る。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質その他の毒
素(例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセ
ート、テトラサイクリンなど)に対する耐性を付与する
タンパク質、(b)自主栄養欠損を補うタンパク質、若
しくは(c)複合培地からは利用できない不安定な(cr
itical)栄養分を供給するタンパク質(例えばバチルス
用のD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)をコ
ードする。選択法の一例では、宿主細胞の成長を阻止す
る薬物を使用する。異種遺伝子で首尾よく形質転換され
た細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産するの
で、この選択法を生き延びることができる。このような
優勢選択の例では、薬物ネオマイシン(Southernら,J.M
olec.Appl.Genet.1:327[1982])、ミコフェノール酸
(Mulliganら,Science209:1422[1980])又はハイグロ
マイシン(Sugdenら,Mol.Cell.Biol.5:410−413[198
5])を使用する。上記3種類の例では、真核制御下に
ある細菌遺伝子を用いて、適当な薬物(それぞれG418若
しくはネオマイシン(ゲネチシン)、xgpt(ミコフェノ
ール酸)又はハイグロマイシン)に対する耐性を伝達す
る。
哺乳類細胞に適した選択可能マーカーのもう1つの例
は、gas6核酸を取り込む能力を持つ細胞の同定を可能に
するもの(DHFRやチミジンキナーゼなど)である。哺乳
類細胞形質転換体を、その形質転換体のみが(上記マー
カーを取り込んでいるために)唯一順応して生存できる
選択圧下に置く。選択剤の濃度が連続的に変化する条件
下で形質転換体を培養することによって選択圧をかける
と、選択遺伝子とgas6変種をコードするDNAの両方が増
幅する。増幅したDNAから増大した量のgas6が合成され
る。増幅可能遺伝子のその他の例としては、メタロチオ
ネイン−I及び−II(好ましくは霊長類メタロチオネイ
ン遺伝子)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカ
ルボキシラーゼなどが挙げられる。
例えば、まず、形質転換体のすべてをDHFRの競争的拮
抗薬であるメトトレキセート(Mtx)の入った培養培地
で培養することによって、DHFR選択遺伝子で形質転換さ
れた細胞を同定する。野生型DHFRを使用する場合に適当
な宿主細胞は、Urlaub及びChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA77:4216(1980)に記述されているように調製、増殖
される、DHFR活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣
(CHO)細胞系である。次に、形質転換された細胞を、
さらに高レベルのメトトレキセートにさらす。これはDH
FR遺伝子の多重コピーの合成をもたらすと共に、発現ベ
クターを構成する他のDNA(gas6をコードするDNAなど)
の多重コピーの合成をももたらす。例えばMtxに高度に
耐性な突然変異DHFR遺伝子を使用する場合(EP117,06
0)は、内因性DHFRが存在しても、この増幅技術を、そ
の他の点では好適な宿主(例えばATCC No.CCL61 CHO−K
1)に使用することができる。
また、gas6、野生型DHFRタンパク質及びもう1つの選
択可能マーカー(アミノグリコシド3′−ホスホトラン
スフェラーゼ(APH)など)をコードするDNA配列で形質
転換又は同時形質転換された宿主細胞(特に内因性DHFR
を含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生物質
(例えばカナマイシン、ネオマイシン又はG418)のよう
な選択可能マーカー用の選択剤を含有する培地での細胞
成長によって選択できる。米国特許第4,965,199号を参
照のこと。
酵母での使用に適した選択遺伝子は、酵母プラスミド
YRp7中に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら,Nat
ure282:39[1979];Kingsmanら,Gene7:141[1979];又
はTschemperら,Gene10:157[1980])。trp1遺伝子は、
トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の突然変異
株(例えばATCC No.44076又はPEP4−1(Jones,Genetic
s85:12[1977])に選択マーカーを提供する。酵母宿主
細胞ゲノムにおけるtrp1損傷の存在は、トリプトファン
不在下での成長によって形質転換を検出するのに効果的
な環境を提供する。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,6
22又は38,626)は、Leu2遺伝子を保持する既知のプラス
ミドによって補完される。
また、1.6μm環状プラスミドpKD1に由来するベクタ
ーは、Kluyveromyces酵母の形質転換に使用できる。Bia
nchiら,Curr.Genet.12:185(1987)。さらに最近になっ
て、組換えウシキモシンの大規模生産用の発現系がK.la
ctisについて報告されている。Van den Berg,Bio/Techn
ology8:135(1990)。Kluyveromycesの工業用株による
成熟組換えヒト血清アルブミン分泌用の安定なマルチコ
ピー発現ベクターも開示されている。Fleerら,Bio/Tech
nology9:968−975(1991)。
発現ベクターとクローニングベクターは、通常、その
宿主生物によって認識され、かつ、gas6核酸に作動可能
に連結されるプロモーターを含有する。種々の潜在的宿
主細胞に認識される多数のプロモーターが、良く知られ
ている。これらのプロモーターは、その供給源DNAから
制限酵素消化によってそのプロモーターを取り出し、そ
の単離したプロモーター配列をベクター中に挿入するこ
とによって、gas6をコードするDNAに作動可能に連結さ
れる。
原核宿主での使用に適したプロモーターとしては、β
−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系(Chang
ら,Nature275:615[1978];Goeddelら,Nature281:544
[1979])、アルカリ性ホスファターゼ、トリプトファ
ン(trp)プロモーター系(Goeddel,Nucleic Acids Re
s.8:4057[1980]及びEP36,776)及びtacプロモーター
などのハイブリッドプロモーター(deBoerら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.80:21−25[1983])が挙げられる。ただ
し、他の既知の細菌プロモーターも好適である。これら
のヌクレオチド配列は公表されているので、その配列を
利用すれば、当業者は、リンカーやアダプターを用いて
必要な制限部位を供給することによって、gas6をコード
するDNAにそれらを作動可能に連結することができる(S
iebenlistら,Cell20:269[1980])。細菌系で使用する
プロモーターは、gas6をコードするDNAに作動可能に連
結したシャイン・ダルガノ(S.D.)配列をも含有するだ
ろう。
真核生物用のプロモーター配列も知られている。基本
的に全ての真核遺伝子は、転写が開始する部位から約25
〜30塩基上流に、高AT含有領域を持つ。多くの遺伝子の
転写開始点から70〜80塩基上流に認められるもう1つの
配列はCXCAAT領域(Xはどのヌクレオチドでもよい)で
ある。ほとんどの真核遺伝子の3′末端にはAATAAA配列
があり、この配列はコーディング配列の3′末端にポリ
Aテイルを加えるためのシグナルであろう。これらの配
列はすべて、真核発現ベクターへの挿入に適している。
酵母宿主での使用に適した促進配列の例としては、3
−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら,J.Biol.Ch
em.255:2073[1980])や他の解糖系酵素(Hessら,J.Ad
v.Enzyme Reg.7:149[1968]及びHolland,Biochemistry
17:4900[1978])(例えばエノラーゼ、グリセルアル
デヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナー
ゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキ
ナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホ
スホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリ
オースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラ
ーゼ及びグルコキナーゼなど)のプロモーターが挙げら
れる。
生育条件によって転写を制御できるという付加的な利
点を有する誘導性プロモーターであるその他の酵母プロ
モーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチト
クロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関係する
分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3
−リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトースとガラクト
ースの資化をもたらす酵素のプロモーター領域である。
酵母発現での使用に適したベクターとプロモーターは、
Hitzmanら,EP73,657Aに、さらに記述されている。酵母
エンハンサーも酵母プロモーターと共に使用すると有利
である。
哺乳類宿主細胞におけるベクターからのgas6転写は、
例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7
月5日公開のUK2,211,504)、アデノウイルス(アデノ
ウイルス2など)、ウシ乳頭腫ウイルス、鳥類肉腫ウイ
ルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝
炎ウイルス、最も好ましくはシミアンウイルス40(SV4
0)などのウイルスのゲノムから得られるプロモータ
ー、アクチンプロモーターや免疫グロブリンプロモータ
ーなどの異種哺乳類プロモーターから得られるプロモー
ター、又は熱ショックプロモーターから得られるプロモ
ーターなどによって制御される。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウ
イルス複製起点をも含むSV40制限断片として便利に得ら
れる。Fiersら,Nature273:113(1978);Mulligan及びBe
rg,Science209:1422−1427(1980);Palvakisら,Proc.N
atl.Acad.Sci.USA78:7398−7402(1981)。ヒトサイト
メガロウイルスの即時型初期プロモーターは、Hind III
制限断片として便利に得られる。Greenaway,Gene18:355
−360(1982)。ウシ乳頭腫ウイルスをベクターにして
哺乳類宿主中でDNAを発現させるための系は、米国特許
第4,419,446号に開示されている。この系の変法は、米
国特許第4,601,978号に記述されている。免疫インター
フェロンをコードするcDNAのサル細胞での発現に関する
Grayら,Nature295:503−508(1982);単純疱疹ウイル
ス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下におけ
るヒトβ−インターフェロンcDNAのマウス細胞での発現
に関するReyesら,Nature297:598−601(1982);培養マ
ウス及びウサギ細胞におけるヒトインターフェロンβ1
の発現に関するCanaaci及びBerg,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA79:5166−5170(1982);ラウス肉腫ウイルス長末端
反復をプロモーターとして利用する、CV−1サル腎臓細
胞、ニワトリ胚繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵
巣細胞、HeLa細胞及びNIH−3T3細胞での細菌CAT配列の
発現に関するGormanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA79:6777
−6781(1982)をも参照のこと。
高等真核生物によるgas6をコードするDNAの転写は、
しばしば、そのベクターにエンハンサー配列を挿入する
ことによって増やされる。エンハンサーは方向と位置に
は比較的無関係であり、転写単位の5′側(Laimins,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA78:993[1981])及び3′側(Lu
skyら,Mol.Cell.Biol.3:1108[1983」)、イントロン内
(Banerjiら,Cell33:729[1983])並びにコーディング
配列自体の中(Osborneら,Mol.Cell.Bio.4:1293[198
4])に見つかっている。現在では、哺乳類遺伝子(グ
ロビン、エステラーゼ、アルブミン、α−フェトプロテ
イン及びインスリン)に由来する多くのエンハンサー配
列が知られているが、通常は、真核細胞ウイルス由来の
エンハンサーが使用されるだろう。複製起点の後期側
(bp100−270)にあるSV40エンハンサー、サイトメガロ
ウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後
期側にあるポリオーマエンハンサー及びアデノウイルス
エンハンサーなどがその例である。真核プロモーター活
性化用の増強要素についてはYaniv,Nature297:17−18
(1982)をも参照のこと。エンハンサーをベクターに接
合する場合は、gas6をコードする配列に対して5′に接
合してもよいし、3′側に接合してもよいが、エンハン
サーがプロモーターの5′側に位置することが好まし
い。
真核宿主細胞(酵母、カビ、昆虫、植物、動物、ヒト
又は他の多細胞生物に由来する有核細胞)で使用する発
現ベクターは、転写の終結に必要な配列とmRNAの安定化
に必要な配列をも含有するだろう。そのような配列は、
一般に、真核細胞又はウイルスのDNA又はcDNAの5′非
翻訳領域と、時には3′非翻訳領域から入手できる。こ
れらの領域は、ポリアデニル化された断片としてgas6を
コードするmRNAの非翻訳部分に転写されるヌクレオチド
区域を含有する。
上に挙げた成分の1又はそれ以上を含有する好適なベ
クターの構築には、標準的な連結技術を使用する。単離
したプラスミド又はDNA断片を切断し、加工し、望まし
い形に再連結することにより、必要なプラスミドを作成
する。
構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための
分析には、連結(ライゲーション)混合物を用いて大腸
菌K12 294株(ATCC31,446)を形質転換し、妥当ならば
アンピシリン又はテトラサイクリン耐性によって、成功
した形質転換体を選択する。その形質転換体のプラスミ
ドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化によって分析
し、かつ/または、Messingら,Nucleic Acids Res.9:30
9(1981)の方法若しくはMaxamら,Methods in Enzymolo
gy65:499(1980)の方法で配列決定する。
gas6をコードするDNAの哺乳類細胞における一過性発
現を提供する発現ベクターは、本発明の実施に特に有用
である。一般に、一過性発現では宿主細胞内で効率よく
複製できる発現ベクターを使用するので、宿主細胞はそ
の発現ベクターのコピーを数多く蓄積し、次いで、その
発現ベクターによってコードされる所望のポリペプチド
を高レベルに合成することになる。上記Sambrookら,16.
17−16.22頁。適当な発現ベクターと宿主細胞からなる
一過性発現系は、クローン化したDNAによってコードさ
れるポリペプチドの便利な陽性同定と、所望の結合特異
性/親和性を持つgas6変種の迅速なスクリーニングを可
能にする。
組換え脊椎動物細胞培養におけるgas6の合成に適合す
る他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら,Natu
re293:620−625(1981);Manteiら,Nature281:40−46
(1979);Levinsonら,EP117,060;及びEP117,058に記述
されている。gas6の哺乳類細胞培養発現に特に有用なプ
ラスミドは、pRK5(EP307,247)又はpSV16B(1991年6
月13日公開のPCT公開番号WO91/08291)である。
gas6発現用の宿主細胞系の選択は、主として発現ベク
ターに依存する。本質的にγカルボキシル化されていな
いgas6変種を作成したい場合は、γカルボキシラーゼ酵
素を持たない宿主細胞を選択することが望ましいだろ
う。このことは、gas6をコードする核酸がそのAドメイ
ンをもコードする場合には、特にそうである。この目的
に有用な宿主は非哺乳類細胞(例えばこの酵素を欠くこ
とが知られている原核細胞)であることが多い。また、
この酵素を欠損させた哺乳類細胞系を使用することもで
きる。
本明細書に記載のベクターのクローニング又は発現に
適した宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞又は上述の高等
真核細胞である。この目的に適した原核生物としては、
グラム陰性生物やグラム陽性生物などのユーバクテリ
ア、例えば腸内細菌(例:大腸菌などのエシェリヒア、
エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロ
テウス、サルモネラ(ネズミチフス菌など)、セラチア
(Serratia marcescansなど)、シガエラなど)、バチ
ルス(例えば枯草菌、B.licheniformis(1989年4月12
日公開のDD266,710に開示されているB.licheniformis 4
1Pなど))、シュードモナス(緑膿菌など)及びストレ
プトミセスなどが挙げられる。好ましい大腸菌クローニ
ング宿主の一つは大腸菌294(ATCC31,446)であるが、
大腸菌Bや大腸菌X1776(ATCC31,537)、大腸菌W3110
(ATCC27,325)などといったその他の株も好適である。
これらの例は限定的なものではなく、単なる例示であ
る。W3110株は、組換えDNA産物醗酵用の一般的な宿主株
であるので、特に好ましい宿主又は親宿主である。好ま
しくは、宿主細胞が分泌するタンパク質加水分解酵素は
極小量でなければならない。例えば、W3110株を改変し
て、タンパク質をコードする遺伝子中の遺伝的突然変異
をもたらしてもよい。そのような宿主の例としては、大
腸菌W3110 27C7株がある。27C7の完全な遺伝子型はtonA
Δptr3phoAΔE15Δ(argF−lac)169ompTΔdegP41kanr
である。27C7株は、American Type Culture Collection
に、ATCC No.55,244として、1991年10月30日に寄託され
た。また、米国特許第4,946,783号(1990年8月7日発
行)に記載の突然変異周辺腔プロテアーゼを持つ大腸菌
株も使用できる。また、PCRその他の核酸ポリメラーゼ
反応のようなクローニング法も好適である。
原核生物に加えて、糸状菌や酵母のような真核微生物
も、gas6−をコードするベクターに適したクローニング
宿主又は発現宿主である。サッカロミセス・セレビシェ
又は一般的なパン酵母は、下等真核宿主微生物の中でも
最も一般的に使用される。しかし、次に挙げるようない
くつかの他の属、種及び株も一般に利用でき、本発明に
有用である:Schizosaccharomyces pombe(Beach及びNur
se,Nature290:140[1981];1985年5月2日公開のEP13
9,383);Kluyveromyces宿主(米国特許第4,943,529号;F
leerら,上記)、例えばK.lactis(MW98−8C、CBS683、
CBS4574;Louvencourtら,J.Bacteriol.,737[1983])、
K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaricus(ATCC16,04
5)、K.wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,
500)、K.drosophilarum(ATCC36,906;Van den Berg
ら,上記)、K.thermotolerans及びK.marxianus:yarrow
ia(EP402,226);Pichia pastoris(EP183,070:Sreekri
shnaら,J.Basic Microbiol.28:265−278[1988]);カ
ンジダ;Trichoderma reesia(EP244,234);ニューロス
ポラ・クラッサ(Caseら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA76:52
59−5263[1979]);Schwanniomyces、例えばSchwannio
myces occidentalis(1990年10月31日公開のEP394,53
8);ニューロスポラ、ペニシリウム、Tolypocladium
(1991年1月10日公開のWO91/00357)、アスペルギルス
宿主(A.nidulans(Ballanceら,Biochem.Biophys,Res.C
ommun.112;284−289[1983];Tiburnら,Gene26:205−22
1[1983];Yeltonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:1470−
1474[1984])及びA.niger(Kelly及びHynes,EMBO J.
4:475−479[1985])など)などの糸状菌。
グリコシル化gas6の発現に適した宿主細胞は、多細胞
生物に由来する。このような宿主細胞は、複雑なプロセ
シング活性とグリコシル化活性を持つ。原則的に、高等
真核細胞培養は、脊椎動物培養に由来するか、無脊椎動
物培養に由来するかにかかわらず、いずれも使用でき
る。無脊椎動物細胞の例として、植物細胞と昆虫細胞が
挙げられる。数多くのバクロウイルス株とその変種並び
に対応する許容昆虫宿主細胞が、Spodoptera frugiperd
a(イモムシ)、Ades aegypti(蚊)、Aedes albopictu
s(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバ
エ)及びBombyx moriなどの宿主から同定されている。
例えばLuckowら,Bio/Technology6:47−55(1988);Mill
erら,Genetic Engineering,Setlowら編,第8巻(Plenu
m Publishing,1986),277−279頁;Maedaら,Nature315:5
92−594(1985)を参照のこと。種々のトランスフェク
ション用ウイルス株が公に入手でき(例えばAutographa
californica NPVのL−1変種やBombyx mori NPVのBm
−5株)、これらのウイルスは、本発明に従って本明細
書におけるウイルスとして(具体的にはSpodoptera fru
gipera細胞のトランスフェクションに)使用できる。
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、
トマト及びタバコの植物細胞培養も宿主として使用でき
る。典型的には、gas6 DNAを含有するように予め操作し
ておいた細菌Agrobacterium tumefaciensのある株と共
に培養することによって、植物培養をトランスフェクシ
ョンする。植物細胞培養をA.tumefaciensと共に培養す
る間に、gas6をコードするDNAが植物細胞宿主に移され
て感染し、適切な条件下にgas6 DNAを発現させることに
なる。また、ノパリン(nopalin)シンターゼプロモー
ターやポリアデニル化シグナル配列など、植物細胞に適
合する調節及びシグナル配列も利用できる。Depicker
ら,J.Mol.Appl.Gen.1:561(1982)。さらに、T−DNA78
0遺伝子の上流領域から単離されるDNA区域は、組換えDN
A含有植物組織中の植物発現可能遺伝子の転写レベルを
活性化又は増大させる能力を持つ。EP321,196(1989年
6月21日公開)。
培養(組織培養)中の脊椎動物細胞の増殖は、近年で
は、ありきたりの手法になっている(Tissue Culture,A
cademic Press,Kruse及びPatterson編[1973])。有用
な哺乳類宿主細胞系の例は、SV40で形質転換されたサル
腎臓CV−1系(COS−7,ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓系
(293細胞若しくは懸濁培養で生育するためにサブクロ
ーニングされた293細胞;Grahamら,J.Gen・Virol.36:59
[1977]);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL
10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,
Urlaub及びChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216[19
80]);マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Repro
d.23:243−251[1980]);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CC
L70);ミドリザル腎臓細胞(VERO−76,ATCC CRL−158
7);ヒト頸管癌細胞(HELA,ATCC CCL2);イヌ腎臓細
胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファローラット肝臓細胞
(BRL3A,ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL7
5);ヒト肝臓細胞(Hep G2,HB8065);マウス乳腫瘍
(MMT060562,ATCC CCL51);TR1細胞(Matherら,Annals
N.Y.Acad.Sci.383:44−68[1982]);MRC5細胞;FS4細
胞;及びヒト肝癌系(Hep G2)である。
宿主細胞を上述の本発明発現ベクター又はクローニン
グベクターでトランスフェクションし、プロモーターの
誘導、形質転換体の選択又は所望の配列をコードする遺
伝子の増幅に適した改良を施した従来の栄養培地中で培
養する。使用する宿主細胞に応じて、トランスフェクシ
ョンは、その細胞に適した標準的技術で行われる。原核
生物や強固な細胞壁障害を含有するその他の細胞には、
一般に、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理(Samb
rookら(上記)の1.82章に記載)やエレクトロポレーシ
ョンが用いられる。Agrobacterium tumefaciensによる
感染は、Shawら,Gene23:315(1983)とWO89/05859(198
9年6月29日公開)に記述されているように、ある種の
植物細胞の形質転換に使用される。また、植物細胞は、
WO91/00358(1991年1月10日公開)に記述されているよ
うに、超音波処理を用いてトランスフェクションするこ
ともできる。
そのような細胞壁を持たない哺乳類細胞には、Graham
及びvan der Eb,Virology52:456−457(1978)のリン酸
カルシウム沈降法が好ましい。哺乳類細胞宿主系形質転
換の一般的な側面は、Axelが米国特許第4,399,216号(1
983年8月16日発行)に記述している。酵母の形質転換
は、通常、Van Solingenら,J.Bact.130:946(1977)とH
siaoら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:3829(1979)の
方法に従って行われる。しかし、細胞にDNAを挿入する
その他の方法(例えば核微量注入法、エレクトロポレー
ション、無傷の細胞との細菌プロトプラスト融合、ポリ
カチオン(例えばポリブレン、ポリオルニチンなど)な
ど)も使用できる。哺乳類細胞を形質転換するための種
々の技術については、Keownら,Methods in Enzymology
(1989)、Keownら,Methods in Enzymology185:527−53
7(1990)及びMansourら,Nature336:348−352(1988)
を参照のこと。
本発明のgas6ポリペプチドの生産に使用される原核細
胞は、Sambrookら(上記)に概論されているように、適
当な培地で培養される。
本発明のgas6の生産に使用される哺乳類宿主細胞は、
種々の培地で培養することができる。ハムF10(Sigm
a)、最小必須培地([MEM],Sigma)、RPMI−1640(Si
gma)及びダルベッコ改良イーグル培地([DMEM],Sigm
a)などの市販の培地は、上記宿主細胞の培養に好適で
ある。さらに、Ham及びWallace,Meth.Enz.58:44(197
9)、Barnes及びSato,Anal.Biochem.102:255(1980)、
米国特許第4,767,704号、同4,657,866号、同4,927,762
号、同4,560,655号、WO90/03430、米国特許Re.30,985、
米国特許第5,122,469号(これらの文献の開示はすべて
参考文献として本明細書の一部を構成する)に記載の培
地はいずれも、上記宿主細胞の培養培地として使用でき
る。これらの培地にはいずれも、必要に応じて、ホルモ
ン及び/又は他の成長因子(インスリン、トランスフェ
リン又は上皮細胞増殖因子など)、塩類(塩化ナトリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩など)、緩衝
剤(HEPESなど)、ヌクレオシド(アデノシンやチミジ
ンなど)、抗生物質(ゲンタマイシン(GentamycinTM
薬など)、微量元素(通常、μM範囲の最終濃度で存在
する無機化合物と定義される)及びグルコースや等価な
エネルギー源を補足することができる。その他の必要な
添加物はいずれも、当業者が知る適切な濃度で含めるこ
とができる。
いくつかの態様では、形質転換した宿主細胞をビタミ
ンKの不在下に培養することが望ましい。これによっ
て、gas6ポリペプチドのAドメインのγカルボキシル化
を減少させることができるからである。別法として、形
質転換した宿主細胞を、ワルファリンのようなカルボキ
シラーゼ阻害剤の存在下に培養してもよい。
温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択した宿主細
胞について過去に使用されたものであり、当業者には明
らかだろう。一般に、哺乳類細胞培養の生産性を最大化
するための原理、実験手順及び実施技術は、Mammalian
Cell Biotechnology:a Practical Approach,M.Butler
編,IL Press,1991に認められる。この開示でいう宿主細
胞は、培養中の細胞と、宿主動物内にある細胞とを包含
する。
gas6は、分泌されたポリペプチドとして培養培地から
回収されることが好ましいが、宿主細胞溶解液から回収
されてもよい。
gas6をヒト由来でない組換え細胞中で生産する場合、
そのgas6は、ヒト起源のタンパク質やポリペプチドを全
く含まない。しかし、gas6に関して実質上均一な調製物
を得るには、細胞タンパク質又はポリペプチドからgas6
を精製する必要がある。第1段階として、粒状残渣(宿
主細胞又は溶解断片)を、例えば遠心分離や限外ろ過に
よって除去する(任意にタンパク質を市販のタンパク質
濃縮フィルターで濃縮してもよい)。次に、ヘパリンセ
ファロースクロマトグラフィー、イムノアフィニティー
クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー
(例えばDEAE若しくはカルボキシルメチル又はスルホプ
ロピル基を含有する基盤上で行なうもの)、ブルー−セ
ファロース、CMブルー−セファロース、MONO−Q、MONO
−S、ヒラマメ(lentil)レクチン−セファロース、WG
A−セファロース、ConA−セファロース、エーテルトヨ
パール、ブチルトヨパール、フェニルトヨパール又はプ
ロテインAセファロースでのクロマトグラフィー、SDS
−PAGEクロマトグラフィー、シリカクロマトグラフィ
ー、クロマトフォーカシング、逆相HPLC(例えば脂肪族
基を追加したシリカゲル)、例えばセファデックスモレ
キュラーシーブなどを用いるゲルろ過若しくはサイズ排
除クロマトグラフィー、gas6を選択的に結合するカラム
でのクロマトグラフィー、エタノール沈殿又は硫酸アン
モニウム沈殿から選択される1又はそれ以上の段階によ
って、gas6を他の不純物から分離する。タンパク質加水
分解を阻害するために、上述のどの段階にでもプロテア
ーゼ阻害剤を含めることができる。外来汚染物質の増加
を防ぐために、抗生物質を含めてもよい。好適なプロテ
アーゼ阻害剤の例としては、フェニルメチルスルホニル
フルオリド(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン、ア
プロチニン、4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスル
ホニルフルオリド塩酸塩−ベスタチン、キモスタチン及
びベンズアミジンが挙げられる。
残基が欠失、挿入又は置換されているgas6変種は、そ
の変異によって引き起こされる性質の実質的な変化を考
慮して、天然gas6と同じ方法で回収される。例えば、
「エピトープ標識」gas6を調製すれば、その抗原に対す
る抗体を含有するイムノアフィニティーカラムでその融
合ポリペプチドを吸着することによって、精製が容易に
なる。ウサギポリクローナル抗gas6カラムのようなイム
ノアフィニティーカラムを使用すると、少なくとも1つ
の残存免疫エピトープにそれを結合させることによっ
て、gas6変種を吸着することができる。組換え細胞培養
中で生産した時のgas6又はその変種の特徴上の変化を説
明するには、天然gas6に適した精製法が、修正を必要と
するかもしれないことは、当業者に理解されるだろう。
3.gas6に関する試験管内及び生体内利用法 本発明は、gas6を用いて、Rse受容体又はMer受容体を
活性化する方法及び/又はRse又はMer受容体を含む細胞
の生存、増殖又は分化を増進する方法を提供する。本発
明の実施に有用なgas6は、上述したいくつかの方法で調
製できる(下記実施例6をも参照のこと)。
gas6は、ヒトに由来するものであってもよいし、ヒト
以外の種に由来するものであってもよい。例えば、ある
哺乳動物を異なる哺乳類種のgas6で処置することができ
る(例えばマウスをヒトgas6で処置できる)。ネズミga
s6とヒトgas6の間にはかなりの相同性(約81%アミノ酸
同一)があるので、異なる哺乳類種由来のgas6を使用で
きると予想される。しかし、好ましくは、その哺乳動物
中でgas6が免疫原性を持つ可能性を避けるために、哺乳
動物を同一源のgas6で処置する(例えばヒトをヒトgas6
で処置する)。
本発明は、生体内及び試験管内でRse又はMer受容体を
活性化し、かつ/または、Rse又はMer受容体を含む細胞
の生存、増殖又は分化を増進する方法を包含する。通常
は、細胞をgas6ポリペプチドで処理する。しかし、当該
技術分野では遺伝子療法的アプローチも記述されてお
り、本発明はこのアプローチをも包含する。これらの技
術では、アデノウイルス、単純疱疹1ウイルス又はアデ
ノ関連ウイルス並びに脂質系送達系(例えばリポソー
ム)を用いて、細胞に遺伝子を送達する。レトロウイル
スは生体外遺伝子療法に有用である。したがって、gas6
をコードする核酸を投与することによって、その患者又
は組織培養におけるgas6ポリペプチドの発現をもたらす
ことができる。代表的な遺伝子療法技術については、WO
93/25673とそこに引用されている文献を参照のこと。
本発明の試験管内法では、Rse又はMer受容体を含む細
胞を準備し、それを細胞培養培地に入れる。Rse受容体
含有細胞の例としては、神経細胞(例えば新皮質、小脳
及び海馬のニューロンなどといった脳細胞);膠細胞
(例えばシュワン細胞や星状細胞);腎臓又は胸部由来
の細胞;卵巣又は精巣から得られる細胞;繊維芽細胞
(マウス3T3細胞など);造血系に由来する細胞(CMK11
−5など)が挙げられる。Mer受容体含有細胞の例とし
ては、末梢血液単核細胞、骨髄単核細胞、単球、一次
(primary)造血細胞、精巣、卵巣、前立腺、肺、腎
臓、脾臓、末梢血液白血球、胎盤、胸腺、小腸、結腸又
は肝臓から得られる細胞が挙げられる。gas6を用いて培
養される代表的な細胞系としては、Tリンパ球白血病細
胞系(例えばCCRF−HSB−2、ジャーカット、HPB−ALL
及びPeer);K−562細胞系;単球性白血病/リンパ腫細
胞系(U−937など);巨核芽細胞性白血病細胞系(例
えばUT−7)及びGrahamら,Cell Growth Differ.5:647
(1994)に記述されているようなMer受容体を発現する
その他の細胞系が挙げられる。
好適な組織培養培地は当業者に良く知られており、例
えば最小必須培地(MEM)、RPMI−1640、ダルベッコ改
良イーグル培地(DMEM)が挙げられるが、これらに限る
わけではない。これらの組織培養培地はSigma Chemical
Company(ミズーリ州セントルイス)とGIBCO(ニュー
ヨーク州グランドアイランド)から販売されている。次
に、細胞が有効量のgas6の存在下に生存及び成長を維持
できるような条件下に、細胞培地中で細胞を培養する。
細胞は、凝塊(clot)培養、寒天培養又は液体培養を含
む種々の方法で培養できる。
細胞は、生理学的に許容できる温度(例えば37℃)
で、有効量のgas6の存在下に培養される。gas6の量は変
えることができるが、約10ng/ml〜約1mg/mlの範囲にあ
ることが好ましい。gas6は、もちろん、当業者が過度の
実験を行なわずに実験的に決定する用量で、培養に加え
ることができる。培養中のgas6の濃度は、細胞とgas6を
培養する条件などといった種々の因子に依存する。特定
の培養温度と培養時間並びに他の培養条件は、例えばga
s6の濃度や細胞と培地の種類などといった因子に応じて
変えることができる。当業者は、過度の実験を行なうこ
となく、有効で最適な培養条件を決定できるだろう。培
養中の細胞(例えばニューロン又は単核細胞)の増殖、
分化及び/又は生存は、上述のように、当該技術分野で
知られる種々の検定法によって決定できる。
試験管内で、gas6を用いて細胞の生存、成長及び/又
は分化を増進することは、様々な点で有用であろうと考
えられる。例えば、gas6の存在下に試験管内で培養した
神経細胞を、その細胞のレベルが減少している哺乳動物
に注入することができる。別の態様として、gas6を用い
て増血細胞(単球/マクロファージなど)を生体外で培
養し、それをこれらの血液細胞のレベルが減少している
患者(例えば化学療法や放射線療法を受けた患者)に投
与することもできる。安定な試験管内培養は、細胞特異
的因子の単離や、その細胞内の内因性タンパク質若しく
はその細胞に組換え法で導入されたタンパク質の発現に
も使用できる。gas6は、細胞培養中の他の細胞(例えば
骨髄非付着細胞を支持するストロマ細胞)の成長及び/
又は分化を支持する細胞の生存、増殖及び/又は分化を
増進するためにも使用できる。この方法で、シュワン細
胞は細胞培養中のニューロンの生存を促進できる。
gas6は、シュワン細胞を生体外で生育するのに特に有
用であると考えられる。細胞特異的因子(例えばシュワ
ン細胞特異的マーカーであるP75NGFR)を単離するに
は、細胞培養中のこのような細胞集団を持つことが望ま
しい。そのような因子は診断手段として有用であり、ま
た、P75NGFRの場合は、診断用の抗体を作成するための
抗原として使用できる。また、これらの細胞に関する他
の有糸分裂促進因子と成長阻害剤の特徴づけを容易にす
るには、細胞培養中の安定なシュワン細胞集団を持つこ
とが望ましい。
本発明は、gas6の生体内使用法をも提供する。膠細胞
の増殖を促進するというgas6の能力(実施例9参照)に
基づくと、この分子は、膠細胞の喪失、損傷又は脱髄を
伴う疾患(例えば多発性硬化症)の処置に特に有用だろ
うと考えられる。
gas6は、中枢(脳及び脊髄)、末梢(交感神経、副交
感神経、知覚神経及び腸神経)及び運動ニューロンを含
む生体内のニューロンの発生、維持及び/又は再生の促
進にも有用だと考えられる。したがって、gas6は、哺乳
動物(ヒトなど)の神経系に作用する種々の「神経学的
疾患又は障害」の診断及び/又は処置法に使用できる。
上記の疾患又は障害は、例えば外傷、手術、発作、虚
血、感染、代謝性疾患、栄養不足、悪性腫瘍又は毒物に
よって神経系に損傷を受けた患者で起こりうる。薬剤
は、ニューロンの生存又は成長を促進するように設計さ
れる。例えば、gas6は、外傷や手術によって傷ついた運
動ニューロンの生存又は成長を促進するために使用でき
る。また、gas6は、運動ニューロン障害(例えば筋萎縮
性側索硬化症(ルーゲーリック病)、ベル麻痺、脊髄性
筋萎縮又は麻痺が関与する種々の状態)を治療するため
にも使用できる。gas6は、ヒトの「神経組織変性障害」
(アルツハイマー病、パーキンソン病、癲癇、多発性硬
化症、ハンチントン舞踏病、ダウン症候群、神経難聴及
びメニエール病など)の治療にも使用できる。
さらに、gas6は、神経障害(特に末梢神経障害)の治
療にも使用できる。「末梢神経障害」とは、末梢神経系
を冒す疾患をいい、ほとんどの場合、運動機能不全、知
覚機能不全、知覚運動機能不全又は自律神経機能不全の
1つ又は組み合わせとして現れる。末梢神経障害が示す
極めて多数の形態は、同じく多数の原因に、それぞれ一
つずつ帰することができる。例えば、末梢神経障害は遺
伝的に獲得されることもあるし、全身性疾患に起因する
ものあるし、毒物によって誘発される場合もある。末端
知覚運動神経障害や自律神経障害(胃腸路の自律運動性
の減少や膀胱の無緊張症など)がその例であるが、これ
らに限られるわけではない。全身性疾患に関係する神経
障害の例としては、ポリオ後症候群が挙げられる。遺伝
的神経障害の例としては、シャルコー・マリー・ツース
病、レフスム病、無β−リポ蛋白血症、タンジェール
病、クラッベ病、異染性大脳白質萎縮症、ファブリ病及
びデジェリン−ソッタス症候群が挙げられる。毒物によ
って引き起こされる神経障害の例としては、ビンクリス
チン、シスプラチン、メトトレキセート又は3'−アジド
−3'−デオキシチミジンのような化学療法剤による治療
が引き起こすものが挙げられる。
造血細胞でのRse受容体とMer受容体の発現を仮定すれ
ば、gas6は、化学療法、放射線療法若しくは骨髄移植治
療を受けた患者における成熟血液細胞系の再分布(repo
pulation)を増進するためにも使用できる。gas6は造血
細胞(例えば単球及び巨核細胞)の増殖及び/又は分化
の増進を介して作用すると考えられる。また、gas6は、
血液細胞の減少を特徴とする疾患の処置にも有用であ
る。これらの疾患の例としては、貧血(大赤血球性貧血
と無形成性貧血を含む);血小板減少症;単球減少症;
発育不全;免疫(自己免疫)性血小板溶解性紫斑(IT
P);HIV誘発性ITPが挙げられる。gas6は、これらの受容
体のいずれか、若しくは両方を発現させる組織(例えば
精巣、卵巣、前立腺、肺又は腎臓)の成長及び/又は修
復を促進するためにも使用できる。また、精巣及び卵巣
におけるMer受容体の高レベル発現を仮定すれば、gas6
は、生殖機能の改善にも使用できる。
Merが単核細胞上に発現する場合、gas6は、これらの
細胞の増殖及び/又は分化が望ましい状態の処置に使用
できる。例えば、gas6は、単球(例えばマクロファー
ジ)レベルの増大を必要とする(若しくはそれが望まれ
る)患者において、その単球レベルを増大させるために
使用できる。
別の態様として、gas6は、Mer又はRse受容体を保持す
る細胞の機能を調節するためにも使用できる。例えば、
gas6は、単球/マクロファージを活性化することが望ま
れる状況において、単球/マクロファージを活性化する
ため(例えば感染症の治療)に使用できる。
本発明のもう1つの態様として、gas6の過剰生産及び
/又はgas6によるRse又はMer受容体の過剰な活性化を特
徴とする疾患又は障害(例えば神経学的疾患又は障害)
に冒されている患者に、gas6拮抗薬(特に抗gas6抗体)
を投与することができる。gas6拮抗薬は、手術後に起こ
りうるような知覚ニューロンの異常な再生の防止や、例
えば慢性痛み症候群(chronic pain syndrome)の治療
などにおける知覚ニューロンの選択的切断に使用でき
る。gas6拮抗薬は、Rse又はMer受容体の過剰な活性化を
特徴とする単球増加症又は悪性腫瘍(リンパ性悪性腫瘍
など)の治療や、単球/マクロファージが媒介する炎症
の処置にも使用できる。
gas6とgas6拮抗薬の治療用製剤は、所望の純度を持つ
gas6又はgas6拮抗薬を医薬的に許容できる周知の担体、
賦形剤又は安定化剤と混合することによって、調製され
る。許容できる担体、賦形剤又は安定化剤は、使用する
用量と濃度でその患者にとって非毒性であり、リン酸、
クエン酸その他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン
酸などの抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペ
プチド;血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリンな
どのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポ
リマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギ
ニン、リジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノー
ス、デキストリンなどの単糖類、二糖類その他の炭水化
物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールやソルビトー
ルなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオ
ン;及び/又はTween、Pluronic、ポリエチレングリコ
ール(PEG)などの非イオン界面活性剤が挙げられる。
gas6をシラスティック膜のような膜に吸着させて、そ
れを損傷した神経組織の近傍に埋め込むか、若しくはga
s6をリポソームに組込むことも望ましいだろう。PCT公
開番号WO91/04014(1991年4月4日公開)。もう1つの
態様では、治療効果をねらって使用するgas6が、免疫グ
ロブリンドメインなようなもう1つのタンパク質に共有
結合したgas6(例えばgas6−IgG)である。
所望の治療効果を得るために、gas6を他の神経向性因
子と併用若しくは同時に投与してもよい。例えば、gas6
を、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン(neuro
trophin)(NT−3)、骨由来神経因子(bone derived
nerve factor;BDNF)、ニューロトロフィン−4及び−
5(NT−4/5)、インスリン様成長因子(IGF−1又はIG
F−2)又は他の神経向性因子と共に使用することによ
って、知覚ニューロンの成長に対する共同作用的な刺激
効果を得ることができる。ここに「共同作用的」とは、
gas6と第2物質との併用の効果が、それぞれの物質を個
別に使用して得られる効果よりも大きいことを意味す
る。
造血での使用には、gas6を1又はそれ以上のサイトカ
インと同時に投与することができる。サイトカインに含
まれるものとしては、成長ホルモン、インスリン様成長
因子、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホル
モン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシ
ン、インスリン、プロインスリン、リラキシン、プロリ
ラキシン、糖タンパク質ホルモン(胸腺刺激ホルモン
(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)及び濾胞刺激ホルモ
ン(FSH)など)、造血性増殖因子、肝増殖因子、繊維
芽細胞増殖因子、プロラクチン、胎盤ラクトゲン、腫瘍
壊死因子−α及び−β、ミュラー阻害物質(mullerian
−inhibiting substance)、マウス性腺刺激ホルモン関
連ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮増殖因
子、インテグリン、トロンボポエチン、神経成長因子
(NGF−βなど)、血小板増殖因子、トランスフォーミ
ング増殖因子(TGF)(TGF−α及びTGF−βなど)、イ
ンスリン様成長因子−I及び−II、エリスロポエチン
(EPO)、骨誘導性因子(osteoinductive factor)、イ
ンターフェロン(インターフェロン−α、−β及び−γ
など)、コロニー刺激因子(CSF)(マクロファージ−C
SF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CS
F)及び顆粒球−CSF(G−CSF)など)、インターロイ
キン(IL)(IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−
4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−1
1、IL−12など)並びにLIF、SCF及びキット−リガンド
(kit−ligand)を含むその他のポリペプチド因子があ
る。本明細書で使用する場合、上述の用語は、天然の供
給源又は組換え細胞培養から得られるタンパク質を包含
するものとする。また、この用語は、生物学的に活性な
等価物(例えばアミノ酸配列が1残基以上異なるもの又
はグリコシル化の種類又は程度が異なるものなど)をも
包含するものとする。
生体内投与に使用するgas6とgas6拮抗薬は、滅菌状態
でなければならない。これは、gas6又はgas6拮抗薬の溶
液を滅菌ろ過膜を通してろ過することによって、容易に
達成される。その後、ろ過した溶液を滅菌アクセスポー
トを持つ容器(例えば静脈内溶液バッグ又は皮下注射針
を突き刺せるストッパーを持つバイアル)に入れること
ができる。ろ過溶液を凍結乾燥して、粉末状の滅菌gas6
又はgas6拮抗薬を製造してもよい。
gas6とgas6拮抗薬を生体内に投与する方法としては、
静脈内、腹腔内、大脳内、髄腔内、筋肉内、眼内、動脈
内又は病変内経路による注射又は注入、徐放性製剤によ
る投与が挙げられる。
徐放性製剤は一般に、gas6又はgas6拮抗薬と、gas6又
はgas6拮抗薬をある期間にわたって放出する基盤とから
なる。好適な基盤としては、膜、繊維又はマイクロカプ
セルなどの成型品の形態の半透過性基盤が挙げられる。
徐放性製剤基盤は、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラ
クチド、米国特許第3,773,919号、L−グルタミン酸と
γ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、Sidman
ら,Biopolymers22:547−556(1983)、ポリ(2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート)又はエチレンビニルアセ
テート、Langerら,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1
981)及びLanger,Chem.Tech.12:98−105(1982)からな
ってもよい。
本発明の一態様では、治療用製剤が、リポソームに封
入又はリポソームと錯化したgas6又はgas6拮抗薬からな
る。例えば、グリコホスファチジルイノシトール部分に
共有結合したgas6を用いて、gas6を含むリポソームを形
成させることができる。さらなる態様では、治療用製剤
が、gas6又はgas6拮抗薬を活発に生産する細胞からな
る。このような細胞は、患者の組織に直接導入すること
もできるし、多孔性膜に封入して、それを患者に埋め込
んでもよい。いずれの場合も、gas6の濃度を増大又は減
少させる必要のあるその患者の体内の領域に、gas6又は
gas6拮抗薬が送達されることになる。別法として、gas6
DNAを含有する発現ベクターを、患者の細胞の生体内形
質転換に用いて、同じ結果を得ることもできる。
治療的に使用されるgas6又はgas6拮抗薬の有効量は、
例えば治療対象、投与経路、患者の状態などに依存する
だろう。したがって、治療専門家は、最適な治療効果を
得るために、用量を滴定し、必要に応じて投与経路を改
良する必要がある。典型的な日用量は、上述の因子によ
って、約1μg/kg〜100mg/kg又はそれ以上となるかもし
れない。可能であれば、まず、例えば当該技術分野で知
られる細胞の生存又は成長に関する検定法などを用い
て、試験管内で適正な用量範囲を決定し、次に、適当な
動物モデルで適正な用量範囲を決定することが望まし
い。人間の患者に対する用量範囲は、そこから外挿する
ことができる。本発明の特定の態様として、ニューロン
の生存又は成長を促進する効力を持つ医薬組成物は、約
0.1〜10ng/mlの生体内局所gas6濃度を与えるだろう。
さらに本発明は、Rse又はMer受容体の活性化、若しく
はRse又はMer受容体を含む細胞の生存、増殖又は分化の
増進に有用な物質を含有する製品及びキットをも提供す
る。この製品は、ラベルを貼った容器を含む。好適な容
器としては、例えば瓶、バイアル及び試験管などが挙げ
られる。容器は、ガラスやプラスチックなど種々の材料
で作ることができる。容器は、Rse又はMer受容体を活性
化し、かつ/または、問題の受容体を持つ細胞の生存、
増殖及び/又は分化を増進する効力を持つ組成物を保持
する。その組成物中の活性剤はgas6である。容器上のラ
ベルは、その組成物がRse又はMer受容体を活性化するた
め及び/又はこの受容体を持つ細胞の生存、増殖及び/
又は分化を増進するために使用されることを示すと共
に、上述のような生体内使用又は試験管内使用に関する
指示を示してもよい。
本発明のキットは、上述の容器と緩衝液を含む第2の
容器とを含む。さらに、商業的観点及び使用者の観点か
ら望ましい他の物(他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、
針、注射器及び使用説明書など)を含んでもよい。
本発明は、次の実施例を参照することによって、より
良く理解されるだろう。ただし、これらの実施例が本発
明の範囲を限定すると見なしてはならない。本明細書で
引用する全ての文献は、参考文献として本明細書の一部
を構成する。
実施例1 Rse−IgG融合タンパク質の生産 Rseリガンド(Rse−L)の供給源を同定するために、
ヒトRseの細胞外ドメインとそれに続くヒトIgGのFc部分
とを含有する融合タンパク質(Rse−IgG)をプローブと
し、フローサイトメトリーを用いて、表面結合型Rse−
Lに関して細胞をスクリーニングした(下記実施例2参
照)。ヒトRse(Markら,Journal of Biological Chemis
try269(14):10720−10728[1994])の細胞外ドメイ
ン(アミノ酸1−428)をコードする配列を、BstE IIリ
ンカー(アミノ酸ValとThrを付加する)を介して、ヒト
IgGγ1のアミノ酸216−443に融合することにより、Rse
−IgGを構築した。上記リンカーは、次のプライマーを
用いるPCRによってRse配列に加えた: Rse−IgGをコードするcDNAをSV40系発現ベクターに移
し、エレクトロポレーション(250ボルト,960μF)に
よってDHFR-CHO細胞に導入した。DHFR+細胞を選択し、
各クローンにおけるRse−IgG発現を、ヒトFc特異的ELIS
Aを用いて測定した。Rse−IgGをプロテインA−セファ
ロースカラム(Pharmacia)で精製した。
実施例2 結合分析 Rse−IgGを用いる蛍光活性化細胞選別(FACS)分析
を、Goodwinら,Cell73:447(1993)に記述されているよ
うに行なった。巨核細胞性白血病系CMK11−5細胞(Ada
chiら,Exp.Hematol.19:923[1991])は、Rse−IgGを特
異的に結合したが、同じFcドメインを含有する対照融合
タンパク質[例えばHGFr−IgG(Markら,J.Biol.Chem.26
7:26166[1992])やCD4−IgG(Caponら,Nature337:525
[1989])]を結合しなかった。Rse−IgGの結合は、Ca
2+の添加によって増大し、2mM EDTAによる処理で完全に
破壊された。
次に、125I−Rse−IgGの推定細胞表面結合型Rse−L
との相互作用を特徴づけるために、試験管内結合検定法
を確立した。CMK11−5細胞を10mM TrisCl,pH7.5中に懸
濁し、氷上に10分間置いた後、超音波処理とせん断を併
用して溶解し、遠心分離によって全膜を集め、50mM Tri
sCl,pH7.5、20%グリセロール中、−80℃で保存した。
0.1〜0.12mlの総体積中で、200,000細胞に相当する膜
を、ウシ胎児血清(FBS)又はカラム画分、競争剤及び
125I−Rse−IgGと混合した。室温で30分間インキュベー
トした後、1mlの氷冷検定緩衝液を各チューブに加え
た。次に、膜に結合した放射活性を遠心分離(15000gで
4分間)によって集め、上清液を吸引することによって
未結合の放射活性から分離し、γカウンターでカウント
した。検定緩衝液は、50mM TrisCl、0.05%Tween−20、
0.1%BSA、5mM CaCl2とした。
フローサイトメトリー分析は血清の存在下で行なった
ので、膜結合検定におけるFBSの効果を決定した。結合
は、FBS濃度に完全に依存することがわかった:FBSの不
在下では置換しうる結合は認められず、0.58%FBSで半
最大結合が観測された(図3A)。
結合はCa2+依存性でもあった:半最大結合は0.18mM C
a2+で得られた(図3B)。Rse−IgGに関する見かけ上の
結合部位はFBSの濃度に依存したが、親和性は大きくは
変化しなかった[1%FBSでKdが0.82nMであるのに対し
て、10%FBSで2.2nM](図3C)。結合は特異的であっ
た:他の組換えIgG融合タンパク質(CD4−IgGなど)
は、結合に関して125I−Rse−IgGと競争しなかった。
実施例3 エピトープ標識Rse受容体及びその活性化 Rse−Lをさらに特徴づけるために、単純疱疹ウイル
スタイプI(HSV−1)C−末端糖タンパク質D(gD)
標識(flag)(Paborskyら,Protein Engineering3
(6):547−553[1990])を持つタイプのRse受容体を
発現させるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を
作成した。
合成二本鎖オリゴヌクレオチドを用いて、ヒトRseの
C−末端の10アミノ酸(880−890)に関するコーディン
グ配列を再構成し、抗体5B6(Paborksyら,上記)に対
するgDエピトープを含有する追加の21アミノ酸と停止コ
ドンを加えた。この融合遺伝子の合成部分の最後の配列
は次の通りである: コーディング鎖: 非コーディング鎖: 公表されたヒトRse cDNA配列(Markら,Journal of Bi
ological Chemistry269(14):10720−10728[1994])
のヌクレオチド2644に始まるPst I部位と、ベクターpRK
(Suvaら,Science237:893−896[1987])に由来する発
現ベクターpSVI7.ID.LL(PCT/US94/13329参照)のポリ
リンカー中のHind III部位で、上記合成DNAをヒトRseの
アミノ酸1−880をコードするcDNAと連結することによ
り、発現プラスミドpSV.ID.Rse.gDを作成した。簡単に
述べると、この発現ベクターは、5'スプライス供与及び
3'スプライス受容イントロンスプライス部位に挟まれた
DHFRをコードする配列と、それに続くRse.gDコード配列
とを含有する2シストロン性一次転写物を含む。完全長
(スプライスされていない)メッセージは、第1読み取
り枠としてDHFRを含有するので、DHFRタンパク質が生成
し、安定な形質転換体の選択を可能にする。
dp12.CHO細胞(1989年3月15日公開のEP307,247)
を、pSV.ID.Rse.gD(そのプラスミド骨格中のユニーク
なNot I部位で直鎖化しておいたもの)でエレクトロポ
レートした。DNAをフェノール/クロロホルム抽出した
後、エタノール沈殿し、10μlの10/1 Tris/EDTAに再懸
濁した。次に、1mlのPBS中、氷上で、20μgのDNAを107
個のCHO.dp12細胞と共に10分間インキュベートした後、
350ボルトと330μfでエレクトロポレーションした。細
胞を氷上に戻して10分間置いた後、非選択培地に接種し
た。24時間後、細胞をヌクレオチシド非含有培地に接種
して、安定なDHFR+クローンを選択した。
Rse.gD核酸を発現させる細胞系を同定するために、Rs
eの細胞外ドメイン中のエピトープを認識するポリクロ
ーナル抗血清19Bを用いるFACS分析によって、候補クロ
ーンをスクリーニングした。このFACS検定法で陽性と記
録されたクローンが完全長Rse.gD核酸を発現させること
を確認するために、細胞溶解液を調製し(Lokkerら,EMB
O J.11:2503−2510[1992])、可溶化したRse.gDを19B
抗血清で免疫沈降させた。免疫沈降したタンパク質を7
%PAGEを用いて還元条件下に分画し、ニトロセルロース
上にブロットした後、抗gD 5B6抗体(Paborskyら,上
記)でプローブし、それを西洋ワサビペルオキシダーゼ
結合抗マウスIgG抗体で検出した。
細胞クローン中のRse.gDが、20%FBS、Rse受容体結合
活性を含有するFBSの部分精製画分(すなわち下記実施
例5で得られるQSE画分の1:10希釈液)又は対照(すな
わち添加物なし)に応答して自己リン酸化を受ける能力
を、ウェスタンブロッティングによって決定した。簡単
に述べると、上述のRse.gD核酸で形質転換した5×105
個のdp12.CHO細胞を、血清の存在下に60mm皿に6時間接
種した。次に、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄
し、16時間、血清飢餓状態にした。次に、その血清飢餓
細胞を10分間、飼料にさらした。抗gD 5B6モノクローナ
ル抗体を用いて、Rse.gDタンパク質をCHO細胞溶解液か
ら免疫沈降させた。タンパク質を7%SDS−PAGEで還元
条件下に分画し、ニトロセルロースに転写した。Rseの
リン酸化を標識抗ホスホチロシン抗体4G10(UBI(ニュ
ーヨーク)から購入)で検出した。
20%FBS又はRse−IgG結合活性を含有するFBSの部分精
製画分を、Rse−gDを発現させる血清飢餓細胞に添加す
ると、140kDa Rse受容体のチロシン残基でリン酸化が起
こった。対照はRse受容体を活性化しなかった。
実施例4 KIRA ELISA Rse.gDを活性化したFBS中の活性を、ELISAに基づく
「KIRA」(Kinase Receptor Activation(キナーゼ受容
体活性化)の略)検定法を用いて、さらに特徴づけた。
この検定法は潜在的Rse−L供給源の高処理量分析を可
能にする。この検定法の図解については図4を参照のこ
と。
実施例3に記述したように生産したRse.gD形質転換dp
12.CHO細胞を、平底96ウェル培養プレートのウェル中の
100μlの培地に接種(5×104個/ウェル)し、5%CO
2中、37℃で終夜培養した。翌朝、ウェルの上清をデカ
ンテーションし、プレートをペーパータオル上で軽くタ
ンピングした。次に、下記実施例5に記述するようにし
て得たQSE画分を含有する培地50μl又は対照(すなわ
ち培地のみ)を各ウェルに加えた。中和実験について
は、潜在的リガンド供給源をRse−IgG又はCD4−IgG(10
0μg/ml)で30分間(室温)処理した後、細胞に加え
た。細胞を37℃で30分間刺激し、ウェルの上清をデカン
テーションし、プレートを再びペーパータオル上で軽く
タンピングした。細胞を溶解し、受容体を可溶化するた
めに、100μlの溶解緩衝液を各ウェルに加えた。この
溶解緩衝液は、50mM HEPES(Gibco)、0.5%Triton−X
100(Gibco)、0.01%チメロサール、30KIU/mlアプロチ
ニン(ICN Biochemicals,オハイオ州オローラ)、1mM 4
−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリ
ド塩酸塩(AEBSF;ICN Biochemicals)、50μM.イペプチ
ン(ICN Biochemicals)及び2mMオルトバナジウム酸ナ
トリウム(Na3VO4;Sigma Chemical Co.,ミズーリ州セン
トルイス),pH7.5を含有する150mM NaClからなる。次
に、そのプレートをプレート振とう器(Bellco Instrum
ents,ニュージャージー州ヴィンランド)で穏やかに室
温で60分間振とうした。
細胞を可溶化している間に、5B6モノクローナル抗gD
抗体(0.5μg/ml,50mM炭酸緩衝液,pH9.6中,100μl/ウェ
ル)を用いて4℃で終夜コーティングしたELISAマイク
ロタイタープレート(Nunc Maxisorp,Inter Med,デンマ
ーク)をデカンテーションし、ペーパータオル上でタン
ピングし、室温で穏やかに攪拌しながら150μl/ウェル
の遮断緩衝液(0.5%BSA[Intergen Company,ニューヨ
ーク州パーチェイス]と0.01%チメロサールを含有する
PBS)で60分間遮断した。60分後、自動プレート洗浄器
(Scan Washer300,Skatron Instruments,Inc.,バージニ
ア州スターリング)を用いて、その抗gD 5B6被覆プレー
トを洗浄緩衝液(0.05%Tween−20と0.01%チメロサー
ルを含有するPBS)で6回洗浄した。
細胞培養マイクロタイターウェルから得た可溶化Rse.
gDを含有する溶解液を抗gD 5B6被覆及び遮断ELISAウェ
ルに移し(85μl/ウェル)、穏やかに攪拌しながら室温
で2時間インキュベートした。洗浄緩衝液で洗浄するこ
とによって未結合のRse.gDを除去し、緩衝液(0.5%BS
A、0.05%Tween−20、5mM EDTA及び0.01%チメロサール
を含有するPBS)中0.15μg/mlのビオチニル化4D10(抗
ホスホチロシン)100μlを各ウェルに加えた。室温で
2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、希釈
緩衝液で1:6×104に希釈したHRPO結合ストレプタビジン
(Zymed Laboratories,カリフォルニア州サウスサンフ
ランシスコ)100μlを各ウェルに加えた。そのプレー
トを穏やかに攪拌しながら室温で30分間インキュベート
した。遊離のアビジン複合体を洗浄除去し、新たに調製
した基質溶液(テトラメチルベンジジン[TMB];2−成
分基質キット(2−component substrate kit);Kirkeg
ard and Perry,メリーランド州ガイサースブルグ)100
μlを各ウェルに加えた。反応を10分間進行させた後、
100μl/ウェルの1.0M H3PO4を添加することによって、
発色を停止した。Macintosh Centris650(Apple Comput
ers,カリフォルニア州キューパーチーノ)とDeltaSoft
ソフトウェア(BioMetallics,Inc,ニュージャージー州
プリンストン)で制御したvmaxプレートリーダー(Mole
cular Devices,カリファルニア州パロアルト)を用い
て、参照波長650nmで450nmの吸光度(ABS450/650)を読
み取った。
Rse.gDのリン酸化は用量依存的に刺激され、この活性
はRse−IgGによって中和されたが、対照CD4−IgGでは中
和されなかった(図3D)。これらのデータは、Rseを活
性化できるリガンドがFBS中に存在することを示してい
る。
実施例5 Rseリガンドの特徴づけ Rse−Lを、イオン交換クロマトグラフィーとRseアフ
ィニティークロマトグラフィーによってFBSから精製し
た(下記表2参照)。
ウシ胎児血清(FBS)を50mM Tris HCl pH7.5に対して
透析(分子量カットオフ6000Da)し、滅菌ろ過(0.22μ
硝酸セルロース,Corning)した後、緩衝液A(10mM Tri
s HCl,pH7.5)で平衡化したQ−セファロースカラムに
かけた。緩衝液Bは1M NaClを含む緩衝液Aである。こ
のカラムを、0%Bから18%Bへの1カラム体積の勾配
で溶出した後、18%Bから60%Bへの10カラム体積の勾
配で溶出した。0.4M NaCl近くに溶出する活性画分を集
め、50mM Tris HCl pH7.5、5mMベンズアミジンに対して
透析した。このQ−セファロース濃縮画分(QSE)をRse
−IgGアフィニティーカラムにかけた。このカラムを50m
M Tris HCl,pH7.5、5mMベンズアミジンで洗浄し、4M尿
素、0.1M Tris HCl,pH7.5、5mMベンズアミジンで溶出し
た。溶出液を、遠心分離限外ろ過(Centricon10)によ
って濃縮、透析した。Rse−IgGカラムは、Emphase樹脂1
mlにつき2mgのRse−IgGを用いて、供給者の指示(Pierc
e)に従って調製した。表中の量は、FBS出発物質100ml
に関する量である。結合活性1単位は、上記実施例2に
記載の試験管内活性化検定で1%v/vのEC50を持つ試料1
ml中に存在する量と定義される。
アフィニティー精製したRse−L調製物のドデシル硫
酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)は、非還元試料では60kDaに中心を持つ幅広いバン
ドを示し、還元すると、これが65kDaから68kDaまでの接
近した数本のバンドに分離する。画分を試料緩衝液中、
90℃で10分間加熱し、4−20%SDSポリアクリルアミド
ゲル(Novex)で分離し、銀染色によって可視化した。
電気泳動に先立って、Rse−IgGアフィニティー精製した
Rse−Lの溶出液を25mM DTTで還元した。
上記Rse−L調製物を還元条件下にSDS−PAGEで分離
し、エレクトロブロッティングし、配列決定した。Mill
ipore Immobilon PSQ膜へのエレクトロブロッティング
は、記述されているように(P.Matsudaira,J.Biol.Che
m.292:10035[1987])、Bioradトランスブロットトラ
ンスファーセル中、250mAの定電流で1時間行なった。
その膜を、50%メタノール中の0.1%クーマシーブルー
R−250で30秒間染色し、50%メタノール中の10%酢酸
で2〜3分間脱色した。蒸留水で十分に洗浄し、乾燥
し、4℃に保存した。自動タンパク質配列決定は、オン
ラインPTH分析装置を装着したモデル473A及び490A Appl
ied Biosystems Sequencerで行なった。ピークは、Nels
on Analytical760インターフェースを用いて、Justice
Innovationソフトウェアで積分した。配列解釈は記述さ
れているように行なった(Henzelら,J.Chromatogr.404:
41[1987])。
この調製物は、ウシプロテインSのアミノ末端配列に
一致するXQVLIRRXRA−NTL[配列番号8]というアミノ
末端配列を与えた。プロテインS配列は、いくつかの独
立したRse−L調製物から得られた。SDS−PAGE後、いく
つかの調製物は、ウシプロテインSに関して過去に報告
されているANTL[配列番号9]というN−末端配列を持
つ14kDa種と、ウシプロテインSのトロンビン感受性ル
ープ領域内の切断に対応する配列を持つ60〜70kDa種の
存在を特徴とした。配列決定フィルターのCnBr切断後、
同定可能な全残基の>99%が、プロテインS CnBr断片の
混合物によって占められた。また、Ca2+存在下の陰イオ
ン交換クロマトグラフィー、陽イオンクロマトグラフィ
ー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ブルーセファロ
ースクロマトグラフィー又は非変性ゲル電気泳動によっ
てRse−L活性をプロテインSから分離することはでき
なかった。FBSと精製画分中に存在するRse−L活性は、
プロテインSポリクローナル抗血清によって中和するこ
とができた。
ヒト血清や、293細胞で生産された組換えヒトプロテ
インSは、KIRA又はRse−IgG結合検定で低い活性を示し
た。ヒト血清はPierceと地元の血液バンクから入手し
た。ヒトプロテインS(Calbiochem,Enzyme Research L
abs.又はCelsus labs)は、膜結合検定法で、>250nMの
EC50を持った。これに対し、精製したウシプロテインS
は、この検定法で、1.2nMのEC50を持った。KIRA検定法
では、150nM濃度のヒトプロテインSでも、Rseのリン酸
化は弱かった。上記Markら(1992)に記述されているよ
うに、ヒト胎児肝臓cDNA(Clontech)1μgを鋳型と
し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて、PCR
によって、ヒトプロテインS cDNAを得た。ヒトgas6につ
いて後述する方法と全く同様にして、2μg/mlビタミン
Kの存在下に生育した293細胞中でヒトプロテインSを
発現させ、培養の代謝標識及び/又はポリクローナル抗
プロテインS抗血清を用いるウェスタンブロッティング
によって発現を立証した。精製ヒトプロテインSは125I
−Rse−IgGを結合したが、その親和性は精製ウシプロテ
インSより〜200倍低かった。
プロテインSの相同体の方が有効かもしれないという
仮説を立てた。GENBANKデータベースの検索により、ヒ
トプロテインSとヒト成長阻止特異的遺伝子(gas6)の
予想産物のアミノ酸配列の間にかなりの類似性(44%ア
ミノ酸同一で、類似のドメイン構造)が明らかになった
(Manfiolettiら,上記)。
実施例6 gas6の組換え生産 ヒトgas6がRseのリガンドであるかどうかを決定し
た。逆転写したヒト脳cDNAから、ポリメラーゼ連鎖反応
クローニング法によって、gas6 cDNAを得た。アミノ酸
1−318をコードするcDNAと319−678をコードするcDNA
を連結することによって、完全長ヒトgas6クローンを構
築した。gas6 cDNAは、記述されているように(Markら,
J.Biol.Chem.267:26166[1992])、1μgのヒト胎児
脳cDNA(Clontech)を鋳型とし、Pfu DNAポリメラーゼ
を用いて、PCRによって得た。hgas6の5'部分と3'部分を
得るために設計したフォワードプライマーとリバースプ
ライマーはそれぞれ次の通りである: ヒト胎児腎臓293細胞を、Markら,J.Biol.Chem.267:26
166(1992)に記述されているように、一時的にトラン
スフェクションした。4時間培養した後、培地を、抗生
物質と2μg/mlビタミンKを含む成長培地に変えた。35
S−Cysと35S−Metによる代謝標識の条件は、Markらに記
述されている通りとした。IgG−融合タンパク質による
沈降のために、放射線で標識された上清を、まずパンソ
ルビン(pansorbin;Calbiochem)を用いて室温で30分間
予備浄化した後、10μgのIgG融合タンパク質と共に4
℃で4時間インキュベートした。融合タンパク質を20μ
lのパンソルビンで沈殿させ、その錯体を遠心分離(1
4,000×gで1分間)によって集めた後、0.1%Triton−
X 100を含むPBSで3回洗浄した。沈殿物を還元条件下に
SDS−PAGEで分析した(Caponら,Nature337:525[198
9])。乾燥したゲル中の放射活性を、Fujiホスホイメ
ージャーで分析した。
gas6発現ベクターでトランスフェクションした後、代
謝的に標識した細胞から得たならし培地は、Rse−IgG融
合タンパク質によって選択的に沈殿させることができる
が、対照融合タンパク質CD4−IgGでは沈殿しない70kDa
タンパク質を含有した。非標識トランスフェクションか
ら得たならし培地は、膜に対する125I−Rse−IgGの結合
を増進し、CHO細胞中で発現したRse受容体のリン酸化を
誘導した。これらのデータは、組換えヒトgas6がヒトRs
e受容体に結合し、それを活性化することを示した。
組換えgas6を、ならし培地から、アフィニティークロ
マトグラフィーによって精製した。ヒト胎児腎臓293細
胞を、上記Markら(1992)に記述されているように、一
時的にトランスフェクションした。4時間インキュベー
トした後、培地を、抗生物質と2μg/mlビタミンKを含
む成長培地に置換した。トランスフェクションの2日後
と4日後にならし培地を集めた。トランスフェクション
された細胞のならし培地は125I−Rse−IgGの結合を活性
化したが、トランスフェクションされなかった293細胞
や擬似トランスフェクションされた293細胞のならし培
地は125I−Rse−IgGの結合を活性化しなかった。集めた
ならし培地1リットルを遠心分離によって清浄化し、1
体積の緩衝液A(50mM TrisHCl,pH7.5,0.1%CHAPS,5mM
ベンズアミジン)で希釈し、予め緩衝液Aで平衡化して
おいた6mlのResource Qカラム(Pharmacia)にかけた。
そのカラムを、緩衝液A中の0M NaClから0.4M NaClへの
12カラム体積の勾配で溶出させた。活性画分を集め、1
体積の緩衝液Aで希釈し、Rse−IgGアフィニティーカラ
ムにかけて、それを記述したように洗浄、展開した(上
記実施例5参照)。
組換えgas6の同定は、アミノ末端配列によって立証し
た。組換え物質の配列は、49AFQVFEEA56[配列番号14]
という配列で始まる。この配列中のグルタミン酸残基か
らのシグナルは弱く、γカルボキシル化と一致する。
Gla含有タンパク質の良く知られている特徴は、それ
らが不溶性バリウム塩と共沈することである(Dahlbec
k,Biochem.J.209:837[1983];Discipio及びDavie,Bioc
hemistry18:899[1979])。この性質に基づく検定法に
よって、125I−Rse−IgGに対する精製gas6の結合を、細
胞膜の不在下に分析することができた。25mM HEPES pH
7.2、0.1%BSA及び0.05%Tween−20で希釈したRse−L
を含有する種々の試料を、同じ緩衝液で希釈した125I−
Rse−IgGと、100〜120mlの総体積中で混合した。室温で
45分間インキュベートした後、新たに調製したBaCl2
氷冷懸濁液(リン酸緩衝食塩水中,10mM)1mlを各チュー
ブに加え、沈殿しうる放射活性を遠心分離と上清液の吸
引によって集めた。この検定法で測定したRse−IgGとga
s6の解離定数は0.46nMであった(図5)。
精製したgas6は、Rseのリン酸化を用量依存的に刺激
した。経時変化実験によって、Rseのリン酸化が、精製g
as6の添加後2分以内に誘導されることがわかった。gas
6によるRseリン酸化の活性化はRse−IgGによって中和さ
れたが、CD4−IgGでは中和されなかった。
実施例7 gas6の発現と特徴づけ 成人脳組織におけるgas6とRse受容体の発現を調べ
た。ヒト脳組織由来のポリアデニル化RNA(Clontech)
2μgを含有するブロットを、Rseのアミノ酸1−420又
はgas6のアミノ酸358−605に対応するランダムプライム
ド標識プローブとハイブリッド形成させた。その組織
は、小脳扁桃、尾状核、脳梁、海馬、視床下部、黒質、
視床下核及び視床である。
gas6がRseのリガンドであるかもしれないという仮説
と一致して、gas6とRseのmRNAが、これらの成人脳組織
のそれぞれで同時発現することがわかった。
星状細胞は、ニューロンの成長と生存を支持する神経
向性因子を合成すると報告されている。Morettoら,J.Ne
uropath & Exp Neuro.53:78(1994)及びLinら,Scienc
e260:1130(1993)。培養したラット星状細胞もRseのリ
ガンドを合成するかどうかを決定した。E18ラット胚か
ら調製した生後1日の星状細胞又は海馬ニューロン由来
のポリアデニルRNA 1μgを含むノーザンブロットを調
製した。星状細胞は、記述されているように調製した後
(Banker及びGoslin,Culturing Nerve Cells[MIT Pres
s,ケンブリッジ,1991],260−261頁)、血清非含有培地
中で1日、3日又は5日間培養した。海馬ニューロン
は、血清非含有規定培地中で0日、3日又は4日間培養
した。そのブロットを、ネズミgas6のアミノ酸1−460
に対応する32P−標識プローブとハイブリッド形成させ
た。そのブロットをはがした後、32P−標識アクチンプ
ローブとハイブリッド形成させてRNA試料の完全性を確
認した。
gas6 mRNAは、生後1日のラットから調製した培養1
型星状細胞中に検出されたが、E18海馬ニューロンでは
検出できなかった。
本研究その他で得られたgas6とRseに関する発現デー
タを次の表に要約する。
培養ラット星状細胞がRse受容体のリガンドをも合成
できることを調べた。図6A〜6Cの説明文を参照のこと。
星状細胞ならし培地は、125I−Rse−IgGを結合する因子
を含有し(図6A)、Rseのチロシンリン酸化を刺激した
(図6B)。この活性はRse−IgGによって中和されたが、
CD4−IgGでは中和されなかった(図6C)。
実施例8 gas6変種 gas6の細胞膜及びRseとの相互作用をさらに特徴づけ
るため、エピトープ標識を含有する一連のN−末端欠失
変種を構築した。
gDシグナル配列とエピトープ標識のコーディング配列
(Markら[1992]上記)を、成熟gas6(gD.gas6;フォワ
ードプライマー5′−AGCTGCTCGAGGCGCTGTTGCCGGCGC
[配列番号15])又はプロテインS(gD.プロテインS;
フォワードプライマー5′−AGCTGCTCGAGGCAAATTCTTTAC
TTGAA[配列番号16])の最初のアミノ酸若しくはgas6
のアミノ酸118(gD.gss6.118−C;フォワードプライマー
5′−AGCTGCTCGAGGACCAGTGCACGCCCAACC[配列番号1
7])及び279(gD.gas6.279−C;フォワードプライマー
5′−GCTGCTCGAGGACATCTTGCCGTGCGTG[配列番号18)]
の直前のコーディング配列に、PCRによって加えたXho I
部位を介して融合した。gD.gas6とgD.gas6.118−C用の
リバースプライマーは、5′−CATGGATCCTACCGGAAGTCAA
ACTCAGCTA[配列番号11]であった。gD.gas6.279−Cと
gD.プロテインS用のリバースプライマーは、それぞ
れ、5′−GTCGGATCCGACAGAGACTGAGAAGCC[配列番号1
3]と5′−CATTCATTTATGTCAAATTCA[配列番号19]であ
った。gas6.gDは、gas6のコーディング配列を、プライ
マー5′−ATGGAGATCAAGGTCTG[配列番号20]と5′−C
ATCTTGAGGCTAGCGGCTGCGGCGGGCTCCAC[配列番号21]を用
いてPCRによって付加したNhe I部位を介して、Rse.gDに
用いたC−末端gD標識に融合することによって構築し
た。これらのポリペプチドを、本質的に実施例6で完全
長gas6について記述した手法を用いて、293細胞で発現
させた。
それぞれEGF反復とDドメイン内の縦列Gドメイン若
しくはGドメインのみを含有するgD.gas6.118−CとgD.
gas6.279−Cは、Rse−IgGによって、細胞培養上清から
沈殿した(図7)。ヒトプロテインSはこの検定法では
沈殿しなかった。このことは、ヒトプロテインSがヒト
gas6より低い親和性でRseを結合するという上述の観測
結果と合致する。Glaドメイン(すなわちAドメイン)
が削除されたgas6のこれら誘導体は、Ca2+的に膜に会合
することもできない。
このデータは、gas6がGドメインを介してRseに結合
すること及び膜結合活性とRse結合活性を分離できるこ
とを示しており、また、細胞膜とのCa2+依存的会合には
Glaドメインが必要であることを示唆している。
この実施例に記述するgas6変種は機能的に活性であ
る。具体的に述べると、gD.gas6.118−CとgD.gas6.279
−Cは、実施例4に記載のKIRA検定で、完全長gD標識ga
s6と同じぐらい効率よく、Rseリン酸化を活性化した
(図7参照)。
実施例9 シュワン細胞増殖検定 Rse mRNAは、ラットE14後根神経節に由来するラット
シュワン細胞系rhESCにも検出されたが、gas6 mRNAは検
出されなかった。これらの細胞に精製したgas6を添加す
ると、〜0.3nMのEC50で用量依存的に細胞数が増大(48
時間時点で50%増大)した(図8)。gas6処理はこれら
の細胞の形態をも変化させた。無処理細胞は多極性で分
岐した突起を多数持ったが、gas6で処理した細胞は主要
な平滑突起を2つ持つ紡錘状になり、互いに平行に整列
した。また、gas6が誘導する増殖はRse−IgGによって中
和されるが、CD4−IgGでは中和されないこともわかっ
た。図9を参照のこと。
Rse−及びAxl−特異的抗体を用いると、Rse及びAxl受
容体チロシンキナーゼがヒトシュワン細胞にも検出され
た。ヒトシュワン細胞の増殖を増進するgas6の能力を測
定した。
既に記述されているように(Leviら,J.Neuroscience1
5(2):1329−1340[1995])、適切な患者の同意を得
て、University of Miami School of Medicineで末梢神
経組織を入手した。末梢神経繊維の断片をベルザー(Be
lzer's)UW溶液に入れ、カリフォルニアに輸送した。受
け取ると同時に、その神経繊維を新しいF12/DME(1:1)
で洗浄し、1%コラーゲナーゼ/ジスバーゼ(dispas
e)溶液(Boehringer)と共に37℃で30分間培養した。
次に、組織を新しい組織培養培地に移すことによって、
静かに3回洗浄した。その繊維を、次に挙げるラットシ
ュワン細胞用の処方を補足した100mmペトリ皿中の血清
非含有培地に接種した:インスリン(10μg/ml)、トラ
ンスフェリン(10μg/ml)、α−トコフェロール(5μ
g/ml)、Holmesら,Science256:1205−1210(1992)に記
述されているように生産した組換えヒトヘレグリン(he
regulin)−β1177-244(10nmol/L)、フォルスコリン
(5μM)、プロゲステロン(3×10-8M)、ウシ下垂
体抽出物(BPE)(3μl/ml)を補足したF12/DME(1:
1)。シュワン細胞を48時間懸濁培養することによっ
て、部分的に脱髄させた。次に、1000rpmで5分間の遠
心分離によって神経繊維を集め、静かにピペッティング
することによって再懸濁、分散させた。
分散したシュワン細胞をラミニン(Gibco BRL)被覆
組織培養48ウェルマルチプレート中の規定培地に8×10
3細胞/ウェルの密度で再接種すると共に、アプロチニ
ン(25μg/ml)と50μL/mlの化学的に規定された脂質
(Sigmaカタログ番号11905−015;Gibco BRL)を添加し
た。これらの培養を「一次培養」と名づけた。5日毎に
培地を換えた。純粋なシュワン細胞の集密培養が2週間
以内に得られた。第1継代時と第2継代時に、コラーゲ
ナーゼ/ジスパーゼ(Boehringer Mannheim)を用いて
細胞をプレートから取り出し、3%BSAを含む培地で洗
浄し、上述のようにプレートに接種した。使用した培地
は「6F」培地である:インスリン(10μg/ml)、トラン
スフェリン(10μg/ml)、α−トコフェロール(5μg/
ml)、プロゲステロン(3×10-8M)、アプロチニン(2
5μg/ml)及び化学的に規定された脂質(Sigmaカタログ
番号11905−015)を補足したF12/DME(1:1)。「8F」培
地は、6F培地の添加物と共に組換えヒトヘレグリン−β
1177-244(10nmol/L)とフォルスコリン(5μM)を含
有する。これらの培養培地のいずれかにgas6を加えるこ
とにより、シュワン細胞の生存と増殖に対するgas6の効
果を研究した。
gas6はヒトシュワン細胞の成長を用量依存的に刺激し
(図12A)、有意な効果は1ng/ml(14pM)で観測され、
最大効果は10ng/mlを超える容量で観測される。gas6は
単独で、シュワン細胞数を対照培地より有意に増大させ
る。cAMP活性化因子フォルスコリンの存在下では、gas6
による全細胞数の増加が、より著しくなる。共同作用的
効果は、gas6とヘレグリンの間にも観測される。gas6
は、好ましい濃度のフォルスコリンとヘレグリンが両方
とも存在する場合にも、細胞数とチミジン取り込みの両
方を増大させた(図12B)。
好ましい濃度のヘレグリンとフォルスコリンが両方と
も存在する場合、シュワン細胞の成長を刺激すると過去
に報告されている他の増殖因子は、効果を持たない(PD
GF、FGF−β)か、若しくは細胞数を減少させる(IL−
1α及びTGF−β1)(図12C)。10ng〜5μgのヒト又
はウシプロテインSを添加しても、培養5日後のシュワ
ン細胞数は増加しなかった。これに対し、30μg/mlのga
s6は、最も効果的に細胞数を増大させた。gas6とフォル
スコリン及びヘレグリンの併用は、6F+フォルスコリン
+ヘレグリン+5%FBSを併用した場合と同等に、5日
間にわたって最大細胞成長をもたらす。
6F+ヘレグリン、6F+ヘレグリン+gas6、8F+gas6、
8F+10%ウシ胎児血清中で生育したヒトシュワン細胞を
位相差顕微鏡で観察したところ、gas6が細胞の形態に対
して著しい効果を持つことがわかった。顕微鏡写真は培
養96時間後に撮影した。gas6の存在下に生育したシュワ
ン細胞は、ヘレグリン又はヘレグリンとフォルスコリン
の存在下に生育した細胞に認められるものよりはるかに
長い突起を持つ。また、8F+gas6培養では、完全に発達
したシュワン細胞紡錘状形態を持つ細胞にさえ、有糸分
裂像が明りょうに認められる。8F培養に血清を添加する
と、細胞の形態が変化し、細胞が平坦になり、横に広が
り、ついには空胞になる。
シュワン細胞マーカーGFAPとS100タンパク質に関する
免疫蛍光検査法によって、細胞を染色した。簡単に述べ
ると、8F+gas6で生育した第4継代シュワン細胞をラミ
ニン被覆チャンバースライド上で24時間培養し、PBS中
の10%ホルマリンで固定した。固定した細胞を10%ヤギ
血清で遮断し、配給業者の推奨する希釈率のウサギ抗GF
AP(ICN)及び抗S−100タンパク質(ICN)と共にイン
キュベートした。一次抗体の特異的結合をヤギ抗IgG(F
ab′)−FITC複合体で染色した。細胞を、DNA色素ヨ
ウ化プロピジウムで対比染色した。陰性対照試験を、負
に染色されるWI−38細胞で行なった。生育した細胞を、
4継代後に、シュワン細胞マーカーGFAP及びS100タンパ
ク質について、100%の免疫蛍光染色を示した。
チロシンキナーゼ受容体のAxl−Rseファミリーを介し
てヒトシュワン細胞の増殖を刺激するgas6の能力を調べ
た。ヒトシュワン細胞を、0、0.01、0.1又は1μg/ml
のヒトgas6(hgas6)を用いて、37℃の培養器で15分間
刺激した。細胞溶解液を調製し、ウサギ抗hRseFc融合タ
ンパク質抗体とウサギ抗hAxl抗体で免疫沈降させた。hR
se及びhAxl受容体のチロシンリン酸化を4G10抗リン酸化
抗体で検出した。106個のシュワン細胞を規定培地(8F
+gas6)中でコンフルエント近くまで生育し、実験の24
時間前に6Fに換えた。細胞を、37℃の培養器中、精製組
換えhgas6で15分間処理し、1mlの溶解緩衝液(20mM HEP
ES,pH7.4,135mM NaCl,50mM NaF,1mMバナジウム酸ナトリ
ウム及び1mMモリブデン酸酸トリウム,2mM EDTA及び2mM
EGTA,10%グリセロール,1% NP40,1μMオカダ酸(okad
aic acid),1mM PMSF,1mM AEBSF)を用いて氷上で溶解
した。細胞溶解液を、14000×g、4℃で10分間の遠心
分離によって清浄化した。1μgのウサギ抗hRseFc融合
タンパク質抗体か、hAxlのCOOH−末端の10アミノ酸に対
して生じさせたウサギ抗hAxl抗血清2μlを用いて、4
℃で2時間の免疫沈降を行なった。免疫錯体を10μlの
プロテインAセファロースCL−Bビーズで集めた。タン
パク質をNovex4−12%勾配ゲルで分離し、ニトロセルロ
ース膜に転写した。4G10マウス抗ホスホチロシン抗体
(UBI)、ヤギ抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ複
合体及びECL発色キット(Amersham)を用いて、抗ホス
ホチロシン免疫ブロットを行なった。ヒトgas6をヒトシ
ュワン細胞に添加すると、Axl受容体とRse受容体のチロ
シン残基が共に自己リン酸化される。AxlとRseの活性化
は、1.4〜14μM gas6で検出できた。AxlとRseのこのよ
うなリン酸化は、ヘレグリンで刺激した培養には観測さ
れない。培養ラットシュワン細胞におけるgas6発現は、
ノーザンブロットによって検出されなかった。さらに、
ラットシュワン細胞ならし培地には、gas6活性が認めら
れなかった。一つの理論に拘束されるわけではないが、
gas6は成長しつつある軸策によって生産されるか、若し
くは近傍繊維芽細胞(gas6は最初はこの細胞からクロー
ン化された)によって生産されるのかもしれない。他の
チロシンキナーゼ受容体(PDGFやFGFなど)を介して作
用することが知られている増殖因子はヒトシュワン細胞
の増殖をこれらの規定条件下に増大させないので、シュ
ワン細胞上のAxl−Rse受容体のgas6によるこの活性化
は、高度に特異的である。erbB受容体ファミリーを介し
て独立に作用するシュワン細胞増殖因子GGF/ヘレグリン
は、本研究のgas6と共同作用する。
中断した中枢軸策の再生に影響を与える努力として脊
髄の損傷領域に移植するための細胞プロテーゼとして使
用するため、末梢神経損傷の修復を補助するため、そし
て複合的自己移植片の代替物として哺乳類シュワン細胞
(好ましくはヒトシュワン細胞)の集団を持つことは有
益である。Leviら,J.Neuroscience 143(3):1309−13
19(1994)を参照のこと。細胞培養技術を使用して小さ
な生検から自己移植材料の豊富な供給源を得ることは、
既に、広範囲の火傷を覆うためのヒト表皮細胞を供給す
ることに、臨床的に成功している(Gallicoら,N.Eng.J.
Med.311:338−451[1984])。さらに、ヒト異種移植片
のシュワン細胞が、免疫反応を抑制したマウスの末梢軸
策を有髄化、再生できることも、既に示されている(Ag
uayoら,Nature268:753−755[1977]及びAguayoら,Soc.
Neurosci.Symp.4:361−383[1979])。したがって、上
述の方法はヒトを含む哺乳動物で成功するだろうと予想
される。
実施例10 gas6イムノアドヘシン gD.gas6.279−C(実施例8参照)のコーディング配
列を、BstE IIリンカー(アミノ酸ValとThrを付加す
る)を介して、ヒトIgGγ1のアミノ酸216−443に融合
することによって、gD.gas6.279−C.IgGを構築した。こ
のリンカーは、プライマー5′−ATGGAGATCAAGGTCTG
[配列番号20]と5′−GTCGGTGACCGCTGCTGCGGGCTCCAC
[配列番号22]を用いるPCRによって、gD.gas6.279−C
配列に加えた。
このようにして作成したgas6イムノアドヘシンを、上
記実施例4に記載のKIRA検定にかけた。簡単に述べる
と、gD.gas6.279−C.IgGを一時的に発現させる細胞から
得たならし培地の種々の希釈液を、KIRA検定法で試験し
た。出発物質は、〜230ng/mlのgD.gas6.279−C.IgG濃度
を持った。活性化のEC50は約0.4nMであった。図10を参
照のこと。一時的にトランスフェクションされた対照細
胞系から得たならし培地には、活性が観測されなかっ
た。
実施例11 非γカルボキシル化gas6によるRseの活性化 ヒトgas6(hgas6.17)でトランスフェクションした29
3細胞で3日間条件付けした培地(700ml)を、50mM Tri
s−HCl pH7.5,5mMベンズアミジン(緩衝液A)2×8Lに
対して透析した。その透析液を0.1%CHAPSに調節し、10
ml/分の流速で、6mlのResource−Qカラム(Pharmaci
a)に充填した。そのカラムを緩衝液Aで洗浄し、緩衝
液A中、0M NaClから0.4M NaClに至る70mlの直線的勾配
(流速1.0ml/分)で溶出し、2.0mlずつ集めた。
実施例6に記載の塩化バリウム結合法と実施例4に記
載のKIRA検定法を用いて、Rseを結合、活性化する能力
について、その画分を分析した。KIRA検定法が全てのRs
e活性化因子に反応するのに対して、塩化バリウム検定
法はGla含有Rseリガンドの結合のみを検出できる。結合
活性の中心は第31画分にあったが、KIRAによると、第24
画分にも早く溶出するピークの中心があった。
第20〜44画分の一部(10μl)を8%アクリルアミド
(Novex)SDSゲルで分析し、銀染色によってタンパク質
を可視化した。これらの画分では、75kDバンドが標品hg
as6と同時移動した。75kDバンドの積分強度を、レーザ
ースキャン(Molecular Dynamics)と画像解析(NIH Im
age)によって測定した。ピーク強度は、KIRA活性の上
記2領域に対応する第24画分と第31画分に認められた。
染色強度とタンパク質負荷量の間に直線的な関係がある
と仮定して、同じゲルに流した既知量(0.34μg)のhg
as6標品調製物の染色強度から、各画分中のhgas6の量を
見積もった。
第24画分と第31画分から得た75kDバンドの配列分析
を、SDS−PAGEとPVDF膜への電気泳動的転写の後に行な
った。両バンドのアミノ末端配列は、hgas6のアミノ末
端配列(AFQVF)であると明りょうに同定されたが、こ
れら2つは、その後のサイクルに修飾グルタミン酸残基
が存在するかしないかで、識別できた。第31画分から得
た配列は、サイクル6、7、14及び16にグルタミン酸か
らのシグナルを欠き、これら残基のγ−カルボキシル修
飾と合致した。第24画分から得た配列は、これら全ての
位置の非修飾グルタミン酸と合致した。
初期溶出型のhgas6の配列分析と結合挙動は、グルタ
ミン酸の特徴的なγ−カルボキシル修飾を欠く非修飾型
としての同定と合致する。ここに発見された第2の組換
えhgas6は、記述された第1のGla含有型よりも活性であ
るように思われる。図11のKIRAデータとhgas6の密度測
定法による定量から、これら2つの型の比活性を計算し
た。第31画分(1型)の比活性が1170KIRA単位/mgPであ
るのに対し、第24画分(2型)の比活性は3158であっ
た。これは、Gla修飾を欠く2型がGlaを含有する1型よ
り強力にRseを活性化することを示している。
実施例12 gas6によるMer受容体の活性化 次に挙げるオリゴヌクレオチドプローブを用いて、ラ
ムダDR2(Clontech,カリフォルニア州パロアルト)中に
調製したヒト精巣cDNAライブラリーをスクリーニングす
ることにより、ヒトMerをコードするcDNAを得た: 陽性ファージを精製し、挿入物のサイズを決定した。
3種類の重複クローンhMer.cl4、hMer.cl25及びhMer.cl
6(それぞれ公表された配列のnt1−561、nt223−2025及
びnt1902−3608に対応する)を合わせて、ヒトMerの全
読み取り枠をコードするcDNAを作成した。
ヒトMerのアミノ酸1−499をコードする配列を、Nar
I−BstE IIリンカー(5′−GCGCCTGGCAACGCG−3′
[配列番号26]、5′−GTGACCGCGTTGCCAG−3′[配列
番号27)](アミノ酸グリシンとヒスチジンを付加す
る)を介して、ヒトIgGγ1のアミノ酸216−443に融合
することによって、Mer−Fcを構築した。Mer−Fcを発現
させるヒト胚腎臓(HEK)293細胞を、ヒトFc特異的ELIS
Aを用いてスクリーニングした。Mer−FcをプロテインA
−セファロースカラム(Pharmacia)で精製した。
単純疱疹ウイルス1型(HSV1)糖タンパク質D(gD)
のアミノ酸1−53のコーディング配列を、ヒトMerのア
ミノ酸36−961をコードする配列に融合することによっ
て、エピトープ標識gD.Merを構築した。上記実施例3を
参照のこと。オリゴ(5′−CGAATTCCTCGAGCCGGGACCTTT
TCCAGGGAGC−3′[配列番号28]及び5′−CCAACTGTGT
GTTTGAAGGCAAGAGGCGG−3′[配列番号29])を用い
て、PCRによって、ヒトMer cDNAにXho I部位を加えた。
そのgD.Mer cDNAをCMV系発現ベクターに挿入し、HEK293
細胞をトランスフェクションし、実施例3に記述したよ
うに、ウェスタンブロッティングと蛍光活性化細胞選別
法によって選択、スクリーニングした。
組換えヒトgas6及びプロテインSを、Godowskiら,Cel
l82:355−358(1995)に記述されているように発現させ
た。35S−Cys及び35S−Metによる培養の代謝標識(Mark
ら,J.Biol.Chem.267:26166[1992])及び/又はウサギ
ポリクローナル抗gas6又は抗プロテインS抗血清(Sigm
a)を用いるウェスタンブロッティングによって、発現
を立証した。プロテインS又はgas6のN−末端標識型
を、上記Godowskiらに記述されているように構築した。
抗ホスホチロシン抗体によるウェスタンブロッティン
グとKIRA ELISAを用いてRseリン酸化を検出する方法に
ついては、上記実施例3及び4に記述した。中和実験に
ついては、潜在的リガンド供給源を表記のFc融合タンパ
ク質で室温で30分間処理した後、細胞に添加した。gD.M
erのリン酸化を誘導する潜在的リガンドの能力を分析す
るために、60mm皿に500,000細胞を接種し、血清の存在
下に6時間培養した。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、1
6時間血清飢餓状態に置いた。潜在的リガンドをその細
胞に加え、5B6を用いて溶解液からgD.Merを免疫沈降さ
せ、SDS−PAGEで還元条件下に分析し、抗ホスホチロシ
ン抗体(4G10)でブロッティングした。
Rse−Fc、Axl−Fc及びMer−Fcに対する結合について
は、5〜10nMのgas6又はプロテインSを含有するならし
培地を、プロテインA−セファロース(Calbiochem)を
用いて、室温で30分間予備浄化した後、5μgの受容体
Fc融合タンパク質と共に4℃で4時間インキュベートし
た。20μlのプロテンインAセファロースを用いて融合
タンパク質を免疫沈降させ、その錯体を14,000×gで1
分間の遠心分離によって集めた後、0.1%Triton X−100
を含有するPBSで3回洗浄した。沈殿物を還元条件下にS
DS−PAGEで分析した。そのSDS−PAGEゲルのウェスタン
ブロットを抗体5B6でプローブした。
BIAcoreTM装置によるタンパク質相互作用分析を、精
製gas6及びプロテインSを用いて、BIAcoreCM5センサー
チップに結合したMer−Fcで行なった。中和実験につい
ては、5μgのMer−Fc又はCD4−Fcをgas6と室温で30分
間混合した後、チップ上に注入した。センサー図(sens
orgram)を、Pharmacia Biosensor ABのBIAエバルエー
ション2.1ソフトウェアで分析した。センサー図をA+
B=ABタイプIフィッティングで評価することにより、
見かけ上の解離速度定数(kd)と会合速度定数(ka)を
得た。平衡解離定数Kdを、kd/kaとして計算した。
結果 ELISAに基づくKIRA検定においてgas6によって誘導さ
れるRseのリン酸化を中和するMer−Fcの能力を調べた。
gas6によるRseの活性化は、Rse−Fc及びMer−Fcによっ
て用量依存的に遮断された(図14)。この検定法で対照
タンパク質CD4−Fcは阻害活性を示さなかったので、中
和は、Rse−Fc及びMer−Fcに特異的であった。Rse−Fc
はMer−Fcよりもいくらか強力にgas6を中和した。これ
らのデータは、Mer−Fcが、Rse−Fcと同様に、gas6に対
する結合によって、Rseの活性化を遮断することを示唆
している。
gas6に直接結合するAxl−Fc、Rse−Fc及びMer−Fcの
能力を、共沈検定法を用いて測定した。プロテインSを
結合するこれら受容体の能力も測定した。結合特性につ
いてより定量的な比較を行なうために、エピトープ標識
を含有するタイプのgas6とプロテインSを使用した。ga
s6又はプロテインSを発現させる細胞から得たならし培
地を、各受容体融合タンパク質と共にインキュベートし
た。Fc融合タンパク質とそれらに結合したタンパク質を
プロテインAで回収し、十分に洗浄した。Fc融合タンパ
ク質に結合した標識タンパク質を、ウェスタンブロッテ
ィングとエピトープ標識に対する抗体による検出によっ
て、明らかにした。Axl−FcとRse−Fcは共に、標識gas6
を結合したが、プロテインSを結合しなかった。同じ結
果がMer−Fcでも観察された。gas6とプロテインSはど
ちらも対照CD−Fcを結合しなかったので、結合は特異的
だった。
gas6とMer及びRseの細胞外ドメインとの相互作用の速
度を、BIAcore装置を用いて比較した。Mer−Fcをバイオ
センサーチップに固定化し、そのチップ上に種々の濃度
のgas6を通した。このような実験から得た代表的なセン
サー図を図15Aに示す。プロテインSに対する結合は観
測されず、チップに固定化したMer−Fcに対するgas6の
結合は可溶性Mer−Fcによって遮断されたが、CD4−Fcで
は遮断されなかった(図15)。gas6のMer−Fcとの相互
作用に関する解離定数(Kd)は6nMだった。Rse−Fcに対
するgas6の結合に関するKdは4.2nMだった。
HEK293細胞を、アミノ末端エピトープ標識を含有する
タイプのMerをコードする発現ベクターでトランスフェ
クションした。gD.Merを発現させる候補細胞系(293.g
D.Merと呼ぶ)を、このエピトープ標識を認識するモノ
クローナル抗体5B6を用いる蛍光活性化細胞選別法によ
って同定した。これらの細胞を抗体5B6と共にインキュ
ベートすると、対照非トランスフェクションHEK293細胞
には存在しない約180kDaと200kDaの新規タンパク質の迅
速なリン酸化が起こった。細胞を対照抗体と共にインキ
ュベートした場合は、受容体リン酸化は観測されなかっ
た。これらの結果は、Merが機能的なチロシンキナーゼ
をコードすることを示している。
Merのキナーゼ活性を活性化するヒトgas6とプロテイ
ンSの能力を調べた。これらの細胞をプロテインSで処
理した場合は、Merがリン酸化されなかった。しかし、g
as6で処理した細胞には、受容体リン酸化が検出され
た。経時変化実験により、gas6の添加後数分以内にMer
がリン酸化されることがわかった。リン酸化は1〜3nM
濃度のgas6で細胞を刺激した後に検出できた。
gas6が内因的に発現したMerのリン酸化を誘導できる
ことを決定した。逆転写PCRによって、Mer mRNAが単球
性白血病細胞系THP−1に検出された。Merの細胞外ドメ
インに対するポリクローナル抗体を用いて、THP−1細
胞の表面上のMerの発現を確認した。これらの細胞をgas
6で処理すると、Merに対する抗体で免疫沈降する180kDa
タンパク質の迅速なリン酸化が誘導された。これらの観
察結果は、gas6がMerの機能的リガンドであることを示
している。
配列表 (1) 一般的情報 (i) 出願人:ジェネンテク・インコーポレイテッ
ド チェン,ジエン ゴドウスキー,ポール・ジェイ ハモンズ,アール・グレン マーク,メラニー・アール マザー.ジェニー・ピー リ,ロンガオ (ii) 発明の名称:gas6による受容体活性化 (iii) 配列の数:29 (iv) 連絡先: (A) 宛名:ジェネンテク・インコーポレイテッ
ド (B) 通り:ポイント・サン・ブルノ・ブールバ
ード460番 (C) 市:サウス・サン・フランシスコ (D) 州:カリフォルニア (E) 国:アメリカ合衆国 (F) ZIP:94080 (v) コンピューター解読書式: (A) 媒体型:3.5インチ、1.44Mbフロッピー・デ
ィスク (B) コンピューター:IBM PC適合 (C) オペレーティング・システム:PC−DOS/MS
−DOS (D) ソフトウエア:Win Patin(Genentech) (vi) 本出願のデータ: (A) 出願番号: (B) 出願日: (C)分類: (vii) 優先権主張出願のデータ: (A) 出願番号:08/402253 (B) 出願日:1995年10月3日 (vii) 優先権主張出願のデータ: (A) 出願番号:08/438861 (B) 出願日:1995年10月5日 (viii) 弁理士/代理人 情報 (A) 氏名:リー,ウェンディ・エム (B) 登録番号:00,000 (C) 参照/整理番号:P0929P2PCT (ix) 電話連絡先情報 (A) 電話番号:415/225−1994 (B) ファックス番号:415/952−9811 (C) テレックス:910/371−7168 (2) 配列番号1の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:673アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号1: (2) 配列番号2の情報: (i) 配列の特徴 (A) 長さ:678アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号2: (2) 配列番号3の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:676アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号3: (2) 配列番号4の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:20塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号4: (2) 配列番号5の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:36塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号5: (2) 配列番号6の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:95塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号6: (2) 配列番号7の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:103塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号7: (2) 配列番号8の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:13アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号8: (2) 配列番号9の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:4アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号9: (2) 配列番号10の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:28塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号10: (2) 配列番号11の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:31塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号11: (2) 配列番号12の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:28塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号12: (2) 配列番号13の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:27塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号13: (2) 配列番号14の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:8アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号14: (2) 配列番号15の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:27塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号15: (2) 配列番号16の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:29塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号16: (2) 配列番号17の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:30塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号17: (2) 配列番号18の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:28塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号18: (2) 配列番号19の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:21塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号19: (2) 配列番号20の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:17塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号20: (2) 配列番号21の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:33塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号21: (2) 配列番号22の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:27塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号22: (2) 配列番号23の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:50塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号23: (2) 配列番号24の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:50塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号24: (2) 配列番号25の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:50塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号25: (2) 配列番号26の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:15塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号26: (2) 配列番号27の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:16塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号27: (2) 配列番号28の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:34塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号28: (2) 配列番号29の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:29塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号29:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゴドウスキー,ポール・ジェイ アメリカ合衆国94010カリフォルニア州 バーリンゲイム、イーストン・ドライ ブ2627番 (72)発明者 マーク,メラニー・アール アメリカ合衆国94010カリフォルニア州 バーリンゲイム、チュラ・ビスタ・ア ベニュー 958ビー番 (72)発明者 マザー,ジェニー・ピー アメリカ合衆国94030カリフォルニア州 ミルブレイ、ラ・ブレンダ・ドライブ 269番 (72)発明者 リ,ロンガオ アメリカ合衆国94030カリフォルニア州 ミルブレイ、リチャードソン・ドライ ブ・ナンバー203、401番 (56)参考文献 Molecular and Cel lular Biology,Vol. 13,No.8,P.4976−4985(1993) J.Biol.Chem.,Vol. 270,No.39,P.22681−22684(S ep.1995) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C07K 14/47 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然gas6のAドメインの1又はそれ以上の
    グルタミン酸残基を欠く、Rse受容体に結合する変種gas
    6ポリペプチド。
  2. 【請求項2】天然gas6のAドメインを欠く請求項1に記
    載の変種gas6ポリペプチド。
  3. 【請求項3】gas6のDドメインからなり、他のドメイン
    を欠く請求項2に記載の変種gas6ポリペプチド。
  4. 【請求項4】gas6のGドメインからなり、他のドメイン
    を欠く請求項2に記載の変種gas6ポリペプチド。
  5. 【請求項5】ヒトgas6に由来する請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の変種gas6ポリペプチド。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の変種
    gas6ポリペプチドと生理学的に許容できる担体または希
    釈剤とを含む組成物。
  7. 【請求項7】Rse受容体を含有する細胞中でRse受容体を
    活性化するために使用される請求項6に記載の組成物。
  8. 【請求項8】変種gas6ポリペプチドがイムノアドヘシン
    を含有する請求項7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】該細胞が膠細胞である請求項7または8の
    いずれかに記載の組成物。
  10. 【請求項10】該膠細胞がシュワン細胞である請求項9
    に記載の組成物。
  11. 【請求項11】Rse受容体を含有する細胞の生存、増殖
    又は分化を増進するために使用される請求項6に記載の
    組成物。
  12. 【請求項12】該細胞がヒト細胞である請求項11に記載
    の組成物。
  13. 【請求項13】該細胞の増殖を増進するために使用され
    る請求項11または12に記載の組成物。
  14. 【請求項14】容器、該容器上のラベル、および該容器
    に含まれる組成物からなる製品であって、該組成物がRs
    e受容体を含む細胞の生存、分化又は増殖を増進するの
    に有効であり、該容器上のラベルが該細胞の生存、分化
    又は増殖を増進するためにその組成物を使用できること
    を示し、該組成物中の活性剤が請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の変種gas6ポリペプチドを含む、製品。
  15. 【請求項15】請求項1〜5のいずれか1項に記載の変
    種gas6ポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
  16. 【請求項16】請求項15に記載の核酸分子を含むベクタ
    ー。
  17. 【請求項17】請求項15に記載の核酸分子または請求項
    16に記載のベクターを含む宿主細胞。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の宿主細胞を、その中の
    核酸分子が発現するに十分な時間および十分な条件下で
    培養することからなる変種gas6ポリペプチドの生産法。
  19. 【請求項19】変種gas6ポリペプチドを細胞培養から回
    収することをさらに含む請求項18に記載の生産法。
  20. 【請求項20】請求項1〜5のいずれかに1項に記載の
    変種gas6ポリペプチドをコードする核酸分子を含有する
    宿主細胞を、その核酸が発現し、かつ、そのようにして
    生産されるgas6ポリペプチドが本質的にγ−カルボキシ
    ル化されないような条件下で培養することからなる請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の変種gas6ポリペプチド
    の生産法。
  21. 【請求項21】変種gas6ポリペプチドをその細胞培養か
    ら回収することからなる請求項20に記載の生産法。
  22. 【請求項22】培養をビタミンKの不在下に行う請求項
    20または21に記載の方法。
  23. 【請求項23】宿主細胞がγ−カルボキシラーゼ酵素を
    欠く請求項20〜22いずれか1項に記載の方法。
  24. 【請求項24】宿主細胞が哺乳類細胞でない請求項23に
    記載の方法。
JP52769896A 1995-03-10 1996-03-05 gas6による受容体活性化 Expired - Fee Related JP3342873B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/402,253 US6211142B1 (en) 1995-03-10 1995-03-10 Compositions comprising gas6 polypeptides and articles of manufacture comprising the same
US43886195A 1995-05-10 1995-05-10
US08/402,253 1995-05-10
US08/438,861 1995-05-10
PCT/US1996/003031 WO1996028548A1 (en) 1995-03-10 1996-03-05 Receptor activation by gas6

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10505507A JPH10505507A (ja) 1998-06-02
JP3342873B2 true JP3342873B2 (ja) 2002-11-11

Family

ID=27017784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52769896A Expired - Fee Related JP3342873B2 (ja) 1995-03-10 1996-03-05 gas6による受容体活性化

Country Status (11)

Country Link
US (1) US6169070B1 (ja)
EP (1) EP0815224B1 (ja)
JP (1) JP3342873B2 (ja)
AT (1) ATE271606T1 (ja)
AU (1) AU712585B2 (ja)
CA (1) CA2214629C (ja)
DE (1) DE69632949T2 (ja)
ES (1) ES2225874T3 (ja)
IL (1) IL117425A0 (ja)
MX (1) MX9706827A (ja)
WO (1) WO1996028548A1 (ja)

Families Citing this family (45)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69824039T2 (de) 1997-12-08 2005-08-18 Lexigen Pharmaceuticals Corp., Lexington Heterodimäre fusionsproteine zur verwendung für gezielte immuntherapie und allgemeine immunerregung
US20030105294A1 (en) * 1998-02-25 2003-06-05 Stephen Gillies Enhancing the circulating half life of antibody-based fusion proteins
AU3375199A (en) * 1998-04-01 1999-10-18 Genentech Inc. Antagonists to growth arrest specific gene 6 to treat insulin-resistant disorders
WO1999052562A2 (en) * 1998-04-15 1999-10-21 Lexigen Pharmaceuticals Corp. Enhancement of antibody-cytokine fusion protein mediated immune responses by co-administration with angiogenesis inhibitor
AUPP785098A0 (en) * 1998-12-21 1999-01-21 Victor Chang Cardiac Research Institute, The Treatment of heart disease
ES2571230T3 (es) 1999-04-09 2016-05-24 Kyowa Hakko Kirin Co Ltd Procedimiento para controlar la actividad de una molécula inmunofuncional
US6635249B1 (en) 1999-04-23 2003-10-21 Cenes Pharmaceuticals, Inc. Methods for treating congestive heart failure
JP2003530070A (ja) * 1999-05-19 2003-10-14 レキシジェン ファーマシューティカルズ コーポレイション Fc融合タンパク質としてのインターフェロン−αタンパク質の発現および搬出
SK782002A3 (en) 1999-07-21 2003-08-05 Lexigen Pharm Corp FC fusion proteins for enhancing the immunogenicity of protein and peptide antigens
US7067110B1 (en) 1999-07-21 2006-06-27 Emd Lexigen Research Center Corp. Fc fusion proteins for enhancing the immunogenicity of protein and peptide antigens
US6617135B1 (en) * 1999-08-09 2003-09-09 Emd Lexigen Research Center Corp. Multiple cytokine protein complexes
US20050202538A1 (en) * 1999-11-12 2005-09-15 Merck Patent Gmbh Fc-erythropoietin fusion protein with improved pharmacokinetics
AU2154401A (en) 1999-11-12 2001-05-30 Merck Patent Gmbh Erythropoietin forms with improved properties
WO2001058957A2 (en) * 2000-02-11 2001-08-16 Lexigen Pharmaceuticals Corp. Enhancing the circulating half-life of antibody-based fusion proteins
US20030144237A1 (en) * 2000-04-13 2003-07-31 Peter Carmeliet Use of inhibition of a gas6 function or of a gas6 receptor for preventing and treating a cardiovascular disease
EP1199081A1 (en) * 2000-10-20 2002-04-24 Vlaams Interuniversitair Instituut voor Biotechnologie Use of inhibition of a growth arrest-specific gene (gas6) function or of a gas6 receptor for preventing and treating a thromboembolic disease
MXPA02012734A (es) * 2000-06-29 2003-04-25 Merck Patent Gmbh Mejoramiento de las respuestas inmunes mediadas por la proteina de fusion anticuerpo-citocina, mediante tratamiento combinado con agentes mejoradores de la captacion de inmunocitocina.
US6946292B2 (en) 2000-10-06 2005-09-20 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Cells producing antibody compositions with increased antibody dependent cytotoxic activity
MXPA03008031A (es) * 2001-03-07 2003-12-04 Merck Patent Gmbh Tecnologia de expresion para proteinas que contienen porcion de anticuerpo isotipo hibrida.
US6992174B2 (en) 2001-03-30 2006-01-31 Emd Lexigen Research Center Corp. Reducing the immunogenicity of fusion proteins
CN100503639C (zh) * 2001-05-03 2009-06-24 默克专利有限公司 重组肿瘤特异性抗体及其应用
GB2378899A (en) * 2001-08-25 2003-02-26 Thromb X N V Treatment of anemia
WO2003048334A2 (en) * 2001-12-04 2003-06-12 Merck Patent Gmbh Immunocytokines with modulated selectivity
WO2003084569A1 (fr) 2002-04-09 2003-10-16 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Medicament contenant une composition anticorps
AU2002304965A1 (en) * 2002-05-24 2003-12-12 Zensun (Shanghai) Sci-Tech.Ltd Neuregulin based methods and compositions for treating viral myocarditis and dilated cardiomyopathy
US20040157774A1 (en) * 2002-09-24 2004-08-12 Jing Yang Epitope-tagged recombinant Growth Arrest Specific Gene 6 protein
AU2003304180A1 (en) * 2002-09-24 2005-01-04 Dow, Kenneth, Centocor, Inc. Growth arrest specific gene 6 peptides, antibodies, compositions, methods and uses
ATE471946T1 (de) * 2002-12-17 2010-07-15 Merck Patent Gmbh Humanisierter antikörper (h14.18) des maus antikörpers 14.18, der gd2 bindet und seine fusion mit il-2
US20060183671A1 (en) * 2003-07-17 2006-08-17 Anne Angelillo-Scherrer Treatment of anemia
EP1698640B2 (en) 2003-10-01 2019-06-19 Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd. Method of stabilizing antibody and stabilized solution-type antibody preparation
JP2008502317A (ja) 2003-12-30 2008-01-31 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング Il−7融合タンパク質
WO2005063808A1 (en) * 2003-12-31 2005-07-14 Merck Patent Gmbh Fc-ERYTHROPOIETIN FUSION PROTEIN WITH IMPROVED PHARMACOKINETICS
AU2005203962C1 (en) * 2004-01-05 2012-11-08 Antisoma Research Limited Interleukin-12 targeted to oncofoetal fibronectin
US7670595B2 (en) * 2004-06-28 2010-03-02 Merck Patent Gmbh Fc-interferon-beta fusion proteins
ES2342964T3 (es) * 2004-12-09 2010-07-20 Merck Patent Gmbh Variantes de la interleucina-7 con inmunogenicidad reducida.
US20070104689A1 (en) * 2005-09-27 2007-05-10 Merck Patent Gmbh Compositions and methods for treating tumors presenting survivin antigens
US20070213264A1 (en) 2005-12-02 2007-09-13 Mingdong Zhou Neuregulin variants and methods of screening and using thereof
EP1981525B1 (en) 2005-12-30 2015-01-21 Zensun (Shanghai) Science and Technology Limited Extended release of neuregulin for improved cardiac function
WO2008098139A2 (en) 2007-02-07 2008-08-14 The Regents Of The University Of Colorado Axl tyrosine kinase inhibitors and methods of making and using the same
WO2010008411A1 (en) * 2007-11-09 2010-01-21 The Salk Institute For Biological Studies Use of tam receptor inhibitors as immunoenhancers and tam activators as immunosuppressors
WO2010014755A1 (en) * 2008-07-29 2010-02-04 The Regents Of The University Of Colorado Methods and compounds for enhancing anti-cancer therapy
EP2421896A1 (en) * 2009-04-22 2012-02-29 Merck Patent GmbH Antibody fusion proteins with modified fcrn binding sites
WO2012149018A1 (en) * 2011-04-25 2012-11-01 The Regents Of The University Of Colorado Mer tyrosine kinase inhibitors and methods of making and using the same
WO2013053076A1 (en) 2011-10-10 2013-04-18 Zensun (Shanghai)Science & Technology Limited Compositions and methods for treating heart failure
WO2023212664A1 (en) * 2022-04-27 2023-11-02 Arizona Board Of Regents On Behalf Of The University Of Arizona Synapse surgery tools and associated methods for neural circuit-specific synapse ablation and modification

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5585269A (en) * 1994-06-02 1996-12-17 The University Of North Carolina At Chapel Hill Isolated DNA encoding c-mer protooncogene
US5538861A (en) * 1994-07-29 1996-07-23 Amgen Inc. DNA encoding a stimulating factor for the axl receptor
US6211142B1 (en) * 1995-03-10 2001-04-03 Genentech, Inc. Compositions comprising gas6 polypeptides and articles of manufacture comprising the same
US5721139A (en) * 1995-05-10 1998-02-24 Genentech, Inc. Isolating and culturing schwann cells

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
J.Biol.Chem.,Vol.270,No.39,P.22681−22684(Sep.1995)
Molecular and Cellular Biology,Vol.13,No.8,P.4976−4985(1993)

Also Published As

Publication number Publication date
EP0815224B1 (en) 2004-07-21
AU712585B2 (en) 1999-11-11
IL117425A0 (en) 1996-07-23
AU5183696A (en) 1996-10-02
ATE271606T1 (de) 2004-08-15
US6169070B1 (en) 2001-01-02
CA2214629A1 (en) 1996-09-19
ES2225874T3 (es) 2005-03-16
DE69632949D1 (de) 2004-08-26
DE69632949T2 (de) 2005-07-28
MX9706827A (es) 1997-11-29
WO1996028548A1 (en) 1996-09-19
EP0815224A1 (en) 1998-01-07
JPH10505507A (ja) 1998-06-02
CA2214629C (en) 2001-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3342873B2 (ja) gas6による受容体活性化
JP4252111B2 (ja) Al−1神経栄養因子、eph関連チロシンキナーゼレセプターのためのリガンド
US5763213A (en) Sensory and motor neuron derived factor (SMDF)
EP0773997B2 (en) Htk ligand
US5849585A (en) Isolating and culturing Schwann cells
US6033660A (en) Method of treating a nervous system injury with cultured schwann cells
US5955420A (en) Rse receptor activation
CA2203888C (en) Al-1 neurotrophic factor, a ligand for an eph-related tyrosine kinase receptor
US20070128259A1 (en) AL-2 neurotrophic factor
US5714385A (en) Media for culturing schwann cells
US5721139A (en) Isolating and culturing schwann cells
US6610296B2 (en) Methods of enhancing cognitive function using an AL-1 neurotrophic factor immunoadhesin

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees