JP3340391B2 - 肝手術評価用試薬 - Google Patents
肝手術評価用試薬Info
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Description
際の肝切除率、肝手術後の肝再生・増加率、または肝重
量を安全にかつ簡便に測定することのできる、肝手術評
価用試薬に関する。
切除手術において、肝切除率すなわち肝切除術前の全肝
重量に対する切除肝の重量割合、および残肝量は、切除
術の評価、切除術による侵襲度を客観的に表す数値とし
て重要であり、肝機能検査と併せて予後の診断に有用な
情報となる。肝切除率および残肝量を知るには秤量によ
る測定が最も正確ではあるが、切除肝の重量を測定する
ことはできても残存肝の重量を測定することは事実上で
きない。
を決定するために、全肝CTスライスから面積測定器を
用いて予定切除範囲の切除率を術前に計測することが可
能である[Ogasawara et al. Jpn. J. Surg. 25:43 (199
5), Okamoto et al. Surgery95:586 (1984), Yamanaka
et al. Hepatology 18:79 (1993)]。しかしながら、術
後の場合は患者が侵襲状態にあり、輸液などの複数のチ
ューブにつながれているためにCTを行うことは患者に
とって負担が大きく、またCTのコストが高額であるこ
とから、多くの患者にこの方法を実施することは現実的
ではない。
するシステムは、その目的にしか使えず、汎用性がない
ことや、非常に高価であるため普及率が非常に低い。さ
らに、CT画像から肝スライスを感度よくトレースする
ためには造影剤が用いられることが多く、造影剤投与に
よるショックの危険性がある。
肝切除や肝移植手術、血管塞栓療法、アルコール注入治
療、マイクロ波凝固治療等の肝手術後、予後の良好な場
合は速やかに再生・増加する。したがって、予後の不良
の判定、治療・栄養管理のために、肝再生あるいは増加
の度合である肝再生・増加率、および再生後の肝重量に
関する情報は有用であると考えられている [Hymsfield
et al. Ann. Int. Med.90:185 (1979)] 。
用いられているのは肝機能検査と総称される検査法で、
血清アルブミン等のタンパク質の合成能、肝逸脱酵素
量、有機物質や薬物の抱合・排泄能を測定する [Merck
Manual 16th Edition (1992)]。また、肝機能検査の1
つに、フルクトースまたはガラクトースを負荷し、血中
からの除去率および血中の停滞率を測定する、糖負荷試
験がある。しかし、これらは肝再生・増加率と必ずしも
相関するものではない。
秤量による測定が最も正確ではあるが、手術後の肝臓の
重量を測定することは事実上できない。これまで行われ
てきた方法は、198Au や 99mTcによるシンチグラフィー
と [MacDermott and Weber Surgery 54:56 (1963), Par
ker and Siemsen Radiology 88:342 (1967), Barrettet
al. Cancer 22:268 (1968), Aronsen et al. Ann. Sur
g. 171:567 (1970)]、CTによる肝容量測定である [Hy
msfield et al. Ann. Int. Med.90:185 (1979)、Yamana
ka et al. Hepatology 18:79 (1993)]。しかしながら、
被験者の身体的負担、放射線被曝や、システムが高価で
あるなどの問題がある。
器であり、特にフェニルアラニンとチロシンはそのほと
んどが肝臓で代謝される [Essential of Human Metabol
ismW.C.McMurray Harper & Row, Publishers, N.Y.,(19
83)] 。この点に着目し、13C-標識フェニルアラニンを
投与し、呼気中に排出される13CO2 量の増加の度合か
ら肝臓のフェニルアラニン代謝能を評価する肝機能検査
法が近年報告されている [United States Patent No.
5,386,832 、Burke et al. Am. J. Surgery 173:270 (1
997)] 。しかしながら、肝再生・増加率との相関につい
ては一切検討されていない。
スに関しても、その主な代謝器官が肝臓であることから
[Essential of Human Metabolism W.C.McMurray Harpe
r &Row, Publishers, N.Y.,(1983)] 、13C-標識メチオ
ニン、アラニン [特許番号:第2680861]、またはガラク
トース [Mion F. et al. Life Sciences 54:2093(199
4), Walton W. et al. Gastroenterology 71:98 (197
6)]を投与し、呼気中に排出される13CO2 量の増加の
度合から肝機能を評価する検査法が報告されている。し
かしながら、これらの検査法も肝再生・増加率との相関
については一切検討されていない。
率、または肝重量は、肝手術の評価を行う上で重要であ
りながら、それらを知るための有用な手段がなく、ほと
んど行われていないのが現状である。従って、肝手術の
評価の重要な指標となる肝切除率、肝再生・増加率、ま
たは肝重量を安全かつ簡便に測定する手段が望まれると
ころである。
術後に、被験者の状態に関わらず安全かつ簡便に肝切除
率、肝再生・増加率、または肝重量を測定することので
きる、肝手術評価用試薬を提供することである。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、肝手術前後に単回ま
たは複数回、13Cで標識された芳香族アミノ酸、メチオ
ニン、アラニン、フルクトース、またはガラクトースを
投与し、呼気CO2 中の13C濃度の増加率を測定するこ
とにより、肝切除率、肝再生・増加率、または肝重量を
正確に測定することができることを見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、少なくとも1以
上の炭素が13Cで標識された芳香族アミノ酸、メチオニ
ン、アラニン、フルクトース、またはガラクトースを含
む肝手術評価用試薬である。以下、本発明を詳細に説明
する。
族アミノ酸、メチオニン、アラニン、フルクトース、ま
たはガラクトースは、少なくとも1以上の炭素が13Cで
標識された芳香族アミノ酸、メチオニン、アラニン、フ
ルクトース、またはガラクトースである。標識される炭
素位は限定されない。また、芳香族アミノ酸は、好適に
はフェニルアラニン、チロシン等が挙げられるが、これ
らに限定されるわけではない。13Cは安定同位体である
ので放射性同位体と異なり放射線被曝の危険も一切ない
ので、本剤の安全性に問題はない。
率、肝再生・増加率、または肝重量の評価は、これを被
験者に肝手術直前、あるいは手術後と、一定期間後に単
回投与あるいは持続投与し、投与後の呼気CO2 中の13
C濃度の増加率を測定することにより行う。具体的に
は、試薬投与後一定時間(例えば5分、10分、15分)経
過後における呼気CO2 中の13C濃度の増加率(Δ13C
(‰))、投与後一定時間までの呼気CO2 中の13C濃度
の増加率(Δ13C(‰))の積算、投与後一定時間までの
呼気CO2 中の13C濃度の増加率(Δ13C(‰))の経時
変化(ピーク値、立ち上がりの傾き、傾きの変化、ピー
クの時間等)を測定し、手術前後の比より評価する。
は、ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC-MS)、赤外
分光法、質量分析法、光電音響分光法、NMR(核磁気
共鳴)法で行うことができる。
くとも1以上の炭素が13Cで標識された芳香族アミノ
酸、メチオニン、アラニン(以下、標識アミノ酸とい
う)、またはフルクトース、ガラクトース(以下、標識
糖という)を単独で、あるいは賦形剤または担体と混合
し、投与経路に応じて経口剤(錠剤、カプセル剤、粉
剤、顆粒剤、液剤等)、注射剤などに製剤化される。賦
形剤または担体としては、当分野で常套的に使用され、
薬剤学的に許容されるものであればよく、その種類及び
組成は、投与経路や投与方法によって適宜変更される。
例えば、液状担体としては水が用いられる。固体担体と
しては、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロー
ス誘導体、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸塩な
どが使用される。注射剤の場合、一般に水、生理食塩
水、各種緩衝液が望ましい。また、凍結乾燥製剤とし経
口剤として用いたり、それを投与時に注射用の適当な溶
剤、例えば滅菌水、生理食塩水、電解質溶液等の静脈投
与用液体に溶解して投与することもできる。
量は、製剤の種類により異なるが、通常1〜100 重量
%、好ましくは50〜100 重量%である。例えば注射剤の
場合には、通常1〜40重量%となるよう添加すればよ
い。カプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉剤の場合は、標識ア
ミノ酸または標識糖の含量は、約10〜100 重量%、好ま
しくは50〜100 重量%であり、残部は担体である。本発
明の肝手術評価用試薬の投与量は、投与による呼気CO
2 中の13C濃度の増加を確認できる量が必要であり、患
者の年齢、体重、検査目的により異なるが、例えば1回
当たりの投与量は成人の場合、1〜1000mg/kg体重程度で
ある。
肝疾患における肝手術後の切除率、肝再生・増加率、ま
たは肝重量の正確な評価に利用できる。これらにより、
肝手術の評価、侵襲度の評価や、予後の診断に有用な情
報が提供される。以下に、本発明を実施例により具体的
に説明するが、本発明の範囲はこれらの何ら限定される
ものではない。
標識メチオニン、標識アラニン、標識フルクトース、お
よび標識ガラクトースの13C標識位置における13C純度
は99 %以上である。その他特に明記しない限り特級試薬
を用いた。尚、実験終了後のラットは過剰量のネンブタ
ールを投与し屠殺した。
ェニルアラニン呼気テストによる) [1] 方法 (1)部分肝切除ラットの作成 被験動物として、雄性Wisterラットを用い、23±2℃、
湿度 55 ±10% の条件で使用時まで飼育した。前日に一
晩絶食した9週齢の当該ラットにネンブタール腹腔内投
与(50 mg/kg)で麻酔後、開腹し、Higgins and Anders
onの方法(Archives of Pathology 12, 183, 1931)に
従い、A群;左葉切除(n=3)、B群;中葉・左葉切除(n=
3)またはC群;中葉・左葉・右葉切除(n=4)の3種の部分
肝切除ラットを作成した。
以下の呼気CO2 中の13C濃度の測定を実施した。ネン
ブタール腹腔内投与(50 mg/kg)で麻酔したラットを手
術台に固定し、頭部に呼気吸引用のキャップを被せた。
1-13C-フェニルアラニン(CIL社より購入)生理食塩水
溶液を大腿静脈より投与した(20 mg/kg)。ストローク
ポンプ [バリアブル・ストロークポンプ VS-500、
(株)柴田科学工業] を用いて呼気を約100 ml/min の
速度で吸引し、13CO2 アナライザー EX-130S [(株)
日本分光]のフローセルに導入した。呼気吸引用のキャ
ップとストロークポンプの間にはシリカゲルを充填した
カラムを設置して呼気中の水蒸気を除去した。
タはAD変換した後パーソナルコンピュータ(Apple Po
wer Macintosh 8500)に取込み、データ処理ソフトウェ
ア Lab VIEW(National Instruments)を用いて 5秒間
隔で 100msec毎 10 点のデータを積算平均し、13Catom
%、Δ13C(‰)、炭酸ガス濃度(%)に変換することで連続
測定を行った。変換したデータはリアルタイムで画面表
示した後、ハードディスク中に保存した。呼気CO2 中
の13C濃度の測定中、直腸温をモニターし、小動物用体
温コントローラー TR-100(Fine Science Tools INC.)
により、37± 0.5℃に維持した。また、吸引呼気中の炭
酸ガス濃度は 3± 0.5 %に維持した。
中の13C濃度(13C tmin)とCO2 標準ガスの13C濃度(
13Cstd)から下式により算出した。
}×1000
切除後の呼気CO2 中の13C濃度測定終了後に、残存肝
を取り出し、秤量した。秤量結果から、肝切除率を以下
のように算出した。
g)×100
呼気CO2 中の13C濃度測定では、Δ13C(‰)値は1-13
C-フェニルアラニン投与後約 2.5分でA群は286.33±6
9.57‰、B群は324 ±1‰、C群は290.25±32.07 ‰
と、それぞれピーク値まで急激に増加し、その後減少に
転じ、投与後30分にはピーク時の約1/2にまで減少した
(図1)。肝切除後の1-13C-フェニルアラニン静脈内
投与による呼気CO2 中の13C濃度測定では、Δ13C
(‰)は、A〜C群のいずれの肝切除ラットにおいても肝
切除前に比べ減少しており、Δ13C(‰)のピーク値は、
A群で181.67±33.49‰(n=3)、B群で138.00±34.39
‰(n=3)、C群で63.00±23.64‰(n=4)であった。
切除量が多かったラットほど切除後のΔ13C(‰)が大き
く減少していた。また、肝切除後のΔ13C(‰)の低下の
程度を肝切除前後でのΔ13C(‰)ピーク値の比(%)で評
価したところ、ピーク値の比は、A群;左葉切除ラット
(n=3)>B群;中葉・左葉切除ラット(n = 3)>C
群;中葉・左葉・右葉切除ラット(n = 4)と、予定し
た肝切除量が増加するほど減少していた(表1)。
量から算出した肝切除率を表2に示す。
肝切除率と、肝切除前後のΔ13C(‰)ピーク値の比の関
係をプロットしたところ、高い相関が見られた(r=0.9
21、図2)。したがって、1-13C-フェニルアラニン投
与後一定時間後のΔ13C(‰)値、あるいは、投与後のΔ
13C(‰)値のピーク値を肝切除前後で比較することによ
り、肝切除率を知ることが可能である。
ェニルアラニン呼気テストによる) [1]方法 (1)部分肝切除ラットの作成 被験動物として、雄性Wisterラットを用い、23±2℃、
湿度 55 ±10% の条件で使用時まで飼育した。一晩絶食
した9週齢の当該ラットにネンブタール腹腔内投与(50
mg/kg)で麻酔後、開腹し、Higgins and Andersonの方
法 [Archives of Pathology 12, 183, (1931)] に従
い、中葉と左葉を切除し、切除肝の重量を直ちに秤量し
た。
3日後、7日後、または、14日後)の2回、ラット
を、ネンブタール腹腔内投与(50 mg/kg)で麻酔し、手
術台に固定した。頭部に呼気吸引用のキャップを被せ、
ストロークポンプ[バリアブル・ストロークポンプ VS-5
00、(株)柴田科学工業] を用いて呼気を約 100 ml/mi
n の速度で吸引し、13CO2 アナライザー EX-130S
[(株)日本分光] のフローセルに導入した。吸引呼気
中の炭酸ガス濃度が約 3 %に安定した後に、1-13C-フ
ェニルアラニン(CIL社より購入) 生理食塩水溶液を大
腿静脈より投与した( 40 mg/kg)。呼気吸引用のキャ
ップとストロークポンプの間にはシリカゲルを充填した
カラムを設置して呼気中の水蒸気を除去した。また、呼
気CO2 中の13C濃度の測定中、直腸温をモニターし、
小動物用体温コントローラー TR-100 (Fine Science To
ols INC.)により、37± 0.5℃に維持した。
タはAD変換した後パーソナルコンピュータ(Apple Po
wer Macintosh 8500)に取込み、データ処理ソフトウェ
ア Lab VIEW (National Instruments)を用いて 5秒間隔
で 100msec毎 10 点のデータを積算平均し、13Catom%
、Δ13C(‰)、炭酸ガス濃度(%)に変換することで連続
測定を行った。変換したデータはリアルタイムで画面表
示した後、ハードディスク中に保存した。Δ13C(‰)計
算は、前記の式より算出した。
度の測定終了後、全肝、すなわち、再生肝を摘出し直ち
に秤量した。本実験で使用したラットにおける肝中葉・
左葉切除による切除率を決定するため、肝部分切除直後
に残存肝を摘出し、切除肝と残存肝重量の秤量を行う実
験をあらかじめ実施した。その結果、切除率は 68.0 ±
1.0% (n=6)であった。したがって、切除肝重量と再
生肝重量の秤量結果から、肝再生を以下のように算出で
きる。
量 g/0.68)}×100
4)、3日後では 57.7±5.8%(n=6)、7日後で 63.3±
13.7% (n=4)と増加し、14日後で 90.2±7.9%(n=4)
まで再生していた。肝切除直前の1-13C-フェニルアラ
ニン静脈内投与による呼気CO2 中の13C濃度測定で
は、Δ13C(‰)値は1-13C-フェニルアラニン投与後急
激に増加し、約 2.5分でピークに達し(309.1±19.3‰
(n=18))、その後漸次減少した(図3)。肝部分切除手
術実施後は、1-13C-フェニルアラニン投与後急激に増
加し、約 2.5分でピークに達する点では肝部分切除直前
と同様であったが、ピーク値は肝部分切除1日後では著
しく低下していた(86.2±9.9‰(n=4))。その後ピーク
値は3日後では 139.0±19.7‰(n=6)、7日後で 245.4
±45.5‰(n=4)と、肝再生の増加と同様に増加し、1
4日後で術前に近い 272.6±15.2‰(n=4)となった
(図4)。
13Cピーク値(‰)と術前Δ13Cピーク値(‰)の比({切
除・飼育後Δ13Cピーク値(‰)/術前Δ13Cピーク値
(‰)}×100(%))をプロットしたところ高い相関(相関
係数 0.904 (p<0.001))が見られた(図5)。したがっ
て、術前と術後の回復過程における1-13C-フェニルア
ラニン投与後のΔ13Cピーク(‰)値を比較することによ
り、肝再生率を評価することが可能である。
メチオニン呼気テストによる) [1]方法 (1)部分肝切除ラットの作成 被験動物として、雄性Wisterラットを用い、23±2℃、
湿度 55 ±10% の条件で使用時まで飼育した。一晩絶食
した12〜15週齢の当該ラットにネンブタール腹腔内投与
(50 mg/kg)で麻酔後、開腹し、Higgins and Anderson
の方法 [Archives of Pathology 12, 183, (1931)] に
従い、中葉と左葉を切除し、切除肝の重量を直ちに秤量
した。
3日後、7日後、または、14日後)の2回、ラット
を、ネンブタール腹腔内投与(50 mg/kg)で麻酔し、手
術台に固定した。頭部に呼気吸引用のキャップを被せ、
ストロークポンプ[バリアブル・ストロークポンプ VS-5
00、(株)柴田科学工業] を用いて呼気を約 100 ml/mi
n の速度で吸引し、13CO2 アナライザー EX-130S
[(株)日本分光] のフローセルに導入した。吸引呼気
中の炭酸ガス濃度が約 3 %に安定した後に、1-13C-メ
チオニン(mass Trace社より購入) 生理食塩水溶液を大
腿静脈より投与した(40 mg/kg)。呼気吸引用のキャッ
プとストロークポンプの間にはパーマピュアドライヤー
(MD-050-12P、Perma Pure INC.)を設置して呼気中の
水蒸気を除去した。また、呼気CO2 中の13C濃度の測
定中、直腸温をモニターし、小動物用体温コントローラ
ー TR-100 (Fine Science Tools INC.)により、37± 0.
5℃に維持した。
タはAD変換した後パーソナルコンピュータ(Apple Po
wer Macintosh 8500)に取込み、データ処理ソフトウェ
ア Lab VIEW (National Instruments)を用いて 5秒間隔
で 100msec毎 10 点のデータを積算平均し、13Catom%
、Δ13C(‰)、炭酸ガス濃度(%)に変換することで連続
測定を行った。変換したデータはリアルタイムで画面表
示した後、ハードディスク中に保存した。Δ13C(‰)計
算は、前記の式より算出した。
度の測定終了後、全肝、すなわち、再生肝を摘出し直ち
に秤量した。肝再生率は前記の式より算出した。
6)、3日後では 48.1±3.6%(n=6)、7日後で 73.2
±10.6% (n=7)と増加し、14日後で 96.1±12.7%
(n=6)まで再生していた。肝切除直前の1-13C-メチ
オニン静脈内投与による呼気CO2 中の13C濃度測定で
は、Δ13C(‰)値は1-13C-メチオニン投与後10分まで
増加を続けた(図6)。投与後10分のΔ13C値は162.9
±31.9‰(n=25)であった。肝部分切除手術実施後
は、1-13C-メチオニン投与後10分まで増加を続ける点
では肝部分切除直前と同様であったが、投与後10分のΔ
13C値は肝部分切除1日後では著しく低下していた(5
0.7±11.1‰(n=6))。3日後では 89.9±3.8‰(n=
6)、7日後で112.7±21.7‰(n=7)、14日後で 14
0.2±7.3‰(n=6)と、肝再生の増加と同様に増加した
(図7)。
術前の1-13C-メチオニン投与後10分間の呼気中13CO2
総排出量の比({切除・飼育後の1-13C-メチオニン投
与後10分間の呼気中13CO2総排出量(A.U.)/術前の1-
13C-メチオニン投与後10分間の呼気中13CO2総排出量
(A.U.)}×100(%))をプロットしたところ高い相関(相
関係数 0.939)が見られた(図8)。したがって、術前
と術後の回復過程における1-13C-メチオニン投与後10
分間の呼気中13CO2総排出量を比較することにより、
肝再生率を評価することが可能である。
チオニン、1-13C-アラニン、1-13C-カ゛ラクトース、1-13C-
フルクトース呼気テストによる) [1]方法 (1)部分肝切除ラットの作成 被験動物として、雄性Wisterラットを用い、23±2℃、
湿度 55 ±10% の条件で使用時まで飼育した。一晩絶食
した 12〜15週齢の当該ラットにネンブタール腹腔内投
与(50 mg/kg)で麻酔後、開腹し、Higgins and Anders
onの方法 [Archives of Pathology 12, 183, (1931)]
に従い、A群;左葉切除、B群;中葉・左葉切除または
C群;中葉・左葉・右葉切除の3種の部分肝切除ラット
を作成した。
て、以下の呼気CO2 中の13C濃度の測定を実施した。
ネンブタール腹腔内投与(50 mg/kg)で麻酔したラット
を手術台に固定した。頭部に呼気吸引用のキャップを被
せ、ストロークポンプ [バリアブル・ストロークポンプ
VS-500、(株)柴田科学工業] を用いて呼気を約 100
ml/min の速度で吸引し、13CO2 アナライザー EX-130
S [(株)日本分光] のフローセルに導入した。吸引呼
気中の炭酸ガス濃度が約 3 %に安定した後に、生理食塩
水に溶解した1-13C-メチオニン(mass Trace社より購
入)40 mg/kg、1-13C-アラニン(mass Trace社より購
入)20 mg/kg、1-13C-ガラクトース(ICON社より購
入)100mg/kg、または1-13C-フルクトース(ICON社よ
り購入)100 mg/kgを大腿静脈より投与した。呼気吸引
用のキャップとストロークポンプの間にはパーマピュア
ドライヤー(MD-050-12P、Perma Pure INC.)を設置し
て呼気中の水蒸気を除去した。また、呼気CO2 中の13
C濃度の測定中、直腸温をモニターし、小動物用体温コ
ントローラー TR-100 (Fine Science Tools INC.)によ
り、37± 0.5℃に維持した。
タはAD変換した後パーソナルコンピュータ(Apple Po
wer Macintosh 8500)に取込み、データ処理ソフトウェ
ア Lab VIEW (National Instruments)を用いて 5秒間隔
で 100msec毎 10 点のデータを積算平均し、13Catom%
、Δ13C(‰)、炭酸ガス濃度(%)に変換することで連続
測定を行った。変換したデータはリアルタイムで画面表
示した後、ハードディスク中に保存した。Δ13C(‰)計
算は、前記の式より算出した。
存肝を摘出し直ちに秤量し、部分肝切除後の肝重量(残
存肝の重量)とした。また、切除部分の重量と残存肝の
重量の合計を、部分肝切除前の肝重量とした。
の呼気中13CO2 総排出量(投与から10分間の呼気CO
2 中の13C濃度の積算)をプロットしたところ相関係数
0.846で相関が見られた(図9)。したがって、1-13C
-メチオニン投与後10分間の呼気中13CO2総排出量を比
較することにより、肝重量を評価することが可能であ
る。
呼気中13CO2 総排出量(投与から10分間の呼気CO2
中の13C濃度の積算)をプロットしたところ相関係数
0.881で相関が見られた(図10)。したがって、1-13
C-アラニン投与後10分間の呼気中13CO2総排出量を比
較することにより、肝重量を評価することが可能であ
る。
間の呼気中13CO2 総排出量(投与から10分間の呼気C
O2 中の13C濃度の積算)をプロットしたところ相関係
数 0.672で相関が見られた(図11)。したがって、1-
13C-フルクトース投与後10分間の呼気中13CO2総排出
量を比較することにより、肝重量を評価することが可能
である。
間の呼気中13CO2 総排出量(投与から10分間の呼気C
O2 中の13C濃度の積算)をプロットしたところ相関係
数0.650で相関が見られた(図12)。したがって、1-
13C-ガラクトース投与後10分間の呼気中13CO2総排出
量を比較することにより、肝重量を評価することが可能
である。
水を加え全量を100重量部として、これを溶解後ミリ
ポアフィルターを用いて除菌濾過した。この濾液をバイ
アル瓶にとり、密封して注射剤を得た。
加え全量を100重量部として、これを溶解後ミリポア
フィルターを用いて除菌濾過した。この濾液をバイアル
瓶にとり、密封して内服液剤を得た。
え全量を100重量部として、これを溶解後ミリポアフ
ィルターを用いて除菌濾過した。この濾液をバイアル瓶
にとり、密封して注射剤を得た。
加え全量を100重量部として、これを溶解後ミリポア
フィルターを用いて除菌濾過した。この濾液をバイアル
瓶にとり、密封して注射剤を得た。
小さく、正確な検査結果を即時に知ることができ、かつ
副作用がなく安全に使用できる肝手術評価用試薬が提供
される。本発明の肝手術評価用試薬は、肝手術後の正確
な肝切除率、肝再生・増加率、または肝重量の測定に有
用である。これらにより、肝手術の評価、侵襲度の評価
や、予後の診断に有用な情報が提供される。
中13C濃度の増加率を各群から一例ずつ示す。
ラニン投与後のΔ13C(‰) ピーク値の比の相関を示
す。
ルアラニン投与後の呼気CO2中の13C濃度の増加率の
経時変化を示す。
に実施した1-13C-フェニルアラニン投与後の呼気CO
2 中の13C濃度の増加率の経時変化を示す。
ニン呼気テストにおける切除・飼育後Δ13Cピーク値
(‰)と術前Δ13Cピーク値(‰)の比({切除・飼育後Δ
13Cピーク値(‰)/術前Δ13Cピーク値(‰)}×100
(%))の相関を示す。
ニン投与後の呼気CO2 中の13C濃度の増加率の経時変
化を示す。
に実施した1-13C-メチオニン投与後の呼気CO2 中の
13C濃度の増加率の経時変化を示す。
の1-13C-メチオニン投与後10分間の呼気中13CO2総排
出量の比({切除・飼育後の1-13C-メチオニン投与後1
0分間の呼気中13CO2総排出量(A.U.)/術前の1-13C-
メチオニン投与後10分間の呼気中13CO2総排出量(A.
U.)}×100(%))の相関を示す。
ストにおける投与後10分間の13CO2総排出量の相関を
示す。
ストにおける投与後10分間の13CO2総排出量の相関を
示す。
気テストにおける投与後10分間の13CO2総排出量の相
関を示す。
気テストにおける投与後10分間の13CO2総排出量の相
関を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも1以上の炭素が13Cで標識さ
れた芳香族アミノ酸、メチオニン、アラニン、フルクト
ース、又はガラクトースを含む、肝切除率を測定するた
めの肝手術評価用試薬。 - 【請求項2】 少なくとも1以上の炭素が13Cで標識さ
れた芳香族アミノ酸、メチオニン、アラニン、フルクト
ース、又はガラクトースを含む、肝再生・増加率を測定
するための肝手術評価用試薬。 - 【請求項3】 少なくとも1以上の炭素が13Cで標識さ
れた芳香族アミノ酸、メチオニン、アラニン、フルクト
ース、又はガラクトースを含む、残存肝重量又は再生肝
重量を測定するための肝手術評価用試薬。 - 【請求項4】 芳香族アミノ酸がフェニルアラニン又は
チロシンである請求項1〜3のいずれか1項記載の肝手
術評価用試薬。 - 【請求項5】 1位の炭素が13Cで標識されたフェニル
アラニン、チロシン、メチオニン、アラニン、フルクト
ース、又はガラクトースを含む請求項1〜3のいずれか
1項記載の肝手術評価用試薬。
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