JP4454239B2 - 準結晶Al合金を前駆体とした耐熱触媒の製造方法 - Google Patents

準結晶Al合金を前駆体とした耐熱触媒の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、準結晶Al合金を前駆体とした高活性で耐熱性、耐久性の優れた、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子からなるメタノールの水蒸気改質用耐熱触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅系触媒はメタノール水蒸気改質、メタノール合成、水性ガスシフト反応ならびに有機化合物の水素化や水素化分解反応などに対し広範に用いられている。しかし、一般に銅系触媒は耐熱・耐久性が非常に低いことから使用条件などが限定される場合が多い。
【0003】
例えば、近年、CO2の排出量増加による地球温暖化などの環境問題の観点から、水素エネルギーのニーズが強まっている。しかしながら、水素は気体であるために貯蔵が難しく、自動車など移動体の燃料として用いる場合には、利用時に必要量の水素を発生することが望ましい。そのためのいくつかの方法の中で、メタノールの水蒸気改質反応は最も有効な方法である。メタノールは触媒及び水蒸気の存在下で下記反応式(1)に示す水蒸気改質により、容易に水素濃度の高いガスに改質される。
【0004】
CH3OH+H2O→3H2+CO2……………(1)
【0005】
このメタノールの水蒸気改質反応は天然ガスやPLG等の炭化水素の水蒸気改質反応と比較し低温で効率的に水素が得られ、しかも、CO等の副生物が少ない等の特徴がある。特に、銅系触媒は、メタノールの水蒸気改質反応において高選択性を示すことが竹澤らにより既に報告されている(非特許文献1)。
【0006】
しかし、発電、コジェネレーション又は自動車搭載用の燃料電池などで水素を用いようとした場合、現状の銅系触媒の性能では不十分であり、高温下でも高活性かつ高選択性を維持する高い耐久性をもった触媒が望まれている。従来、この種の銅系触媒の製造方法としては銅/亜鉛系等の酸化物からなる触媒を混練法、共沈法により製造する方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【0007】
この外、2元、3元系の合金をアルカリ金属水酸化物の水溶液で展開するラネー型のメタノール合成触媒も知られており(特許文献3〜6)、Al−Cu系合金融液を急冷凝固により作製したアモルファス合金のリボン状触媒素材を酸又はアルカリで溶出処理して粉末状に分解し、その表層がCu系超微粒子及び希土類元素、遷移金属、貴金属等の超微粒子の混合相であるメタノールの水蒸気改質触媒の製造方法(特許文献7)等も検討されている。また、AlとCu、Ni、Pd等からなる準結晶Al合金超微粒子がメタノール分解反応において高い活性を有することが知られている(特許文献8)。また、アルミニウムと金属元素からなる原材料を加熱溶解、蒸発して得られる複合超微粒子からなる触媒も考えられている(特許文献9)。
【0008】
さらに、本発明者らは、AlとCu及びFe、Ru、Osから選ばれた少なくとも1種の金属原子を成分とする準結晶からなるAl合金インゴットを粉砕し、得られた合金粒子を水酸化ナトリウム水溶液でエッチングすることを特徴とするメタノール水蒸気改質用触媒の製造方法を開発した(特許文献10、非特許文献2,3,4)。また、銅ならびに亜鉛ならびにパラジウム及び/又は白金を含んだ合金からなるメタノールの水蒸気改質触媒が知られている(特許文献11)。
【0009】
【非特許文献1】
触媒,vol.37(1995)320
【非特許文献2】
AppliedcatalysisA:General214(2001)237−241
【非特許文献3】
JournalofAlloysandCompounds342(2002)451−454
【非特許文献4】
JournalofAlloysandCompounds342(2002)473−476
【0010】
【特許文献1】
特開昭59−189937号公報
【特許文献2】
特開平6−312142号公報
【特許文献3】
特公平5−86260号公報
【特許文献4】
特開平5−253486(特許3273055)号公報
【特許文献5】
特開平10−235197(特許3243504)号公報
【特許文献6】
特開2000−135436号公報
【特許文献7】
特開平7−265704号公報
【特許文献8】
特開平7−126702号公報
【特許文献9】
特開平10−80636号公報
【特許文献10】
特開2001−276625号公報
【特許文献11】
特開2002−95970号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記の代表的な方法によって作製されている従来のいわゆる銅系触媒は、いずれも、銅の微粒子を酸化物や金属の表面に担持させ、触媒反応の活性サイトを担わせている。これらの触媒は高温(300℃)になると、銅の微粒子の焼結により粗大化し、銅の表面積が極端に減少することにより、活性が低下する。
【0012】
特許文献7(特開平7−265704号公報)記載の発明の触媒は、アルカリ水溶液として、NaOHを用いる場合には、NaOHの濃度は20〜30重量%で浸漬時間は1〜30分間でリボン状素材を分解したものであり、高温下における焼結による粗大化を希土類元素、遷移金属、貴金属等の超微粒子を均一に分散させて耐熱性を高めているが、温度の上昇による活性の増分は触媒の劣化による活性の低下と打ち消しとなっており、耐熱性は、いずれも300℃で頭打ちになっている。これは、急冷凝固したアモルファス合金(特にAl合金)は少し温度が上がると平衡構造へ変化し結晶化して触媒の安定性を低下させるためと考えられる。さらに、急冷凝固というプロセスを用いるとコストが上がり、製品の歩留まりが低い。
【0013】
特許文献10(特開2001−276625号公報)記載の発明の触媒は、活性が高いものの、320℃以上になると活性が頭打ちになり、耐熱性は十分ではなかった。
【0014】
多くの触媒反応は高温で起きるので、耐熱、耐久性が求められている。例えば、耐熱性が要求される燃料電池の触媒として使用される場合、特に、耐熱、耐久性が問題になっている。銅系触媒以外のものは、殆ど貴金属から構成され、コストの面では実用的ではない。本発明の目的は、360℃を超えても高活性で耐熱性、耐久性に優れた銅系触媒及び該触媒をできるだけ簡単なプロセスで安価に製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような課題を有する耐熱銅系触媒及びその製造方法について検討した結果、アルミニウムと銅とコバルトからなる準結晶Al合金インゴットを前駆体とし、これを粉砕し、得られた粒子をリーチング処理して得られた微粒子からなる触媒がメタノールの水蒸気改質反応において高活性、高耐熱性、耐久性を有すること、また、該触媒は該準結晶Al合金インゴットを粉砕し、得られた粒子を弱いアルカリ性溶液によりリーチング処理することにより容易に製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明は、(1)一般式Al100-a-bCuaCob(ただし、5原子%≦a≦30原子%、5原子%≦b≦25原子%)で示される組成を有する準結晶Al合金のインゴットを粉砕し、得られた微粒子を濃度範囲が2〜8重量%の炭酸ナトリウム(Na2CO3)又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液によりリーチング処理して0.5〜40重量%のAlを溶出することによって準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子を形成することを特徴とするメタノールの水蒸気改質用耐熱触媒の製造方法、である。
また、本発明は、(2)一般式Al100-a-b-cCuaCobFec(ただし、5原子%≦a≦30原子%、5原子%≦b≦25原子%、c≦10原子%)で示される組成を有する準結晶Al合金のインゴットを粉砕し、得られた微粒子を濃度範囲が2〜8重量%の炭酸ナトリウム(Na2CO3)又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液によりリーチング処理して0.5〜40重量%のAlを溶出することによって準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着し、FeがFeのナノ粒子又はFe酸化物のナノ粒子として存在する複合粒子を形成することを特徴とするメタノールの水蒸気改質用耐熱触媒の製造方法、である。
【0017】
また、本発明は、()準結晶Al合金のインゴットを真空中又は不活性雰囲気中で熱処理して該Al合金内の準結晶相を成長させる工程を有することを特徴とする上記(1)又は(2)の耐熱触媒の製造方法、である。
また、本発明は、()準結晶Al合金のインゴットを粉砕して得られた微粒子を真空中又は不活性雰囲気中で熱処理して該Al合金内の準結晶相を成長させる工程を有することを特徴とする上記(1)又は(2)の耐熱触媒の製造方法、である。
【0018】
通常、温度が高くなると分子が活発になり、活性も高くなり水素の発生速度も多くなる。
このような比例は触媒の本質に変化がない場合に限られている。一般的には、温度の上昇による活性の増分は触媒の劣化による活性の低下と打ち消しとなってしまう。しかし、本発明の製造方法で得られる触媒の触媒活性は400℃になっても、直線的に活性が高くなる特長がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で得られる触媒は、アルミニウムと銅とコバルト又はアルミニウムと銅とコバルトと鉄からなる準結晶Al合金を前駆体とする。該準結晶Al合金の組成は原子%で銅が5〜30%、コバルトが5〜25%、鉄が0〜10%、アルミニウムはこれらの残量である。AlCuCo系合金は、準結晶の形成組成範囲がAlCuFe系合金に比べてかなり広い。特に、Cu/Coの置換がCu/Feの置換より広い組成範囲で可能である。準結晶の形成により、準結晶自身の脆さで微細な表面積の大きな1次粒子を簡単に得ることができる。
【0020】
準結晶Al合金の銅含有量が5原子%より少ないと準結晶が形成されないし、触媒を担うCu粒子が少ないので、高活性が期待できない。また、30原子%より多いと準結晶が形成されず、さらにCuによるシンタリングが起き易くなるので好ましくない。コバルト含有量が5原子%より少ないと準結晶が形成されない。また、25原子%より多いと準結晶が形成されない。さらに、Feを添加して4元合金にすると、さらに広い組成範囲で準結晶が形成され、触媒活性を大きくすることができるが、鉄が10原子%を超えると準結晶の形成が困難になる。
【0021】
本発明において、触媒製造の原料に用いられる準結晶Al合金は、周期性をもたず、結晶にはない10回対称をもつ、正10角形(2次元)準結晶の構造を有する。これらの組成の準結晶は安定相として知られているので、融点が1020℃付近まで達し、融点まで準結晶構造を維持するものである。それゆえ、800℃程度の高温で熱処理すれば準結晶相の成長により三つの元素から構成される"準結晶"の単相性がよいものが得られる。
【0022】
準結晶相は周期性を持たず、特定なすべり面がないので、転位の運動による塑性変形は起りにくく、脆いという性質をもっている。触媒として用いる場合、充分な活性を得るには高表面積であることが必要であるため、準結晶は粉砕加工性に優れ、容易にミクロンオーダーまで粉砕され、高表面積を達成することができることが必要である。なお、本発明における準結晶Al合金には、準結晶単相からなる合金だけでなく、準結晶相以外に近似結晶やその他の結晶相を含む混相組織も含まれる。
【0023】
本発明の製造方法において、耐熱銅系触媒の前駆体となる特定の組成の準結晶Al合金は、当該組成比の純金属(純Al、純Cu、純Co、純Fe)を通常の溶解鋳造法、例えばアーク溶解などにより溶解し、鋳造することによりインゴットとして得られる。さらに、このインゴットは真空中や不活性雰囲気中で酸化を防ぎながら700〜850℃程度の温度範囲で熱処理を行い、準結晶相の均一化を図ることができる。
【0024】
本発明の触媒製造方法では、まず、得られた準結晶Al合金のインゴットを触媒として表面積を増加させるために粉砕する。粉砕は例えば、インゴットを砕いた合金を瑪瑙乳鉢に装入し、遊星型ボールミルにて行なう。その際に得られる粒子の粒径の分布範囲は約1μm〜100μm、好ましくは5μm〜50μmである。
【0025】
本発明の製造方法において、複合微粒子触媒は、こうして得られた粒子にリーチング処理を施すことにより製造される。リーチング処理に使う処理液は塩基性でアルミニウムと反応するアルカリ水溶液を用いるが、一般的に使用されるNaOH水溶液でリーチを行なうとNaOH水溶液のリーチが強すぎてしまいCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散した触媒層の形成が困難となるので、特に、中・弱塩基性の炭酸ナトリウム(Na2CO3)又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液を用いることが好ましい。これらのアルカリ水溶液のアルカリ化合物の濃度範囲は2〜8重量%程度が好ましい。2重量%未満ではリーチが充分に進行せず、また、8重量%を超えると反応が早くなりリーチの制御が困難であり、好ましくない。
【0026】
これらの低濃度のアルカリ水溶液を使用してリーチングすることにより準結晶Al合金粒子表面にできたアルミナの薄膜を取り除くとともに、準結晶Al合金粒子の表面のかなり薄い層からアルミニウムを溶出する。リーチング処理温度は0〜90℃の範囲であればよく、高温ほど溶出速度は速くなるが、特に加熱せず、室温近傍で行うことが好ましい。低濃度のアルカリ水溶液によるリーチングによる溶出量は約0.5〜40重量%程度が好ましい。0.5重量%未満ではAlの溶出が不十分で表面積が小さくなり、また、40重量%を超えると準結晶構造が壊れて触媒の安定性が低下するので、好ましくない。より好ましくは、5〜20重量%程度である。アルカリ水溶液の濃度が高いと合金粒子のかなりの量のAlが溶出してしまい、粒子表面に固着した微粒子の割合が圧倒的に多くなり好ましくない。
【0027】
このリーチングにより粒子表面に銅の微細な粒子(Cuナノ粒子)を析出させることができる。AlCuCo系準結晶Al合金ではリーチング処理を行なうことにより、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子が得られる。得られた複合微粒子の粉末を濾過し、よく洗浄した後、乾燥する。得られた複合微粒子の比表面積は約5〜40m2/g程度である。基本的にリーチングによる1次粒子のサイズの変化は殆どないので、表面積の増大は準結晶Al合金粒子の表面に生成された網目状の微細構造に由来する。上記のとおり、低濃度のアルカリ水溶液によるリーチングによれば、準結晶Al合金粒子の表面から中心方向へ約200nm領域だけが溶け出して、中心の準結晶Al合金粒子の存在が触媒の安定性に重要な役割を果たす。したがって、この程度の表面積にも関わらず、高い触媒活性を示すことになる。
【0028】
このような構造の複合微粒子により、Cuナノ粒子の触媒機能の他にCo粒子によるその他の触媒反応も期待される。この点は、AlCuFe系準結晶Al合金のFeの作用と異なる。実際、触媒活性を担うのは、準結晶Al合金粒子の表面に析出したナノ金属粒子であり、準結晶Al合金粒子は"担体"として機能する。AlCuCoFe系準結晶Al合金を用いた複合微粒子では、FeはFeのナノ粒子あるいはFe酸化物のナノ粒子として存在する。Fe又はその酸化物もCuに対して固体として溶け込まない性質をもっているので、Cu原子の拡散によるシンタリングを防ぐ効果がある。
【0029】
本発明の製造方法で得られる複合微粒子は、必要に応じて成形して触媒として使用する。複合微粒子は担体に担持して使用することもできる。本発明の製造方法で得られる触媒を用いる反応装置の形式は特に制限されず、固定床流通式反応装置や流動床反応装置に用いられ、気相反応のみならず液相反応にも使用することができる。
【0030】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
Al−Cu−Co準結晶Al合金/Na2CO3リーチング
Al:4.514g、Cu:2.453g、Co:3.033gを秤量し、水冷した銅ハース内に入れ、アルゴン雰囲気下でアーク溶解し、そのまま銅ハース内で冷却してAl65Co20Cu15のインゴット10gを得た。これをアルミナの鉢にて1mm以下の粉末に粉砕して石英管に真空封入し、800℃で24時間熱処理した。熱処理後石英管から取り出しさらに、遊星ボールミルで粉砕した。得られた粒子の粒径分布範囲は1μm〜100μmであった。得られたAl−Cu−Co準結晶Al合金粒子を5wt%のNa2CO3(炭酸ナトリウム)水溶液で4時間リーチング処理した。これを濾過した後、よく水洗し、乾燥した。溶出量は3.6重量%であった。これにより、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子が得られた。比表面積は約30m2/gであった。
【0031】
実施例2
Al−Cu−Co準結晶Al合金/NaHCO3リーチング
実施例1におけるNa2CO3の代わりに5wt%の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を用いた他は、実施例1と同じ条件とした。溶出量は0.9重量%であった。これにより、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子が得られた。比表面積は約5m2/gであった。
【0032】
実施例3
Al−Cu−Co−Fe準結晶Al合金/Na2CO3リーチング
Al:4.492g、Cu:3.7443g、Co:0.906g、Fe:0.858gを秤量し、水冷した銅ハース内に入れ、アルゴン雰囲気下でアーク溶解し、Al63Cu23Co6Fe6のインゴット10gを得た。これをアルミナの鉢にて1mm以下の粉末に粉砕して石英管に真空封入し、800℃で24時間熱処理した。熱処理後石英管から取り出しさらに、遊星ボールミルで粉砕した。得られた粒子の粒径分布範囲は1μm〜100μmであった。得られた粒子を5wt%のNa2CO3(炭酸ナトリウム)で4時間リーチング処理した。これを濾過した後、良く水洗し、乾燥した。溶出量は3.0重量%であった。これにより、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子が得られた。比表面積は約25m2/gであった。
【0033】
参考例
Al−Cu−Co準結晶Al合金/NaOHリーチング
実施例1におけるNa2CO3の代わりに5wt%の水酸化ナトリウム(NaOH)を用いた他は、実施例1と同じ条件とした。溶出量は37.8重量%であった。これにより、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子が得られた。比表面積は約17m2/gであった。
【0034】
比較例1
Al−Cu−Fe準結晶Al合金/5wt%NaOHリーチング
Al:4.29g、Cu:4.01g、Fe:1.69gを秤量し、水冷した銅ハース内に入れ、アルゴン雰囲気下でアーク溶解し、Al63Cu25Fe12のインゴット10gを得た。これをアルミナの鉢にて1mm以下の粉末に粉砕して石英管に真空封入し、800℃で24時間熱処理した。熱処理後石英管から取り出しさらに、遊星ボールミルで粉砕した。得られた粒子の粒径分布範囲は0.1μm〜100μmであった。得られた粒子を5wt%のNaOH(水酸化ナトリウム)で4時間リーチング処理した。これを濾過した後、よく水洗し、乾燥した。溶出量は22.6重量%であった。これにより、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子が得られた。比表面積は約25m2/gであった。
【0035】
比較例2
Al−Cu−Fe準結晶Al合金/20wt%NaOHリーチング
比較例1における5wt%NaOH代わりに20wt%の水酸化ナトリウム(NaOH)を用いた他は、比較例1と同じ条件とした。溶出量は27.7重量%であった。比表面積は約23m2/gであった。
【0036】
比較例3
ラネーCu/NaOH展開
実施例1と同様の方法により、Al:2.980g、Cu:7.020gを用い、Al50Cu50の合金インゴット10gを作成し、40倍量の20%NaOH水溶液に合金粉末を少量ずつ30分かけて投入してリーチングし、水洗して調製した。溶出量は29.8重量%であった。これによりラネーCu触媒を製造した。比表面積は約32m2/gであった。
【0037】
比較例4
実施例1で製造したAl−Cu−Co準結晶Al合金粒子をリーチングしなかった。比表面積は約1m2/gであった。
【0038】
触媒活性試験
触媒0.6gを秤量し、固定床流通式反応装置で常圧、反応温度240〜400℃に設定し、水/メタノールのモル比1.5の混合液を流通させた。発生ガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、水素発生速度により実施例1〜3、参考例、及び比較例1〜4の触媒の活性評価をした。結果を図1に示す。
【0039】
以上の試験から、従来のラネーCu触媒は300℃を超えると触媒活性が低下するのに対して、実施例1〜3、参考例の触媒は300℃を超えても触媒活性が増大し、水酸化ナトリウムでリーチングした場合(参考例)は、Al−Cu−Fe準結晶Al合金の場合と同様の傾向を示す高い活性、良好な耐熱性、耐久性を示し、特に、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムでリーチングした場合(実施例1〜3)は、360℃を超えても温度の上昇に比例して触媒活性が増大する特長があり、本発明の製造方法で得られる触媒が、従来の触媒に比べて高い活性を示すとともに360℃を超えても良好な耐熱性、耐久性を有していることが明らかである。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の方法により製造された準結晶Al合金を前駆体とし、準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子からなるCu系触媒は高活性であるとともに、耐熱性に優れ、Co又はCoとFeを含むことによる付加的な触媒活性と優れた耐熱性、耐久性を有する。また、本発明の製造方法において、触媒は、通常の溶解鋳造法により製造したインゴットの粉砕及びリーチング処理により容易に製造されるので、簡単なプロセスで安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1〜3、参考例、及び比較例1〜4の触媒の活性評価をした結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 一般式Al100-a-bCuaCob(ただし、5原子%≦a≦30原子%、5原子%≦b≦25原子%)で示される組成を有する準結晶Al合金のインゴットを粉砕し、得られた微粒子を濃度範囲が2〜8重量%の炭酸ナトリウム(Na2CO3)又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液によりリーチング処理して0.5〜40重量%のAlを溶出することによって準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着した複合粒子を形成することを特徴とするメタノールの水蒸気改質用耐熱触媒の製造方法。
  2. 一般式Al100-a-b-cCuaCobFec(ただし、5原子%≦a≦30原子%、5原子%≦b≦25原子%、c≦10原子%)で示される組成を有する準結晶Al合金のインゴットを粉砕し、
    得られた微粒子を濃度範囲が2〜8重量%の炭酸ナトリウム(Na2CO3)又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液によりリーチング処理して0.5〜40重量%のAlを溶出することによって準結晶Al合金粒子の表面にCuナノ粒子とCoナノ粒子が均一に分散して固着し、FeがFeのナノ粒子又はFe酸化物のナノ粒子として存在する複合粒子を形成することを特徴とするメタノールの水蒸気改質用耐熱触媒の製造方法。
  3. 準結晶Al合金のインゴットを真空中又は不活性雰囲気中で熱処理して該Al合金内の準結晶相を成長させる工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱触媒の製造方法。
  4. 準結晶Al合金のインゴットを粉砕して得られた微粒子を真空中又は不活性雰囲気中で熱処理して該Al合金内の準結晶相を成長させる工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱触媒の製造方法。
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