JP3338682B2 - ロール - Google Patents

ロール

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JP3338682B2
JP3338682B2 JP36045599A JP36045599A JP3338682B2 JP 3338682 B2 JP3338682 B2 JP 3338682B2 JP 36045599 A JP36045599 A JP 36045599A JP 36045599 A JP36045599 A JP 36045599A JP 3338682 B2 JP3338682 B2 JP 3338682B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はロールに関し、詳
しくは穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金属以外の比
較的軟質な材料の粉砕や成形、その他の加工に用いられ
るロールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、穀物粉砕用のロールにはチルド鋳
鉄ロールやグレンロールが、また段ボール紙の成形に用
いるロール(コルゲーティングロール)には鋼系ロール
を表面焼入れする等したロールが用いられてきた。その
理由は、チルド鋳鉄ロールやグレンロールにおいては、
その組織中に炭化物が非常に多く晶出しており、硬度が
高いことから、耐摩耗性に優れることによるものであ
る。また前記表面焼入れ等の表面処理を施した鋼系のロ
ールは、目立て加工等の細かな加工を施した後に表面硬
化させることができることから、表面に複雑な加工を必
要とするこの種のロールによく用いられていた。一方、
近年における金属の熱間圧延用ロールの分野において
は、耐摩耗性の要求水準が高度化し、耐摩耗性に優れた
金属圧延ロールとして、例えば特開平1−96355号
公報、特開平2−88745号公報、W088/075
94号公報、及びW091/19824号公報に開示さ
れているような、高炭素系ハイス材料で製造された熱間
圧延用ロールが提供されている。これらのハイス系金属
圧延用ロールは、Cr、Mo、W、V、Co等を数%含
有し、特に硬質のMC型炭化物を主体とし、MC型や
C型炭化物も晶出させた組織構成としているため、
優れた耐摩耗性を有している。これらのハイス系圧延用
ロールは、その高温硬度が高いという特徴から金属の熱
間圧延に好ましく用いられている。が、金属圧延以外の
加工にはほとんど用いられていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記チルド鋳
鉄ロールの場合には、チルド材質ゆえ、靭性に乏しく、
またロール温度を調節するのに必要なロールの加熱、冷
却の熱サイクル等によって熱亀裂が生じ易いといった問
題が有った。更にロール原単位の低減という経済的要請
からは、更に耐摩耗性に優れたものが要求される状況に
あった。一方、上記従来のハイス系の金属圧延用ロール
では、優れた耐摩耗性と強靭性及び耐クラック性等の機
械的特性とを兼ね備えさせるために炭化物量を比較的多
く分散させていたため、このようなハイス系ロールを穀
物粉砕用のロールや段ボール紙の成形用のロールに適用
する場合には、ロール表面の複雑な加工(目立て加工)
を機械加工することができず、また放電加工ではコスト
が高くつくという問題がある。更に加工ができても、穀
物の粉砕等のように機械的衝撃があると、加工部分に欠
損が生じる等の問題があり、適用できなかった。
【0004】そこで、本発明は上記従来のロールの欠点
を解消し、チルド鋳鉄ロールや表面硬化させた鋼系ロー
ルに比べて、十分に耐摩耗性に優れ、また耐欠損性と加
工性に優れた、穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金属
以外の比較的軟質な材料の加工に用いられるロールの提
供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のロールは、穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金属
以外の比較的軟質な材料の加工に用いられるロールであ
って、少なくともロールの外層部を、その成分組成が重
量%で、C:1.0〜2.2%、Si:0.2〜2.0
%、Mn:0.2〜1.0%、Cr:1.0〜10.0
%、Mo:1.0〜8.0%、W:5.0%以下、V:
5.0%以下を含有すると共に、残部が実質的にFeか
ら成るハイス系組成とし、その基地をベイナイト若しく
はベイナイトとマルテンサイトとの混合組織とすると共
に、炭化物を面積率で5.0〜12.0%分散させた組
織に調整してあることを第1の特徴としている。また本
発明のロールは、上記第1の特徴に加えて、NbをVと
の合計で5.0%重量以下となるように含有させること
第2の特徴としている。また本発明のロールは、上記
第1又は第2の特徴に加えて、ロール外層部と一体化さ
れた内層部を鋼或いは鋳鉄からなる中空体としてあるこ
とを第3の特徴としている。
【0006】上記本発明の第1の特徴によれば、そこに
示された成分組成にすることにより、従来のハイス系ロ
ールに比べてロール外層部のハイス系材料の炭化物面積
率を5.0〜12.0%に低減させることで、従来のハ
イス系ロールに比べて、その耐欠損性と加工性を十分に
高めることができる。一方、ハイス系ロールの炭化物面
積の低下に伴う耐摩耗性の低下に対しては、基地をベイ
ナイト組織またはベイナイトとマルテンサイトとの混合
組織に調整することで、引き続き良好な耐摩耗性を保持
させると共に、より好ましい靭性を保有させることがで
きた。よって第1の特徴によれば、チルド鋳鉄ロールや
表面硬化させた鋼系ロールに比べて、十分に耐摩耗性に
優れ、また耐欠損性と加工性に優れた、穀物の粉砕、段
ボール紙の成形等、金属以外の比較的軟質な材料の加工
に用いられるロールを提供することができる。また上記
第2の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に
加えて、NbをVとの合計で5.0重量%以下となるよ
うに含有させることで、硬質炭化物の量を増し、耐摩耗
性を改善させることができる。
【0007】また上記第3の特徴によれば、ロール外層
部と一体化された内層部を鋼或いは鋳鉄からなる中空体
としてあることで、加工性の良くないハイス系材料を中
空に加工することなく、容易に中空ロールを構成するこ
とができる。しかも内層に鋼や鋳鉄を用いることで、内
層部に靭性を保有させたり、またコストを低減させたロ
ールを提供することができる。よって第3の特徴によれ
ば、穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金属以外の比較
的軟質な材料の加工に用いられるロールとして、温度調
整用の熱媒体をロール内部に通すのに適した中空ロール
を低コストで容易に提供することができる。
【0008】本発明のロールについて、少なくともロー
ルの外層部として用いられるハイス系材料の成分組成
は、C:1.0〜2.2%、Si:0.2〜2.0%、
Mn:0.2〜1.0%、Cr:1.0〜10.0%、
Mo:1.0〜8.0%、W:5.0%以下、V:5.
0%以下を含有させ、残部が実質的にFe及び不可不純
物とするのが好ましい。尚、成分組成は全て重量%で示
す。
【0009】Cの含有量は1.0〜2.2%とするのが
好ましい。CはCr、Mo、W、V、Nbと結合して、
高硬度の炭化物であるM型炭化物、MC型炭化
物、MC型炭化物、MC型炭化物を形成し、ロールの
耐摩耗性を高める。その含有量が1.0%未満では炭化
物の生成量が不足し、耐摩耗性が不足する。一方、2.
2%を超えると全体の炭化物量が増大し、加工性、耐欠
損性が低下する。より好ましくは1.4〜2.0%とす
るのがよい。
【0010】Siの含有量は0.2〜2.0%が好まし
い。Siは溶湯の脱酸と鋳造性を改善する効果がある。
含有量が0.2%未満ではその効果が不足し、また2.
0%以上になると靭性、機械的性質が低下する。
【0011】Mnの含有量は0.2〜1.0%が好まし
い。Mnは溶湯の脱酸効果があり、その含有量が0.2
%未満ではこの効果が少なく、1.0%を超えると材料
の靭性が低下する。
【0012】Crの含有量は1.0〜10.0%が好ま
しい。Crは耐摩耗性と共に軟質な成形物との耐付着性
を向上させる炭化物を構成する主要元素の1つであると
共に、基地硬度の向上にも不可欠な元素である。含有量
が1.0%未満では炭化物の生成量が不足するため、硬
度が低下する。一方、10.0%以上では炭化物量が増
大し、加工性、耐欠損性が低下する。より好ましくは
2.0〜8.0%とするのがよい。
【0013】Moの含有量は1.0〜8.0%とするの
が好ましい。Moは基地に固溶して、焼入れ性を向上さ
せる他、Cと結合してMC型炭化物、MC型炭化物
等の高硬度の炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる効
果がある。含有量が1.0%未満では炭化物の生成量が
不足するため硬度が低下し、8.0%を超えると炭化物
量が増大して加工性、耐欠損性が低下する。より好まし
くは2.0〜6.0%とするのがよい。
【0014】Wの含有量は5.0%以下とするのが好ま
しい。Wは基地に固溶して、焼入れ性を向上させる他、
Cと結合してMC型炭化物、MC型炭化物等の硬質
炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。しかし、その
含有量が5.0%を超えると炭化物が増加及び粗大化す
ると共に、偏析が発生し易くなり、加工性と耐欠損性が
低下する。より好ましくは1.0〜4.0%とするのが
よい。
【0015】Vの含有量は5.0%以下とするのが好ま
しい。VはCと結合して、高硬度のMC型炭化物を形成
し、耐摩耗性を向上させる。しかし、5.0%を超える
と炭化物が増加することにより、加工性、耐欠損性が低
下する。より好ましくは1.0〜4.0%とするのがよ
い。なおNbは任意添加元素であるが、添加する場合は
5.0%以下添加することとする。NbはVと同様にC
と結合して、高硬度のMC型炭化物を形成し、耐摩耗性
を向上させる。しかし、その含有量が5.0%を超える
と炭化物が増加することにより、加工性、耐欠損性が低
下する。VとNbはその合計を5.0%以下にするのが
好ましいが、より好ましくはその合計が1.0〜5.0
%とするのがよい。
【0016】以上の成分組成のハイス系材料は、溶融状
態から常温に鋳造することで、硬質炭化物を面積率で
5.0〜12.0%晶出させる。炭化物面積率が5.0
%未満では、従来のチルド鋳鉄ロールやグレンロール或
いは表面処理した鋼系ロール以下の耐摩耗性しかなく、
穀物粉砕用のロールや段ボール紙の成形用ロールとして
の適正がなくなる。一方、炭化物面積率が12.0%を
超えると、耐摩耗性は優れるものの、硬度が高すぎて加
工性が悪くなると共に、靭性が乏しくなり、使用時に欠
損が発生し易くなる。このため、外層部の組織中のM
型、MC型、MC型、MC型、MC型等の炭
化物の面積率は、5.0〜12.0%とした。
【0017】上記材料を外層部としたロールは、鋳造さ
れた後、先ず軟化焼鈍され、必要な加工が施される。軟
化焼鈍は、例えば850〜1000℃で5時間以上加熱
して基地を完全にオーステナイト化した後、炉中にて徐
冷し、マルテン変態させることなく室温まで冷却して行
う。
【0018】前記焼鈍処理及び必要な加工が施されたロ
ールは、更にロール外層部の基地をベイナイトとマルテ
ンサイトとの混合組織になるように熱処理する。その熱
処理は例えば、900〜1200℃で3時間以上加熱す
ることで、基地をオーステナイト化し、次に250〜4
50℃の間の温度に1〜10時間かけて冷却し、更に5
00〜600℃で焼戻し処理を行う。これによって基地
がベイナイトとマルテンサイトとの混合組織になる。ま
たロール外層部の基地をベイナイト単相化するようにし
てもよい。この場合の熱処理は例えば、ロールを、90
0〜1200℃で3時間以上加熱することで、基地をオ
ーステナイト化した後、250〜450℃の間の温度に
1〜10時間かけて冷却し、更にその温度で3時間以上
保持した後、500〜600℃で焼戻し処理を行う。以
上のような熱処理を施すことで、ロール外層部の硬度を
ショア硬度で、70〜80に調整することができる。
【0019】上記のように、本発明のハイス系外層部を
有するロールでは、穀物粉砕用のロールや段ボール紙の
成形用ロールとして用いるために、必要な特性である耐
欠損性と加工性を高める手段として、炭化物面積率を
5.0〜12.0%に低減したことをその大きな特徴の
1つとしている。その一方、炭化物面積率を低減するこ
とは、ロール外層部の耐摩耗性を低下させることにな
る。そこで本発明では、熱処理によって、基地組織をベ
イナイト組織或いはベイナイトとマルテンサイトとの混
合組織にすることにより、低炭化物面積率でありなが
ら、ショア硬度を70〜80にし、これによって従来の
チルド鋳鉄ロールやグレンロール或いは表面処理した鋼
系ロール以上の耐摩耗性を付与させることができた。ま
た、基地をベイナイト組織或いはベイナイトとマルテン
サイトとの混合組織にすることにより、炭化物面積率を
低くすることと相俟って、従来のハイス系ロールの欠点
であった、耐欠損性を向上させる効果を発揮させること
が可能となった。以上のようにして得られるロールは、
従来のチルド鋳鉄ロールやグレンロール或いは表面処理
した鋼系ロールに比べて、耐摩耗性が優れると共に、従
来のハイス系ロールに比べて耐欠損性と加工性に優れて
いることが明らかになった。また強度も穀物粉砕用のロ
ールや段ボール紙の成形に用いるロールとしての耐久性
を十分有していることが判った。
【0020】本発明のロールは、穀物の粉砕、段ボール
紙の成形等、金属以外の比較的軟質な材料の加工に用い
られるロールであるが、段ボール紙の成形等に用いるコ
ルゲーティングロールは、ロール温度を制御するための
熱媒体をロール内部に流すことができる構造とするのが
好ましい。このためロールの外径に近い部分に軸方向に
穴加工を施したり、ロールの中心に比較的大きな穴を有
した中空ロールとすることが要求される。この場合、ハ
イス系材料で中実ロールを構成して、これに加工を施す
ことも不可能ではないが、加工がし難い他、コストが高
くなる。従ってハイス系材料は外層部だけとし、内層部
は加工が困難ではない材料で構成することが得策であ
る。この場合において内層部は鋼や鋳鉄とすることで、
適当な靭性をロールに付与できると共に、材料コストを
低減することができる。
【0021】図面を用いて上記ロールの製造方法を説明
する。図1は外層部10を本発明に係るハイス系材料と
し、内層部20を鋼系材料による中実体としてロールを
構成し、内層部20に軸方向の貫通穴21を設けて、熱
媒体の通り穴としたものである。
【0022】また外層部に対して加工が比較的容易な鋼
系材料の中実体で内層部を構成して、該中実体の内層部
に加工を施すことも1つの方法であるが、更に本発明で
は、ロールを製造する段階から中空のロールを製造する
こととした。その例を図2、図3で説明する。図2は、
鋼管或いは遠心鋳造法等で形成した鋳鉄管を内層部20
とし、その中空の内層部20に対して本発明に係るハイ
ス系外層材を溶着一体化して外層部10とし、更に回転
に必要な軸部30を組み立てることで、ロール全体を構
成するようにしたものである。また別の方法として、先
ずハイス系材料からなる外層部10を遠心鋳造等により
筒状に形成し、次に筒状の外層部10の内側に適当な鋳
鉄材を遠心鋳造により一体化して中空体の内層部20を
形成し、更に軸部30を組み立てることで、ロール全体
を構成するようにしてもよい。図3は、先ず軸部30と
中空体の内層部20とを鋳造によって一体的に形成し、
次に内層部20の外周にハイス系材料からなる外層部1
0を溶着一体化することで、ロール全体を構成するよう
にしたものである。
【0023】図1、図2、図3において説明したような
方法でロールを構成することで、ハイス系材料で外層部
を構成するようにしたロールであっても、熱媒体をロー
ル内部に流すことができるロールを簡単に低コストで得
ることができる。
【0024】上記のようにして内層部と外層部とが一体
化されて形状的に仕上げられたロールに対して、既述し
た熱処理が施されることで、外層部の組織が調整され、
基地がベイナイト組織或いはベイナイトとマルテンサイ
トとの混合組織にされる。
【0025】
【実施例】表1に示す実施例1〜6の各成分組成となる
ように調整されたハイス系外層材と内層材とを溶着一体
化させることにより、外層部と内層部とからなる複合ロ
ールを製作した。得られた複合ロールのうち実施例1〜
4については、1000〜1100℃に10時間保持す
ることで基地をオーステナイト化した後、250〜40
0℃の温度まで3〜6時間かけて冷却し、更に500〜
600℃で焼戻しを行って、基地をベイナイトとマルテ
ンサイトの混合組織にした。また得られた複合ロールの
うち実施例5〜6については、1000〜1100℃に
10時間保持した後、250℃まで3時間かけて冷却
し、その温度で10時間恒温保持した後、500〜60
0℃で焼戻しを行って、基地をベイナイト組織にした。
以上のような熱処理により外層部のショア硬度が72〜
78の範囲に入るようにした。
【0026】比較例1〜5についても同様に複合ロール
を作成した。得られた複合ロールの熱処理は、比較例1
〜4のハイス系材については上記実施例1〜4の場合と
同様の処理をして、基地をベイナイトとマルテンサイト
との混合組織とした。また比較例5のチルド鋳鉄につい
ては、熱処理として歪み取り焼鈍を300〜500℃で
行った。また従来例1は、チルドロールであり、熱処理
としては歪み取り焼鈍が300〜500℃でなされたも
のである。従来例2は、市販のCr−Mo鋼であり、熱
処理として、目立て加工後に高周波焼入れを行って表面
硬化されたものである。
【0027】実施例1〜6、比較例1〜5、従来例1〜
2における外層部の成分組成を表1に示す。尚、比較例
1〜4はハイス系ロール、比較例5及び従来例1はチル
ドロール、従来例2は鋼系ロールである。また熱処理後
のロール外層部の組織をEPMA面分析と画像解析によ
り炭化物形態毎に面積率を算出し、合わせてその合計を
算出した。結果を表2に示す。
【0028】外層部の機械的特性の評価として、ショア
硬度(HS)、圧縮強さ(N/mm )、破壊靭性値
(N/mm3/2)を測定し、加工性についても判定し
た。結果を表3に示す。なお前記破壊靭性値は、AST
M規格E399に基づき、ノッチを入れた曲げ試験片に
おいて、応力とクラック開口変位とを測定することによ
り求めた。また加工性については、ロール胴部表面にロ
ール旋盤にて幅3mm、深さ5mmの溝を9mmピッチ
で、加工延長長さの合計が30mになるまで加工した。
そして、従来例2の鋼系ロール(焼入れ前)の加工所要
時間を1として比較し、加工所要時間が1.5倍以下を
◎、1.5を超え2.5未満を○、2.5以上を△とし
た。また加工中に欠損(チッピング)の生じた場合を×
とした。
【0029】コルゲーティングロールとしての耐摩耗性
評価の評価として、鋼系ロール比を測定した。また穀物
粉砕ロールの耐摩耗性評価としてのチルドロール比と、
耐欠損性評価としてのチルドロール比を判定した。結果
を表4に示す。尚、コルゲーティングロールとしての耐
摩耗性の評価は、ロール外層部から直径40mm、厚み
15mmの円盤を切り出し、円周に深さ3mmの凸歯
を、歯数42で加工したものを試験片とした。各試験片
を同一軸上に固定し、5号珪砂に埋没させた状態で15
0rpmで100時間回転させ、試験前後の重量変化率
を得て、従来例2の重量変化率との比で耐摩耗性を評価
した。数値の大きいほど評価がよい。また穀物粉砕ロー
ルの摩耗性評価は、前記コルゲーティングロールの場合
とほぼ同様で、ロール外層部から直径40mm、厚み1
5mmの円盤を切り出し、円周に深さ3mm、歯数42
で切り出したものを試験片とし、直径5mmのジルコニ
アボール中に埋設させ、150rpmで回転させると共
にジルコニアボールを充填したチャンバー全体を150
℃に加熱及び風冷却を2時間サイクルで繰り返し、合計
100時間(50サイクル)摩耗させた。試験前後の重
量変化率を得て、比較例5の重量変化率との比で耐摩耗
性を評価した。数値の大きいほど評価がよい。また耐欠
損性の評価については、前記ロール外層部から直径40
mm、厚み15mmの円盤を切り出し、円周に深さ3m
m、歯数42で切り出した際に、欠損の全くなかった場
合を◎、欠損のあった歯数が5枚以下であった場合を
○、6〜15枚の場合を△、15枚を超える場合を×と
した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】表1〜表4より明らかなように、本発明に
係る実施例1〜6においては、硬質炭化物の面積率が
6.0〜12.0%の範囲にあり、そのショア硬度につ
いては、比較例1〜4に示す従来のハイス系ロールのも
のに比べて若干低い程度の硬度を有し、一方、比較例5
と従来例1に示すチルドロールのものに比べて高い硬度
を示すことが判る。また圧縮強さ、破壊靭性値について
は、実施例1〜6のものは比較例1〜4に示す従来のハ
イス系ロールのものに比べて向上しており、勿論、比較
例5と従来例1に示すチルドロールのものに比べると、
かなり向上していることが判る。また加工性について
は、実施例1〜6のものが比較例1〜4に示す従来のハ
イス系ロールのものよりかなり良好であり、比較例5及
び従来例1のチルドロールや従来例2の鋼系ロールと同
程度の加工性を誇っていると判断できる。
【0035】コルゲーティングロールとしての耐摩耗性
評価では、実施例1〜6のものは比較例1〜4に示す従
来のハイス系ロールのものより若干劣るが、従来例2の
鋼系ロールに比べて十分に高い耐摩耗性を誇っているこ
とが判る。穀物粉砕ロールとしての耐摩耗性評価では、
実施例1〜6のものは比較例1〜4に示す従来のハイス
系ロールのものと同程度または若干劣るが、比較例5と
従来例1に示すチルドロールのものに比べると十分に優
れた耐摩耗性を有することが判る。また耐欠損性評価で
は、実施例1〜6のものは比較例1〜4のハイス系ロー
ル及び比較例5と従来例1のチルドロールのものと比べ
て、比較的良好であることが判る。
【0036】
【発明の効果】本発明は以上の構成、作用よりなり、請
求項1に記載のロールによれば、穀物の粉砕、段ボール
紙の成形等、金属以外の比較的軟質な材料の加工に用い
られるロールであって、少なくともロールの外層部を
その成分組成が重量%で、C:1.0〜2.2%、S
i:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜1.0%、C
r:1.0〜10.0%、Mo:1.0〜8.0%、
W:5.0%以下、V:5.0%以下を含有すると共
に、残部が実質的にFeから成るハイス系組成とし、そ
の基地をベイナイト若しくはベイナイトとマルテンサイ
トとの混合組織とすると共に、炭化物を面積率で5.0
〜12.0%分散させた組織に調整してあるので、チル
ド鋳鉄ロールや表面硬化させた鋼系ロールに比べて、十
分に耐摩耗性に優れ、また耐欠損性と加工性に優れた、
穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金属以外の比較的軟
質な材料の加工に用いられるロールを提供することがで
きる。また請求項2に記載のロールによれば、上記請求
項1に記載の構成による効果に加えて、NbをVとの合
計で5.0重量%以下となるように含有させるので、
質炭化物の量を増し、耐摩耗性を改善させることができ
る。また請求項3に記載のロールによれば、上記請求項
1又は2に記載の構成による効果に加えて、ロール外層
部と一体化された内層部を鋼或いは鋳鉄からなる中空体
としてあるので、穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金
属以外の比較的軟質な材料の加工に用いられるロールと
して、温度調整用の熱媒体をロール内部に通すのに適し
た中空ロールを低コストで容易に提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】外層部をハイス系材料とし、内層部を鋼系材料
による中実体としたロールを構成し、内層部に軸方向の
貫通穴を加工して熱媒体の通り穴とした例を示す一部断
面図である。
【図2】中空の内層部とハイス系の外層部とを一体化
し、更に回転に必要な軸部を組み立ててロール全体を構
成した例を示す断面図である。
【図3】軸部と中空体の内層部とを鋳造によって一体的
に形成し、更にハイス系外層部を溶着一体化してロール
全体を構成した例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 外層部 20 内層部 21 貫通穴 30 軸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16C 13/00 F16C 13/00 E (72)発明者 丹羽 徹 兵庫県姫路市大津区吉美403 虹技株式 会社 姫路西工場内 (72)発明者 三木 良浩 兵庫県姫路市大津区吉美403 虹技株式 会社 姫路西工場内 (56)参考文献 特開 平9−71848(JP,A) 特開 平6−65683(JP,A) 特開 平7−68304(JP,A) 特開 平7−207411(JP,A) 特開 平11−279705(JP,A) 特開 平11−61353(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀物の粉砕、段ボール紙の成形等、金属
    以外の比較的軟質な材料の加工に用いられるロールであ
    って、少なくともロールの外層部を、その成分組成が重
    量%で、 C : 1.0〜2.2% Si : 0.2〜2.0% Mn : 0.2〜1.0% Cr : 1.0〜10.0% Mo : 1.0〜8.0% W : 5.0%以下 V : 5.0%以下 を含有すると共に、残部が実質的にFeから成る ハイス
    系組成とし、その基地をベイナイト若しくはベイナイト
    とマルテンサイトとの混合組織とすると共に、炭化物を
    面積率で5.0〜12.0%分散させた組織に調整して
    あることを特徴とするロール。
  2. 【請求項2】 NbをVとの合計で5.0重量%以下と
    なるように含有させることを特徴とする請求項1に記載
    のロール
  3. 【請求項3】 ロール外層部と一体化された内層部を鋼
    或いは鋳鉄からなる中空体としてあることを特徴とする
    請求項1又は2に記載のロール。
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