JP3330224B2 - 階層的画像データの符号化方法と、その装置 - Google Patents

階層的画像データの符号化方法と、その装置

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JP3330224B2 JP11703394A JP11703394A JP3330224B2 JP 3330224 B2 JP3330224 B2 JP 3330224B2 JP 11703394 A JP11703394 A JP 11703394A JP 11703394 A JP11703394 A JP 11703394A JP 3330224 B2 JP3330224 B2 JP 3330224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、階層画像ファイルを符
号化する階層的符号化方式に適用して好適な階層的画像
データの符号化方法と、その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】階層的符号化方法の典型的な一例とし
て、P.J Burt 他による"The LaplacianPyramid as a C
ompact Image code", IEEE Trans. Commun., COM-31,
第 4号、第532 〜540 頁(1983年 4月)に記載のよう
に、ラプラシアンピラミッド符号化方式が知られてい
る。これは、フィリップス・コダック社によるフォトCD
規格等の画像データのファイルにおいて行なわれている
ように、階層状のファイル構造において縮小または拡大
画像を生成し、記録するものである。これは、たとえば
米国特許第4,969,204 (特表平4-503295に対応)および
特表平4-504039号公報などに開示されている。とくに、
特表平4-504039号公報には、量子化誤差を低減するディ
ジタル画像信号のための階層的分解及び復元方法が示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のラプラシアンピラミッド符号化方式では、
たとえば、符号化/復号化処理前のラプラシアンプレー
ンにおける差分データLmと、符号化/復号化処理後の再
生ラプラシアンプレーンにおける再生データ<Lm>とは、
符号化/復号化処理にて発生する量子化誤差のために、
一般的に等しくはならない。つまり、圧縮および記録処
理前の画像データGmに対して再生画像データ<Gm-1>は、
誤差gmを含み、さらに次の階層の再生画像<Gm-2>は、誤
差gmを含んだ再生画像<Gm-1>と、誤差gm-1を含んだ差分
データLm-2との加算によって得るため、2つの階層にお
ける誤差gmと誤差gm-1との両方の誤差を含んでしまう。
したがって順次これを繰り返すと、i番目の階層の再生
画像<Gi>は、i番目より上位の全ての階層の誤差を含ん
でしまうという問題があった。この場合、階層数Mを大
きくすると、符号化の際のサンプリング数が多くなるた
めに量子化誤差が増し、この量子化誤差は、他の非階層
的符号化方式と較べて大きいという問題があった。
【0004】また、上述のようなディジタル画像信号の
ための階層的分解及び復元方法では、対象となる階層内
において、注目する階層内より1つ解像度の低い画像
(低空間解像度ディジタル画像信号)を補正しているの
で、その低い解像度の階層における画像が劣化するとい
う問題があった。つまり、発生した誤差を低い解像度の
階層の画像に分散させることができるが、このため低い
解像度の画像の劣化をなくすることができなかった。
【0005】本発明は、このような先行技術の問題点を
なくし、注目する階層より低い解像度の上位階層におけ
る誤差をなくして、他の階層の画像を犠牲にせずに再生
画像と原画像の誤差を低減することのできる階層的画像
データの符号化方法と、その装置を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するために、解像度の階層に応じたピラミッド型デー
タ構造の画像データを符号化する階層的画像データの符
号化方法において、この方法は、所定の階層より上位階
層の符号化処理にて生成される量子化誤差を相殺するよ
うに構成されたラプラシアンプレーンであって、所定の
階層におけるラプラシアンプレーンを生成するラプラシ
アンピラミッド生成工程と、このラプラシアンピラミッ
ド生成工程にて生成されたラプラシアンプレーンの画像
データを符号化する符号化処理工程とを備えることを特
徴とする。
【0007】この場合、ラプラシアンピラミッド生成工
程は、原画像を表わす第1の画像データを複数の解像度
の階層に応じて順次、縮小して各階層の第2の画像デー
タを生成する複数の縮小工程と、この縮小工程にて得ら
れる第2の画像データのうち少なくとも1つの階層にて
得られた第2の画像データを補間して第3の画像データ
を生成する第1の補間工程と、階層の1段下の下位階層
の第2の画像データと前記第1の補間工程にて補間され
た第3の画像データとの差を算出する第1の演算工程
と、この第1の演算工程にて算出された画像データを符
号化して第1の符号化データを生成する第1の符号化工
程と、第1の符号化データと第3の画像データとに基づ
いて、下位階層における再生データに対応する画像デー
タを算出する第2の演算工程と、この第2の演算工程に
て算出された画像データを補間して第4の画像データを
生成する第2の補間工程とを有し、符号化処理工程は、
下位階層よりさらに1段下の階層の第2の画像データと
第4の画像データとの差を算出する第3の演算工程と、
この第3の演算工程にて算出された画像データを符号化
して第2の符号化データを生成する第2の符号化工程と
を有するとよい。
【0008】この場合、第1の符号化工程は、第1の符
号化データに含まれる量子化誤差を抽出する誤差抽出工
程を有し、第2の演算工程は、誤差抽出工程にて抽出さ
れた量子化誤差を含むデータを第3の画像データに加え
るとよい。
【0009】この場合、誤差抽出工程は、第1の符号化
データを復号する復号工程を含み、第2の演算工程は、
この復号工程にて復号されたデータに、第1の補間工程
にて補間された第3の画像データを加えることにより、
再生データに対応する画像データを生成するとよい。
【0010】本発明はまた上述の課題を解決するため
に、解像度の階層に応じた画像ファイルの画像データを
符号化する階層的画像データの符号化装置において、こ
の装置は、原画像を表わす第1の画像データを複数の解
像度の階層に応じて順次、縮小して各階層の第2の画像
データを生成する複数の縮小手段と、この縮小手段にて
得られる第2の画像データのうち少なくとも1つの階層
にて得られた第2の画像データを補間して第3の画像デ
ータを生成する第1の補間手段と、階層の1段下の下位
階層の第2の画像データと第1の補間手段にて補間され
た第3の画像データとの差を算出する第1の演算手段
と、この第1の演算手段にて算出された画像データを符
号化して第1の符号化データを生成する第1の符号化手
段と、第1の符号化データと第3の画像データとに基づ
いて、下位階層における再生データに対応する画像デー
タを算出する第2の演算手段と、この第2の演算工程に
て演算された画像データを補間して第4の画像データを
生成する第2の補間手段と、下位階層よりさらに1段下
の階層の第2の画像データと第4の画像データとの差を
算出する第3の演算手段と、この第3の演算手段にて算
出された画像データを符号化して第2の符号化データを
生成する第2の符号化手段とを有することを特徴とす
る。
【0011】この場合、この装置は、第2の符号化手段
にて符号化された第1の符号化データから再生時におけ
る量子化誤差を抽出する誤差抽出手段を有し、第2の演
算手段は、この誤差抽出手段にて抽出された量子化誤差
を含むデータを前記第3の画像データに加えるとよい。
【0012】また、第2の演算手段は、第2の符号化手
段にて符号化された第1の符号化データを復号する第1
の復号手段を有し、この復号手段にて復号されたデータ
に、第1の補間手段にて補間された第3の画像データを
加えることにより、再生データに対応する画像データを
生成するとよい。
【0013】また、縮小手段は、フォトCD規格に基づく
階層に第1の画像データを縮小するとよい。
【0014】
【作用】上記の従来の階層的画像データの記録方法にお
いて、再生画像が含む誤差の内容を数式上で検討してみ
る。いま、m番目の階層における符号化/復号化処理に
よって発生した誤差(またはノイズ)をgmとし、従来方
式の階層的画像データの記録および再生データを数式で
表してみる。まず、誤差とデータとの関係を下記の数式
(1)および数式(2)とする。
【0015】
【数1】gm=Lm−<Lm> …(1)
【0016】
【数2】gm=Gm−<Gm> …(2) また、画像データの記録における関係は、
【0017】
【数3】Lm=Gm−Ex・Gm+1 …(3) 但し、Ex・Gm+1は画像Gm+1の補間処理後の画像データで
ある。
【0018】再生における関係は、
【0019】
【数4】<Gm>=<Lm>+Ex・<Gm+1> …(4) 但し、Ex・<Gm+1>は再生画像<Gm+1>の補間処理後の画像
データとなる。
【0020】これらの数式(1)〜数式(4)より再生
画像<Gm>を求めると、
【0021】
【数5】<Gm>=Gm−gm−(Ex・Gm+1−Ex・<Gm+1>)
…(5)となる。
【0022】上記の数式(5)を考察すると、再生画像
<Gm>は、当該再生の第m段の誤差gmの他に、上位の(m
+1)段の階層の誤差を含んでいることが解る。したが
って一般式において上位の階層の誤差を含むことは、多
階層の再生画像では、再生段より上位の全ての階層の誤
差を含むことを意味している。
【0023】本発明の請求項1の階層的画像データの符
号化方法によれば、解像度の階層に応じたピラミッド型
データ構造の画像データを符号化する階層的画像データ
の符号化方法において、所定の階層より上位階層の符号
化処理にて生成される量子化誤差を相殺するように構成
されたラプラシアンプレーンであって、前記所定の階層
におけるラプラシアンプレーンをラプラシアンピラミッ
ド生成工程にて生成し、ラプラシアンピラミッド生成工
程にて生成されたラプラシアンプレーンの画像データを
符号化処理工程にて符号化している。したがって、符号
化処理工程にて符号化されたデータには、所定の階層よ
り上位階層にて生成された量子化誤差が含まれていない
ようにすることができる。
【0024】また、本発明の請求項5の階層的画像デー
タの符号化装置によれば、複数の縮小手段にて得られ第
2の画像データのうち少なくとも1つの階層にて得られ
た第2の画像データを第1の補間手段にて補間して第3
の画像データを生成し、1段下の下位階層の第2の画像
データと第3の画像データとの差を第1の演算手段にて
算出し、この第1の演算手段にて算出された画像データ
を第1の符号化手段にて符号化して第1の符号化データ
を生成し、この第1の符号化データと第3の画像データ
とに基づいて、下位階層における再生データに対応する
画像データを第2の演算手段にて算出する。さらに、第
2の演算工程にて算出された画像データを第2の補間手
段にて補間した第4の画像データと、1段下の階層の第
2の画像データとの差を第3の演算手段にて算出し、こ
の算出された画像データを第2の符号化手段にて符号化
する。これにより、上位階層の符号化による誤差を含ま
ない所定の階層の画像データを得る。
【0025】
【実施例】次に添付図面を参照して本発明による階層的
画像データの符号化方法の実施例を詳細に説明する。図
1を参照すると、本発明の階層的画像データの符号化方
法を一般的なラプラシアンピラミッド符号化方式へ適用
した実施例の概念図が示されている。同図を参照すると
このラプラシアンピラミッド符号化方式は、原画像の画
像データG0を順次縮小処理して、上位の階層状の画像デ
ータG1〜GM-1(M は2より大きい自然数)を生成し、こ
の生成された画像データG1〜GM-1に基づいて、各階層の
符号化された画像データを作成する方式である。
【0026】詳しくは、実施例のラプラシアンピラミッ
ド方式は、同図に示すように原画像の画像データG0を順
次縮小処理して、階層的画像データ(ガウシアンプレー
ン)G0〜GM-1を作製する画像縮小処理部1m(10 〜1
M-2)と、再生画像データ<G1>〜<GM-1>を拡大処理する補
間処理部2m(21 〜2M-1)と、画像縮小処理部1m(10
〜1M-2)および補間処理部2m(21 〜2M-1)にてそれぞ
れ作製された2つの画像データ間の差分データ(ラプラ
シアンプレーン)L0〜LM-2を算出する前段の演算器3
m(30 〜3M-2)と、差分データL0〜LM-1を符号化し、ま
た符号化したデータを復号して再生差分データ(再生ラ
プラシアンプレーン)<L1>〜<LM-1>とする符号器/復号
器4m(40 〜4M-1)と、各階層の再生差分データ<Lm>と
これより1段上位の階層の補間処理部2m+1 により拡大
された再生画像データ<Gm+1>とを加算して、それぞれ再
生画像データ(再生ガウシアンプレーン)<Gm>を生成す
る後段の演算器5m(50 〜5M-2)との各機能部にて構成
されている。なお、本明細書において、符号器/復号器
m にて符号化された結果の画像データを記号「<」お
よび「>」で挟んで表記している。
【0027】画像縮小処理部1m は、入力画像データを
帯域制限する低域通過フィルタリング機能を有し、また
画像縮小処理部1m は、サブサンプリングによるn×n
画素(nは自然数)からなるブロックを単位とする画像
データを1画素の画像データに変換する処理部である。
この画像縮小処理部1m によって入力画像データは、縦
横とも1/n に縮小される。それぞれの階層の画像縮小処
理部1m(10 〜1M-2)によって得られた複数の階層的画
像データGm(G1 〜GM-1) は、概念的なガウシアンピラミ
ッドを構成する。
【0028】補間処理部2m は再生画像データ<Gm>の補
間を行なう処理部である。詳しくは補間処理部2m は、
ある階層の再生画像データ<Gm>の各画素にn×n個の
「0」データを付加して補間しn×n倍の画像へ拡大す
る。拡大処理された画像データは、1段下位の階層の画
像Gm-1と同じ画像サイズとなる。補間処理部2m にて補
間処理された画像データ<Gm>は、1段下位の階層の演算
器3m-1 および演算器5m-1 に入力される。この補間処
理は、隣接する上下段の2つの画像データ階層の間で演
算処理を行なう際、両階層の画像データを構成する画素
のアドレスの位置関係を合わせるために実行する。補間
で付加する数値は、最終的に記録媒体へ記録する記録デ
ータ量が少なく、しかも復号が簡単に行える数値が好ま
しい。したがってこの実施例では、補間するデータの数
値は「0」が用いられる。
【0029】第1群の演算器3m は、2個の画素のデー
タ値の差を算出する処理部である。実施例のm階層の演
算器3m について説明すると、この演算器3m は、画像
データGmと、1段上層の符号器/復号器4m+1 にて再生
されて補間処理部2m+1 にて補間処理された画像データ
<Gm+1>とのそれぞれ同一アドレス上の2個の画素データ
値の差を算出する。この演算器3m によって得られた結
果は、上段の符号器/復号器4m にて生じた量子化誤差
に対応する誤差データを表わしている。この誤差データ
は、ラプラシアンプレーンにおける差分データLmとし
て、後続する符号器/復号器4m での処理後に、たとえ
ば光ディスク等の記録媒体に記録されるデータの素とな
る。
【0030】符号器/復号器4m は、第1群の演算器3
m の演算によって得られた差分データLmを符号化する処
理部である。符号化されたデータは、本実施例では光デ
ィスクなどの記録媒体に記録される。また、符号化され
た画像データは、復号されて再生データ<Lm>となる。こ
うして復号された再生データ<Lm>は、再生ラプラシアン
ピラミッドを構成する。この符号器/復号器4m の符号
化処理において、一般的には量子化処理が介在する。し
たがって、符号器/復号器4m にて符号化されたデータ
には、その階層の符号器/復号器4m にて発生した量子
化誤差が含まれることとなる。また、その階層において
発生した量子化誤差を、復号することにより抽出するこ
とができる。なお、最上段以外の階層の再生データ<L
M-2>〜<L1>は、前段の演算器3M-2 〜31 によって得ら
れた差分データLm-2〜L1に基づいたデータである。また
最上段の階層の再生データ<Gm-1>は、画像データGm-1
符号化処理されて生成される。
【0031】後段の加算器5m は符号器/復号器4m
より復号された復号データ<Lm>と、補間処理部2m にて
補間された1段上位の階層の再生画像データ<Gm+1>とを
加算し、再生画像データ<Gm>を生成する処理部である。
再生ガウシアンピラミッドを構成する再生画像データ<G
m>の内の最上位の階層の再生画像データ<GM-1>は、符号
器/復号器4M-1 により復号された復号データ<LM-1>か
ら作られる。しかし、第(M-2)階層以下のそれぞれの階
層の再生画像データ<GM-2>〜<G1>は、再生データ<LM-2>
〜<L1>と、補間処理部2M-1 〜22 の処理によって補間
された再生画像データ<GM-1>〜<G2>とがそれぞれ加算さ
れたものである。
【0032】光ディスクなどの記録媒体へ記録される記
録用データは、たとえば符号器/復号器40 〜4M-1
よって符号化された階層の符号化データが用いられる。
この階層的画像データの符号化方法において、従来と基
本的に異なる点は、各階層にて差分データLmを求める演
算に、符号器/復号器4m にてそれぞれ符号化され復号
された再生画像データ<Gm>を用いていることである。つ
まり演算器3m において数式(6)に示す演算処理を行
なっている。
【0033】
【数6】Lm=Gm−<Gm+1> …(6) 上記の数式(6)とすることによって得られる効能を以
下に詳述する。
【0034】階層的画像データの処理過程において、各
階層のガウシアンピラミッドを構成する画像データGm
対して、再生ガウシアンピラミッドを構成する再生画像
データ<Gm>には、上述の様に誤差gmが含まれる。誤差gm
を形成する端的な一例として量子化処理がある。この量
子化処理は、画像データを離散的な量子化レベルに近似
する処理であるため、量子化された画像データには量子
化誤差が含まれる。
【0035】ここで本実施例の画像の再生を数式上で表
してみる。
【0036】
【数7】Lm=Gm−Ex・<Gm+1> …(7)
【0037】
【数8】<Gm>=<Lm>+Ex・<Gm+1> …(8) 上記の数式(7)および(8)と誤差gmの関連式とから
再生画像データ<Gm>は、
【0038】
【数9】<Gm>=Gm− (Lm−<Lm>) =Gm−gm …(9)となる。
【0039】数式(9)から明かなように、本方式の画
像の再現には、上位階層の誤差gi(但しiはm+1から
M−1)を含んでいない。その理由は、数式(7)によ
る記録データを数式(8)の再生と同一条件とし、再生
時に生じる誤差を相殺させるようにしているからに他な
らない。
【0040】上記の各処理工程により構成される階層的
画像データの符号化方法では、たとえば図2に示す手順
によって階層的画像データの記録を実行する。同図を参
照すると、まずステップ10において原画像データG0の入
力が行なわれ、次いでステップ11において、入力された
画像データG0は、縮小処理部1m(10 〜1M-2)にてそれ
ぞれ順次1/n の画素数に縮小され、縮小された縮小画像
データG1〜GM-1が作製される。これにより縮小画像デー
タG1〜GM-1のそれぞれのガウシアンプレーンおよび原画
像データG0のガウシアンプレーンにて構成されたM段の
ガウシアンピラミッドが作成される。
【0041】次に、ステップ12において、ガウシアンピ
ラミッドの最上位の階層の縮小画像データGM-1は、符号
器/復号器4m-1 にて符号化されて、最上位階層におけ
る記録用データが作成される。また、ステップ13におい
て符号器/復号器4m-1 にて符号化された画像データは
符号器/復号器4m-1 にて復号され、再生ガウシアンピ
ラミッドの再生画像データ<GM-1>が生成される。
【0042】最上位階層の画像データGM-1の生成後の第
(M−2)段以降の記録用データは、当該段の画像デー
タと当該段より1段上位の再生画像とを用いて作製され
る。詳しくは、ステップ14において、不図示のカウンタ
mへ数値「M−2」が設定される。ちなみに、この数値
Mは、原画像G0と縮小画像G1〜GM-1とにより構成される
ガウシアンピラミッドの段数である。ステップ15におい
て、m階層の縮小画像データGmと(m+1)階層の再生
画像の画像データ<Gm-1>とから、m階層の演算器3m
て差分データLmが算出される。
【0043】次にステップ16において、m階層の演算器
m により算出された差分データLmは、符号器/復号器
m にて符号化される。符号化された差分データ<Lm>
は、記録用データとされる。また、この差分データL
mは、符号器/復号器4m にてさらに復号され再生差分
データ<Lm>が生成される。
【0044】次に、ステップ17において、カウンタmの
数値が「0」か否かの確認が行なわれ、カウンタmの数
値が「0」である場合には、ステップ16における処理に
よって符号化された記録用データが光ディスクの記録媒
体に記録されて本処理フローチャートが終了する。ま
た、カウンタmの数値が「0」以外の数値である場合に
は、ステップ18に進む。
【0045】ステップ18においてステップ16にて生成さ
れた当該階層の再生差分データ<Lm>と、1段上位の階層
の演算器5m+1 にて算出された再生差分データ<Lm>とが
演算器5m にて加算されて再生画像データ<Gm>が算出さ
れる。ステップ19において、カウンタmは1数値ディク
リメントされた後、ステップ15に戻って、上記の処理段
より1段下位の階層の記録用データが作製される。ステ
ップ15〜19における処理動作が繰り返されて、ステップ
17にてカウンタmの数値が「0」になると、ステップ20
に進み、所望の記録用データの作製がすべて完了して、
作成された記録用データがたとえば、光ディスクなどの
記録媒体に記録される。
【0046】以上、汎用的なガウシアンピラミッドのフ
ァイル構成に基づいて本発明の実施例を説明した。次
に、本発明をフォトCD規格の画像データファイルに適用
した階層的画像データの符号化装置の実施例について説
明する。図3には、本発明の階層的画像データ符号化方
式が適用されるフォトCD用符号化装置の一実施例が示さ
れている。同図を参照するとフォトCD用符号化装置30
は、写真フィルムに形成されたカラー画像を表わす三原
色信号(R、G、B)を入力して、このカラー画像を記
録可能なコンパクトディスク(CD-R)であるフォトCDに記
録する記録用データを生成する符号化装置である。な
お、実施例の説明において本発明に直接関係のない部分
は図示およびその説明を省略する。
【0047】このフォトCD用符号化装置30を詳細に説明
するとフォトCD用符号化装置30は、フィルムスキャナな
どの画像読取装置にて読み取られた、たとえば3072×20
48画素のRGB 形式にて表わされた画像データをYCC 形式
のデータに変換するYCC 処理部32を備え、YCC 処理部32
の出力300 は、YCC 変換された画像データを縮小する画
像縮小処理部34a 〜34d に順次接続されている。画像縮
小処理部34a 〜34d のそれぞれは、図1に示した実施例
の画像縮小処理部1m と同様に、入力画像データを帯域
制限し、サブサンプリングによるn×n画素からなるブ
ロックを単位とする画像データを1画素の画像データに
変換する処理部である。画像縮小処理部34a はYCC 処理
部32の出力300 に接続され、接続線302 を介して画像処
理部34bに接続し、画像縮小処理部34b は、画像縮小処
理部34a にて縮小処理されて入力302 に現れた画像デー
タをさらに縮小する。画像縮小処理部34c および34d も
図示した様に、それぞれ前段の画像縮小処理部34に接続
線304 および306 を介して接続され、前段の画像縮小処
理部34にて縮小処理された画像データを縮小処理する。
ここで、画像縮小処理部34b にて縮小処理されたBase画
像データ308 は、フォトCDに記録するBase画像のデータ
として記録に用いられる。また、画像縮小処理部34c に
て縮小処理されたBase/4画像データ310 は、Base/4画像
のデータとして記録に用いられ、画像縮小処理部34d に
て縮小処理されたBase/16 画像データ312 は、Base/16
画像のデータとして記録に用いられる。
【0048】またフォトCD用符号化装置30は、画像縮小
処理部34b にて縮小処理されたBase画像データ308 を補
間して拡大し、拡大した画像データを出力316 および出
力 318に出力する補間処理部36を備えている。補間処理
部36の出力316 は、演算器38に接続され、出力318 は演
算器46に接続されている。演算器38は、画像縮小処理部
34a にて縮小処理された画像データと補間処理部36にて
拡大された画像データとの差を算出する演算回路であ
る。演算器38にて算出されたデータは接続線320を介し
て接続されたコーデック(CODEC)44 に出力される。
【0049】コーデック(CODEC)44 は、演算器38にて算
出されたデータを量子化して、その量子化データに符号
割当を行なう処理回路である。詳しくは、コーデック44
は、量子化データをハフマン符号化して符号化データを
出力322 に出力する符号器40と、符号化データを復号し
て出力 324に出力する復号器42とを有している。とくに
実施例では、符号器40にてハフマン符号化された4Base
画像データ314 は、フォトCDに記録する記録データとし
て用いられる。また復号器42は、復号する符号化データ
に含まれる量子化誤差を抽出する機能を有しており、こ
の量子化誤差を含む4Base 画像データ314 を復号し、復
号したデータを出力 324に出力する。復号器42の出力32
4 は、補間処理部36の出力318 とともに演算器46に接続
されている。
【0050】演算器46は、補間処理部36にて拡大された
画像データと、コーデック44にて復号された4Base 画像
データ314 との和を算出する演算回路である。演算器46
の出力326 は補間処理部48に接続されている。補間処理
部48は、演算器46にて算出されたデータを補間して拡大
し、拡大処理されたデータを出力328 に出力する。補間
処理部48の出力328 は、演算器50に接続され、演算器50
は、入力300 に入力した画像データと補間処理部48にて
拡大処理された画像データとの差を算出する。演算器50
は、算出したデータを符号器52が接続された出力330 に
出力する。符号器52は、入力330 に現れるデータをハフ
マン符号化する符号化回路である。符号器52は、演算器
50にて算出されたデータを量子化し、量子化された量子
化データを符号化する。符号器52にてハフマン符号化さ
れた16Base画像データ332 は、フォトCDに記録する16Ba
se画像の記録データとして用いられる。
【0051】以上のような構成で、画像縮小処理部34b
〜34d にてそれぞれ縮小処理されて生成されたBase画像
データ308 、Base/4画像データ310 およびBase/16 画像
データ312 と、コーデック44にて符号化された4Base 画
像データ314 と、符号器52にて符号化された16Base画像
データ332 との5階層の画像データがフォトCD用符号化
装置30にて形成される。
【0052】図3に示したフォトCD用符号化装置30を、
生成される画像データを主体として図4に図示すると、
このフォトCD用符号化装置30に簡便な構成を付加するこ
とにより、符号化された画像データを復号することがで
きることがわかる。
【0053】つまり、符号化された16Base画像データ33
2 を復号する復号器60をフォトCD用符号化装置30に備
え、さらに、補間処理部48にて拡大された画像データと
復号器60にて復号された画像データとを加算する演算器
62をフォトCD用符号化装置30に備えることで、フォトCD
用符号化・復号装置を構成することができる。このデー
タを復号する部分をとくに図5に復号装置70として示す
と、この復号装置70は、Base画像データ308 を補間処理
部36にて拡大処理し、この拡大されたデータを復号器42
にて復号した4Base 画像データ314 に演算器46にて加算
して、1536×1024画素の画像を得る元のデータを作製す
る。また、この作製されたデータを補間処理部48にて拡
大処理し、この拡大されたデータを復号器60にて復号さ
れた16Base画像データ332 に演算器62にて加算すること
で、3072×2048画素の画像を得る元のデータを作製す
る。これら作製されたデータは、YCC 形式のデータをた
とえばRGB 変換回路64a 〜64c にてRGB 形式のデータに
それぞれ変換される。
【0054】以上説明したように、本発明は注目する階
層内より解像度の低い階層における量子化誤差を用いて
処理を行なっている。したがって注目する階層における
残差データを補正することにより、他の階層の画質を犠
牲にすることなく、注目する階層内より低い解像度の階
層における誤差をなくすることができる。
【0055】本願発明の階層的画像データの符号化装置
が適用されるフォトCD用符号化装置30では、符号器40に
て符号化されたデータを復号する復号器42と、復号器42
にて復号されたデータを補間処理部36にて拡大処理され
たデータに加算する演算器46を備えているので、注目す
る階層内より解像度の低い階層における量子化誤差を他
の階層における画質を犠牲にせずになくすることができ
る。
【0056】なお、再生のデータ処理がわかっている場
合には、演算器38にて算出される差分値データから各値
に対する誤差の混入量が判明するので、この誤差の混入
量を演算器46にて加算することができる。したがって、
符号化処理の中で必ずしも復号処理を行なう必要がな
く、たとえば演算器38にて算出された差分値から量子化
誤差の混入量が一義的に決定されるので、必ずしも復号
器42にて復号処理を行なわなくても、決定された量子化
誤差の混入量に基づいて誤差を補正することができる。
また、以上説明した実施例は、本発明を説明するための
ものであって、本発明の精神を逸脱することなく当業者
が可能な変形または修正は本発明の範囲に含まれること
は、言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】このように本発明によれば、上位階層の
符号化処理にて生成される量子化誤差を相殺するように
構成されたラプラシアンプレーンを生成している。した
がってこのラプラシアンプレーンの画像データを符号化
処理工程にて符号化することにより、上位階層の量子化
誤差をなくした符号化画像データを得ることができる。
この結果、たとえ、階層数を大きくしても、注目する階
層より解像度の低い上位階層における誤差を注目する階
層においてなくすることができ、さらに他の階層の画像
を犠牲にせずに再生画像と原画像との誤差を低減するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の階層的画像データの符号化方法が適用
されたガウシアンピラミッド符号化方式の実施例を示す
図である。
【図2】図1に示した実施例における画像データの処理
工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の階層的画像データの符号化方法が適用
されたフォトCD規格の画像データファイルを符号化する
フォトCD用符号化装置の実施例を示す図である。
【図4】図3に示した実施例のフォトCD用符号化装置の
構成を生成される画像データを主体として示した図であ
る。
【図5】図4に示したフォトCD用符号化装置に復号装置
を付加した場合の構成を示す図である。
【符号の説明】
0 〜1M-2 画像縮小処理部 21 〜2M-1 補間処理部 30 〜3M-2 演算器 40 〜4M-1 符号器/符号器 51 〜5M-2 演算器 G0〜GM-1 階層的画像データ <G0>〜<GM-1> 再生画像データ L0〜LM-2 差分データ <L1>〜<LM-2> 再生差分データ

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 解像度の階層に応じたピラミッド型デー
    タ構造の画像データを符号化する階層的画像データの符
    号化方法において、該方法は、 所定の階層より上位階層の符号化処理にて生成される量
    子化誤差を含む画像データを補間し、前記所定の階層に
    おける画像データと前記補間した画像データとに基づい
    て、該所定の階層におけるラプラシアンプレーンを生成
    するラプラシアンピラミッド生成工程と、 該ラプラシアンピラミッド生成工程にて生成されたラプ
    ラシアンプレーンの画像データを符号化する符号化処理
    工程とを備えることを特徴とする階層的画像データの符
    号化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の階層的画像データの符
    号化方法において、前記ラプラシアンピラミッド生成工
    程は、 原画像を表わす第1の画像データを複数の解像度の階層
    に応じて順次、縮小して各階層の第2の画像データを生
    成する複数の縮小工程と、 該縮小工程にて得られる第2の画像データのうち少なく
    とも1つの階層にて得られた第2の画像データを補間し
    て第3の画像データを生成する第1の補間工程と、 前記階層の1段下の下位階層の第2の画像データと前記
    第1の補間工程にて補間された第3の画像データとの差
    を算出して前記ラプラシアンプレーンの画像データを生
    する第1の演算工程と、 該第1の演算工程にて算出された前記ラプラシアンプレ
    ーンの画像データを符号化して第1の符号化データを生
    成する第1の符号化工程と、 前記第1の符号化データと前記第3の画像データとに基
    づいて、前記下位階層における再生データに対応する画
    像データを算出する第2の演算工程と、 該第2の演算工程にて算出された画像データを補間して
    第4の画像データを生成する第2の補間工程とを有し、 前記符号化処理工程は、前記下位階層よりさらに1段下
    の階層の第2の画像データと前記第4の画像データとの
    差を算出する第3の演算工程と、 該第3の演算工程にて算出された画像データを符号化し
    て第2の符号化データを生成する第2の符号化工程とを
    有することを特徴とする階層的画像データの符号化方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の階層的画像データの符
    号化方法において、前記第1の符号化工程は、前記第1
    の符号化データに含まれる量子化誤差を抽出する誤差抽
    出工程を有し、 前記第2の演算工程は、前記誤差抽出工程にて抽出され
    た量子化誤差を含むデータを前記第3の画像データに加
    えることを特徴とする階層的画像データの符号化方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の階層的画像データの符
    号化方法において、前記誤差抽出工程は、前記第1の符
    号化データを復号する復号工程を含み、前記第2の演算
    工程は、該復号工程にて復号されたデータに、前記第1
    の補間工程にて補間された第3の画像データを加えるこ
    とにより、前記再生データに対応する画像データを生成
    することを特徴とする階層的画像データの符号化方法。
  5. 【請求項5】 解像度の階層に応じた画像ファイルの画
    像データを符号化する階層的画像データの符号化装置に
    おいて、該装置は、 原画像を表わす第1の画像データを複数の解像度の階層
    に応じて順次、縮小して各階層の第2の画像データを生
    成する複数の縮小手段と、 該縮小手段にて得られる第2の画像データのうち少なく
    とも1つの階層にて得られた第2の画像データを補間し
    て第3の画像データを生成する第1の補間手段と、 前記階層の1段下の下位階層の第2の画像データと前記
    第1の補間手段にて補間された第3の画像データとの差
    を算出する第1の演算手段と、 該第1の演算手段にて算出された画像データを符号化し
    て第1の符号化データを生成する第1の符号化手段と、 前記第1の符号化データと前記第3の画像データとに基
    づいて、前記下位階層における再生データに対応する画
    像データを算出する第2の演算手段と、 該第2の演算工程にて算出された画像データを補間して
    第4の画像データを生成する第2の補間手段と、 前記下位階層よりさらに1段下の階層の第2の画像デー
    タと前記第4の画像データとの差を算出する第3の演算
    手段と、 該第3の演算手段にて算出された画像データを符号化し
    て第2の符号化データを生成する第2の符号化手段とを
    有することを特徴とする階層的画像データの符号化装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の階層的画像データの符
    号化装置において、該装置は、第2の符号化手段にて符
    号化された第1の符号化データから再生時における量子
    化誤差を抽出する誤差抽出手段を有し、 前記第2の演算手段は、該誤差抽出手段にて抽出された
    量子化誤差を含むデータを前記第3の画像データに加え
    ることを特徴とする階層的画像データの符号化装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の階層的画像データの符
    号化装置において、前記第2の演算手段は、前記第2の
    符号化手段にて符号化された第1の符号化データを復号
    する第1の復号手段を有し、該復号手段にて復号された
    データに、前記第1の補間手段にて補間された第3の画
    像データを加えることにより、前記再生データに対応す
    る画像データを生成することを特徴とする階層的画像デ
    ータの符号化装置。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の階層的画像データの符
    号化装置において、前記縮小手段は、フォトCD規格に基
    づく階層に前記第1の画像データを縮小することを特徴
    とする階層的画像データの符号化装置。
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