JP3330210B2 - 岩盤トンネルの掘削工法および岩盤トンネル掘削機 - Google Patents

岩盤トンネルの掘削工法および岩盤トンネル掘削機

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JP3330210B2
JP3330210B2 JP28610893A JP28610893A JP3330210B2 JP 3330210 B2 JP3330210 B2 JP 3330210B2 JP 28610893 A JP28610893 A JP 28610893A JP 28610893 A JP28610893 A JP 28610893A JP 3330210 B2 JP3330210 B2 JP 3330210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、岩盤トンネルの掘削工
法および岩盤トンネル掘削機(以下、この岩盤トンネル
掘削機を「TBM」という。)に係り、特に亀裂の多い
岩盤や破砕帯の不良岩盤を掘削し、トンネルを構築する
場合に有効な岩盤トンネルの掘削工法およびTBMに関
する。
【0002】
【従来の技術】TBMを用いて岩盤を掘削し、トンネル
を構築する技術として、従来良好な岩盤の場合にグリッ
パを坑壁に押し付けて掘進反力を取るオープンタイプ
と、土砂トンネルや破砕帯等、地質の悪い場合にセグメ
ントを組み立て、これに掘進反力を取るシールドタイプ
と、両方の機能を備えた兼用タイプとがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のTBM
の多くは、グリッパ方式か、セグメント方式により掘進
反力を取る工法であり、岩盤が良好であるか、不良であ
るかの両極の場合の工法であった。
【0004】ところが、現実の地山は中間程度で、亀裂
が多く、時には破砕帯もある場合が大半である。したが
って、グリッパ方式のTBMでは、掘削途中で岩盤が悪
くなれば工事を中断しなければならない問題がある。一
方、セグメント方式では工期と工費が多大になる問題が
あった。他方、兼用タイプの場合には、グリッパ方式か
らセグメント方式への盛り替えに多くの手数と時間を要
し、いったんセグメント方式に変更すると、グリッパ方
式の適応岩盤の幅が狭いため、再復帰は困難であり、経
済的でなかった。
【0005】また、従来のTBMは、先端から終端まで
機械装置が連続しているため、NATM支保工を施工す
る作業空間がないという問題もあった。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、地山が亀裂の多い岩盤や
破砕帯の不良岩盤であっても、坑内周壁を損傷すること
なく、肌落ちや崩壊を防止しつつ安定した掘進反力を得
ることでき、かつ掘削機本体の後方で支保工を容易に施
工でき、しかも良質岩盤の掘削時には、坑内周壁に掘進
反力を取って掘進する掘削形態に問題なく盛り替え得る
岩盤トンネルの掘削工法を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、前記工法を的
確に実施し得るTBMを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は亀裂の多い地盤や破砕帯の不良地盤の掘削
時に、掘削機本体1の後方におけるトンネルの下部半断
面を掘削ずり20により仮に埋め戻し、この埋め戻され
た掘削ずり20を軸方向および上方より加圧し、この二
方向の加圧力と掘削ずり20の自重とによりスラスト反
力を生じさせ、この埋め戻された掘削ずり20に掘削機
本体1の掘進反力を取り、掘削機本体1を推進させて掘
削し、良質地盤の掘削時には坑内周壁10に広い摩擦的
な接触を介して掘削機本体1の掘進反力を取り、掘進反
力を坑内周壁10に盛り替えて掘削するようにしたもの
である。
【0009】また、上記目的を達成するため、本発明は
掘削機本体1の後方に、水平加圧ジャッキ13を介して
反力用水平加圧板12を取り付け、この反力用水平加圧
板12の後面上部に、掘削ずり20を受け取って前後方
向に可逆搬送できかつトンネルの下部半断面の1ストロ
ーク分の埋め戻し用の掘削ずり20をストックし得るホ
ッパコンベア14を、上下方向に回動可能にかつコンベ
ア調節ジャッキ19を介して上下方向の角度を調節可能
に装着し、このホッパコンベア14のコンベアフレーム
15に、埋め戻された掘削ずり20を上方から加圧する
垂直加圧装置21を取り付けるとともに、掘削機本体1
に、坑内周壁10に広い面積で摩擦的に接し得るグリッ
パ6を設けたものである。
【0010】
【作用】本発明では、地山が亀裂の多い地盤や破砕帯の
不良地盤の場合に、初期発進時には掘削ずり20をホッ
パコンベア14で掘削機本体1の後方に搬送し、トンネ
ルの下部半断面を仮埋めし、掘進を始める。
【0011】仮埋め後、ホッパコンベア14で掘削ずり
20を後方に搬送するが、1ストローク分の掘進終了前
に、ホッパコンベア14のコンベア上面のホッパにトン
ネルの下部半断面の1ストローク分の掘削ずり20をス
トックして置く。
【0012】1ストローク分の掘進が完了したとき、掘
削機本体1の姿勢を制御し、掘削機本体1を前進させ
る。このとき、反力用水平加圧板12とホッパコンベア
14も一緒に移動するので、トンネルの下部半断面の仮
埋めされた掘削ずり20と反力用水平加圧板12とホッ
パコンベア14とに囲まれた部分に空隙が生じる。そこ
で、前記ホッパコンベア14のホッパにストックされて
いる掘削ずり20をホッパコンベア14の前方に逆送
し、前記空隙に掘削ずり20を埋め戻す。
【0013】トンネルの下部半断面を掘削ずり20によ
り埋め戻し終了後、掘削機本体1の姿勢制御を行う。次
に、反力用水平加圧板12と垂直加圧装置21とを働か
せ、埋め戻された掘削ずり20を軸方向と上方向から加
圧し、圧縮させる。埋め戻された掘削ずり20を圧縮さ
せると、内部摩擦角と掘削ずり20の持つブリッジ効果
により、トンネルの下部半断面でアーチ状および盤状に
スラスト反力を生じる。また、掘削ずり20の自重もス
ラスト反力を構成する。埋め戻されかつ前述のごときス
ラスト反力を持った掘削ずり20に、掘進反力を取って
掘削機本体1を推進する。
【0014】この場合に、坑壁における上部周壁には集
中的,破壊的な力が作用しないし、下部周壁には下部半
断面に埋め戻されかつ反力用水平加圧板12と垂直加圧
装置21とによる加圧力と、自重とを合わせ持つ掘削ず
り20の力が作用するが、この力は下部周壁にほぼ均等
に作用する。したがって、本発明によれば地山が亀裂の
多い岩盤や不良岩盤であっても、坑内周壁10を損傷す
ることなく、肌落ちや崩壊を防止しつつ安定した掘進反
力を得ることができる。
【0015】トンネル掘削の進行に伴い、掘削機本体1
の例えばずり積みシャベルを備えた作業台車により、ト
ンネルの下部半断面の埋め戻された掘削ずり20の支保
工1サイクル分の撤去作業を行う。掘削ずり撤去完了
後、直ちに支保工を施工する。しかして、掘削機本体1
のない区間を用いてトンネルの全断面のNATM支保工
を施工することもできる。
【0016】また、油圧ホース・電線の融通が効く範囲
で、掘削機本体1の単独掘進が可能である。その結果、
断層破砕帯の不良区間を突破して掘削機本体1を安定区
間内に移動させ、その後破砕帯の対策工を施工すること
もできる。
【0017】地山が良質岩盤の場合には、掘削機本体1
に設けられかつ坑内周壁10に広い面接触で摩擦的に接
触可能なグリッパ6を用い、坑内周壁10に掘進反力を
取って掘削機本体1を推進させることもできる。
【0018】この場合に、グリッパ6を坑内周壁10に
面接触させるようにしているので、坑壁の損傷を防止す
ることができる。また、埋め戻された掘削ずり20に掘
進反力を取る掘進形態から、坑内周壁10に掘進反力を
取る掘進形態へ、またはその反対への盛り替えには全く
問題がなく、容易にかつ円滑に盛り替えることができ
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0020】図1はTBMの図面上の表示区分の説明
図、図2,図3および図4は図1のA部分,B部分およ
びC部分の拡大側面図、図5および図6は図1のA部分
およびB部分の拡大平面図、図7はTBMの掘削機本体
部分の軸方向と直交する方向の断面図(以下、この方向
の断面図を「横断面図」という。)、図8はTBMの反
力用水平加圧板部分の横断面図、図9はトンネルの下部
半断面の埋め戻し部分の横断面図、図10はトンネルの
支保工区間のロックボルト打設部分の横断面図、図11
はトンネルの支保工区間のコンクリート吹き付け部分の
横断面図、図12は後方台車におけるずり積みシャベル
を備えた作業台車部分の横断面図、図13は同じく作業
台車固定ジャッキ部分の横断面図、図14は後方台車に
おける油圧ユニット台車部分の横断面図、図15はTB
Mの反力用水平加圧板とホッパコンベアと垂直加圧装置
部分の詳細を示す拡大縦断側面図である。
【0021】これらの図に示す実施例では、図2〜図6
に示すように、掘削機本体1と、トンネルの下部半断面
の埋め戻し部分26と、支保工区間27と、後方台車列
28とを備えている。
【0022】前記掘削機本体1は、図2および図5に示
すように、カッタヘッド2と、アウタケリー3と、これ
に嵌合されたインナケリー4と、油圧モータおよび減速
機を有しかつインナケリー4に連結された回転駆動部5
と、アウタケリー3に取り付けられたグリッパ6と、カ
ッタヘッド2およびアウタケリー3間に設けられたスラ
ストシリンダ7と、アウタケリー3に取り付けられた前
方支持脚8と、インナケリー4に取り付けられた後方支
持脚9とを備えている。
【0023】前記グリッパ6は、図7に示すように、ア
ウタケリー3の軸方向に間隔をおいた2個所に設けられ
ている。また、各個所のグリッパ6ともアウタケリー3
の回りに間隔をおいて複数本取り付けられている。さら
に、各グリッパ6とも先端部のプレートは坑内周壁10
に面接触可能に形成されており、特に上部のグリッパ6
の先端部のプレートを大きくし、坑壁支持と掘削機本体
1の姿勢制御の外に、良質岩盤では坑内周壁10に掘進
反力を取るために有効に利用できるようになっている。
【0024】前記カッタヘッド2の後方には、図2に示
すように、ずり出し用のベルトコンベア11が設置され
ている。
【0025】前記掘削機本体1の後方には、図2,図5
および図15に示すように、反力用水平加圧板12と、
ホッパコンベア14と、垂直加圧装置21とが設置され
ている。
【0026】前記反力用水平加圧板12は、アウタケリ
ー3に取り付けられた複数本の水平加圧ジャッキ13に
連結されていて、前後方向に平行に移動可能に設けられ
ている。しかして、前記反力用水平加圧板12は水平加
圧ジャッキ13を伸長させることにより、反力用水平加
圧板12の後方の仮埋めまたは埋め戻された掘削ずり2
0を軸方向に加圧し、これに掘進反力を取るようにして
いる。
【0027】前記ホッパコンベア14は、図2,図9お
よび図15に示すように、コンベアフレーム15と、コ
ンベア16と、これの上面に形成されたホッパ17とを
有している。また、ホッパコンベア14はリンク18を
介して反力用水平加圧板12の後面上部に、上下方向に
回動可能に取り付けられている。さらに、ホッパコンベ
ア14はリンク18と段違いに設けられたコンベア調節
ジャッキ19により上下方向の角度を調節可能に支持さ
れている。そして、このホッパコンベア14はコンベア
16上で掘削ずり20を受け取り、その掘削ずり20を
後方と前方とに可逆搬送でき、かつカッタヘッド2によ
る1ストローク分の掘進終了前に、ホッパ17にトンネ
ルの下部半断面の1ストローク分の掘削ずり20をスト
ックし得るように構成されている。
【0028】前記垂直加圧装置21は、図2,図5,図
9および図15に示すように、ホッパコンベア14のコ
ンベアフレーム15に取り付けられた圧縮ばね22を介
して上下方向に弾力的に支持された垂直加圧板23と、
この垂直加圧板23を操作する垂直加圧ジャッキ24
と、この垂直加圧ジャッキ24の上端部に取り付けられ
た天井プレート25とを備えている。前記垂直加圧板2
3は、この実施例ではトンネルの前後方向に2個配置さ
れ、各垂直加圧板23は前後左右に2本ずつ、合計4本
の圧縮ばね22に支持されている。前記垂直加圧ジャッ
キ24は、前記コンベアフレーム15にこの実施例では
前後方向に4本、左右方向にそれぞれ1列ずつ、合計8
本取り付けられていて、1個の垂直加圧板23を前後左
右の4本の垂直加圧ジャッキ24で支持している。前記
天井プレート25は、トンネルの天井部の形状に沿う円
弧形に形成されていて、各垂直加圧板23に対応させて
配置され、垂直加圧ジャッキ24に支持されている。そ
して、この垂直加圧装置21は垂直加圧ジャッキ24を
伸長させ、天井プレート25をトンネルの天井部に当
て、これに反力を取って垂直加圧板23により、トンネ
ルの下部半断面に埋め戻された掘削ずり20をそのずり
面で加圧するようになっている。
【0029】前記トンネルの下部半断面の埋め戻し部分
26には、地山が亀裂の多い地盤や不良地盤の場合に、
初期発進時にはホッパコンベア14により掘削ずり20
をトンネルの後方に搬送して下部半断面を仮埋めする。
また、掘削機本体1の前進時にはホッパコンベア14の
ホッパ17にストックされている掘削ずり20をホッパ
コンベア14の前方に逆送し、トンネルの下部半断面の
空隙に埋め戻し、これに掘進反力を取って掘削機本体1
を推進する。
【0030】前記掘削機本体1の後方の支保工区間27
では、支保工1サイクル分の下部半断面の仮埋めまたは
埋め戻しされた掘削ずり20の撤去後、後述の作業台車
29上に搭載された設備により、トンネルの全断面支保
工を施工するようにしており、NATM支保工を施工す
ることも可能である。
【0031】前記後方台車列28には、図3,図4,図
6に示すように、作業台車29と、TBM運転台車38
と、油圧ユニット台車40と、電源台車42とが配備さ
れている。また、作業台車29から電源台車42にわた
ってずり出しコンベア45が設置され、その後方にトレ
ンコンベア46が設置されている。
【0032】前記作業台車29には、図3,図6および
図12に示すように、ずり積みシャベル30と、ロック
ボルト用ドリフタ31と、コンクリート吹き付け用ノズ
ル33と、作業台車固定ジャッキ35とを搭載してい
る。また、この作業台車29は推進ジャッキ37を介し
て、直ぐ後方のTBM運転台車38に連結されている。
【0033】前記ずり積みシャベル30は、仮埋めまた
は埋め戻された掘削ずり20を掘り起こし、ずり出しコ
ンベア45に積み込むようになっている。
【0034】前記ロックボルト用ドリフタ31は、仮埋
めまたは埋め戻された掘削ずり20の撤去後、図10に
示すように、坑内周壁10の所要個所にロックボルト3
2を打ち込み、支保工を施工する。
【0035】前記コンクリート吹き付け用ノズル33
は、図11から分かるように、ロックボルト32の打ち
込み後、坑内周壁10にコンクリートを吹き付け、支保
工を施工する。なお、吹き付けられたコンクリートを図
11に符号34で示す。
【0036】前記作業台車固定ジャッキ35は、上方の
左右と、下方の左右とに設置され、上方の左右に設置さ
れた作業台車固定ジャッキ35,35には円弧状の共通
のシュー36が取り付けられており、下方の左右に設置
された作業台車固定ジャッキ35にはそれぞれ短冊型の
シュー36が取り付けられている。この作業台車固定ジ
ャッキ35は、作業台車29が作業位置に移動後、伸長
操作され、各シュー36を坑内周壁10に押し付け、作
業台車29を固定する。
【0037】前記推進ジャッキ37は、後方のTBM運
転台車38に推進反力を取って作業台車29を前進させ
るようになっている。
【0038】前記油圧ユニット台車40は、連結部39
を介してTBM運転台車38に連結され、電源台車42
は連結部41を介して油圧ユニット台車40に連結され
ている。図5に示す油圧ホース・電線43は、トンネル
の後方でUターンさせ、この油圧ホース・電線43の融
通の効く範囲で掘削機本体1を単独で掘進させ得るよう
にしている。
【0039】前記ずり出しコンベア45は、作業台車2
9の前端部から電源台車42の後方にわたって設置さ
れ、ずり積みシャベル30で積み込まれた掘削ずり20
を搬送し、トレンコンベア46に引き渡す。
【0040】前記トレンコンベア46は、ずり出しコン
ベア45から掘削ずり20を受け取り、トンネルの後方
へ搬出するようになっている。
【0041】次に、前記構成にかかるTBMの動作に関
連して、本発明掘削工法の一実施例を説明する。
【0042】まず、掘削機本体1を図2に示す前方支持
脚8および後方支持脚9により支持する。また、掘削機
本体1のカッタヘッド2を、図2および図5に示す回転
駆動部5により回転させ、スラストシリンダ7により推
進させ、地山を掘削する。
【0043】地山が亀裂の多い岩盤や破砕帯の不良岩盤
の場合には、掘削ずり20をずり出し用のベルトコンベ
ア11により掘削機本体1の後方に搬出し、掘削機本体
1の後方の反力用水平加圧板12に連結されたホッパコ
ンベア14に引き渡し、初期発進時はホッパコンベア1
4により掘削ずり20を掘削機本体1の後方に搬送し、
トンネルの下部半断面を掘削ずり20で仮埋めし、推進
を始める。
【0044】前述のごとく、初期発進時にはホッパコン
ベア14は掘削ずり20を掘削機本体1の後方に搬送す
るが、1ストロークの掘進終了前にトンネルの下部半断
面の1ストローク分の掘削ずり20をホッパコンベア1
4のコンベア16上のホッパ17にストックして置く。
【0045】ついで、1ストローク分の掘進が完了した
とき、グリッパ6、水平加圧ジャッキ13および垂直加
圧ジャッキ24を緩め、後方支持脚9により掘削機本体
1の姿勢を制御し、スラストシリンダ7によりアウタケ
リー3を前進させる。このとき、反力用水平加圧板12
とホッパコンベア14はアウタケリー3に連動して移動
するので、トンネルの下部半断面内における仮埋めされ
た掘削ずり20と反力用水平加圧板12とホッパコンベ
ア14とに囲まれた部分に空隙が生じる。そこで、ホッ
パコンベア14のホッパ17にストックされている掘削
ずり20をホッパコンベア14の前方に逆送し、掘削ず
り20を前記空隙に埋め戻しながら反力用水平加圧板1
2とホッパコンベア14を移動させる。
【0046】トンネルの下部半断面内の空隙を掘削ずり
20で埋め戻し終了後、グリッパ6により掘削機本体1
の姿勢制御を行う。次に、水平加圧ジャッキ13と垂直
加圧装置21の垂直加圧ジャッキ24を伸長させ、埋め
戻された掘削ずり20を加圧する。このとき、垂直加圧
装置21は垂直加圧ジャッキ24により天井プレート2
5を介してトンネルの上部半断面の天井部を支え、垂直
加圧板23を介して、埋め戻された掘削ずり20のずり
面を加圧する。これにより、埋め戻された掘削ずり20
は軸方向および上下方向に加圧され、内部摩擦角と掘削
ずり20の持つブリッジ効果により、下部半断面の壁面
でアーチ状および盤状にスラスト反力を生じる。また、
掘削ずり20の自重もスラスト反力を構成する。この場
合における下部半断面の周壁の受ける応力は、従来技術
のごとくグリッパによる集中的,破壊的な力ではなく、
下部半断面の周壁全面で受ける支持力と、上部半断面の
天井部に支持する垂直加圧装置21の天井プレート25
の反力とであり、そのいずれも坑内周壁10の安定に有
利に作用する。
【0047】また、掘削後の全断面トンネルは短時間で
上部半断面のより自立時間の長い断面形状に変換するこ
とができる。
【0048】前述のごとく埋め戻された掘削ずり20に
掘削機本体1の掘進反力を取り、スラストジャッキ7を
介してカッタヘッド2を掘進させ、再び地山を掘削す
る。
【0049】掘削後、掘削機本体1の後方の作業台車2
9を、推進ジャッキ37により推進させ、作業台車固定
ジャッキ35によりシュー36を坑内周壁10に押し付
けて固定し、この作業台車29に搭載されたずり積みシ
ャベル30により、トンネルの下部半断面に仮埋めまた
は埋め戻された掘削ずり20を掘り起こし、支保工1サ
イクル分の掘削ずり撤去作業を行う。前記ずり積みシャ
ベル30で掘り起こした掘削ずり20は、ずり出しコン
ベア45に積み込み、トンネルの後方に搬出し、ついで
トレンコンベア46に引き渡し、さらに後方に搬出す
る。
【0050】支保工1サイクル分の掘削ずり20の撤去
作業完了後、直ちに支保工を施工する。この支保工は、
掘削機本体1のない支保工区間27を用いて、作業台車
29に搭載されたロックボルト用ドリフタ31によりロ
ックボルト32を打ち込み、同じく作業台車29に搭載
されたコンクリート吹き付け用ノズル33により坑内周
壁10にコンクリートを吹き付けて行う。さらに、この
実施例では支保工区間27を利用して、NATM支保工
を施工することもできる。
【0051】また、この実施例では油圧ホース・電線4
3をUターンさせ、長さに融通を持たせている。したが
って、掘削機本体1が断層破砕帯の不良岩盤に遭遇した
ときは、油圧ホース・電線43の長さに融通が効く範囲
で掘削機本体1を単独で掘進させ、不良岩盤の区間を突
破させて掘削機本体1を安定区間内に移動させ、その後
破砕帯の対策工を施工する。
【0052】地山が良質岩盤の場合には、作業台車29
に搭載されているずり積みシャベル30を後方に旋回さ
せ、ホッパコンベア14の後端部を直接ずり出しコンベ
ア45の前端部に掛け、アウタケリー3の前後部に設け
られ、かつ各部とも複数個ずつ設けられたグリッパ6を
坑内周壁10に摩擦的に接触させ、坑壁に掘進反力を取
って掘削機本体1を推進させ、掘削する。その場合に、
この実施例では図2,図5および図7から分かるよう
に、特に上部のグリッパ6の坑内周壁10に対する接触
面積を広く形成しているので、トンネルの上部半断面の
天井部に集中的,破壊的な応力を与えることなく、天井
部を支持しながら掘進反力を取ることができる。
【0053】しかも、この実施例では不良岩盤を掘削す
る場合の仮埋めまたは埋め戻された掘削ずり20に掘進
反力を取る掘削形態から、良質岩盤を掘削する場合の坑
内周壁10に掘進反力を取る掘削形態への盛り替え、こ
れと反対の盛り替えとも全く問題がなく、容易にかつ円
滑に盛り替えることができる。
【0054】なお、この実施例におけるTBM運転台車
38、油圧ユニット台車40および電源台車42は、従
来使用されているものと同様に機能する。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明掘削工法で
は亀裂の多い地盤や破砕帯の不良地盤の掘削時に、掘削
機本体1の後方における坑内の下部半断面を掘削ずり2
0により仮に埋め戻し、この埋め戻された掘削ずり20
を軸方向および上方より加圧し、この二方向の加圧力と
掘削ずり20の自重とによりスラスト反力を生じさせ、
この埋め戻された掘削ずり20に掘削機本体1の掘進反
力を取り、掘削機本体1を推進させて掘削するようにし
ており、トンネルの下部半断面の周壁全面が前記軸方向
および上方より加圧された掘削ずり20の加圧力と、掘
削ずり20の自重との相乗した支持力で支持されるの
で、地山が亀裂の多い地盤や破砕帯の不良地盤であって
も、坑内周壁10に損傷を与えることなく、肌落ちや崩
壊を防止しつつ安定した掘進反力を得てトンネルを掘進
し得る効果があり、掘削機本体1の後方で容易に支保工
を施工し得る効果を有する外、良質地盤の掘削時には坑
内周壁10に広い摩擦的な接触を介して掘削機本体1の
掘進反力を取り、掘進反力を坑内周壁10に盛り替える
ようにしているので、埋め戻された掘削ずり20に掘進
反力を取る掘削形態と、坑内周壁10に掘進反力を取る
掘削形態とに、問題なく容易にかつ円滑に盛り替えて掘
進し得る効果もある。
【0056】また、本発明TBMでは掘削機本体1の後
方に、水平加圧ジャッキ13を介して反力用水平加圧板
12を取り付け、この反力用水平加圧板12の後面上部
に、掘削ずり20を受け取って前後方向に可逆搬送でき
かつトンネルの下部半断面の1ストローク分の埋め戻し
用の掘削ずり20をストックし得るホッパコンベア14
を、上下方向に回動可能にかつコンベア調節ジャッキ1
9を介して上下方向の位置を調節可能に装着し、このホ
ッパコンベア14のコンベアフレーム15に、埋め戻さ
れた掘削ずり20を上方から加圧する垂直加圧装置21
を取り付けるとともに、掘削機本体1に、坑内周壁10
に広い面積で摩擦的に接し得るグリッパ6を設けている
ので、前記本発明掘削工法を的確に実施し得る効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】TBMの図面上の表示区分の説明図である。
【図2】図1のA部分の拡大側面図である。
【図3】図1のB部分の拡大側面図である。
【図4】図1のC部分の拡大側面図である。
【図5】図1のA部分の拡大平面図である。
【図6】図1のB部分の拡大平面図である。
【図7】TBMの掘削機本体部分の横断面図である。
【図8】TBMの反力用水平加圧板部分の横断面図であ
る。
【図9】トンネルの下部半断面の埋め戻し部分の横断面
図である。
【図10】トンネルの支保工区間のロックボルト打設部
分の横断面図である。
【図11】トンネルの支保工区間のコンクリート吹き付
け部分の横断面図である。
【図12】後方台車におけるずり積みシャベルを備えた
作業台車部分の横断面図である。
【図13】作業台車の作業台車固定ジャッキ部分の横断
面図である。
【図14】後方台車における油圧ユニット台車部分の横
断面図である。
【図15】TBMの反力用水平加圧板とホッパコンベア
と垂直加圧装置部分の詳細を示す拡大縦断側面図であ
る。
【符号の説明】
1 掘削機本体 2 カッタヘッド 5 回転駆動部 6 グリッパ 7 スラストシリンダ 10 坑内周壁 12 反力用水平加圧板 13 水平加圧ジャッキ 14 ホッパコンベア 19 コンベア調節ジャッキ 20 掘削ずり 21 垂直加圧装置 23 垂直加圧板 24 垂直加圧ジャッキ 25 天井プレート 26 トンネルの下部半断面の埋め戻し部分 27 支保工区間 28 後方台車列

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亀裂の多い地盤や破砕帯の不良地盤の掘
    削時に、掘削機本体1の後方におけるトンネルの下部半
    断面を掘削ずり20により仮に埋め戻し、この埋め戻さ
    れた掘削ずり20を軸方向および上方より加圧し、この
    二方向の加圧力と掘削ずり20の自重とによりスラスト
    反力を生じさせ、この埋め戻された掘削ずり20に掘削
    機本体1の掘進反力を取り、掘削機本体1を推進させて
    掘削し、良質地盤の掘削時には坑内周壁10に広い摩擦
    的な接触を介して掘削機本体1の掘進反力を取り、掘進
    反力を坑内周壁10に盛り替えて掘削することを特徴と
    する岩盤トンネルの掘削工法。
  2. 【請求項2】 掘削機本体1の後方に、水平加圧ジャッ
    キ13を介して反力用水平加圧板12を取り付け、この
    反力用水平加圧板12の後面上部に、掘削ずり20を受
    け取って前後方向に可逆搬送できかつトンネルの下部半
    断面の1ストローク分の埋め戻し用の掘削ずり20をス
    トックし得るホッパコンベア14を、上下方向に回動可
    能にかつコンベア調節ジャッキ19を介して上下方向の
    角度を調節可能に装着し、このホッパコンベア14のコ
    ンベアフレーム15に、埋め戻された掘削ずり20を上
    方から加圧する垂直加圧装置21を取り付けるととも
    に、掘削機本体1に、坑内周壁10に広い面積で摩擦的
    に接し得るグリッパ6を設けたことを特徴とする岩盤ト
    ンネル掘削機。
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