JP3333296B2 - 双方向回転用ブラシ装置およびその製造方法 - Google Patents
双方向回転用ブラシ装置およびその製造方法Info
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Description
機に使用される双方向回転用ブラシ装置およびその製造
方法に関する。
は、任意の整流子間がブラシを用いて短絡され、整流が
行われる。しかし、短絡コイル(整流コイル)を通る磁
束歪みの変化によって発生する誘導起電力、コイルのイ
ンダクタンス等によって整流時の電流変化が遅れて不足
整流となる。この結果、整流終了時に、整流コイルの電
流の変化量が大きくなり、大きなリアクタンス電圧が発
生する。これがブラシと整流子間に火花放電を発生さ
せ、整流子面を粗くし凹凸面を形成する。この結果、ブ
ラシの摩耗量が大きくなり、その寿命が著しく減少する
とともに、ブラシ自体の振動音も大きくなってしまうな
どという問題が発生する。
高性能マグネットを使用し、マグネットの薄肉化を行う
と、整流子とステータヨーク間が小さくなるため、電機
子磁束に対する磁気抵抗が減少し、前述した不足整流が
さらに顕著となり、この結果、前述した問題点も顕著に
現われることになる。
不足整流の問題を解消し、無火花整流を行うための各種
の対策が行われている。
磁気的中心までシフトする方法や、補極を設けるなどの
方法がある。しかし、双方向の回転モータ等では、回転
方向によってシフト位置や、補極の向きを逆にする必要
があるため、その構造が非常に複雑となり、特に双方向
回転型の小型モータ等では、スペースの関係上、このよ
うな対策を取ることはほとんど不可能であった。
46546号公報に係る提案も知られている。この提案
では、ブラシ前端に低抵抗材、後端に高抵抗材を用い、
ブラシ本体を二層構造とすることによって火花発生の低
減を図っている。しかし、この従来技術も、片方向回転
型のモータに対しては有効であるが、双方向回転型のモ
ータには対応することができなかった。
いはブラシと整流子の接触面全体の接触抵抗を大きくす
ることによって、良好な整流特性を得ようとする提案も
なされている。しかし、このようにブラシ全体の抵抗を
大きくすると、整流子に印加される電圧の低下を招き、
モータ性能、特にその出力トルクを大きく低下させてし
まうという問題が発生する。
示すよう、中央に低抵抗部82、両端に高抵抗部84,
86を配した三層構造のブラシ本体80も知られてい
る。しかし、このようにすると、後述するよう、ブラシ
の製造工程が増え、複雑になってしまうことや、各層間
で抵抗値が急激に変化してしまい、これが火花放電を引
き起こす原因となるという問題があった。
されたものであり、その目的は、簡単な構造でしかも火
花の発生を抑え、良好な整流特性を得ることができる双
方向回転用ブラシ装置およびその製造方法を提供するこ
とにある。
ラシ装置の製造方法は、幅方向がロータ回転方向、高さ
方向がロータ回転方向と交叉する方向に設定された成型
空間に高抵抗の第1の材料粉末を投入する工程と、前記
成型空間の第1の材料粉末上に低抵抗の第2の材料粉末
を投入し、高さ方向に第1の材料粉末、第2の材料粉末
の順で積層させる工程と、前記成型空間の高さ方向から
積層された各材料粉末を押圧し、前記第2の材料粉末が
中央に位置する低抵抗部、前記第1の材料粉末が幅方向
両端が次第に狭くなる高抵抗部となるブラシ本体を形成
する工程と、を含むことを特徴としている。また、本発
明の双方向回転用ブラシ装置は、ロータ回転軸に沿った
方向に積層された高抵抗部及び低抵抗部で整流子接触面
が形成されたブラシ本体を含み、前記ブラシ本体は、ロ
ータ回転方向における両端から中央に向けて、整流子と
の抵抗が徐々に小さくなるように形成されていることを
特徴とする。ここにおいて、前記整流子接触面は、前記
ロータの回転軸に沿った方向の長さが、前記ロータ回転
方向の両端から中央に進むに従い、徐々に長くなるよう
に形成されていてもよい。この双方向回転用ブラシ装置
は、前記ブラシ本体に一体的に設けられ、前記高抵抗部
及び低抵抗部の積層方向に延びるピッグテールを有して
もよい。
よび低抵抗の第2の材料粉末を、所定の成形空間内に順
次投入し、所定の押圧部材を用いてこれを第2の粉末側
から押圧することにより、簡単に双方向回転用のブラシ
本体を形成することができ、双方向回転用の三層ブラシ
を形成する場合に比べ、その製造工程が簡略化され、ブ
ラシ装置自体の大幅なコストダウンを図ることができ
る。さらに、本発明では、ブラシ本体の整流子接触面を
構成する高抵抗部及び低抵抗部が、ロータ回転軸に沿っ
た方向に積層されている。また、ブラシ本体と整流子と
の抵抗が、ブラシ本体のロータ回転方向における両端か
ら中央に向けて徐々に小さくなっている。このため、そ
の抵抗値がなめらかに変化することになり、火花放電等
が発生することがない。
詳細に説明する。
転型小型直流モータに適用した場合を例にとり説明す
る。
れる整流子10と、双方向回転用ブラシ装置20の要部
が概略的に示されている。図2には、前記ブラシ装置2
0を、整流子10側から見た図が概略的に示され、図3
には、前記ブラシ装置20を図1の矢印A側から見た図
が概略的に示されている。
いる。そして、この整流子10は、ロータ回転方向Wに
沿ってリング状に整列配置された複数の整流子片12−
1、12−2、12−3、……を含み、隣接する各整流
子片12間は、それぞれ電機子コイル14により短絡接
続されている。
られている。そして、このブラシ装置20は、図示しな
いブラシホルダーにより整流子片12へ圧接するように
保持されたブラシ本体22と、そのブラシ本体22と電
源との間を接続する給電線としてのピッグテール24と
を含む。前記ブラシ本体22は、整流子10と接触する
面が略台形の柱形状に形成されている。該ブラシ本体2
2の整流子10と接触する面の幅は特に限定されるもの
ではないが、整流子片12とほぼ同じ幅とすることが好
ましい。
と直交する方向に、高抵抗部32と低抵抗部30とが積
層された二層構造ブラシとして形成されている。
2は、その幅方向両端(整流子回転方向Wへ向けた両
端)にテーパ部32a,32aが形成され、その断面形
状がほぼ台形形状に形成されている。そして、その略台
形形状をした高抵抗部32の幅狭の上面側に、同様に断
面が台形形状をした低抵抗部30が一体的に形成されて
いる。これにより、ブラシ本体22は、前述したよう
に、全体としてその断面が略台形形状をした柱形状に形
成されることになる。
抵抗を考えると、その接触面積が両端側に向かうに従い
次第に小さくなるように形成された長さbの両端領域4
2,44は、両端に行くに従いその接触抵抗が次第に大
きくなる高抵抗領域として機能し、長さaの中央の領域
46は、低抵抗部30と共に抵抗値の小さな低抵抗領域
を形成することになる。このように、実施例のブラシ本
体22は、実際は低抵抗部30および高抵抗部32の二
層構造として形成されるが、機能的には、中央の低抵抗
領域46と、その両端の高抵抗領域42,44からなる
三層構造のブラシとして機能することになる。
低抵抗領域46からその両端に行くに従い連続的に減少
する構成となっている。このため、中央の低抵抗領域4
6と両端の高抵抗領域42,44との間の抵抗値の変化
は連続的になめらかなものとなり、従来の三層ブラシの
ように抵抗値が急激に変化する構造となっていないた
め、後述するよう、この抵抗遷移領域で、抵抗値の急激
な変化に伴う火花放電が発生することもない。
%含み、しかも低抵抗部30と高抵抗部32との抵抗比
が5倍以上または接触電圧降下比が5倍以上に設定する
ことが望ましい。実施例の低抵抗部30は、銅を40w
t%含み、低抵抗部30と高抵抗部32との抵抗比が1
0倍となるように設定されている。
作用を説明する。
の間にある通電回路の概略が示され、同図(A)は、ブ
ラシ本体22と整流子10との位置関係を示す平面概略
図、同図(B)はその側断面概略図、同図(C)は、ブ
ラシ本体22と整流子片12との接続状態を等価回路を
用いて表している。ここにおいて、Ra,Rbは、ブラ
シ本体22の給電ポイント(ピッグテール24との接続
点)と、各整流子片12−1,12−2との間のブラシ
抵抗を表している。
4を介しブラシ本体22に電機子電流Iを通電すると、
この電機子電流Iはブラシ本体22と接触する整流子片
12を介し二つにわかれ、I/2の電流となって、各電
機子コイル14へ向け供給されることになる。
流子10が矢印W方向へ回転駆動され、ブラシ本体22
と整流子片12との接触状態が同図(A)、(B)、
(C)に示すように順次変化していく場合を想定する。
突入する整流子片12−1とブラシ本体22との接触が
開始されると、ブラシ本体22は整流子片12−1の全
面との接触を完了するまでの間(ブラシ本体22が整流
子片12−2から完全に離脱するまでの間)が整流周期
Tとなる。ブラシ本体22で整流子片12−1、12−
2が短絡されると、短絡コイル14、整流子片12−
2、ブラシ本体22、整流子片12−1の間で短絡回路
が形成され、短絡コイル14の誘導起電力およびリアク
タンス電圧によってiの電流が流れる。このとき短絡コ
イル14に流れる電流iは、図6(B)に示すよう、整
流初期においてはI/2であるが、整流終期においては
−I/2となる。このときの理想的な整流曲線は、図6
において100で示されている。
ために、従来は、図7に示すような三層ブラシ本体80
を用いていた。この三層ブラシ本体80は、中央の低抵
抗部82をその両端側から高抵抗部84,86でサンド
イッチする三層構造に形成されている。
図8に示すよう整流を行うと、ブラシ本体80と各整流
子片12−1,12−2との間の抵抗Ra,Rbは、整
流の進展とともに図9(A)に示すように変化する。こ
れに伴い、電機子コイル14を流れる電機子電流iは、
図9(B)に示すよう、変化することになる。なお、図
9において、A,B,Cで示す箇所は、図8(A),
(B),(C)とそれぞれ対応する。
も、理想的な整流曲線100に近い整流曲線を得ること
ができる。しかし、この従来の三層ブラシ80では、高
抵抗部84と低抵抗部82との接続部分200A、低抵
抗部82と高抵抗部86との接続部分200Bにおいて
抵抗値が急激に変化し、この結果、図9(B)に示すよ
う、電機子コイル14に流れる電流iも急激に変化す
る。
9(B)の200A,200Bの領域で大きな変化量を
持つようになってしまう。したがって、この200A,
200Bのタイミングでは、リアクタンス電圧(Ldi
/dt)の値が大きくなって、ブラシ本体22と整流子
10の間に火花を発生させやすい状況となってしまう。
示すよう、ブラシ本体22と整流子片12−1,12−
2との間のRa,Rbが連続的に変化し、しかも、電機
子コイル14に流れる電流iも図6(B)に示すよう、
なめらかに変化する。したがって、従来の三層ブラシ本
体80を用いた場合に比べ、急激な抵抗値変化の問題が
なく、火花放電のない良好な整流を行うことができる。
断面が左右対称に形成されているため、整流子10の回
転方向Wが反転した場合でも、良好な整流極性を発揮す
ることができる。
は、低抵抗領域46と整流子片12とが十分な接触面積
をもって接触することになるため、ブラシ本体22部分
での電圧低下が少なくなり、出力トルクの低下等といっ
た直流機本来の性能を損なうこともない。
22の製造工程が示されている。
形型を構成する成形用ダイス200と、押圧部材として
機能する下パンチ210および上パンチ220と、ブラ
シ用の2種類の原料粉末を投入するための図示しないフ
ィーダーとを含んで構成されている。
粉末を加圧するための成形用空間300を有しており、
この成形用空間300に沿って上パンチ220と下パン
チ210が移動して原料粉末を2方向から押圧する。以
下、この製造装置を用いた製造工程を順を追って説明す
る。
へ、高抵抗の第1の材料粉末410を図示しないフィー
ダーを用いて適量充填する。
を用いて、前記成形空間300上に低抵抗の第2の材料
粉末410を適量充填する。これにより、成形空間30
0内には、第1の材料粉末410と第2の材料粉末42
0とが積層された状態となる。
パンチ220を降下させる。このとき、上パンチ220
の先端に設けられた台形状の窪み222により、積層さ
れた第1および第2の材料粉末410,420は、断面
がほぼ台形状をした形状に加圧整形される。
に退避させ、その後図10(E)に示すよう下パンチ2
10を上方に移動させ、加圧形成されたブラシ本体22
を取り出す。そして、この取り出したブラシ本体22を
所定の焼成工程で焼成し、実施例のブラシ本体22が完
成する。
ば、一般の二層ブラシの場合と同様な工程で、ブラシ本
体22を形成することができる。これに対して従来の三
層ブラシ本体を形成する場合には、材料を型に詰め込む
工程が一つ増えてしまう。さらに、寸法精度を要求され
る場合には、各材料を詰め込む度に仮圧縮等の工程を必
要とするために、さらに複雑な工程となってしまう。こ
のことからも、本実施例によれば、従来の三層ブラシに
比べ、より良好な整流特性を持つ双方向回転用ブラシ装
置を、三層ブラシより簡単な製造工程で安価に製造可能
であることが理解されよう。
のではなく、本発明の要旨の範囲内で各種の変形実施例
が可能である。
面が略台形状に形成される場合を例にとり説明したが、
本発明はこれに限らず、必要に応じ、本発明の要旨の範
囲内で各種の形状に形成できる。
抗領域42,44との抵抗差をより大きく設定する場合
には、図11に示すよう、ブラシ本体22の両端側のテ
ーパ面32a,32aを曲線形状に形成すればよい。
に示すよう、単一部材で形成され、その形状が前記各実
施例と同様なブラシ本体22を用い、同様な整流特性の
実験を行った。その実験の結果、ブラシ本体22のロー
タ接触面40を、その両端が次第に狭くなるように形成
するだけでも、ある程度の整流特性の改善が見られた。
しかし、前述した本実施例のブラシ本体を用いた場合の
ような、良好な整流特性を得ることはできなかった。
ね巻きタイプの直流機に適用した場合を例にとり説明し
たが、本発明はこれに限らず、これ以外にも、例えば二
重重ね巻きタイプの直流機に対しても適用可能である。
良好な整流特性を有する双方向回転用ブラシ装置を製造
することができるという効果がある。さらに、本発明に
よれば、ブラシ本体の整流子接触面を構成する高抵抗部
及び低抵抗部が、ロータ回転軸に沿った方向に積層され
ている。また、ブラシ本体と整流子との抵抗が、ブラシ
本体のロータ回転方向における両端から中央に向けて徐
々に小さくなっている。このため、その抵抗値がなめら
かに変化することになり、火花放電等が発生することが
ないという優れた効果を奏する双方向回転用ブラシ装置
を得ることができる。
る整流子およびブラシ装置の概略斜視説明図である。
説明図である。
説明図である。
流れる方向を示す概略説明図である。
との相対位置の変化を示す説明図である。
のブラシ抵抗の変化を示す説明であり、同図(B)は、
整流特性の説明図である。
けるブラシ本体と整流子片との相対位置関係の変化を示
す説明図である。
用いて整流を行う場合のブラシ抵抗の変化を示す特性
図、同図(B)は、整流特性の説明図である。
る。
る。
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 幅方向がロータ回転方向、高さ方向がロ
ータ回転方向と交叉する方向に設定された成型空間に高
抵抗の第1の材料粉末を投入する工程と、 前記成型空間の第1の材料粉末上に低抵抗の第2の材料
粉末を投入し、高さ方向に第1の材料粉末、第2の材料
粉末の順で積層させる工程と、 前記成型空間の高さ方向から積層された各材料粉末を押
圧し、前記第2の材料粉末が中央に位置する低抵抗部、
前記第1の材料粉末が幅方向両端が次第に狭くなる高抵
抗部となるブラシ本体を形成する工程と、 を含むことを特徴とする双方向回転用ブラシ装置の製造
方法。 - 【請求項2】 ロータ回転軸に沿った方向に積層された
高抵抗部及び低抵抗部で整流子接触面が形成されたブラ
シ本体を含み、 前記ブラシ本体は、ロータ回転方向における両端から中
央に向けて、整流子との抵抗が徐々に小さくなるように
形成されていることを特徴とする双方向回転用ブラシ装
置。 - 【請求項3】 前記整流子接触面は、前記ロータの回転
軸に沿った方向の長さが、前記ロータ回転方向の両端か
ら中央に進むに従い、徐々に長くなるように形成されて
いることを特徴とする請求項2に記載の双方向回転用ブ
ラシ装置。 - 【請求項4】 前記ブラシ本体に一体的に設けられ、前
記高抵抗部及び低抵抗部の積層方向に延びるピッグテー
ルを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の双
方向回転用ブラシ装置。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07184356A JPH07184356A (ja) | 1995-07-21 |
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1993
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