JP3334266B2 - 双峰的分子量分布をもつブチルゴムの製造法 - Google Patents

双峰的分子量分布をもつブチルゴムの製造法

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JP3334266B2 JP19271493A JP19271493A JP3334266B2 JP 3334266 B2 JP3334266 B2 JP 3334266B2 JP 19271493 A JP19271493 A JP 19271493A JP 19271493 A JP19271493 A JP 19271493A JP 3334266 B2 JP3334266 B2 JP 3334266B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08F210/00Copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond
    • C08F210/04Monomers containing three or four carbon atoms
    • C08F210/08Butenes
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【本発明の分野】本発明はブチルゴムの製造法、特に特
殊な触媒系を使用して双峰的分子量分布(bimoda
l molecular weight distri
bution、分子量分布に山が二つ存在する)をもつ
ブチルゴムを製造する方法に関する。
【0002】
【本発明の背景】工業的な操作において、加工性の良い
ブチルゴムは種々の取り扱いを行う際に過度の流動およ
び変形に耐えるのの十分な生強度をもっていることが見
出だされている。一般に生強度は分子量と関係があり、
生強度は分子量が増加すると共に増加すると考えられて
いる。しかしタイヤの製造のような或る種の用途におい
ては、ゴムは速い應力緩和速度をもち、製造工程中に課
せられる應力は迅速に緩和し、應力が消費されないこと
によりゴムがゆっくりと変形したり、或いは引っ張ると
切れたりしないことが望ましい。しかし應力緩和速度も
分子量の関数であり、分子量が増加するにつれて緩和速
度は遅くなり、分子量を増加させて強度を改善すると、
應力緩和速度は減少する。従って種々の取り扱い操作に
おいてブチルゴムの流動および変形に対する抵抗性が良
くなるにつれ、應力緩和がないことによりゴムは変形し
たり引っ張ると切れ易くなる。従ってブチルゴムの製造
においては、生強度を得るために必要な高い分子量と應
力緩和速度を減少させるために必要な低い分子量との間
でバランスをとる必要に迫られている。
【0003】ブチルゴムの分子量および/または分子量
分布を変性するには種々の方法が用いられて来た。米国
特許第5,071,913号[エクソン(Exxo
n)]に記載された方法では、ブチルゴムと分子量が非
常に異なったポリイソブチレンとを配合し、「仕立てら
れた」分子量分布をつくる。これによって高分子量のブ
チル重合体に起因する生強度の水準と低分子量のブチル
重合体に基づく低粘度および速い應力緩和とが独特な方
法で組み合わされた重合体および重合体組成物が得られ
る。
【0004】やはり米国特許第5,071,913号に
記載された分子量および/または分子量分布を変性する
他の方法においては、重合過程中に陽イオン的に活性を
もった分岐剤、例えばポリイソプレン、ポリブタジエン
とポリスチレンとのブロック共重合体、およびそれらの
部分的に水素化されたまたはハロゲン化された誘導体を
選択的に且つコントロールされた方法で配合する。極め
て高い官能性と反応性をもった溶解部分を少量使用して
分子量が極めて高く高度に分岐した材料を少量混入する
ことができる。逆に反応性が低く官能性が低い部分を大
量使用して分子量が低い分岐した材料を大量に混入する
ことができる。
【0005】ブチルゴムの低温流動特性を改善し得る方
法は米国特許第2,781,334号に記載されてお
り、ブチル重合過程において少量のジビニル芳香族炭化
水素を使用して部分的に交叉結合したブチルゴムを得る
方法である。
【0006】従来特定の分子構造をもつ反応開始剤成分
とルイス酸から成る触媒系を重合過程に使用して双峰的
分子量分布をもつブチルゴムを製造する方法は未だ報告
されていない。
【0007】
【本発明の要約】本発明の目的は双峰的分子量分布をも
つブチルゴムの製造法を提供することである。
【0008】従って本発明においては(A)適当な反応
容器に約95〜約99.5重量%のイソブチレンおよび
約5〜約0.5重量%の炭素数4〜8の共役ジオレフィ
ン単量体から成る単量体を該イソブチレンおよび該共役
ジオレフィン全体を100重量%として加え、且つイソ
ブチレン1モル当たり約1×10-5〜1×10-3モルの
【0009】
【化2】
【0010】但し式中R1、R2およびR3はアルキル、
アリールおよびアラルキル基から成る群から選ばれ、且
つ同一または相異なることができ、iは2〜6の正の整
数である、 の反応開始剤成分および2〜4個のヒドロキシル基をも
ったアダマンチル基を有する反応開始剤成分から成る群
から選ばれる反応開始剤成分、該単量体および該反応開
始剤成分に対する不活性溶媒、および該不活性溶媒1リ
ットル当たり約1×10-4〜1×10-3モルの水を温度
約−120〜約−50℃において加え、(B)工程
(A)の溶液にC1〜C4のハロゲン化炭化水素から成る
群から選ばれる有機溶媒中にイソブチレン1モル当たり
約5×10-5〜約1×10-2モルのルイス酸を含む溶液
を加え、(C)温度約−120〜約−50℃において単
量体を重合させてブチルゴムをつくり、(D)該ブチル
ゴムを回収する工程から成ることを特徴とする双峰的分
子量分布をもつブチルゴムの製造法が提供される。
【0011】本発明の目的に対しては、双峰的分子量分
布をもつブチルゴムはゲル透過クロマトグラフの重合体
濃度−流出時間曲線において二つの組成要素を与えるブ
チルゴムである。
【0012】
【本発明の詳細】ブチルゴムを製造する方法は当業界で
公知である。工業的にはルイス酸型の触媒を用い低温に
おける陽イオン重合法を使用してブチルゴムを製造す
る。触媒の典型的な例は塩化アルミニウムである。最も
広く行われている方法では反応混合物に対する希釈剤と
して塩化メチルを使用し、重合は−90℃以下程度の温
度で行われる。塩化メチルは幾つかの理由で使用される
が、その一つの理由としてはこれが単量体および塩化ア
ルミニウムに対する溶媒であり、重合体生成物に対して
は非溶媒であって、そのためスラリが得られることであ
る。また塩化メチルはそれぞれ、低温で重合を行うこと
ができ、また重合体生成物および未反応の単量体から塩
化メチルを効果的に分離できる適当な凝固点および沸点
をもっている。しかしこのような重合は生成される重合
体に対する溶媒となる希釈剤の中で行うこともできる。
このような希釈剤の例としては炭化水素のペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、これらの溶媒同士の混合物、または
これらの溶媒と塩化メチルおよび/または塩化メチレン
との混合物がある。
【0013】本発明において驚くべきことには、2〜6
個の第3級ヒドロキシル基を含む反応開始剤成分をルイ
ス酸と組み合わせて重合工程の触媒として使用すれば、
双峰的分子量分布をもった、従って加工し易いブチルゴ
ムをつくることができることが見出だされた。
【0014】本発明における単量体の装入量はイソブチ
レンおよび炭素数4〜8の共役ジオレフィン全体を10
0重量%としてイソブチレンが約95〜約99.5重量
%、該ジオレフィンが約5〜約0.5重量%である。好
ましくは単量体装入量はイソブチレンおよび炭素数4〜
8の共役ジオレフィン全体を100重量%としてイソブ
チレンが約97〜約99.5重量%、該ジオレフィンが
約3〜約0.5重量%である。好適な共役ジオレフィン
はイソプレンである。
【0015】本発明に使用するのに適した反応開始剤成
分は式
【0016】
【化3】
【0017】但し式中R1、R2およびR3はアルキル、
アリール、およびアラルキルから成る群から選ばれ、同
一または相異なることができ、またiは2〜6の正の整
数である、 の反応開始剤成分、および2〜4個のヒドロキシル基を
有するアダマンチル核をもった反応開始剤から成る群か
ら選ばれる。
【0018】適当な反応開始剤の例としては1,4−ジ
ヒドロキシ−1,1,4,4−テトラフェニルブタン、
2,5−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルヘキサン、
2,5−ジヒドロキシ−ヘキス−3−エン、2,5−ジ
ヒドロキシ−2,5−ジメチル−ヘキス−3−エン、
2,5−ジヒドロキシ−2,5−ジメチル−ヘキス−3
−イン、2,6−ジヒドロキシ−2,4,4,6−テト
ラメチルヘプタン、4,4′,4″−トリ[(2−ヒド
ロキシ−2−プロピル)フェニル]メタン、1,4−ジ
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン(ジクミル
アルコール)、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシ−2
−プロピル)ベンゼン(トリクミルアルコール)、1,
3,5−トリヒドロキシアダマンタン、および1,3,
5,7−テトラヒドロキシアダマンタンが含まれるが、
これだけに限定されるものではない。好ましくは反応開
始剤成分は1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピ
ル)ベンゼンおよび1,3,5−トリ(2−ヒドロキシ
−2−プロピル)ベンゼンから成る群から選ばれ、最も
好適な反応開始剤成分は1,3,5−トリ(2−ヒドロ
キシ−2−プロピル)ベンゼンである。
【0019】イソブチレンに対して使用する反応開始剤
成分の量は双峰的分子量分布をもったブチルゴムを得る
上において重要であり、イソブチレン1モル当たり約1
×10-5〜約1×10-3モルである。
【0020】本発明方法に使用するのに適したルイス酸
は幾つかある。その例としては三塩化ホウ素、三フッ化
ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、二塩化エ
チルアルミニウムがあるが、これだけに限定されるもの
ではない。本発明に使用するのに好適なルイス酸は三塩
化アルミニウムである。イソブチレンに対するルイス酸
の使用量はイソブチレン1モル当たり約5×10-5〜約
1×10-2モルである。
【0021】本発明方法においてルイス酸はC1〜C4
ハロゲン化された炭化水素から成る群から選ばれる非凍
結性、非錯化性の溶媒の溶液として使用される。好まし
くはこの溶媒は塩化メチルおよび塩化メチレンから成る
群から選ばれる。
【0022】上記の工業的なブチルゴム重合法に使用さ
れる不活性溶媒は、また本発明方法において単量体およ
び反応開始剤成分に対する溶媒として適している。好適
な不活性溶媒にはC1〜C4のハロゲン化炭化水素および
その混合物、C5〜C8の脂肪族炭化水素、C5〜C10
の脂環式炭化水素、1種またはそれ以上の該ハロゲン化
炭化水素と1種またはそれ以上の該脂肪族炭化水素との
混合物、および1種またはそれ以上のハロゲン化炭化水
素と1種またはそれ以上の該脂環式炭化水素との混合物
がある。最も好ましくは不活性溶媒は塩化メチル、塩化
メチレンおよびその混合物から成る群から選ばれる。
【0023】本発明方法により双峰的分子量分布をもっ
たブチルゴムをつくるためには、単量体および反応開始
剤成分を溶解する不活性溶媒は該不活性溶媒1リットル
当たり約1×10-4〜約1×10-3モル程度の痕跡量の
水を含んでいることが重要である。工業的に供給される
大部分の不活性溶媒は痕跡量の水を含んでいるから、本
発明方法を実験室規模で行うときには、反応媒質にさら
に水を加える必要はない。しかし本発明方法を工業的規
模で行う場合には、この反応の性質上、不活性溶媒の他
に本発明に必要な水を加えなければならない。本発明を
実施する場合、ヒドロキシル基の全濃度、即ち反応開始
剤成分のヒドロキシル基濃度および水のヒドロキシル基
の濃度はルイス酸の濃度よりも少ないことが重要であ
る。何故ならばこのヒドロキシル基の全濃度がルイス酸
の濃度以上であると、重合により単峰的な分子量分布を
もったブチルゴムが生じるからである。
【0024】双峰的分子量分布をもったブチルゴムの製
造においては、単量体、反応開始剤成分、ルイス酸およ
び痕跡の水を含む溶媒を添加する順序は重要である。適
当な反応容器にイソブチレンおよび共役ジオレフィン単
量体、反応開始剤成分、および痕跡の水を含む溶媒を温
度約−120〜約−50℃において加える。次にハロゲ
ン化炭化水素中にルイス酸を含む溶液を加えてイソブチ
レンおよび共役ジオレフィンの重合を開始させる。単量
体は約−120〜約−50℃の温度で重合して生成物の
双峰的分子量分布をもったブチルゴムが生じる。そこで
このゴムを回収する。反応原料を上記の順序で加えず、
その代わり単量体と痕跡の水を含む溶媒とを加える前に
反応開始剤成分とルイス酸のハロゲン化炭化水素溶液と
を予め混合すると、双峰的分子量分布をもたないブチル
ゴムが得られる。
【0025】本発明方法でつくられたブチルゴムはゴム
状の重合体を回収する通常の方法で回収することができ
る。このような方法には、高分子量の重合体に対して
は、重合体−溶媒溶液またはスラリを多量の高温の水と
接触させ、溶媒および未反応の単量体をフラッシュ蒸発
させる方法が含まれる。この重合体−高温水のスラリを
次にトンネル式乾燥器または乾燥押出器に通すことがで
きる。他の方法としては、特に数平均分子量が30,0
00より少ない重合体の場合、(i)重合体−溶液また
はスラリを水蒸気と接触させるか、または重合体の溶液
またはスラリに真空をかけて溶媒および未反応の単量体
をフラッシュ蒸発させ、(ii)酸性の不純物および残
留した高沸点溶媒をメタノールで抽出し、(iii)精
製した重合体を乾燥して痕跡のメタノールを除去する方
法がある。
【0026】理論により本発明を限定するつもりはない
が、反応開始剤成分、例えば3個のヒドロキシル基をも
ったトリクミルアルコールは、反応媒質中でルイス酸、
塩化アルミニウムおよび痕跡量の水の反応で生じる重合
体の生成中心の他に、重合体の生成中心を与え、両方の
場合の対抗イオンは比較的安定なAlCl3OH-であ
る。
【0027】
【化4】
【0028】このようにして、重合の際にはプロトン中
心およびトリクミルアルコールからそれぞれ生じる3個
の生成中心から線状の重合体および分岐した重合体が生
じ、双峰的分子量分布をもったブチルゴムが得られる。
【0029】下記実施例により本発明を例示する。これ
らの実施例は本発明を限定するものではない。
【0030】材 料 イソブチレンおよび塩化メチルはマテソン(Mathe
son)社の製品を使用した。反応禁止剤を除去したイ
ソプレンは窒素雰囲気下において水素化カルシウムを加
えて蒸溜した後使用した。三塩化アルミニウムはアルド
リッチ(Aldrich)社の製品を用いた。その組成
は既知量を加水分解し、原子吸光法によりアルミニウム
含量を決定して検査した。1,4−ジ(2−ヒドロキシ
−2−プロピル)ベンゼンはアルドリッチ社の製品を用
いた。
【0031】反応開始剤の1,3,5−トリ(2−ヒド
ロキシ−2−プロピル)ベンゼンは次の方法で合成し
た。
【0032】塔頂撹拌機および還流冷却器を備えた三ッ
口フラスコ中において窒素雰囲気下で1,3,5−トリ
カルボキシベンゼン(300.0g、1.43モル)を
メタノール(5000ml)に溶解し、濃硫酸(25m
l)を加える。この溶液を撹拌しながら48時間加熱還
流させ、この間ジメトキシプロパン(530ml)を三
つの部分に分けて、即ち6時間目に200ml、24時
間目に200ml、44時間目に130mlを加える。
冷却してトリクミルメチルエステルを溶液から晶出さ
せ、蒸溜水、次いで冷メタノールで洗滌し、温度40℃
において真空乾燥器中で乾燥する。
【0033】温度計、塔頂撹拌機および還流冷却器を備
えた三ッ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で臭化メ
チルマグネシウムのジエチルエーテル溶液(800m
l、2.4モル)をテトラヒドロフラン(1000m
l)へ移す。この溶液にトリクミルメチルエステル(5
0.4g、0.2モル)のテトラヒドロフラン溶液(5
00ml)を2〜4時間に亙り滴下し、この間温度が上
昇して溶液が還流を始めないように注意する。溶液を一
晩撹拌し、濃化してペーストにする。このペーストを氷
の上に注ぎ、有機層を分離し、等容量のヘキサンで抽出
して不純物を除き、ヘキサン層から分離し、減圧下でさ
らに濃縮する。残った生成物を温かい酢酸エチルに溶解
し、不溶のマグネシウム塩を濾過して除去し、冷凍器中
でこの溶液からトリクミルアルコールを晶出させる。ト
リクミルアルコールの結晶を瀘別し、真空乾燥器中で4
0℃において乾燥する(融点144℃)。
【0034】
【実施例】
実施例 1 ドライ・ボックスの中でバッチ式重合を3回行い、少な
くとも2個の第3級ヒドロキシル官能基をもった反応開
始剤成分およびルイス酸の塩化アルミニウムから成る触
媒系を使用した場合、塩化メチル希釈剤中で重合したブ
チルゴムの分子量分布に対する影響を示した。
【0035】ドライ・ボックス中において窒素雰囲気下
で塔頂撹拌機および温度計を備えた反応器にイソブチレ
ン(60.0g、1.07モル)、イソプレン(1.6
g、0.023モル)、1,4−ジ(2−ヒドロキシ−
2−プロピル)ベンゼン(ジクミルアルコール)(0.
015g、7.7×10-5モル)および痕跡量の水を含
む塩化メチル(138.4g、−90℃において150
ml)を温度−90℃で装入した。次に塩化アルミニウ
ム(0.032g、2.4×10-4モル)の塩化メチル
溶液(温度−90℃で5ml)を反応混合物に加えて重
合を開始する。反応速度は非常に速く、大量の重合体が
数分の内に生じて塔頂撹拌機の羽根の運動を妨げた。エ
タノールを加えて反応を停止させる。生成物の重合体を
ヘキサンに溶解し、重合体100部当たり1部の酸化防
止剤アーガノックス(Irganox)1010(商品
名)を含むエタノールを加えて再び凝固させた。
【0036】第2の重合は上記に詳細に述べたのと同じ
方法で行ったが、重合の反応開始剤成分として1,3,
5−トリ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン
(トリクミルアルコール)(0.019g、7.5×1
-5モル)を使用した。
【0037】第3の重合(対照)も上記に詳細に述べた
のと同じ方法で行ったが、重合に反応開始剤成分を使用
しなかった。
【0038】生成物の分子量分布はウオーターズ(Wa
ters)社のゲル透過クロマトグラフ装置に細孔の大
きさがそれぞれ100、500、103、104、105
および106オングストロームのウルトラスタイラゲル
(Ultrastylagel)(R)のカラムを直列に
連結して取り付け、温度を35℃に保ち、示差屈折率検
出器410および紫外線分光光度計検出器484の2種
の検出器を使用して決定した。移動相としてはテトラヒ
ドロフランを流速1ml/分で流して使用した。この装
置は狭い分子量分布をもったポリスチレンで較正し、内
部基準として硫黄を用いた。ウオーターズ社のマキシマ
(Maxima)820ゲル透過クロマトグラフ用ソフ
トウエアと一般的な較正原理を用いて重量平均分子量と
数平均分子量の両方を計算した。一般的な較正原理の正
当性は狭い分子量分布をもったポリイソブチレンで較正
することにより確かめられた。
【0039】生成物の重合体の不飽和度は200MHz
および500MHzの1H核磁気共鳴法により決定し
た。
【0040】三つの別々の実験の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1の結果から判るように、ジクミルアル
コールまたはトリクミルアルコールのいずれかの反応開
始剤をブチルゴムの重合工程に導入すると、反応開始剤
成分を加えないでつくられたブチルゴムと同様な不飽和
度をもつブチルゴムが得られる。しかし反応開始剤成分
を存在させて本発明方法によりつくられたブチルゴムは
遥かに広い双峰的分子量分布をもち、これに対し反応開
始剤成分を存在させないでつくられたブチルゴムは単峰
的な分子量分布をもっている。
【0043】実施例 2 ドライ・ボックスの中でのバッチ式重合を2回行い、反
応開始剤成分とルイス酸とを予備混合することが塩化メ
チル希釈剤中で重合したブチルゴムの分子量分布に与え
る影響を示した。
【0044】ドライ・ボックス中において、窒素雰囲気
下で塔頂撹拌機および温度計を備えた反応器に1,4−
ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン(ジクミ
ルアルコール)(0.015g、7.7×10-5モル)
および塩化アルミニウム(0.0275g、2.1×1
-4モル)の塩化メチル溶液(20ml)を温度−90
℃で装入する。5分後反応器にさらにイソブチレン(6
0.0g、1.07モル)、イソプレン(1.6g、
0.023モル)および7.5×10-5モルの水を含む
塩化メチル(138.4g、−90℃において150m
l)を−90℃の温度で加える。直ちに重合が起こる。
5分後エタノールを加えて反応を停止させる。生成物の
重合体をヘキサンに溶解し、重合体100部当たり1部
の酸化防止剤アーガノックス1010(商品名)を含む
エタノールを加えて再び凝固させた。
【0045】第2の重合は上記に詳細に述べたのと同じ
方法で行ったが、重合の反応開始剤成分として1,3,
5−トリ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン
(トリクミルアルコール)(0.015g、5.9×1
0−5モル)を使用した。
【0046】実施例1記載の方法で重合体を分析した。
二つの別々の実験の結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2の結果からルイス酸、重合させるべき
単量体を装入する前に塩化アルミニウムおよび反応開始
剤成分を予め混合すると、単峰的な分子量分布をもった
ブチルゴムが生じることが判る。
【0049】本発明の主な特徴及び態様は次の通りであ
る。 1.(A)適当な反応容器に約95〜約99.5重量%
のイソブチレンおよび約5〜約0.5重量%の炭素数4
〜8の共役ジオレフィン単量体から成る単量体を該イソ
ブチレンおよび該共役ジオレフィン全体を100重量%
として加え、且つイソブチレン1モル当たり約1×10
-5〜1×10-3モルの式
【0050】
【化5】
【0051】但し式中R1、R2およびR3はアルキル、
アリールおよびアラルキル基から成る群から選ばれ、且
つ同一または相異なることができ、iは2〜6の正の整
数である、 の反応開始剤成分および2〜4個のヒドロキシル基をも
ったアダマンチル基を有する反応開始剤成分から成る群
から選ばれる反応開始剤成分、該単量体および該反応開
始剤成分に対する不活性溶媒、および該不活性溶媒1リ
ットル当たり約1×10-4〜1×10-3モルの水を温度
約−120〜約−50℃において加え、 (B)工程(A)の溶液にC1〜C4のハロゲン化炭化水
素から成る群から選ばれる有機溶媒中のイソブチレン1
モル当たり約5×10-5〜約1×10-2モルのルイス酸
を加え、 (C)温度約−120〜約−50℃において単量体を重
合させてブチルゴムをつくり、 (D)該ブチルゴムを回収する工程から成る双峰的分子
量分布をもつブチルゴムの製造法。
【0052】2.該反応開始剤成分は1,4−ジヒドロ
キシ−1,1,4,4−テトラフェニルブタン、2,5
−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−
ジヒドロキシ−ヘキス−3−エン、2,5−ジヒドロキ
シ−2,5−ジメチル−ヘキス−3−エン、2,5−ジ
ヒドロキシ−2,5−ジメチル−ヘキス−3−イン、
2,6−ジヒドロキシ−2,4,4,6−テトラメチル
ヘプタン、4,4′,4″−トリ[(2−ヒドロキシ−
2−プロピル)フェニル]メタン、1,4−ジ(2−ヒ
ドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,3,5−トリ
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,3,
5−トリヒドロキシアダマンタン、および1,3,5,
7−テトラヒドロキシアダマンタンから成る群から選ば
れる上記第1項記載の方法。
【0053】3.該反応開始剤成分は1,4−ジ(2−
ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、および1,3,
5−トリ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンか
ら成る群から選ばれる上記第2項記載の方法。
【0054】4.該共役ジオレフィン単量体はイソプレ
ンである上記第1項記載の方法。 5.該ルイス酸は三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、三塩
化アルミニウム、四塩化チタン、および塩化エチルアル
ミニウムから成る群から選ばれる上記第1項記載の方
法。
【0055】6.該ルイス酸は三塩化アルミニウムであ
る上記第6項記載の方法。
【0056】7.工程(A)の不活性溶媒はC1〜C4
ハロゲン化炭化水素およびその混合物、C5〜C8の脂肪
族炭化水素、C5〜C10の脂環式炭化水素、1種または
それ以上の該ハロゲン化炭化水素と1種またはそれ以上
の該脂肪族炭化水素との混合物、および1種またはそれ
以上のハロゲン化炭化水素と1種またはそれ以上の該脂
環式炭化水素との混合物から成る群から選ばれる上記第
1項記載の方法。
【0057】8.不活性有機溶媒は塩化メチル、塩化メ
チレンおよびそれらの混合物から成る群から選ばれる上
記第9項記載の方法。
【0058】9.工程(B)の有機溶媒は塩化メチルで
ある上記第1項記載の方法。
【0059】10.(A)適当な反応容器に約95〜約
99.5重量%のイソブチレンおよび約5〜約0.5重
量%のイソプレンを該イソブチレンおよび該イソプレン
全体を100重量%として加え、且つイソブチレン1モ
ル当たり約1×10-5〜1×10-3モルの1,3,5−
トリ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン、該単
量体に対する溶媒としての塩化メチル、および該塩化メ
チル1リットル当たり約1×10-4〜1×10-3モルの
水を温度約−120〜約−50℃において加え、(B)
工程(A)の溶液に塩化メチル中のイソブチレン1モル
当たり約5×10-5〜約1×10-2モルの塩化アルミニ
ウムを含む溶液を加え、(C)温度約−120〜約−5
0℃において単量体を重合させてブチルゴムをつくり、
(D)該ブチルゴムを回収する工程から成る上記第1項
記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−205305(JP,A) 特開 平2−36204(JP,A) 特開 昭54−38386(JP,A) 特開 平1−318014(JP,A) 特表 平4−500529(JP,A) 米国特許4711866(US,A) 米国特許2344213(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/00 - 4/82 C08F 10/00 - 10/14 C08F 110/00 - 110/14 C08F 210/00 - 210/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)適当な反応容器に95〜99.5
    重量%のイソブチレンおよび5〜0.5重量%の炭素数
    4〜8の共役ジオレフィン単量体から成る単量体を該イ
    ソブチレンおよび該共役ジオレフィン全体を100重量
    %として加え、且つイソブチレン1モル当たり1×10
    -5〜1×10-3モルの式 【化1】 但し式中R1、R2およびR3はアルキル、アリールおよ
    びアラルキル基から成る群から選ばれ、且つ同一または
    相異なることができ、iは2〜6の正の整数である、 の反応開始剤成分および2〜4個のヒドロキシル基をも
    ったアダマンチル基を有する反応開始剤成分から成る群
    から選ばれる反応開始剤成分、該単量体および該反応開
    始剤成分に対する不活性溶媒、および該不活性溶媒1リ
    ットル当たり1×10-4〜1×10-3モルの水を温度−
    120〜−50℃において加え、 (B)工程(A)の溶液にC1〜C4のハロゲン化炭化水
    素から成る群から選ばれる有機溶媒中のイソブチレン1
    モル当たり5×10-5〜1×10-2モルのルイス酸を加
    え、 (C)温度−120〜−50℃において単量体を重合さ
    せてブチルゴムをつくり、 (D)該ブチルゴムを回収する工程から成ることを特徴
    とする双峰的分子量分布をもつブチルゴムの製造方法。
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