JP3336948B2 - 金属微粉末の製造方法 - Google Patents

金属微粉末の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属微粉末の製造方
法に係り、特に、非常に細かい金属微粉末を極めて容易
に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属微粉末は、一般に、金属アル
コキシドを水素ガス雰囲気下で加熱するなどして還元す
ることにより製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属アルコキシドを水
素ガスで還元する従来の方法では、水素ガスを使用した
上で加熱するために、大掛りな装置が必要となる。ま
た、気相で還元する従来法では、非常に細かな粒子を製
造することが難しく、その上、製造された粉末の酸化を
防止するために特別な対策を講じる必要があるという問
題もあった。
【0004】本発明は上記従来の問題点を解決し、大掛
りな装置を必要とすることなく、粒度が均一で非常に細
かい金属微粉末を極めて容易に製造することができ、ま
た、製造された金属微粉末の酸化防止のための特別な対
策を講じる必要もない金属微粉末の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の金属微粉末の製
造方法は、金属アルコキシドを非水溶媒中で加熱するこ
とにより金属微粉末を生成させることを特徴とする。
【0006】本発明の方法によれば、単に金属アルコキ
シドを非水溶媒中で加熱するのみで金属微粉末を製造す
ることができる。この加熱温度は200℃以下でよく、
特別な設備を用いることなく、容易に金属微粉末を製造
することができる。しかも、液相で製造された金属微粉
末はその粒度が例えば100nm以下と非常に細かくか
つ均一である。また、金属微粉末は非水溶媒中で生成
し、大気等に触れることがないため、生成した金属微粉
末の酸化防止対策を講じる必要はない。
【0007】このような本発明の方法によれば、特に、
鉄、コバルト又はニッケル或いはこれらの金属より貴な
る金属の微粉末を容易に製造することができる。
【0008】本発明において、非水溶媒としては多価ア
ルコール又は流動性パラフィンが好ましい。また、金属
アルコキシドとしては炭素数1〜4の金属アルコキシド
が好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0010】本発明において、原料とする金属アルコキ
シドは、例えば、アルコールに金属ナトリウム等の反応
性の高い、即ちイオン化傾向の大きい金属を加えてナト
リウムアルコキシドを生成させ、これに製造する金属微
粉末の金属よりなる化合物を添加して環流することによ
り製造することができる。
【0011】アルコールとしては、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール等の炭素数1
〜4の低級一価アルコールが好適に使用される。なお、
以下においては、アルコールに反応させる金属として金
属ナトリウムを用いた場合について説明するが、このア
ルコールに反応させる金属は金属ナトリウムに限らず、
リチウム、アルカリ土類金属等も用い得る。ただし、入
手のし易さや取り扱い性の面からは金属ナトリウムが好
適である。
【0012】金属アルコキシドを非水溶媒中で加熱する
本発明の方法では、特に、鉄、コバルト又はニッケル或
いはこれらの金属より貴なる金属、即ち、イオン化傾向
が鉄、コバルト又はニッケルよりも小さい金属の微粉末
を容易に製造することができ、従って、ナトリウムアル
コキシドに反応させる金属化合物としては、鉄、ニッケ
ル、コバルト、銅、金、銀、白金、パラジウム等の化合
物、例えば塩化物、酢酸塩、シュウ酸塩等を用いること
ができる。これらの金属化合物は反応により水を発生さ
せることがないことが重要であり、具体的には、次のよ
うな金属化合物を用いることができる。
【0013】無水塩化ニッケル、無水酢酸ニッケル等の
ニッケル化合物 無水塩化銅、無水酢酸銅等の銅化合物 このような金属化合物をナトリウムアルコキシドに添加
することにより、例えば、無水塩化ニッケルや無水酢酸
銅であれば、次のような反応でそれぞれ金属アルコキシ
ドを生成する。
【0014】2Naアルコキシド+NiCl2→2Na
Cl+Niアルコキシド 2Naアルコキシド+Cu(CH3COO)2→2CH3
COONa+Cuアルコキシド この反応で副生する塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム等
のナトリウム化合物は例えば、溶媒抽出することにより
除去することができる。
【0015】本発明では、このようにして製造された金
属アルコキシドを非水溶媒に添加して非水溶媒中で加熱
する。
【0016】ここで、非水溶媒としては、多価アルコー
ル又は流動性パラフィンや脂肪酸グリセリドを用いるの
が好ましく、このうち、多価アルコールとしては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール
などを用いることができる。
【0017】これらの非水溶媒中に添加する金属アルコ
キシドの量は、非水溶媒中に金属アルコキシドが十分均
一に分散ないし一部溶解し、加熱により均一な反応系を
形成できる程度であれば良く、通常の場合、非水溶媒1
Lに対して200〜500g程度の金属アルコキシドが
添加される。
【0018】加熱温度は、用いた金属アルコキシドの種
類や加熱時間等によっても異なるが、通常の場合、13
0〜180℃の範囲とされ、この温度範囲で比較的加熱
温度が低い場合には加熱時間を長く、120〜200分
程度とし、比較的加熱温度が高い場合には加熱時間を短
く、30〜60分程度とすることで、目的とする金属微
粉末を容易に得ることができる。
【0019】このような本発明の方法によれば、粒径1
0〜100nm程度の均一な金属微粉末を製造すること
ができ、製造された金属微粉末は、各種化学合成の触媒
等として有効に使用することができる。特に、触媒用途
とした場合には、微細粒径であるために比表面積が大き
いことから、著しく大きな触媒活性を得ることができ
る。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
【0021】実施例1 メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノールに、それぞれ金属ナトリウムを加え、更に無水塩
化ニッケルを加えて環流することにより、表1に示すニ
ッケルアルコキシドを製造した。反応系から副生物のN
aClをメタノールで洗浄することにより除去し、得ら
れたニッケルアルコキシド23gをエチレングリコール
100ml中に分散させて、表1に示す温度でそれぞれ
60分間加熱した。
【0022】加熱後、生成物をX線回析により同定し、
結果を表1に示した。表1には、ニッケル微粉末が生成
し、ニッケルアルコキシドが認められない場合を
「○」、ニッケル微粉末が生成しているが、ニッケルア
ルコキシドが残留している場合を「△」、ニッケル微粉
末が生成せずニッケルアルコキシドのままであった場合
を「×」で示してある。
【0023】なお、得られたニッケル微粉末の粒子サイ
ズをX線回析ピークと電子顕微鏡により測定したとこ
ろ、用いたアルコキシド種に関わらず、いずれの場合も
粒径30nm程度のニッケル微粉末が生成していること
が確認された。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 エタノールに金属ナトリウムを加え、更に無水酢酸銅を
加えて環流し、副生物のCH3COONaをエタノール
で洗浄することにより除去して銅エトキシドを製造し
た。得られた銅エトキシド21gをエチレングリコール
100ml中に分散させて130℃で表2に示す時間加
熱し、実施例1と同様にして銅微粉末の生成の有無を確
認し、同様の評価基準で評価し、結果を表2に示した。
【0026】なお、得られた銅微粉末について実施例1
と同様にして粒子サイズを測定したところ、いずれの場
合も粒径50nm程度の銅微粉末が生成していることが
確認された。
【0027】
【表2】
【0028】実施例3 実施例1において、非水溶媒としてエチレングリコール
の代りに流動性パラフィンを用いたこと以外は同様にし
てニッケル微粉末の製造を行ったところ、実施例1と同
様の評価結果が得られ、また、得られたニッケル微粉末
の粒子サイズもほぼ同等であった。
【0029】実施例4 実施例2において、非水溶媒としてエチレングリコール
の代りに流動性パラフィンを用いたこと以外は同様にし
て銅微粉末の製造を行ったところ、実施例2と同様の評
価結果が得られ、また、得られた銅微粉末の粒子サイズ
もほぼ同等であった。
【0030】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の金属微粉末
の製造方法によれば、大掛りな装置を必要とすることな
く、粒度が均一で非常に細かい金属微粉末を極めて容易
に製造することができる。また、製造された金属微粉末
の酸化防止のための特別な対策を講じる必要もなく、工
業的に極めて有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−246901(JP,A) 特開 平9−125111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 9/24 - 9/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシドを非水溶媒中で加熱す
    ることにより金属微粉末を生成させることを特徴とする
    金属微粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、金属微粉末が鉄、コ
    バルト又はニッケル或いはこれらの金属よりも貴なる金
    属の微粉末であることを特徴とする金属微粉末の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、該非水溶媒が
    多価アルコール又は流動性パラフィンであることを特徴
    とする金属微粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、該金属アルコキシドが炭素数1〜4の金属アルコキ
    シドであることを特徴とする金属微粉末の製造方法。
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