JP3332829B2 - 複合金属材料とその製造方法 - Google Patents

複合金属材料とその製造方法

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JP3332829B2 JP32385997A JP32385997A JP3332829B2 JP 3332829 B2 JP3332829 B2 JP 3332829B2 JP 32385997 A JP32385997 A JP 32385997A JP 32385997 A JP32385997 A JP 32385997A JP 3332829 B2 JP3332829 B2 JP 3332829B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 2種の金属材料を
積層した複合金属材料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会の到来や住宅の高層化
等を背景として、安全性の点から電磁調理器が注目され
ている。電磁調理器用容器の構成材料としては、アルミ
ニウムやその合金のような熱伝導性に優れた金属材料
と、電磁加熱特性に優れた鉄やステンレス等の磁性金属
材料とを、クラッド法等により積層接合した複合材料を
用いることが検討されている。すなわち、電磁波により
磁性金属材料に誘起された熱を、軽量でかつ熱伝導性に
優れるアルミニウムやその合金により、被調理材料に有
効に伝えようとするものである。
【0003】従来の電磁調理器用容器の具体的な作製方
法について説明すると、例えば特開平 3-44440号公報に
は、アルミニウムやその合金と磁性金属材料とをロール
圧延によりクラッドし、このクラッド材に深絞り等のプ
レス成形加工を施して容器形状としたものを使用するこ
とが記載されている。しかし、このようなクラッド材は
アルミニウムやその合金と磁性金属材料との変形抵抗が
大きく異なるために、圧延接合時に蛇行したり、しわが
生じる等、加工性に大きな問題を有していた。また、上
記クラッド材を深絞り等のプレス成形加工して容器形状
とする際に、上述した変形抵抗が大きく異なることに起
因して、接合界面で剥離が生じやいという欠点があり、
これにより電磁調理器用容器の熱効率を大きく低下させ
てしまうという問題があった。
【0004】また、例えば特開平5-116244号公報には、
アルミニウムやその合金と磁性金属材料とを熱間等方向
加圧法により接合し、この複合材をプレス成形加工して
容器形状としたものを使用することが記載されている。
しかし、このような方法においても、前述した方法と同
様に、アルミニウムやその合金と磁性金属材料との変形
抵抗が大きく異なることに起因して、プレス成形加工時
に接合界面で剥離が生じる等の問題があった。さらに、
電磁調理器用容器として加熱・冷却工程が繰り返し加え
られると、アルミニウムやその合金と磁性金属材料との
熱膨張係数の差によって容器が変形したり、クラッド材
の接合界面で剥離が生じる等の問題を有していた。
【0005】一方、金属材料を接合する際に界面強度の
向上を図る方法として、例えばホーニングや化学エッチ
ング等により表面積を拡大し、これにより接合面積を増
大させる方法が知られている。しかし、ホーニングや化
学エッチング等では、接合面積の拡大に限界があり、ま
た界面の剥離せん断に対する抵抗が小さいため、上述し
たような電磁調理器用容器の構成材料等に適用したとし
ても十分な効果を得ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の電磁調理器用容器においては、電磁波による加熱効率
を高めるために、磁性金属材料と熱伝導性に優れるアル
ミニウムやその合金とのクラッド材を用いることが検討
されてきたが、それら材料間の変形抵抗が大きく異なる
ために、加工時に形状変形や接合界面での剥離等が生じ
やく、これらにより電磁調理器用容器の熱効率を逆に低
下させてしまうという問題があった。
【0007】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、変形抵抗等が異なる異種の金属材料
間を十分密着させ、かつ接合強度の向上を図った複合金
属材料およびその製造方法を提供することを目的として
おり、さらには熱効率や信頼性の向上を図った電磁調理
器用容器を提供することを目的としている。
【0008】本発明の複合金属材料は、異なる 2種の金
属材料を積層した複合金属材料であって、前記 2種の金
属材料間に、一方の前記金属材料に積層固着され、かつ
体積率が傾斜された多孔性中間層を具備し、他方の前記
金属材料の一部が前記多孔性中間層内にその体積傾斜に
応じて含有されていることを特徴としている。前記多孔
性中間層は、前記一方の金属材料と親和性を有する材料
の接合層または前記一方の金属材料と親和性を有する材
料の溶射層であることが好ましい。
【0009】本発明の複合金属材料の製造方法は、異な
る 2種の金属材料を積層した複合金属材料を製造するに
あたり、一方の前記金属材料上に、該金属材料と少なく
とも親和性を有する材料を接合して多孔性中間層を形成
する工程と、他方の前記金属材料の粉末を前記多孔性中
間層内に充填した後に加熱し含浸させ、前記他方の金属
材料を前記一方の金属材料に積層する工程とを有するこ
とを特徴としている。
【0010】また本発明の複合金属材料の製造方法は、
異なる 2種の金属材料を積層した複合金属材料を製造す
るにあたり、一方の前記金属材料上に、該金属材料と少
なくとも親和性を有する材料を溶射して多孔性中間層を
形成する工程と、他方の前記金属材料の粉末を前記多孔
性中間層内に充填した後に加熱し含浸させ、前記他方の
金属材料を前記一方の金属材料に積層する工程とを有す
ることを特徴としている。
【0011】
【0012】本発明の他の複合金属材料は、磁性金属材
料と高熱伝導性金属材料とを積層した複合金属材料であ
って、前記磁性金属材料と高熱伝導性金属材料との間に
中間層として組成傾斜層が設けられ、前記組成傾斜層は
前記磁性金属材料と高熱伝導性金属材料との混合層から
なり、前記混合層中の体積比率が傾斜されていることを
特徴としている
【0013】本発明の他の複合金属材料の製造方法は、
磁性金属材料と高熱伝導性金属材料とを積層した複合金
属材料を製造するにあたり、前記磁性金属材料またはそ
の予備成形体上に、少なくとも前記磁性金属材料を含む
多孔層を形成する工程と、前記高熱伝導性金属材料を前
記多孔層内に含浸して、前記磁性金属材料と高熱伝導性
金属材料との組成傾斜層を形成しつつ、前記高熱伝導性
金属材料を前記磁性金属材料に積層する工程とを有する
ことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0015】まず、本発明における第1の複合金属材料
について述べる。第1の複合金属材料に用いる 2種の金
属材料としては、例えば磁性金属材料と高熱伝導性材料
とが例示されるが、これらに限定されるものではなく、
2種の金属材料間での拡散速度が遅く、かつ界面反応し
にくい異種材料等に適用可能である。上記磁性金属材料
としては、電気抵抗率が 5.0μΩ・cm(20℃)以上のも
のが好ましく、例えば鉄およびその合金、各種鋼材、ニ
ッケルおよびその合金等が例示される。また、高熱伝導
性材料としては、熱伝導率が120W/m K(273〜473K)以上
のものが好ましく、例えばAlやAl合金等が例示され
る。
【0016】第1の複合金属材料は、一方の金属材料の
表面に積層固着された多孔性中間層を形成し、かつ他方
の金属材料の一部を多孔性中間層内に含有させ、 2種類
の金属材料間の接合面積を拡大すると共に、くさび効果
を得ることによって、密着性および結合強度、さらには
熱伝達効率の向上を図ったものである。
【0017】例えば、図1(a)に示すくさび効果を有
する多孔性中間層1を用いた第1の金属材料2と第2の
金属材料3との接合面積と、図2(a)に示す従来の一
般的な接合面積拡大のためのホーニング面4aを有する
第1の金属材料4と第2の金属材料5との接合面積とを
比較すると、図1(b)および図2(b)におけるxを
1とした場合、図2に示したホーニング面4aでは接合
面積が約 1.4倍しか増大しないのに対し、図1に示した
くさび効果を有する多孔性中間層1では約 5.2倍に増大
し、さらに多孔性中間層1の厚さに比例して増大する。
このように、多孔性中間層1とその内部に含有された第
2の金属材料3とが引張方向(図中、矢印Aで示す)に
対して複雑に係合して、すなわちくさび効果を発揮し
て、高接合強度が得られると共に、接合面積が大幅に拡
大して、密着性の向上や応力緩和ならびにクラックの伝
幡防止、さらには熱伝達効率の向上を図ることができ
る。
【0018】本発明の第1の複合金属材料における多孔
性中間層は、例えば少なくとも一方の金属材料と親和
性、すなわち良好な結合性や反応性等を有し、さらには
熱膨張率が近似する等の特性を有する材料(以下、中間
層構成材料と記す)の積層固着層である。中間層構成材
料の具体例としては、例えば金属材料がステンレス鋼で
あれば同材や鉄系材料等が例示される。
【0019】上記中間層構成材料の具体的形状は、特に
限定されるものではなく、例えば粉末、粒状体、繊維、
ワイヤ、それらを用いたネットやスポンジ金属のような
多孔質プリフォーム等の成形体等が挙げられる。また、
これら中間層構成材料の大きさも特に限定されるもので
はないが、例えば粉末、粒状体、繊維等の場合には、そ
の直径が 1〜5000μm 程度であることが好ましい。これ
らの範囲を超えると、いずれも十分なくさび効果が得に
くくなる。より好ましい直径は 5〜 500μm の範囲であ
り、さらに好ましくは10〜 200μm の範囲である。ま
た、中間層構成材料としてワイヤやネット等を用いる場
合には、上記直径範囲に限定されるものではなく、組合
せ形状や固着状態等に応じて設定されるものである。
【0020】また、中間層構成材料としては、一方の金
属材料と良好な親和性を有する材料と、他方の金属材料
と良好な親和性を有する材料との混合物等を用いること
もできる。 2種類の金属材料間の熱膨張係数の差が大き
い場合には、この熱膨張差を緩和するような材料を選択
することもでき、これにより応力緩和を図ることができ
る。さらに、熱膨張係数や気孔率等を制御するために、
セラミックス材料等を混合した材料を用いることも可能
である。
【0021】上述した中間層構成材料からなる多孔性中
間層を一方の金属材料に積層固着する方法としては、接
合法、溶射法、電気化学的成膜法等が例示される。上記
接合法としては、固相拡散接合や融着(部分融着を含
む)等の焼成接合やろう付け、溶接、通電溶接等の各種
の接合方法を適用することができる。例えば、焼成接合
は、多孔性中間層を接合しようとする金属材料の表面
に、上記中間層構成材料の多孔質塗着層や多孔質加圧成
形層等を形成したり、あるいは中間層構成材料による多
孔質成形体を積層した後、これらを焼成することにより
実施される。
【0022】また、金属溶射法としては一般に火炎溶射
法やプラズマ溶射法等が知られており、いずれの場合も
高温で溶融した金属の粒子を吹き付けることにより、偏
平になった金属粒子が重なった層が得られるため、特別
な処理を施さない限り、多孔質の金属層が得られる。た
だし、溶射しただけの状態での被溶射物(金属材料)と
溶射層(多孔性中間層)との結合強度は、一般的には界
面に酸化層が生成されるために、拡散反応等の金属的な
結合は小さく、界面の凹凸による機械的な絡み合いが主
となる。複合金属材料の用途や形状によっては、溶射だ
けによる結合強度で十分な場合もあるが、さらに大きな
結合強度が要求される場合には、例えば真空中にて酸化
膜が蒸発するような高温に加熱することにより、被溶射
物と溶射層との界面を活性化し、結合強度を増大させる
ことができる。
【0023】上述した溶射法による多孔性中間層の気孔
率を高める方法としては、低温領域を選ぶ、溶射ガンと
被溶射物との距離を大きくする、溶射材料の供給量を増
大させるような溶射条件を選定する等が例示される。さ
らに、溶射材料としては金属だけでなく、金属とセラミ
ックス等とを混合材料を用いることもできる。このよう
な複合溶射により、溶射層からなる多孔性中間層の熱膨
張係数や気孔率、熱伝導率、他方の金属材料を積層する
際の反応抑制等を制御することができる。
【0024】さらに、電気化学的成膜法としては、電着
法、多孔質メッキ法、放電被覆法等が例示され、これら
によっても上述した溶射法等と同様に、多孔性中間層を
得ることができる。また、電気化学的成膜を行った後に
熱処理を施して、膜(多孔性中間層)と金属材料との結
合強度を高めることも可能である。
【0025】また、本発明における多孔性中間層は、多
孔質状態とすることが重要であり、具体的には中間層構
成材料の体積率を 5〜65% (気孔率= 35〜95%)程度とす
ることが好ましい。体積率が5%未満であると、積層固着
する金属材料との十分な強度(結合強度)が得られにく
く、また 65%を超えると他方の金属材料の含浸量が減少
して、接合面積の拡大効果やくさび効果等を十分に得る
ことができないおそれがある。より好ましい体積率は20
〜 60%であり、さらに好ましくは25〜 55%である。さら
に、上記中間層構成材料の体積率(気孔率)を傾斜、す
なわち多孔性中間層が形成される一方の金属材料側から
他方の金属材料側に向けて体積率を減少させて、他方の
金属材料を体積傾斜に応じて含有させる。このような構
成とすることによって、応力緩和を図ることができる。
【0026】上述したような中間層構成材料の体積率を
傾斜させた多孔性中間層は、例えば以下のように作製さ
れる。すなわち、まず中間層構成材料と有機材料粒子と
を混合し、その混合比率を例えば 5〜 30%の範囲で変化
させた複数の混合粉末を用意する。有機材料粒子の混合
比が最も小さい混合粉末から一方の金属材料上に順次積
層した後、真空中で加熱することによって、有機材料粒
子を消失させつつ体積率(気孔率)を傾斜させた多孔性
中間層を形成する。使用する有機材料としては加熱によ
り消失しやすい非晶性、熱可塑性の有機材料が適してお
り、具体的にはスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリ
ル樹脂等が例示される。上記したような体積率を傾斜さ
せた多孔性中間層に他方の金属材料を含浸させると、他
方の金属材料と中間層構成材料との組成傾斜中間複合層
が形成され、熱膨張係数の段階的な変化をもたらすこと
ができ、熱応力の緩和を図ることが可能となる。
【0027】上述したような多孔性中間層の厚さは、例
えば粉末の単層焼付け層等であっても、一方の金属材料
に強固に結合していればその効果(接合面積拡大効果や
くさび効果等)を得ることができ、特に限定されるもの
ではないが、安定した効果を得る上で 1〜1000μm 程度
とすることが好ましい。より好ましい中間層の厚さは5
〜 500μm の範囲であり、さらに好ましくは50〜 150μ
m の範囲である。ただし、中間層の厚さは中間層構成材
料の種類や形状に応じて設定することが好ましい。
【0028】本発明の第1の複合金属材料においては、
上述した多孔性中間層内に他方の金属材料の一部を含有
させつつ積層する。多孔性中間層内に他方の金属材料を
含有させる方法としては、当該金属材料の溶湯を含浸さ
せる方法や、当該金属材料の粉末を充填した後に加熱し
て含浸させる方法が例示される。これらの含浸法によれ
ば、他方の金属材料部分を同時に形成することができ
る。
【0029】上記溶湯含浸法としては、加圧含浸(溶湯
鍛造)、ダイキャスト、低圧鋳造、遠心鋳造等を適用す
ることができる。また、粉末を用いる方法としては、液
相焼結、粉末鍛造、ホットプレス等が挙げられる。特
に、溶湯加圧含浸法によれば、多孔性中間層の内部まで
他方の金属材料を十分に浸入させることができ、良好な
密着性を容易に得ることができ、かつ焼結温度が異なる
2種類の金属材料を良好に複合化することができる。
【0030】次に、本発明における第2の複合金属材料
について述べる。第2の複合金属材料は、磁性金属材料
と高熱伝導性金属材料間に中間層として組成傾斜層を設
け、それら材料間の応力緩和を図ることによって、接合
強度および密着性の向上を図ったものである。なお、磁
性金属材料および高熱伝導性金属材料としては、前述し
た第1の複合金属材料と同様なものが例示される。上記
組成傾斜層は、次の 2つに大別することができる。
【0031】(1) 磁性金属材料と高熱伝導性金属材料
との混合層により組成傾斜層を構成し、単層混合層また
は体積比率を傾斜させた混合層とする。
【0032】(2) 磁性金属材料、高熱伝導性金属材料お
よびセラミックス補助材の混合層により組成傾斜層を構
成し、混合層中の少なくとも磁性金属材料とセラミック
ス補助材との体積比率を傾斜させて、熱膨張係数を段階
的に変化させる
【0033】上記 (1)による組成傾斜層としては、少な
くとも 1層の磁性金属材料と高熱伝導性金属材料との混
合層を有していればその効果を得ることができ、さらに
磁性金属材料から高熱伝導性金属材料に向けて連続的に
もしくは段階的に組成を変化させた層とすることが好ま
しい。組成傾斜層の厚さは特に限定されるものではない
が、 1〜1000μm 程度とすることが好ましい。また、前
述した第1の複合金属材料で説明したように、磁性金属
材料の体積比率を変化させた多孔層を中間層として形成
し、この中間層に高熱伝導性金属材料を含浸することに
よって、組成傾斜層を形成することも可能である。磁性
金属材料の体積比率を変化させた多孔層の製造方法は、
前述した通りである。
【0034】また、上記 (2)による組成傾斜層は例えば
セラミックス粉末およびセラミックス繊維から選ばれる
少なくとも 1種を組成傾斜の補助材(セラミックス補助
材)として添加したものであり、このセラミックス補助
材と磁性金属材料との体積比率を少なくとも傾斜させ
る。セラミックス粉末やセラミックス繊維等のセラミッ
クス補助材は、磁性金属材料と高熱伝導性金属材料間の
熱膨張差の緩和に寄与すると共に、強度向上(分散強
化)にも寄与するものである。よって、セラミックス補
助材を (1)の組成傾斜層の強度向上材として添加するこ
とも可能である。
【0035】上述したようなセラミックス粉末や繊維の
材質としては、例えばAl、Si、Ti、Zr、Ta、
Cr等の酸化物、窒化物、炭化物、あるいはこれらの複
合化物等が例示される。用いるセラミックス粉末や繊維
はその直径が0.05〜 500μm程度のものが好ましい。ま
た、セラミックス粉末や繊維の含有量としては、組成傾
斜層の厚さや種類等によっても異なるが、組成傾斜層の
全体積に対して 5〜50体積% の範囲とすることが好まし
い。
【0036】上述したような第2の複合金属材料は、例
えば以下のようにして製造することが好ましい。
【0037】すなわち、磁性金属材料の板材またはその
予備成形体上に、少なくとも磁性金属材料を含む多孔層
を冷間圧縮成形等により形成する。磁性金属材料の予備
成形体としては、磁性金属材料粉末の圧粉成形体等が例
示される。この圧粉成形体の密度は特に制限はないが、
密度が 80%未満であると例えば電磁誘導加熱効率が低く
なるために、 80%以上とすることが好ましい。
【0038】上記多孔層は組成傾斜層となるものであ
り、予め高熱伝導性金属材料を含有させておいてもよ
い。この予め含有させる高熱伝導性金属材料は、冷間圧
縮多孔層(予備成形体)の強度改善に寄与する。また、
組成を段階的に変化させた組成傾斜層を形成する場合に
は、多孔層の形成段階で少なくとも磁性金属材料の組成
を変化させた多層構造を作製する。さらに、セラミック
ス補助材を含有させて組成傾斜層を形成する場合には、
磁性金属材料とセラミックス補助材との混合比を変化さ
せた多層構造の多孔層を形成する。
【0039】上記 (1)による組成傾斜層の場合、多孔層
の空間率により基本的には組成傾斜層内の高熱伝導性金
属材料の組成比が決定される。よって、多孔層の体積率
は設定した組成傾斜層の組成に応じて決定する。このよ
うな多孔層の体積率は、多孔層の強度と高熱伝導性金属
材料溶湯の含浸性を考慮して、10〜60% 程度とすること
が好ましい。また、上記 (2)による組成傾斜層は磁性金
属材料とセラミックス補助材との混合比により、基本的
には組成傾斜状態(熱膨張係数の変化状態)が決定され
。多孔層の体積率は上述した通りである。
【0040】そして、高熱伝導性金属材料を上記多孔層
内に含浸して、組成傾斜層を形成しつつ高熱伝導性金属
材料を磁性金属材料上に積層する。金属材料の含浸法と
しては、前述した第1の複合金属材料の製造方法で説明
したように、当該金属材料の溶湯を含浸させる方法や、
当該金属材料の粉末を充填した後に加熱して含浸させる
方法等を適用することができる。このようにして、目的
とする複合金属材料が得られる。上記含浸法のうち特に
溶湯加圧含浸法によれば、組成傾斜層となる多孔層の内
部まで高熱伝導性金属材料を十分に浸入させることがで
き、良好な組成傾斜層を容易に得ることができると共
に、変形抵抗や焼結温度等が異なる 2種類の金属材料を
良好に複合化することができる。
【0041】本発明の電磁調理器用容器は、少なくとも
容器底部を上述したような本発明の第2の複合金属材料
で構成したものであり、基本的には磁性金属材料が外周
側に配置される。本発明の複合金属材料は、前述したよ
うに、密着性に優れると共に接合強度に優れ、かつ異種
金属材料間の熱膨張差に起因する応力を緩和しているた
め、熱衝撃が印加された場合においても界面剥離等を招
くおそれが極めて少ない。また、接合面積の拡大によっ
て、熱伝達効率をより一層向上させることができる。従
って、電磁調理器用容器の熱効率および信頼性を大幅に
向上させることが可能となる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0043】実施例1 まず、第1の金属材料(磁性材料)として直径10mm、高
さ15mmの 1重量% ケイ素鋼製円柱(電気抵抗率=25μΩ
・cm)を用意し、これを同直径の金型内に設置した後、
その上に中間層構成材料として平均粒径 100μm の純鉄
粉末を充填し、層厚 1mm、体積率 50%の圧粉層となるよ
うに成形した。次いで、この圧粉層を1.33×10-2Paの真
空中にて 1373Kで 2時間焼成して、ケイ素鋼製円柱上端
面に接合された多孔質状態の中間層を形成した。
【0044】次に、上記多孔性中間層を有するケイ素鋼
製円柱を673Kに予熱した溶湯鍛造の金型内に配置し、こ
の金型内に 1053KのAl合金(6061、熱伝導率=167W/m
K)溶湯を注入し、多孔性中間層内にAl合金溶湯を 98M
Paの圧力で加圧含浸しつつ、第2の金属材料(高熱伝導
性材料)として厚さ15mmのAl合金層を形成した。
【0045】このようにして得た複合金属材料の引張強
度を以下のようにして測定した。まず、上記複合材料か
ら長さ30mm、標点間直径 5mmで、中間層が標点間の中央
に位置する引張り試験片を作製し、この試験片を用いて
引張試験を行った。その結果、引張強さは196MPaという
良好な値が得られ、また破断位置はAl合金層と中間層
の間であった。
【0046】実施例2 第1の金属材料として直径10mm、高さ15mmのステンレス
(SUS430)製円柱(電気抵抗率=60μΩ・cm)を用意し、
これを同直径の金型内に設置した後、その上に中間層構
成材料として、平均粒径 100μm のステンレス(SUS430)
粉末を充填し、層厚0.25mm、体積率 65%の圧粉層となる
ように成形した。次いで、この圧粉層を1.33×10-2Paの
真空中にて 1373Kで 2時間焼成して、ステンレス製円柱
上端面に接合された多孔質状態の中間層を形成した。
【0047】次に、上記多孔性中間層を有するステンレ
ス製円柱を673Kに予熱した溶湯鍛造の金型内に配置し、
この金型内に 1053KのAl合金(ADC12、熱伝導率=96W/m
K) 溶湯を注入し、多孔性中間層内にAl合金溶湯を 98
MPaの圧力で加圧含浸しつつ、第2の金属材料として厚
さ15mmのAl合金層を形成した。
【0048】このようにして得た複合金属材料から実施
例1と同様に引張試験片を作製し、引張試験を実施した
ところ、引張強さは206MPaという良好な値が得られ、ま
た破断位置はAl合金層と中間層の間であった。
【0049】また、上記複合金属材料の接合界面近傍の
組織を走査型電子顕微鏡により観察した。その結果とし
て、接合界面近傍の走査型電子顕微鏡写真を図3に示
す。なお、図3(a)は中間層を含む接合界面近傍の拡
大写真(倍率:200倍)であり、図3(b)はその中間層
内をさらに拡大(倍率: 1000倍)した電子顕微鏡写真で
ある。これらの写真から明らかなように、第2の金属材
料であるAl合金が多孔性中間層内に侵入して、接合面
積が大幅に拡大されていると共に、良好なくさび効果が
得られていることが分かる。また、Al合金と多孔性中
間層との密着性も良好であることが分かる。
【0050】実施例3 第1の金属材料として直径10mm、高さ15mmの純鉄製円柱
(電気抵抗率=9.8μΩ・cm)を用意し、これを同直径の
金型内に設置した後、その上に中間層構成材料として、
平均粒径 100μm の純鉄粉末と平均直径 3μm 、平均長
さ 3mmのアルミナ繊維との混合物を充填し、層厚 1mm、
体積率 35%(純鉄粉末の体積率=15%、アルミナ繊維の体
積率=20%)の粉末繊維混合層となるように成形した。次
いで、この粉末繊維混合成形層を1.33×10-2Paの真空中
にて 1373Kで 2時間焼成して、純鉄製円柱上端面に接合
された多孔質状態の中間層を形成した。
【0051】次に、上記多孔性中間層を有する純鉄製円
柱を673Kに予熱した溶湯鍛造の金型内に配置し、この金
型内に 1053KのAl合金(AC8B、熱伝導率=117W/m K)溶
湯を注入し、多孔性中間層内にAl合金溶湯を 98MPaの
圧力で加圧含浸しつつ、第2の金属材料として厚さ15mm
のAl合金層を形成した。
【0052】このようにして得た複合金属材料から実施
例1と同様に引張試験片を作製し、引張試験を実施した
ところ、引張強さは226MPaという良好な値が得られ、ま
た破断位置はAl合金層と中間層の間であった。
【0053】実施例4 第1の金属材料として直径10mm、高さ15mmの純鉄製円柱
を用意し、これを同直径の金型内に設置した後、その上
に中間層構成材料として、平均粒径10μm の純鉄粉末と
直径0.05〜 1.5μm 、アスペクト比20〜 200のSiCウ
ィスカーとの混合物を充填し、層厚 1mm、体積率 25%
(純鉄粉末の体積率=10%、SiCウィスカーの体積率=1
5%)の粉末繊維混合層となるように成形した。次いで、
この粉末繊維混合成形層を1.33×10-2Paの真空中にて 1
373Kで 2時間焼成して、純鉄製円柱上端面に接合された
多孔質状態の中間層を形成した。
【0054】次に、上記多孔性中間層を有する純鉄製円
柱を673Kに予熱した溶湯鍛造の金型内に配置し、この金
型内に 1053KのAl合金(4032、熱伝導率=146W/m K)溶
湯を注入し、多孔性中間層内にAl合金溶湯を 98MPaの
圧力で加圧含浸しつつ、第2の金属材料として厚さ15mm
のAl合金層を形成した。
【0055】このようにして得た複合金属材料から実施
例1と同様に引張試験片を作製し、引張試験を実施した
ところ、引張強さは245MPaという良好な値が得られ、ま
た破断位置はAl合金層と中間層の間であった。
【0056】実施例5 第1の金属材料として直径10mm、高さ15mmの純鉄製円柱
を用意し、この純鉄製円柱の端面に、中間層構成材料で
ある平均粒径10μm の純鉄粉末を有機系バインダと共に
混合したものを吹き付け、層厚10μm 、体積率5%の粉末
塗着層を形成した。次いで、この粉末塗着層を1.33×10
-2Paの真空中にて 1373Kで 2時間焼成して、純鉄製円柱
上端面に接合された多孔質状態の中間層を形成した。
【0057】次に、上記多孔性中間層を有する純鉄製円
柱を673Kに予熱した溶湯鍛造の金型内に配置し、この金
型内に 1053KのAl合金(1200、熱伝導率=218W/m K)溶
湯を注入し、多孔性中間層内にAl合金溶湯を 98MPaの
圧力で加圧含浸しつつ、第2の金属材料として厚さ15mm
のAl合金層を形成した。
【0058】このようにして得た複合金属材料から実施
例1と同様に引張試験片を作製し、引張試験を実施した
ところ、引張強さは167MPaという良好な値が得られ、ま
た破断位置はAl合金層と中間層の間であった。
【0059】実施例6 第1の金属材料として直径 250mm、厚さ 0.6〜 1.0mmの
ステンレス(SUS430)製円板(電気抵抗率=60μΩ・cm)
を用意し、このステンレス製円板の表面に、表1に示す
各溶射材をそれぞれ表1に示す溶射条件に従って溶射し
た後、1.33×10-2〜1.33×10-4Paの真空中にて1253〜 1
473K× 2時間の条件下で真空拡散熱処理を施して多孔性
中間層をそれぞれ得た。
【0060】次に、上記各種多孔性中間層を有するステ
ンレス製円板を、それぞれ673Kに予熱した溶湯鍛造の金
型内に配置し、この金型内に1023〜 1073KのAl溶湯を
注入して、多孔性中間層内にAl溶湯を40〜 98MPaの圧
力で加圧含浸しつつ、第2の金属材料としてAl層を形
成した。なお冷却は加圧状態を維持しつつ行った。
【0061】このようにして得た各複合金属材料から実
施例1と同様に引張試験片を作製して引張試験を実施し
た。その結果を表1に併せて示す。また、各複合金属材
料を673Kに加熱した後に水中に焼き入れても、その衝撃
で剥離することはなかった。
【表1】 実施例7 第1の金属材料として直径10mm、厚さ 150mmのステンレ
ス(SUS430)製円柱(電気抵抗率=60μΩ・cm)を用意
し、このステンレス製円柱の表面に下記に詳述するNi
メッキとアルミナ粒子の電泳塗装による複合メッキを施
し、層厚40μm 、体積率 75%の電気化学的成膜層による
多孔性中間層を得た。
【0062】複合メッキは、以下のようにして行った。
まず、硫酸ニッケル150g/l、塩化ニッケル 15g/l、ホウ
酸 15g/lを含むNiメッキ液(pH=6)を準備し、これに平
均粒径10μm のアルミナ粒子を200g/lの割合で混合し
た。このメッキ液の中に、上記ステンレス製円柱を陰極
として挿入し、電流密度 3A/dm2 でメッキを行った。こ
れにより、Niメッキ層内にアルミナ粒子が体積率 10%
の割合で含まれ、気孔率が25% の多孔性複合層を得た。
この多孔性複合層に1.33×10-3Paの真空中で1373K × 5
時間の条件で拡散処理を施して多孔性中間層とした。
【0063】次に、上記電気化学的成膜による多孔性中
間層を有するステンレス製円柱を673Kに予熱した溶湯鍛
造の金型内に配置し、この金型内に 1053KのAl合金
(6061、熱伝導率=167W/m K)溶湯を注入し、多孔性中間
層内にAl合金溶湯を98MPaの圧力で加圧含浸しつつ、
第2の金属材料(高熱伝導性材料)として厚さ15mmのA
l合金層を形成した。
【0064】このようにして得た複合金属材料から実施
例1と同様に引張試験片を作製し、引張試験を実施した
ところ、引張強さは215MPaという良好な値が得られ、ま
た破断位置はAl合金層と中間層の間であった。
【0065】実施例8 まず、実施例2と同様にして、多孔性中間層を有するス
テンレス製円柱を作製した。次に、この多孔性中間層を
有するステンレス製円柱を金型内に配置し、この金型内
に適正な量のAl合金(6061、熱伝導率=167W/m K)粉末
を導入した。次いで、大気中で粉末温度を上記Al合金
の液相温度である855Kより 50K高い903Kに保持した後、
40〜 58MPaの圧力を上金型により加えて、第2の金属材
料として厚さ20mmで密度100%のAl合金層を形成した。
上記液層温度以上の温度下での加圧によって、初期粒子
間の酸化膜は破壊するので十分な伸びを有した成形体が
得られると共に、多孔性中間層内にAl合金を良好に含
浸することができる。
【0066】このようにして得た複合金属材料から実施
例1と同様に引張試験片を作製し、引張試験を実施した
ところ、引張強さは180MPaという良好な値が得られ、ま
た破断位置はAl合金層と中間層の間であった。なお、
上記実施例では大気中にて粉末鍛造を行ったが、真空中
で粉末鍛造を行うことで、より良好な結果を得ることが
できる。
【0067】実施例9 第1の金属材料として幅10mm、長さ 100mm、厚さ 5mmの
ニッケル板(電気抵抗率= 10.3μΩ・cm、熱膨張係数=
13.4×10-6/K)を用意し、このニッケル板の表面に、平
均粒径40μm のステンレス(SUS304)粉末(熱膨張係数=
17.3×10-6/K)と、直径 1.0μm 、長さ50μm のSiC
ウィスカー(熱膨張係数=3.2×10-6/K)とを混合した 2
種類の混合物を順に塗布して、 2層構造の多孔質層を形
成した。この 2層構造の多孔質層は、まずニッケル板の
表面にステンレス(SUS304)粉末とSiCウィスカーの重
量比を10:1とした厚さ30μm の多孔質層を形成し、さら
にその上にステンレス(SUS304)粉末とSiCウィスカー
の重量比を 2.5:1とした厚さ30μm の多孔質層を形成し
た。それぞれの体積比はおおよそ 4:1と 1:1である。次
いで、この 2層構造の多孔質層を、実施例1と同様に1.
33×10-2Paの真空中にて 1373Kで 2時間焼成した。
【0068】次に、上記 2層構造の多孔質層を形成した
ニッケル板を673Kに予熱した溶湯鍛造の金型内に配置し
て、この金型内に 1053KのAl合金(AC8B、熱伝導率=1
17W/m K 、熱膨張係数= 22×10-6/K)溶湯を注入し、多
孔質層内にAl合金溶湯を98MPaの圧力で加圧含浸して
組成傾斜層を形成しつつ、第2の金属材料として厚さ 5
mmのAl合金層を形成した。
【0069】このようにして得た複合金属材料を723Kに
加熱した後、直接水中に投入して急冷したところ、熱膨
張係数の差に起因する変形は生じたものの、接合界面に
亀裂等は何等生じなかった。なお、参考例として、鉄粉
末のみで厚さ60μm の多孔質層を形成して、上記実施例
と同様に、真空焼結およびAl合金の溶湯鍛造含浸を行
って試験片を作製し、同様な水中急冷を行ったところ、
Al合金層と多孔質層との界面に亀裂が生じた。
【0070】実施例10 第1の金属材料として幅10mm、長さ 100mm、厚さ 5mmの
ステンレス(SUS430)板(電気抵抗率= 10.3μΩ・cm、熱
膨張係数= 13.4×10-6/K)を用意し、このステンレス板
の表面に、まず平均粒径10μm の鉄粉末を厚さ50μm と
なるように塗布し、次いで上記鉄粉末と直径40μm のポ
リスチロール粒子とを混合(体積混合比= 3:1)した粉末
を厚さ50μm となるように塗布した。次いで、実施例1
と同様に1.33×10-2Paの真空中にて 1373Kで 2時間焼成
して、鉄粉末同士および鉄粉末とステンレス板との拡散
接合を行うと同時に、ポリスチロール粒子を分解、揮散
させた。ポリスチロール粒子が存在していた位置には約
35μm の孔が残った。鉄粉末の体積率は約 70%と約 55%
となり、体積比率が傾斜された多孔質層が形成されてい
ることを確認した。
【0071】次に、上記体積比率を傾斜させた多孔質層
を形成したステンレス板を673Kに予熱した溶湯鍛造の金
型内に配置し、この金型内に 1053KのAl合金(AC8B、熱
伝導率=117W/m K 、熱膨張係数= 22×10-6/K)溶湯を注
入し、多孔質層内にAl合金溶湯を 98MPaの圧力で加圧
含浸して組成傾斜層を形成しつつ、第2の金属材料とし
て厚さ 5mmのAl合金層を形成した。
【0072】このようにして得た複合金属材料を723Kに
加熱した後、直接水中に投入して急冷したところ、熱膨
張係数の差に起因する変形は生じたものの、接合界面に
亀裂等は何等生じなかった。なお、参考例として、鉄粉
末のみで厚さ 100μm の多孔質層を形成して、上記実施
例と同様に、真空焼結およびAl合金の溶湯鍛造含浸を
行って試験片を作製し、同様な水中急冷を行ったとこ
ろ、Al合金層と多孔質層との界面に亀裂が生じた。
【0073】比較例1 直径10mm、高さ15mmのS45C製円柱の端面を、粗さRmax
=50μm となるようにホーニングした後、同直径の溶湯
鍛造の金型内に設置した。次いで、この金型内に 1053K
のAl合金(6061)溶湯を注入して、厚さ15mmのAl合金
層を形成した。この複合金属材料から実施例1と同様に
引張試験片を作製し、引張試験を実施したところ、引張
り強さは 30MPa未満と低い値しか得られなかった。
【0074】比較例2 直径10mm、高さ15mmのステンレス(SUS430)製円柱の端面
を、粗さRmax =50μm となるようにフォトエッチング
を行った後、同直径の溶湯鍛造の金型内に設置した。次
いで、この金型内に 1053KのAl合金(6061)溶湯を注入
して、厚さ15mmのAl合金層を形成した。この複合金属
材料から実施例1と同様に引張試験片を作製し、引張試
験を実施したところ、引張り強さは 35MPa未満と低い値
しか得られなかった。
【0075】次に、本発明の電磁調理器用容器の実施例
について述べる。
【0076】実施例11 平均粒径 150μm のステンレス(SUS430)粉末を約686MPa
の圧力で加圧成形した直径 200mm、厚さ 1mm、密度 95%
の成形体を、1.33×10-3Paの真空中にて 1473K、 1時間
で焼結して磁性金属粉末層を作製した。この磁性金属粉
末層上に、ステンレス(SUS430)粉末とAl合金(AC8C)粉
末との混合粉末層を、体積率が50%(ステンレス粉末の体
積率=25%、Al合金の体積率=25%)となるように成形し
た。このようにして、磁性金属層と組成傾斜層との予備
成形体を作製した。
【0077】次に、上記磁性金属層と組成傾斜層との予
備成形体を、723Kに予熱した電磁調理器用容器形状の金
型(直径=220mm)の底部に配置し、この容器用金型内に
1073K のAl合金(AC8C)溶湯を注入し、組成傾斜層とな
る混合粉末成形層にAl合金溶湯を 98MPaの圧力で加圧
含浸しつつ、容器壁がAl合金からなる電磁調理器用容
器(鍋)を作製した。
【0078】すなわち、図4および図5に示すように、
Al合金層11とステンレス層12とを、Al合金とス
テンレス(SUS430)とを体積比で 3:1で含有する組成傾斜
層13を介して積層接合した複合金属材料14で底部1
5aを構成すると共に、それ以外の容器壁15bをAl
合金で構成した電磁調理器用容器(鍋)を得た。
【0079】このようにして得た底部が複合金属材料か
らなる容器を用いて、電磁調理器上で298Kの水1500ccの
加熱試験を行ったところ、 250秒で沸騰した。また、常
温から523Kまでの加熱・冷却による熱衝撃試験を行った
ところ、1000回の加熱・冷却の後においても接合界面等
に剥離は認められなかった。
【0080】実施例12 平均粒径 150μm のステンレス(SUS430)粉末を約686MPa
の圧力で加圧して、直径 200mm、厚さ 1mm、密度 95%の
磁性金属粉末層を作製した。次いで、ステンレス(SUS43
0)粉末とアルミナ繊維との混合物を用いて、上記磁性金
属粉末層上に、体積率が60%(ステンレス粉末の体積率=5
0%、アルミナ繊維の体積率=10%)の第1の層と、体積率
が 60%(ステンレス粉末の体積率=25%、アルミナ繊維の
体積率=35%)の第2の層とを順に成形した。このように
して、磁性金属層と 2層構造の組成傾斜層との予備成形
体を作製した。
【0081】次に、上記磁性金属層と 2層構造の組成傾
斜層との予備成形体を、723Kに予熱した電磁調理器用容
器形状の金型(直径=220mm)の底部に配置し、この容器
用金型内に 800℃のAl合金(AC8C)溶湯を注入し、組成
傾斜層となる 2層構造の混合物成形層にAl合金溶湯を
98MPaの圧力で加圧含浸しつつ、容器壁がAl合金から
なる電磁調理器用容器(鍋)を作製した。
【0082】すなわち、図6に示すように、Al合金層
11とステンレス層12とを、 2層構造の組成傾斜層1
6(第1の層16a(ステンレス=50%、Al合金=40%、
アルミナ繊維=10%)と第2の層16b(ステンレス= 25
% 、Al合金=40%、アルミナ繊維率=35%))を介して積
層接合した複合金属材料17で底部を構成すると共に、
それ以外の容器壁をAl合金で構成した電磁調理器用容
器(鍋)を得た。
【0083】このようにして得た底部が複合金属材料か
らなる容器を用いて、電磁調理器上で298Kの水1500ccの
加熱試験を行ったところ、 250秒で沸騰した。また、常
温から523Kまでの加熱・冷却による熱衝撃試験を行った
ところ、1000回の加熱・冷却の後においても接合界面等
に剥離は認められなかった。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、変
形抵抗等が異なる異種の金属材料間を十分密着させると
共に、優れた接合強度が得られ、かつ接合界面の信頼性
に優れた複合金属材料を提供することが可能となる。ま
た、中間層として組成傾斜層を有する複合金属材料を用
いることによって、信頼性を大幅に向上させた電磁調理
器用容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の複合金属材料の中間層を含む接合界
面の状態および接合面積の拡大効果を示す図である。
【図2】 本発明との比較として掲げた複合金属材料の
中間層を含む接合界面の状態および接合面積の拡大効果
を示す図である。
【図3】 本発明の一実施例による複合金属材料の中間
層を含む接合界面近傍の微細組織を拡大して示す走査型
電子顕微鏡写真である。
【図4】 本発明の一実施例による電磁調理器用容器の
構造を示す断面図である。
【図5】 図4に示す電磁調理器用容器の要部を拡大し
て示す断面図である。
【図6】 本発明の他の実施例による電磁調理器用容器
の要部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
11……Al合金層 12……ステンレス層 13……組成傾斜層 14、17……複合金属材料 15……電磁調理器用容器 15a…容器底部 16…… 2層構造の組成傾斜層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B23K 20/00 360 B23K 20/00 360H C23C 28/02 C23C 28/02 (72)発明者 森岡 勉 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 審査官 金 公彦 (56)参考文献 特開 平5−177336(JP,A) 特開 平2−84243(JP,A) 特開 昭62−225339(JP,A) 特開 昭58−48968(JP,A) 特開 平8−267179(JP,A) 特開 平8−56826(JP,A) 特開 平8−86324(JP,A) 特開 昭62−252657(JP,A) 実開 昭59−159890(JP,U) 特公 平1−26794(JP,B2) 特公 昭59−34473(JP,B1) 実公 昭61−27632(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 19/00 A47J 27/00 107 A47J 36/02 B32B 15/04 B23K 20/00 360 C23C 28/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる 2種の金属材料を積層した複合金
    属材料であって、 前記 2種の金属材料間に、一方の前記金属材料に積層固
    着され、かつ体積率が傾斜された多孔性中間層を具備
    し、他方の前記金属材料の一部が前記多孔性中間層内に
    その体積傾斜に応じて含有されていることを特徴とする
    複合金属材料。
  2. 【請求項2】 記多孔性中間層は、前記一方の金属材
    料と親和性を有する材料の接合層であることを特徴とす
    請求項1記載の複合金属材料。
  3. 【請求項3】 記多孔性中間層は、前記一方の金属材
    料と親和性を有する材料の溶射層であることを特徴とす
    請求項1記載の複合金属材料。
  4. 【請求項4】 異なる 2種の金属材料を積層した複合金
    属材料を製造するにあたり、一方の前記金属材料上に、
    該金属材料と少なくとも親和性を有する材料を接合して
    多孔性中間層を形成する工程と、 他方の前記金属材料の粉末を前記多孔性中間層内に充填
    した後に加熱し含浸させ、前記他方の金属材料を前記一
    方の金属材料に積層する工程とを有することを特徴とす
    る複合金属材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 異なる 2種の金属材料を積層した複合金
    属材料を製造するにあたり、一方の前記金属材料上に、
    該金属材料と少なくとも親和性を有する材料を溶射して
    多孔性中間層を形成する工程と、 他方の前記金属材料の粉末を前記多孔性中間層内に充填
    した後に加熱し含浸させ、前記他方の金属材料を前記一
    方の金属材料に積層する工程とを有することを特徴とす
    る複合金属材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 磁性金属材料と高熱伝導性金属材料とを
    積層した複合金属材料であって、前記磁性金属材料と高
    熱伝導性金属材料との間に中間層として組成傾斜層が設
    けられ、前記組成傾斜層は前記磁性金属材料と高熱伝導
    性金属材料との混合層からなり、前記混合層中の体積比
    率が傾斜されていることを特徴とする複合金属材料。
  7. 【請求項7】 磁性金属材料と高熱伝導性金属材料とを
    積層した複合金属材料を製造するにあたり、前記磁性金
    属材料またはその予備成形体上に、少なくとも前記磁性
    金属材料を含む多孔層を形成する工程と、前記高熱伝導
    性金属材料を前記多孔層内に含浸して、前記磁性金属材
    料と高熱伝導性金属材料との組成傾斜層を形成しつつ、
    前記高熱伝導性金属材料を前記磁性金属材料に積層する
    工程とを有することを特徴とする複合金属材料の製造方
    法。
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