JP3329945B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

燃料噴射装置

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JP3329945B2 JP16386394A JP16386394A JP3329945B2 JP 3329945 B2 JP3329945 B2 JP 3329945B2 JP 16386394 A JP16386394 A JP 16386394A JP 16386394 A JP16386394 A JP 16386394A JP 3329945 B2 JP3329945 B2 JP 3329945B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の燃料噴射装置
に関し、特に、電磁作用により圧縮天然ガス( Compres
sed Natural Gas ;以下、「CNG」という)等の燃料
の噴射を制御する燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CNGを燃料とする内燃機関で用いられ
る燃料噴射装置としては種々あるが、いわゆる電磁制御
式のものが広く用いられている。電磁制御式燃料噴射装
置は、一般に、管状の本体内のプランジャを電磁コイル
の電磁作用により往復動させることで、弁を開閉して燃
料の噴射を制御する構成となっている。
【0003】従来の電磁制御式燃料噴射装置としては、
実開昭59−186472号公報がある。ここでは、電
磁コイルは環状ないしは円筒形に構成されており、プラ
ンジャはその内側に配置されている。また、電磁コイル
とプランジャとの間に配置された円筒形のガイドは非磁
性体から構成され、プランジャはこのガイドの内面、即
ち案内面に沿って摺動される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したような燃料噴
射装置において、燃料制御の応答性を向上させるために
は、プランジャを高速で移動させるのが好ましい。ま
た、マルチポイント方式では、1本の燃料噴射装置で全
ての流量レンジをカバーするために、プランジャのスト
ロークを大きくすることがある。
【0005】プランジャを高速で移動させる場合や、プ
ランジャのストロークを大きくする場合、電磁コイルが
励磁された時のプランジャの吸引力を高める必要があ
る。この吸引力を高めるためには、励磁時のプランジャ
を通過する磁束密度を高めればよい。従来その手段とし
ては、電磁コイルが発生させる起磁力自体を、電磁コイ
ルのコイル巻数を増やしたり、昇圧ドライバ等の特殊な
駆動回路を設けて増加させたりしていた。
【0006】しかしながら、コイル巻数を増やす方法で
は、インダクタンスの増加により応答性が悪化するとい
う問題点があった。一方、昇圧ドライバ等の特殊な駆動
回路には、駆動回路自体が高価であるという問題があ
る。
【0007】そこで、本発明の目的は、電磁コイルのコ
イル巻数を増加させることで応答性を損なったり、高価
な駆動回路を用いたりせず、高速で或は大ストロークで
プランジャを作動させることのできる燃料噴射装置を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による燃料噴射装置おいては、燃料噴射用の
弁を有する管状の本体と、この本体内に設けられた電磁
コイルと、電磁コイルの内側に同軸に配置されており、
電磁コイルへの通電を制御することにより軸線方向に往
復動して前記弁を開閉するプランジャと、プランジャを
案内するために電磁コイル及びプランジャの間に配置さ
れた、磁性材料から成るガイドとを備えることを特徴と
している。
【0009】また、上記構成の燃料噴射装置において、
ガイドの案内面若しくはこの案内面に接するプランジャ
の面のいずれか一方又はその両方に、摩擦係数が小さい
材料、例えばフッ素樹脂から成る被膜を形成するのが好
適である。
【0010】更に、請求項4に記載したように、電磁コ
イルの励磁によるプランジャの移動を、プランジャの端
面に接することで規制する規制部材をプランジャに対向
して配置した場合、この規制部材を磁性材料から作り、
プランジャに向かって先細り形状とするのが好適であ
る。
【0011】
【作用】本発明による燃料噴射装置おいては、電磁コイ
ルへの通電を制御すると、プランジャは軸線方向に往復
動して弁を開閉する。このプランジャを案内するための
ガイドは電磁コイルとプランジャとの間に配置され、磁
性材料から作られている。このため、電磁コイルとプラ
ンジャとの間のサイドエアギャップは、実質的に縮小さ
れる。つまり、ガイドが磁性材料から構成されているた
め、磁気抵抗の小さい磁気回路を構成でき、プランジャ
を通過する磁束密度を増加させることができる。
【0012】また、プランジャがガイドの案内面に接し
て摺動するが、ガイドの案内面若しくは該案内面に接す
る前記プランジャの面のいずれか一方又はその両方に、
フッ素樹脂等から成る被膜を設けることで、プランジャ
の動作が円滑化される。
【0013】更に、請求項4に記載したように、規制部
材を先細り形状とした場合、プランジャを通過する磁束
密度を高めて、プランジャに作用する吸引力を増加さ
せ、電磁コイルの起磁力を有効に利用することができ
る。
【0014】
【実施例】以下、図面に沿って本発明による燃料噴射装
置の好適な実施例について詳細に説明する。
【0015】図1は、本発明によるCNG用の燃料噴射
装置10の一実施例を示している。図1において、符号
12は、燃料噴射装置10の管状の本体を示し、この本
体12は、管状のハウジング14と、ハウジング14の
一端側(以下、この側を「前」側とする)に同軸に取り
付けられたノズルヘッド16と、ハウジング14の他端
側(以下、この側を「後」側とする)に同軸に取り付け
られた燃料導入管18とから構成されている。
【0016】ハウジング14は磁性材料から成り、その
前後方向における中央部は、内管部分20及び外管部分
22から成る2重管構造となっている。内管部分20と
外管部分22との間には、後方に開放する環状空間が形
成されており、この環状空間に環状の電磁コイル24が
装着されている。
【0017】燃料導入管18は、CNGタンク(図示し
ない)からの配管(図示しない)に接続され、CNGタ
ンクからのCNGをハウジング14内に導入するための
ものであり、ハウジング14と同様に、磁性材料から作
られている。燃料導入管18の外周面にはフランジ26
が一体的に形成されている。図示の如く、燃料導入管1
8をハウジング14に組み付けた状態においては、フラ
ンジ26の前面は、ハウジング14内に装着された電磁
コイル24の後端部に接し、燃料導入管18の前端部の
外周面は電磁コイル24の内周面に接する。また、燃料
導入管18の前端面とハウジング14の内管部分20の
後端面との間には一定の間隔が設けられている。更に、
燃料導入管18の前端部19は、前方ほど径が小さくな
るように、テーパが付けられている。なお、図示実施例
では、燃料導入管18のフランジ26に設けられた穴2
8を通してリード線30が電磁コイル24に接続されて
いる。
【0018】ハウジング14の前端部に取り付けられて
いるノズルヘッド16は、燃料導入管18からハウジン
グ14内に導入されたCNGを外部(実際には、当該燃
料噴射装置が取り付けられる内燃機関のインテークマニ
ホールド等の内部)に噴射させるためのものであり、そ
の中心部には燃料噴射ノズル穴としての貫通孔32が形
成されている。
【0019】ハウジング14の内部空間34、より詳細
には、ハウジング14の内管部分20、ノズルヘッド1
6及び燃料導入管18により囲まれる空間34には、磁
性材料から成るプランジャ36が配置されている。この
プランジャ36は、ハウジング14の内管部分20をガ
イドとして、前後方向に摺動可能となっている。
【0020】また、図2に明示するように、ハウジング
14の内管部分20の内周面(案内面)38及びこの内
周面38に摺動可能に接するプランジャ36の外周面4
0には、それぞれ、摩擦係数の小さな材料から成る被膜
42,44が全周にわたり設けられている。この被膜4
2,44の材料としては、耐摩耗性にすぐれ、摩擦係数
が小さい非粘着性のフッ素樹脂が好ましい。
【0021】プランジャ36の内部には燃料孔46が形
成されている。この燃料孔46はプランジャ36の後端
面の中心から中心軸線に沿って延びており、プランジャ
36の前端面に近い或る一点から外方に延びる4つの斜
孔48によって、ハウジング14の前側の内部空間34
に通じている。従って、燃料導入管18により導入され
たCNGは、プランジャ36の燃料孔46及び斜孔48
を経てハウジング14の前側の内部空間34に導かれる
こととなる。
【0022】プランジャ36と燃料導入管18との間に
は圧縮ばね50が配置されており、この圧縮ばね50の
ばね力によりプランジャ36は前方、即ちノズルヘッド
16側に常時押圧されている。プランジャ36の前端面
には弁体52が固着されており、この弁体52に対向す
るノズルヘッド16の後端面54は弁座として機能する
ようになっている。従って、圧縮ばね50のばね力によ
りプランジャ36が前方に移動されると、弁体52は弁
座54に密着し、弁体52及び弁座54から成る燃料噴
射用弁を閉鎖する。
【0023】一方、プランジャ36は、電磁コイル24
が励磁されると、電磁作用により圧縮ばね50のばね力
に抗して後方に移動されるようになっている。プランジ
ャ36のこの後方移動により、弁は開放され、ノズルヘ
ッド16の貫通孔32はハウジング14の内部空間34
に連通される。プランジャ36の後方移動は、規制部材
としても機能する燃料導入管18の前端面により規制さ
れる。なお、プランジャ36との直接接触を防止して接
触時の衝撃を緩和するために、燃料導入管18の前端面
にはゴム製の緩衝部材56が取り付けられている。
【0024】上記構成において、CNGタンク(図示し
ない)から燃料導入管18の後端部に供給されたCNG
は、燃料導入管18内に設けられたストレーナ58を通
過して濾過された後、ハウジング14内に導かれる。ハ
ウジング14内に導入されたCNGは、更にプランジャ
36の燃料孔46から斜孔48を通過し、ノズルヘッド
16側の内部空間34に導かれる。
【0025】ここで、電磁コイル24が非励磁状態にあ
る場合、プランジャ36は圧縮ばね50によりノズルヘ
ッド16側に押圧され、弁体52は弁座54であるノズ
ルヘッド16の後端面に密着する。この時、CNGがノ
ズルヘッド16の貫通孔32から噴射されることはな
い。
【0026】一方、電磁コイル24に通電してこれを励
磁すると、プランジャ36は圧縮ばね50のばね力に抗
して後方に移動し、弁体52はノズルヘッド16から分
離するため、CNGはハウジング14の内部空間34か
らノズルヘッド16の貫通孔32を通って外部に噴射さ
れる。
【0027】この実施例においては、プランジャ36の
ガイドとなるハウジング14の内管部分20が磁性材料
から構成されているため、プランジャ36と電磁コイル
24との間のサイドエアギャップは大幅に縮小され、実
質的にフッ素樹脂製の被膜42,44の厚さのみとなっ
ている。その結果、電磁コイル24、内管部分20、プ
ランジャ36及び燃料導入管18により構成される磁気
回路における磁気抵抗が小さくなるので、電磁コイル2
4を励磁すると、強いプランジャ吸引力が発生する。従
って、プランジャ36を高速で移動させる場合やプラン
ジャ36のストロークが大きい場合に、特殊な駆動回路
を使用せずとも或はコイル巻数を増やさなくとも、所望
の吸引力を得ることができる。
【0028】また、摩擦係数の小さな被膜42,44の
存在により、プランジャ36は内管部分20内で円滑に
動作する。また、被膜42,44の材料としてフッ素樹
脂を用いた場合、耐摩耗性や非粘着性等の特性に優れて
いるため、プランジャ36の往復動による摩耗やプラン
ジャ36と内管部分20との間のはり付きが防止され
る。
【0029】前述したように、図1で示される電磁コイ
ル24による磁気回路は、外管部分22(ハウジング1
4の一部分)と燃料噴射管18(規制部材)とプランジ
ャ36と内管部分20(ハウジングの一部分)とから構
成され、磁束はこれらの部品をこの順で通る。この磁気
回路で電磁コイル24が励磁されると、燃料導入管18
の前端面とプランジャ36の後端面が互いに引合うこと
になる。このとき、燃料導入管18の前端面を通過した
磁束はすべてプランジャ36の後端面へ導かれることが
望ましいが、燃料導入管18の前端部19が先細り形状
ではないとすると、その磁束の一部は直接内管部分20
へと導かれる。なぜなら、この内管部分20へ導かれた
磁束は、プランジャ36の後端面を貫通しないため、プ
ランジャ36の後端面を燃料導入管18の前端面へ吸引
することができないからである。このため、この実施例
では、電磁コイル24に接する燃料導入管18の前端部
19を先細り形状とし、内管部分20に導かれる磁束を
減少させ、プランジャ36の後端面へ導かれる磁束を増
加させるものである。これによって、プランジャ36の
吸引力が強められて、電磁コイル24の起磁力を有効に
利用することができる。
【0030】なお、内管部分20の後端部70も同様に
先細り形状にされている。すなわち内管部材20の後端
部にテーパが設けられている。これによって、内管部分
20に導かれる磁束が減少され、プランジャ36の後端
面へ導かれる磁束が増加されることにより、プランジャ
36の吸引力が強化される。
【0031】以上、本発明の好適な実施例について詳細
に説明したが、本発明は上記実施例に限られるものでな
いことはいうまでもない。例えば、上記実施例では、磁
性材料製のハウジング14の内管部分20がプランジャ
36のガイドとなっているが、図3に示す燃料噴射装置
10′のように、プランジャ36のガイド60をハウジ
ング14′とは別個に設け、これを電磁コイル24とプ
ランジャ36との間に配置することとしてもよい。これ
によって、ガイド60に対してテフロン処理等の表面処
理を容易に施すことができ、ガイド60自体の加工も容
易になる。
【0032】また、上記実施例では、非磁性材料から成
る被膜42,44をハウジング14の内管部分20とプ
ランジャ36の両方に形成することとしているが、その
いずれか一方でもよい。
【0033】更に、上記の燃料噴射装置10,10′は
CNG用のものであるが、本発明はガソリン等の液体燃
料又は液化天然ガス(LPG)にも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、プ
ランジャのガイドを磁性材料とすることにより、電磁コ
イルとプランジャとの間のサイドエアギャップが実質的
に縮小される。従来のように非磁性材料から成るガイド
を用いた場合に比して、ガイドを磁性材料とすること
で、磁気抵抗を小さくできる。従って、昇圧ドライバ等
の高価な駆動回路を用いたり、電磁コイルのコイル巻数
を増やしたりせずとも、プランジャを高速で或は大スト
ロークで作動させることが可能となる。これは、マルチ
ポイント方式等において噴射燃料の流量を増加させるべ
くプランジャのストロークを大きくしたい場合に、特に
有効となる。
【0035】また、電磁コイルのコイル巻数を増やす必
要がないことは、インダクタンスの維持又は低減を可能
とし、よって応答性の低下が防止される。
【0036】更に、ガイドとプランジャとの間に、フッ
素樹脂等の小摩擦係数の材料から成る被膜を設けた場合
には、ガイド内でのプランジャの摺動が円滑化され、両
者間のはり付き等も防止できる。
【0037】また、プランジャに対向配置された規制部
材の先端を先細り形状とすることで、プランジャを通過
する磁束密度が高められ、プランジャに作用する吸引力
が増加され、電磁コイルの起磁力を有効に利用すること
ができる。これによっても燃料噴射装置の応答性を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料噴射装置の一実施例を示す図
であって、本体の軸線に沿った断面図である。
【図2】図1に示す燃料噴射装置のプランジャの周囲を
拡大して示す断面部分図である。
【図3】本発明による燃料噴射装置の変形例を示す図1
と同様な断面図である。
【符号の説明】
10,10′…燃料噴射装置、12…本体、14,1
4′…ハウジング、16…ノズルヘッド、18…燃料導
入管(規制部材)、19…テーパが付けられた前端部、
20…内管部分(ガイド)、22…外管部分、24…電
磁コイル、32…貫通孔、34…内部空間、36…プラ
ンジャ、38…内管部分の内周面(案内面)、40…プ
ランジャの外周面、42,44…被膜、46…燃料孔、
48…斜孔、50…圧縮ばね、52…弁体、54…弁
座、60…ガイド、70…テーパーが付けられた後端
部。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 21/02 F02M 51/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料噴射用の弁を有する管状の本体と、 前記本体内に設けられた電磁コイルと、 前記電磁コイルの内側に同軸に配置されており、前記電
    磁コイルへの通電を制御することにより軸線方向に往復
    動して前記弁を開閉するプランジャと、 前記プランジャを案内するために前記電磁コイル及び前
    記プランジャの間に配置された、磁性材料から成るガイ
    ドと、前記電磁コイルへの通電による前記プランジャの移動を
    該プランジャの端面に接することで規制するよう、前記
    ガイドに対向して配置された、磁性材料から成る規制部
    材と、を備え、 前記電磁コイルによって生成された磁束の前記ガイドに
    導かれる量を減少させるよう、前記規制部材および前記
    ガイドは互いに向かって先細り形状となっている、 燃料
    噴射装置。
  2. 【請求項2】前記ガイドの案内面若しくは該案内面に接
    する前記プランジャの面のいずれか一方又はその両方
    に、摩擦係数が小さい材料から成る被膜を形成した、請
    求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】前記被膜はフッ素樹脂から成る、請求項2
    に記載の燃料噴射装置。
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