JP3330876B2 - 三層構造の靴底及びその製造方法 - Google Patents

三層構造の靴底及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成ゴム製の意匠
部と熱可塑性エラストマーシートを同時一体成形した
後、熱可塑性エラストマーの靴底本体部材を射出成形す
ることにより、前記熱可塑性エラストマーシートと同時
一体成形した三層構造の靴底とその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、靴底の成形用素材としては、
各種のものが公知となっている。例えば先願の特許とし
て特開平8−294933号公報に開示されているもの
では、ゴムの表面をハロゲン化した後、このハロゲン化
したゴムの表面にポリウレタンエラストマーやポリアミ
ドエラストマー等の熱可塑性プラスチックを圧縮成形又
は射出成形で多色成形する運動靴のソールの製造方法の
発明が公知となっている。
【0003】又、特開平7−195622号公報には、
熱可塑性マトリックスの中に微粒子状態で分散したゴム
を動的加硫して得られる熱可塑性エラストマー(TP
V)に熱可塑性プラスチック材料が接着した複合製品、
即ち、熱可塑性プラスチックとTPVとからなる物品に
関する発明が開示されている。更に、インサート成形又
は2色射出成形による靴を一例として、耐疲労性が高
く、変形ヒステリシスが低く、低温特性に優れたポリエ
ーテルエステルアミド製のソール(靴底)の上に、TP
Vアロイ(熱可塑性プラスチック/ゴムアロイ)を射出
したインサート成形の靴底の成形に関するものが開示さ
れている。
【0004】又、特表平8−505333号公報では、
ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリウレ
タンよりなる群の中から選択される軽量化されていない
熱可塑性プラスチックから成る密な材料上に接着される
軽量化された熱可塑性エラストマーを含む組成物の2層
物品からなる靴底が開示され公知になっている。
【0005】更に、特表平8−511741号公報で
は、カルボン酸基を含む加硫したエラストマーをブロッ
クを含む熱可塑性ポリマーと直接組み合わせて得られる
複合構造物と、熱可塑性ポリマー上でエラストマーをそ
の場で加硫する製造方法で運動靴の靴底を製造する旨が
開示されている。その他、特開平8−294933号公
報に開示されているものに類似するもので、加硫成形し
たゴムの表面にプライマーやハロゲン化等の前処理をし
た後、射出成形型にインサートし、靴底本体の素材を射
出成形した運動靴のソールも既に製品化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平8−294
933号公報に開示されている方法やその類似の靴底及
び靴底の製造方法においては、加硫成形したゴムの表面
にプライマー或はハロゲン化等の前処理と言った二次的
な表面活性化処理が必要で工程数が煩雑となり、又、こ
れらの製造方法においては、ポリウレタンエラストマー
やポリアミドエラストマー等の熱可塑性プラスチックを
射出成形した場合に、加硫ゴムが射出圧力により容易に
変形し、ゴム部の意匠表面部に熱可塑性プラスチックが
回り込み外観不良の原因になっていた。そのため、これ
らの不良を防止するためには、ゴム硬度をショアーで7
5〜85Aの範囲に設定し硬度を高くし、且つゴム部の
肉厚を厚くして射出圧力に対応させる必要があったた
め、靴底素材としては、剛性が高く且つ硬くなり過ぎ
て、不適当な靴底しか提供出来なかった。
【0007】又、特表平8−505333号公報のよう
にポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリウ
レタンよりなる群の中から選択される軽量化されていな
い熱可塑性プラスチックから成る密な材料上に接着され
る軽量化された熱可塑性エラストマーを含む組成物の2
層物品からなる靴底においては、軽量化された熱可塑性
エラストマー自体の耐久性が低いため、製品の靴底自体
の耐久性能が低下する可能性を有していた。
【0008】更に、特表平8−511741号公報で
は、カルボン酸基を含む加硫したエラストマーをブロッ
クを含む熱可塑性ポリマーと直接組み合わせて得られる
複合構造物と、熱可塑性ポリマー上でエラストマーをそ
の場で加硫する製造方法で運動靴の靴底を製造するもの
では、具体的に靴底の製造方法について詳細な記載がな
いが、例えばプレス成形を採用した場合には、熱可塑性
ポリマー上にゴムのバリ(被膜)が形成され、このまま
では外観上からも製品化できないなどの問題点を有して
いた。
【0009】その他、これら前述の従来の靴底の製造方
法では、どの方法によっても熱可塑性エラストマーシー
トには、熱変形温度以上の成型温度がかかるため、脱型
後、熱変形と冷却時の変形が残ることになり、これらを
防ぐには、本底用射出成形金型に冷却装置が必要となる
ため、非常に高価で複雑な設備を設置する必要があり、
製造コストの点からも割高になると言った問題点を有し
ていた。そのため、耐久性が良好で靴底の素材として適
度な硬度と可撓性、クッション性やトラッキング性を有
し、且つ生産性の良好な製造コストの安価な靴底や靴底
の製造方法が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成からなる靴底及び靴底の製造方
法を見いだしたものである。即ち、未架橋の合成ゴムと
熱可塑性エラストマーシートをまず予備成形し、その後
熱可塑性エラストマーの上に靴底本体を形成する熱可塑
性エラストマーを射出成形することにより、三層構造の
靴底及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
に詳述する。即ち、請求項1の本発明は、合成ゴムのア
ウトソール意匠部と接合一体化された熱可塑性エラスト
マーシートとにより構成されたアウトソール部材に、靴
底本体成形用の熱可塑性エラストマーを射出成形するこ
とにより前記アウトソール部材と靴底本体を同時一体成
形して三層構造にしたことを特徴とする靴底である。な
お、本発明において、合成ゴムのアウトソール意匠部と
しては、通常の凹凸模様等よりなる意匠部やクリーツや
スタッド等の突起形状をも包含するものであるが、以下
の明細書の詳細な説明においては、アウトソール意匠部
として凹凸模様を有するアウトソールについて説明を行
うものである。
【0012】次に、請求項2の本発明のアウトソール部
材においては、合成ゴムのアウトソール意匠部と熱可塑
性エラストマーシートが一体化され意匠部の外形形状に
形成されており、且つ靴底本体成形用の熱可塑性エラス
トマーを射出成形することにより前記アウトソール部材
と靴底本体を同時一体成形して三層構造にしたことを特
徴とする靴底である。
【0013】又、請求項3の本発明のアウトソール部材
においては、合成ゴムのアウトソール意匠部と靴底外形
形状に形成された熱可塑性エラストマーシートとが接合
一体化されており、且つ靴底本体成形用の熱可塑性エラ
ストマーを射出成形することにより前記アウトソール部
材と靴底本体を同時一体成形して三層構造にしたことを
特徴とする靴底である。
【0014】又、請求項4の本発明のアウトソール部材
においては、一つの合成ゴムのアウトソール意匠部と他
の合成ゴムのアウトソール意匠部とを熱可塑性エラスト
マーシートにより接続一体化して靴底外形形状に形成さ
れており、且つ靴底本体成形用の熱可塑性エラストマー
を射出成形することにより前記アウトソール部材と靴底
本体を同時一体成形して三層構造にしたことを特徴とす
る靴底である。
【0015】更に、請求項5の本発明の靴底の製造方法
においては、未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜き
した部材を予備成形靴底金型のアウトソール意匠用凹部
に配置して加圧加熱した後、該アウトソール意匠用部材
が架橋の初期段階で金型を型開きして、次にアウトソー
ル意匠用凹部の外形形状に略合致した形状を有する熱可
塑性エラストマーシートを設置後、再度加圧加熱して前
記合成ゴムの意匠部と熱可塑性エラストマーシートを一
体成形したアウトソール部材を形成し、該アウトソール
部材を本底用射出成形金型の意匠用凹部形状にトリミン
グ後、本底用射出成形金型の意匠用凹部に合致するよう
に配置して型締め後、靴底本体形成用の熱可塑性エラス
トマーを射出成形することにより、前記熱可塑性エラス
トマーシートと靴底本体形成用の熱可塑性エラストマー
とが同時一体成形された三層構造を特徴とする靴底の製
造方法である。
【0016】又、請求項6の本発明の靴底の製造方法に
おいては、未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜きし
た部材を予備成形靴底金型のアウトソール意匠用凹部に
配置して加圧加熱した後、該アウトソール意匠用部材が
架橋の初期段階で金型を型開きして、次にアウトソール
の靴底外形形状に略合致した形状を有する熱可塑性エラ
ストマーシートを設置後、再度加圧加熱して前記合成ゴ
ムの意匠部と熱可塑性エラストマーシートを一体成形し
たアウトソール部材を形成し、該アウトソール部材を靴
底形状にトリミング後、本底用射出成形金型の意匠用凹
部に合致するように設置し型締め後、靴底本体形成用の
熱可塑性エラストマーを射出成形することにより、前記
熱可塑性エラストマーシートと靴底本体形成用の熱可塑
性エラストマーとが同時一体成形された三層構造を特徴
とする靴底の製造方法である。
【0017】又、請求項7の本発明の靴底の製造方法に
おいては、未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜きし
た部材を予備成形靴底金型の複数のアウトソール意匠用
凹部に配置して加圧加熱した後、該アウトソール意匠用
部材が架橋の初期段階で金型を型開きして、次にアウト
ソールの靴底外形形状に略合致した形状を有する熱可塑
性エラストマーシートを設置後、再度加圧加熱して前記
複数の合成ゴムの意匠部と合成ゴムの意匠部とを熱可塑
性エラストマーシートにより接続一体化したアウトソー
ル部材を形成し、該アウトソール部材を靴底形状にトリ
ミング後、本底用射出成形金型の意匠用凹部に合致する
ように設置し型締め後、靴底本体形成用の熱可塑性エラ
ストマーを射出成形することにより、前記熱可塑性エラ
ストマーシートと靴底本体形成用の熱可塑性エラストマ
ーとが同時一体成形された三層構造を特徴とする靴底の
製造方法である。
【0018】なお、本発明における合成ゴムとしては、
X−NBR:カルボキシル化アクリルニトリル−ブタジ
エンゴム、IR:合成イソプレンゴム、NBR:アクリ
ルニトリル−ブタジエンゴム、BR:ブタジエンゴム、
SBR:スチレン−ブタジエンゴム、NR:天然ゴム等
を使用することが出来るものである。又、熱可塑性エラ
ストマーとしては、TPAE:アミド系エラストマー、
TPU:ウレタン系エラストマー、SBC:スチレン系
エラストマー、TPO:オレフィン系エラストマー、T
PEE:エステル系エラストマー、TPVC:塩化ビニ
ル系エラストマー、RB:ポリブタジエン、IR:イソ
プレン、フッ素系エラストマー、塩素化ポリエチレン、
EVA、イオン架橋ポリエチレン等を各々単独で使用す
ることが出来るものである。
【0019】更に、上記熱可塑性エラストマーをマトリ
ックス樹脂として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊
維、高強度ポリエステル繊維等からなるミルドフアイバ
ーやチョップドストランドのような短繊維の補強繊維を
用いて、繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)の
形態で使用することも出来るものである。
【0020】又、好ましくは、上記熱可塑性エラストマ
ーをマトリックス樹脂として、炭素繊維、ガラス繊維、
アラミド繊維、高強度ポリエステル繊維等の補強繊維か
らなる織物や不織布に含浸させたスタンパブルシートの
形態である繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)
として使用することも出来るものである。このように、
FRTPやスタンパブルシートの形態にすることによ
り、靴底の剛性や保形性が向上すると共に、これら補強
繊維を用いることにより、合成ゴムの収縮率と熱可塑性
エラストマー単独で構成されたシートよりも収縮率の差
を押さえることが出来るため、意匠部が変形することを
防止出来るほか、より靴底の設計の自由度が広がり幅広
くニーズに対応出来るものである。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明すれば、
図1乃至図2に示すように、合成ゴムのアウトソール意
匠部2と接合一体化された熱可塑性エラストマーシート
3とにより構成されたアウトソール部材4に、靴底本体
成形用の熱可塑性エラストマー5を射出成形することに
より前記アウトソール部材4と靴底本体6を同時一体成
形して三層構造にしたことを特徴とする靴底1である。
【0022】次に、本発明のその他実施例について説明
すれば、図1乃至図2に示すように、アウトソール部材
4において、合成ゴムのアウトソール意匠部2と熱可塑
性エラストマーシート3が一体化されアウトソール意匠
部2の外形形状に形成されており、且つ靴底本体成形用
の熱可塑性エラストマー5を射出成形することにより前
記アウトソール部材4と靴底本体6を同時一体成形して
三層構造にしたことを特徴とする靴底1である。
【0023】又、本発明のその他実施例について説明す
れば、図3乃至図4に示すように、アウトソール部材4
において、合成ゴムのアウトソール意匠部2と靴底外形
形状に形成された熱可塑性エラストマーシート3とが接
合一体化されており、且つ図示はしなかったが、靴底本
体成形用の熱可塑性エラストマーを射出成形することに
より前記アウトソール部材4と靴底本体を同時一体成形
して三層構造にしたことを特徴とする靴底である。
【0024】又、本発明のその他実施例について説明す
れば、図3乃至図4に示すように、アウトソール部材4
においては、一つの合成ゴムのアウトソール意匠部2と
他の合成ゴムのアウトソール意匠部2とを熱可塑性エラ
ストマーシート3により接続一体化して靴底外形形状に
形成されており、且つ図示はしなかったが、靴底本体成
形用の熱可塑性エラストマーを射出成形することにより
前記アウトソール部材4と靴底本体を同時一体成形して
三層構造にしたことを特徴とする靴底である。
【0025】更に、本発明の靴底1の製造方法について
説明すれば、まず図5に示すように未架橋の合成ゴムの
混練り分出しシートを型抜きしたアウトソール意匠用部
材2Aを予備成形靴底金型7のアウトソール意匠用凹部
8に配置して加圧加熱(150〜160℃)した後、該
アウトソール意匠用部材2Aが架橋開始前(合成ゴムの
配合により異なるが、通常加圧加熱開始後1〜2分以内
が望ましい)に金型を型開きして、次にアウトソール意
匠用凹部8の外形形状に略合致した形状を有する熱可塑
性エラストマーシート3を設置後、熱プレスにより再度
加圧加熱して前記未架橋の合成ゴムのアウトソール意匠
部2を架橋すると同時に熱可塑性エラストマーシート3
を溶融一体化してアウトソール部材4を形成した後、金
型を約120℃以下に冷却してからアウトソール部材4
を脱型し、次に図6に示すように該アウトソール部材4
を本底用射出成形金型9の意匠用凹部形状にトリミング
後、本底用射出成形金型9の意匠用凹部10に合致する
ように配置して型締め後、靴底本体形成用の熱可塑性エ
ラストマー5を射出成形することにより、前記アウトソ
ール部材4の熱可塑性エラストマーシート3と靴底本体
6とが同時一体成形された三層構造を特徴とする靴底1
の製造方法である。
【0026】本発明に係る三層構造の靴底1の製造方法
について、図7に示すキュラスト架橋曲線をもとに説明
する。まず、未架橋の合成ゴムの混練り分出しシートを
型抜きしたアウトソール意匠用部材2Aを予備成形靴底
金型7のアウトソール意匠用凹部8に配置して加圧加熱
(150〜160℃)を行う。次にアウトソール意匠用
部材2Aが架橋の初期段階で金型を型開きを行う。即
ち、図7のキュラスト架橋曲線のAの時間領域に該当す
る箇所で、一旦型開きを行うものであり、このAの時間
領域は、合成ゴムの配合により異なるが、通常加圧加熱
開始後1〜3分以内が望ましく、硫黄による加硫では約
2〜3分程度であり、過酸化物による架橋の場合には約
1〜2分程度が目安となるものである。
【0027】次にアウトソール意匠用凹部8の外形形状
に略合致した形状を有する熱可塑性エラストマーシート
3を挟み込んだ後、熱プレスにより再度加圧加熱して前
記未架橋の合成ゴムのアウトソール意匠部2を架橋する
と同時に熱可塑性エラストマーシート3を溶融接着一体
化してアウトソール部材4を形成する。即ち、図7のキ
ュラスト架橋曲線のBの時間領域の平坦架橋温度に達す
る時点で加熱工程を終える。次に、予備成形靴底金型を
約120℃以下に冷却してからアウトソール部材4を脱
型する。即ち、加熱温度が150〜160℃において
は、ポリアミドエラストマーは溶融した状態であり、更
に、ポリアミドエラストマーと合成ゴムとでは、その成
形収縮率が異なる(ポリアミドエラストマー:8/10
00、合成ゴム:23/1000)ため、冷却する必要
がある。
【0028】次にアウトソール部材4を本底用射出成形
金型9の意匠用凹部形状と同一形状にするか、乃至は
0.1〜5mm(好ましくは0.1〜0.3mm程度)
周縁を大きくトリミング後、本底用射出成形金型9の意
匠用凹部10に合致するように配置して型締めを行う。
即ち、該アウトソール部材4を配置することにより、該
アウトソール部材4の周縁の形状とが後、靴底本体形成
用の熱可塑性エラストマー5を射出成形する際の意匠部
への押さえピンの作用により、ゴムパッキン的な働きを
生じ射出された樹脂が回り込むことも漏れてバリが生じ
ることもなく、作業工程上からも工程の短縮化が測れる
ものと考えられる。
【0029】なお、前記熱プレスにより加圧加熱して前
記未架橋の合成ゴムのアウトソール意匠部2を架橋する
と同時に熱可塑性エラストマーシート3を溶融一体化し
てアウトソール部材4を形成するが、この際の条件とし
ては、各々の素材にもよるが、一般的には、合成ゴムの
架橋温度と熱可塑性エラストマーシートの溶融温度か
ら、約150℃〜180℃の温度範囲で1〜3分の成形
時間が必要である。これにより、合成ゴムのアウトソー
ル意匠部2は架橋され、熱可塑性エラストマーシート3
は加熱により伸長する。そして合成ゴムのアウトソール
意匠部2とそれから生じたバリ(被膜)が熱可塑性エラ
ストマーシート3に架橋接着された状態になるため、
【0030】又、本発明の靴底のその他実施例の製造方
法においては、未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜
きした部材2Aを予備成形靴底金型7のアウトソール意
匠用凹部8に配置して加圧加熱した後、該アウトソール
意匠用部材2Aが架橋の初期段階で金型を型開きして、
次にアウトソールの靴底外形形状に略合致した形状を有
する熱可塑性エラストマーシート3を設置後、再度加圧
加熱して前記合成ゴムのアウトソール意匠部2と熱可塑
性エラストマーシート3を一体成形したアウトソール部
材4を形成し、該アウトソール部材4を靴底形状にトリ
ミング後、本底用射出成形金型9の意匠用凹部10に合
致するように設置して型締め後、靴底本体形成用の熱可
塑性エラストマー5を射出成形することにより、前記熱
可塑性エラストマーシート3と靴底本体6とが同時一体
成形された三層構造を特徴とする靴底1の製造方法であ
る。
【0031】又、本発明の靴底のその他実施例の製造方
法においては、未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜
きした部材2Aを予備成形靴底金型7の複数のアウトソ
ール意匠用凹部8に配置して加圧加熱した後、該アウト
ソール意匠用部材2Aが架橋の初期段階で金型を型開き
して、次にアウトソールの靴底外形形状に略合致した形
状を有する熱可塑性エラストマーシート3を設置後、再
度加圧加熱して前記複数の合成ゴムの意匠部2と合成ゴ
ムの意匠部2とを熱可塑性エラストマーシート3により
接続一体化したアウトソール部材4を形成し、該アウト
ソール部材4を靴底形状にトリミング後、本底用射出成
形金型9の意匠用凹部10に合致するように設置し型締
め後、靴底本体形成用の熱可塑性エラストマー5を射出
成形することにより、前記熱可塑性エラストマーシート
3と靴底本体6の熱可塑性エラストマーとが同時一体成
形された三層構造を特徴とする靴底1の製造方法であ
る。
【0032】なお、本発明に係る合成ゴムのアウトソー
ル意匠部2の厚みとしては、約1mm〜5mm程度に設
定することが好ましいものである。一方、熱可塑性エラ
ストマーシート3の厚みとしては、約0.1mm〜1.
0mm程度で、ショアーD硬度は、35〜65が望まし
いが、本発明の構成においては、接着強度を考慮して厚
みは0.5〜0.75mm程度のものが有効である。
又、射出成形する樹脂は、前記アミド系エラストマーシ
ートであってもよいし、溶着できるものであればウレタ
ン系エラストマーやスチレン系エラストマーであっても
よい。例えば、上記アミド系エラストマーとして、アト
ケムジャパンの(商品名:PEBAX5533)を使用
するのであれば、射出成形する樹脂にアトケムジャパン
の(商品名:PEBAX6333)を使用すれば溶着が
可能となり、アトケムジャパンの(商品名:PEBAX
5533)よりも、引張強度や弾性率の高いベース部を
形成することが出来るものである。又、これらの素材を
選定することにより各種目に適したスポーツシューズの
ソールを作製することが出来るものである。
【0033】なお、本発明のゴム配合の実施例を表1、
表2、表3に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明に係わる靴底及びその製造方法に
おいては、合成ゴムの意匠部と熱可塑性エラストマーシ
ートが架橋接着されているため、靴底の硬度がD硬度で
約35〜65と剛性があり、又、本底用射出成形金型の
意匠用凹部に合致するように設置するため、ゴム硬度は
ショアーA硬度で60〜75となり、靴底素材として適
したものとなる。
【0038】又、熱可塑性エラストマーシートを合成ゴ
ムの意匠部の外周に対し、0.1〜5mm大きくしたア
ウトソール部材を本底用射出成形金型の意匠用凹部に合
致するように設置しているため、靴底本体形成用の熱可
塑性エラストマーを射出成形した際に、合成ゴムの意匠
部への回り込みを防止出来る効果を奏するものである。
【0039】その他、従来の靴底の製造方法では、通
常、ゴムの製造メーカーと射出成形メーカーとは別々の
場合が多いため、このような素材の組み合わせでは、生
産効率が低下するが、本発明においては、生産効率を考
慮し、合成ゴムの意匠部と熱可塑性エラストマーシート
を架橋接着させるアウトソール部材の工程をゴムの製造
メーカーで量産し、該アウトソール部材を射出成形メー
カーで本底用射出成形金型にインサートし、靴底本体を
製造することができるため、生産効率が改善されるもの
である。以上のように、本発明の靴底及びその製造方法
においては、靴底本体を射出成形出来るため、様々な形
状に成形出来るため、デザイン上の自由度が向上するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る三層構造をした靴底を示す平面
図。
【図2】本発明に係る三層構造をした靴底の図1のA−
A部の断面を示す断面図。
【図3】本発明に係る靴底のアウトソール部材を示す平
面図。
【図4】本発明に係る靴底のアウトソール部材である図
3のB−B部、C−C部、D−D部、E−E部の断面を
示す断面図。
【図5】本発明に係る靴底の製造方法の一工程を示す断
面図。
【図6】本発明に係る靴底の製造方法の一工程を示す断
面図。
【図7】本発明に係るキュラスト架橋曲線を示す説明
図。
【符号の説明】
1 靴底 2 アウトソール意匠部 2A アウトソール意匠用部材 3 熱可塑性エラストマーシート 4 アウトソール部材 5 熱可塑性エラストマー 6 靴底本体 7 予備成形靴底金型 8 アウトソール意匠用凹部 9 本底用射出成形金型 10 意匠用凹部 11 ゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−294933(JP,A) 特開 平7−195622(JP,A) 国際公開95/331(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A43B 1/00 - 23/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成ゴムのアウトソール意匠部と接合一体
    化された熱可塑性エラストマーシートとにより構成され
    たアウトソール部材に、靴底本体成形用の熱可塑性エラ
    ストマーを射出成形することにより前記アウトソール部
    材と靴底本体を同時一体成形して三層構造にしたことを
    特徴とする靴底。
  2. 【請求項2】前記アウトソール部材は、合成ゴムのアウ
    トソール意匠部と熱可塑性エラストマーシートが一体化
    されアウトソール意匠部の外形形状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の靴底。
  3. 【請求項3】前記アウトソール部材は、合成ゴムのアウ
    トソール意匠部と靴底外形形状に形成された熱可塑性エ
    ラストマーシートにより接合一体化されたことを特徴と
    する請求項1記載の靴底。
  4. 【請求項4】前記アウトソール部材は、一つの合成ゴム
    のアウトソール意匠部と他の合成ゴムのアウトソール意
    匠部とを熱可塑性エラストマーシートにより接続一体化
    して靴底外形形状に形成されたことを特徴とする請求項
    1記載の靴底。
  5. 【請求項5】未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜き
    したアウトソール意匠用部材を予備成形靴底金型のアウ
    トソール意匠用凹部に配置して加圧加熱した後、該アウ
    トソール意匠用部材が架橋の初期段階で金型を型開きし
    て、アウトソール意匠用凹部の外形形状に略合致した形
    状を有する熱可塑性エラストマーシートを設置後、再度
    加圧加熱して前記合成ゴムの意匠部と熱可塑性エラスト
    マーシートを一体成形したアウトソール部材を形成し、
    該アウトソール部材を本底用射出成形金型の意匠用凹部
    形状にトリミング後、本底用射出成形金型の意匠用凹部
    に合致するように配置して型締め後、靴底本体形成用の
    熱可塑性エラストマーを射出成形することにより、前記
    熱可塑性エラストマーシートと靴底本体形成用の熱可塑
    性エラストマーとが同時一体成形された三層構造を特徴
    とする靴底の製造方法。
  6. 【請求項6】未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜き
    した部材を予備成形靴底金型のアウトソール意匠用凹部
    に配置して加圧加熱した後、該アウトソール意匠用部材
    が架橋の初期段階で金型を型開きして、次にアウトソー
    ルの靴底外形形状に略合致した形状を有する熱可塑性エ
    ラストマーシートを設置後、再度加圧加熱して前記合成
    ゴムの意匠部と熱塑性エラストマーシートを一体成形し
    たアウトソール部材を形成し、該アウトソール部材を靴
    底形状にトリミング後、本底用射出成形金型の意匠用凹
    部に合致するように設置し型締め後、靴底本体形成用の
    熱可塑性エラストマーを射出成形することにより、前記
    熱可塑性エラストマーシートと靴底本体形成用の熱可塑
    性エラストマーとが同時一体成形された三層構造を特徴
    とする靴底の製造方法。
  7. 【請求項7】未架橋の合成ゴムの混練りシートを型抜き
    した部材を予備成形靴底金型の複数のアウトソール意匠
    用凹部に配置して加圧加熱した後、該アウトソール意匠
    用部材が架橋の初期段階で金型を型開きして、次にアウ
    トソールの靴底外形形状に略合致した形状を有する熱可
    塑性エラストマーシートを設置後、再度加圧加熱して前
    記複数の合成ゴムの意匠部と合成ゴムの意匠部とを熱可
    塑性エラストマーシートにより接続一体化したアウトソ
    ール部材を形成し、該アウトソール部材を靴底形状にト
    リミング後、本底用射出成形金型の意匠用凹部に合致す
    るように設置し型締め後、靴底本体形成用の熱可塑性エ
    ラストマーを射出成形することにより、前記熱可塑性エ
    ラストマーシートと靴底本体形成用の熱可塑性エラスト
    マーとが同時一体成形された三層構造を特徴とする靴底
    の製造方法。
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