JP3331296B2 - 両面歯付ベルトの製造方法 - Google Patents

両面歯付ベルトの製造方法

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JP3331296B2
JP3331296B2 JP35690296A JP35690296A JP3331296B2 JP 3331296 B2 JP3331296 B2 JP 3331296B2 JP 35690296 A JP35690296 A JP 35690296A JP 35690296 A JP35690296 A JP 35690296A JP 3331296 B2 JP3331296 B2 JP 3331296B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は両面歯付ベルトの製
造方法に係り、上下両歯部の位置精度を高め、正確な歯
形状に成形することができ、そして歯部表面へのゴムの
滲み出を防止した両面歯付ベルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】両面に歯部をもつ両面歯付ベルトは、長
さ方向に沿って配置した複数の上歯部と下歯部を設け、
該上歯部と下歯部との間に心線を介在し、該上下両歯部
の表面に歯布を被覆したものであり、事務機器、OA機
器、搬送用装置に使用されるようになってきた。
【0003】この両面歯付ベルトの製造法は、例えば特
公平6−43106号公報に開示されているように、歯
布を溝付モールドの外周面に沿って巻き付け、その上に
心線をスパイラルに巻き、更にその上に未加硫ゴムシー
トおよび同様の歯布を巻き、このようにして得られたベ
ルト成形体を加熱加圧して半加硫の予備成形体を作製
し、上記溝付モールドから取り出した予備成形体を軸間
距離調節可能な2つの歯付プーリに掛架し、上下一対の
歯付モールドからなるプレス金型により上記予備成形体
を加圧して上歯部と下歯部を成形加硫し、加硫し終わっ
た部位を移動して、次の歯部の形成加硫を繰り返し行う
工程からなっていた。
【0004】また、他の方法としては、特公平2−16
695号公報に開示されているように、歯布を溝付モー
ルドの外周面に沿って巻き付け、その上に心線をスパイ
ラルに巻き、更にその上に未加硫ゴムシートを巻き、こ
のようして得られたベルト成形体を加熱加圧して加硫し
た予備成形体を作製し、この予備成形体の背面ゴムを心
線が露出しないように0.2mm以下のゴム層を残して
研磨し、この上に未加硫ゴムシートと歯布を積層して金
型により加熱加圧する工程からなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記両面歯付
ベルトの製造法においては、半加硫の予備成形体は一方
の側しか歯部が形成されていないため、次の工程では他
方の歯部を形成させるためプレス金型により大きな加圧
時間を必要とし、場合によっては加硫が進行した結
果、正確な歯形が出現しにくいことや、歯部の表面から
ゴムが滲み出すことがあった。歯部の表面から滲み出た
ゴムは、プーリとの摩耗によって飛散し、プリンターの
駆動装置のプーリ溝部に付着して印字を乱すことがあっ
た。また、加硫した予備成形体の背面ゴムを研磨する方
法では、研磨工程が付加され、しかも研磨精度が要求さ
れるために研磨時間に多くの時間を要していた。
【0006】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、上歯部と下歯部を正確な位置に設けて正確な歯
形を出現させ、そして歯部表面へのゴムの滲み出しを防
止した両面歯付ベルトの製造方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、長さ方向に沿って配置した複数の上歯部
と下歯部を設け、該上歯部と下歯部との間に心線を介在
し、該上下両歯部の表面に歯布を被覆するとともに歯布
の表面にゴムの滲み出しを抑えた両面歯付ベルトを製造
する方法において、溝付モールドの外周面に、レゾルシ
ン−ホルマリン−ラテックス液で処理した後に一方の内
面にゴム層をコートした歯布、心線、未加硫ゴムシー
ト、そして上記と同様の歯布を順次積層した成形体を作
製する工程、円周方向に沿って所定の間隔で凸状部と凹
状部を交互に有する円筒状の母型を成形体に挿入して位
置を合わせる工程、成形体を半加硫して上下両歯部を型
付けする予備的な型付け工程、溝付モールドから取り出
した半加硫のベルトスリーブを加熱加圧することにより
上下両歯部を精度よく型付して加硫する最終型付け工
程、からなる両面歯付ベルトの製造方法にあり、特に予
備型付け工程では半加硫のベルトスリーブに上下歯部が
正確な位置に成形され、また最終型付け工程の加熱加圧
では正確な歯形が出現し、上下側のPLD値(心線のピ
ッチラインから溝底面までの距離)も一致することにな
る。更に、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液で処
理した後に一方の内面にゴム層をコートした歯布を使用
しているため、歯部表面へのゴムの滲み出を防止するこ
とができる。
【0008】本願の請求項2記載の発明では、上下歯部
の位置を合わせる工程が成形体を作製した後、1つ以上
のガイド棒を成形体の表面でモールドの軸方向と平行に
配置し、その後円筒状の母型を上記ガイド棒に沿って挿
入して位置を合わせし、上記ガイド棒を除去するもので
あり、母型の位置を固定する治具を使用するために、上
下歯部の位置を狙い通りにすることができる。
【0009】本願の請求項3記載の発明では、複数のガ
イド棒が一定のピッチで配置されているため、母型の位
置を正確に位置付けることができる。
【0010】本願の請求項4記載の発明では、ガイド棒
の折り曲がった一方の端部を溝付モールドに設けた側壁
の係止穴に、また他方の端部を支持台に設けた係止穴に
挿入するため、ガイド棒の設置と抜き取りが容易で短時
間に作業を完了することができる。
【0011】本願の請求項5記載の発明では、最終型付
け工程が半加硫のベルトスリーブを所定の間隔で歯部と
溝部を交互に有する金型に設置して加熱加圧し、歯部を
精度よく型付する方法であり、たとえ予備型付け工程で
半加硫のベルトスリーブに変形した歯部の形状が成形さ
れていても、最終型付け工程で正確に成形することがで
きる。
【0012】本願の請求項6記載の発明では、円筒状の
母型が円周方向に沿って所定の間隔で設けた凸状部と凹
状部の表面に歯部帆布を被覆していることで、母型と成
形体間に内在する空気の抜けを良くして正確な歯部の出
現を可能とし、また母型の使用回数を増やすことができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の両面歯付ベルト
の製造方法を示す。図1は両面歯付ベルトの製造方法に
おいて溝付モールド上で歯布、心線、未加硫ゴムシー
ト、そして歯布を順次積層した成形体の作製状態を示す
図である。まず、溝付モールド1を成形機(図示せず)
に装着し、伸縮可能な筒状の歯布5を、溝部2と歯部3
をもった溝付モールド1の外周面に沿って巻き付け、そ
の上に心線4を一定張力下でスパイラルに巻き付ける。
更に、その上に両歯を形成する容積をもった一定厚みの
未加硫ゴムシート7および平坦な歯布5を巻き付けて成
形体15を成形する。
【0014】未加硫ゴムシート7に使用される原料ゴム
は、水素化ニトリルゴムを始めとして、クロロプレンゴ
ム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキ
ル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)などの
耐熱老化性の改善されたゴムや、天然ゴム、スチレンブ
タジエンゴム、ニトリルゴム等が使用される。上記ゴム
の中には配合剤として、カーボンブラック、亜鉛華、ス
テアリン酸、可塑剤、老化防止剤等が添加され、また加
硫剤として硫黄、有機過酸化物があるが、これらの配合
剤や加硫剤は、特に制限されない。
【0015】上記心線4としては、Eガラスまたは高強
度ガラスの5〜9μmのフィラメントを撚り合わせたも
のを、ゴムコンパウンドからなる保護剤あるいは接着剤
であるRFL液等で処理されたものである。また、有機
繊維としては応力に対して伸びが小さく、引張強度が大
きいパラ系アラミド繊維(商品名:ケブラー、テクノー
ラ)の0.5〜2.5デニールのフィラメントを撚り合
わせ、RFL液、エポキシ溶液、イソシアネート溶液と
ゴムコンパウンドとの接着剤で処理された撚りコードが
使用される。しかし、本発明ではこれらに限定されるこ
とはない。
【0016】歯布5として用いられる帆布は、6ナイロ
ン、66ナイロン、ポリエステル、アラミド繊維等であ
って、単独あるいは混合されたものであってもよい。歯
布5の経糸(ベルト幅方向)や緯糸(ベルト長さ方向)
の構成も前記繊維のフィラメント糸または紡績糸であ
り、織構成も平織物、綾織物、朱子織物でいずれでもよ
い。なお、緯糸には伸縮性を有するウレタン弾性糸を一
部使用するのが好ましい。
【0017】上記歯布5としては、RFL液によって処
理され、RFL液が乾燥して得られたRFL液の固形分
付着量が10〜50重量%になっているものを使用する
のが好ましい。RFL液の固形分は、RFの樹脂とラテ
ックスの固形分からなっている。これは、歯部の表面に
滲み出したゴム分がベルト走行中にゴム粉として飛散す
るからである。このRFL液は、レゾルシンとホルマリ
ンとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、
レゾルシンとホルマリンとのモル比は1対1〜3であ
る。また、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物とラ
テックスとの重量%比は、1対1〜10である。ここで
使用するラテックスとしてはスチレン−ブタジエン−ビ
ニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロ
ロスルフォン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンなど
のラテックスである。
【0018】上記歯布5の具体的な処理方法としては、
帆布をRFL液に浸漬し、一対のロールにより絞り圧約
0.3〜0.8kgf/cm(ゲージ圧)でディップ処
理を行って乾燥した後、更に同様にRFL液を行って、
帆布に付着するRFL液の固形分付着量を10〜50重
量%に調節した。尚、RFL液の固形分付着量が10重
量%未満では、帆布の経糸と緯糸の接触部が動きやすく
なって開口部が拡大し、これが歯部41,42のゴムを
歯布の開口部から歯部表面へ露出させることがある。ま
た一方、RFL液の固形分付着量が50重量%を超える
と、固形分付着量が多くなってベルトの歯部の形状が正
確に出現しなくなる問題がある。
【0019】RFL液で処理された歯布5の内面には、
上下両歯部に使用される原料ゴムを主材料とするゴム組
成物を溶剤に溶かしたゴム糊をスプレディング処理(塗
布処理)によって付着し、100〜160°Cの温度で
30〜60秒間乾燥して0.1〜0.3mm厚のコート
ゴム層6を形成する。コートゴム層6の厚みが0.1m
m未満になると、プレス加硫時に未加硫ゴムシートが歯
布の表面へ滲み出すことになり、また0.3mmを超え
ると、未加硫ゴムシートの歯布表面への滲み出しは阻止
されても上側と下側のPLD値が相違する。これは下側
の歯布5のゴム層に心線4を巻き付けるために、コート
ゴム層6が変形するためである。
【0020】そして、RFL液で処理された歯布5の内
面には、上下両歯部に使用される原料ゴムを主材料とす
るゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊をスプレディング
処理(塗布処理)によって付着し、100〜160°C
の温度で30〜60秒間乾燥して0.1〜0.3mm厚
のコートゴム層6を形成する。コートゴム層6の厚みが
0.1mm未満になると、最終型付け工程時にゴムが歯
布5の表面へ滲み出すことになり、また0.3mmを超
えると、ゴムの歯布5表面への滲み出しは阻止されても
上側と下側のPLD値が相違する。これは下側の歯布5
のコートゴム層6に心線4を巻き付けるために、コート
ゴム層6が変形するためである。上下両歯部の表面に被
覆した歯布5の内面にコートゴム層6を被覆すれば、上
下両方のPLD値を一致させるうえでもよい。
【0021】しかして、位置を合わせる工程では、成形
機から取り出した溝付モールド1を支持台20上に設置
するが、上記モールド1の片方もしくは両方の側壁16
は、図1に示すように中心部に保持穴17と、円周方向
に沿って設けた複数の係止穴18と、中心部から離れた
部位に設けた小さな位置合わせ突起19とを具備してい
る。
【0022】一方、支持台20は図2に示すように中心
部に設けた主突起部21と、主突起部21を中心とした
同心円上に設けた係止穴23(図5参照)と、主突起部
の中心から離れた位置に隣接した1組の位置合わせ突起
22とを有している。
【0023】溝付モールド1を支持台20上に設置する
時、溝付モールド1の保持穴17支持台20に設けた
主突起部21挿入するとともに、溝付モールド1の位
置合わせ突起19を支持台20の隣接した位置合わせ突
起22の間に嵌入すれば、溝付モールド1を支持台20
上で正しく、迅速に固定することができる。
【0024】ガイド棒25は金属あるいは合成樹脂から
なり、折り曲がった一方の端部26から垂直に突出した
止め部27を、また他端には直線状の抜け易い形状の止
め部28を有し、設置と抜き取りが容易な形状になって
いる。図3〜図5に示すように、複数のガイド棒25は
両端の止め部27、28を該モールド1に設けた係止穴
18と支持台20に設けた係止穴23に挿入することで
固定される。この時、ガイド棒25は成形体15の表面
に接しているか、あるいはわずかに離れている。
【0025】図6はガイド棒25を成形体15の表面に
装着した後、加硫ゴム製からなる母型30をガイド棒2
5に沿って挿入するところを示しているが、母型30は
円周方向に沿って所定の間隔で設けた凹状部31をガイ
ド棒25に嵌入しながら挿入する。上記ガイド棒25の
断面の大きさは、母型30の凹状部31に完全に嵌まり
込む程度の大きさであってやや凹状部31より小さい程
度のものである。断面形状は円形、楕円形、四角形など
であり、特に限定しない。
【0026】母型30は、凹状部31と凸状部32の表
面に歯部帆布36を被覆している。この歯部帆布36と
しては、経糸(長手方向)に6ナイロン、6・6ナイロ
ン、4・6ナイロン、6・10ナイロン、12ナイロン
等のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレン、ポリプロピレンのフィラメン
ト糸や綿等の紡績糸である。このフィラメント糸の構成
は1本が10〜50デニールのモノフィラメントを3〜
25本引き揃えて、5〜30回/10cmの撚りをSま
たはZ方向に与えて経糸としたものである。あるいは1
〜6デニールのアラミド繊維のフィラメントを10〜2
00本集束し、もしくはこれを撚り合わせたマルチフィ
ラメント糸を用いることができる。一方、緯糸(円周方
向)は伸縮性に富んだ糸であり、例えばウレタン弾性
糸、ポリアミド繊維の捲縮加工糸、紡績糸等を組み合わ
せた構成からなっている。そして、歯部帆布36は、平
織、綾織、朱子織等に製織した布であって、特に制限が
ない。
【0027】歯部帆布36では、必ずしもRFL処理、
エポキシ処理、イソシナネート処理、ソーキング処理な
どの接着処理をする必要はない。これは歯部帆布36の
構成糸内、また構成糸間の空気流れをよくしてゴム層の
表面を型付けする際の空気抜けをよくするためである。
【0028】母型30の製造方法としては、別に準備し
た歯部と溝部とを交互に配した平坦な金型の上に歯部帆
布の未加硫ゴムシートを設置し、加熱プレスして凹状部
と凸状部を交互に有する加硫したシート状の積層体を作
製する。この積層体の所定距離を置いた2つの凹状部の
底部を切断した後、これを円筒状になるように各端部面
にゴム糊を塗布して突き合わせ、接合部分の平坦な背面
にゴム引きした所定幅の帆布を積層した後、加熱したプ
レスして加圧して円筒状の母型30にする。母型30
は、内周面に一定間隔で凸状部32と凹状部31を交互
に有するとともに該凸状部32と凹状部31の表面に歯
部帆布36を被覆している。母型30の内周長は、成形
体の外周長より10〜25mm長くなっている。
【0029】母型30の他の製造方法としては、例えば
円周面に長手方向に延びる溝状部と歯状部とを円周方向
に沿って交互に設けた彫刻ドラムに、ミシンジョイント
やホットメルトジョイントした円筒状の歯部帆布を被
せ、その上にコグ形成ゴム層37になる所定厚みの未加
硫ゴムシートを巻き付けた後、これを通常の方法で加硫
して後、加硫した成形体を彫刻ドラムから脱型して母型
30とする。
【0030】続いて、全てのガイド棒25を抜き取った
後、成形体15を通常の方法で加硫する予備型付け工程
へ移す。この工程では、母型30の外側にジャケットを
嵌挿して半加硫を行う。半加硫は通常、成形体15の外
周面に円筒状のゴム製スリーブ(図示せず)を嵌め込
み、加硫缶に入れ、1〜2kg/cm2 のスチームを缶
内に導入することにより行われる。この際、未加硫ゴム
シート7が加熱加圧によって流動し、心線4間の隙間よ
り下方の歯布5を伸ばしながら溝付モールド1の溝部2
内に流れ込み、下歯部42が形成され、完全加硫でなく
半加硫の状態に近づくと、加硫缶の内圧及び温度を下げ
て、加硫がこれ以上に進行しない条件に設置する。
【0031】尚、上記半加硫とは、最適加硫時の引張強
さ、モジュラス、伸び等の各物性値をそれぞれ100と
した場合、各物性値がそれぞれ1〜5%に達する状態を
言う。この場合、最適加硫時の目安としては、引張強さ
は最高値を少し過ぎた点、モジュラスは最高値の少し手
前の点、そして伸びは最低の少し手前の点であり、これ
らは加硫曲線より判定される。
【0032】しかる後、溝付モールド1を加硫缶から出
した後、予備成形体であるベルトスリーブ40を溝付モ
ールド1から取り外す。この場合、ベルトスリーブ40
は半加硫の状態なので、歯部41、42を大きく変形さ
せずに抜き取ることが必要である。
【0033】最終型付け工程では、上記ベルトスリーブ
40を、図8に示すように軸間距離調節可能な2つの歯
付プーリ50、50に掛架し、使用する上下一対の歯付
モールド51、51をもった温度調節可能なプレス金型
52によって挟持加圧して上歯部41と下歯部42を成
形加硫する。この工程では、上下歯部41、42を正確
に成形し、また上下側のPLD値を一致させることがで
きる。
【0034】歯付モールド51は、下盤53の両端対角
線位置にノックピン54が、一方上盤55には該ノック
ピン54の対抗位置にピン挿入孔56が設けられ、ノッ
クピン54をピン挿入孔56に嵌入することにより上歯
部41と下歯部42の位置ずれを防止している。またノ
ックピン54には、ベルトの厚みを調整して均一なPL
D値を調整する複数の調整板57が挿入固定されてい
る。
【0035】最終型付けが終わって上歯部41と下歯部
42が形成されると、いったんプレス金型52を取り外
し、ついで歯付プーリ50、50を回転させて、次の歯
部の型付けを繰り返し行う。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。 実施例1 210デニールの66ナイロンからなる経糸と200デ
ニールのウーリ加工した6ナイロンからなる緯糸で、経
糸密度150( 本/5cm)で緯糸密度200( 本/5
cm)で綾織帆布に製織した後、織物を水中で振動を与
えて製織時の幅の約1/2幅まで収縮させた後、帆布を
表1に示すRFL液に浸漬し、一対のロールに0.5k
gf/cm(ゲージ圧)で絞った後、乾燥した。続い
て、上記処理歯布内側に、表3に示すゴム糊をドクタ
ーナイフによって厚さ0.2mmに塗布し、乾燥してコ
ートゴム層を形成した。
【0037】次に、心線として、素線径約9μのガラス
繊維フィラメントを束ねてストランドを形成し、このス
トランドをRFL液に浸漬し、250°Cで2分間乾燥
後、15.0回/10cmの撚り数にした約600本の
フィラメントからなるコードである。このコードの径は
約0.3mmφである。
【0038】上記歯布をエンドレス状の筒状体に仕上
げ、これを溝付モールドにセットし、その上からS、Z
一対のガラス繊維コードをピッチ0.5mmで交互に配
置するように張力各0.9kg/本で巻き付け、その上
からクロロプレンゴムコンパウンドからなる圧延シート
を巻き付け、上記と同様の処理した平坦な歯布を巻いて
成形体を作製した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】続いて、溝付モールドを支持台の所定位置
に設置した後、6本のガイド棒を一定間隔で装着し、母
型をガイド棒にそって挿入した。上記全てのガイド棒を
除去した後、ジャケットを被せて溝付モールドを加硫缶
に入れ、通常の加硫方法によって半加硫した後、半加硫
のベルトスリーブを溝付モールドから抜き取った。
【0043】半加硫のベルトスリーブを軸間距離調節可
能な2つの歯付プーリに掛架し、上下一対の歯付モール
ドからなるプレス金型によりベルトスリーブを加圧して
上歯部と下歯部を成形加硫した後、歯付プーリを回転し
て加硫し終わった部位を移動して、次の歯部形成を繰り
返し行った。得られたベルトは、ベルトの歯型:S3
M、歯数:250、ベルト幅:6.0mm、歯ピッチ:
3.0mmであった。成形後のベルト歯部の形状は良好
で、上歯部と下歯部も同じ位置にあり、上側と下側のP
LD値も一致し、歯部表面にはゴムが滲み出ていなかっ
た。
【0044】
【発明の効果】以上のように本願の請求項1記載の発明
では、溝付モールドの外周面に、レゾルシン−ホルマリ
ン−ラテックス液で処理した後に一方の内面にゴム層を
付着した歯布、心線、未加硫ゴムシート、そして上記と
同じ歯布を順次積層した成形体を作製する工程、円周方
向に沿って所定の間隔で凸状部と凹状部を交互に有する
円筒状の母型を成形体に挿入して位置を合わせる工程、
成形体を半加硫して上下両歯部を型付けする予備型付け
工程、そして溝付モールドから取り出した半加硫のベル
トスリーブを加熱加圧することにより上下両歯部を精度
よく型付して加硫する最終型付け工程からなり、特に予
備型付け工程では半加硫のベルトスリーブには正確な位
置に上下歯部が成形され、また最終型付け工程の加熱加
圧では正確な歯形が出現して上下側のPLD値も一致
し、また歯部表面へのゴムの滲み出を防止することがで
きる効果がある。
【0045】本願の請求項2記載の発明では、位置を合
わせる工程が成形体を作製した後、1つ以上のガイド棒
を成形体の表面でモールドの軸方向と平行に配置し、そ
の後円筒状の母型を上記ガイド棒に沿って挿入して位置
を合わせし、上記ガイド棒を除去するものであり、とり
わけ母型の位置を固定する治具を使用するために、上下
歯部の位置を狙い通りにすることができる効果がある。
【0046】本願の請求項3記載の発明では、複数のガ
イド棒が一定のピッチで配置されている両面歯付ベルト
の製造方法であり、母型の位置を正確に位置付けること
ができる効果がある。
【0047】本願の請求項4記載の発明では、ガイド棒
の折り曲がった一方の端部を溝付モールドに設けた側壁
の係止穴に、また他方の端部を支持台に設けた係止穴に
挿入するため、ガイド棒の設置と抜き取りが容易で短時
間に作業を完了することができる効果がある。
【0048】本願の請求項5記載の発明では、最終型付
け工程が半加硫のベルトスリーブを所定の間隔で歯部と
溝部を交互に有する金型に設置して加熱加圧し、歯部を
精度よく型付する方法であり、たとえ予備型付け工程で
半加硫のベルトスリーブに正確な歯部の形状が成形され
なくても、最終型付け工程で正確に成形することができ
るという効果がある。
【0049】本願の請求項6記載の発明では、母型に内
周面に歯部帆布を被覆していることで、母型と成形体間
に内在する空気の抜けを良くして正確なコグ部の出現を
可能とし、また母型の使用回数を増やすことができる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に係る工程の一つであり、溝
付モールドの外周面に成形体を成形する状態を示す断面
図である。
【図2】本発明の製造方法において使用する支持台の断
面図である。
【図3】本発明において溝付モールドを支持台上に設置
した状態の斜視図である。
【図4】図3におけるA部拡大図である。
【図5】図4におけるB部拡大図である。
【図6】本発明において母型をガイド棒にそって挿入す
るところの斜視図である。
【図7】本発明の製造方法によって得られた半加硫のベ
ルトスリーブの断面図である。
【図8】本発明の製造方法に係る最終型付け工程であ
り、半加硫のベルトスリーブを加熱加圧する状態を示す
断面図である。
【図9】図8の最終型付け工程で使用する歯付モールド
を分解した斜視図である。
【符号の説明】
1 溝付モールド 2 溝部 3 歯部 4 心線 5 歯布 6 コートゴム層 7 未加硫ゴムシート 15 成形体 25 ガイド棒 30 母型 40 ベルトスリーブ 41 上歯部 42 下歯部 52 プレス金型
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−166471(JP,A) 特開 平7−157979(JP,A) 特開 平2−146333(JP,A) 特開 平1−171934(JP,A) 特開 昭53−144982(JP,A) 特開 平10−156962(JP,A) 特開 平10−100280(JP,A) 特公 平6−43106(JP,B2) 特公 昭63−2773(JP,B1) 特公 昭46−22101(JP,B1) 特表 平5−503755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29D 29/08 F16G 1/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長さ方向に沿って配置した複数の上歯部
    と下歯部を設け、該上歯部と下歯部との間に心線を介在
    し、該上下両歯部の表面に歯布を被覆するとともに歯布
    の表面にゴムの滲み出しを抑えた両面歯付ベルトを製造
    する方法において、 溝付モールドの外周面に、レゾルシン−ホルマリン−ラ
    テックス液で処理した後に一方の内面にコートゴム層を
    付着した歯布、心線、未加硫ゴムシート、そして上記と
    同じ歯布を順次積層した成形体を作製する工程、 円周方向に沿って所定の間隔で凸状部と凹状部を交互に
    有する円筒状の母型を成形体に挿入して位置を合わせる
    工程、 成形体を半加硫して上下両歯部を型付けする予備的な型
    付け工程、 溝付モールドから取り出した半加硫のベルトスリーブを
    加熱加圧することにより上下両歯部を精度よく型付して
    加硫する最終型付け工程、からなることを特徴とする両
    面歯付ベルトの製造方法。
  2. 【請求項2】 位置を合わせる工程が、成形体を作製し
    た後、1つ以上のガイド棒を成形体の表面でモールドの
    軸方向と平行に配置し、その後円筒状の母型を上記ガイ
    ド棒に沿って挿入して位置合わせし、上記ガイド棒を除
    去する請求項1記載の両面歯付ベルトの製造方法。
  3. 【請求項3】 複数のガイド棒が一定のピッチで配置さ
    れている請求項2記載の両面歯付ベルトの製造方法。
  4. 【請求項4】 ガイド棒の折り曲がった一方の端部を溝
    付モールドに設けた側壁の係止穴に、また他方の端部を
    支持台に設けた係止穴に挿入する請求項2または3記載
    の両面歯付ベルトの製造方法。
  5. 【請求項5】 最終型付け工程が、半加硫のベルトスリ
    ーブを所定の間隔で歯部と溝部を交互に有する金型に設
    置して加熱加圧し、歯部を精度よく型付する請求項1記
    載の両面歯付ベルトの製造方法。
  6. 【請求項6】 円筒状の母型が、円周方向に沿って所定
    の間隔で設けた凸状部と凹状部の表面に歯部帆布を被覆
    している請求項1記載の両面歯付ベルトの製造方法。
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