JP2680861B2 - 診断剤 - Google Patents

診断剤

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、肝臓機能の診断を目的とする診断剤に関
するものである。
[要約] この発明は、胃および腸管で吸収され、肝臓で主とし
て代謝を受ける化合物を含有する、診断剤を提供する。
[従来の技術および発明の課題] 肝臓の機能診断を目的として諸種の有用試薬が既に開
発され、実用化されている。これらを分類すれば、肝
臓の疾患によって生じる肝細胞壊死に伴う血流への諸酵
素の流出検査を目的とするもの、および同様の理由に
よる血流への諸化学物質の流出検査を高感度、微量領域
で行うことを主眼とするものが包含される。また近年、
がん化の早期発見を目的として、がん化に伴って特異
的に血液中に増加する諸成分の高感度、微量定量化を主
眼とするものも実用化されている。
しかし、肝臓細胞の壊死などの状況にない初期疾患状
態での肝臓各種細胞群の活性を鋭敏に検知できる診断薬
については、全く未開発のまま取り残されているのが現
状である。
[発明の目的および構成] この発明は、正常肝機能との僅少の差に基づいて、疾
患肝機能を、肝細胞の壊死以前に鋭敏に検知し、肝疾患
の診断に役立てることを目的とした診断剤に関わるもの
である。
この発明は、放射性同位体または安定同位体で標識さ
れた下記に示す化合物 L−メチオニン L−アラニン の少なくとも一つを含有してなる、肝臓機能の診断を目
的とした診断剤を提供するものである。
上記診断剤には、化合物の一種または複数を経口投与
した後の肝臓の核医学的画像化もしくはCT的画像化の結
果から、肝機能の活性度および病態局在性を診断するこ
とを目的とする診断剤、化合物の一種または複数を経口
投与した後の血液の一部を採取し、その血液中の上記化
合物に該当する代謝物を放射性トレーサ技術を含む一般
的分析化学的技法によって分析定量することにより、肝
臓の機能の活性度を測定し診断することを目的とする診
断剤、および化合物の一種または複数を経口投与した後
呼気の一部を採取するかまたは連続的に一定流量を検出
部に通過させる方法により、上記化合物に関わる最終代
謝産物としてのCO2を放射性呼気流量自動検出法または
赤外吸収もしくはGC(ガスクロマトグラフィー)/マス
(質量分析)検出法によって検出し、肝臓の機能の活性
度を測定し診断することを目的とする診断剤が含まれ
る。
この発明で用いる化合物は、経口的投与によって哺
乳類の胃から吸収され、短時間で肝門脈を経て肝臓に到
達することを第1の特徴としている。つぎに、投与量
の一定量が確実に肝臓を通過してから循環器系へと供給
されることを特徴としている。また、肝臓において初
回通過中に、相当量(健康もしくは病態の程度によって
定まる)が肝臓に特有の酵素によって代謝を受け、その
代謝産物は循環器系を経て、呼気もしくは尿として排泄
されることを特徴としている。
これらの3つの条件に該当する化合物のうち、血液
中に当該代謝産物が肝機能の活性度と密接に関係して検
出されること、または呼気中に炭酸ガスとなって排泄
され、その排泄率と肝機能の活性度とが密接に関係して
いること、または肝臓内に上記化合物が代謝を受ける
ため捕捉されている留置の局在性分布と、その留置の動
態が肝機能の活性度および活性部位と密接に関係してい
ることの何れか一つまたはその複合条件を提供すること
を特徴としている。
上記化合物は、天然には存在しない安定同位元素で標
識されたものであってもよく、あるいは1種以上の放射
性同位元素で標識されたものであってもよい。安定同位
元素としては例えば、2H、13C、15N、18O、放射性同位
元素としては例えば、3H、11C、14C、35Sが含まれる。
この発明の診断剤を生体に投与するに際しては、上記
標識化合物の少なくとも1種を、例えば経口投与または
非経口投与に適する固体または液体の無機または有機製
薬用担体を混合して、製剤の形にするのが便利である。
このような製剤には、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル
等の固体、および溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液体が含ま
れる。上記担体としては、でんぷん、乳糖、ぶどう糖、
しょ糖、デキストリン、セルロース、パラフィン、脂肪
酸グリセリド、水、アルコール等が用いられる。また、
必要に応じて、補佐薬、安定剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢
剤、結合剤および他の常用添加剤を加えることができ
る。
投与量は、対象の体重、年令、性別、症状、診断の目
的等により異なるが、一般に1−100mg/kg体重または個
体当り0.1〜50μCiである。
この発明で使用する化合物またはその塩の毒性は、公
知であり、極めて少ない。
化合物の体内分布の測定は、任意の繁用される核医学
的または核生化学的方法によることができる。このよう
な方法には、例えば液体シンチレーションカウンター
法、ラジオガスクロマトグラフィー法、フルオログラフ
ィー法、オートラジオグラフィー法、核磁気共鳴法等が
含まれる。
この発明で用いる測定の原理を例を挙げて説明すると
次の通りである。
L−メチオニンの消化管内吸収部位が主として胃腔内
粘膜および十二指腸内粘膜であり、極短時間内で吸収反
応が終了することの発見。
実施例……1(2)(オートラジオグラフ) 実施例……1(3)(ラジオレスピロメトリー波形) 被吸収L−メチオニンは、最初の器官として肝臓に供
給され、肝臓で潤された後残余が循環血によって運ばれ
他器官および組織に供給されることの発見。
実施例……1(2)(オートラジオグラフ) 静脈内からのL−メチオニンの供給は、心臓および肺
に供与された後、その他の器官および組織に供与される
ことの発見。
実施例……1(4)(オートラジオグラフ) 経口投与後10分のマクロオートラジオグラフ像から、
肝臓内濃度分布は、肝葉別、各部別に極端な濃度差を示
した。
実施例1(2)……(オートラジオグラフ) 肝炎および肝がんラットは、iv投与ではオートラジオ
グラフ像およびラジオレスピロメトリー波形ともに正常
ラットとの差が認められなかったが経口投与では両者間
に大きな差を生じ、肝臓の機能低下を記録した。
実施例1(5) オートラジオグラフ像とシンチカメラ像は、完全な一
致性を示す。(多くの文献あり) 以上の原理に基づき、放射性もしくは安定同体標識の
L−メチオニンを指標として、静脈内(iv)投与および
経口(po)投与後に経時的に記録される両シンチカメラ
のRI画像が、その時におけるメチオニン代謝活性の肝臓
内局在分布を示すと共に、両投与法によるRI画像の差引
結果から、極微少の肝葉局所内メチオニン代謝活性の特
異性を増感して示すことが可能となった。また、この特
異性は標識の位置によってそれぞれ特徴のある分布を示
した。
つぎにラットを例にとって血中同位体濃度を指標とし
た。iv投与法の場合は、投与後数分間の極めて速い減少
とその後10分間程の幾分緩徐な減少に続いて、幾分の上
昇期間が30分間程度示され、1時間以後は極めて緩徐な
下降曲線を示した。これに対し、経口投与の場合は、投
与後30分の上昇の後、jv投与における上昇曲線に一致し
てさらに30分の上昇を続け、その後も全くiv投与の血中
濃度曲線に一致した動態を示した。非疾患状態のラット
に対して、肝疾患を有する場合は、上記の肝臓内標識同
位体の局在と肝臓を通過した後の血中の同位体濃度が、
著しく異なっていた。この差はiv投与では僅少であった
が、po投与では顕著な差となって現れた。これらは実施
例1および2に示されている。
[実施例] 以下、この発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。
実施例1: (1)投与薬物の調剤 L−[カルボキシル−14C]メチオニン[Lot No.CFA
−433]の57.0mCi/mmolをアマシャムジャパンから購入
し、これを無菌精製水で希釈して、注射液もしくは注入
液を調製した。ラット静脈内投与の場合にはこの注射液
の0.1mlを尾静脈内に注射し、経口投与の場合には、こ
の注射液の0.1mlをラット胃腔内に金属性ゾンデを用い
て強制注入した。
(2)[カルボキシル−14C]メチオニンを正常ラット
に経口投与後10分および60分後のマクロオートラジオグ
ラフ所見 10μCi/0.1mlの濃度に調整した該標識注射液をウイス
ター(Wistar)系雄性ラットの5週令(150g)に経口投
与した。ラットは、予め24時間の絶食処置を施した。投
与後10分および60分に各ラットをエーテル麻酔死させ、
直ちに液体窒素によって凍結し、左側面を頭部から尾部
に切削して縦断面を得た。この面のうち、左腎臓を有す
る薄切切片(15〜20μm)と正中面の同切片を作成し、
凍結乾燥後、X線フィルムと密着させることによりオー
トラジオグラフを作製した。この方法はウルバーグ法原
法に近い方法である。その写真は一定期間の露出の後、
写真処理したもので、第1図A、B(10分後)および第
2図A、B(1時間後)のとおりである(各図Aは腎
面、Bは正中面)。第1図および第2図から、主な写真
像(黒化像)は、胃腔内容物、小腸内容物、肝臓、腎
臓、骨髄、脾臓および鼻腔と腔粘膜に認められた。
とくに注目すべきは肝臓であって、各肝葉別に、また
肝小葉別に、放射能の特色ある局在分布が記録されてい
た。この写真(経口的投与法であるにも拘わらず肝内局
在分布を示す)から、肝小葉は、それぞれ独立してメチ
オニンの摂取能を有していることが強調された。
(3)カルボキシル−14C]メチオニンを正常ラットに
経口とiv投与後のラジオレスピロメトリー波形 ウイスター系雄性ラット5週令を用いて、1匹あたり
2.68μCiの[カルボキシル−14C]メチオニンを絶食状
態で経口投与した。絶食は24時間とした。第3図(a:経
口、b:静注)から経口投与により得られた呼気14CO2
形は、極めて高くかつ高濃度の持続時間も長時間に亘っ
ていた。呼気中に放射性CO2が検出され始める時期は投
与後30秒未満(測定器の直線型レートメータの時定数が
30秒)で、その後急速に放射能濃度が上昇し、投与後10
分頃に、ほぼ定常的高濃度となった。その後43分間程度
定常状態が持続した。その後は10分程のやや急速な減少
がありさらに最終減少曲線へと移行した。投与後90分間
の投与量に対する呼気14CO2放射能回収率は、85%であ
った。そしてivの場合(第3図b)は25.33%であっ
た。経口投与で得られた呼気14CO2の排泄パターンはiv
ルートからの[カルボキシル−14C]メチオニンの排泄
パターンと比べて、極めて長いことが特徴的であった。
また投与直前から10分程度のところに定常波高に達する
時点(P:タイム)があり、これはiv投与の場合と比べ
て、ほぼ近似していた。しかし定常状態の期間がiv投与
の場合より長いため必然的にP2のタイムは、延長してい
た。これらの結果からは、メチオニンが胃腔から主とし
て吸収を受けること、またその主な供給器官は肝臓であ
るため、ivの場合より高い燃焼を示すこと、またその燃
焼の持続期間もivの場合より延長されることなど、ivの
全器官・組織供給型とは違った形態を顕著に示すことが
示唆された。なおラジオレスピロメトリー波形の比較に
用いられる用語は、別添の文献のとおりである。
(4)[カルボキシル−14C]メチオニンを正常ラット
静脈内(iv)投与後10分および60分のマクロオートラジ
オグラフ 投与後10分(第4図A、B)の放射能分布:下大静
脈、心室内、肝臓内などに観察される血液と比べて他の
多くの部分が高黒化濃度を示した。膵臓は小臓器ながら
最も高く、次いで腎臓がやや顕著に高かった。心筋、肝
臓、骨格筋、鼻腔、口腔粘膜、消化管粘膜、ハーダー氏
腺、漿腺、各種唾腺、骨髄、毛根などほぼ近似の高い濃
度を示した。脳、脊髄などは、上記の多くの部分より低
かったが精巣、脂肪体、精巣上体、褐色脂肪体よりは幾
分高い濃度を示した。投与後60分(第5図A、B)では
各器官および組織の黒化濃度は全体として低下していた
が、肝臓でやや低下が速い傾向を示したほかは相互の濃
度がほぼ同じ割合を保っていた。上記2時点のオートラ
ジオグラフ所見から、血管系にトレーサの標識メチオニ
ンを与えた後の各器官・組織の摂取は速いこと、一たび
摂取されたメチオニンの放射能は、1時間の間で、容易
に大きく体内組織間で相互交換されないこと、それぞれ
の場所で徐々に代謝消費されていること等が示唆され
た。このようなiv投与後のメチオニン由来の放射能の体
内分布に対して、先の(2)で得られた経口投与の場合
は、被吸収部分の100%が肝臓を通過してから全身へ配
分されることによって、肝臓機能が強調されて画像化さ
れたことが明らかとなった。とくにトレーサー量の投与
の場合、肝臓で摂取時飽和することはないから、肝臓で
の十分な選択的摂取が行われたためにivとは異なった全
身分布になったと思われる。
(5)[カルボキシル−14C]メチオニンを経口もしく
はiv投与後の肝炎ラットの全身マクロオートラジオグラ
フとラジオレスピロメトリー波形 ヒト肝炎のモデルとしてラットに四塩化炭素を投与し
て、急性肝炎症状を起こさせた。この肝炎ラットを用い
て、標識メチオニンを(4)と同様にiv投与した全身マ
クロオートラジオグラフ像は、先の(4)に記載した正
常ラットの黒化像と極めて近似し、ほとんど差がなかっ
た。すなわち、肝炎ラットにおいても、正常ラットと同
様、膵臓が最も高い黒化像を示し、腎臓がそれに次ぎ、
肝臓、心筋、骨格筋、鼻腔、口腔粘膜、唾腺、消化管粘
膜、ハーダー氏腺などに高い濃度を記録した。肝臓内の
黒化濃度の分布が特に病態を示したことはなかった。ま
た呼気14CO2波形についても全く正常ラットのそれと差
が認められず、90分間の放射能回収率は15.2%であっ
た。これに対して、経口投与後の肝炎ラットの場合オー
トラジオグラフ像の肝臓は、黒化度は、他の器官・組織
に比べて高かったが、局在分布は、病態の状態を明確に
写し出し、特に炎症部の黒化度はきわめて希薄であっ
た。また経口投与後の呼気14CO2波形は、回収率でも正
常ラットの3/5に減少した(第6図参照)。P1タイム、P
1−P2期間などは、正常ラットと近似していたが、波高
については、きわめて低下していた。呼気波形の減少曲
線α相は、正常ラットのα相と比べて緩徐であったが、
β相は正常ラットのそれとよく一致していた。経口投与
の場合正常ラットの排出率は、iv投与の場合と比べて、
ほぼ160%に上昇していたが、これは投与量に対する排
泄率のみでなく、波高にも及んでいた。しかし、肝炎ラ
ットの場合には、その病態の軽度(第7図b参照)、中
等度(第6図参照)および重度(第7図a参照)の順に
正常ラットよりも低波高のP1の高さが病態の鋭敏な指針
となっていた。丘陵形の台形上辺は僅かな病態でも急激
に低下する傾向を示した。軽度で正常の3/11、中等等で
1.1/11、重度でも1.1/11であったのに対し、P1の高さは
正常の7/8.5、中等度で2.5/8.5、重度で0.8/8.5であっ
た。
実施例2:14C−アラニンおよび14C−グルタミン酸を正常
ラットおよび糖尿病ラットに経口もしくは静脈内投与し
た後の呼気 14C−アラニンおよび14C−グルタミン酸をそれぞれ正
常および糖尿病ラットに投与した結果は第8図aおよび
b並びに第8図cおよびdに示されている。それぞれの
投与液は、体重200gのラットに対して、5μCi/0.2mlの
水溶液として調製されていた。また、それぞれの薬剤
は、アマーシャム・カンパニーから購入された。
14C−アラニンの合〔第8図a(経口)およびb(静
脈注射)〕は、14C−グルタミン酸〔第8図c(経口)
およびd(静脈注射)〕に比べて正常と糖尿病の差が顕
著であった。正常ラットでは、14C−アラニンの第1ピ
ーク(P1)の時間は7分であって、最高濃度を10分間保
ったが、その後は緩徐な減少波形曲線を示した。14C−
グルタミン酸は、波形が投与後急速な上昇曲線を示し、
7分頃でP1となった後、極端に速い減少曲線を示した。
一方糖尿病ラットでは、14C−アラニンの波高は、正常
と比べて極めて低く、静脈内注射および経口内投与法を
比較すると、経口投与法では最大の波高を示して後の減
少が極めて緩慢となっていたが、静脈注射では、単に波
高が著しく低かったのみで、減少曲線は大きな半減期の
差を示さなかった。
上記各実施例に記載したように、静脈内および経口の
両投与ルートから与えた標識メチオニン等の肝臓内局在
分布の差と、血中および呼気中同位体濃度の差を指標と
することによって、健康と病態の肝機能の活性度を正確
に定量性、連続性、再現性を小肝葉別に自動記録し、か
つ画像化できることが明らかとなった。
本実施例中放射性もしくは安定同位体として14Cを標
識のために用いたが、この核種を半減期の短い11Cとし
てひと臨床例を得れば、14Cの場合の全身オートラジオ
グラフに換えて、シンチカメラ画像に表現できる。この
場合、肝臓の機能診断に全く新しい分野を拓くことは、
容易に推察される。従来の診断は、単に肝臓の組織の異
変に基づく循環血中へのGOTまたはGPTなど酵素の流入や
ビリルビンなどの赤血球の異常崩壊に基因する特殊成分
の流入を検出する方法に依っていた。これに対して本発
明に関る標識メチオニンの経口投与後の肝臓RIシンチ画
像は、小肝葉の局所のメチオニン代謝機能の活性を詳細
に描画することが可能なことが先の全身マクロオートラ
ジオグラフから容易に類推できるのである。この場合の
メチオニン代謝が、投与メチオニンの標識位置によっ
て、主としてどの酵素に依存しているかを示唆している
ことは言うまでもない。すなわち、11Cもしくは13Cの標
識位置がメチル位であれば、メチル転移酵素の活性度に
応じて、メチオニンから離脱してC1単位として転移し、
最終的には、CO2となった呼気中に排泄されるから、呼
気中もしくは血中の11Cもしくは13Cを常時計測すること
によってその酵素の肝内における活性度を検出できる。
さらにシンチカメラを用いた画像化法を利用すれば、小
肝葉ごとの酵素活性度地図を得ることが可能となる。ま
11Cもしくは13Cで標識したメチオニンを診断薬として
用いる場合には、肝臓内において、トランスメチレーシ
ョン、トランス・スルフヒドリレーション、トランスア
ミネーションの諸反応の後、はじめてメチオニン代謝物
が、TCA回路に編入されることから、これら諸酵素の活
性度のうち、どれか一つの酵素活性度について異状に低
下していれば、メチオニン代謝はその酵素反応の段階で
律速を受けることは明らかである。そこで肝臓での代謝
を受けた成分は標識核を含み検出器によって検出可能で
あるから血中濃度もしくは、呼気中炭酸ガス濃度を連続
または定期的に検出することによって、肝臓内の諸酵素
の活性度を計測できる。一方肝臓のシンチグラフ画像は
11C標識メチオニンを用いた場合に得ることが可能で、
さきの[メチル−11C]の場合と異なり、トランスメチ
ラーゼ、トランスフィドラーゼおよびトランスアミナー
ゼの場合の活性度について、小肝葉の活性度を検知する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図、および第2図は、いずれも、実施例1における
ラット切片のX線写真であり、生物の形態を示す写真で
ある。 第3図は、実施例1(3)における呼気14CO2波形図で
ある。 第4図および第5図は、いずれも、実施例1(4)にお
けるラットマクロオートラジオグラフであり、生物の形
態を示す写真である。 第6図は、実施例1(5)における呼気14CO2波形図で
ある。 第7図は、実施例1(5)における呼気14CO2波形図で
ある。 第8図は、実施例2における呼気14CO2波形図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 日本臨牀46巻・1988年増刊号「肝胆疾 患(上)−新しい診断・治療体系−」 (昭63−2−28)日本臨牀社 p.1108 −1114

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射性同位体または安定同位体で標識され
    た下記化合物: L−メチオニン L−アラニン の少なくとも1種からなる肝臓機能診断剤。
  2. 【請求項2】放射性同位体で標識された下記化合物: L−メチオニン L−アラニン の少なくとも1種を含み、経口投与された後呼気の一部
    を採取するかまたは連続的に一定流量を検出部に通過さ
    せる方法により、上記化合物に関わる最終代謝産物とし
    てのCO2を放射性呼気流量自動検出法によって検出し、
    肝臓機能の活性度の測定に用いられる診断剤。
  3. 【請求項3】安定同位体で標識された下記化合物: L−メチオニン L−アラニン の少なくとも1種を含み、経口投与された後呼気の一部
    を採取するかまたは連続的に一定流量を検出部に通過さ
    せる方法により、上記化合物に関わる最終代謝産物とし
    てのCO2を赤外線吸収もしくはガスクロマトグラフィ/
    質量分析検出法によって検出し、肝臓機能の活性度の測
    定に用いられる診断剤。
  4. 【請求項4】放射性同位体で標識された下記化合物: L−メチオニン L−アラニン の少なくとも1種を含み、経口投与された後の血液の一
    部を採取し、その血液中の前記化合物に該当する代謝物
    を放射性トレーサ技術を含む分析法によって分析定量
    し、肝臓機能の活性度の測定に用いられる診断剤。
  5. 【請求項5】放射性同位体で標識された下記化合物: L−メチオニン L−アラニン の少なくとも1種を含み、経口投与された後の肝臓の核
    医学的画像化またはCT画像化の結果による肝臓機能の活
    性度の測定に用いられる診断剤。
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日本臨牀46巻・1988年増刊号「肝胆疾患(上)−新しい診断・治療体系−」(昭63−2−28)日本臨牀社 p.1108−1114

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