JP3330727B2 - 光励起cvd装置及びcvd方法 - Google Patents

光励起cvd装置及びcvd方法

Info

Publication number
JP3330727B2
JP3330727B2 JP09195594A JP9195594A JP3330727B2 JP 3330727 B2 JP3330727 B2 JP 3330727B2 JP 09195594 A JP09195594 A JP 09195594A JP 9195594 A JP9195594 A JP 9195594A JP 3330727 B2 JP3330727 B2 JP 3330727B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
vapor
excitation
window
zone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09195594A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07300678A (ja
Inventor
康夫 垂井
谷本  智
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP09195594A priority Critical patent/JP3330727B2/ja
Publication of JPH07300678A publication Critical patent/JPH07300678A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3330727B2 publication Critical patent/JP3330727B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光励起 CVD (化学気相
成長)装置及び CVD 方法に係り、特に、従来技術の課題
となっていた窓曇り問題を解決する新たな構成の光励起
CVD 装置及び CVD 方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高品質の金属膜、誘電体膜、半導体薄膜
の形成手段として、産業の広い分野でCVD 法が用いられ
ていることは周知の通りである。この方法では、スパッ
タリングや抵抗線加熱蒸着などの物理的成膜法の場合と
異なり、微細な凹凸構造の基板についても等角写像的な
被覆性を有する膜が得られるので、最近では、DRAM (随
時書き込み読みだしメモリ)に代表される半導体超高集
積回路デバイスの電極膜や層間絶縁膜、キャパシタ絶縁
膜、保護膜の形成方法として、盛んに用いられている。
CVD 法は、成膜機構が元来化学反応に由来しているの
で、物理的成膜法のような高真空状態を必要とせず、大
規模な成膜装置でも、比較的安価に実現することができ
る。このため、液晶フラットパネル表示装置やアモルフ
ァス太陽電池などの大面積デバイスの半導体膜、ゲート
絶縁膜、層間絶縁膜等の成膜手段として広く用いられて
いる。
【0003】近年、基体に形成したデバイスに与える熱
的損傷を軽減したり、基体をガラスや樹脂などの他の低
価格材料(耐熱的には劣る)に置き換えるために、成膜温
度の低温化を望む声がにわかに高まってきている。
【0004】これに応える一方法として広く普及してい
るものにプラズマ励起 CVD 法があるが、この方法に
は、プラズマ励起で発生した高エネルギーイオンが衝突
して、基体に物理的損傷(衝突損傷)や電気的損傷(帯電
損傷)を与えたり、イオンによって叩かれた反応器壁面
の不純物が薄膜内に異物として取り込まれるという問題
がある。また、プラズマ励起には、一般に、気相に存在
する気体分子を無差別に励起する(励起の無選択性)とい
う属性があり、このような励起の中には膜質に有害な影
響を与える励起すら含まれることがある。後者の場合に
は、成膜条件をいくら最適化しても、満足な特性を持つ
薄膜が得られないことがある。
【0005】一方、光励起 CVD 法は、低温化の要請に
応えるもう一つの有効な方法である。この方法の場合、
通常、水銀放電灯やレーザなどで発生させた10eV(電子
ボルト)未満のフォトンを透過窓を通して反応器内の原
料分子に照射して、堆積反応を促進させる。光励起によ
る生成物はフリーラジカルなどの電気的に中性な分子で
あり、反応器には高電界が印加されることもないので、
高エネルギーの衝撃によって基体が損傷を受けたり、不
純物が膜内に取り込まれたりする問題は起こらない。さ
らに、原料分子の光励起はそれぞれに固有の波長で生起
する性質があるので、光源の波長を任意に変えることに
よって、特定の原料分子だけを選択的に励起できる可能
性がある。このように、光励起 CVD 法は上記したプラ
ズマ励起CVDの難点を克服できる能力を潜在的に有して
いる。
【0006】このような優位性を有しているにも拘ら
ず、光励起 CVD 法がプラズマ励起 CVD 法に普及の点で
大きく遅れをとっている理由は、文献(例えば、Russell
L.Abber :“Photochemical Vapor Deposition,”Chapt
er 8 in “Handbook of Thin‐Film Deposition Proces
ses and Techniques,”Noyles Publications,p.270な
ど)が繰り返し指摘しているように、「窓曇り」問題が
解決していないことが最大の原因である。この「窓曇
り」現象とは、基体上で膜堆積が進行していくと、前記
の光透過用窓ガラス(合成石英ガラスや MgF2など)にも
同時に成膜が進み、その結果、反応器内へのエネルギー
供給が減少して、時間の経過とともに成膜速度が急速に
低下していく現象である。処理能力が成膜を重ねるごと
に落ちるので、光励起 CVD では窓曇りを回復させるた
めの保全処置(例えば、窓を外して取り替えるなど)が頻
繁に必要となり、装置の取扱いを煩雑なものにさせてい
る。さらに、膜特性を決定する重要なパラメータとなる
光励起強度が時間の経過につれて減少するので、生成膜
の特性が刻々に変化し、結果として、厚さ方向に均質な
膜が得られないという問題もある。
【0007】この点について本発明者が特願昭59‐1758
67号において開示した「窓なし光励起 CVD」法は、目的
は本願発明と必ずしも一致しないが、上述の従来の光励
起 CVD 法が抱える問題点を解決できる可能性を秘めた
ものである。すなわち、この技術は、放電灯を反応器の
一隅に隔壁を隔てることなく取り込み、放電ガスと高周
波電力とを供給して放電させ、発生した励起光を物理的
光透過手段(窓ガラス)を介することなく直接成長室に導
こうとするものである。この方法では、曇りの対象とな
る窓ガラスが存在しないという意味で、窓曇りの問題を
解決している。この方法によって、すでに、アモルファ
ス Si 、アモルファス SiC 、Si3N4、SiO2などの成膜に
成功している。(なお、上記光励起 CVD の“窓なし”と
は、上記の説明から明らかなように、窓がないわけでは
なく、窓ガラスがないことを意味している。)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
窓なし光励起 CVD においては、放電室と成長室とを隔
絶する窓ガラスがないことによる限界あるいは制約があ
る。その第1は、窓なし光励起 CVD 装置では、その機
構上、放電室と成長室の圧力が同一にならざるを得ない
ために、放電領域の圧力と反応器の圧力とを独立に制御
することができないという問題である。放電のための最
適圧力と成膜のための最適圧力とは必ずしも一致すると
は限らないので、このような場合、両最適圧力間で妥協
を図ることを余儀なくされる。
【0009】第2は、この方法では、放電領域と反応器
とを仕切る窓ガラスがないので、両室間のガスの拡散を
食い止めることができないという事情に関連する。反応
器の気体分子が放電領域に侵入した場合には、該侵入気
体分子(原料蒸気など)が放電を阻害したり、無差別的な
プラズマ励起を受ける結果となる。後者は、光励起 CVD
の有する利点「励起の波長選択性」が損なわれること
を意味する。同様に、放電ガスが成長室に侵入すると、
適正な成膜条件を撹乱することがある。
【0010】本発明の目的は、上記従来技術の有してい
た課題すなわち窓曇り問題を解決するとともに、上記先
願の窓なし光励起 CVD の限界や制約を補足する新規の
方法と手段(装置)を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、励起光を基
板に導光する励起窓、原料蒸気を外部から導入する一つ
あるいは複数の蒸気導入口、上記原料蒸気の導入下で上
記基板を支持加熱する第1のサセプタ、及び、生成ガス
及び原料蒸気を排出するための排気口とを備えた反応器
と、上記蒸気導入口に接続され、原料蒸気を間歇的に反
応器に導入する機能を有する原料導入系と、反応器内の
生成ガス及び原料蒸気を直接あるいは排気量調節器を介
して間歇的に器外に排出させる排気系と、蒸気励起窓に
内設あるいは外設され、上記原料蒸気の光学的活性化の
可能な波長の光を生成できる励起光源とからなる光励起
CVD (化学気相成長)装置において、蒸気反応器内の空
間を、励起窓を含む窓側空間と、励起窓を含まずかつ少
なくとも一つの蒸気導入口を備えた非窓側空間とに分割
し、両空間のガス拡散を遮断すると共に、外部からの指
令によって両空間を随時開通し得る拡散防止シャッタを
備えたことを特徴とする光励起 CVD 装置とすること、
及び、この装置を用いた方法とすることによって達成す
ることができる。
【0012】すなわち、本発明を極めて簡単に説明すれ
ば、光励起室と成長室との間に気密性の原料拡散防止シ
ャッタを設け、これを断続的に開閉し光励起するととも
に、シャッタの開口時には原料蒸気の少なくとも一つを
供給停止させるものである。
【0013】
【作用】ここで、まず、上記窓曇りの機構について説明
する。光励起 CVD は、殆どの場合、基板の表面に吸着
した原料分子(あるいは、原料分子から誘導された中間
生成物)を光励起で活性化させることによって反応を促
進し、堆積を進行させる機構に基づいている。いま、原
料をAとB、堆積させる薄膜物質をS、老廃物としての
生成ガスをGとして、この堆積の機構を化学反応式を用
いて表せば、まず、基板表面に原料蒸気A及びBの吸着 Av+Bv→ Aa+Ba(またはBv) (1) が起こり、これが光によって励起されて、 Aa+Ba(またはBv)+hν(光励起)→ S+G (2) のようになる。ここで、添え字vとaは、それぞれ、外
部から供給された原料蒸気または原料ガスとその吸着種
とを意味し、hνは光励起を表す。原料が1種類の場合
は、上記2式からBを除けばよい。従来の光励起 CVD
では、これと同じ反応が窓ガラス面でも生じていて、付
着した薄膜Sが励起光の透過を妨げ、結果として窓曇り
問題を引き起こしていた。
【0014】本発明はこの窓曇り発生の機構を鋭意精
察、検討することによって得られたものであり、「薄膜
Sが窓ガラスに析出するのは、窓ガラスに吸着したA
a(またはBa)が光励起を受けて、AaとBa(またはBv)
が反応することが原因であるから、成膜中、窓ガラス上
(または、窓ガラス近傍)にAaとBa(または、Bv)を共
存させずに、かつ、基板上には共存させて光励起をさせ
ることができれば、窓曇りを生じることなく、基板だけ
に薄膜Sを堆積することができる」との技術思想に基づ
いて得た結論である。
【0015】
【実施例】以下、本発明の光励起 CVD 装置及びこれを
用いた CVD 方法について、実施例によって具体的に説
明する。なお、以下に述べる実施例においては、CVD 原
料や生成される薄膜、生成ガス等については、前出の場
合と同様に、A、B、S、Gなどのように一般化した表
現で説明する。
【0016】
【実施例1】図1に、本発明光励起 CVD 装置の一実施
例(「成膜装置の第1実施例」と称する。以下同様)の要部
断面図を示す。ここで、10は反応器であり、該反応器10
は、基板 11を支持して所定の温度に保持するサセプタ1
2、器外の励起光源13で発生させた励起光を基板11に照
射するための励起窓14、励起光を透過し、励起窓14を密
閉するように載置した励起窓ガラス15、原料蒸気AとB
の輸送管16と17を接続している蒸気導入口18及び19、生
成ガスGなどの排気口20、本発明で重要な役割を演じる
拡散防止シャッタ21を備えている。この拡散防止シャッ
タ21は、閉口時には励起窓14と窓ガラス15とで囲まれた
窓側空間22を反応器内のその他の非窓側空間23から隔絶
し、相互の蒸気侵入を阻止できる開閉自在の気密性シャ
ッタで、オリフィス型、バタフライ型、スライド型等ど
んな開閉方式でも構わない。また、開口時には、基板11
への励起光照射を十分可能にする開口面積を有している
ものとする。
【0017】原料輸送管16、17の途中、蒸気導入口18、
19の直前の位置に蒸気供給バルブ24及び25が設けてあ
り、蒸気A、Bの輸送量は、図には表示していないが、
マスフローコントローラや蒸気発生器等の周知の制御手
段で一定に保つようにしてある。また、反応器の排気口
20には排気管が接続してあり、この排気管は、図に示し
たように、並直列に配置した排気主バルブ26、排気副バ
ルブ27及び排気量調節器28を介して真空排気装置と接続
してある。ここで、排気量調節器28は原料導入の際に反
応器内の圧力を(必要に応じて)所定の値に保持するため
のもので、この目的を満足するものであれば、方式は問
わない。また、29、30、31は第3の原料蒸気Cを反応器
10に供給するための輸送管、蒸気導入口、蒸気供給バル
ブである。
【0018】なお、上記複数の開閉手段のうち、少なく
とも拡散防止シャッタ21、蒸気供給バルブ24、25、31、
排気主バルブ26及び排気副バルブ27の開閉時期は開閉時
期制御装置32によって統合的に制御する。
【0019】
【実施例2】図2は本発明の成膜方法の一実施例(成膜
法の第1実施例と称する。以下同様)を説明するための
図で、成膜時の、反応器へのA蒸気とB蒸気の供給、停
止の時期(図1の 24、25の開閉時期に相当)とガス拡散
防止シャッタの閉開口の時期とを時系列図として示した
図である。まず、反応器の内部の状態は大別して Ia、I
Iaの2ゾーンからなり、Ia+IIaを1周期とするサイク
ルが連なっている。IaゾーンはA蒸気とB蒸気とが同時
に供給され、かつ、拡散防止シャッタが閉口している状
態、IIaゾーンはA蒸気の供給が停止され、かつ、拡散
防止シャッタが開口している状態である。
【0020】本実施例の方法は、図1の装置を含む全て
の本発明の成膜装置を使用した場合に共通して適用でき
るが、ここでは、無用の混乱を避けるために、図1の装
置を用いた場合を例として、以下時系列的に説明するこ
ととする。まず、Iaゾーンは、拡散防止シャッタを閉口
させ、A蒸気の供給バルブ24とB蒸気の供給バルブ25と
を開、排気主バルブ26を閉、排気副バルブ27を開にする
ことによって達成することができる。B蒸気の供給バル
ブ25と排気副バルブ27は以下成膜が完了するまで、ゾー
ンの種類に関係なく、開のままである。反応器10の非窓
側空間23は、蒸気導入口18、19を通してA蒸気、B蒸気
が供給される一方、排気口20からは排気副バルブ27と排
気量調節器28を経由して、反応生成ガス等が排出されて
いる。この時、拡散防止シャッタ21が閉口しているの
で、窓側空間22に接している窓ガラス15の表面には両蒸
気とも供給されない。
【0021】次に、IaゾーンからIIaゾーンに移行する
ためには、まずA蒸気供給バルブ24を閉じるとともに
排気主バルブ26を一時開口する。ここで、排気主バル
ブ26を一時開口するのは、非窓空間23に残存しているA
蒸気成分を完全に排出するためであり、その開口時間
は、非窓空間23の容積と排気装置の排気速度とで決定さ
れる。続いて、排気主バルブを閉じると同時に拡散防止
シャッタを開口して、完全にIIaゾーンに移行する。こ
の時、蒸気供給バルブ25、蒸気導入口19を通してB蒸気
を供給し、排気口20から排気副バルブ27と排気量調節器
28を経由して生成ガス等を排出するとともに、基板11に
励起光源13からの励起光を照射する。基板11表面の励起
を完了(成膜材料の種類と励起光の強さとによって決定
される)した後、再び拡散防止シャッタ21を閉じること
によって、IIaゾーンを終了する。再びIaゾーンへ戻る
には、単に、A蒸気供給バルブ24を開にするだけでよ
い。以下、Iaゾーン→IaゾーンからIIaゾーンへの移行
操作→IIaゾーン→IIaゾーンからIaゾーンへの移行操作
を希望の膜厚さに達するまで繰り返すことによって、光
励起 CVD の堆積を進行させる。
【0022】次に、上記操作を行った場合に基板11の表
面と窓ガラス15の表面で起こる反応について、以下に説
明する。まず、Iaゾーンにおいては、A蒸気、B蒸気が
供給されている非窓側空間23に存在する基板11の表面に
は、明らかに、A分子とB分子とが化学吸着する。しか
し、窓ガラス15の表面では、窓側空間22が拡散防止シャ
ッタ21によって非窓側空間から遮断されているので、A
蒸気、B蒸気ともに吸着しない。続いて、Iaゾーンから
IIaゾーンに移行すると、A蒸気の供給が停止され、拡
散防止シャッタ21の開口により、非窓側空間に光照射が
行われる。このとき、基板11の表面に吸着しているA分
子あるいはB分子は光励起されて反応し、生成ガスを気
相に放出すると同時に1原子層程度の厚さの薄膜Sを析
出する。B蒸気は続けて供給されているので、基板表面
のSの形成に寄与することができる。しかし、窓ガラス
15の表面には少なくともA分子は吸着していないので、
ここで起こり得る反応は、B蒸気の表面化学吸着と吸着
したB分子の光励起のみである。従って、窓ガラス15の
表面には薄膜Sは形成されない。
【0023】以上説明した基板表面と窓ガラス表面で起
こる反応を各ゾーンごとに化学反応式を用いて表したも
のが表1である。
【0024】
【表1】
【0025】表から明らかなように、基板表面ではIa
ーンとIIaゾーンとからなる1周期で従来の光励起 CVD
と同じ反応、前記の(1)式及び(2)式の反応、が1回起こ
り、結果として1原子層程度の薄い膜が形成されること
がわかる。この周期を所定の回数だけ繰り返して行うこ
とによって、希望する膜厚の薄膜Sが堆積できる。これ
に対して、窓ガラス表面では、B蒸気が吸着するか、吸
着したあるいは気相のB分子が励起されるかの何れか
(もしくは双方)が起こるのみであり、Iaゾーン+IIa
ーンを繰り返しても薄膜Sは全く形成されない。
【0026】以上の説明から、本実施例の方法によっ
て、窓ガラスの窓曇りを引き起こすことなく、基板表面
にのみ所望の厚さの薄膜を付着し得ることは明白であ
る。従って、本発明の装置及び成膜の方法が従来技術の
光励起 CVD の有していた窓曇りの問題を解決したもの
ということができる。
【0027】また、本実施例に述べた成膜方法は、原料
蒸気の気相励起に関して、従来の光励起 CVD にない次
のような特徴を有している。すなわち、上記励起期間の
IIaゾーンでは、A蒸気を気相励起することなく、B蒸
気のみを気相励起できる可能性(A、B逆の場合も可)を
有していることがわかる。従来の光励起 CVD では、A
蒸気とB蒸気とが同時・連続的に反応器に供給されるた
め、A蒸気もB蒸気も共に励起される危険がある。例え
ば、A蒸気で寄生的に起こる気相励起が有害な反応経路
を開通して、これが所望の薄膜の膜質を悪化させるよう
な場合には、大きな困難に直面することになる。この
点、本実施例の方法の場合には、有害なA蒸気の気相に
おける励起を完全に阻止することができる。
【0028】
【実施例3】図3は本発明成膜法の第2の実施例を説明
するための図で、この場合も、Ib、IIbの2ゾーンから
なり、Ib+IIbを繰り返すことによって成膜が達成され
る。実施例2の場合と類似しているが、A蒸気だけでな
くB蒸気も間歇的にしかもAとBが交互になるように供
給する点が異なっている。また、本実施例も、実施例1
の成膜装置(図1)を用いた場合を例として説明するが、
本実施例の方法は該装置に限定されるものではなく、後
述のどの成膜装置にも適用することができる。
【0029】まず、Ibゾーンは、拡散防止シャッタ21を
閉口させ、A蒸気の供給バルブ24を開、B蒸気の供給バ
ルブ25を閉にするとともに排気主バルブ26を閉、排気副
バルブ27を開にすることによって実現することができ
る。排気副バルブ27は、以降、成膜完了まで開のままで
ある。反応器10の非窓空間23に蒸気導入口16を通してA
蒸気を供給する一方、排気口20から排気副バルブ27と排
気量調節器28を経由して、生成ガス及び過剰なA蒸気を
排出する。基板11の表面にはA蒸気が供給されるが、拡
散防止シャッタ21が閉口されているので、窓側空間22に
接している窓ガラス15の表面にはA蒸気の供給はない。
【0030】IbゾーンからIIbゾーンへの移行は、ま
ず、A蒸気供給バルブ24を閉じると同時に排気主バルブ
26を一時開口する。ここで、排気主バルブ26を一時開口
するのは、非窓空間23に残存しているA蒸気を排出する
ためであり、その開口時間は非窓空間23の容積と排気装
置の排気速度とによって決定する。続いて、排気主バル
ブを閉じると同時に供給バルブ25を開いてB蒸気を反応
器に導入し、暫時間を置いて、拡散防止シャッタ21を開
口する。このようにして、完全にIIbゾーンに移行し、
基板11表面にB蒸気が供給され、励起窓14を通して励起
光が基板に照射される。
【0031】基板表面の励起と反応が完了(時間は、成
膜原料の種類と励起光の強さによって決定する)したと
ころで、B蒸気供給バルブ25を閉じると同時に排気主バ
ルブ26を一時開口して反応器に残存しているB蒸気を排
出した後、再び閉じ、拡散防止シャッタを閉口させてII
bゾーンを終了する。IIbゾーンからIbゾーンに戻すに
は、単に、A蒸気供給バルブ25を開にするだけでよい。
以下、同様にして、Ibゾーン→IbゾーンからIIbゾーン
への移行操作→IIbゾーン→IIbからIbゾーンへの移行操
作、を希望の膜厚さに達するまで繰り返す。以上のよう
な工程を経て、光 CVD が進行する。
【0032】次に、上記の操作を行った場合の作用につ
いて説明する。まず、Ibゾーンにおいては非窓側空間23
にある基板11の表面にはA分子が化学吸着するが、拡散
防止シャッタ21が閉じられているので、窓側空間22の窓
ガラス15にはA分子は吸着しない。続くIIbゾーンで
は、A蒸気の供給が停止され、基板表面へのB蒸気の供
給・吸着が可能になるとともに光励起もまた可能にな
る。
【0033】表2は本実施例の方法において、基板表面
と窓ガラス表面で起こる反応を、化学反応式を用いてゾ
ーンごとに示した表である。
【0034】
【表2】
【0035】すなわち、基板表面では、Ib+IIbからな
る1周期で従来の光励起 CVD と同じ反応(反応式(1)及
び(2))が起こり、結果として1原子層程度の薄い膜Sが
形成される。この周期を所定の回数だけ繰り返し行うこ
とによって希望する膜厚の薄膜Sを堆積することができ
る。これに対して、窓ガラス表面で起こるのは、B蒸気
が吸着されるか、吸着したB分子が励起されるかの何れ
か(もしくは、双方)であり、Ibゾーン+IIbゾーンを何
回繰り返しても、薄膜Sは全く形成されない。
【0036】以上の説明から、本実施例の方法を適用し
た場合に、窓曇りを引き起こすことなく、基板表面に所
望の薄膜Sを任意の厚さだけ形成できることは明らかで
ある。従って、本実施例の方法も、従来の光励起 CVD
の問題点「窓曇り」を解決している。さらに、本実施例の
方法の場合、実施例2の場合と同様に、一方の蒸気のみ
を気相励起できるという固有の特長を有することに加え
て、異種の原料蒸気(光励起種を含む)間の気相反応が生
じないという、従来技術の方法では達成できないもう一
つの優れた特徴を具備している。すなわち、Ibゾーンで
はA蒸気のみが、IIbゾーンではB蒸気のみが供給され
るから、A蒸気とB蒸気(励起後のB蒸気も)気相で衝突
(反応)することは全くない。従来の光励起 CVD ではA
蒸気とB蒸気とが同時・連続的に反応器に供給されるた
め、どうしても気相反応を起こす危険がある。有害な気
相反応の最も典型的な例は、気相で固体Sの塊が生じる
「気相核生成」現象で、これが発生すると、平滑な膜が得
られない。以上述べたように、本実施例の方法は、気相
反応を排除して光励起 CVD を行いたい場合に特に有効
である。
【0037】
【実施例4】図4は本発明成膜法の第3の実施例を説明
するための図で、この場合もIc、IIcの2ゾーンからな
り、Ic+IIcを繰り返すことによって所望の薄膜を任意
の膜厚だけ形成することができる。実施例2、3の方法
と類似しているが、A蒸気とB蒸気とを同時にかつ間歇
的に供給するとともに、両蒸気を供給しない期間(IIc
ーン)に拡散防止シャッタを開口するという点で異なっ
ている。なお、本実施例も、実施例1の成膜装置を用い
た場合について説明する。まず、Icゾーンは、拡散防止
シャッタ21を閉口させ、A蒸気供給バルブ24及びB蒸気
供給バルブ25を開にするとともに、排気主バルブ26を
閉、排気副バルブ27を開にすることによって実現でき
る。以降、排気副バルブ27は成膜が完了するまで開のま
まとする。この条件で、反応器10の非窓側空間23には蒸
気導入口18、19を通してA蒸気とB蒸気とが供給され、
同時に、排気口20から排気副バルブ27と排気量調節器28
を経由して生成ガスや過剰なA蒸気、B蒸気が排出され
る。このとき、拡散防止シャッタ21が閉口しているの
で、窓側空間23に接している窓ガラス15の表面には蒸気
の供給はなされない。
【0038】次に、IIcゾーンに移行するには、まず、
蒸気供給バルブ24、25を閉じると同時に排気主バルブ26
を開口して、非窓側空間23に残存しているA蒸気及びB
蒸気を排気する。排気が終ったところで拡散防止シャッ
タ21を開口して、IIcゾーンへの移行が完了する。IIc
ーンでは、ほぼ真空に近い環境にある窓側空間、非窓側
空間を通して励起光が基板に照射される。基板表面の励
起及び反応が完了(時間は成膜原料の種類と励起光の強
さによって決定する)したところで、拡散防止シャッタ2
1を閉口させてIIcゾーンを終了する。次に、Icへ戻すに
は、単にA蒸気供給バルブ24及びB蒸気供給バルブ25を
開にするだけでよく、以下、Icゾーン→IcゾーンからII
cゾーンへの移行操作→IIcゾーン→IIcゾーンからIc
ーンへの移行操作を希望の薄膜の膜厚さに達するまで繰
り返せばよい。以上の工程を経て、本実施例の光励起 C
VD 成膜が進行する。
【0039】次に、本実施例の成膜法について説明す
る。表3は、本実施例において基板表面と窓ガラス表面
で起こる反応を、化学反応式を用いてゾーンごとに示し
た表である。
【0040】
【表3】
【0041】Icゾーンにおいては、非窓側空間23にA蒸
気とB蒸気が供給されるので、基板の表面にはA分子と
B分子が化学吸着するが、窓側空間の窓ガラス表面に
は、拡散防止シャッタが閉口しているので、何も吸着し
ない。続くIIcゾーンでは、蒸気の供給が停止され、ほ
ぼ真空に近い状態で、基板表面に吸着したA分子または
B分子が光励起される。このとき、拡散防止シャッタは
開かれているが、蒸気が供給されていないので、窓ガラ
ス表面には何も吸着しない。基板表面では、Ic+IIc
1周期で、従来の光励起 CVD と同じ反応、(1)式及び
(2)式、が起こり、1原子層程度の薄い膜Sが形成され
る。この周期を所定の回数だけ繰り返して行えば、希望
する膜厚の薄膜Sを堆積することができる。これに対し
て、窓ガラス表面では、Icゾーン、IIcゾーンを通じ
て、上記のように、A分子もB分子も吸着していないの
で、サイクルを何回繰り返しても、薄膜Sは全く形成さ
れない。
【0042】以上説明したように、本実施例の場合も、
窓曇りを引き起こすことなく、基板表面に所望の薄膜S
を任意の厚さだけ付けることができ、従来技術の光励起
CVDの有していた問題点「窓曇り」を解決することができ
る。さらに、本実施例の方法の場合、A蒸気とB蒸気の
供給期間としてのIcゾーンと、光励起期間としてのIIc
ゾーンとが明確に分離されているので、A蒸気、B蒸気
ともに気相励起を起こさない環境、換言すると表面励起
だけが起こる環境で堆積を進めることができる。これ
も、従来の光励起 CVD では実現することのできない成
膜プロセスである。
【0043】
【実施例5】図5は、本発明方法の第4の実施例を説明
するための図で、この場合は、上記実施例2〜4とは異
なり、Id、IId、IIIdの三つのゾーンからなっており、I
d+IId+IIIdを繰り返すことによって、所望の薄膜を任
意の厚さだけ形成することができるものである。この場
合の特徴とするところは、A蒸気とB蒸気とを混合する
ことなく、交互に供給するとともに、蒸気供給後に拡散
防止シャッタを開口することにある。拡散防止シャッタ
を開口する時期としては、(1)A蒸気供給後、(2)B蒸気
供給後、(3)A蒸気供給後及びB蒸気供給後の3通りが
可能であるが、ここでは(2)のB蒸気供給後に拡散防止
シャッタを開口する場合を例として説明する。
【0044】図1の成膜装置を用いた場合について説明
すると、まず、Idゾーンは拡散防止シャッタ21を閉口
し、A蒸気の供給バルブ24を開、B蒸気の供給バルブ25
を閉にするとともに、排気主バルブ26を閉、排気副バル
ブ27を開にすることによって実現することができる。以
降、成膜が完了するまで、排気副バルブ27は開のままと
する。このとき、反応器10の非窓側空間23には、蒸気導
入口18を通してA蒸気が供給され、同時に、排気口20か
らは排気副バルブ27と排気量調節器28を経由して生成ガ
スや過剰なA蒸気が排出されている。なお、窓側空間22
に接している窓ガラス15の表面には、拡散防止シャッタ
21が閉口しているので、蒸気の供給はなされない。
【0045】IIdゾーンに移行するには、まずA蒸気供
給バルブ24を閉じると同時に排気主バルブ26を開口して
非窓側空間23に残存しているA蒸気を排気する。排気が
終ったところで、再び排気主バルブ26を閉口し、B蒸気
供給バルブ25を開けて、IIdゾーンへの移行を終了す
る。反応器10の非窓側空間23には蒸気導入口19を通して
B蒸気が供給されているが、拡散防止シャッタ21が閉口
しているので、窓側空間22の窓ガラス15の表面にはB蒸
気の供給はなされない。
【0046】続いて、IIIdゾーンに移行するには、まず
B蒸気供給バルブ25を閉じると同時に排気主バルブ26を
開口して、非窓側空間23に残存しているB蒸気を排気す
る。排気が終った段階で、拡散防止シャッタ21を開口し
てIIIdゾーンへの移行が完了する。IIIdゾーンでは、窓
側空間、非窓側空間ともほぼ真空に近い環境で励起光が
基板に照射される。基板表面の励起及び反応が完了(時
間は成膜原料の種類と励起光の強さによって決定)した
ところで拡散防止シャッタと排気主バルブ28を閉じてII
Idを終了する。次に、Idゾーンへ戻すには、単にA蒸気
供給バルブ25を開にするだけでよく、以下、Idゾーン→
IdゾーンからIIdゾーンへの移行操作→IIdゾーン→IId
ゾーンからIIIdゾーンへの移行操作→IIIdゾーン→IIId
ゾーンからIdゾーンへの移行操作を希望の薄膜の厚さに
達するまで繰り返せばよい。以上の工程を経て本実施例
の光 CVD 成膜が進行する。
【0047】次に、表4の反応式を用いて本実施例の方
法の作用について説明する。
【0048】
【表4】
【0049】基板表面では、IdゾーンでA分子が吸着
し、IIdゾーンではB分子がさらに吸着し、IIIdゾーン
においてA分子またはB分子(あるいは両分子)が励起を
受けて、1周期で1原子層程度の薄い膜Sが生成する。
これを繰り返すことによって任意の厚さの膜を形成する
ことができる。一方、窓ガラス表面では、Idゾーン、II
dゾーン、IIIdゾーンを通じて、上記のようにA蒸気も
B蒸気も吸着がないので、サイクルを何回繰り返して
も、薄膜Sは全く形成されない。
【0050】以上説明したように、本実施例の方法によ
る場合も、窓曇りを起こすことなく、基板表面に所望の
薄膜Sを任意の厚さだけ付着させることができる。すな
わち、従来技術の光励起 CVD の有していた問題点「窓曇
り」を解決している。さらに、本実施例の場合、A蒸気
の供給期間としてのIdゾーンとB蒸気の供給期間として
のIIdゾーンと光励起期間としてのIIIdゾーンとが時間
を隔てて明確に分離されているので、A蒸気とB蒸気と
が気相反応を起こさず、かつ気相励起もしない環境で成
膜を進行させることができる。これも、従来の光励起 C
VD では実現できない成膜プロセスである。
【0051】
【実施例6】図6は本発明方法の第5の実施例を説明す
るための図で、この実施例は成膜をA蒸気のみで進行さ
せる場合の例である。Ie、IIeの2ゾーンからなってお
り、Ie+IIeを繰り返すことにより所望の薄膜を任意の
膜厚だけ形成させるものである。本実施例の方法は、実
施例4の方法からB蒸気の系列を除いただけの簡単な構
成からなるものであり、操作手順は実施例4から容易に
類推できると思われるので、ここでは本方法の作用につ
いてのみ説明する。
【0052】表5は、本実施例の方法を適用したときに
基板表面と窓ガラス表面で起こる反応を、化学反応式を
用いてゾーンごとに示したものである。
【0053】
【表5】
【0054】まず、Ieゾーンでは、非窓側空間23にA蒸
気が供給され、基板の表面にA分子が化学吸着するが、
窓側空間の窓ガラス表面には、拡散防止シャッタが閉口
しているため、何も吸着しない。続いて、IIeゾーンで
は、A蒸気の供給が停止され、ほぼ真空に近い状態で、
基板表面に吸着したA分子が光励起される。この時、拡
散防止シャッタは開かれているが、A蒸気の供給が絶た
れているので、窓ガラス表面には何も吸着せず、従って
膜は形成されない。基板表面では、Ie+IIeの1周期を
経過する間に従来の光励起 CVD と同じ反応が起こり、
1原子層程度の薄い膜Sが形成される。この周期を所定
の回数だけ繰り返し行うことによって、希望する膜厚の
薄膜Sを堆積することができる。
【0055】本発明方法に基づく成膜は、3原料以上か
らなる光励起 CVD の場合にも可能で、3原料以上の場
合には、基本的には、上記した成膜法の実施例の1〜5
(実施例2〜6)を適宜組み合わせることによって実現す
ることができる。その組合せは全部で55通りあるが、
ここでは本発明方法が3原料以上に適用可能であること
の説明に主眼を置き、その特徴をよく表している1例を
実施例7として挙げるに止める。
【0056】
【実施例7】図7は本実施例の方法を説明するための図
であり、CVD 原料としてA、B、Cの3原料を用い、方
法として実施例6と実施例3の方法をこの順で接続した
場合の例である。1周期は全部で4ゾーンからなり、途
中で2回、拡散防止シャッタを開口して光励起を行う。
装置としては図1の装置を用いた場合について説明す
る。
【0057】まず、Ifゾーンは、拡散防止シャッタを閉
口させ、A蒸気の供給バルブ24を開、B蒸気供給バルブ
25、C蒸気供給バルブ31を閉にするとともに、排気主バ
ルブ26を閉、排気副バルブ27を開とすることによって実
現することができる。排気副バルブ27は、以降、成膜が
完了するまで開のままである。この条件では、反応器10
の非窓側空間23には蒸気導入口18を通してA蒸気が供給
され、同時に、排気口20から排気副バルブ27と排気量調
節器28を経由して生成ガスや過剰なA蒸気が排出され
る。このとき、窓側空間22に接している窓ガラス15の表
面には、拡散防止シャッタ21が閉口しているので、A蒸
気は供給されない。
【0058】IIfゾーンへの移行は、A蒸気供給バルブ2
4を閉じると同時に排気主バルブ26を開口して非窓側空
間23に残存しているA蒸気を排気する。排気が終了した
ところで拡散防止シャッタを開口してIIfゾーンへの移
行を完了する。IIfゾーンでは、ほぼ真空状態で、励起
光が基板表面に照射される。基板表面の励起及び反応が
完了(時間は、成膜原料の種類と励起光の強さによって
決定)したところで、拡散防止シャッタと排気主バルブ2
6を閉じてIIfゾーンを終了する。
【0059】IIfゾーンからIIIfゾーンへの移行は、B
蒸気供給バルブ25を開けるだけでよい。このとき、反応
器10の非窓側空間23には蒸気導入口19を通してB蒸気が
供給されているが、拡散防止シャッタ21が閉口している
ので、窓側空間22に接している窓ガラス15の表面にはB
蒸気は供給されない。
【0060】続いて、IIIfゾーンからIVfゾーンへの移
行は、まず、B蒸気供給バルブ25を閉じると同時に排気
主バルブ26を開口して、非窓側空間23に残存しているB
蒸気を排気し、排気が終了したところで排気主バルブ26
を閉口し、蒸気供給バルブ31を開にしてC原料蒸気を反
応器内に導入する。暫時間を置いて、拡散防止シャッタ
21を開口し、IIIfゾーンで基板表面に吸着したB分子を
励起する。このようにして、IVfゾーンへの移行が完了
する。IVfゾーンでは窓側空間22及び非窓側空間23とも
にC蒸気で満たされていることになる。基板表面の励起
及び反応が完了(時間は成膜原料の種類と励起光の強さ
によって決定)した時点でC蒸気バルブ31を閉じ、排気
主バルブ26を一旦開いて反応器内のC蒸気を完全に排気
した後、拡散防止シャッタを閉じ、排気主バルブ26を再
び閉じてIVfゾーンを終了する。
【0061】次に、Ifゾーンに戻すには単にA蒸気供給
バルブ25を開にするだけでよく、以下、Ifゾーン→If
ーンからIIfゾーンへの移行操作→IIfゾーン→IIfゾー
ンからIIIfゾーンへの移行操作→IIIfゾーン→IIIfゾー
ンからIVfゾーンへの移行操作→IVfゾーン→IVfゾーン
からIfゾーンへの移行操作、を所望の膜厚に達するまで
繰り返せばよい。以上のような工程を経て、本実施例方
法の光励起 CVD が進行する。
【0062】次に、本実施例方法の作用について説明す
る。表6は基板表面と窓ガラス表面で起こる反応をゾー
ンごとに示した表である。
【0063】
【表6】
【0064】まず、Ifゾーンでは、非窓側空間23にA蒸
気が供給され、基板の表面にA分子が化学吸着する。し
かし、窓側空間の窓ガラス表面には、拡散防止シャッタ
が閉口しているため、A蒸気は吸着しない。
【0065】続くIIfゾーンでは、A蒸気の供給が停止
され、ほぼ真空に近い状態で、基板表面に吸着したA分
子が光励起される。この結果、基板表面では前記実施例
6の場合と同様な光励起反応が起こって、1原子層程度
の薄い膜S1が形成される。S1はA分子の成分からな
り、A分子が光分解されることによって生じる固体であ
る。一方、窓ガラスには何も吸着していないので、膜S
1は堆積しない。
【0066】次に、IIIfゾーンでは、B蒸気が反応器
(非窓側空間23)に導入され、基板表面にはB分子が吸着
する。しかし、拡散防止シャッタが閉口しているので、
窓ガラス表面にはB分子は吸着しない。
【0067】次のIVfゾーンでは、C蒸気が供給されて
いる状態で基板表面で光励起が行われる。基板表面には
すでにIIIfゾーンでB分子が吸着しているので、これと
C分子とが光励起によって反応し、1原子層程度の薄い
膜S2が形成される。S2の下には、すでにIfゾーンとII
fゾーンで薄い膜S1が形成されている。従って、Ifゾー
ン〜IVfゾーンからなる1周期を1回繰り返すと、S1
子層+S2原子層からなり、A蒸気、B蒸気、C蒸気の
主要原子を含む極めて薄い分子層固体S(S1+S2)が生
成される。分子層Sを何層積み重ねても、得られる膜の
1原子は常にS2原子層によって挟まれており、S1
子層とは接せず、また、S2原子層は常にS1原子層によ
って挟まれ、S2原子層とは接していない構造(換言すれ
ば、S1原子層とS2原子層とが交互に規則正しく積層さ
れている構造)であることが、本実施例方法の場合の重
要な特徴である。このような膜の構造は、A蒸気、B蒸
気、C蒸気を同時に供給して光照射を行いながら堆積す
る従来の光励起 CVD 法で生成される膜の構造と原子レ
ベルで同じである。表6の周期を繰り返すことによって
基板表面に所望の固体Sを形成することができる。一
方、窓ガラス表面では、IfゾーンとIIIfゾーンにおいて
A蒸気とB蒸気が供給されないので、サイクルを何回繰
り返しても、薄膜Sは形成されない。このように、本実
施例方法を適用した場合に、窓曇りを引き起こすことな
く、基板表面にのみ所望の薄膜Sを任意の厚さだけ付着
させることができ、従来の光励起 CVDの問題点「窓曇り」
を解決していることは明らかである。
【0068】以上、実施例2〜7において、本発明の光
励起 CVD 方法の実施例について説明したが、以下、本
発明光励起 CVD 装置のその他の実施例について説明す
る。なお、上記実施例2〜7で述べた方法は、以下に説
明する装置についても適用可能である。また、装置の実
施例を説明するための以下の図において、図1の場合と
同一機能を果たす各部については、図1と同一の番号を
用いた。
【0069】
【実施例8】図8に、本発明光励起 CVD 装置の第2の
実施例を説明するための装置の要部断面図を示す。図8
の装置が図1の装置と構造を大きく異にしているところ
は、窓側空間22を拡張して、この空間内に第2のサセプ
タ40を設置した点と、拡散防止シャッタ21部を通して第
1のサセプタ12と第2のサセプタ40との間で基板を搬送
させる基板搬送手段41を設置した点である。ここで、第
2のサセプタ40の温度は第1のサセプタ12の温度とは独
立に制御可能なものとしてある。また、基板搬送手段41
は周知のアームドライブ型、ベルトドライブ型等如何な
る方式のものでもよいが、何れも、開閉時期制御装置32
の指令によって基板11を(望ましくは真空を破ることな
く)速やかに移動させることのできる機能を有したもの
とする。
【0070】上記A、B、Cの輸送量は、図示してない
が、マスフローコントローラや蒸気発生器その他の周知
の輸送量制御手段によって一定に保つようにする。ま
た、原料蒸気A、BまたはCが光励起を受けて光吸収性
の固体を単独で生成しない場合には、該当するA、Bま
たはCを窓側空間22の側の蒸気導入口Xから供給する。
なお、上記複数の開閉手段の中、少なくとも拡散防止シ
ャッタ21、蒸気供給バルブ24及び25、排気主バルブ26及
び排気副バルブ27の開閉時期並びに基板搬送手段41の搬
送時期は、開閉時期制御装置32によって統合的に制御す
る。
【0071】次に、本実施例装置の動作について説明す
る。なお、本装置を用いて上記実施例2〜7の方法を全
て実現することができるが、全ての場合についての説明
は冗長となるので、ここでは、実施例2(図2)の方法を
実現する場合を例として説明する。本実施例装置(図8)
を用いて図2の方法を実現するには、まず、拡散防止シ
ャッタ21を閉口させ、A蒸気供給バルブ24とB蒸気供給
バルブ25を開、排気主バルブ26を閉、排気副バルブ27を
開にする。この操作によって、A蒸気及びB蒸気が基板
表面に化学吸着し、Iaゾーンを達成することができる。
B蒸気の供給バルブ24と排気副バルブ27は、以下成膜が
完了するまで開のままとする。この条件で、反応器10の
非窓側空間23に蒸気導入口18、19を通して原料A、Bが
供給される一方、排気口20から排気副バルブ27、排気量
調節器28を経由して生成ガス等が排出されている。この
とき、窓側空間22に配置されている窓ガラス15の表面に
は、拡散防止シャッタ21が閉口しているので、両蒸気と
も供給されない。
【0072】次に、IIaゾーンに移行するためには、ま
ずA蒸気供給バルブ24を閉じるとともに、排気主バルブ
26を一時開口する。A蒸気成分を完全に排出した後、直
ちに排気主バルブ26を閉じる。このとき、蒸気供給バル
ブ25、蒸気導入口19を通してB蒸気のみが供給され、か
つ、排気口20からは排気副バルブ27と排気量調節器28を
経由して生成ガス等が排出されている。続いて、拡散防
止シャッタ21を開口すると同時に基板搬送装置41を作動
させて、基板11を第1のサセプタ12から第2のサセプタ
40に速やかに移動させて、完全にIIaゾーンに移行す
る。このとき、A分子、B分子が吸着している基板表面
では分子が励起され、1原子層程度の極めて薄い固体S
が形成される。しかし、IaゾーンでA分子が吸着しなか
った窓ガラス15の表面には固体Sは生じない。以上、Ia
ゾーン及びIIaゾーンで起こる反応は、前出の表1の場
合と同じである。基板表面の励起が完了する時間(成膜
原料の種類と励起光の強さによって決定)を経過した
後、再び基板搬送装置41を作動させ、基板11を第2のサ
セプタ40から第1のサセプタ12に速やかに戻し、拡散防
止シャッタ21を閉じる。
【0073】IIaゾーンから再びIaゾーンに戻すには、
以降、単にA蒸気供給バルブ25を開にするだけでよい。
以下、Iaゾーン→IaゾーンからIIaゾーンへの移行操作
→IIaゾーン→IIaゾーンからIaゾーンへの移行操作を繰
り返すことによって、希望の厚さの薄膜を得ることがで
きる。以上の説明から、本実施例装置が図1の装置と同
様の働きをし、実施例2の場合と同じプロセスを実現で
きることがわかる。従って、従来の光励起 CVD の欠点
である窓曇りを起こすことなく、所望の薄膜Sを堆積で
きるという効果が得られる。
【0074】本実施例の装置は、さらに、原料蒸気を供
給して基板に化学吸着させるときに主として用いる第1
のサセプタと、基板上の吸着種を光励起するときに用い
る第2のサセプタとを専用に有しているので、それぞれ
の化学プロセスに最も適した温度設定を独立に行うこと
ができるという特徴を有している。この特徴は、従来の
光励起 CVD では見られなかったことであり、CVD 過程
を構成する複雑な反応素過程を精細に制御することがで
きるという点から極めて有効である。
【0075】
【実施例9】図9は、本発明の光励起 CVD 装置の第3
の実施例を説明するための装置要部断面図で、本実施例
装置は窓なし光励起 CVD に適合させたものである。装
置構成としては図1装置と類似しているが、本発明者等
の先願特開昭59‐175867号の場合と同じく、励起光源が
反応器内上部に組み込まれている点が異なる。本装置の
特徴となる点について説明すれば、窓側空間22にプラズ
マ放電灯(=励起光源)42が隔壁で仕切られることなく設
置されていることである。このプラズマ放電灯42は高周
波容量結合型、誘導結合型、マイクロ波等電極型などの
形式を問わず適用が可能であるが、ここでは、便宜上、
高周波容量結合型として説明する。43は放電領域であ
り、これを挟んで一対の放電電極44、45を配置してあ
り、希ガスもしくは水素、酸素等(あるいは、これらの
混合気体)の紫外線放射用放電ガスPを放電ガス導入口4
6から供給するようにしてある。47は放電ガスの供給を
開閉するためのバルブ、48は放電ガスを放電ガス導入口
46に導く輸送管である。また、上記プラズマ放電灯42
は、基板11が放電領域43に発生したプラズマ陽光柱を見
渡せ、かつ、プラズマ陽光柱で発生したイオンに干渉さ
れない距離を隔てた位置に配置する。このようなプラズ
マ放電灯を励起光源として用いる利点は、一般の外付き
光源では不可能な、160nm以下の波長の短い紫外線を実
用的な光強度で基板に直射できることである。例えば、
放電ガスとしてアルゴン Ar を使用すると106.7nm、10
4.8nm等の波長の紫外線が照射され、同様に、クリプト
ン Krの場合123.6nm、116.5nm、キセノン Xe の場合147
nm、129.6nm、水素 H の場合121.6nm、102.6nmの紫外線
が放出される。これらのプラズマ励起光(陽光)は、途中
で励起窓ガラスのような物体にエネルギーを吸収される
ことなく基板に到達する。一例を挙げれば、Ar を50cc/
minないしは200cc/min流し、放電電力2.5kWでプラズマ
を発生させると、プラズマ陽光柱から5cm離れた基板
に、8mW/cm2の強度の紫外線を照射させることができ
る。
【0076】次に、本実施例装置の動作について、実施
例4(図4)のプロセスを実現する場合を例として説明す
る。まず、拡散防止シャッタ21を閉口させ、A蒸気、B
蒸気の供給バルブ24、25を開にするとともに排気主バル
ブ26を閉、排気副バルブ27を開にする。これによって、
Icゾーンが実現される。以降、排気副バルブ27は成膜が
完了するまで開のままとする。Icゾーンでは、反応器10
の非窓側空間23には蒸気導入口18、19を通してA蒸気と
B蒸気が供給され、同時に、排気口20から排気副バルブ
27と排気量調節器28を経由して生成ガスや過剰なA蒸
気、B蒸気が排出される。このとき、基板にはA分子と
B分子とが化学吸着するが、拡散防止シャッタ21が閉口
しているので、窓側空間には吸着しない。
【0077】次に、IIcゾーンに移行するには、まず蒸
気供給バルブ24、25を閉じると同時に排気主バルブ26を
開口して、非窓側空間23に残存しているA蒸気及びB蒸
気を排気する。排気が終了したところで拡散防止シャッ
タ21を開口するとともに、放電ガス供給バルブ47を開に
して放電ガスPを放電ガス導入口46から反応器内に供給
すると同時にプラズマ放電灯の出力を入れ、プラズマ放
電を開始させる。この時、反応器内は放電ガスの輸送量
(供給量)を制御するなどして、最も放電に適した圧力に
設定する。このようにして、IIcゾーンへの移行が完了
する。プラズマ放電光による基板表面の励起及び反応が
完了(励起時間は成膜原料の種類と励起光の強さによっ
て決定する)したところで、直ちに放電灯の出力を切
り、放電ガス供給バルブ47を閉にし、拡散防止シャッタ
21と排気主バルブ26を閉じて、IIcゾーンを終了する。
【0078】次に、Icゾーンへ戻すには、単に、A蒸
気、B蒸気の供給バルブ24、25を開にするだけでよく、
以下、Icゾーン→IcゾーンからIIcゾーンへの移行操作
→IIcゾーン→IIcゾーンからIcゾーンへの移行操作を希
望の薄膜の厚さに達するまで繰り返せばよい。以上のよ
うな工程を経て、光励起 CVD が進行する。
【0079】次に、本実施例装置の作用と効果とについ
て説明する。本装置が実施例4のプロセスを実現してい
ること、Ic+IIcを繰り返すことによって所望の膜Sが
得られることは以上の説明から明らかであるので説明を
省略する。また、本装置の場合、窓がないので窓曇り問
題は元来生じない。ここでは、本装置が従来の窓なし光
励起 CVD 法の問題(前述)を如何に解決しているかの点
に集中して説明する。
【0080】従来の窓なし光励起 CVD の第1の問題点
は、放電室の圧力と反応器(成長室)の圧力を独立に制御
できないことにある。この点、本装置は、実施例4、
5、6等のプロセスの実施に用いた場合、蒸気供給期間
としてのIcゾーンと、基板表面励起期間としてのIIc
ーンとを時差をもって明確に区分し、蒸気供給の最適圧
力はIcゾーンで、プラズマ放電の最適圧力はIIcゾーン
で独立に制御することができる。従来の光励起 CVD の
もう一つの問題点は、放電ガスと原料蒸気とが混じり合
うことによって生じる放電妨害や寄生プラズマ CVD の
発生である。本実施例の装置を用いた場合、上記したよ
うに、実施例4、5、6の方法を適用したときに、原料
蒸気の供給期間(Icゾーン)と放電ガスの供給期間(IIc
ーン)とが完全に独立しているので、堆積の過程で原料
蒸気と放電ガスとが混じり合うことが全くなく、従って
この問題点も解決していることがわかる。
【0081】ところで、放電時に原料蒸気が導入される
プロセスを含んでいる実施例2、3、7の方法を本実施
例の装置に適用することは、従来の窓なし光励起 CVD
の有している問題を解決する目的には全く適していな
い。しかし、原料ガスのプラズマ励起を故意に利用した
い場合には、この組合せは極めて大きな意味を持ってく
るので、以下に説明を加える。例えば、実施例2の方法
を採用した場合には、IIaゾーンにおいて(図2)、表面
に吸着したA分子を光励起すると同時に、気相に存在す
るB蒸気‘だけ’をプラズマ励起して表面に供給する2
相励起状態を実現することができる。従来の光励起 CVD
方法では、同様な光励起を行うと、A蒸気とB蒸気と
が‘同時に’気相励起されることになり、B蒸気だけを
気相励起することは困難である。また、例えば、本実施
例の装置に実施例7の方法(図7)を適用した場合、IIf
ゾーンでは表面のA分子に正規の光励起を行い、IVf
ーンでは表面のB分子とC分子を光励起すると同時に、
気相のC蒸気‘だけ’をプラズマ励起する2相励起状態
にすることができる。このような「光励起下で特定の原
料のみをプラズマ励起」するハイブリッド励起は、従来
の窓なし光励起 CVD では実現できない新規な励起であ
る。
【0082】
【実施例10】図10は、本発明光励起 CVD 装置の第4
実施例の要部断面図を示した図である。本実施例の装置
も、上記実施例9の装置の場合と同様に、窓なし光励起
CVDに適合させた場合の例である。装置の構成や機能は
上記実施例8(図8)と類似しているが、励起光源(放電
灯)が反応器窓側空間空間内上部に取り込まれている点
が異なる。しかし、この励起光源の構造、機能は実施例
9の場合と相違するところはない。以上の理由から、構
造、動作の詳細な説明は省略する。本実施例装置の動作
について、実施例4の方法を実現する場合を例として、
以下に説明する。すなわち、まず、拡散防止シャッタ21
を閉口させ、A蒸気、B蒸気の供給バルブ24、25を開に
するとともに排気主バルブ26を閉、排気副バルブ27を開
にする。これによって、Icゾーンが達成される。排気副
バルブ27は、以降、成膜が完了するまで開のままとす
る。Icゾーンでは、反応器10の非窓側空間23には、蒸気
導入口18、19を通してA蒸気とB蒸気が供給され、同時
に、排気口20から排気副バルブ27と排気量調節器28を経
由して生成ガスや過剰なA蒸気、B蒸気が排出されてい
る。このとき、基板にはA分子、B分子が化学吸着する
が、窓側空間22には蒸気の侵入はない。
【0083】続いて、IIcゾーンに移行するには、蒸気
供給バルブ24、25を閉じると同時に排気主バルブ26を開
口して、非窓側空間23に残存しているA蒸気及びB蒸気
を排気する。排気が終了したところで拡散防止シャッタ
21を開口させ、基板搬送手段41を作動させて基板11を第
1のサセプタ12から第2のサセプタ40に速やかに移動さ
せる。次に、放電ガス供給バルブ47を開にして、放電ガ
スPを放電ガス導入口46から反応器内に供給すると同時
にプラズマ放電灯の出力を入れてプラズマ放電を開始す
る。反応器内は、放電ガスの輸送量(供給量)を制御する
などして、放電に最も適した圧力に設定する。このと
き、A分子、B分子が吸着している基板表面では、分子
が励起され、1原子層程度の極めて薄い固体Sが生成さ
れる。このようにして、IIcゾーンへの移行を終了す
る。基板表面の光励起及び反応が完了したところで、直
ちにプラズマ放電灯の出力を切り、放電ガス供給バルブ
47を閉にし、基板搬送手段41を作動させて、基板11を第
2のサセプタ40から第1のサセプタ12に移す。基板を移
し終えたところで、拡散防止シャッタ21と排気主バルブ
26を閉じてIIcゾーンを終了する。次に、Icゾーンに戻
すには、単に、A蒸気供給バルブ24とB蒸気供給バルブ
25とを開にするだけでよく、以下、Icゾーン→Icゾー
ンからIIcゾーンへの移行操作→IIcゾーン→IIcゾー
ンからIcゾーンへの移行操作を、薄膜が希望の厚さに
達するまで繰り返せばよい。以上のような工程を経て実
施例5の方法による光励起 CVD 成膜が進行する。
【0084】以下に、本実施例装置の作用と効果につい
て、特に従来の窓なし光励起 CVD法の有していた問題点
を如何に解決しているかについて説明する。従来の窓な
し光励起 CVD の第1の問題点は放電室の圧力と反応器
(成長室)の圧力とを独立に制御できないことにあった。
この点、本実施例装置においては、成膜方法として実施
例4、5あるいは6の方法を適用した場合、蒸気供給期
間(Icゾーン)と基板表面励起期間(IIcゾーン)の圧力が
時間を隔てて独立に制御されるので、明らかにこの問題
を解決している。従来技術の光励起 CVD のもう一つの
問題点は、放電ガスと原料蒸気とが混じり合うことによ
って生じる放電阻害あるいは寄生プラズマ CVD の発生
であった。本実施例装置の場合、実施例4、5あるいは
6の方法を適用した場合に、原料蒸気の供給期間(Ic
ーン)と放電ガスの供給期間(IIcゾーン)とが完全に独立
しているので、この問題も解決されていることがわか
る。
【0085】放電時に原料蒸気が導入されるプロセスを
含んでいる実施例2、3あるいは7の方法を本実施例の
装置に適用することは、従来の窓なし光励起 CVD の有
していた問題を解決する目的には全く適していないが、
原料のプラズマ励起を意図的に利用する場合には、新し
い積極的な意味が生じる。すなわち、基板表面の光励起
のほかに、ある特定の蒸気を選択的にプラズマ励起する
ハイブリッド励起を実現することができる。この点につ
いては、前記実施例9で述べたので、ここでの説明は省
略する。
【0086】本実施例装置においては、さらに、原料蒸
気を供給して基板に化学吸着させるときに主として用い
る第1のサセプタと、基板上の吸着種を光励起するとき
に用いる第2のサセプタとを専用的に有しているので、
それぞれの化学過程に最も適した温度設定を自由に行う
ことができるという、実施例8の装置と同様の特徴も合
わせて持っている。
【0087】以上、本発明の成膜方法及び成膜装置の実
施例について説明してきたが、本発明の有用性を具体的
に示すために、実際の成膜例について以下に説明する。
なお、何れの場合にも窓曇りは生じなかった。
【0088】1) 成膜の具体例1 この例は、実施例1の装置(図1)と実施例2の方法(図
2)とを用いて TiO2膜を成膜する場合の例である。原料
は TiCl4(A蒸気)と O2(B蒸気)である。反応器の非窓
側空間、窓側空間の容積は、それぞれ、Vph=4リット
ル、Vva=1リットルである。温度 Tso=‐10℃に保持
したステンレス製ソースボトルに納めた液体 TiCl4の上
空を Ar キャリアガスを通過させ、TiCl4蒸気を反応器
まで輸送した。反応器へのA蒸気、B蒸気の輸送量は、
SA=200cc/min(Ar キャリア)、SB=200cc/minとした。
使用した励起光源 UV は254nmと185nmとに強いピークを
有する低圧水銀灯である。また、励起窓ガラスには180n
m以上の波長の光を透過する合成石英ガラス(Suprasil)
を用いた。拡散防止シャッタを開口し、励起窓ガラスご
しに測定した光励起強度はサセプタ表面で、IUV= 30mw
/cm2であった。基板温度(ここではサセプタの温度と定
義)は、Tsubl= 350℃である。Iaゾーンの時間と反応器
内圧力は、それぞれ、t1a= 15秒、P1a=2Torr、IIa
ーンは、t2a=15秒、P2a=1Torrとした。以上の成膜条
件をまとめると、表7の通りである。この条件で成膜を
行い、Ia+IIaゾーンの1周期で約2.5Åの厚さの TiO2
を析出することができた(サイクル堆積速度 GR =2.5Å
/cyc)。
【0089】2) 成膜の具体例2 本例は実施例1の成膜装置(図1)と実施例3の成膜方法
(図3)を用いた場合の例で、導電性と Si に対するバリ
ア機能性とを合わせ持つ膜として最近 LSI 分野で関心
を集めている TiN 膜を低温で合成する場合の例であ
る。原料はA蒸気が TiCl4(Ar キャリア)、B蒸気が NH
3ガスである。成膜条件は表7に示す通りである。な
お、成膜条件の各パラメータの定義は上記具体例1で説
明した通りであり、本例を含み以下の説明でも省略す
る。
【0090】本例では、およそ GR = 4.4Å/cycの堆積
速度が得られた。TiCl4+NH3原料系を用いて従来技術の
光励起 CVD (熱 CVD の場合も同様)や窓なし CVD で成
膜を行うと、両原料が気相において強く反応し、微粉末
状の中間生成物が発生するため、平滑な膜を得ることが
困難であったが、本具体例の場合には、TiCl4と NH3
が気相で混じり合うことがないので、このような問題は
なく、しかも低温で良質の膜が得られる。
【0091】3) 成膜の具体例3 本例は実施例1の装置と実施例4(図4)の方法との組合
せで PbO 膜を形成する場合の例で、A蒸気は四エチル
鉛 Pb(C2H5)4、B蒸気は O2+ O3(5mol%)である。成
膜条件は表7に示す通りである。この条件で、GR =約
3.3Å/cycの成長速度が得られた。
【0092】4) 成膜の具体例4 本例は、実施例1の装置と実施例5の方法(図5)とを用
いた場合の例で、A蒸気として TaCl5、B蒸気として O
2を用いて、近年 LSI のキャパシタ材料として注目を集
めている Ta2O5膜を形成する場合の例である。成膜条件
は表7に示す通り。なお、昇華性固体である TaCl5は、
上記例の場合と同様、ソースボトルに収納し Ar キャリ
アで輸送した。本例の場合、およそ GR =5Å/cycの堆
積速度が得られた。
【0093】5) 成膜の具体例5 本例は、実施例1の装置と実施例6の方法(図6)とを用
いた場合の例で、A蒸気として Ar ガス輸送のジルコン
・ターシャル・ブトキシド Zr(t‐OC4H9)4を用いて、ZrO2
膜を形成する場合の例である。成膜条件は表8に示す通
り。この条件で GR =約4.2Å/cycの成長速度が得られ
た。なお、同様な方法で、チタンイソプロポキシド Ti
(i‐OC3H7)4を用いてTiO2を形成することができる。
【0094】6) 成膜の具体例6 本例は、実施例1の装置と実施例7(図7)の方法とを用
いた場合の例で、A蒸気として Ti(i‐OC3H7)4(Ar キャ
リア輸送)、B蒸気として Pb(C2H5)4(Ar キャリア輸
送)、C蒸気として O2 + O3(5mol%)を用いて、チタ
ン酸鉛 PbTiO3膜を形成する場合の例である。成膜条件
は表8に示す通り。この条件で GR =4.2Å/cycの堆積
速度が得られた。なお、原料蒸気の数が3つになっても
励起窓ガラスに膜が析出しないことは言うまでもない。
【0095】7) 成膜の具体例7 本例は、実施例8の装置(図8)と実施例5の方法とを用
いた場合の例で、A蒸気として二メチル亜鉛 Zn(C
H3)2、B蒸気として二エチルセレン Se(C2 H5)2を用い
て、セレン化亜鉛 ZnSe 半導体膜を形成する場合の例で
ある。両原料とも、キャリアガスを用いることなく、気
化された蒸気を直接反応器に導入した。実施例5の方法
には前述したように3通りの光励起パターンがあるが、
ここで用いたパターンはA蒸気供給後、B蒸気供給後と
も光励起するパターンである(従って、1周期に2回励
起するので、図5の時系列図とは若干異なる)。
【0096】成膜装置の非窓側空間の容積は4リット
ル、窓側空間の容積は2リットルで、励起光源は低圧水
銀灯である。低圧水銀灯の紫外線強度は第2のサセプタ
表面で40mW/cm2(185nmと254nmとを合わせて)である。な
お、第1のサセプタと第2のサセプタの温度とは異なら
せてあり、前者は150℃、後者は250℃に設定した。その
他の成膜条件は表8に示した通りである。この条件で G
R =3.5Å/cycの成長速度が得られた。なお、SiO2熱酸
化膜のような無定形基板に堆積した膜は(111)方向に配
向した多結晶閃亜鉛構造の ZnSeであった。
【0097】8) 成膜の具体例8 最後の具体例は、実施例9の装置(窓なし光励起 CVD
型)と実施例3の方法とを用いた場合の例で、A蒸気と
して二メチル亜鉛 Zn(CH3)2、B蒸気として O2、プラズ
マ放電ガスとして He を用いて酸化亜鉛 ZnO 膜を形成
する場合の例である。ここで、Zn(CH3)2原料の導入はキ
ャリアガスを用いず、気化させた蒸気を直接反応器に導
いた。図3及び実施例3の説明から判るように、本例の
場合、IIbゾーンにおいて、He と O2とが共存する中で
プラズマ放電が発生する。このようなプラズマから放射
される励起光は真空紫外や紫外域(例えば、130nmや318n
m)に幾つかの強い輝線を持ち、基板に化学吸着した Zn
(CH3)2の分解や励起に極めて有効である。本例の励起に
おけるもう一つの特徴は、プラズマ放電域に存在するO2
自体が気相励起されて、O(1D)、O(3P)、O(1△)、O3など
の活性な励起酸素が豊富に生成され、これが Zn(CH3)2
の分解や酸化に有効に用いられる点である。なお、He
の代りに He と O2の混合気体を放電ガスとして用い、
実施例6の方法(A蒸気は Zn(CH3)2)を適用すると、実
質的にこれと同じ成膜法になる。
【0098】なお、本例の成膜装置の非窓側空間の容積
は4リットル、窓側空間の容積(放電域を含む)は2リッ
トルである。成膜条件は表8に示す通りである。このよ
うにして得られた膜の組成はほぼ化学量論的組成であ
り、未反応炭素 Cの膜内への取り込みは0.5%以下であ
った。また、成長速度は GR =3.8Å/minであった。
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、光励起 CVD 装置の構成を光励起窓と成長室との間
に断続的に開閉する蒸気拡散防止シャッタを設ける構成
にする、とともに、該シャッタの開口時には原料蒸気の
少なくとも一つを供給停止して基板表面を光励起する成
膜方法を採ることによって、従来型光励起 CVD 法の欠
点であった窓曇りを起こすことなしに、基板に所望の薄
膜を低温堆積できるという優れた効果が得られる。さら
に、本発明の光励起 CVD においては、原料蒸気の導入
時期と励起の時期とを任意に設定できる柔軟性を備えて
いることから、(1)特定の気相反応を排除した成膜、(2)
特定の気相反応を許容した成膜、(3)表面反応のみによ
る成膜、(4)特定の気相励起を排除した成膜、(5)特定の
気相励起を許容した成膜、(6)表面励起のみによる成膜
など、気相反応と気相励起に関するきめ細かな制御がで
きるという効果も得ることができる。
【0102】さらに、上記の本発明に共通する効果に加
えて、実施例8及び10の装置においては、原料蒸気を基
板に化学吸着させるときに使用する第1のサセプタと光
励起用の第2のサセプタを専用に有しているので、それ
ぞれの化学過程に最も適した温度設定を自由に行うこと
ができるという効果が得られる。また、実施例9及び10
の装置においては、窓なし光励起 CVD に蒸気拡散防止
シャッタを設けるとともに、光励起期間と原料供給期間
とを分離できる構成としたため、従来の窓なし光励起 C
VD の有していた、(1)放電圧力と成膜圧力を独立に設定
できない、(2)放電ガスと原料蒸気の相互拡散を抑止す
ることができない、という難点を克服できるという効果
も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明成膜装置の第1の実施例の構成を示す装
置概要図。
【図2】本発明成膜方法の第1の実施例の構成を示す時
系列図。
【図3】本発明成膜方法の第2の実施例の構成を示す時
系列図。
【図4】本発明成膜方法の第3の実施例の構成を示す時
系列図。
【図5】本発明成膜方法の第4の実施例の構成を示す時
系列図。
【図6】本発明成膜方法の第5の実施例の構成を示す時
系列図。
【図7】本発明成膜方法の第6の実施例の構成を示す時
系列図。
【図8】本発明成膜装置の第2の実施例の構成を示す装
置概要図。
【図9】本発明成膜装置の第3の実施例の構成を示す装
置概要図。
【図10】本発明成膜装置の第4の実施例の構成を示す
装置概要図。
【符号の説明】 10…反応器 11…基板 12…サセプタ 13…励起光源 14…励起窓 15…励起窓ガラス 21…拡散防止シャッタ 22…窓側空間 23…非窓側空間 24、25、32…蒸気供給バル
ブ 26…排気主バルブ 27…排気副バルブ 28…排気量調節器 29…開閉時期制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−221374(JP,A) 特開 平3−162577(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 H01L 21/205 H01L 21/31

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】励起光を基板に導光する励起窓、原料蒸気
    を外部から導入する一つあるいは複数の蒸気導入口、上
    記原料蒸気の導入下で上記基板を支持加熱する第1のサ
    セプタ、及び、生成ガス及び原料蒸気を排出するための
    排気口とを備えた反応器と、 上記蒸気導入口に接続され、原料蒸気を間歇的に反応器
    に導入する機能を有する原料導入系と、 反応器内の生成ガス及び原料蒸気を直接あるいは排気量
    調節器を介して間歇的に器外に排出させる排気系と、 上記励起窓に外設され、上記原料蒸気の光学的活性化の
    可能な波長の光を生成できる励起光源とからなる光励
    起CVD(化学気相成長)装置であって上記励起窓は窓ガラスで密閉され、上記励起光源は上記
    窓ガラスを透過する励起光を出射するものであり、 上記反応器内の空間を、励起窓を含む窓側空間と、励起
    窓を含まずかつ少なくとも一つの蒸気導入口を備えた非
    窓側空間とに分割し、両空間のガス拡散を遮断すると共
    に、外部からの指令によって両空間を随時開通し得る拡
    散防止シャッタを備えたことを特徴とする光励起CVD
    装置。
  2. 【請求項2】上記拡散防止シャッタが開口したときに、
    励起光源から出射された励起光が基板を直射するよう
    に、上記励起光源、励起窓及び第1のサセプタを配設し
    たことを特徴とする請求項1に記載の光励起CVD装
    置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の光励起C
    VD装置であって、複数の原料蒸気を供給する光励起C
    VD装置を用い、 1種の原料蒸気は供給され、他の原料蒸気は供給を停止
    している時間内に上記拡散防止シャッタを開口させ、励
    起光源から励起光を照射するサイクルを、繰り返すよう
    に制御することを特徴とする光励起CVD方法。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2に記載の光励起C
    VD装置であって、複数の原料蒸気 を供給する光励起C
    VD装置を用い、 1種の原料蒸気を供給して停止する工程を、上記複数の
    原料蒸気について1種ずつ順次行う一連の工程内に、原
    料蒸気の供給を停止している時間内に上記拡散防止シャ
    ッタを開口させ励起光源から励起光を照射する工程を付
    加したサイクルを、繰り返すように制御することを特徴
    とする光励起CVD方法。
  5. 【請求項5】請求項1または請求項2に記載の光励起
    VD装置を用いて、 上記拡散防止シャッタを口し、非窓側空間に複数種の
    原料蒸気の全部あるいは一部を同時または順次導入して
    基板表面に原料分子を化学吸着させた後、原料蒸気の全
    てあるいは一部の導入を停止して、非窓側空間内に残留
    る原料蒸気を排出する一連の工程からなる原料供給プ
    ロセスと、 原料蒸気の部あるいは一部を導入停止した状態で上記
    拡散防止シャッタを開口して励起光源から射出された光
    を上記基板に化学吸着した原料分子に照射し、これを活
    性化させる一連の工程からなる光励起プロセスとを繰
    り返すことによって、薄膜を析出させることを特徴とす
    る光励起CVD方法。
  6. 【請求項6】励起光を基板に導光する励起窓、原料蒸気
    を外部から導入する一つあるいは複数の蒸気導入口、上
    記原料蒸気の導入下で上記基板を支持加熱する第1のサ
    セプタ、及び、生成ガス及び原料蒸気を排出するための
    排気口とを備えた反応器と、 上記蒸気導入口に接続され、原料蒸気を間歇的に反応器
    に導入する機能を有する原料導入系と反応器内の生成ガス及び原料蒸気を直接あるいは排気量
    調節器を介して間歇的に器外に排出させる排気系と上記励起窓に外設され、上記原料蒸気の光学的活性化の
    可能な波長の光を生成できる励起光源とからなる光励起
    CVD(化学気相成長)装置であって、 上記励起窓は窓ガラスで密閉され、上記励起光源は上記
    窓ガラスを透過する励起光を出射するものであり、 上記反応器内の空間を、励起窓を含む窓側空間と、励起
    窓を含まずかつ少なくとも一つの蒸気導入口を備えた非
    窓側空間とに分割し、両空間のガス拡散を遮断 すると共
    に、外部からの指令によって両空間を随時開通し得る拡
    散防止シャッタを備え、 上記の窓側空間に、その主面が励起窓に対向し、かつ該
    主面に基板を載置して加熱する第2のサセプタと、 上記拡散防止シャッタが開口したときに、開閉時期制御
    装置からの指令によって、上記第1のサセプタと上記第
    2のサセプタとの間で基板を搬送する基板搬送手段と、
    を備えたことを特徴とする光励起CVD装置。
  7. 【請求項7】上記窓側空間内に少なくとも一つの蒸気導
    入口を備えたことを特徴とする請求項6に記載の光励起
    CVD装置。
  8. 【請求項8】請求項6または請求項7に記載の光励起C
    VD装置を用い、 上記拡散防止シャッタを閉口し、非窓側空間に複数種の
    原料蒸気の全部あるいは一部を同時または順次導入して
    基板表面に原料分子を化学吸着させた後、原料蒸気の全
    てあるいは一部の導入を停止して、非窓側空間内に残留
    する原料蒸気を排出する一連の工程からなる原料供給プ
    ロセスと原料蒸気の全部あるいは一部を導入停止した状態で上記
    拡散防止シャッタを開口して励起光源から射出された光
    を上記基板に化学吸着した原料分子に照射し、これを活
    性化させる一連の工程からなる光励起プロセスと、を繰
    り返すことによって、薄膜を析出させ、 かつ、上記原料供給プロセスと光励起プロセスの間の期
    間に、上記開閉時期制御装置の指令に基づいて、基板を
    第1のサセプタから第2のサセプタヘ、あるいは、第2
    のサセプタから第1のサセプタへ速やかに搬送する基板
    搬送プロセスを介在させたことを特徴とする光励起CV
    D方法
  9. 【請求項9】原料蒸気を外部から導入する一つあるいは
    複数の蒸気導入口、上記原料蒸気の導入下で上記基板を
    支持加熱する第1のサセプタおよび生成ガス及び原料蒸
    気を排出するための排気口を備え、かつ、上記原料蒸気
    の光学的活性化の可能な波長の光を生成できる励起光源
    を内設した反応器と上記蒸気導入口に接続され、原料蒸気を間歇的に反応器
    に導入する機能を有する原料導入系と反応器内の生成ガス及び原料蒸気を直接あるいは排気量
    調節器を介して間歇的に器外に排出させる排気系と、か
    らなる光励起CVD(化学気相成長)装置であって、 上記反応器内の空間を、上記励起光源を含む窓側空間
    と、上記励起光源を含まず、かつ少なくとも一つの蒸気
    導入口を備えた非窓側空間とに分割し、両空間のガス拡
    散を遮断すると共に、外部からの指令によって両空間を
    随時開通し得る拡散防止シャッタを備え、 上記の窓側空間に、その主面が励起窓に対向し、かつ該
    主面に基板を載置して加熱する第2のサセプタと、 上記拡散防止シャッタが開口したときに、開閉時期制御
    装置からの指令によって、上記第1のサセプタと上記第
    2のサセプタとの間で基板を搬送する基板搬送手段と、
    を備えたことを特徴とする光励起CVD装置。
JP09195594A 1994-04-28 1994-04-28 光励起cvd装置及びcvd方法 Expired - Fee Related JP3330727B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09195594A JP3330727B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 光励起cvd装置及びcvd方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09195594A JP3330727B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 光励起cvd装置及びcvd方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07300678A JPH07300678A (ja) 1995-11-14
JP3330727B2 true JP3330727B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=14041003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09195594A Expired - Fee Related JP3330727B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 光励起cvd装置及びcvd方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3330727B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100432513B1 (ko) * 2001-09-11 2004-05-22 한국과학기술원 광여기 공정 장치 및 방법
US7579285B2 (en) * 2005-07-11 2009-08-25 Imec Atomic layer deposition method for depositing a layer
JP5842750B2 (ja) 2012-06-29 2016-01-13 東京エレクトロン株式会社 成膜方法、成膜装置及び記憶媒体
FI129557B (en) * 2019-11-28 2022-04-29 Picosun Oy Substrate processing apparatus and process

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07300678A (ja) 1995-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5290609A (en) Method of forming dielectric film for semiconductor devices
US6720260B1 (en) Sequential electron induced chemical vapor deposition
Ponraj et al. Review on atomic layer deposition and applications of oxide thin films
DE60211940T2 (de) Integration von stickstoff in einen dielektrischen film mit hohem k
US8741731B2 (en) Method of manufacturing a semiconductor device
US20050175789A1 (en) Method for energy-assisted atomic layer deposition and removal
CH648691A5 (en) Low-temperature process for depositing oxide layers by photochemical vapour deposition
WO2007072649A1 (ja) 高誘電体薄膜の改質方法及び半導体装置
US4753818A (en) Process for photochemical vapor deposition of oxide layers at enhanced deposition rates
JP2538740B2 (ja) 半導体製造装置及び半導体装置の製造方法
JP3330727B2 (ja) 光励起cvd装置及びcvd方法
JPH0977593A (ja) 化学的気相成長法及び化学的気相成長装置
JPS60117711A (ja) 薄膜形成装置
JPS60117712A (ja) 薄膜形成方法
US6858085B1 (en) Two-compartment chamber for sequential processing
JPH01179410A (ja) Cvdによる薄膜の製造方法及びそれに使用される装置
JP2770856B2 (ja) 高誘電率酸化物薄膜の形成方法
JPH04180226A (ja) 半導体製造装置及び半導体装置の製造方法
KR100494970B1 (ko) 광원자층 선택증착장치
JP2005175408A (ja) 酸化・窒化絶縁薄膜の形成方法
JP2629773B2 (ja) 多層薄膜の形成方法
JP3648805B2 (ja) 光励起cvd装置および光励起cvd方法
JPS629189B2 (ja)
JPH0294430A (ja) 光cvd装置
JPH04145623A (ja) 半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees