JP3076472B2 - ブラシ装置 - Google Patents

ブラシ装置

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JP3076472B2
JP3076472B2 JP05034791A JP3479193A JP3076472B2 JP 3076472 B2 JP3076472 B2 JP 3076472B2 JP 05034791 A JP05034791 A JP 05034791A JP 3479193 A JP3479193 A JP 3479193A JP 3076472 B2 JP3076472 B2 JP 3076472B2
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正男 磯部
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明はブラシ装置、特に直流機
に使用されるブラシ装置の改良に関する。
【従来の技術】一般に、直流モータや直流発電機などで
は、任意の整流子間がブラシを用いて短絡され、整流が
行われるよう構成されている。しかし、電機子コイルの
インダクタンス等により、整流時の電流変化が非常に遅
れ、整流終了時において電流変化が大きくなるため、短
絡コイルのインダクタンスによって大きなリアクタンス
電圧が発生する。これがブラシと整流子間に火花放電を
発生させ、整流子表面を粗くし、凹凸面を形成する。こ
のため、ブラシ装置の摩耗量が大きくなり、その寿命が
著しく減少すると共に、ブラシ自体の振動音も大きくな
ってしまうという問題が発生する。特にモータ等の小型
化を実現するために、高性能マグネットを利用し、マグ
ネットの薄肉化を行うと、電機子とステータヨーク間の
距離が小さくなる。このため、電機子の磁気抵抗が減少
し、前記短絡コイルのインダクタンスが大きくなり、前
述した問題がさらに顕著に表れる。
【発明が解決しようとする課題】このため、従来より、
無火花整流を行うための各種の方法が行われている。そ
の代表的な一つとして、ブラシの位置を磁気的中心まで
シフトするものがある。しかし、負荷変動の大きいモー
タや、上述したインダクタンスが大きなモータでは、ブ
ラシの最適シフト角が変動してしまい、安定した無火花
整流を行うことができない。また、整流子とブラシ間の
接触抵抗を大きくし、良好な整流曲線に沿った抵抗整流
を行う方法も存在するが、接触抵抗が大きくなるため、
電機子に印加される電圧が低下し、モータ性能、特に出
力トルクの低下が避けられないという問題がある。ま
た、これ以外にも、特開平4−46546号公報にかか
る提案も知られている。この提案では、ブラシ前端を低
抵抗材料、後端を高抵抗材料を用いて形成し、火花発生
の低減を図っている。しかし、この従来技術において
も、ロータ回転位置によって、整流特性は理想的な整流
曲線には近付かず、低抵抗材料と高抵抗材料との境界に
おいて、電流の変化が急激になるため、火花の発生を完
全に抑制することは難しいという問題があった。特に、
整流を整流周期の初期の段階で終了させようとすると、
低抵抗材料と高抵抗材料の抵抗差がますます拡大して、
これらの境界において火花が発生しやすくなる。本発明
は、このような従来の課題に鑑みなされたものであり、
その目的は直流機の出力低下などを引き起こすことな
く、良好な無火花整流を行うことができるブラシ装置を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明のブラシ装置は、ロータ回転方向の上流
側から下流側に向けて次第に炭素濃度を増加させること
により、抵抗値がロータ回転方向の上流側から下流側に
向けて連続的に大きくなるブラシ本体と、前記ブラシ本
体と接続されたピッグテールと、を有し、前記ピッグテ
ールは、前記ブラシ本体の抵抗値の変化する方向であっ
て前記ロータ回転方向に沿って、かつ、異なる炭素濃度
の領域にまたがって、前記ブラシ本体を内部貫通して設
けられている。また、本発明のブラシ装置は、ロータ回
転方向に沿って積層された抵抗値の異なる3層以上のブ
ラシ層を有し、前記ブラシ層の抵抗値は、ロータ回転方
向の上流側から下流側に向けて順に大きくなるブラシ本
体と、前記ブラシ本体と接続されたピッグテールと、を
有し、前記ピッグテールは、前記ロータ回転方向に沿っ
て、抵抗値の異なる全ての前記ブラシ層を内部貫通して
設けられている。
【作用】本発明のブラシ装置においては、抵抗値の異な
る3層以上のブラシ層を積層することにより、あるいは
ブラシ本体の炭素濃度を連続的に変えることにより、ロ
ータ回転方向の上流側から下流側向けてブラシ抵抗が次
第に大きくなるようブラシ本体が形成されている。従っ
て、整流の初期の段階において、ブラシ本体の抵抗値が
低い部分から過大な電流が流れることになり、速やかに
整流が進行する。このため、整流後期の不足整流による
短絡電流に起因する急激な電流変化がほとんどなくなる
ため、従来のようなリアクタンス電圧に起因する火花の
発生を効果的に抑制することができる。また、本発明の
ブラシ装置は、ブラシ本体の抵抗分布を変えることによ
って、無火花整流を行うものであり、ブラシ本体全体の
抵抗値を高く設定する必要がないため、ブラシと整流子
間の電圧降下が最少限に押さえられ、直流機の性能低下
を引き起こすこともない。
【実施例】以下、本発明のブラシ装置を適用した一実施
例について図面に基づき詳細に説明する。 第1実施例 図1は、重ね巻きタイプの一方向回転型小型直流モータ
に用いられる第1実施例のブラシ装置の概略を示す図で
ある。また、図2は図1に示した本実施例のブラシ装置
を整流子側から見た概略図を示している。本実施例のブ
ラシ装置20は、整流子10を介して電機子コイル14
に電流を流すためのものである。ここで、整流子10は
ロータ側に設けられており、ロータ回転方向に沿ってリ
ング状に整列配置された複数の整流子片12−1,12
−2,12−3,…を含み、隣接する各整流子片12間
は、それぞれ電機子コイル14により短絡接続されてい
る。また、ブラシ装置20は、ステータ側に設けられて
おり、図示しないブラシホルダーにより整流子片12へ
圧着接触するように保持されたブラシ本体22と、この
ブラシ本体22と電源との間を接続する給電線としての
ピッグテール24とを含む。ブラシ本体22は、整流子
片12とほぼ同じ幅の整流子接触面を有する四角柱形状
に形成されている。本発明の特徴は、ブラシ本体22の
抵抗をロータ回転方向Wの上流側から下流側に向けて次
第に大きくなるように形成することにより、整流時に電
機子コイル14に発生する短絡電流を抑制することにあ
る。このため、本実施例のブラシ本体22は、図1及び
図2に示すように、抵抗値が異なる4つのブラシ層(a
層,b層,c層,d層)からなる4層構造となってい
る。4つの層は、いずれも整流子接触面が長方形形状を
しており、ロータ回転方向Wの上流側から順にa層,b
層,c層,d層が積層されている。ここで、a層は、比
抵抗が小さな材料で形成されている。具体的には、銅を
30〜70wt%含み、しかもa層とd層との抵抗比が
5倍以上または接触電圧降下比が5倍以上に設定するこ
とが望ましい。例えば本実施例のa層は、銅を40wt
%含み、a層とd層との抵抗比が10倍となるように設
定されている。また、b層c層は、a層とd層の中間の
比抵抗材料で形成されており、a層からd層に向け階段
状に抵抗値が変化するようになっている。また、ピッグ
テール24は、ブラシ本体22からロータ回転方向に沿
って引き出されており、a〜dの各層と直接電気的に接
続されている。本実施例は以上の構成からなり、次にそ
の作用を説明する。図3及び図4は、整流作用の説明図
である。図3(A),(B)には整流初期におけるブラ
シ本体22と整流子片12との相対位置及び給電方向が
示され、図4(A),(B)には整流後期におけるブラ
シ本体22と整流子片12との相対位置及び電流方向が
示されている。また、図3(C)及び図4(C)には、
整流初期及び整流後期におけるブラシ本体22と整流子
片12との接続状態が等価回路を用いて表されている。
ここにおいて、Ra,Rbは、ブラシ本体22の給電ポ
イント(ピッグテール24の接続位置)と、各整流子片
12−1,12−2との間のブラシ抵抗を表している。
本実施例のDCモータでは、ピッグテール24を介して
ブラシ本体22に電機子電流Iを通電すると、この電機
子電流Iはブラシ本体22と接触する整流子片12を介
して二つにわかれ、I/2の電流となって各電機子コイ
ル14へ向け供給されることになる。ここにおいて、整
流子10が図中矢印方向Wへ回転駆動され、図3に示す
よう整流に突入する整流子片12−1とブラシ本体22
との接触が開始されると、ブラシ本体22は整流子片1
2−1の全面との接触を完了するまでの間(ブラシ本体
22が整流子片12−2から完全に離脱するまでの間)
が整流周期となる。そして、ブラシ本体22で整流子片
12−1,12−2が短絡されると、電機子コイル1
4,整流子片12−2,ブラシ本体22,整流子片12
−1の間で短絡回路が形成され、短絡された電機子コイ
ル14の誘導起電力及びリアクタンス電圧によってiの
短絡電流が流れる。このとき短絡された電機子コイル1
4に流れる電流iは、図5に示すよう整流初期において
はI/2であるが、整流終期経過後においては−I/2
となる。図5は、整流曲線を示す図であり、電機子コイ
ル14に流れる電流iの時間的変化が示されている。同
図において、点線Aは理想的な整流曲線を示すものであ
り、電流iは整流初期のI/2から整流終期の−I/2
に向かって直線的に変化する。ところが、従来のブラシ
装置を用いて整流を行った場合には、誘起電圧の影響を
受けるため、図中一点鎖線Bで示す不足整流となり、整
流終期においてブラシ本体22と整流子片12−2との
間に火花放電が発生してしまう。これに対して、本実施
例では、ブラシ本体22を構成する各層の抵抗が回転方
向上流側から下流側に向けて次第に大きくなっている。
したがって、図3に示す整流初期の段階において、整流
子片12−1に抵抗値が小さなa層が接触するため整流
子片12−1に対するブラシ抵抗Raが急激に減少し、
両整流子片12−1,12−2間には短絡電流iを相殺
する方向に電圧が発生する。また、図4に示す整流後期
の段階においては、整流子片12−1はブラシ本体22
のa層,b層及びc層と十分接触しており、さらに整流
子片12−2はブラシ本体22のd層とわずかな面積で
接触しているにすぎない。したがって、短絡された電機
子コイル14内には、整流終了後に電機子コイル14内
に流れる電機子電流−I/2とほぼ等しい電流が流れ、
電流変化が非常に小さい状態で整流が終了することにな
る。特に本実施例によれば、ブラシ抵抗Ra,Rbが整
流の進行と共に4段階に変化し、整流の全期間内におい
て急激な電流変化が発生することはない。したがって本
実施例によれば、図5に示すよう理想的な整流曲線Aに
近い整流曲線(実線C)に沿って整流が行われるため、
ブラシシフト等の整流対策を施せないようなDCモータ
であっても、火花の発生のない良好な整流を行うことが
可能となる。図6は、短絡された電機子コイル14に流
れる電流iを説明するための図であり、整流子片12−
1,12−2の電位とこれらの電位差とが示されてい
る。同図(A)の折線aは、整流子片12−1の電位を
示すものであり、折線bは整流子片12−2の電位を示
すものである。また、からは、ブラシ本体22のa
層からd層の各層がロータ回転に伴い整流子片12−1
に差し掛かった位置に対応するものであり、はブラシ
本体22のd層の全面が整流子片12−1に接触した時
点に対応している。同図(A)に示すように、整流子片
12−1の電位は、ブラシ本体22のa層が接触すると
急激に上昇し、反対に整流子片12−2の電位は急激に
低下する。これはブラシ本体22のa層の比抵抗が他の
層に比べて小さいからである。そして、整流子片12−
1と12−2の電位が等しくなったときに、同図(B)
に示すように電位差が0となる。このとき、理想的には
短絡された電機子コイル14に流れる電流iが0とな
る。このように、ブラシ本体22の先端部分から後端部
分にかけて順に抵抗値が大きくなる4層のブラシ材料を
用いることにより、整流の初期において、整流子片12
−1の電位が急激に上昇し、整流子片12−2の電位が
急激に低下する。したがって、整流の比較的初期の段階
で2つの整流子片12−1,12−2の電位が等しくな
り、速やかに整流が進行することになる。実際には、電
機子コイル14の誘導起電力及びリアクタンス電圧によ
って電流iには遅れが生じるため、図5の実線Cに示す
ような整流曲線となる。これに加えて、本実施例のブラ
シ本体22は、全体の抵抗値を高く設定する必要がな
い。すなわち、本実施例においてはブラシ本体22を構
成する4つの層a層,b層,c層,d層の各抵抗値を段
階的に変化させれば良く、その絶対値は特に問題となら
ないため、ブラシ本体22の平均的抵抗値を低く設定す
ることが可能となる。これにより、ブラシ本体22での
電圧降下が少なくなり、出力トルクの低下等といった直
流機本来の性能を損なうことがない。図7は、上述した
4層構造のブラシ本体22を製造するための製造装置の
断面構造を示す図である。同図に示すブラシ製造装置
は、圧縮成形型を構成する成形用ダイス40,上パンチ
42,下パンチ44と、ブラシ成形用の4種類の原料粉
末を投入するためのフィーダ50,60,70,80と
を含んで構成されている。成形用ダイス40は、ブラシ
の原料粉末を加圧するための成形用空間46を有してお
り、この成形用空間46に沿って上パンチ42と下パン
チ44が移動して原料粉末を2方向から押圧する。ま
た、この成形用空間46が水平面に対して垂直方向とな
るよう、すなわち、上パンチ42と下パンチ44の押圧
方向が水平面に対して垂直方向となるよう成形用ダイス
40が配置されている。フィーダ50はブラシ本体22
のa層の原料粉末をフィーダ50内の充填空間52へ送
り込むための原料粉末溜り54と原料粉末吐出装置56
とを備えている。同様に、フィーダ60は、ブラシ本体
22のb層の原料粉末をフィーダ60内の充填空間62
へ送り込むための原料粉末溜り64と原料粉末吐出装置
66とを備えている。なお、本ブラシ製造装置は、図示
しないフィーダ70及び80によって、ブラシ本体22
を構成するc層及びd層の原料粉末の投入を行ってい
る。ブラシ本体22を製造する場合、最初に、フィーダ
50の充填空間52にブラシ本体22のa層の原料粉末
を適量充填する。この充填は原料粉末溜り54内の原料
粉末を原料粉末吐出装置56によって充填空間52に送
り込むことにより行う。次に、フィーダ50を成形用ダ
イス40の上面に沿って移動し、フィーダ50内の充填
空間52を成形用ダイス40の成形用空間46に一致さ
せて、フィーダ50に充填されているa層の原料粉末を
成形用空間46に投入する。a層の原料粉末の投入が終
了した後、フィーダ50は元の位置に戻る。同様にし
て、b層,c層,d層の各原料粉末を順に成形用ダイス
40内の成形用空間46内に投入する。このようにして
a層からd層の各原料粉末を投入することにより、各層
の原料粉末が成形用空間46内で4層に積層される。ま
た、各層の原料粉末は、粉末の自重によってその上面が
ほぼ水平になるため、各層間の境界面もほぼ平行に形成
され、4層構造のブラシ本体22が製造されることにな
る。次に、成形用ダイス40の成形用空間46に上パン
チ42を降下させることにより、4種類の原料粉末を加
圧係合させる。その後、下パンチ44を上昇させること
により、加圧係合させたブラシ本体22を取り出し、こ
の取り出したブラシ本体22を所定の焼成工程で焼成さ
せることにより最終的にブラシ本体22が完成する。こ
のように、4種類の原料粉末を積層した後に加圧係合し
てブラシ本体22を製造する場合には、各層間の境界面
はほぼ水平となるものの隣接する各層は完全には分離さ
れない。したがって、各層の境界面近傍には2層の原料
粉末が混入した領域が存在し、抵抗値の変化が若干なだ
らかになるという効果もある。なお、a層の原料粉末を
成形用空間46に投入した後第1の仮成形を行い、同様
にb層及びc層の各原料粉末を投入した後に第2及び第
3の仮成形を行い、最終的にd層の原料粉末を投入した
後に4層の各原料粉末を加圧係合させるようにしてもよ
い。この場合には、各層間の境界面が明瞭となり、この
境界面を挟んで各層の抵抗値が階段状に変化することに
なる。但し、このような場合であっても、3層以上の層
構造とすることにより、隣接する各層の抵抗差は小さく
なり、整流時における火花の発生は抑えられる。 その他の実施例 図8は、第2実施例のブラシ装置の構造を示す図であ
る。本実施例のブラシ装置は、ロータ回転方向に沿って
連続的に抵抗値が変化するブラシ本体32を含んで構成
される。一般に、ブラシの抵抗値は主成分である炭素粒
子と銅粒子の組成比によって決定さるため、この組成比
すなわち炭素濃度を変化させることにより、ブラシ本体
32の抵抗値を変えることができる。本実施例のブラシ
本体30は、ブラシ前端(ロータ回転方向の上流側)か
ら後端に向かって次第に炭素濃度が増すよう構成されて
おり、ブラシ前端側から後端側に向かって次第に抵抗値
が高くなる。本実施例においては、ブラシ前端の炭素濃
度を10wt%以下に設定し、後端の炭素濃度を60w
t%以上に設定し、その間の炭素濃度を連続的に変化さ
せている。従って、第1実施例のブラシ本体22に比べ
ると、ブラシ本体22の積層数を増やして滑らかに抵抗
値が変化するようにした場合に相当し、整流時に火花の
発生がなく、出力トルク低下もないといった効果につい
ては上述した第1実施例と同様である。なお、本実施例
ブラシ本体30には、図7に示したブラシ製造装置を用
いて製造することができる。この場合にフィーダ50
は、ブラシ前端の炭素濃度を有する原料粉末を投入する
ために用いる。また、フィーダ60はブラシ後端の炭素
濃度を有する原料粉末を投入するために用いる。また、
これら2つのフィーダ50,60は、同時に成形用空間
46内にそれぞれの原料粉末を投入することができるよ
うになっている。このような製造装置を用いてブラシ本
体32を製造する場合、フィーダ50によって第1の原
料粉末を投入すると同時にフィーダ60によって第2の
原料粉末を投入する。そして、このフィーダ50による
第1の原料粉末の投入量は、最初所定量であったものが
次第に減少し、ついには0となるよう設定されている。
また、フィーダ60による第2の原料粉末の投入量は、
最初0であったものが次第に増加し、最終的には所定量
となるよう設定されている。従って、これら2つのフィ
ーダ50,60による原料粉末投入により、成形用空間
46内の最下層はブラシ前端の炭素濃度となり、最上層
はブラシ後端の炭素濃度となる。また、その中間層にお
いては、炭素濃度が連続的に変化する。このようにして
充填された成形用空間46内の原料粉末を上パンチ42
を降下させることにより加圧係合させ、その後焼成させ
ることにより最終的にブラシ本体32を製造することが
できる。また、上述した第1および第2実施例は、いず
れも片方向回転用のブラシ装置について説明したもので
あるが、本発明はこれに限らず双方向回転用のブラシ装
置についても適用することができる。図9は、参考例に
かかる双方向回転用のブラシ装置の構造を示す図であ
る。本参考例のブラシ装置を構成するブラシ本体34
は、7層構造を有しており、ロータ回転方向に沿って積
層された各層の抵抗値は中央部付近が高く、前端および
後端付近が低くなっている。すなわち、ロータ正転方向
上流側から順にa層,b層,……,g層とすると、a層
およびg層の抵抗値が低く、d層の抵抗値が高くなって
いる。また、その中間に位置するb層およびc層あるい
はf層およびe層は、中央部に近づくにしたがって抵抗
値が高くなっている。以上の構成とすることにより、ロ
ータを正転方向に回転する場合には、正転上流側に位置
するa層等を介して速やかに整流が進行し、ロータを逆
転する場合には、逆転上流側に位置するg層等を介して
整流が速やかに進行するため、整流後期において急激な
電流変化がなく、良好な整流動作を行うことが可能とな
る。図10は、図9に示したブラシ装置を用いた場合の
整流曲線を示す図である。同図は、ロータを正転あるい
は逆転した場合の整流曲線であるが、いずれの整流初期
においてもロータ回転の上流側に位置するa層あるいは
g層を介してこれらと接触した電機子片の電位が急激に
上昇するため、理想的な整流曲線よりも先行して整流動
作を行う。実際には短絡コイルのインダクタンス分等に
より整流が遅れるため、同図に示すように理想的な整流
曲線に近づくが、整流後期における急激な電流変化がな
くなり、ブラシと整流子間の火花の発生もなくなる。な
お、ブラシ装置全体の抵抗値を高く設定する必要がない
点については、上述した第1および第2実施例と同様で
あり、出力トルクの低下等といった直流機本来の性能を
損なうことがない点についても同様である。図11は、
参考例のブラシ装置の構造を示す図である。本参考例の
ブラシ装置は、ロータ回転方向に沿って連続的に、しか
も中央部の値が高くなるよう抵抗値が変化するブラシ本
体36を含んで構成される。本参考例のブラシ本体36
は、ロータ回転方向に沿ってブラシ本体両端から中央部
に向かって次第に炭素濃度が増すよう構成されており、
そのため中央部に近付くほどブラシ抵抗が高くなる。な
お、ブラシの抵抗値は主成分である炭素粒子と銅粒子の
組成比によって決定され、この組成比すなわち炭素濃度
を変化させることによりブラシ本体36の抵抗値を変え
ることができる点については上述した第2実施例と同様
である。従って、図9のブラシ本体34に比べて、その
積層数を増やして滑らかに抵抗値が変化するようにした
場合に相当し、整流時に火花の発生がなく、出力トルク
の低下もないといった効果については上述した参考例と
同じである。なお、上述した第2実施例および参考例に
おいては、図8および図11に示したように炭素濃度が
直線状に変化する場合を例にとり説明したが、ブラシ後
端あるいは中央部において炭素濃度が最も高くなるよう
に設定すればよく、その変化の仕方については、曲線状
に変化した場合であってもよい。また、第1実施例およ
び参考例のブラシを4層構造あるいは7層構造を例にと
り説明したが、その層数については任意に設定すること
ができる。すなわち、火花の発生を防止するため、第1
実施例のブラシ装置は3層以上の構造とすればよく、参
考例のブラシ装置は5層以上の構造とすることができ
る。
【発明の効果】上述したように、本発明のブラシ装置に
よれば、抵抗値の異なる3層以上を積層することによ
り、あるいはブラシ本体の炭素濃度を連続的に変えるこ
とにより、整流初期において、速やかに整流が進行し、
整流後期の不足整流による短絡電流に起因する急激な電
流変化がほとんどなくなるため、火花の発生を抑制する
ことができる。また、本発明のブラシ装置は、ブラシ本
体の抵抗分布を変えることによって、無火花整流を行う
ものであり、ブラシ本体全体の抵抗値を高く設定する必
要がないため、ブラシと整流子間の電圧降下が最小限に
押さえられ、直流機の性能低下を引き起こすこともな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】一方向回転型の小型直流モータに用いられる整
流子および第1実施例のブラシ装置の概略斜視図であ
る。
【図2】図1に示すブラシ装置を整流子側から見た説明
図である。
【図3】整流初期におけるブラシ本体と整流子片との相
対位置および電流の流れる方向を示す説明図である。
【図4】整流後期におけるブラシ本体と整流子片との相
対位置および電流の流れる方向を示す説明図である。
【図5】図1に示すブラシ装置の整流曲線の説明図であ
る。
【図6】整流子片の電位および電位差を示す説明図であ
る。
【図7】図1に示すブラシ装置を製造するためのブラシ
製造装置の構造を示す断面図である。
【図8】第2実施例のブラシ装置の構造を示す図であ
る。
【図9】参考例のブラシ装置の構造を示す図である。
【図10】図9に示すブラシ装置の整流曲線の説明図で
ある。
【図11】参考例のブラシ装置の構造を示す図である。
【符号の説明】
10 整流子 12 整流子片 14 電機子コイル 20 ブラシ装置 22 ブラシ本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−46546(JP,A) 特開 昭56−153672(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 13/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータ回転方向の上流側から下流側に向
    けて次第に炭素濃度を増加させることにより、抵抗値が
    ロータ回転方向の上流側から下流側に向けて連続的に大
    きくなるブラシ本体と、 前記ブラシ本体と接続されたピッグテールと、 を有し、 前記ピッグテールは、前記ブラシ本体の抵抗値の変化す
    る方向であって前記ロータ回転方向に沿って、かつ、異
    なる炭素濃度の領域にまたがって、前記ブラシ本体を内
    貫通して設けられてなるブラシ装置。
  2. 【請求項2】 ロータ回転方向に沿って積層された抵抗
    値の異なる3層以上のブラシ層を有し、前記ブラシ層の
    抵抗値は、ロータ回転方向の上流側から下流側に向けて
    順に大きくなるブラシ本体と、 前記ブラシ本体と接続されたピッグテールと、 を有し、 前記ピッグテールは、前記ロータ回転方向に沿って、抵
    抗値の異なる全ての前記ブラシ層を内部貫通して設けら
    れてなるブラシ装置。
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